JICA 国際協力機構 感染症医学医療人材育成特別プログラム · JICA...

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1 JICA 国際協力機構 感染症医学医療人材育成特別プログラム Joint University Mentorship Program for the Fostering of Global Leaders in Infectious Disease Control and Health Security (JUMP) 1.プログラム概要 新型インフルエンザウイルス感染症、エボラウイルス感染症、炭疽、結核等などの新興・ 再興感染症の克服は地球規模の課題である。さらに、アフリカ睡眠病、ハンセン病等の顧 みられない熱帯病や、多剤耐性細菌感染症、健康危機管理・ヘルスセキュリティ等への対 応も急務となっている。 また、国際社会で問題となっている新興・再興感染症の殆どすべてが、人獣共通感染症 である。その病因は、自然宿主動物に不顕性感染を繰り返しながら存続してきた微生物で ある。したがって、人獣共通感染症を克服するためには、その自然宿主と伝播経路を解明 し、診断、予防と治療法を確立しなければならない。しかしながら、総合的な感染症対策 の立案と実施に貢献できる人材が乏しい。 斯かる背景の下で、北海道大学獣医学研究科と人獣共通感染症リサーチセンターは Global COE プログラム、博士課程教育リーディングプログラム等において、国内外に向 け、人獣共通感染症対策専門家養成コースを提供し、人獣共通感染症対策専門家(Zoonosis Control Expert)を認定して社会に輩出している。長崎大学でも北大と同様に熱帯医学研 究所を中心に、40 年にわたって継続している短期熱帯医学研修課程の他、医歯薬学総合 研究科と協力して GCOE プログラム、1 年制の熱帯医学および国際健康開発修士課程、リ ーディング大学院プログラムといったユニークな教育システムを開発し、医歯薬学総合研 究科、熱帯医学・グローバルヘルス研究科での博士・修士課程教育を英語化、国際化させ ることで、熱帯感染症の臨床医学、感染制御に貢献する人材育成を進めてきている。 本プログラムでは、グローバル人材育成の第一段階としてニーズの高いアフリカを対象 に感染症の発生現場でその制圧対策の指揮を執るリーダーを育成するとともに、北海道大 学、ザンビア大学獣医学部及びタンザニアのソコイネ大学並びに長崎大学、ケニア中央医 学研究所を中心とした国際人材ネットワークを構築する。以て、総合的な国際感染症対策 の策定と実施が可能な人材を養成する。 2.実施機関 北海道大学:人獣共通感染症リサーチセンターが実施主体 大学院獣医学研究院/獣医学院および国際感染症学院 長崎大学:長崎大学熱帯医学研究所が実施主体 熱帯医学・グローバルヘルス研究科が協力 3.プログラム内容(北海道大学担当分) A) 人獣共通感染症対策専門家(Zoonosis Control Expert)認定プログラム感染症の予防・ 診断・治療対策を立案・実施する能力を有する人獣共通感染症対策専門家(Zoonosis Control Expert)を養成する。 ! 修業年限 6 年の獣医学、医学、歯学または薬学の教育課程を卒業した者、またはそれと 同等以上の教育研究歴が有ると認められた者を対象とする。 ! 本専門家認定プログラムに参加する学生には、国際感染症学院において感染症の教育・ 研究を集中的に施す。(スキーム1)

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JICA国際協力機構 感染症医学医療人材育成特別プログラム JointUniversityMentorshipProgram

fortheFosteringofGlobalLeadersinInfectiousDiseaseControlandHealthSecurity

(JUMP)

1.プログラム概要

新型インフルエンザウイルス感染症、エボラウイルス感染症、炭疽、結核等などの新興・

再興感染症の克服は地球規模の課題である。さらに、アフリカ睡眠病、ハンセン病等の顧

みられない熱帯病や、多剤耐性細菌感染症、健康危機管理・ヘルスセキュリティ等への対

応も急務となっている。

また、国際社会で問題となっている新興・再興感染症の殆どすべてが、人獣共通感染症

である。その病因は、自然宿主動物に不顕性感染を繰り返しながら存続してきた微生物で

ある。したがって、人獣共通感染症を克服するためには、その自然宿主と伝播経路を解明

し、診断、予防と治療法を確立しなければならない。しかしながら、総合的な感染症対策

の立案と実施に貢献できる人材が乏しい。

斯かる背景の下で、北海道大学獣医学研究科と人獣共通感染症リサーチセンターは

GlobalCOE プログラム、博士課程教育リーディングプログラム等において、国内外に向

け、人獣共通感染症対策専門家養成コースを提供し、人獣共通感染症対策専門家(Zoonosis

ControlExpert)を認定して社会に輩出している。長崎大学でも北大と同様に熱帯医学研

究所を中心に、40 年にわたって継続している短期熱帯医学研修課程の他、医歯薬学総合

研究科と協力して GCOE プログラム、1 年制の熱帯医学および国際健康開発修士課程、リ

ーディング大学院プログラムといったユニークな教育システムを開発し、医歯薬学総合研

究科、熱帯医学・グローバルヘルス研究科での博士・修士課程教育を英語化、国際化させ

ることで、熱帯感染症の臨床医学、感染制御に貢献する人材育成を進めてきている。

本プログラムでは、グローバル人材育成の第一段階としてニーズの高いアフリカを対象

に感染症の発生現場でその制圧対策の指揮を執るリーダーを育成するとともに、北海道大

学、ザンビア大学獣医学部及びタンザニアのソコイネ大学並びに長崎大学、ケニア中央医

学研究所を中心とした国際人材ネットワークを構築する。以て、総合的な国際感染症対策

の策定と実施が可能な人材を養成する。

2.実施機関

北海道大学:人獣共通感染症リサーチセンターが実施主体

大学院獣医学研究院/獣医学院および国際感染症学院

長崎大学:長崎大学熱帯医学研究所が実施主体

熱帯医学・グローバルヘルス研究科が協力

3.プログラム内容(北海道大学担当分)

A)人獣共通感染症対策専門家(ZoonosisControlExpert)認定プログラム感染症の予防・

診断・治療対策を立案・実施する能力を有する人獣共通感染症対策専門家(ZoonosisControl

Expert)を養成する。

! 修業年限 6年の獣医学、医学、歯学または薬学の教育課程を卒業した者、またはそれと同等以上の教育研究歴が有ると認められた者を対象とする。

! 本専門家認定プログラムに参加する学生には、国際感染症学院において感染症の教育・研究を集中的に施す。(スキーム1)

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! 課程終了時には人獣共通感染症対策専門家認定試験を実施し、合格者は人獣共通感染症対策専門家(ZoonosisControlExpert)として認定されると共に博士(感染症学)な

いしは博士(獣医学)の学位を取得する。

スキーム1

B)人獣共通感染症対策グローバルエキスパート(GlobalZoonosisControlExpert)養成

プログラム

! 人獣共通感染症の発生現場においてリーダーシップをとって感染症対策に当たることができる人獣共通感染症対策グローバルエキスパート(GlobalZoonosisControlExpert)

を養成する。

! 北海道大学人獣共通感染症対策専門家養成コース修了者(ZoonosisControlExpert)、博士の学位を有する研究者、医療従事者、教員、行政官、感染症関連機関職員または彼

らと同等の知識・経験を有する人材を対象とする。

! 本プログラムは以下を必修とする。(スキーム2)(1)北海道大学ないしは長崎大学で開講している公衆衛生学修士コースの授業を受講

する。または、北海道サマーインスティチュートにおいて公衆衛生関連の教科を受

講する。

(2)WHO、OIE 等の国際機関においてインターンシップの研修を積む。

(3)北海道大学ザンビア拠点、マラウイ大学、長崎大学ケニア拠点、タイ•タマサート

大学、ベトナム国立衛生疫学研究所等を活用する疫学研究活動に参画する。

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(4)北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター、WHOCollaboratingCentrefor

ZoonosisControl、OIEReferenceLaboratory 等において感染症診断法の実習を

受ける。

スキーム2

上記の(1)-(4)の活動実施後、報告書の提出および報告会における発表を課し、人

獣共通感染症対策グローバルエキスパート審査委員会の審査を受ける。合格と判断され

た者を、JICA 理事長、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター長の連名で人獣共通

感染症対策グローバルエキスパート(ZoonosisControlGlobalExpert)として認定す

る。

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