IT サービス時代の品質保証 - juse.jp€¦ · システム開発 システム稼働...
Transcript of IT サービス時代の品質保証 - juse.jp€¦ · システム開発 システム稼働...
第 7 期 「ソフトウェア品質保証部長の会」
IT サービス時代の品質保証 ~ 品質保証のパラダイムシフト ~
2016 ソフトウェア品質保証部長の会 第2 グループ
(株)日立製作所 梯 雅人
(株)日立産業制御ソリューションズ 小林 康弘
KLab (株) 小林 依光 (発表者) NEC ソリューションイノベータ(株) 杉野 晴江
日本電気(株) 佐藤 孝司
(株)ベリサーブ 佐々木 方規
(株)日立システムズパワーサービス 堀 禎威(リーダー) ※ 50 音順
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
1
はじめに なぜ IT サービス時代の品質保証なのか
IT の活用が、ビジネス上の課題を解決したり業務効率化を推進する目的から
ビジネス戦略や事業創造にまで活用できる “サービス” としても提供される
時代になってきています。
この “サービス” は PaaS や SaaS などのクラウドテクノロジーを活用して
高度化してきており、サービス開始時のニーズを満たし、
その後も継続的にお客様の新しいニーズに答え、
積極的な変化・改善を行うことを期待されています。
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
2
はじめに なぜ IT サービス時代の品質保証なのか
このような IT サービスの高付加価値化が進む時代においては、
従来の IT 製品のような出荷前にきっちりと品質を作り込む品質保証や、
ITIL に代表されるような高可用性の維持等のサービス運用管理に関する、
「当たり前品質」 を軸にした品質保証の考え方だけでは
時代に取り残されてしまいます。
そこで、これまで以上にお客様の視点で、お客様の期待を超えるような
「魅力的な品質」 のサービスを支える品質保証とは何かについて、
考えてみました。
※検討の範囲を明確にするために、IT サービスの対象は SaaS を中心にしています。
稼働率100%保証
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
3
今日のポイント
成果報告の流れについて
現状把握とその分析の為に、以下の流れで議論を行いました。
SLA
SIにおける 環境変化
ITを活用した サービス事例
新しい 品質保証の視点
サービスサイエンスを活用した整理/検討
SERVQUAL
サービスギャップモデル
E-S-QUAL
【議論の流れ】
【参考】
• SLA(Service Level Agreement) ‒ サービスを提供事業者とその利用者の間で結ばれるサービスのレベルに関する合意
• SERVQUAL ( Parasuraman, Zeithaml, & Berry 1988 ) ‒ サービス (Service) と品質 (Quality) を組み合わせた造語、サービスの品質測定尺度
• サービスギャップモデル ( Parasuraman 1985; Zeithaml 1990 ) ‒ 理想と現実の差異を課題と捉え、理想を達成する為には何が必要かを分析する課題抽出法
• E-S-QUAL ( Parasuraman, Zeithaml, & Malhotra 2005 ) ‒ 電子サービス、インターネット経由の電子仕様取引等のサービス品質測定尺度
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
4
5
SIにおける 環境変化
ITを活用した サービス事例
新しい 品質保証の視点
サービスサイエンスを活用した整理/検討
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
成果報告の流れについて
システムの提供
SI における環境の変化
出荷品質/仕様凍結
SLA
システムを運用して新しい価値が生み出されるのが
サービスだとすると・・・ SLA の記載事項の多くは保証値等の記載であり、
提供する立場から解釈すると、免責的な意味合いとなり
ユーザーが期待する 『 サービスの改善、追加 』 まで含んだ
品質保証とはなっていません。
リリース バグ修正
バグ修正
サービス改善/追加の為の 品質観点が必要
RFP に基づいたシステムを開発
サービス 改善/追加
IT サービスの運用 IT サービス(システム)の開発
品証
品証
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
【現状】
【今後】
6
7
SIにおける 環境変化
ITを活用した サービス事例
新しい 品質保証の視点
サービスサイエンスを活用した整理/検討
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
成果報告の流れ
この夏、街ナカで流行したゲームサービス!
事例を研究するにあたり、エンタープライズ(企業向け) IT サービスと比較して、
ITサービスでも大きく異なるモバイルオンラインゲーム(個人向け)を調査しました。
引用:Tech crunch
http://jp.techcrunch.com/2016/07/26/20160725pokemon-go-75m-downloads/
引用:ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160724-00000032-it_nlab-sci/
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
8
年齢問わず、みなさんゲームが好き!
引用:(株)三菱総合研究所 スマホゲームの動向
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/160324shiryo1.pdf
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
9
事例:モバイルオンラインゲームにおけるサービス品質の把握
1.ゲームサービスの提供
2.ユーザーからのフィードバック
3.改善したサービスの提供
4.改善結果のフィードバック
ユーザーログを活用した測定を実施
標準化された
プラットフォームの活用
多ユーザーへの
サービス提供
項目 説明
可用性
サービス時間
サービス稼働率 障害回復時間 (MTTR)
障害通知時間 パフォーマンス 応答時間 保全性 データ・ログの保全性
項目 説明 DAU 1日あたりのゲームプレイ人数 継続率 ゲームを継続してプレイする比率 ARPU ユーザー1人あたりの平均売上 DL数 配信ストアからのダウンロード数 ストア評価 配信ストアに書き込むユーザー評価
※代表的なSLA
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
10
検討:品質のフォーカスを比較
ユーザーの要件を確実に実現するモデル ユーザーの要件変化に追従するモデル
サービス品質 の
注力ポイント
エンタメ(ゲーム)のサービス品質は、魅力的品質にフォーカスしています。
エンタメ系 SI 系
当たり前品質 当たり前品質
魅力的品質 魅力的品質
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
11
検討:エンタメ(ゲーム)とのフィードバックの差
12
ITサービス
システム開発 システム稼働
要件の実現
稼働状況の
フィードバック
SI 系はリリースで途切れて、サービス品質を継続視できていません。
サービス
利用
利用者と提供者を繋ぐ継続的な輪で魅力の把握が需要
提供者 ユーザー
保守などの継続契約がないと、
サービス品質のフォローが難しい
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
検討:エンタメ(ゲーム)と SI の差を調査
エンタメ系 SI 系
ユーザーの特徴 コンシューマ
(好き/嫌いで判断)
企業
(合理・生産・正確性で判断)
ユーザーとの距離 近い (B to C)
・ リアルタイムユーザログ
遠い (B to B to C) ・ SE訪問/問合せ
提供サービス
の評価視点
ユーザー側の視点 ・ レビューボタン ・ プレイ時間 ・ ダウンロード数
・ ゲーム継続率
提供側の視点 ・ ダウン時間 ・ バグなし
・ 連続稼動時間
サービス改善
の指向
サービス品質を上げること
ユーザー側からの品質
サービス品質を下げないこと
提供側からの品質
開発者の特徴 (けっこう) 楽しそう?? (今ひとつ) 元気がない??
オンラインゲーム(エンタメ系)との違いをブレストした結果をまとめました。
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
13
SERVICE
SCIENCE
14
SIにおける 環境変化
新しい 品質保証の視点
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
成果報告の流れ
サービスサイエンスを活用した整理/検討
ITを活用した サービス事例
14
SERVQUAL
GAP モデル
サービスサイエンス
経営工学、社会工学、システム科学、生産管理、サービス・マーケティング、
マーケティング・サイエンス、法律学、経営戦略などをはじめとする様々な
学術分野が融合し、サービスについての研究を行う新しい領域の学問
サービスサイエンスにおけるサービスとは、サービス提供者とサービス顧客の両方が一体となり、価値を創り上げる(共創)だといえる。
例えば、医療分野においては、医師が患者に質問し、検査し、薬を処方する。
この時、患者は質問に回答し、検査に協力しすることで適切な薬を得ることが
できる。医師、患者、またそれ以外の医療従事者、さらに技術とが一体となり、
価値(この例では健康)を創り上げる。
15
引用:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E7%A7%91%E5%AD%A6/
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
そもそも、サービスとは何なのか?
サービスは 消費者と共に生産・消費される
サービスの定義
– 無形成 :貯蔵できない
– 不可分性 :ユーザーも生産に関与する
– 異質性 :標準化が困難
– 消滅性 :在庫管理できない
サービス 共創
ユーザー 提供者
16
企業と顧客の接点
サービスを計測する方法-1
17
サービスギャップモデル
– 期待と現実(知覚)の差を把握する方法
知覚されたサービス
期待されたサービス
サービス提供(デリバリー)
サービスを実現するシステム
顧客ニーズの把握
ユーザーへの コミュニケーション
GAP1
GAP2
GAP3
GAP5
GAP4
ユーザー
提供者
サービスを計測する方法-2
18
SERVQUAL 手法
– 5 つの次元に対し、顧客が回答することでギャップを測定する方法
SERVQUAL の 5 つの次元
信頼性 約束されたサービスを確実に提供すること
反応性 ユーザーに対するサービス提供の迅速性
確実性 従業員のしっかりした知識と対応態度
有形性 設備や従業員の見た目
共感性 顧客とのコミュニケーション
サービスサイエンスを考慮して IT サービスを考える
19
ネットワークで提供されるサービスが、新しい IT サービス品質を必要としている
WEB サイト
サービス 共創
クラウド サービス
顧客 企業
サービス 共創
■クラウドベースのアウトソーシング( CSMIC SMI )
■インターネット販売サイト( E-S-QUAL )
提供者 ユーザー
ユーザー 提供者
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
※ CSMIC SMI http://csmic.org/
IT サービスが変化することを前提とすると・・・
20
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
IT サービスは、変化・改善させながら 価値を高め、飽きられないようにすべき
変化・改善を前提としたアーキテクチャーになっているのか が、品質保証の評価観点になる!
利用価値を維持、向上するためのシステムとは?
オンラインサービスとシステム提供のマップ
IT プロバイダー
IT
クライアント
標準品提供 カスタマイズ品提供
業務
モジュール型
業務
統合型
サブシステム サブシステム サブシステム
<企業内>
連携方法がバラバラ
サービス サービス サービス
<企業内>
標準化された
連携方式
サブシステム サブシステム
サブシステム
<企業内>
PKG/ASP PKG/ASP
サービス サービス サービス
<企業内>
<他企業> ASP
サービス
1:1
1:N
引用:富士通総研 経済研究所
http://www.fujitsu.com/downloads/JP/archive/imgjp/group/fri/report/research/2005/no246.pdf/
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
21
22
SIにおける 環境変化
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
成果報告の流れ
ITを活用した サービス事例
22
サービスサイエンスを活用した整理/検討
新しい 品質保証の視点
①サービスの価値向上(共創)のために
必要な情報の収集と分析
②サービス価値が向上していることの監視
①サービスを止めないなどのシステムの
核となる部分の品質管理
②共創のために運用中に改善したことによる
既存の機能が低下しないことの検証
③サービス価値が劣化していないことを監視
サービスにおける新しい品質保証の提案
①サービスモジュール群の中でも
戦略的に早くリリースして運用中
に改善する部分
(試作的,実験的要素)
①基盤部や共通部など高品質が
要求される部分
②サービスモジュール群の中でも
高い品質が要求される部分
③サービス運用中に提供価値を
把握する仕組み(ログ機能等)
リリース
当り前品質の視点 =固い品質保証
魅力的品質の視点 =柔らかい品質保証
システム基盤部 固い
品質保証
システム共通部
各サービスモジュール群
柔らかい 品質保証
システム基盤部
システム共通部
各サービスモジュール群
①共創が できて いる等
②サービスが劣化していない
サービス価値を高めるために運用中に改善していく部分と,従来通り高品質が要求される部分を明確にし,固い品質保証と柔らかい品質保証を柔軟に使い分ける
※運用中も当たり前品質の視点は重要
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
サービス 改善/追加
IT サービスの運用 IT サービスの開発
23
サービスにおける新しい品質保証の範囲
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
24
固い品質保証群
柔らかい品質保証群
ユーザー
ビシネスオーナー Benefit
利用者のログなども システムの一部と考え、 ビジネスオーナーが
Benefitを得られるシステム となっていることを保証
活動成果 と 今後の議論の方向性
【 活動成果 】
・IT サービスの品質保証を考えるにあたり、サービスサイエンス等の
知見を活用すべき。
・サービスの劣化防止/新しいサービス提供を行うための仕組み、
およびその仕組が機能していることを監査することが、
新しい品質保証の視点となる。
・ビジネスオーナーがBenefitを得られるシステムであることを保証の範囲
にすべき。
【今後の議論】
・サービス開発の品質保証マップの作成を検討
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
25
サービス開発の品質保証マップ (仮)
Copyright (C) 2016 SQiPソフトウェア品質保証部長の会 All Rights Reserved
26
品質保証の 視点
システムの 構成
製品品質 および 利用品質
意思決定 の
ロジック
開発/改修 の
サイクル
開発人材 の
スキル像
柔らかい 品質保証
固柔らかい 品質保証
固い 品質保証
サービス コンテンツ
サービス 提供
Platform
SaaS
IaaS
超短期 サイクル
中期 サイクル
長期 サイクル
サービス 運用者
Creator
ドメイン エキスパート
IT スペシャリスト
郡
データ中心の 判断
ドメイン
エキスパート判断
IT スペシャリスト
判断
目標達成
リスク ガバレッジ
有用性
効率性
信頼性
保守性
※ 検討/作成中の資料です。