IoT時代の新しい安全 Safety2.0」の全貌 · Safety2.0の目的...

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日本大学特任教授 工学博士 中村英夫 IoT時代の新しい安全 「Safety2.0」の全貌 ET2017 独立行政法人 情報処理推進機構 SEC先端技術入門ゼミ IPA/SEC IoTシステム安全性向上技術WG委員

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日本大学特任教授 工学博士 中村英夫

IoT時代の新しい安全「Safety2.0」の全貌

ET2017 独立行政法人 情報処理推進機構SEC先端技術入門ゼミ

IPA/SEC IoTシステム安全性向上技術WG委員

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Safety2.0の概念構築<コンセプトの確立>■2015年夏、専門家組織「Safety 2.0準備委員会」(2016年より「Safety 2.0推進委員会」に改称)

を発足■委員長:向殿政男 明治大学名誉教授委 員:梅崎重夫 労働安全衛生総合研究所機械システム安全研究グループ長

中村英夫 日本大学理工学部応用情報工学科特任教授藤田俊弘 IDEC常務執行役員技術戦略本部長 IDECグループC.T.O.古澤 登 安全と人づくりサポート代表、元トヨタ自動車安全衛生推進部担当部長

■議 題:技術的定義の検討■事務局:日経BP社日経BP総研 社会インフラ研究所

<Safety 2.0の技術的定義>・人、モノ、環境など各構成要素を情報(ICT)でつなぐ・リスク関連情報(危険/安全情報)をモニタリングし、発信する・(リスク関連情報を受けて)自律的(自身)、あるいは他律的(周囲の人やモノ)な制御により

安全側に導く

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Safety2.0の目的

ロボットや自動運転、i-Constructionなど新しい産業の波を安全面から支援する

安全を端緒に、生産性向上、コスト低減などを同時に実現する

新時代にふさわしい安全の新コンセプトとして、世界をリードする

注意力判断力

注意力判断力

注意力判断力+

協調安全

協調安全

本質安全制御安全機能安全

本質安全制御安全機能安全+

協調安全

人の領域 共存領域 機械の領域

Safety0.0■人による安全・ 人の領域にもリスク・ 人と機械の共存領域はリスク・ 機械の領域はリスク

Safety1.0■人と機械それぞれによる安全・ 人の領域にもリスク・ 人と機械の共存領域は撤廃

(隔離の安全)・ 機械の領域にもリスク

Safety2.0■人と機械の協調による安全・ 人の領域のリスク最小化・ 人と機械の共存を可能に・ 機械の領域のリスク最小化

Safety2.0から見た産業安全

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産業現場における安全の変遷

Safety0.0からSafety2.0まで

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http://www.ne.jp/asahi/koiwa/hakkei/sangyoukakumei.html

http://histrace.com/overview_history/industrial_revolution/

負傷した労働者(Erik Henningsen作)

産業革命と労働災害

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労働安全・労働衛生分野の発展のために

労働安全分野 労働衛生分野

54年 安全は 基本動作の くりかえし 大切な健康 小さな振動

55年 安全は 合図と 確認から 健康のため 手工具を

56年 守ってますか 安全ルール 目立てよくして 元気な父ちゃん

57年 手順を守って 安全作業 徹底しよう 保護具の着用

58年 木は心 安全も心から! 目立て良好 今日も快調!

60年 合図しっかり 応答はっきり 健康で 笑顔の職場

61年 指を差し 声を出し 安全確認 笑顔で作る 健康家族

63年 作業の前に 安全点検 健康は 働く者の免許証

平成元年 ニコニコと安全暦 今日も丸 笑顔と健康 職場の誇り

2年 ゼロ災を 目ざして励む 危険予知 受けよう検診 守ろう健康

4年 おこたるな 基本動作と 正しい手順 健康は 仕事にゆとり 家族のほこり

5年 「なれ」に頼るな 守ろう基本動作 健康は あなたの財産 家族の宝

6年 今日もまた 初心に戻り 安全作業 流す汗 明るい笑顔で ナイスDAY

8年 ゼロ災害 危険予知の 積み重ね みんなでつくろう 健康職場 6

啓発と覚醒により 事故防止を!

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安全第一

• 1900 年代初頭、米国内では、不景気の波の中、労働者達が劣悪な環境下で危険な業務に従事していた。その結果、多くの労働災害に見舞われていた。

• 当時:「生産第一、品質第二、安全第三」

• 当時、世界有数の製鉄会社、USスチールの社長エルバート・ヘンリー・ゲーリー(Elbert Henry Garry)は、労働者達の姿に心を痛め、人道的見地から、会社の経営方針を抜本的に見直す。

• 「安全第一、品質第二、生産第三」

• この方針が実行され、労働災害は減少。上向いた景気の波に乗って、品質・生産も向上した。「安全第一」という標語は、世界中に広まった。

71953年労働衛生マーク

日本では大正元年(1912年)古河鉱業足尾鉱業所長の小田川全之(まさゆき)が提唱

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赤旗を持ち馬に乗って列車を誘導する鉄道掛員(Atlas of the World’s Railwaysから)

1830年9月:リバプール~マンチェスタ間で蒸気機関車による世界初の公共旅客鉄道が登場

安全の確保に腐心

注意力で安全を確保していたSafety0.0の時代

告知人(前走り最高速度が8マイル毎時・12.9km/h)http://kyotokitano.com/densya/?p=8

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ルール化・機械式信号機の登場1837:グレート・ウェスタン鉄道「ボール信号機」レディング駅に設置

夜間は鯨油によるランプ

フェールセーフの原理

見えないときは停止

Safety0.0

危害信号

無難信号

注意力で安全を確保していたSafety0.0の時代

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人間の錯誤に起因した事故からの解放を意図したSafety1.0

各産業領域で独自の安全性技術が開花

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フットスィッチから両手押しボタンへ

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危険領域に手がない時にしかスィッチが押せない

両手押しボタン

安全を守る仕組みを導入Safety1.0

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1212

再起動防止回路の例(停止させた後に停止ボタンが復帰して重大事故に)

Safety1.0

停止ボタン

MS

起動ボタン

停止ボタン

R1

起動ボタン

R1-1

MSR1-2

MS

R1

MS

MS

停止ボタンが誤って復帰しても機械は動

作せず

事故防止のための工夫が組み込まれ、安全な機械へと進化していった。

誤って復帰すると

この安全技術も、産業界独自なもので、共通の安全技術を模索した交流には限界があった。

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産業界固有の安全性技術が発達

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(b)電圧平衡器を用い電球1

灯にかかる電圧を平衡させる(a)ある電球において直列点灯で1灯が半断線したときの電圧分布の例

11V

43V

54V

半断線した電球の光量が大きくなる。

(信号電球の直列点灯と電圧平衡器)

尾灯が点灯している状態と比べて、制動灯が点灯している状態は「5倍」以上明るい必要がある。という法律がある

明るさ切替

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人間のミスによる事故を防止する保安制御

1414

信号機

人間優先:法律(規定)と注意力

違反すれば乗務員が罰せられる

信号機+警報装置 信号機+ATS

危険なときにはブレーキが自動的に作動

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速度信号(ATC)

機械優先で安全を確保 17

Safety 0.0

電気・電子利用の高度な保安装置が出現事故に学んだ,各種安全性技術を導入

この技術は鉄道独自なものが多く,産業界を横断する共通な安全の仕組み・原理は見いだせない。

Safety1.0

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Computer利用で高度化、巧緻化する

Safety1.5

コンピュータの導入は、安全制御の分野の質を変え、高度・巧緻なシステムの開発を容易にした

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2017/12/5 1616駅停止位置制御端末駅過走防護

曲線速度制限制御

最高速度制限制御分岐器速度制限制御

停止信号の防護以外にもRISK低減

何らかの手段で実現を要請(国土交通省)→知恵を働かせ低コストで実現

コンピュータ制御の登場とその影響

コンピュータ制御の福音(安全防護機能の拡張)

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受信 送信本線AT/1T

車内生成信号パターン

(許容走行速度)

受信 送信上り1T/ 2T

受信 送信上り1T/ 3T

受信 送信上り1T/4T

受信 送信上り1T/5T

受信 送信上り1T/6T

ATC

信号の

送受信

実走行軌跡

0

45

65

90

信号現示段階(許容走行速度)

列車速度

(上り6T)

上6

(上り5T)

上5

(上り4T)

上4

(上り3T)

上36

(上り2T)

上2 上1(上り1T)

コンピュータ制御の登場とその影響

車両性能を発揮できるデジタルATCの登場

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デジタルATC地上装置

保安器

インピーダンスボンドインピーダンスボンド

ATC論理部

保 安 器

・・・ ・・・

ATC-LAN

保安器

・・・

送受信器送受信器 送受信器

伝送制御部 伝送制御部

Gate Way

隣接機器室

Gate Way

隣接機器室駅PRC装置 電子連動装置 DS-ATC地上装置

諸設備

保安器

デジタル伝送技術を応用した新幹線ATCシステム(DS-ATC)の開発平成13年度 信号セミナー予稿 参考

コンピュータ制御の登場とその影響

コンピュータ制御の福音(デジタルATCの登場)Safety1.0

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Safety1.5以降におけるモノ造りの変化と国際規格

産業界を横断する安全の議論が成立。国際規格制定につながる

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コンピュータ制御の登場とその影響

•産業界独自の安全性技術はプログラムの論理に

•産業界横断の共通な方法論が登場• フェールセーフなコンピュータが必須

• 方法は多様、入念に配慮されたコンピュータはそれぞれ有効な実績

• ソフトウェアの安全性が重要• バグに対する2つの見解→バグのないソフトは可能/不可能

(Formal MethodとDesign Diversity)

• 安全性の共通尺度としてRISKの登場

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Safety1.x

列車保安制御システムの安全性技術指針(1996 鉄道総研)

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• ハードウェアもソフトウェアも安全性に配慮した方法論はある。

• その方法論が厳格に、漏れなく実行されているかが肝心。

• 方法論は共通化できる。

• 方法論が各プロセスできちんと貫徹されていることをチェックしよう。

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コンピュータ制御の登場とその影響

コンピュータ利用安全装置開発者の共通認識

• 国際規格(Functional safety IEC:61508(2000))が制定される。

Safety1.x

コンピュータによるFail Safeシステム構築手法の確立

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コンピュータ制御の登場とその影響

機能安全規格の持つ側面

国際規格IEC61508

ISO12100

・・・

調達による場合

官公庁

資材部調達の根拠として

開発導入の場合

研究所

メーカ

ユーザ企業安全性確保の手段

説明責任遂行時の根拠

WTO

認証機関

商売道具として利用

パターン化したい形骸化のおそれ

国家

貿易戦略として

数値・構造

Safety1.x

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既存信号方式とATACS

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23

列車位置

拠点装置

許可地点更新

車内表示

速度照査パターン

前方列車等による走行許可地点を更新

列車間隔に応じて限界速度が決まる

無線式列車制御方式

信号機

軌道回路

在来信号式

閉そく区間ごとに信号の現示に基づき列車の速度を制御

ATS

Y R

Safety1.x

ATACS(Advanced Train Administration and Communications System)

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高度化、巧緻化するシステムの現状

無線式列車制御のシステム概念(ATACS)

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退避完了56.600km地点

55km走行中

56.6地点通過して良し58kmまで走行許可

56.7km走行中

56.550kmまで走行許可

55.000km地点56.5km走行中退避完了

56.600km地点

55km走行中

56.6地点通過して良し58kmまで走行許可

56.7km走行中

56.550kmまで走行許可

55.000km地点56.5km走行中

踏切接近

踏切警報開始タイミング

停止パターン

警報開始

警報制御

遮断完了

・障害物無し

遮断完了で停止パターン消去

制御完了

踏切接近

踏切警報開始タイミング

停止パターン停止パターン

警報開始

警報制御

遮断完了

・障害物無し

遮断完了で停止パターン消去

制御完了

センター

Safety1.x

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まだまだ課題は多い労働災害による死亡者数の推移

労働災害による死亡者数は、昭和36年をピークとして長期的には減少

平成16年の労働災害による死亡者数は1,620人

最近10年の減少傾向をみると、全業種における死亡災害の減少は、建設業における死亡者数の減少によるところが大

平成16年は建設業における死亡者数が増加しており、その他の業種における死亡者数の減少等により全業種における労働災害による死亡者数は減少

その結果、労働災害による死亡者数は、7年連続で2,000人を下回る

平成16年は、これまでで最少であった平成15年(1,628人)と比較して8人前年比0.5%)減少

全産業

建設業

製造業

厚生労働省

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Fig. 1 Number of fatal and non-fatal injuries to employees of Japan

出典:死亡者数は厚生労働省安全課調べ

Fig. 2 Number of fatal and non-fatal injuries to employees of UK

出典: Health and Safety Executive (HSE)

労働災害における日本と英国の比較遅れている日本

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これからのシステム安全Safety2.0が高度な安全を実現

IoT技術に依拠したSafety2.0のシステムでは、必須の構成要素が相互に情報を交換し、高度な安全機能を実現する(本質制御の具体化)

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SafetyX.Xとは

人間の注意力に依拠して安全を確保:Safety0.0

人間のミスがあっても安全を機械がサポート:Safety1.0

固有のフェールセーフ技術が開花

産業界を横断するフェールセーフの原則は確立し得なかった

コンピュータ利用システムで安全を担保しつつ高度な機能を:Safety1.x

産業界を横断する安全性構築手法(機能安全)定着

認証によるプロセスの厳格な管理が安全を支える

IoT時代の新しい安全の在り方・モノ造りを: Safety2.0

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Safety0.0からSafety2.0まで

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Safety2.0の産業現場

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イラスト:楠本礼子相手の状態に応じた安全制御を

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イラスト:楠本礼子

Safety2.0時代の現場(IoTが可能とした本質制御による高度な列車制御)

相手の状態に応じた安全制御を

NTTコミュニケーションズと大林組軽井沢スキーバス転落事故 (2016.1)41人中15人死亡

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Safety2.0時代の鉄道(IoTが可能とした本質制御による高度な列車制御)

センター装置と列車、転てつ機、踏切が相互に情報交換し、低コストかつ

進化できる鉄道を実現

イラスト:楠本礼子

Safety2.0

構成する要素が相互に情報交換し安全制御を

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今日の列車制御システム構成

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PRC

CTC中央装置

連動装置表示制御盤

軌道回路

信号掛CTC駅装置

転てつ機 信号機 ATC/ATS

踏切

指令員

CTC駅装置

進路設定

CTC回線

駅構内踏切は、連動装置の条件を使用

指令員による手動での介入(進路設定)

中央

現場

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Safety2.0時代の列車制御アーキテクチャ

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軌道回路

列車追跡処理

列車

統合型処理部

論理層

ネットワーク層

↓制御指令(走行路)

端末装置

車上装置Level crossing踏切

端末層

運行管理装置

端末装置 端末装置

列車制御にかかわる処理を集約転てつ機、踏切を制御し、前方列車との関係から、走行可能な走行路を生成して、車上装置に伝達

転てつ機

↓制御指令(走行路)

↓制御指令(走行路)

システムに必須の各要素が相互に連結され、情報交換を行い、システムとしての機能を遂行

IoT時代のシステムアーキテクチャ

現場の処理装置は不要に→インタフェース簡略化・装置削減

→安全性・信頼性・保全性向上

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今日の列車制御システム構成

PRC

CTC中央装置

連動装置表示制御盤

軌道回路

信号掛CTC駅装置

転てつ機 信号機 ATC/ATS

踏切

指令員

CTC駅装置

進路設定

CTC回線

駅構内踏切は、連動装置の条件を使用

指令員による手動で

の介入(進路設定)

中央

現場

明日の列車制御システム構成

軌道回路

列車追跡処理

列車

統合型処理部

論理層

ネットワーク層

↓制御指令(走行路)

端末装置

車上装置Level crossing踏切

端末層

運行管理装置

端末装置 端末装置

列車制御にかかわる処理を集約転てつ機、踏切を制御し、前方列車との関係から、走行可能な走行路を生成して、車上装置に伝達

転てつ機

↓制御指令(走行路)

↓制御指令(走行路)

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Safety2.0の実現事例

ATP閉そくシステム

あちら こちら

いなかえき

あちら こちらあちら こちら

いなかえき交信エリア

駅でセンターと携帯により交信次駅までの許可をもらうと車内信号進行

走行パターン生成(ATC/ATS)

位置検知GPS+速発出力

ポイントもセンターから直接制御

プローブ機能付

交信エリア

GPS

携帯電話網

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Safety2.0

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Safety2.0の実現事例

ATP閉そくシステムの概念

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次駅到着までに,さらにもう一つ先

の駅までの走行許可を得ることで通過や、追越し運転を実現

先行列車が仮想閉塞境界を脱出したことを検知して出発許可:続行列車が走行可能

センター

仮想駅駅停車パターン制御により、過走防護のための踏切鳴動時分増加もなし

GPS

IPネットワーク

Safety2.0

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Safety2.0により基本技術の転換を未来を先導する、システム実現のキイワード「本質制御」

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• 本質的に必要な要素間の相互情報交換で、機能を実現するシステム• 制御のための中間処理部を削減(信頼性・安全性・保全性を同時に向上)

• 運転モードを複雑にしない

• 本質的な構成要素が実現するシンプルで高機能なシステム(代用システム不要)

• 災害に強いシステムへ

• 必須の構成要素しかないので,被災箇所が最小限に限定される

• 故障時にも代用システムでなくシステム機能縮減で異常に対応

• 保守形態の革新が

• 営業車が保守情報を収集するプローブ車両技術の展開、的確な保守でコスト半減

• 様々な運行が制約なく実現でき,高速高密度運転への移行が自由に

• 運転コストの削減が可能

Safety2.0

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Safety2.0の概念がもたらすもの• 要素同士が情報交換し最適な機能・安全を実現

• このシステムを創造するモノ造りが、契約関係であってはうまくいかない• 欧米のステークホルダが互いに牽制しあう構造は過去の遺物とすべき• モノ造り段階で、協働・協力関係が必要• ゴールを目指してそれぞれのステークホルダが協力

• 日本の社会システム• 事業者+メーカー+監督官庁+認証団体それぞれが敵対関係ではない→ゴールを目

指して知恵を結集

• 事故発生→事業者がまずは対応、

事業者、メーカー、第3者(学)、監督官庁、事故調査委員会が原因究明と経験の水

平展開

• 機能安全に代わる、モノ造りの新しい方法論を構築し国際展開を

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和の安全 協調の安全 日本発のモノ造り論を展開

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Safety2.0を推進するために

関連する動きと具体化の取り組み

セーフティグローバル推進機構IGSAPの創設

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技術導入支援

技術導入→建設向け→製造向け

先進技術(Safety AI)…コーディネート事業

人材育成

経営層向け資格 ロボット向けSSA/SA 機械安全向けSBA 製品安全向け資格

…教育事業

適合/認証

Safety 2.0適合 Safety 2.0認証 コンサルティング

ロイヤリティ事業

人材交流

仲間作り フォーラム

コミュニティ事業

Safety 2.0ソリューション

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事業化の準備:プラットフォーム事業として整理

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セーフティグローバル推進機構The Institute of Global Safety Promotion:IGSAP<目的>

本法人は、ISO/IEC Guide 51 に規定する製品、プロセス、サービス、システムの安全性を対象としたリスクアセスメントをベースとする安全要員認証(以下安全要員認証)スキームを構築するとともに、その運営、促進を通じて、安全技術の振興、産業安全の確保及び生産性向上を図り、もって我が国経済及び世界経済の発展に寄与することを目的とする。

<活動内容>リスクアセスメントをベースとする安全のための要員認証に関して以下の諸活動を行なっていきます。

① 安全要員認証に関する規格作成及び要員認証制度の企画、提案活動② 安全要員認証に関する制度の開発、実施、運営及び普及活動③ 安全要員認証に関する研究開発及び普及活動④ 安全要員認証の利用企業振興のための諸活動⑤ 安全要員認証制度の国際普及活動⑥ 安全に関する講習等の教育活動⑦ 安全に関する研究会、情報交換会等の啓発活動⑧ 安全に関する表彰活動⑨ その他、本法人の目的を達成するために必要な事業及びこれに関連する事業

<役員>会長:向殿政男(明治大学) 、理事:藤田俊弘(日本認証) 、小平紀生(日本ロボット工業会) 、笠井浩(日本電気制御機器工業会) 、梶屋俊幸(IECEE認証管理委員会) 、安達功(日経BP社) 、有山正彦(日本認証) 、監事:高岡弘幸(中央労働災害防止協会)42

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Safety 2.0の現場への普及をめざして

■生産ラインへの展開を目指し、「インテリジェントセーフティ研究会」(委員長:小平紀生 日本ロボット工業会 システムエンジニアリング部会長)を発足(2016夏)。新概念「インテリジェントセーフティ」を構築

■ 建設現場への展開を目指し、「Safety 2.0-Construction研究会」(委員長:梅崎重夫 労働安全衛生総合研究所 研究推進・国際センター長)を発足(2016夏)。有料(NIPPO、住友建機)で展開新概念「 Safety 2.0-Construction 」を構築

2016年11月2日開催のシンポジウム「協調安全がもたらす生産現場革命」で発表。インテリジェントセーフティ、Safety 2.0-Construction共に、約8割の来場者から支持を得た

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会員( 2017年4月1日現在)・法人正会員 日経BP

日本認証・個人正会員 4名・個人賛助会員 864名

会長 向殿政男明治大学 名誉教授

注)組織を順次拡張

総会

理事会

セーフティエグゼクティブ員会

要員認証委員会事務局

向殿安全賞表彰審査委員会

建設委員会

ロボット委員会

SA協議会 ○○協議会

協議会は、各分野別の研究、相互の情報交換や啓発活動を目的とする自主活動組織として設置されます。現在、SA(セーフティアセッサ)資格者の自主活動組織としてSA協議会(2008年から活動)が設置されてます。

IGSAP支援体制 ~組織体制~

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■安全経営フォーラムの設置・対象は、経営者層、上級管理者層

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★自ら率先して安全に取り組む経営者のコミュニティ●経営者同士/異業種間の情報交換●安全経営企業として企業価値の向上●国内外の最新安全情報の入手●安全に関する各種サービスの享受

★特典(◎ベーシックプラン、◎+○トータルプラン)◎安全コミットメント掲載(ZAFとの連動?)◎基調講演/経営者・異業種交流懇親会(年2回)◎SE資格取得※グループ討議(◎年1回、○年2回)○国際安全シンポジウム招待(年1回)○企業訪問/グループ討議(年1回)○安全記事配信

★オプション・安全人材育成プログラム・e-ラーニングによる講習・Safety 2.0登録・技術指導

IGSAP賛助会員IGSAP非会員

人材交流の場としてコミュニティを組織

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IGSAP支援体制 ~人材育成~

・ 主に経営/管理向けに、安全を、戦略的かつ大局的な見地、グローバルな視点から企業活動に昇華できる人材を育成。資格認定制度を計画。

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~Safety 2.0適合認定~

・Safety 2.0の技術要件等に適合した製品やシステムに対し、「Safety 2.0適合」の認定制度を計画。新しい安全を付加価値に、貴社のビジネス拡大。

47© Masao Mukaidono

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Safety2.0適合審査登録制度

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Safety2.0適合審査登録制度

製品単独ではなく、人、モノ、環境などがつながった(Safety 2.0の技術的定義に適合した)システムに適合マークを付与し、Safety 2.0の普及促進を図る

レベル1、2、3の3段階で展開。2017年秋、レベル1からスタート。既に、F社(建設向けITシステム)、N社(建機向けITシステム)、A社(遠隔医療向けITシステム)が適合申請希望

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IGSAP支援体制 ~技術導入~

・安全の専門家(IGSAP、労働安全衛生総合研究所など)によるチェック・アドバイスを通し、人とロボットが協調するSafty 2.0導入を支援・研究・開発の成果をシンポジウムなどで発表

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協働ロボットの代表例である、ファナックの「CR-35iA」。可搬質量が35kgと他の協働ロボットに比べて飛び抜けて大きい。従来の産業用ロボットに自社開発した力覚センサーを搭載し、重可搬と安全性の両立を実現した。写真は展示会で行われた、タイヤ搬送のデモンストレーションの様子。

(『日経ものづくり』より)

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CeBIT2017 2017年3月20日~24日、ハノーバーの国際見本市会場ドイツメッセで開催 世界から3,000を超える出展者、20万人を超える参加者が集う 日本はパートナーカントリーを務める 安倍首相とメルケル独首相も来場し、ジャパン・パビリオンに出展した118の日本の企業・団体がデジタル技術を活用した多様な製品やサービスを展示

ドイツのメルケル首相談 ドイツ政府は個人の能力を開花させ、企業の規模を問わず多数のプレーヤーが活躍できるデジタル化社会に向けた取り組みを行っていく

ドイツは新技術へのオープンさを日本から見習うべきであること 共通の価値観を有する日本とともに新技術の規制策定などで協力していく

世界最大級の国際情報通信技術見本市 CeBIT 2017

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第四次産業革命の推進

第四次産業革命とは、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、ロボット、

AI(人工知能)などを活用した技術革新。

経済産業省は、「この技術革新を的確に捉え、これをリードするべく大胆に

経済社会システムを変革することこそが、我が国が新たな成長フェーズに

移行するための鍵となる」と、積極推進(ソサイェテイ5.0)。

2015年3月、日独首脳会談でIoT/インダストリー4.0に関する協力の推進で

合意。

2017年3月、世耕大臣が第四次産業革命に関する日独協力の枠組み「ハ

ノーバー宣言」に署名。

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第四次産業革命の推進

経済産業省資料より抜粋

●人と機械が協調するための安全の概念が未構築。→製造現場では、人と機械を隔離して安全を確保してきた。

●相互の関わり合いの中から生まれる個人の知恵・創意が生かされない現場。→製造現場では、契約において作業内容が定められてしまう方向にある。

しかし現実は…

日独協力の中で日本の役割とは…

人と機会が対立するのではなく、強調する新しいデジタル社会を目指す。 わが国の強み(臨機応変な課題解決能力、継続的カイゼン活動)は現場にあり。新しい技術により、個人の知恵・相違をさらに引き出し、新しい人間本位の産業社会を実現。

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未来安全構想~事業加速に向けてパートナーであるセーフティグローバル推進機構やSafety 2.0への認知度を高め、マネージメント層の理解を醸成するために「未来安全構想」を提案■目的・第四次産業革命の推進・生産性の向上や働き方改革の推進・2020に向けて安全・安心社会の構築

■8つの提言1. 安全はトップダウンで推進2. 安全はコストではなく投資3. 安全人材に投資4. 最新安全技術に投資 ⇔ Safety 2.05. 社会が安全を正しく評価6. 安全は、国、企業、個人の全体で構築7. 安全は俯瞰的に、総合的に観る8. 事故情報・リスク情報は、社会の共有財産であり、社会で共有 56

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リスク

提言内容

安全投資

投資対効果適正評価

株価上昇

人材育成Safety 0.0Safety 1.0Safety 2.0Safety AI

第四次産業革命→イノベーション

企業力底上げ→生産性向上→働き方改革

新リスク低減

安全安心ファンド安全経営ランキング

業績アップイメージアップ

①安全はトップダウンで推進②安全はコストではなく投資③安全人材に投資④最新安全技術に投資

⑤社会が安全を正しく評価⑥安全は、国、企業、個人の全体で構築⑦安全は俯瞰的に、総合的に観る⑧事故情報は、社会の共有財産

⑤⑥⑧ ②

①③④⑦

未来安全構想

~事業本格化に向けて<未来安全構想と企業活動>未来安全構想は企業活動を活発化

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リスク

提言内容

安全投資

投資対効果適正評価

株価上昇

人材育成Safety 0.0Safety 1.0Safety 2.0Safety AI

第四次産業革命→イノベーション

企業力底上げ→生産性向上→働き方改革

新リスク低減

安全安心ファンド安全ランキング

業績アップイメージアップ

⑤⑥⑧ ②

①③④⑦

★:日経BP事業

★コーディネート事業→Safety 2.0導入支援

★ロイヤリティ事業→Safety 2.0適合

★教育事業→e-ラーニング

★コミュニティ事業→SEフォーラム

→出版

→シンポジウム

★相談指導→コンサル

ティング

①安全はトップダウンで推進②安全はコストではなく投資③安全人材に投資④最新安全技術に投資

⑤社会が安全を正しく評価⑥安全は、国、企業、個人の全体で構築⑦安全は俯瞰的に、総合的に観る⑧事故情報は、社会の共有財産

未来安全構想

~事業本格化に向けて<未来安全構想と日経BPの事業>日経BPは、未来安全構想の観点から企業活動を支援・応援していく

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IoT時代の新しい安全「Safety2.0」の全貌

日本大学特任教授 工学博士 中村英夫

終り

ET2017 独立行政法人 情報処理推進機構SEC先端技術入門ゼミ

IPA/SEC IoTシステム安全性向上技術WG委員