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※詳細は別紙のとおり 平成 25 年度 個別労働紛争解決制度の施行状況について ~「いじめ・嫌がらせ」の相談が急増し、トップに!~ 東京労働局(局長 西岸正人)では、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基 づき、都内 20 ヵ所(注1)の総合労働相談コーナーを基点とした個別労働紛争解決援助サー ビスを行っています。 この制度は、民事上の労使紛争について話し合い等により早期解決を図ることを目的とし ているものですが、今般、平成25年度における実施状況を取りまとめたのでお知らせします。 当労働局では、複雑・困難化してきている個別労働紛争について、裁判外紛争解決制度と しての役割を果たすため、引き続き本制度の周知に努めるとともに、懇切丁寧な相談等に取 り組んでまいります。 《東京労働局における平成 25 年度個別労働紛争解決制度の実施概要》 【相談、助言・指導、あっせん件数】 総合労働相談件数 114,797件(前年度比 0.1%減) うち民事上の個別労働紛争相談件数 26,869件( 3.6%増) 労働局長による助言・指導の申出受付件数 644件( 1.1%減) 紛争調整委員会によるあっせん申請受理件数 1,228件( 10.0%減) 【平成25年度の特徴】 ➣ 相談、助言・指導、あっせんのいずれについても解雇に関するものが減少し、いじめ・嫌 がらせに関するものが増加。特に相談では、いじめ・嫌がらせが初めて一番多くなった。 ➣ 総合労働相談件数が前年度比0.1%減少とほぼ横ばいとなる中、民事上の個別労働 紛争相談件数は、前年度比3.6%増加。 ➣ 労働局長による助言・指導の件数は、前年度比1.1%減少したが、なお、高止まりの 状況。 ➣ 紛争調整委員会によるあっせんの申請は、解雇に関するものを中心に10%減少。あっ せんによる解決率は 7 割。 注1:平成 26 年 3 月 28 日をもって新宿南総合労働相談コーナーは廃止となりました平成26年6月4日(水) 東京労働局総務部企画室 金 田 文 人 統括労働紛争調整官 柴 田 昌 志 03-3512-1609 夜間直通 03-3512-1535

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※詳細は別紙のとおり

平成 25 年度 個別労働紛争解決制度の施行状況について

~「いじめ・嫌がらせ」の相談が急増し、トップに!~ 東京労働局(局長 西岸正人)では、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基

づき、都内 20 ヵ所(注1)の総合労働相談コーナーを基点とした個別労働紛争解決援助サー

ビスを行っています。

この制度は、民事上の労使紛争について話し合い等により早期解決を図ることを目的とし

ているものですが、今般、平成 25 年度における実施状況を取りまとめたのでお知らせします。

当労働局では、複雑・困難化してきている個別労働紛争について、裁判外紛争解決制度と

しての役割を果たすため、引き続き本制度の周知に努めるとともに、懇切丁寧な相談等に取

り組んでまいります。

《東京労働局における平成 25 年度個別労働紛争解決制度の実施概要》

【相談、助言・指導、あっせん件数】

○総合労働相談件数 114,797件(前年度比 0.1%減)

うち民事上の個別労働紛争相談件数 26,869件( 同 3.6%増)

○労働局長による助言・指導の申出受付件数 644件( 同 1.1%減)

○紛争調整委員会によるあっせん申請受理件数 1,228件( 同 10.0%減)

【平成25年度の特徴】

➣ 相談、助言・指導、あっせんのいずれについても解雇に関するものが減少し、いじめ・嫌

がらせに関するものが増加。特に相談では、いじめ・嫌がらせが初めて一番多くなった。

➣ 総合労働相談件数が前年度比0.1%減少とほぼ横ばいとなる中、民事上の個別労働

紛争相談件数は、前年度比3.6%増加。

➣ 労働局長による助言・指導の件数は、前年度比1.1%減少したが、なお、高止まりの

状況。

➣ 紛争調整委員会によるあっせんの申請は、解雇に関するものを中心に10%減少。あっ

せんによる解決率は 7 割。

注1:平成26年3月28日をもって新宿南総合労働相談コーナーは廃止となりました。

厚 生 労 働 省

東 京 労 働 局 発 表

平成26年6月4日(水)

東京労働局総務部企画室 室 長

金 田 文 人

統括労働紛争調整官

柴 田 昌 志

電 話 03-3512-1609

夜間直通 03-3512-1535

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総合労働相談コーナーにおける相談応対風景

1.相談件数

別紙

平成 25 年度個別労働紛争解決制度施行状況

平成25年度において、都内21か所の総合労働相談コーナー(前掲注1)に寄せら

れた相談件数は、114,797件で前年度に比べ0.1%減少した。

これら総合労働相談件数のうち労働基準法等の問題とならない民事上の個別労働

紛争に関する相談は、26,869件で23.4%を占めている。

個別労働紛争相談全体に占める「いじめ・嫌がらせ」に関する相談の割合が拡

大しているなど、近年相談内容が複雑困難化の度を増してきていることから、東

京労働局総合労働相談コーナーでは、平成24年度から、特に困難な事案に対応

する総合労働相談員を配置するなど、相談体制の充実を図っている。

【個別労働紛争相談の内容】

○ いじめ・嫌がらせ 22.3%

○ 解雇 18.7%

○ 労働条件の引き下げ 11.7%

○ 退職勧奨 10.1%

○ 雇止め 7.0%

○ その他 30.2%

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2.労働局長による助言・指導及び紛争調整委員会によるあっせん

相談によっても紛争の自主的解決に至らなかった事案については、民事上の個別

労働紛争の解決を図るための裁判外紛争処理制度として、

(1)東京労働局長による助言・指導

(2)東京紛争調整委員会によるあっせん

を運用しているところであるが、各制度の利用状況は以下のとおり。

助言・指導及びあっせんの具体的な事例は参考資料3のとおり。

(1)東京労働局長による助言・指導の申出 644件(前年度比1.1%減)

【申出の内容(上位抜粋)】

○ いじめ・嫌がらせ 146件(22.7%)

○ 雇止め 91件(14.1%)

○ 解雇 81件(12.6%)

○ 労働条件引下げ 81件(12.6%)

○ 退職勧奨 59件 (9.2%)

➣ 平成25年度中に、助言・指導を実施したものは656件(前年度の繰越

し分を処理したものを含む。)。

(2)東京紛争調整委員会によるあっせんの申請1,228件(前年度比10.0%減)

【申出の内容(上位抜粋)】

○ 解雇 350件(28.5%)

○ いじめ・嫌がらせ 288件(23.5%)

○ 労働条件引下げ 187件(15.2%)

○ 雇止め 135件(11.0%)

➣ あっせん申請件数中、実際にあっせんを実施したもの(相手方があっせんに

参加したもの)は744件。

➣ あっせんを実施した結果、当事者間の合意が成立したものは524件。

(合意成立/あっせん実施=70.4%)

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0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度

717626

484 520

651 644

1,840

1,702

1,2031,381 1,365 1,228

図2 助言・指導及びあっせん件数の推移

助言・指導の申出件数 あっせん申請受理件数

個別労働紛争解決制度利用状況の推移(参考資料1)

平成20年度合計 138,219 ( 4.3% ) 25,121 ( 25.8% ) 717 ( 28.0% ) 1,840 ( 28.7% )

平成21年度合計 130,550 ( -5.5% ) 29,107 ( 15.9% ) 626 ( -12.7% ) 1,702 ( -7.5% )

平成22年度合計 129,317 ( -0.9% ) 29,965 ( 2.9% ) 484 ( -22.7% ) 1,203 ( -29.3% )

平成23年度合計 128,401 ( -0.7% ) 28,563 ( -4.7% ) 520 ( 7.4% ) 1,381 ( 14.8% )

平成24年度合計 114,958 ( -10.5% ) 25,942 ( -9.2% ) 651 ( 25.2% ) 1,365 ( -1.2% )

平成25年度合計 114,797 ( -0.1% ) 26,869 ( 3.6% ) 644 ( -1.1% ) 1,228 ( -10.0% )

※注:(  )内は前年度比

表1 総合労働相談件数等の推移

(単位:件)

総合労働相談件数

個別労働紛争相談件数

労働局長による

助言・指導の申出件数

紛争調整委員会による

あっせん申請件数

25,121

29,107 29,965 28,56325,942 26,869

138,219

130,550 129,317128,401

114,958 114,797

100,000

105,000

110,000

115,000

120,000

125,000

130,000

135,000

140,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度

総合労働相談件数

個別労働紛争相談件数

図1 相談件数の推移

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平成 25 年度の個別労働紛争解決制度の利用状況 (参考資料2)

図1 相談件数 (前年度比較)

総合労働相談、個別労働紛争相談ともほぼ横ばい

図2 総合労働相談の区分

25,942

114,958

26,869

114,797

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000

個別労働紛争相談件数

総合労働相談件数 平成25年度

平成24年度

法令・制度の内容等

に係る問い合わせ

71,894件

(57.1%)

個別労働関係紛争

等に係る相談

26,869件

(21.3%)

労働基準法等に係る

法違反の疑いのある

相談

21,118件

(16.8%)

その他

6,113件

(4.9%)

総合労働相談の区分

125,994

総件数125,994件(複数選択項目あり)

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図3 個別労働紛争相談の内容 (平成 25 年度)

5,894件

(18.7%)

3,674件

(11.7%) 3,180件

(10.1%)

1,116件

(3.5%)258件

(0.8%)

2,216件

(7.0%) 1,760件

(5.6%)

2,359件

(7.5%)

327件

(1.0%)

7,036件

(22.3%)

1,120件

(3.6%)

2,592件

(8.2%)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

解雇

労働条件の引き下げ

退職勧奨

出向・配置転換

採用内定取消

雇止め

自己都合退職

その他の労働条件

募集・採用等

いじめ・嫌がらせ

賠償

その他

① ② ③

①労働条件に関するもの

②募集・採用等に関するもの

③その他(職場のいじめ等)

総件数 31,532件(複数選択項目あり)

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図4 個別労働紛争相談の内容の推移(平成20~25年度)※注: 1 つの案件に複数の内容を含む場合あり

図5 個別労働紛争相談の内容(前年度比較)

「いじめ・嫌がらせ」の件数がトップになる。

図6 個別労働紛争相談における労働者の種別(前年度比較)

非正規労働者の割合が増加

3,937

9,360

5,894

7,036

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

解雇

労働条件の引下げ

出向・

配置転換

退職勧奨

懲戒処分

採用内定取消

雇止め

昇給・昇格

自己都合退職

その他の労働条件

募集・

採用等

労働契約の承継

いじめ・

嫌がらせ

人事評価

賠償

その他

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

平成25年度

「解雇」は

減少傾向

「いじめ・嫌がらせ」は、「解雇」を抜いてトップ

2,285

619

4,074

1,370

3,535

14,059

2,219

668

4,098

1,817

4,024

14,043

0 5,000 10,000 15,000

不明・未確認

その他

期間契約社員

派遣労働者

パート・アルバイト

正社員

平成25年度

平成24年度

5,835

1,431

2,215

234

3,175

1,059

3,719

6,255

7,036

1,760

2,216

258

3,180

1,116

3,674

5,894

0 2,000 4,000 6,000 8,000

いじめ・嫌がらせ

自己都合退職

雇止め

採用内定取消

退職勧奨

出向・配置転換

労働条件引き下げ

解雇(普通・整理・懲戒)

平成25年度

平成24年度

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図 7 東京労働局長による助言・指導の内容

〔詳細区分〕

(1) 助言・指導の申出の受付件数 644件

≪紛争の内容≫

普通解雇 68件

整理解雇 6件 解雇 計81件

懲戒解雇 7件

いじめ・嫌がらせ 146件

その他の労働条件 55件

労働条件の引下げ 81件

退職勧奨 59件

雇止め 91件

出向・配置転換 58件

自己都合退職 7件

その他 66件

(2) 助言・指導の手続を終了した件数 656件

≪終了の区分≫

助言を実施 563件

取下げ 83件

打切り(助言・指導すべきと判断されないもの) 3件

制度対象外事案・その他 7件

110件

(16.9%)

102件

(15.7%)

42件

(6.5%)

92件

(14.1%)

62件

(9.5%)

72件

(11.1%)

52件

(8.0%)

10件

(1.5%)

109件

(16.7%)81件

(12.6%)

146件

(22.7%)

55件

(8.5%)

81件

(12.6%)

59件

(9.2%)

91件

(14.1%)

58件

(9.0%)

7件

(1.1%)

66件

(10.2%)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

(普通・整理・懲戒)

いじめ・嫌がらせ

その他の労働条件

労働条件の引下げ

退職勧奨

雇止め

出向・配置転換

自己都合退職

その他

件24年度 25年度

24年度総件数651件

25年度総件数644件

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図8 東京紛争調整委員会によるあっせん申請の内容

〔詳細区分〕

(1) あっせん申請の受理件数 1,228件

≪紛争の内容≫

普通解雇 322件

整理解雇 14件 解雇 計350件

懲戒解雇 14件

いじめ・嫌がらせ 288件

その他の労働条件 70件

労働条件の引下げ 187件

退職勧奨 104件

雇止め 135件

出向・配置転換 27件

採用内定取消 42件

その他 25件

(2)あっせん手続を終了した件数 1,224件 (前年度繰り越し分含む)

あっせん不参加の件数 419件

あっせん取下げ等の件数 61件

実際にあっせんを実施した件数 744件

≪終了の区分≫

当事者間の合意が成立したもの 524件

不参加・合意不成立により打切りとなったもの 649件

申請の取り下げ 51件

450件

(33.0%)

230件

(16.8%)

93件

(6.8%)

121件

(8.9%)

158件

(11.6%)155件

(11.4%)

40件

(2.9%)

45件

(3.3%)

73件

(5.3%)

350件

(28.5%)288件

(23.5%)

70件

(5.7%)

187件

(15.2%)

104件

(8.5%)

135件

(11.0%)

27件

(2.2%)

42件

(3.4%) 25件

(2.0%)

0

100

200

300

400

500

(普通・整理・懲戒)

いじめ・嫌がらせ

その他の労働条件

労働条件の引下げ

退職勧奨

雇止め

出向・配置転換

採用内定取消

その他

24年度 25年度

24年度総件数1,365件

25年度総件数1,228件

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東京労働局長による助言・指導の事例 (参考資料3)

事例1 職場復帰及びパワーハラスメントに対する謝罪を求めたケース

(事案の概要)

■申出人:女性労働者A

所属長から日常的に恫喝を受けており、精神的な疲労が蓄積していた過程で、ある日、同所属長から

全体会議の場で面罵されたことをきっかけに抑うつ状態となり、出社することができなくなった。6箇

月後体調は回復し、自分としては一日も早く復職したいと考えている。復職に当たり、事前に自分に対

するパワーハラスメントについて謝罪を求めるとともに、パワーハラスメントが再発しないよう社内環

境の改善を求める。

□会社

申出人が抑うつ状態となった原因とする上司のパワーハラスメントはなかったものと認識している。

(助言・指導)労働局 ⇒ 会社

パワーハラスメントについて、申出内容から全くなかったものと結論付けるには疑念が残る。再度、

社内調査を行うこと。労働契約上の責務として、使用者には安全配慮義務が課せられていることを指摘。

(結果)

改めてパワーハラスメントの有無を調査した結果、その事実を認めた。申出人に対しては、復職先を

決定し、パワーハラスメントに対する謝罪文を送付するとともに、加害者の所属長に対して然るべき処

分を行うこととして解決。

事例2 労働条件引下げのケース

(事案の概要)

■申出人:男性労働者B

本年 3 月申出人は懲戒処分を受けた。これに伴い、会社担当者から申出人に対して、「業務手当(45,000

円)を支給しないこととするが、徐々に減額して最終的に 0 円とする、いわゆる経過措置をとる。」と

説明された。しかし、本年 4 月の給与では経過措置が取られることなく業務手当は全く支給されなかっ

たので、会社説明のとおり経過措置をとって段階的に業務手当を減額するように指導して欲しい。

□会社

業務手当が 4 月から支払われなくなったのは、申出人が懲戒処分として降格されたからである。担当

者が減額に伴う経過措置をとる旨説明したらしいが、もとより、処分に係る経過措置は就業規則上規定

していない。

(助言・指導)労働局 ⇒ 会社

会社の就業規則上、降格により、業務手当が支給されなくなることは明記されていない。し

たがって、業務手当を支給しないこととすることは根拠に欠けることから、これまでどおり支

給してはいかがかと助言。

(結果)

助言・指導に従って、これまでどおり支給することとして解決。

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東京紛争調整委員会によるあっせんの事例

事例1 労働条件をめぐる紛争

(紛争の概要)

■申請人:女性労働者C

面接時に、社長からとりあえず契約社員として採用し、6 か月後には正社員に採用すると言われてい

た。その際、正社員は、夏と冬のボーナスが支給されるとの説明もあった。

ところが、6 か月経過しても正社員としてもらえなかったので、社長に抗議したところ、経営環境が

悪化したので、正社員を抱えることができない。また、賞与を支払うこともできないと言われた。

このため、約束を守ってくれない会社を信用できず、退職することとした。退職を選択せざるを得な

くなったことに対する損害賠償・精神的苦痛に対して、6 か月分の賃金相当額の支払いを求める。

□会社

社長がそのような発言をしたことは事実だが、6 か月間で経営環境が悪化することは想定し

ていなかった。申請人を正社員とするのは難しい。

(あっせんのポイント)

あっせん委員からは、口頭であっても、約束した以上は、正社員として採用しないことは契

約不履行となり、申請人に期待を生じさせた会社側に責任があることを指摘。正社員とするこ

とができないのであれば、金銭解決を行うことを促した。

(結果)

あっせん委員の調整により、4 か月分の賃金相当額を支払うことで和解・合意した。

事例2 整理解雇をめぐる紛争

(紛争の概要)

■申請人:男性労働者D

申請人は、申請人が所属する部門のリストラを理由に会社から整理解雇された。会社は、整理解雇の

通知に際して、退職金の加算額を提示したが、納得できる金額ではなかった。会社の中間決算は黒字で

あり、整理解雇の必要性があったものとは考えられない。

会社に対しては、退職後の生活保障と不合理な整理解雇の対象とされたことに対する精神的損害に対

する補償として、定年までの 36か月分の賃金相当額を退職金に加算して支払うことを求めたい。

□会社

会社の中間決算は、かろうじて黒字となったものの、期末は赤字になることがほぼ確実であ

る。整理解雇の通知の際に、最終案として提示した加算額の金額は 16 か月分であり、会社とし

て最大限譲歩したものである。

(あっせんのポイント)

あっせん委員から、会社側に整理解雇の要件について説明の上、解決のために退職金の加算

を促した。

(結果)

会社側はあっせん委員の意見を踏まえ、基本給 25 か月分相当額を加算して支払うことを提案し、申

請人もこれを受け入れ双方合意した。

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(参 考)

※ 事案によっては、助言・指導からあっせんに移行することがあります。

企 業

総合労働相談コーナー

労働問題に関する相談、情報提供のワンストップサービス

紛争解決援助の対象とすべき事案

都道府県労働局長による

助言・指導

紛争調整委員会

あっせん委員(学識経

験者)によるあっせん

・あっせん案の提示

連携

労働局における個別労働紛争解決システム

事業主 労働者 紛争

自主的解決

都道府県労働局

◎都道府県

(労政主管事務所、

労働委員会など)

◎裁判所

◎法テラス

(日本司法支援

センター)

◎労使団体

における

相談窓口など

労働基準監督署、公共職業安定所、雇用均等室

法違反に対する指導・監督等

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○ 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の概要

1 趣旨

企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての

個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)が増加してい

ることにかんがみ、これらの紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府

県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の創設等により総合的な個

別労働紛争解決システムの整備を図る。

2 概要

(1) 紛争の自主的解決

個別労働関係紛争が生じたときは、紛争の当事者は、自主的な解決を図るように努め

なければならないものとする。

(2) 都道府県労働局長による情報提供、相談等

都道府県労働局長は、個別労働関係紛争の未然防止及び自主的な解決の促進のため、

労働者又は事業主に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。

(3) 都道府県労働局長による助言及び指導

都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し、当事者の双方又は一方からその解決

につき援助を求められた場合には、当事者に対し、必要な助言又は指導をすることがで

きるものとする。

(4) 紛争調整委員会によるあっせん

イ 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争について、当事者の双方又は一方からあっ

せんの申請があった場合において、当該紛争の解決のために必要があると認めるとき

は、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。

ロ 都道府県労働局に、紛争調整委員会を置くものとする。

ハ あっせん委員は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即し

て事件が解決されるように努めなければならないものとする。

ニ あっせん委員は、当事者等から意見を聴取し、事件の解決に必要なあっせん案を作

成し、これを当事者に提示することができるものとする。

(5) 地方公共団体の施策等

地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、労働者又は事業主に対し、

情報提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとし、国は、

地方公共団体の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとす

る。

また、当該施策として都道府県労働委員会が行う場合には、中央労働委員会が、当該

都道府県労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができるものとする。

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