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IN FLAME S モダンなデ メタルと 的な民族音楽の融合 にヨ パを中心にチャ トを騒が 固たる地位を築いてきた 彼ら ここ日本 Merlin Sutter(Dr) インタビュアー:ムラオカ Translator:Yuga -はじめまして。4 枚目のフル・アルバム『Helvetios』完成おめでとうございます。 完成した今の気持ちを教えてください。 ありがとう!素晴らしい気分だよ。ちょうど数日前から Helvetios World Tour がブラジルから始まったところなんだけど、やっぱりツアー生活はいいね!特に 今回みたいにすごく自信のあるアルバムの時なんかは最高だよ。 -今作はコンセプト・アルバムになっていますね。どのような内容のストーリー なのか詳しく教えてもらえますか?また“Helvetios”というタイトルの意味を教 えてください。 『Helvetios』は紀元前7850 年のガリア戦争の話なんだ。ゲルマン系スエビ族 とシーザー下のローマ人との間の圧政に苦しんだヘルベティア族(当時のスイス人)が 脱走を試み、アレシアの地で血みどろの戦いの中、敗れてしまったんだ。そしてそれ らの歴史的事件の記録で一番重要なものが、シーザーの書いた『ガリア戦記』に当た るんだけど、それは戦いの勝者が残した記述として知られている。彼の自分を良く見 せたいという欲求から、それらの記述の大部分の信憑性が疑われているんだ。だから 俺たちは、ヘルベティア族側の視点からこのストーリーを伝えようとしているんだ。 -QUEENSRYCHE の『Operation:Mindcrime』や、最近ですと NIGHTWISH の『Imaginaerum』など無数のコンセプト・アルバムがリリースされていますが、 あなたがたが素晴らしいと評価している作品を教えてください。 僕の個人的なお気に入りは DREAM THEATER の『Scenes From A Memory』 かな。一番好きなアルバムのひとつだよ。僕をプロフェッショナルに音楽をやろう という気持ちにさせたんだ。 -前作『Everything Remains』は世界的に有名なColin Richardsonをプロデュー スに迎えていましたが、今作はどなたがプロデュースに携わったのでしょうか? 前作で色々やってくれた Tommy Vetterli が、プロデュースやミキシングを担当 してくれたよ。しかもその選択は大正解だったよ! Tommy はとんでもなく素晴 らしい耳を持っているし、彼との仕事は本当に完璧だったよ。これからもコラボ レーションし続けられると嬉しいよ! -今作の制作において初めてチャレンジした試みがありましたら教えてください。 新しいチャレンジはある意味あったと言えるね。俺たちはアルバムごとにいつも音楽 面で、またスタイル面でさえ、大きなステップを踏んで来たんだ。だから今回もその ハードルを少し上げて、ミュージシャンにとってももっと満足できるような曲を書い たんだ。それに俺たちのサウンドに忠実でありながら、新たな影響も取り入れたよ。 -あなたがた ELUVEITIE は本国やドイツのチャートでは作品をリリースする度 に順位が上がってきていますね?かなり順調にステップアップしているのではな いでしょうか?また順調に成長してきていることで、今作でさらに結果を出さな ければとプレッシャーになることはありませんでしたか? 特にそんなことはないな、うん、ないね。リリースするごとにレベルアップする という自信があるからね。それにそれは前もってわざわざ心配するようなことじゃ ないよ。 -他のヴァイキング・メタル・バンドの多くがコミカルであったり伝統的なメタル・ サウンドだったりしますが、あなたがたは IN FLAMES などイエテボリ・サウン ドにも通じる非常にモダンなエクストリーム・メタルの要素を感じます。一部で は“NEW WAVE OF FOLK METAL”とも呼ばれているようですが、あなたが た自身では自分たちの音楽性をどう表現しますか? 君がその違いを聴き分けてくれて嬉しいよ。それに“NEW WAVE OF FOLK METAL”と呼ばれることは全然構わないな。俺たちの音楽は伝統的なケルト・ フォークやモダンなデス・メタルの両方からいつもインスパイアされてきたんだ。 でも俺たちは無宗教者ではないし、伝統的なメロディをモダンな楽器で真似しよ うとしているわけでもない。だから他の種類のフォーク音楽や無宗教主義バンド にインスパイアされたりはしていないんだ。フォーク・メタル・シーンに属して 満足している反面、自分たちだけのサウンドを作り出そうともしているんだよ。 -『Evocation I: The Arcane Dominion』ではフォークの要素が増幅し、メタル ーの >> GEKIROCK.COM の要素が減退、前作『Everything Remains (As It Never Was)』では逆にフォー ク色が減退しメタルの要素が復活と、過去 2 作でここまで対照的な作品になった のはなぜでしょうか? 『Evocation I』では俺たちは何か新しいことをしたいと思っていて、俺たちが多 才だってことやフォーク・ミュージックが俺たちにとってどれだけ大事かという ことを伝えられたらいいなと思っていたんだ。そして『Everything Remains』 がもっとラフなサウンドになったのはすごくナチュラルなことだと思うな、だっ て俺たちはちゃんとしたノイズを作ることも同じくらい大好きだからね! -今作では前作『Everything Remains (As It Never Was)』の方向性を保ちな がらフォークの要素が若干増幅したように感じたのですが、今回メタルとフォーク のバランスには気をつかったのではないでしょうか? 意図的にではないよ。純粋なアコースティック・アルバムを作りたかった 『Evocation I』以外のアルバムでは、俺たちは特にフォークとメタルのバランスを決めようとは したことがないんだ。自然に俺たちの頭に浮かんできたものをやるだけ。それに フォークの楽器はメタルの楽器と同じくらい大事だと思っているから、結果として 今君たちが聴いているような作品が生まれるんだ。 -ELUVEITIE の民族音楽的要素はスイス固有のものなのでしょうか?もしそうで したらスイスの伝統音楽について詳しく教えてもらえますか? スイスとは限らないかな。それよりもケルトのものだと思う。当時スイス人はヘ ルベティアと呼ばれていたんだけど、それはケルト民族の文化だったんだ。だか ら俺たちの知っている彼らの音楽は他のケルトの伝統的な音にすごく似ているん だよ、例えばフランスやアイルランドのフォーク・ミュージックとかね。 -アルバム・ジャケットですが、コンセプト・アルバムということもあり、叙情 的なものになっているかと思ったのですが、黒いバンド・ロゴと文様とアルバム・ タイトルだけのとてもシンプルなものになりましたね。シンプルなものにした理 由を教えてください。 実は今までのアルバムにもっと似た、他のバージョンのカヴァーを使おうとしてい たんだ。でもアルバム制作が終わりに近づいて来た頃、それをあまり気に入ってい ないってことに気付いてね。それで Chrigel がこのシンプルなバージョンを提案し たんだ。俺たちにとっても新しいものだったからみんなすぐに気に入ったよ。 8人の大所帯ですとメンバーの意見を1つにまとまるのも大変ではないでしょうか? そうだね!俺たちはとても厳しい民主的なプロセスを踏んで物事を決めるし、もち ろんみんながいつも同じ意見を持っているとは限らない。でも音楽面では結構セー フだよ。確かにみんなが自分独自のスタイルを曲に入れようとするけれど、結果的 には Chrigel がほとんどの曲を書くから最終決定権は彼にあるようなものさ。 -スイスのメタル・シーンは現状盛り上がっていますか?私としてはあなたがた と KROKUS 位しか思いつかないのですが。 スイスではすごく活発なメタル・シーンがあるよ、実際。国際的に成功している バンドというと確かに少ないけど、とても良いバンドが多いよ!例えば CORONER、SAMAEL、TRYPTIKON とかね。 スイスの“New Wave Of Folk Metal”バンド、ELUVEITIEによる5th アルバム。 8人組という大所帯から想像できる通り、非常に重厚でバラエ ティに富んだサウンドが壮大な雰囲気を生み出し、どの曲も異様なオーラ を放っている。フルート、バグパイプにハーディ・ガーディ(手回し式ヴァイ オリン)、フィドル(ヴァイオリン)などのフォークな要素をふんだんにちり ばめ、オリジナリティ溢れるヨーロピアンなサウンドを貫きながらも、ヘ ヴィでモダンなメロデス、メタル・スタイルのバンド・サウンドを根底に置 いている。そのため“フォーク・メタル=クサいサウンド”というイメージを 完全に払拭し、新たな音楽性を切り拓いてきたELUVEITIEの真骨頂とも 言える1枚に仕上がっている。Track.3 「Luxtos」、Track.8 「Neverland」、 Track.9 「ARose For Epona」などは、モダンなメタルを好む層も聴 いたら絶対にどっぷりハマるはず!フォーク・メタルに対するイメージが 固まってしまっている方にこそ聴いてみて頂きたい。米沢 彰 ELUVEITIE Helvetios 2012.2.22 ON SALE!! LABEL 日本コロムビア/ Incubator / Nuclear Blast Japan GENRE NEW WAVE OF FOLK METALMELODIC DEATH METAL FOR FANS OF IN FLAMESAMON AMARTH

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IN FLAMES的なモダンなデス・メタルと伝統的な民族音楽の融合―すでにヨーロッパを中心にチャートを騒がせ確固たる地位を築いてきた彼らの次のターゲットはここ日本!?

Merlin Sutter(Dr) インタビュアー:ムラオカ  Translator:Yuga

-はじめまして。4 枚目のフル・アルバム『Helvetios』完成おめでとうございます。完成した今の気持ちを教えてください。

ありがとう!素晴らしい気分だよ。ちょうど数日前から Helvetios World Tourがブラジルから始まったところなんだけど、やっぱりツアー生活はいいね!特に今回みたいにすごく自信のあるアルバムの時なんかは最高だよ。

-今作はコンセプト・アルバムになっていますね。どのような内容のストーリーなのか詳しく教えてもらえますか?また“Helvetios”というタイトルの意味を教えてください。

『Helvetios』は紀元前78年~50年のガリア戦争の話なんだ。ゲルマン系スエビ族とシーザー下のローマ人との間の圧政に苦しんだヘルベティア族(当時のスイス人)が脱走を試み、アレシアの地で血みどろの戦いの中、敗れてしまったんだ。そしてそれらの歴史的事件の記録で一番重要なものが、シーザーの書いた『ガリア戦記』に当たるんだけど、それは戦いの勝者が残した記述として知られている。彼の自分を良く見せたいという欲求から、それらの記述の大部分の信憑性が疑われているんだ。だから俺たちは、ヘルベティア族側の視点からこのストーリーを伝えようとしているんだ。 -QUEENSRYCHE の『Operation:Mindcrime』や、最近ですと NIGHTWISHの『Imaginaerum』など無数のコンセプト・アルバムがリリースされていますが、あなたがたが素晴らしいと評価している作品を教えてください。

僕の個人的なお気に入りは DREAM THEATER の『Scenes From A Memory』かな。一番好きなアルバムのひとつだよ。僕をプロフェッショナルに音楽をやろうという気持ちにさせたんだ。

-前作『Everything Remains』は世界的に有名なColin Richardsonをプロデュースに迎えていましたが、今作はどなたがプロデュースに携わったのでしょうか?

前作で色々やってくれた Tommy Vetterli が、プロデュースやミキシングを担当してくれたよ。しかもその選択は大正解だったよ! Tommy はとんでもなく素晴らしい耳を持っているし、彼との仕事は本当に完璧だったよ。これからもコラボレーションし続けられると嬉しいよ! -今作の制作において初めてチャレンジした試みがありましたら教えてください。

新しいチャレンジはある意味あったと言えるね。俺たちはアルバムごとにいつも音楽面で、またスタイル面でさえ、大きなステップを踏んで来たんだ。だから今回もそのハードルを少し上げて、ミュージシャンにとってももっと満足できるような曲を書いたんだ。それに俺たちのサウンドに忠実でありながら、新たな影響も取り入れたよ。

-あなたがた ELUVEITIE は本国やドイツのチャートでは作品をリリースする度に順位が上がってきていますね?かなり順調にステップアップしているのではないでしょうか?また順調に成長してきていることで、今作でさらに結果を出さなければとプレッシャーになることはありませんでしたか?

特にそんなことはないな、うん、ないね。リリースするごとにレベルアップするという自信があるからね。それにそれは前もってわざわざ心配するようなことじゃないよ。

-他のヴァイキング・メタル・バンドの多くがコミカルであったり伝統的なメタル・サウンドだったりしますが、あなたがたは IN FLAMES などイエテボリ・サウンドにも通じる非常にモダンなエクストリーム・メタルの要素を感じます。一部では“NEW WAVE OF FOLK METAL”とも呼ばれているようですが、あなたがた自身では自分たちの音楽性をどう表現しますか?

君がその違いを聴き分けてくれて嬉しいよ。それに“NEW WAVE OF FOLK METAL”と呼ばれることは全然構わないな。俺たちの音楽は伝統的なケルト・フォークやモダンなデス・メタルの両方からいつもインスパイアされてきたんだ。でも俺たちは無宗教者ではないし、伝統的なメロディをモダンな楽器で真似しようとしているわけでもない。だから他の種類のフォーク音楽や無宗教主義バンドにインスパイアされたりはしていないんだ。フォーク・メタル・シーンに属して満足している反面、自分たちだけのサウンドを作り出そうともしているんだよ。

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の要素が減退、前作『Everything Remains (As It Never Was)』では逆にフォーク色が減退しメタルの要素が復活と、過去 2 作でここまで対照的な作品になったのはなぜでしょうか?

『Evocation I』では俺たちは何か新しいことをしたいと思っていて、俺たちが多才だってことやフォーク・ミュージックが俺たちにとってどれだけ大事かということを伝えられたらいいなと思っていたんだ。そして『Everything Remains』がもっとラフなサウンドになったのはすごくナチュラルなことだと思うな、だって俺たちはちゃんとしたノイズを作ることも同じくらい大好きだからね! -今作では前作『Everything Remains (As It Never Was)』の方向性を保ちながらフォークの要素が若干増幅したように感じたのですが、今回メタルとフォークのバランスには気をつかったのではないでしょうか?

意図的にではないよ。純粋なアコースティック・アルバムを作りたかった 『Evocation I 』以外のアルバムでは、俺たちは特にフォークとメタルのバランスを決めようとはしたことがないんだ。自然に俺たちの頭に浮かんできたものをやるだけ。それにフォークの楽器はメタルの楽器と同じくらい大事だと思っているから、結果として今君たちが聴いているような作品が生まれるんだ。

-ELUVEITIE の民族音楽的要素はスイス固有のものなのでしょうか?もしそうでしたらスイスの伝統音楽について詳しく教えてもらえますか?

スイスとは限らないかな。それよりもケルトのものだと思う。当時スイス人はヘルベティアと呼ばれていたんだけど、それはケルト民族の文化だったんだ。だから俺たちの知っている彼らの音楽は他のケルトの伝統的な音にすごく似ているんだよ、例えばフランスやアイルランドのフォーク・ミュージックとかね。

-アルバム・ジャケットですが、コンセプト・アルバムということもあり、叙情的なものになっているかと思ったのですが、黒いバンド・ロゴと文様とアルバム・タイトルだけのとてもシンプルなものになりましたね。シンプルなものにした理由を教えてください。

実は今までのアルバムにもっと似た、他のバージョンのカヴァーを使おうとしていたんだ。でもアルバム制作が終わりに近づいて来た頃、それをあまり気に入っていないってことに気付いてね。それで Chrigel がこのシンプルなバージョンを提案したんだ。俺たちにとっても新しいものだったからみんなすぐに気に入ったよ。

-8人の大所帯ですとメンバーの意見を1つにまとまるのも大変ではないでしょうか?

そうだね!俺たちはとても厳しい民主的なプロセスを踏んで物事を決めるし、もちろんみんながいつも同じ意見を持っているとは限らない。でも音楽面では結構セーフだよ。確かにみんなが自分独自のスタイルを曲に入れようとするけれど、結果的には Chrigel がほとんどの曲を書くから最終決定権は彼にあるようなものさ。 -スイスのメタル・シーンは現状盛り上がっていますか?私としてはあなたがたと KROKUS 位しか思いつかないのですが。

スイスではすごく活発なメタル・シーンがあるよ、実際。国際的に成功しているバンドというと確かに少ないけど、とても良いバンドが多いよ!例えばCORONER、SAMAEL、TRYPTIKON とかね。

スイスの“New Wave Of Folk Metal”バンド、ELUVEITIEによる 5thアルバム。8人組という大所帯から想像できる通り、非常に重厚でバラエティに富んだサウンドが壮大な雰囲気を生み出し、どの曲も異様なオーラを放っている。フルート、バグパイプにハーディ・ガーディ(手回し式ヴァイオリン)、フィドル(ヴァイオリン)などのフォークな要素をふんだんにちりばめ、オリジナリティ溢れるヨーロピアンなサウンドを貫きながらも、ヘヴィでモダンなメロデス、メタル・スタイルのバンド・サウンドを根底に置いている。そのため“フォーク・メタル=クサいサウンド”というイメージを完全に払拭し、新たな音楽性を切り拓いてきたELUVEITIEの真骨頂とも言える1枚に仕上がっている。Track.3「Luxtos」、Track.8「Neverland」、Track.9「A Rose For Epona」などは、モダンなメタルを好む層も聴いたら絶対にどっぷりハマるはず!フォーク・メタルに対するイメージが固まってしまっている方にこそ聴いてみて頂きたい。米沢 彰

ELUVEITIEHelvetios2012.2.22 ON SALE !!

LABEL : 日本コロムビア/ Incubator/ Nuclear Blast JapanGENRE :NEW WAVE OF FOLK METAL, MELODIC DEATH METALFOR FANS OF :IN FLAMES,AMON AMARTH