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比

較

文

皐

研

究

日本の詩学 に向けて4守II苛

他(1 )

近1止の地口一一一「掛詞の詩学」序説............一...........一…川本

日オζ言百の白:Hilt 一........・…・・・一一・・・・・・・・・・・・・・・・・...一'ILJI・IJ「はかなき遊びたはぶれにつけても」

一一欽ことばの詩化過程と掛詞・・・・一一一・・・ー ツベタナ・クリステワ (32)

「ことは'j -j)~ r司I'Jになるとき

-ー尾形fι之介の詩作について・ー・…・・・・…..…...…・・・・・エリス俊子 (49)

デクノボーの詩学 ・ー・・・・・・・・…...................…一...一一一・・・・千葉 一幹 (66)

自ililiuliJ(.4 )

桂一(16)

[巻頭言] キャノン再考 と比較文学・・・・・………・一一………・・井上

。1:イiJとキ11;:fJ~者在fi!.の方氏

一一一ポール=ルイ・クーシューの自筆書仰jをめぐって・・・柴田

f <情緒〉をF<認識〉する倣石………・………ー………………鈴木

依子 (78)

敦子(97)

第七十六競

{言行.(113)

[書評]『西洋の夢幻能ーーーイェイツとパウンド.] (成恵卯11)一.......持凹季未子(122)

~.明治日本の詩と ij災 ~fl- -一一ア ジアの白人と 詩人』

(P-L.クー シュー若/金子美都子・柴田依子訳).......一前島 志保(126)

J(orean Literature in CultUI刀1Context 8nd Compelnltive

Perspective (Cho Dong-iJ) ・ー・・ー…・・…・…-一・・…・・-…大津

若 き日の島凹龍二先生一一一書誌の官llJ而から(2 )ー…・・ー…小林

特輯

音悼(131)

出~ (136)

繁美 (140)-1'1-

[展覧会カタログ評]

「京都近代田担と『西洋.]J展………………ー……………・内脱

出正法主とボストン美術館」民一…………………………稲到

τfリヤ ヲ 明 吉帯 夜一ー一一一

シャルル・ローゼンタールの人生と創造J.一一一-一一-一三浦

日本の詩学に向けて

俊彦(144)

9文(149)

[Le Rond-Point] 比較文化論的な誤謬について一一一…・・.......................一小谷野

金JJf{雨量子氏博士論文「フォーレの歌rUIとフランス近代の

詩人たち」審査結栄の嬰旨 ・・・・・・・・・…・ー・・・・・・…...........川本 陥嗣(155)

金原i政子氏|専士論文審査傍聴記 ー・・・・・ー…・・・・・・・・一-…..…一斉jtたみどり (158)

クリステワ・ツベタナ氏|噌士論文「涙の詩学一一王朝文

化の詩的言語」審査結栄の要旨 ・・・・・・・ー・….......一-…・・川本 自~~~嗣(161)

クリステワ・ツベタナ氏I42士論文公1m審査傍聴記 ・・…・ー・永井久美子(163)

ニ000

川本時前日j教授若作目録一............…...................…………・一・…・…・… (168)

;(ri村弘氏追杭集刊行のお女uらせ一..........…・…………・…・・・・・・…・・・…・・ー(175)

外国語要約……・…………………………………………………………(1 )

束大比較文皐曾

「カタログ評『岡倉天心とボストン美術館』展」『比較文学研究』76号、2000年、140-144頁

:1, , I

- 140 -

「岡倉天心とボストン美術館」

展稲菅(繁昔一大

名古屋ボストン美術館で、このほど「岡倉天心とボストン美術館

展」が開催された。「東洋美術史」という枠組みの世界的認知に尽

くした天心の、ボストン美術館における事業の実態。それをはじめ

て体系的に明るみに出した展覧会として、画期的な意義を持つ。元

来、本展は、名古屋ボストン美術館の開設記念展候補のひとつでも

あった。しかし、ボストン側の調査の必要、名古屋側の集客力への

配慮や地元共催者の意向などから、「モネ展」が優先された。後塵

を持した第二回企画展は、四年の準備期間の末、いわば満を待して

実現に漕ぎ着けた。ボストン〈本館〉側としても、本展は名古屋ボ

ストン美術館という受け皿なくしては実現しえない企画だった。

「交流のはじまりが、ここにある」とのポスターのキャッチフレー

ズは、天心の文化事業を指すとともに、名古屋とボストンとの「交

流のはじまり」をも記念する。

名古屋市金山の展覧会会場での構成も、図録解説もともに「天心

とフェノロサ」「天心と日本美術院」「天心の収集した日本美術」

「天心の収集した中国美術」および「中国・日本美術部長としての

天心」という五部構成。学術的というよりは、むしろ公衆への案内

の性格が強い平易で簡潔な文章だが、いずれも天心直筆書簡や当時

- 140 -

". . 匝正一一一ー

「カタログ評『岡倉天心とボストン美術館』展」『比較文学研究』76号、2000年、140-144頁

- 141 -

の写真など、一次資料のドキュメンテーションに立脚しており、利

用価値は高い。とかく多くの美術展覧会図録は、展示作品の図版掲

載とその解説で終わりがちな限界がある。だが蒐集形成の歴史的現

場を復元して、従来の「名品展」の枠組みを越えるには、美術館の

領分である「作品」と博物館の扱う「資料」とを相互に組み合わせ

る工夫が必要だ。あるいは当然にもみえるこうした工夫は、実際に

は日本の行政での「美術館」と「博物館」との縦割り区分ゆえに、

容易に実現できない恨みがある。今回も出品点数の制限からか、天

心による蒐集品で展示されなかった作品もなお多い。とはいえ、美

術館が自らの歴史を回顧し批判的に再構築しようとする姿勢には、

従来の障害を乗り越えようとする意欲的な取り組みがあり、将来に

むけてのひとつの模範を示している。

また各章の解説から、論文、図版解説に至るまで、全体を日本語

と米語の並列表記にした点にも一言したい。これは、実際に取り組

めば想像を絶する多大な知的労力を要する作業であり、本展の場合

にも、図録初版にはなお誤植も残る。だが、当事者双方の言語での

出版は当然の見識であり、日米両館の共働企画であってみれば、必

須の嬰請でもあったろう。およそ日本での展覧会およびその図録出

版は、書評新聞や学術誌も含め、きちんとした批評の対象となるこ

とがあまりに少ない(そこに本欄発足の意義もあったはずだ)。加

えて諸外国の美術研究雑誌に、しかるべき批評が掲載されることも

ほほ皆無である。国内研究者の対外発信意欲の不足や、学会として

の足腰の弱さ、国際交流の貧困、さらには所詮アジアからの情報な

ど、自分たちの市場で組織的に扱おうとの意思もなく、情報収集網

の用意もない欧米の専門学術誌の性格。加えて、二か国語表記には

したものの、場合によっては誤植だらけで、内容の水準もとうてい

学術誌扱いにはなりがたい日本流巻頭エッセイ。それが、日本の職

場特有の苛酷な自転車操業のなか、締め切りぎりぎりでそのまま誤

訳まじりで英訳されて、かえって恥さらしとなり、海外への情報発

信として評価されるどころか、むしろ学術的信頼性のさらなる失墜

に貢献したりもする。そうしたなか、なお欧米での出版に比べれば

紙幅のうえで大きな制約を受けているとはいえ、寄せられた四編の

論文は検討に値する。

中心となる論文は、本展企画のボストン側の中心人物であった東

洋部副部長、アン・ニシムラ・モ

lスによる「正当性の主張ーーー

岡倉覚三とボストン美術館日本コレクション」。岡倉がボストン美

術館東洋部に職を得、中国・日本部長へと昇進する時期は、ちょう

ど美術館がボストン市内のコプリl広場の館から、ハンティントン

通りの新館へと移転する途上だった。モlス論文は、やがてボスト

ン美術館副館長となるマシュ

l・s・プリチャlドが一九

O四年段

階で、従来のサウス・ケンジントン美術館方式の素材別商品見本総

展示を改め、かわって名品厳選、時代・文化別展示の方針を提案し、

日本部門に関しては「日本趣味匂山匂m520Eω芯を模して造られた

展示室」での展示を

「不適切」とする判断を示していたことを教え

てくれる。そしてこの提案が、天心の主張である、東洋の文物は

「東洋の観点」からなされるべきだとの立場と対立したことを示唆

し、結局フランシス・ガlドナl・カlティスが、歴史的展示は尊

重しながら、展示環境に関してはプリチャlド案を退け、天心の意

向に沿う新展示を実現した、との解釈を提出している。この資料発

掘からは、なお背後の事実関係が十分に明らかではない。とまれ美

A斗A

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- 142 -

術作品展示に関して、(元来の文脈をある程度復元したなかで作品

を展示する)現場復元か、(あくまで美術館としての)文脈切断の

展示環境かの選択は、百年後の今日にあっても美術館・博物館にお

ける異文化展示の根本を左右する問題として、なお解決を見ない。

エミコ・

K・ウスイの「ナショナル・アイデンティティー、アジ

アの理想、そして美術家||岡倉覚三がボストンで紹介した日本

美術院」は、米国での読者への天心紹介と同時に、表題の個別問題

をも扱う点、やや釣り合いに欠けるが、天心が日本美術院の宣伝の

なかでとりわけ尾形光琳と久隅守景を取り上げた理由を考察し、狩

野派の門閥体制のなかで独立心を保った久隅、という天心の解釈に、

日本の公式美術界から追放された、日本美術院の在野性が投影され

ているとの興味ある仮説を示す。光琳評価に関しては、最近の大英

博物館ティモシl・クラlクの研究を参照して、当時ルイ・ゴンス

からウィリアム・アンダーソン、そしてフェノロサに至る日本美術

研究者が、光琳に印象派美学と呼ぶべき傾向を見いだしており、天

心もそれら先行意見を踏襲して、フランスの印象派に二世紀先んず

る先見性を琳派に見いだしていたことを指摘する。海外でも通用す

る日本美術の粋としては、金泥・金箔地と墨跡ゆたかなたっぷりと

した描線が「売り」であり、この後日本でも琳派復権がなされて行

く。「践雌体」の提唱ともあいまって、評者としてはそこに西欧の

眼差しに接しての新たな「和様」発明の契機を認めたい(なお二十

世紀初頭当時の文脈ではR

ロmEoロmEERuは「国家主義的」ではな

く「国民主義的」程度に訳すのが、この国での歴史学の慣例として

は穏当だろう)。(1)

岡倉の中国美術蒐集に関しては、東洋部部長・呉同の短文「『輿

古為徒』||古美術とともに一岡倉覚三と中国」がその概要を伝え、

山口静一「『ボストン美術館紀要」のなかの岡倉覚三」が、関連資

料のうち、なお『岡倉天心全集』からも漏れた天心の文章を断片的

に紹介している。ただこの部分は、一昨年「ボストン美術館の至宝

||中国宋元画名品展」(一九九六年)でかなりの規模の出展がな

されたためか、重要な名品としては、徽宗筆とされ、辛亥革命直後

の中国で天心が入手した『幕張萱掲練図巻」が短期間公開されたに

とどまり、天心垂誕の作で、没後寄贈された白馬寺の「菩薩座像」

などは、参考図版が掲載されたにとどまる。記事に見える「天平期

観音菩薩」も、今回は展示されていない。将来こうした作品も、機

会を得て展示されることを期待する(名古屋ボストン美術館ではそ

の後、『平治物語絵巻』の十七年振りの帰国が実現)。とりわけ一九

O四年時点での天心による中国・日本絵画の鑑定が、モ

lス論文英

文摘要に復元されているが、対応する作品の図版掲載および一括展

示なども、学術的には興味深い。

一九九九年秋の美術史学会は、本展覧会に併せて名古屋で開催さ

れた。また本展にあわせて連続講演会も組織され、既に言及した研

究者はじめ佐藤道信氏ほかが講師を務めたが、これはどちらかとい

えば一般の聴衆を対象とするものだった。

Tきれば本展を核として

国際シンポジウムが組織され、論文集が発刊されたならばその意義

も大きかったろう。太平洋の向こうでは、一九九九年一月にカリフ

ォルニア大学ロサンジエルス校で、フレッド・ノlトヘルファ

l教

授により「岡倉天心ワlクシヨプ」が開催され、続く三月には、ボ

ストンの全米アジア研究協会年次総会でもモ

lス氏ほかの参ノ加を得

た「岡倉天心パネル」が設けられ、高い関心を集めた。ここでの議

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- 143 -

論も踏まえて、最後に岡倉天心の意義を再考してみたい。

二十世紀初頭に天心は、東京美術学校、帝室博物館(ウスイ論文

邦訳で「帝国博物館」とあるのを訂正)そして美術雑誌『園華』と

いう、みずからが創設に尽力した三大事業から意思に反して撤退を

強いられ、また私設の日本美術院運営も、腹心の塩田力蔵から「嶋

呼、日本醜聞院」と嘆かれざるを得ぬ状況を迎えていた。緊急避難

にも等しいインドへの逃避行に続いて、世界宗教会議開催にも失敗

して渡米、ピゲロ

lの推薦もあってボストンに職を得た天心は、東

洋美術をいわば他者たる欧米の公衆に対して示すことに、晩年の十

年を費やした。

「古代オリエント」とは違って、当時いまだ碓固たる認知を受け

ていなかった「東洋」そして「東洋美術」なる領域を、目に見える

かたちで示したもっとも雄弁な見者。あるいはそうした観念を、日

本のみならず世界という視野に立って実体化した張本人。「東アジ

ア」にもっとも突出した自己表現を授け、西側世界に向けて発信し

た先覚的イデオロ

lグのひとり。それがインドのヴィヴェカlナン

ダ(一八六三l一九

O二年)、中国の孫文(一八六六l一九二五年)

と並んで、天心・岡倉覚三(一八六二

l一九一三年)ではなかった

か。『東洋の理想』(一九

O三年)冒頭の「アジアはひとつ」の号令。

これは、ベンガル分割令(一九

O五年)施行で内部分裂の危機に直

面するインドにおいて、国民統合を訴える政治主張とじかに結びつ

いていた。また同書末尾の「内而からの勝利か、しからずんば外部

からの力ずくの死か」も、日本の自己主張というよりも、むしろ植

民地支配下のアジアの現状認識であり、同時代のインド美術研究者

の国民主義的心情とじかに呼応するものであった。その系譜には、

同書を校閲して序文を寄せたシスター・ニヴエディlタ(一八六七

ー一九二年)のみならず、アlネスト・ハヴエル(一八六四i

一

九三七年)や、天心の没後ボストン美術館インド部門に着任するア

ナンダ・クlマラスワlミl(一八七七

l一九四三年)らに至る学

者たちを数えることができる。さらにこの「架空の有機体」たる

「東洋」に、アンリ・フォシオン(一八八一ーー一九四三年)といっ

た両大戦間の学者にしてロマン・ロランの同時代知識人は、西洋と

東洋を包含した世界美術史の構想を育む契機を見いだす。だがその

一方で、天心の「東洋」構想は、繁明期の日本の東洋美術史学にあ

っては、自らの学問基盤のいわば忌避すべき出産外傷として、天心

死没以来、瀧精一・大村西崖・伊東忠太らによってひたすら忌避・

抑圧されてきた。

加えて、日本の尺度を逸脱したこのような天心の視野の広大ゆえ

に、没後二十年を経て、その思想が大東亜共栄圏の思想的後ろ盾に

かつぎ出される状況が生まれる。昭和十年代、二・二六事件に騒然

とする世相の下で初めて、天心の主要著作がようやく日本語で全集

として編纂される。さらにここには、天心生前未刊行の「我らはひ

とつ」が加わる。元来タゴ

lル兄弟らインドの知識人たちとの討論

を媒介に、一九

O二年にカルカッタで執筆された天心の遺稿は、満

州事変下の「時局」に及んで発掘され、一九三八年日本語訳として

復活し、「皇紀二千六百年祝賀」前夜に「東洋の覚醒』と題して出

版される。ここに「超国家主義者・天心像」が形成される。だがそ

うした暗黙の脈絡は、まだ十分に発掘され尽くしたとは言い難い。

「岡倉天心とボストン美術館展」が、従来の天心像の刷新と、日

本列島の枠を越えた知性の感応の一的として、二十世紀精神史を読

- 143 -

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L-$' t ' ';J * ~: 0 t.:. 0) tJ 7-. - ~Ij ~ iJ~ --l! 1 1L IiO 0

144 -

み直す切っ掛けを提供することを切望する。(2)

[注]

(1)

拙稿「《他者》としての「美術」と、「美術」の

〈他者V

としての

「日本」||美術の定義をめぐる文化摩擦」島本涜・加須屋誠編

『美術

史と他者』晃洋書房、二

OOO年、参照。

(2)

こうした脈絡に閲しては、別途公刊した拙論で詳細に触れた。「型

念としてのアジア||岡倉天心と東洋美術の構想、そしてその顛末」

『国文学』二

OOO年七月号・八月号参照。

[展覧会およびカタログ・データ]

一九九八年十月1

一

「同倉天心とボストン美術館」展。名古屋ボストン美術館、

九九年三月。

図録は一九九八年十月二十三日発行。編集・発行は名古屋ボストン美術館。

執筆者Hあいさつ一小倉忠夫、マルコム・ロジャース、メッセージ一山脇佐

江子、エッセイ/作品解説一呉問、アン・ニシムラ・モlス、エミコ・

K-

ウスイ、山口静て編集H

山脇佐江子、坂本伸子、山田真規子、佐藤仁美

(名古屋ボストン美術館学芸部)。総頁数二百三十九。文献書誌および参考資料

を除き、日本語・英語二か国語表記。英文表題は。

wm-2348島5m百円ご宮

冨

52g民自ロ由〉ユタ回

ggロ・

「イリヤ・カバコフ展

シャルル・ロlゼンタ

lルの人生と創造」

三

浦

俊

彦

イリヤ・カパコフ(一九三三

1

)という芸術家の名を、私は聞

いたことがなかった。シャルル・ロ

lゼンタlル(一八九人j

一九

三二)という芸術家のことも知らなかった。もっともロ

lゼンター

ルを知らなかったのは、教養不足とは無関係だ。シャルル・ロ

lゼ

ンタlルとは、九七年に来日して水戸芸術館を下見したカパコフが、

水戸芸術館の空間構成に合わせて構想した、架空の画家なのである。

この「イリヤ・カバコフ展シヤルル・ロ

lゼンタlルの人生と創

造」は、ウクライナ生まれの夫逝の画家ロlゼンタlルが遺したス

ケッチ、絵画、オブジェなどを「キユレlタl」であるイリヤ・カ

バコフが取りまとめ企画した回顧展、という設定の、いわば虚構の

美術展なのである。

水戸芸術館を見て閃いた構想だから、ほとんどがこの展覧会のた

めの新作である。第一室にはロ

lゼンタlルが十代の頃の習作ドロ

ーイングやスケッチ、第二室にはロ

lゼンタlルが美術学校時代に

学んだマレlヴィチの影響下にシユプレマテイズム的表現と旧具象

的表現を組み合わせた模索的絵画。第三室ではロンドンやカルカツ

タでの見聞を描いた大画面のカンバス裏に電球を仕掛け、ちょうど

駅前に見かける案内地図のように、鑑賞者が手前の解説風文章のボ

- 144-