Games for learning_fukuyama

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GAMES FOR LEARNING: ゲームを用いた学習の事例 早稲田大学大学院 福山佑樹 1

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GAMES FOR LEARNING: ゲームを用いた学習の事例

早稲田大学大学院

福山佑樹

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自己紹介

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福山佑樹 (Yuki Fukuyama)

【所属】

早稲田大学大学院人間科学研究科

博士課程1年

【研究】

ゲーム×学習に関する研究と実践

(環境学習ゲーム・組織市民行動ゲームの開発/デジタルゲームの教育効果の研究/WSの実施等)

組織や職場に関する研究

(職場学習と組織市民行動の調査/対話システムの研究)

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ゲーム×学習 3

最近こんなニュースがありました(日経)

「坂の上の雲」とボードゲーム

1897年秋山真之はアメリカで“兵棋演習”に感銘を受け日本にも導入した

⇒ボードゲームを学習に使用するという考えは

日本においても100年以上前からあった!

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ゲームを学習に利用するメリット 4

1 .モチベーションの喚起・維持

2 .全体像の把握や活動プロセスの理解

3 .安全な環境での体験学習

4 .重要な学習項目を強調した学習体験

5 .行為・失敗を通した学習 (藤本, 2007)

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今回のテーマは… 5

“Quest to Learn”→学校教育

“Find the Future”→非正規教育(生涯教育)

とあったので…

ゲーム×大人の学び

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発表の概要 6

1.ビジネスゲームと学習

⇒ビジネスゲームの歴史

2.ゲームを利用した研究事例

⇒“組織市民行動ゲーム” もそドラ

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ビジネスゲームとは?

“Development in Business Gaming

A Review of the Past 40 Year” Faria et.al

Simulation & Gaming, vol.40 no.4 p464-487,2009

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ビジネスゲームとは? 8

会社経営の模擬演習を行う教育ツール

日常業務から困難な状況までを想定

⇒経営体験による学習(小嶌,2009)

⇒コンセプチュアルスキル

コミュニケーションスキル

テクニカルスキル

の訓練などに使用される

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ビジネスゲームはなぜ行われるか 9

304のビジネスゲーム研究をレビュー

⇒5つの目的が浮かび上がった

1.ビジネスゲームを通しての経験

2.戦略形成

3.意志決定スキル

4.ゲームからの学習結果や目標

5.チームワークの形成

Faria, A. J ,2009

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ゲーム目的の変遷(順位) 10

1970s 2000s

学習成果や目標 1 3

意志決定 2 4

チームワーク 3 5

経験の獲得 4 1

戦略形成 5 2

成果重視の学習から経験重視の学習へ!

Faria, A. J ,2009

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組織市民行動ゲーム

“もそドラ”の開発と実践

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研究の概要 12

職場の多忙化により,従業員が成果の出にくい行動に取り組まなくなっている

↓ しかし…

成果に直結しないが、職場を円滑にする行動の重要性は古くから指摘されている

↓ そこで…

「組織市民行動」の重要性を学習するためのゲーム教材を開発し、評価を行った

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組織市民行動(OCB)とは? 13

①任意の行動であり

②公式の報酬システムによって

直接、もしくは明確に承認されて

いるものではなく

③集合的に組織の効率を促進するのも

のである

(Organ.1988)

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簡単にいうと… 14

誰もやる必要はないし、

やってもお金がもらえるわけではない、

でも、誰か or みんながやると、

職場が円滑になるような行動

(ex.新人に仕事を教える/時間を厳守する)

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ゲームを用いた理由 15

OCBは,個人が日常で経験できる行動

⇒日常性の高さから重要性や,知識を得づらい

ゲームのメリットを生かすと…

⇒日常から切り離された環境で“全体像を掴み”,“重要な箇所を強調した形”で経験しながら学ぶことが出来る

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ゲームがデザインする経験 16

1.日常にあるOCBをカード化

→どんな行動がOCBなのか、どんな効果があるのか?

2.ドラフトゲームというルール

→現実の有限な時間の中でどんな行動をするのか?

3.“成果主義”を再現したルール

→厳しい成果主義の中でどのように行動するのか?

4.社会的ジレンマ性のあるルール

→誰もOCBをしないと、会社が倒産し全員が負けになるルール下でどうするのか?

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組織市民行動ゲームルール

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ゲームの流れ~概要~ 18

1.カードを「1枚」取る

2.時計回りに残りのカード全部を回す

3.回ってきたカードから「1枚」取る

4.上記を6回繰り返したらゲーム終了!

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勝敗条件 19

大前提: 会社の目標が達成されている

未達の場合、倒産=全員GAME OVER

目標達成の場合: 「個人成果」がもっとも多い人の勝ち!

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ゲームで使用するカード 20

• 組織市民行動カード

日本版組織市民行動尺度(田中,2008)の項目をカード

化したもの。会社全体の成果に貢献するカード

• 成果行動カード

会社の中で、個人の成果をあげるカード。ビジネスパーソンへのヒアリングから作成

目標に着実に

何はなくともまずは

目標達成だね

個人成果+2

静かに処理順カードの順位を自分が1番にする

休んでいる人の仕事を手伝う

○○さんは、休みか・・・

ちょっと手伝おう

全体成果+30%

自分の成果ー1裏になっているカード1枚を

表にできる

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ゲームの結果

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結果

参加者はほとんどのOCBを重要であると認識

⇒しかし、「援助行動」は負荷が高いと参加者が認識されてしまった

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リフレクションシートより

「組織市民行動は重要だと思うが自己犠牲をしすぎるとシンドイ」

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結果

「組織市民行動についての知識」を獲得

⇒組織市民行動の重要性について日常の仕事とリンクさせながら振り返った

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リフレクションシートより

「全体への貢献(組織市民行動)がないと会社が成り立たないことが分かったが,自分が日常でそれをできているのかということを考えさせられた」

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結果

成果行動と対比しながら組織市民行動について考察するリフレクションシートが多かった

⇒組織市民行動について,成果行動との対比の中で学ぶことが出来た

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リフレクションシートより

「成果をあげるTop Playerは尐数で良い,他の

人は平均的にそこそこの成果をあげつつ全体を助けるような協力行動をする(ことが会社にとって重要である)」

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まとめ(経験のデザイン)

OCBの重要性をプレイヤーに認知させる

→ゲーム内でOCBが重要になるような設計

OCBに関する知識をプレイヤーに与える

→学術的な裏付けのあるカード内容/現実と照らし合わせて納得感のあるルール作り

現実世界とのリンクを意識させる

→リフレクション活動の充実/ルール作り

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反省点/課題

個人的な価値観にもっと目を向ける

→OCBを重視して“負けた”参加者に何らかの形で報いる

ようなルール(ex.感謝のことば)

よりゲームの生きる場所での実施

→公募で集めた人ではなく、あるコミュニティでの実施

“大人”の価値変容は難しいことを意識する

→より没入できる経験のデザイン

→リフレクションの充実

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Outro(ゲームで何が解決出来るの?)

“いろいろ研修やってるんだけど、今ひとつ腹落ちしないんだよねぇ…”

→“経験”を通じた学び

“やりがいがないといって新人がすぐに辞めちゃうんだよね、面白くなるのはこれからなのに…”

→ゲーミフィケーションによる“楽しさ”の付与

“飲み会でみんなで集まってもなんか話すことないんだよねぇ”

→ゲームによる“共通経験”の作成

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