FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

13

Click here to load reader

Transcript of FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

Page 1: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 1 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server V12 ビジネスの継続性を追求する高信頼データベース

Contents 1.いま求められているデータベースの要件と Symfoware Server の取り組み 2 2.オープンを支える技術 4 3.あんしんを支える技術 6 4.高信頼を支える技術 8 5.高性能を支える技術 10 まとめ 13 「FUJITSU Software Symfoware Server」は、富士通が提供するリレーショナルデータベースである。「システムを安定稼働させること」にフォーカスし、常に、「高信頼」、「高性能」、「あんしん」を追求しつづけてきた。メインフレームの時代から培った技術をベースに、オープンシステム環境においても、さまざまなミッションクリティカルシステムに導入、実績をあげている。 Symfoware Server V12 では、「高信頼」、「高性能」、「あんしん」に加え、「オープン」性を強化。従来の Symfoware Server のデータベースに加えて、OSS のデータベースである PostgreSQL をベースにしたデータベースを搭載することで、企業内外にあるさまざまなツールやパッケージ、優れたオープンソースソフトウェアなどとの連携を可能とし、「エコシステム」に対応するデータベースとして、エンハンスを図った。 本書では、Symfoware Server V12 で新たに追加された PostgreSQL をベースにしたデータベースを中心に、その特長や技術を解説していく。

Page 2: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 2 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

いま求められるデータベースの要件 Volume (大量)、Variety (多種・多様) 、Velocity (高頻度・

リアルタイム) といった性質を持つデータが氾濫している。これ

らのデータはビッグデータと呼ばれ、現在、これらをいかにス

ピーディに活用するかが、ビジネス成功の鍵として大きな注目

を集めている。

ICT システムは、これらのビッグデータを収集、蓄積、解析、

分析し、その結果を社会にフィードバックするという役割をも

つ。また、ICT システムは、今や社会生活に密着した存在である。

近年のクラウドやスマートデバイスの普及によるワークスタイ

ルの変革、さらにビッグデータの利用促進へ、人々の大きな期

待が寄せられるようになり、ICT への要求も責任も、より高次の

ものとなっている。

そのような ICT システムの要となるものがデータベースであ

る。ICT システムへの要求の高まりに比例し、データベースに対

する要件のレベルも年々高くなっている。

データベースの要件には、以下のような、いくつかの側面が

ある。 ■ 価値ある情報をビジネスに活かす「オープン」 ビッグデータを、素早く、効率的に活用するためには、シス

テム開発に時間をかけることは許されない。自社/他社を問わず、

既存のソフトウェアやパッケージと連携し、システムを短期間

で構築することができる「オープン」さが必要となる。 ■ 日々の業務を安心して確実に実施できる「あんしん」 システムの多様化に伴い、システム構築やデータベースの専

門要員でないユーザーがシステムを構築/運用する時代となりつ

つある。たとえば、データベースシステムの導入については、

従来であれば、専門要員が運用開始前の状態までセットアップ

を実施するのがあたりまえであったが、現状は、コスト削減な

どによりデータベースの知識や経験のないユーザーがセットア

ップを実施する場面も少なくない。

利用者が「あんしん」してシステムを運用できるように、シ

ンプルな導入運用操作が求められている。 ■ どのようなときでもビジネス継続ができる「高信頼」 企業間取引やインターネットビジネスに直結する ICT システ

ムでは、ノンストップの運用が求められている。想定外のシス

テム停止が起きたときに、できるだけ短時間で業務を再開でき

るようにすること、すなわちビジネスを継続できるようにして

おくことが必要である。したがって、ビジネス継続を支えるシ

ステムのデータベースは、冗長化はもちろん、障害発生時に貴

重なデータを失うことなく安定したビジネスを再開できること

が重要なのである。 ■ 大量かつ高頻度に発生するデータでも一定時間内に処理できる「高性能」

データを価値ある情報とするためには、利用者や利用頻度が

増加したり、データの利用形態が変化することでデータが増え

ても一定時間内に処理できる安定したレスポンスが必要不可欠

である。 Symfoware Server の取り組み Symfoware Sever は、ミッションクリティカルデータベース

として、30 年超の実績をもつ。128 ペタバイトを収容できる大

容量サポート、世界最高速レベルのデータベースローダなどの

大きな特徴を実現してきた。

ここでは、前述の「いま求められるデータベースの要件」を

満たすための Symfoware Server V12 での取り組みを述べる。 まず、「オープン」に対する取り組みとして従来の Symfoware

Server のデータベースに加えて、OSS (Open Source Software)

のデータベースである PostgreSQL ベースのデータベースを搭

載しており、どちらかを選択して利用可能となった。

Symfoware Server に搭載された PostgreSQL ベースのデータベ

ースには、アプリケーション開発の効率化や他社ソフトウェア

との連携などを強化するために、Symfoware Server として独自

の機能拡張を実施している。

「あんしん」の側面では、Symfoware Server V10 で採用した

スマートソフトウェアテクノロジーを PostgreSQL ベースのデ

ータベースでも継承。利用者にやさしい運用操作ツールの提供

を実現している。

「高信頼」については、従来より、高速ホットスタンバイ、

ロードシェア、データベースミラーリング、ディザスタリカバ

1.いま求められているデータベースの要件と Symfoware Server の取り組み

Page 3: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 3 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

リーなど高信頼を実現する機能を提供してきた。従来機能に加

え、V12 では、PostgreSQL ベースのデータベース利用時にも、

信頼性を強化する機能を追加した。ユーザーは、自らのシステ

ム要件にあった信頼性を得ることができる。

ノウハウを積み重ねてきた旧来の取り組みと、新しい社会ニー

ズに即応する新しい取り組み。これらを統合して提供すること

で、ICT システムをトータルに支援するのが、Symfoware Server

だということができる。

2 章以降では、Symfoware Server に実装されているさまざまな

技術を紹介する。

Page 4: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 4 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

オープンな PostgreSQL を採用 Symfoware Server では、従来より独自のデータベースを提

供してきた。V12 では、この独自のデータベースに加え、

PostgreSQL ベースのデータベースを搭載しており、どちらかを

選択して利用できる。

以降、各データベースを以下と表記。

・富士通独自データベース:Symfoware Server(Native)

・PostgreSQL ベースのデータベース:Symfoware

Server(Postgres)

なお、特に断りが無い場合は Symfoware Server(Native)の説

明である。

Symfoware Server(Postgres)は、PostgreSQL 9.5(V12.2 以前は

PostgreSQL 9.2)互換のデータベースである。Symfoware

Server(Postgres)を使用することで、PostgreSQL を活用するさ

まざまなパッケージ、情報活用システム、開発ツール、アプリ

ケーションと連携できる。また各種の開発環境やスクリプト言

語にも対応している。このため最適な開発環境とスクリプト言

語を選択し、アプリケーションの開発効率の向上が実現できる。

このように、オープンなデータベースを採用した Symfoware

Server の利用範囲は、従来と比較し、飛躍的に拡大した。また、

これは、エコシステムでの活用範囲も広がったことを意味する。 また、Symfoware Server(Postgres)では、PostgreSQL を拡張

した Symfoware Server 独自の機能が提供されている。 Visual Studio との連携

たとえば、Symfoware Server(Postgres)でも、従来の

Symfoware Server(Native)と同様に、Visual Studio と連携する

ことでアプリケーションの自動生成が可能だ。(図 2-1 Visual

Studio との連携)

■ Visual Studio のテキストエディタで直接編集 Visual Studio 上で規定されたコンポーネントを使用すること

で、データベース資源にアクセスするアプリケーションを手動

で作成。 ■ Visual Studio のツール利用でアプリケーションを作成 TableAdapter やサーバーエクスプローラーといった、Visual

Studio の各ツールから、ドラッグアンドドロップの基本的な操

作でデータベース資源にアクセスするプログラムを自動生成し、

アプリケーション開発を効率化する。 ■ Visual Studio のテキストエディタで直接編集 ■ Visual Studio のツール利用でアプリケーションを自動生成 図 2-1 Visual Studio との連携

2.オープンを支える技術

Page 5: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 5 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

他社データベースからの移行性向上

Symfoware Server(Postgres)では、PostgreSQL に他社データ

ベースとの互換機能が追加されている。 ■ 他社データベースとの互換機能一覧 分類 項目 概要 SQL 問い合

わせ 外部結合演算子(+)

外部結合のための演算子

DUAL 表 システムが用意している表

関数 DECODE 値を比較し変換 SUBSTR 文字列の一部取り出し NVL NULL 値の変換

パッケージ DBMS_OUTPUT メッセージの送信 UTL_FILE ファイルの操作 DBMS_SQL 動的 SQL の実行

V12.3 では OSS の Orafce を組み込むことで、さらに他社データ

ベースとの互換機能が強化されている。

これにより、他社データベースと高い互換性の保持を実現し、

他社データベースから Symfoware Server への容易な移行がで

きるようになった。データベースの移行工数は、従来比 1/8 (当

社実績値) と、大きく削減された。

また、Symfoware Server(Postgres)では、各国語文字を扱う

データ型として NCHAR 型がサポートされている。 COBOL 言語による埋込み SQL をサポート V12.3 では Symfoware Server(Postgres)に COBOL 言語によ

る埋込み SQL をサポートしている。これにより他社データベー

スからの移行時に既存の COBOLアプリケーション資産の移行が

可能となる。

Page 6: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 6 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

スマートソフトウェアテクノロジー

富士通の提唱するスマートソフトウェアテクノロジーは、ハ

ードウェアやソフトウェアの状況を自ら判断し、構成や設定/

運用方法を最適化して、利便性と信頼性を高める独自技術であ

る。富士通が提供するさまざまなソフトウェアで、スマートソ

フトウェアテクノロジーが採用されている。Symfoware Server

は、数あるミドルウェアの中で、いち早く、その技術を実装し

た製品である。

Symfoware Server のスマートソフトウェアテクノロジーは、

Symfoware Server のエントリー製品である「Lite Edition」で

実装されていた。V12 では、「Standard Edition」および

「Enterprise Edition」の Symfoware Server(Postgres)にまで対

応を拡大。スマートソフトウェアテクノロジーにより、データ

ベース特有の難しい設計やオペレーションを排除することで、

誰でも安心して使える使いやすさと従来の信頼性をあわせもつ

製品を実現したのである。

Symfoware Serverが実装したスマートソフトウェアテクノロ

ジーは、「スマートセットアップ」と「スマートリカバリー」の

2 つの機能をもつ。 ■ スマートセットアップ スマートセットアップは、ディスクサイズやメモリなどのサ

ーバ環境を自動的に取得し、データの保全や性能を考慮して、

データベースの各種資源を最適な場所へ自律的に配置する。ま

た、豊富な Symfoware Server の稼働実績に基づき、サーバ構成

や接続数が異なる大小さまざまなシステムにきめ細かく対応す

るためのチューニングパラメーターを自動最適化する。その結

果、データベース導入で必要とされていた煩雑な設計作業やチ

ューニングが不要であり、データベース専任者がいなくてもデ

ータベースが簡単に構築できる。(図 3-1 スマートセットアッ

プ)

図 3-1 スマートセットアップ ■ スマートリカバリー スマートリカバリーは、トラブル発生時に、異常箇所を自動

的に特定し、復旧させるしくみである。Symfoware Server 自身

が、直前までのリソースの利用状況やトランザクション量をチ

ェックし、異常箇所を判断、リカバリーの手順を決める。ユー

ザーは、障害の原因を特定する必要がなく、ワンクリックで正

常な状態に復旧させることができる。

スマートリカバリーにより、ハードウェア故障の場合を除く、

オペレーション・ミスやソフトウェア障害等に起因する大半(障

害原因の約 75%:当社調べ)のシステムトラブルに対し、速や

かに業務を再開することが可能となる。(図 3-2 スマートリカバ

リー)

3.あんしんを支える技術

Page 7: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 7 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

データベースに異常が発生した場合のイメージ

リカバリー実行のイメージ 図 3-2 スマートリカバリー

より大規模で複雑なシステムになればなるほど、信頼性や性

能への要求は増し、使いやすさや誤操作防止は重要な課題とな

ってくる。Symfoware Server では、これらの課題解決に向け、

製品の更なる使いやすさの追求と、スマートな導入/運用を支え

る技術の実装に取り込んでいく。

Page 8: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 8 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

Symfoware Server の高信頼を支える技術の一例を紹介する。

なお、これらは、従来より、Symfoware Server(Native)に実装

されている技術であり、V12.0 では、後述する、「フェイルオー

バ運用」、「データの暗号化」、V12.1 では、「データベースミラ

ーリング」といった高信頼を支えるための技術が Symfoware

Server(Postgres)にも搭載されている。

また、V12.3 では、Symfoware Server(Native)にはない「デ

ータ秘匿化」を Symfoware Server(Postgres)に搭載している。 Symfoware Server は、ビジネス継続を実現するためのさまざ

まな機能を搭載している。システム障害時にデータを保証する

ためのバックアップやリカバリーはもちろん、異常時にもシス

テムを停止させない冗長化構成も、さまざまな構成を選択可能

であり、システムの要件に合った信頼性を実現することができ

るのである。

Symfoware Server の冗長化構成は、大きくクラスタ方式とミ

ラー方式に分類できる。

Symfoware Server のクラスタ方式では、データを共有ディス

クにおき、データベースシステム(RDBMS)を複数のサーバで

冗長化する。つまり、ハードウェアの単位で冗長化する方式で

ある。この方式は、システム要件に応じてサーバ構成が柔軟に

選択でき、障害発生時の切替えのタイミングも選択できる。た

とえば、多重故障に強いシステムを構築したり、高性能で拡張

性の高いロードシェアシステムと組み合わせて冗長化すること

が可能である。

次にミラー方式である。Symfoware Server のミラー方式は、

ハードウェア単位で冗長化するのではなく、データベースその

ものを二重化(ミラーリング)する。データベース全体を二重

化するので、サーバ構成や切替のタイミングは柔軟に選択でき

ない。しかし、そのシンプルな構成より、障害の発生箇所にか

かわらず、瞬時に切替えられる高速切替を実現する。その運用

も明快である。

ここでは、ビジネス継続を実現するための技術について紹介

する。 ■ フェイルオーバ運用 フェイルオーバとは、運用中のサーバに障害が発生した場合

に、代替サーバが処理やデータを引き継ぐ機能のことを指す。

Symfoware Server は、各種のフェイルオーバ機能を提供してお

り、これを利用して運用サーバと待機サーバでシステムを二重

化し、ビジネス継続を支援する。

なお、Symfoware Server(Postgres)においても富士通のクラ

スタソフトウェアである PRIMECLUSTER や、フェールオーバー

クラスタリングなどの OS の機能と連携することでフェイルオ

ーバ運用が可能である。

■ データベースミラーリング ディスクの共用をやめ、2 つのサーバそれぞれにディスクを持

たせたるデータベースミラーリングは、ディスクに障害が起き

た場合でも、大事なデータが失われることを防ぐことができる。

双方のデータベース間では、TCP/IP を利用し、データ転送を行

うことで、常にミラーリングされた状態が保たれている。

また、データベースミラーリングでは、データベースを複製す

るために必要なログ、つまり、更新結果のみをミラーリング対

象にする独自のログシッピング方式を採用している、更新結果

のみを転送の対象とすることで転送量を圧縮することができ、

リアルタイムなログ反映が行えるのである。

さらに障害発生時、フェイルオーバと違い、サーバを「切り替

える」ことなく、サーバを「切り離す(縮退する)」ことで、より

高速に、かつ確実に業務が再開できる。(図 4-1 データベースミ

ラーリング)

図 4-1 データベースミラーリング

4.高信頼を支える技術

Page 9: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 9 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

Symfoware Server(Postgres)では、PostgreSQL のストリーミ

ングレプリケーション機能に基づきデータベースを二重化して

いる。加えて、プロセスダウン、ディスク、ネットワークなど

の障害検知機能やデータベースの切り替え/切り離しの自動実行

など Symfoware Server 独自の機能が利用できる。これらの機能

を利用することで、Symfoware Server(Postgres)においても高

速な業務再開が実現できるのである。

さらに、V12.3 では、Symfoware Server(Postgres)において

GUI ツール(WebAdmin)からデータベースミラーリング環境の

構築と管理が可能となり、運用生も向上しているのである。

■ データ暗号化 クレジットカード会員情報を安全に取り扱うことを目的とし

て策定されたクレジットカード業界のセキュリティ基準である

「PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standards)」

に対応。不正アクセス、ネットワーク盗聴、なりすましなどの

脅威からデータを守る暗号化機能を標準搭載している。

Symoware Server の暗号化機能においては、暗号化アルゴリ

ズムとして、AES (Advanced Encryption Standard) の最高強度

である 256 ビット長の暗号化キーを採用している。また、暗号

化に関する新技術として搭載された「インテル(R) AES-NI」と連

携することで、パフォーマンスを低下させることなく、データ

の暗号化および復号を実現することができる。同様に、新プロ

セッサ「SPARC64(TM) X」の Software on chip にも対応。暗号

化および復号の高速処理を可能としている。

さらに、Symfoware Server(Postgres)では、PostgreSQL の暗

号化機能を拡張し、「透過的データ暗号化による格納データの保

護」を実現している。 データベースに格納するデータは、デー

タファイルに書き出されるときに暗号化され、読み出されると

きに復号される。「透過的データ暗号化による格納データの保

護」では、これらの処理をインスタンス (データベースの格納領

域を管理するサーバプロセス) が自動的に行う。これにより、ユ

ーザーやアプリケーションが意識することなく、キーの管理や

暗号化や復号の処理を実行することができるのである。

■ データ秘匿化 データの保護を目的としたデータ秘匿化機能を提供している。

データ秘匿化機能では、アプリケーションによって発行された

問合せに対して、一部のデータを改訂して参照させることが可

能である。

Page 10: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 10 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

Symfoware Server は、高速かつ安定的なレスポンスを常に実

現するための以下の 5 つの技術を備えている。これらの技術も

また、Symfoware Server(Native)に実装されており、Symfoware

Server のハイパフォーマンスを支えてきた。 アクセス性能を最大化する技術 レスポンスを平準化する技術 レスポンスの性能を維持する技術 データを分散する技術 スループットを向上させる技術

さらに、V12.3 では、Symfoware Server(Postgres)に「並列

検索」、「インメモリ機能」を搭載。Symfoware Server(Postgres)

においても、より一層の性能向上を実現している。

ここでは、Symfoware Server の特徴的な技術である以下を紹

介する。 ■ データを分散する技術 アクセス性能を最大限に引き出し、レスポンスの平準化・維

持を図っても、データ量やアクセス数が増加すれば、いずれハ

ードウェアにボトルネックが生じる。これを回避するには、ハ

ードウェアに集中するアクセスそのものを分散する必要がある。

Symfoware Server は、「表・インデックス」、「ログ」、「サーバ」

にデータを分割することで、データ量やアクセス数の増加に伴

い集中するアクセスを分散させ、レスポンスを保証する。

また、ビジネスの拡大に応じて、段階的に拡張していけるため、

効率的なシステム構築を構築することが可能である。(図 5-1 段

階的なシステム拡張)

図 5-1 段階的なシステム拡張

パーティショニング(表・インデックス分散)

Symfoware Server は、表やインデックスを分割して運

用するパーティショニングを標準搭載している。これ

は、開発当初から採用している技術である。

大規模な表やインデックスを分割して配置することで、

処理時間短縮という効果をもたらす。パーティション単

位で処理範囲を局所化することで、増加を続けるアクセ

スにも安定したレスポンスを維持できるのである。また、

分割により、万一ディスク障害が発生した場合にも、障

害の影響範囲を局所化することができる。

スケーラブルログ(ログ分散)

表やインデックスを分割して運用することで、処理を

分散しても、ログ書き込みが集中すると、そこにボトル

ネックが生じる。

そこで、表やインデックスと同様に、ログも分割して

配置すると、ログに対する処理範囲も局所化される。こ

れにより、トランザクションの同時実行性が高まり、安

定したレスポンスを維持することができる。

Symfoware Server では、スケーラブルログによりログ

を分散配置できる。本機能は、標準搭載機能である。(図

5-2 スケーラブルログ)

スケーラブルログでは、Symfoware Server で使用する

2 種類のログを業務単位でまとめて分割する。スケーラブ

ルログは、処理の高速化を実現するだけでなく、バック

アップ処理も分割できるため、バックアップ、リカバリ

ーなどの運用保守にかかる時間の短縮効果をももたらす。

図 5-2 スケーラブルログ

5.高性能を支える技術

Page 11: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 11 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

■ スループットを向上させる技術 データベースのスループットは、一定の時間内での参照や更

新などの処理能力を示す。レスポンスと同様に、スループット

もハイパフォーマンスを実現するための重要な要素である。

データ圧縮

データ圧縮では、データを小さく保持するために、富

士通独自の圧縮方式を採用している。これにより、デー

タを最大 5 分の 1 に圧縮することが可能となった。これ

は、データのバッファ常駐率が圧縮前の 5 倍となること

を意味するが、1 回のディスク I/O により、より多くのデ

ータをバッファに常駐させることが可能となり、結果、

ヒット率のアップとディスクへの I/O 回数の削減につな

がる。(図 5-3 データ圧縮)

図 5-3 データ圧縮

データ圧縮では、FCVL (Fast Compression based on

VF Loading) 方式を取り入れることで、データの格納時

に発生するレスポンスのバラツキをなくすことに成功し

た。FCVL 方式は、高度な辞書を用いた富士通の圧縮方式

である。他のデータベースでは、データ格納時に、圧縮

辞書の更新が発生することで、格納レスポンスにタイム

ロスがおこり、レスポンスのバラツキが発生してしまう。

Symfoware Server では、格納データがしきい値に達した

ときに、バックグラウンドで圧縮辞書を作成するため、

レスポンスが均等化される。

PCIe Flash

PCIe Flash は、サーバ内の PCI Express スロットに挿入

して使用する SSD であり、高速な内蔵ディスクとして利

用できる。Symfoware Server では、データを記憶するデ

バイスとして、PCIe Flash をサポートしている。

PCIe Flash は、Symfoware Server 独自のログ分散機能

であるスケーラブルログでさらに効果を発揮する。複数

のログ環境で PCIe Flash を利用することで、PCIe Flash

の性能を最大限発揮することができ、I/O 負荷の分散によ

るデータアクセスの高速化が実現できる。

メモリ、SSD、HDD (Hard Disk Drive) を最適に活用し、

コストパフォーマンスの高いシステム構築が可能となっ

た。(図 5-4 PCIe Flash の活用)

図 5-4 PCIe Flash の活用

ハードウェアアクセラレーション

ハードウェアアクセラレーションに対応し、パフォー

マンスへの影響を最小限としたデータの暗号化機能を実

現した。また、文字列操作においても新ハードウェア命

令に対応することで検索コストを削減している。

Page 12: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 12 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

並列検索

処理件数の多い検索処理を、CPU 負荷に応じて複数の

CPU コアに分散させて並列に処理することで、検索処理

の性能向上を実現している。これにより、オンライン処

理とは隔離された定期集計バッチ処理において、従来の

SQL アプリケーションをそのまま実行するだけで、空き

のサーバリソースを最大限に活用することが可能となり、

大幅な処理時間の短縮(12 分の 1:当社実測値)が期待で

きる。(図 5-5 夜間などの定期的な集計処理への並列検索

の適用)

図 5-5 夜間などの定期的な集計処理への並列検索の適

インメモリ機能

カラム型のインデックスとデータのメモリレジデント

機能によるインメモリ機能を提供している。これにより、

集計処理のたびに発生するディスク I/O を削減し、通常業

務における既存の集計処理を並列検索以上に高速化(48

倍:当社実測値)できる。

インメモリ機能はカラム型のインデックスとして提供

するため、アプリケーションの改修は必要ない。検索時

に Symfoware Server(Postgres)が自動的に最適なプラン

を選択するのである。また、インメモリ機能は専用バッ

ファで動作するため、既存の業務処理と並行して高速に

集計処理を行えるのである。

Page 13: FUJITSU Software Symfoware Server V12 ホワイトペーパー

ホワイトペーパー FUJITSU Software Symfoware Server

Page 13 of 13 http://www.fujitsu.com/jp/software/symfoware/

本書では、「オープン」、「あんしん」、「高信頼」、「高性能」と

いった観点から Symfoware Server の機能や技術を紹介してき

た。

垂直統合型データベースシステム「FUJITSU Integrated

System PRIMEFLEX for HA Database」への採用、また、従来よ

り、Symfoware Server(Native)で提供されているミッションク

リティカル向けの機能を Symfoware Server(Postgres)にまで拡

大など、今後も、Symfoware Server は、めまぐるしく変化する

ビジネス環境の中において、さらに機能を強化していく。メイ

ンフレーム時代から継承してきたミッションクリティカルデー

タベースを実現するさまざまな機能に磨きをかけ、また、新た

なビジネス要求に応える新機能を積極的に追加しながら、ビジ

ネスの継続を支えるための技術を追求し続けていくのである。

まとめ

製品・サービスについてのお問い合わせは

富士通コンタクトライン

0120-933-200 受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日・年末年始を除く)

富士通株式会社 〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター

・Symfoware は、富士通株式会社の登録商標です。 ・その他、本書で使用している会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。 ・本書に記載している会社名、システム名、製品名などには、必ずしも商標表示(TM、R)を付記しておりません。