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森林科学への招待 Forest Science Forest Science 東京大学 農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修 大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻 2020-21 2020-21

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Page 1: Forest Science - 東京大学Forest Science 東京大学 農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修 大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻

教務課専攻支援チーム森林科学担当

教務課森林科学担当

森林理水及び砂防工学

森林科学への招待Forest ScienceForest Science

東京大学農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修

大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻

2020-212020-21

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32

農学部・専修の目的 森林生態系がもたらす恵みを将来にわたって享受するための

学術的・社会的要請に応える専門家として、以下の教育と研

究を通して、研究者や、官公庁・企業等で幅広く活躍する人

材を育成する。

森 林 生 物 科 学 専 修:森林生態系管理に関わる社会経済的、

工学的、生物学的知見を基盤として、森林生態系を構成する

植物や動物、微生物などの生理的・生態的特性や相互関係、

環境修復等への活用についての教育と研究を行う。

森 林 環 境 資源 科学専修:森林生態系管理に関わる社会経済

的、工学的、生物学的知見を基盤として、森林の環境形成機

能や森林環境の活用、森林資源の持続可能な利用およびそ

れらに関わる制度設計についての教育と研究を行う。

大学院・専攻の目的森 林 科 学 専 攻:森林に関する生物科学、環境科学、資源科

学、社会科学等の分野において世界的水準の教育、研究を

進め、森林の自然の営みや持続的管理に関わる基礎的・応

用的課題を解決できる専門的人材を養成する。

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農学部・専修の目的 森林生態系がもたらす恵みを将来にわたって享受するための

学術的・社会的要請に応える専門家として、以下の教育と研

究を通して、研究者や、官公庁・企業等で幅広く活躍する人

材を育成する。

森 林 生 物 科 学 専 修:森林生態系管理に関わる社会経済的、

工学的、生物学的知見を基盤として、森林生態系を構成する

植物や動物、微生物などの生理的・生態的特性や相互関係、

環境修復等への活用についての教育と研究を行う。

森 林 環 境 資源 科学専修:森林生態系管理に関わる社会経済

的、工学的、生物学的知見を基盤として、森林の環境形成機

能や森林環境の活用、森林資源の持続可能な利用およびそ

れらに関わる制度設計についての教育と研究を行う。

大学院・専攻の目的森 林 科 学 専 攻:森林に関する生物科学、環境科学、資源科

学、社会科学等の分野において世界的水準の教育、研究を

進め、森林の自然の営みや持続的管理に関わる基礎的・応

用的課題を解決できる専門的人材を養成する。

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4 5

スキー講習

行事暦

森林科学基礎実習Ⅰ 千葉 森林科学基礎実習Ⅲ 秩父・富士 森林科学基礎実習Ⅳ 生態水文・          富士・群馬県森林土壌      秩父 森林科学総合    北海道森林風景計画    富士森林政策      富士

森林経理      千葉

2  9

3  45678

9

112

4  56

892

3

進学選択進学予定者へのガイダンス

歓迎会、ガイダンスなど五月祭研究交流会

ソフトボール大会

研究室決定スキー講習

五月祭大学院ガイダンス研究交流会大学院入試ソフトボール大会卒業論文提出・発表スキー講習卒業式

実習に参加することは可能です。特に、他分野から修士・博士課程に入学される方には、森林科学の基礎知識を学ぶことができる学部の講義・実習を受講されることをお勧めします。

学ぶ:進学選択で進学が決定したら、教養学部2年次A1タームから農学部の専門科目の受講を始めます。本格的な講義や演習は3年生になってから始まります。特に、演習林で開講される数多くの現地実習は、森林科学でしか味わえないカリキュラムです。実習中には、汗をかきながら標本やデータを集めるなど、中身は充実しています。また作業終了後には、教員や仲間らと一緒に楽しく盃をかわし、議論する親睦会が、自然発生的に始まります。さらにサマープログラムの実習では、その前後に旅行の予定を組み込む学生も多く、こうしたフィールドでの体験は、卒業後に最も懐かしい思い出になります。

森林生物科学専修および森林環境資源科学専修のカリキュラム

 教養学部 2 年次 A1 ターム以降の両専修の履修科目・カリキュラムは表に示す通りです。卒業までに総数 76 単位を取得する必要があり、教養学部 2 年次 A1・A2 タームで 18 単位以上(農学総合科目、農学基礎科目、農学リテラシー)、課程専門科目から 24 単位以上が必須単位です。 学部教育においてはまず森林・林業について幅広く学び、森林科学の全体像を理解するという点に主眼が置かれています。そのため全体像を学ぶにあたって、両専修で共通して必要と考えられる基本的な講義を課程専門科目として、またこれに対応した実験・実習を専修専門

科目として、どちらも選択必修に設定している点が特徴です。 森林科学教育の最も大きな特徴は、行事予定でも示した各地の演習林やその他の森林での滞在実習が組み込まれている点にあるといえます。これによって講義の理解を深め、また教室では学べなかったことを修得することができます。 また両専修では、卒業論文が必修として組み込まれており、3年次の秋からは森林科学専攻の研究室を1つ選び、卒論指導を受けることになります。選択できる研究室は原則として所属する専修にかかわらず、興味に応じて選ぶことができます。

人口と食糧/生態系の中の人類/土壌圏の科学/水の環境科学/環境と景観の生物学/生物の多様性と進化環境と生物の情報科学/化合物の多様性と生理機能I/化合物の多様性と生理機能II/バイオマス利用学概論森林資源と木材利用/食の安全科学/放射線環境学

動物生態学/植物生態学/森林環境科学汎論

農学リテラシー

環境倫理/生命倫理/技術倫理

森林経理学/造林学/森林政策学/生物環境物理学森林利用学/森林植物学/森林動物学/森林風景計画学

森林科学基礎実習Ⅰ/森林科学基礎実習Ⅱ 森林科学基礎実習Ⅲ/森林科学基礎実習Ⅳ

森林土壌学/森林遺伝育種学/森林生態学/森林水文学/樹木学/自然保護論アジア生物環境学/森林生態圏管理学/自然環境学汎論

森林生態生理学樹木医学野生動物管理論

森林経理学実習/森林土壌学実験/森林政策学演習/森林利用学実習森林風景計画実習 /森林生物科学実験/森林科学総合実習

食と人間/食と健康システム演習/農業環境の放射線影響/バイオマス利用研究特論生物配列解析基礎/ゲノム情報解析基礎/バイオスタティックス基礎論構造バイオインフォマティクス基礎/フードクリエーションサイエンス/フロンティアライフサイエンス生態統計学/サイエンスコミュニケーション/サイエンスコミュニケーション演習自然再生事業モニタリング実習/農学現象の数理科学的理解/ワン・アーソロジーⅠワン・アーソロジーⅡ/ワン・アーソロジーⅢ/Basics for Science Communication in English

森林リモートセンシング/森林計測学/森林評価学森林環境経済学/森林資源経済学/森林社会学国際森林学/砂防工学/森林生産基盤学/森林生産工学景観解析/レクリエーション計画論

基礎有機化学/基礎分析化学/基礎微生物学/分子生物学/基礎生物化学/生物統計学/植物生理学/細胞生物学遺伝学/植物分類・形態学/昆虫学/動物分類学/木質構造科学概論/流れ学/情報工学/基礎高分子化学基礎物理化学/農業資源経済学汎論/農業史概論/ミクロ経済学/動物生理学/応用動物科学概論/集団遺伝学

応用生命科学課程森林生物科学専修

課程・専修科目種別

農学総合科目

農学基礎科目

農学共通科目

課程専門科目

専修専門科目

課程専門科目

専修専門科目

農学展開科目

専修専門科目

年 次 必要単位

16以上22まで

(うち農学総合科目4以上、農学基礎

科目は選択必修2を含む

6以上)

必修2を含む3以上

6以上

12以上

選択必修と合わせて24以上

選択必修と合わせて10以上

8

環境資源科学課程森林環境資源科学専修

卒業論文

注)卒業論文以外の科目は1または2単位

選択

選択

必修

必修

選択必修

選択必修

4年

2年A1・A2

3・4年

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スキー講習

行事暦

森林科学基礎実習Ⅰ 千葉 森林科学基礎実習Ⅲ 秩父・富士 森林科学基礎実習Ⅳ 生態水文・          富士・群馬県森林土壌      秩父 森林科学総合    北海道森林風景計画    富士森林政策      富士

森林経理      千葉

2  9

3  45678

9

112

4  56

892

3

進学選択進学予定者へのガイダンス

歓迎会、ガイダンスなど五月祭研究交流会

ソフトボール大会

研究室決定スキー講習

五月祭大学院ガイダンス研究交流会大学院入試ソフトボール大会卒業論文提出・発表スキー講習卒業式

実習に参加することは可能です。特に、他分野から修士・博士課程に入学される方には、森林科学の基礎知識を学ぶことができる学部の講義・実習を受講されることをお勧めします。

学ぶ:進学選択で進学が決定したら、教養学部2年次A1タームから農学部の専門科目の受講を始めます。本格的な講義や演習は3年生になってから始まります。特に、演習林で開講される数多くの現地実習は、森林科学でしか味わえないカリキュラムです。実習中には、汗をかきながら標本やデータを集めるなど、中身は充実しています。また作業終了後には、教員や仲間らと一緒に楽しく盃をかわし、議論する親睦会が、自然発生的に始まります。さらにサマープログラムの実習では、その前後に旅行の予定を組み込む学生も多く、こうしたフィールドでの体験は、卒業後に最も懐かしい思い出になります。

森林生物科学専修および森林環境資源科学専修のカリキュラム

 教養学部 2 年次 A1 ターム以降の両専修の履修科目・カリキュラムは表に示す通りです。卒業までに総数 76 単位を取得する必要があり、教養学部 2 年次 A1・A2 タームで 18 単位以上(農学総合科目、農学基礎科目、農学リテラシー)、課程専門科目から 24 単位以上が必須単位です。 学部教育においてはまず森林・林業について幅広く学び、森林科学の全体像を理解するという点に主眼が置かれています。そのため全体像を学ぶにあたって、両専修で共通して必要と考えられる基本的な講義を課程専門科目として、またこれに対応した実験・実習を専修専門

科目として、どちらも選択必修に設定している点が特徴です。 森林科学教育の最も大きな特徴は、行事予定でも示した各地の演習林やその他の森林での滞在実習が組み込まれている点にあるといえます。これによって講義の理解を深め、また教室では学べなかったことを修得することができます。 また両専修では、卒業論文が必修として組み込まれており、3年次の秋からは森林科学専攻の研究室を1つ選び、卒論指導を受けることになります。選択できる研究室は原則として所属する専修にかかわらず、興味に応じて選ぶことができます。

人口と食糧/生態系の中の人類/土壌圏の科学/水の環境科学/環境と景観の生物学/生物の多様性と進化環境と生物の情報科学/化合物の多様性と生理機能I/化合物の多様性と生理機能II/バイオマス利用学概論森林資源と木材利用/食の安全科学/放射線環境学

動物生態学/植物生態学/森林環境科学汎論

農学リテラシー

環境倫理/生命倫理/技術倫理

森林経理学/造林学/森林政策学/生物環境物理学森林利用学/森林植物学/森林動物学/森林風景計画学

森林科学基礎実習Ⅰ/森林科学基礎実習Ⅱ 森林科学基礎実習Ⅲ/森林科学基礎実習Ⅳ

森林土壌学/森林遺伝育種学/森林生態学/森林水文学/樹木学/自然保護論アジア生物環境学/森林生態圏管理学/自然環境学汎論

森林生態生理学樹木医学野生動物管理論

森林経理学実習/森林土壌学実験/森林政策学演習/森林利用学実習森林風景計画実習 /森林生物科学実験/森林科学総合実習

食と人間/食と健康システム演習/農業環境の放射線影響/バイオマス利用研究特論生物配列解析基礎/ゲノム情報解析基礎/バイオスタティックス基礎論構造バイオインフォマティクス基礎/フードクリエーションサイエンス/フロンティアライフサイエンス生態統計学/サイエンスコミュニケーション/サイエンスコミュニケーション演習自然再生事業モニタリング実習/農学現象の数理科学的理解/ワン・アーソロジーⅠワン・アーソロジーⅡ/ワン・アーソロジーⅢ/Basics for Science Communication in English

森林リモートセンシング/森林計測学/森林評価学森林環境経済学/森林資源経済学/森林社会学国際森林学/砂防工学/森林生産基盤学/森林生産工学景観解析/レクリエーション計画論

基礎有機化学/基礎分析化学/基礎微生物学/分子生物学/基礎生物化学/生物統計学/植物生理学/細胞生物学遺伝学/植物分類・形態学/昆虫学/動物分類学/木質構造科学概論/流れ学/情報工学/基礎高分子化学基礎物理化学/農業資源経済学汎論/農業史概論/ミクロ経済学/動物生理学/応用動物科学概論/集団遺伝学

応用生命科学課程森林生物科学専修

課程・専修科目種別

農学総合科目

農学基礎科目

農学共通科目

課程専門科目

専修専門科目

課程専門科目

専修専門科目

農学展開科目

専修専門科目

年 次 必要単位

16以上22まで

(うち農学総合科目4以上、農学基礎

科目は選択必修2を含む

6以上)

必修2を含む3以上

6以上

12以上

選択必修と合わせて24以上

選択必修と合わせて10以上

8

環境資源科学課程森林環境資源科学専修

卒業論文

注)卒業論文以外の科目は1または2単位

選択

選択

必修

必修

選択必修

選択必修

4年

2年A1・A2

3・4年

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森林の有する多様な機能の発揮は、森林を構成する木

本植物の物質生産と永年性・巨大性という成長特性が

基盤となっている。地球温暖化の顕在化に伴い森林の

機能に対する関心が高まっている一方で、人間活動の

拡大による熱帯林の消失や不適切な利用・管理による

劣化が急激に進んでいる。造林学研究室では、木本植

物に特徴的な性質に着目しながら、主に土壌に関わる

環境ストレスに対する耐性機構や物質生産に関して基

礎的研究を進め、現地の環境に即した森林の育成・維

持管理方法の構築への貢献を目指している。

●GIS を用いた森林管理計画の策定

●京都議定書に即した森林の炭素吸収量の評価

●人工複層林の成長予測モデルの開発

●森林の齢級分布に着目した成熟度の評価

●高解像度リモートセンシングデータを用いた林分構造の解析

●土壌や樹体内の物質移動と代謝

●造林の低コスト化のための育苗技術の開発

●土壌の高温や低温、湛水に対する樹木の反応

●特用林産物の持続的利用のための森林管理手法

●樹体内や林内での放射性物質の動態

助教中島 徹

助教黒河内寛之

准教授(クロスアポイントメント)橋本昌司

●国民経済における林業部門の役割に関する国際比較-計量経済学的分析-

●地域材による木造住宅建設における阻害要因としての都市計画の制度分析

●近代学校林の形成過程の研究-村落自治と教育政策-

●世界遺産・国立公園における森林の持続的利用-地域振興の観点から-

●地域森林整備における施業共同化の合意形成過程

●地球規模の気候形成に与える森林の影響

●水源かん養機能の定量的評価法の開発

●広域・局地環境形成に関係する樹木生理生態学

●土砂移動現象の機構解明や土砂災害対策に関する研究

●陸上生態系の熱・物質循環と水文過程の関係

助教芳賀和樹

教授古井戸宏通

助教小田智基

准教授堀田紀文

教授熊谷朝臣

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森林の有する多様な機能の発揮は、森林を構成する木

本植物の物質生産と永年性・巨大性という成長特性が

基盤となっている。地球温暖化の顕在化に伴い森林の

機能に対する関心が高まっている一方で、人間活動の

拡大による熱帯林の消失や不適切な利用・管理による

劣化が急激に進んでいる。造林学研究室では、木本植

物に特徴的な性質に着目しながら、主に土壌に関わる

環境ストレスに対する耐性機構や物質生産に関して基

礎的研究を進め、現地の環境に即した森林の育成・維

持管理方法の構築への貢献を目指している。

●GIS を用いた森林管理計画の策定

●京都議定書に即した森林の炭素吸収量の評価

●人工複層林の成長予測モデルの開発

●森林の齢級分布に着目した成熟度の評価

●高解像度リモートセンシングデータを用いた林分構造の解析

●土壌や樹体内の物質移動と代謝

●造林の低コスト化のための育苗技術の開発

●土壌の高温や低温、湛水に対する樹木の反応

●特用林産物の持続的利用のための森林管理手法

●樹体内や林内での放射性物質の動態

助教中島 徹

助教黒河内寛之

准教授(クロスアポイントメント)橋本昌司

●国民経済における林業部門の役割に関する国際比較-計量経済学的分析-

●地域材による木造住宅建設における阻害要因としての都市計画の制度分析

●近代学校林の形成過程の研究-村落自治と教育政策-

●世界遺産・国立公園における森林の持続的利用-地域振興の観点から-

●地域森林整備における施業共同化の合意形成過程

●地球規模の気候形成に与える森林の影響

●水源かん養機能の定量的評価法の開発

●広域・局地環境形成に関係する樹木生理生態学

●土砂移動現象の機構解明や土砂災害対策に関する研究

●陸上生態系の熱・物質循環と水文過程の関係

助教芳賀和樹

教授古井戸宏通

助教小田智基

准教授堀田紀文

教授熊谷朝臣

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准教授吉岡拓如

●スマートフォレストリーの可能性と具現化の課題

●木質バイオマスの収集集荷作業システムとサプライチェーンマネジメント

 に関する研究

●林業の作業システムにおけるチェーンソー作業の役割と技術教育

●既存研究からみた林道技術の変遷

●需給マッチング型のサプライチェーン構築における情報の共有と標準化

●動物の生息環境,分布,行動,生活史,移動・分散に関する研究

●動物の種分化や系統進化,種間交雑についての研究

●昆虫の生態や形態の適応に関する研究

●昆虫と植物や微生物との相互作用に関する研究

●有機物分解や栄養塩循環における動物のはたらきに関する研究

●各種ストレスに対する樹木の通水機能維持メカニズムの解明

●都市近郊林における希少植物種の保全手法に関する研究

●樹木葉内生菌の多様性と生態の解明

●菌根菌の生態と共生機能の解明

●樹木病原菌の伝播・蔓延機構の分子生態学的解明

木材はカーボンニュートラルな森林資源である。

この森林資源を環境や生態系、水土保全にも配慮しな

がら、経済的に安全に利用するには高度な専門技術と

総合的な学問体系が要求される。近年は、バイオマス

資源としての収集方法や有効利用などの社会的要請も

高まっている。森林利用学研究室はこれらについて考究

するとともに、森林利用の基盤整備を通じて、森林の保

健休養機能、環境保全機能とも関連させながら、間伐

材搬出システム、総合的な空間利用についても研究分

野を切り開いている。

世界各地で都市化や農地開発等による森林の減少,温

暖化や大気汚染等による樹木の衰退,グローバル化に

伴う侵入病害の流行など,森林生態系への様々な脅威

が報告されている。また,身近な「みどり」を守る「樹木

医」の診断治療の基礎となる「樹木医学」の確立が求め

られている。森林植物学は,森林および森林植物の育

成・保全,樹木病害防除の基礎となる分野であり,現在

は,森林における植物と菌類の生態の解明,樹木個体

の健全性とストレス応答の解明,樹木と微生物の相互

作用の解明の3つの課題に取り組んでいる。

教授福田健二

植物・微生物に関する研究から,森林の健全性維持に貢献する

准教授山本清龍

森林には実に多様な動物種が生息している。それらは

様々な適応を示しながら進化し,森林生態系の中で,消

費者や分解者として植物や微生物と,あるいは動物間

で相互に依存しながら物質循環に大きく関わっている。

しかしながら,動物は樹木に害をもたらし,森林を破壊

してしまうことがある。森林の動物と人間との関わりの

あるべき姿を求めて,森林に生息する昆虫類,土壌動物,

渓流の動物などを対象に,生態学をベースに動物種の

個体群や進化,種間関係や動物群集,生態系や人間活

動との関わりについての研究を幅広く行っている。

●自然地域における風景の保全に関する研究

●地域の生活が創出する風景の保全に関する研究

●都市における緑の取扱いに関する研究

●造園空間や風景と生活との関わりの歴史に関する研究

●観光、レクリエーション地の計画論的研究 助教中村和彦

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准教授吉岡拓如

●スマートフォレストリーの可能性と具現化の課題

●木質バイオマスの収集集荷作業システムとサプライチェーンマネジメント

 に関する研究

●林業の作業システムにおけるチェーンソー作業の役割と技術教育

●既存研究からみた林道技術の変遷

●需給マッチング型のサプライチェーン構築における情報の共有と標準化

●動物の生息環境,分布,行動,生活史,移動・分散に関する研究

●動物の種分化や系統進化,種間交雑についての研究

●昆虫の生態や形態の適応に関する研究

●昆虫と植物や微生物との相互作用に関する研究

●有機物分解や栄養塩循環における動物のはたらきに関する研究

●各種ストレスに対する樹木の通水機能維持メカニズムの解明

●都市近郊林における希少植物種の保全手法に関する研究

●樹木葉内生菌の多様性と生態の解明

●菌根菌の生態と共生機能の解明

●樹木病原菌の伝播・蔓延機構の分子生態学的解明

木材はカーボンニュートラルな森林資源である。

この森林資源を環境や生態系、水土保全にも配慮しな

がら、経済的に安全に利用するには高度な専門技術と

総合的な学問体系が要求される。近年は、バイオマス

資源としての収集方法や有効利用などの社会的要請も

高まっている。森林利用学研究室はこれらについて考究

するとともに、森林利用の基盤整備を通じて、森林の保

健休養機能、環境保全機能とも関連させながら、間伐

材搬出システム、総合的な空間利用についても研究分

野を切り開いている。

世界各地で都市化や農地開発等による森林の減少,温

暖化や大気汚染等による樹木の衰退,グローバル化に

伴う侵入病害の流行など,森林生態系への様々な脅威

が報告されている。また,身近な「みどり」を守る「樹木

医」の診断治療の基礎となる「樹木医学」の確立が求め

られている。森林植物学は,森林および森林植物の育

成・保全,樹木病害防除の基礎となる分野であり,現在

は,森林における植物と菌類の生態の解明,樹木個体

の健全性とストレス応答の解明,樹木と微生物の相互

作用の解明の3つの課題に取り組んでいる。

教授福田健二

植物・微生物に関する研究から,森林の健全性維持に貢献する

准教授山本清龍

森林には実に多様な動物種が生息している。それらは

様々な適応を示しながら進化し,森林生態系の中で,消

費者や分解者として植物や微生物と,あるいは動物間

で相互に依存しながら物質循環に大きく関わっている。

しかしながら,動物は樹木に害をもたらし,森林を破壊

してしまうことがある。森林の動物と人間との関わりの

あるべき姿を求めて,森林に生息する昆虫類,土壌動物,

渓流の動物などを対象に,生態学をベースに動物種の

個体群や進化,種間関係や動物群集,生態系や人間活

動との関わりについての研究を幅広く行っている。

●自然地域における風景の保全に関する研究

●地域の生活が創出する風景の保全に関する研究

●都市における緑の取扱いに関する研究

●造園空間や風景と生活との関わりの歴史に関する研究

●観光、レクリエーション地の計画論的研究 助教中村和彦

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●森林昆虫・動物の個体群動態と生物間相互作用●ゲノム情報を利用した森林圏生物種の地理的変異と 種分化の実態解明

 演習林は、亜寒帯から暖 温帯にまたがる天 然 林と人

工林によって構成された7カ所、合 計3万2千 ヘクター

ルもの 森 林 からなり、森 林 科 学 の 多様 な研 究・教 育の

フィールドとして重要な役割を担っています。

 また、演習林には以下に示すような4つの研究室があ

り、さまざまな分野を専門とする演習林の教員の指導に

より、卒業論文の作成や大学院(森林科学専攻)での研

究を行うことができます。

附属演習林

  森 林 圏を構成 する生物 種の 生 活史、個 体 群 動 態、群

集 構 造、種 間 関 係、生物 間 相 互作用などを広 大な演習

林 のフィールドを 利 用して 理 解し 、生物 多様 性の 保 全、

野 生生物の適切な管 理など、生 態学的管 理の具体的な

手法を構築します。

森林圏生物種の個体群動態や相互作用を探求する

森林圏生態学研究室

●森林経営の自立化に向けた実態把握と分析●森林資源の有効活用を通じた森林環境の整備

 森林生 態 系から人間社 会までを一つの系として捉え、

社会に資する森林を維持・管理していくために必要な情

報を実際のフィールドから収 集・分析し、社 会 制度への

応用や経済的効果についても検 討するなど森林と人間

の関係を総合的に探求します。

森と人との関わりにあらゆる角度から迫る

森林圏生態社会学研究室

●樹木病害の病原体や発病機構、診断に関する研究●樹木の機能や耐性に関わる反応、成分、遺伝子の 探求と利用

 森林 環境下における樹木や微生物などの生命 現象や

相互作用を組織、細胞、遺伝子、活性成分のレベルで研

究し、病害などの生物的ストレスや環 境ストレスと樹木

の応答の探 求、遺伝 子や成分の機能 解明を通して森林

資源の保存・再生や利活用を目指します。

病理・生理・生化学で森林保全と高度利用へ

森林生物機能学研究室

●演習林のフィールドと長期データを用いた森林資源 の管理と計画●山地森林流域の降雨-流出特性とその要因分析

 森林 資 源の 持 続 的な管 理 、森林における水 循環 、森

林・水・人 間の関 係 を主な研 究 対 象としています。利 用

可能な森林 資 源・水資 源の量や利用状 況の変 化を明ら

かにし 、森 林 資 源・水資 源・陸 域 生 態 系 を調 和 的に管

理・育成・保全する手法の確立と社会実装を目指してい

ます。

森林資源、水資源、山地災害の管理手法を確立する

森林流域管理学研究室

准教授則定真利子

●Melaleuca cajuputi のアルミニウム耐性機構(博士)●湛水耐性樹木の光合成産物の輸送と代謝(博士)●生育段階の異なる Melaleuca cajuputi の根の低酸素環境における炭素代謝(修士)

●DNA マーカーを用いた植物と外生菌根菌の集団遺伝構造と繁殖様式に関する研究 ●樹木・菌根菌の共生系の形成機構に関する研究●菌根菌を用いた荒廃地における植生回復に関する研究●外生菌根菌の子実体の形成機構に関する研究

●根の養水分吸水機能の環境ストレス応答●光合成の環境ストレス応答●荒廃地における植栽木の環境ストレス応答

私たちの研究室では、樹木の環境ストレス耐性機構に関する 研 究と熱 帯 荒 廃 地 の 環 境 造 林 に関 する 研 究を同 時 に行っています。これらの 研 究により、樹 木 、森林の理 解を深め、様々なタイプの森林を造 成する技 術の開発を科 学的に支えたいと考えています。

私たちの研究室では、生物多様性の保全・維持管理方法を構築するため、アジアの様々な生 態 系において、植物や菌類などの遺伝的多様 性と繁 殖特性をDNAマーカーによって研究しています。また、樹木と菌根菌の共生系の形成 機構及び外生菌根菌の子実体の形成 機構に関する基礎的研究を行っています。

アジア生物資源環境研究センターは、アジア各地で進行する生物資源の枯渇や環境破壊を食い止めるために、生物資源の持続的利用と環境保全の調和に関する基礎研究と応用的基盤研究を、国際的ネットワークを活用しながら、統合的に推進することを目的としています。本センターは、生態系に配慮した土地利用や未利用生物資源の有効利用を考究する生物環境評価研究部門と、植物の持つ微生物との共生機能やストレス耐性機能を利用した低エネルギー投入型の新たな生物資源利用法を考究する生物資源開発研究部門からなっており、バックグラウンドの異なる8名の専任教員と多くの特任教員、特任研究員が所属しています。森林科学専攻の大学院生は、このうち下記の研究室の教員の指導のもとに研究を行うことができます。

特任講師山ノ下卓

教授練春蘭

植物の遺伝的多様性と繁殖特性の解明・外生菌根菌の生理・生態学

植物は環境の変化に対して形態や代謝の変化を通じて適応することができます。当研 究室では、樹木の環 境 応答 の 仕 組みを探り、その活用方法を考えることによって荒廃地における森林造成のための方法を追求します。

樹木の環境応答と荒廃地造林

樹木環境生理学研究室

森林共生生物学研究室

http://webpark1642.sakura.ne.jp/

Page 11: Forest Science - 東京大学Forest Science 東京大学 農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修 大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻

10 11

●森林昆虫・動物の個体群動態と生物間相互作用●ゲノム情報を利用した森林圏生物種の地理的変異と 種分化の実態解明

 演習林は、亜寒帯から暖 温帯にまたがる天 然 林と人

工林によって構成された7カ所、合 計3万2千 ヘクター

ルもの 森 林 からなり、森 林 科 学 の 多様 な研 究・教 育の

フィールドとして重要な役割を担っています。

 また、演習林には以下に示すような4つの研究室があ

り、さまざまな分野を専門とする演習林の教員の指導に

より、卒業論文の作成や大学院(森林科学専攻)での研

究を行うことができます。

附属演習林

  森 林 圏を構成 する生物 種の 生 活史、個 体 群 動 態、群

集 構 造、種 間 関 係、生物 間 相 互作用などを広 大な演習

林 のフィールドを 利 用して 理 解し 、生物 多様 性の 保 全、

野 生生物の適切な管 理など、生 態学的管 理の具体的な

手法を構築します。

森林圏生物種の個体群動態や相互作用を探求する

森林圏生態学研究室

●森林経営の自立化に向けた実態把握と分析●森林資源の有効活用を通じた森林環境の整備

 森林生 態 系から人間社 会までを一つの系として捉え、

社会に資する森林を維持・管理していくために必要な情

報を実際のフィールドから収 集・分析し、社 会 制度への

応用や経済的効果についても検 討するなど森林と人間

の関係を総合的に探求します。

森と人との関わりにあらゆる角度から迫る

森林圏生態社会学研究室

●樹木病害の病原体や発病機構、診断に関する研究●樹木の機能や耐性に関わる反応、成分、遺伝子の 探求と利用

 森林 環境下における樹木や微生物などの生命 現象や

相互作用を組織、細胞、遺伝子、活性成分のレベルで研

究し、病害などの生物的ストレスや環 境ストレスと樹木

の応答の探 求、遺伝 子や成分の機能 解明を通して森林

資源の保存・再生や利活用を目指します。

病理・生理・生化学で森林保全と高度利用へ

森林生物機能学研究室

●演習林のフィールドと長期データを用いた森林資源 の管理と計画●山地森林流域の降雨-流出特性とその要因分析

 森林 資 源の 持 続 的な管 理 、森林における水 循環 、森

林・水・人 間の関 係 を主な研 究 対 象としています。利 用

可能な森林 資 源・水資 源の量や利用状 況の変 化を明ら

かにし 、森 林 資 源・水資 源・陸 域 生 態 系 を調 和 的に管

理・育成・保全する手法の確立と社会実装を目指してい

ます。

森林資源、水資源、山地災害の管理手法を確立する

森林流域管理学研究室

准教授則定真利子

●Melaleuca cajuputi のアルミニウム耐性機構(博士)●湛水耐性樹木の光合成産物の輸送と代謝(博士)●生育段階の異なる Melaleuca cajuputi の根の低酸素環境における炭素代謝(修士)

●DNA マーカーを用いた植物と外生菌根菌の集団遺伝構造と繁殖様式に関する研究 ●樹木・菌根菌の共生系の形成機構に関する研究●菌根菌を用いた荒廃地における植生回復に関する研究●外生菌根菌の子実体の形成機構に関する研究

●根の養水分吸水機能の環境ストレス応答●光合成の環境ストレス応答●荒廃地における植栽木の環境ストレス応答

私たちの研究室では、樹木の環境ストレス耐性機構に関する 研 究と熱 帯 荒 廃 地 の 環 境 造 林 に関 する 研 究を同 時 に行っています。これらの 研 究により、樹 木 、森林の理 解を深め、様々なタイプの森林を造 成する技 術の開発を科 学的に支えたいと考えています。

私たちの研究室では、生物多様性の保全・維持管理方法を構築するため、アジアの様々な生 態 系において、植物や菌類などの遺伝的多様 性と繁 殖特性をDNAマーカーによって研究しています。また、樹木と菌根菌の共生系の形成 機構及び外生菌根菌の子実体の形成 機構に関する基礎的研究を行っています。

アジア生物資源環境研究センターは、アジア各地で進行する生物資源の枯渇や環境破壊を食い止めるために、生物資源の持続的利用と環境保全の調和に関する基礎研究と応用的基盤研究を、国際的ネットワークを活用しながら、統合的に推進することを目的としています。本センターは、生態系に配慮した土地利用や未利用生物資源の有効利用を考究する生物環境評価研究部門と、植物の持つ微生物との共生機能やストレス耐性機能を利用した低エネルギー投入型の新たな生物資源利用法を考究する生物資源開発研究部門からなっており、バックグラウンドの異なる8名の専任教員と多くの特任教員、特任研究員が所属しています。森林科学専攻の大学院生は、このうち下記の研究室の教員の指導のもとに研究を行うことができます。

特任講師山ノ下卓

教授練春蘭

植物の遺伝的多様性と繁殖特性の解明・外生菌根菌の生理・生態学

植物は環境の変化に対して形態や代謝の変化を通じて適応することができます。当研 究室では、樹木の環 境 応答 の 仕 組みを探り、その活用方法を考えることによって荒廃地における森林造成のための方法を追求します。

樹木の環境応答と荒廃地造林

樹木環境生理学研究室

森林共生生物学研究室

http://webpark1642.sakura.ne.jp/

Page 12: Forest Science - 東京大学Forest Science 東京大学 農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修 大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻

12 13

 学部卒業後の進路としては、大学院

農学生命科学研究科・森林科学専攻

(演習林、アジア生物資源環境研究セ

ンターを含む)修士課程への進学が約

半数余と最も多く、学部卒業の段階で就

職を選択する学生は4割程度となってい

ます。専門を活かした就職先としては、

林野庁や環境省、国土交通省などの中

央官庁や、地方公共団体などが代表的

です。なお進学先としては森林科学専攻

以外に、森林科学出身の教員が活躍す

る、東京大学大学院農学生命科学研究

科の農 学 国 際 専 攻および生 圏システム

学 専 攻、さらに大学院新領域創成科学

研究科の自然 環 境 学 専 攻など、森林科

学に関連するより多様な研究分野への

進学例もあります。

 修士課程終了後の進路としては、博士

課程への進学が約1/5と最も多くなっ

ています。行政及び公共的機関への就職

としては、学部卒業後の進路と同様に中

央官庁や地方公共団体のほか、(独)森

林総合研究所をはじめとした研究機関

や公益法人への就職も目立ちます。民間

への就職は幅広い業種にわたって行わ

れていますが、製紙・林業分野などの関

連分野や、商社の木材部門、シンクタン

クやコンサルタントの環境部門など、専

門性を活かして各分野の関連部門に就

職する例が多くみられます。

 博士課程終了後の進路は、各大学の

教員、研究機関の研究員、学術振興会

特別研究員や各種プロジェクトの博士

研究員(ポスドク)など、研究職への就

職が中心となっています。

長谷川学(林野庁 平成22年修了) 林野庁

 私は昔から山が好きであちこち登っていましたが、森林科学専攻に足を踏み入れたきっかけは、実は教養学部で受けた景

観の授業に感銘を受けたことでした。大学院では森林風致計画学研究室にて、森林のみならず都市空間まで含め景観、観光、

公園、自然保護など人と自然の関わりについて幅広く学んできましたが、林野庁職員となった現在はその経験が大いに活か

されていると思います。

 森林とひとことで言っても、森林資源管理、治山治水、生態系保全、木材・住宅産業、バイオマスエネルギー、自然公園、グリーン

ツーリズム、まちづくりなど、また国外では適切な森林管理や地球環境問題解決のための国際的スキームに至るまで、社会の本当

に様々な場面で関わっています。斜陽産業と言われていた日本の林業も、いまや成長産業のひとつとして注目され、持続可能な地

域社会を形成する上でも重要な位置づけとなっています。もちろん課題も多くありますが、これからの可能性に満ちている分野です。

 森が好き、街が好き、旅が好きな私としては大変面白い、やりがいのある仕事と感じています。森を歩き、ふと気づいた

小さな事柄が社会を変えていくヒントとなるような、そんな森林科学の分野で皆さんも可能性を広げてみませんか。学部卒業後の進路(2015~2019年:83名)学部卒業後の進路

(2015~2019年:83名)

修士課程修了後の進路(2015~2019年:71名)修士課程修了後の進路(2015~2019年:71名)運輸・観光3名 (4%)運輸・観光3名 (4%)

民間その他8名 (11%)民間その他8名 (11%)

コンサルタント4名 (6%)コンサルタント4名 (6%)

情報通信4名 (6%)情報通信4名 (6%)

商社・金融8名 (11%)商社・金融8名 (11%) 製造2名 (3%)製造

2名 (3%)

林業・林産5名 (7%)林業・林産5名 (7%)

官公庁12名 (17%)官公庁12名 (17%)

博士課程進学16名 (22%)博士課程進学16名 (22%)

その他9名 (13%)その他9名 (13%)

民間22名 (27%)民間22名

(27%)

官公庁7名 (8%)官公庁7名 (8%)

修士課程等進学51名 (61%)修士課程等進学

51名 (61%)

その他3名 (4%)その他3名 (4%)

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12 13

 学部卒業後の進路としては、大学院

農学生命科学研究科・森林科学専攻

(演習林、アジア生物資源環境研究セ

ンターを含む)修士課程への進学が約

半数余と最も多く、学部卒業の段階で就

職を選択する学生は4割程度となってい

ます。専門を活かした就職先としては、

林野庁や環境省、国土交通省などの中

央官庁や、地方公共団体などが代表的

です。なお進学先としては森林科学専攻

以外に、森林科学出身の教員が活躍す

る、東京大学大学院農学生命科学研究

科の農 学 国 際 専 攻および生 圏システム

学 専 攻、さらに大学院新領域創成科学

研究科の自然 環 境 学 専 攻など、森林科

学に関連するより多様な研究分野への

進学例もあります。

 修士課程終了後の進路としては、博士

課程への進学が約1/5と最も多くなっ

ています。行政及び公共的機関への就職

としては、学部卒業後の進路と同様に中

央官庁や地方公共団体のほか、(独)森

林総合研究所をはじめとした研究機関

や公益法人への就職も目立ちます。民間

への就職は幅広い業種にわたって行わ

れていますが、製紙・林業分野などの関

連分野や、商社の木材部門、シンクタン

クやコンサルタントの環境部門など、専

門性を活かして各分野の関連部門に就

職する例が多くみられます。

 博士課程終了後の進路は、各大学の

教員、研究機関の研究員、学術振興会

特別研究員や各種プロジェクトの博士

研究員(ポスドク)など、研究職への就

職が中心となっています。

長谷川学(林野庁 平成22年修了) 林野庁

 私は昔から山が好きであちこち登っていましたが、森林科学専攻に足を踏み入れたきっかけは、実は教養学部で受けた景

観の授業に感銘を受けたことでした。大学院では森林風致計画学研究室にて、森林のみならず都市空間まで含め景観、観光、

公園、自然保護など人と自然の関わりについて幅広く学んできましたが、林野庁職員となった現在はその経験が大いに活か

されていると思います。

 森林とひとことで言っても、森林資源管理、治山治水、生態系保全、木材・住宅産業、バイオマスエネルギー、自然公園、グリーン

ツーリズム、まちづくりなど、また国外では適切な森林管理や地球環境問題解決のための国際的スキームに至るまで、社会の本当

に様々な場面で関わっています。斜陽産業と言われていた日本の林業も、いまや成長産業のひとつとして注目され、持続可能な地

域社会を形成する上でも重要な位置づけとなっています。もちろん課題も多くありますが、これからの可能性に満ちている分野です。

 森が好き、街が好き、旅が好きな私としては大変面白い、やりがいのある仕事と感じています。森を歩き、ふと気づいた

小さな事柄が社会を変えていくヒントとなるような、そんな森林科学の分野で皆さんも可能性を広げてみませんか。学部卒業後の進路(2015~2019年:83名)学部卒業後の進路

(2015~2019年:83名)

修士課程修了後の進路(2015~2019年:71名)修士課程修了後の進路(2015~2019年:71名)運輸・観光3名 (4%)運輸・観光3名 (4%)

民間その他8名 (11%)民間その他8名 (11%)

コンサルタント4名 (6%)コンサルタント4名 (6%)

情報通信4名 (6%)情報通信4名 (6%)

商社・金融8名 (11%)商社・金融8名 (11%) 製造2名 (3%)製造

2名 (3%)

林業・林産5名 (7%)林業・林産5名 (7%)

官公庁12名 (17%)官公庁12名 (17%)

博士課程進学16名 (22%)博士課程進学16名 (22%)

その他9名 (13%)その他9名 (13%)

民間22名 (27%)民間22名

(27%)

官公庁7名 (8%)官公庁7名 (8%)

修士課程等進学51名 (61%)修士課程等進学

51名 (61%)

その他3名 (4%)その他3名 (4%)

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14 15

大崎 学(宝酒造株式会社 平成18年修了) メーカー

運輸

林業・林産

 幼少時代から実家の裏山を駆け回り、時には山菜採りやキノコ狩りを楽しんでいた私にとって、森林科学は自然と惹かれ

る学問であり進学を決めました。

 学部時代を振り返り、真っ先に思い出されるのは、広大なフィールドで行われた実習の数々です。千葉・秩父・北海道な

ど全国各地にある演習林で、広大な自然に生きる動植物を目の当たりにし、非常に感動を覚えました。そして実習の夜には、

広大な自然に囲まれて飲むお酒の奥深い味に、感動を覚えたように思います(笑)。

 研究室は森林植物学研究室に所属し、大学院修士課程まで進みました。卒業論文、修士論文ともいわゆるキノコについて

のテーマを選び、森林における菌の果たす役割の重要性について学ぶことが出来ました。

 そして現在、私は酒造メーカーの研究部門で働いていますが、お酒の原料となる穀物や、お酒を造るのに欠かせない麹菌

や酵母といった微生物に関する研究業務を進めていると、森林科学の研究対象である樹木やキノコについての知識が活きる

場面が意外にもあることに気付きます。そんな時、学生時代にもっと真面目に勉強しておけば良かったという思いに駆られ

たりする一方で、森林科学で学んだことが仕事の中にも活かされているということを実感します。

吉里啓一郎(九州電力 平成20年修了) エネルギー

コンサルタント等

コンサルタント等

 熊本の豊かな森林に囲まれて育った経験や、それに対する感謝の気持ちから、森林科学に志しました。実習等で

実物を見たり、現象を目の当たりにするところから学問や研究が広がっていくというスタイルが、私の気質に合っ

ていたと思います。

 森林科学を専攻したことで、森林が持つ多様な機能を知り、人が森林にどのような影響を与え、また人が森林を

利用することでどのような価値を得られるかを学ぶことができました。社会に出てからも、大学で学んだことを話

すと、興味深く聞いてくれる人達がたくさんいて、人に森林の尊さを伝えたり、一緒に考えたりできることは、私

の喜びの一つです。

 私が勤めている九州電力は、電気の安定供給を通して、九州の生活や社会に役立てるよう努力しています。一方

で、エネルギー産業に携わる事業者として、地球環境問題や資源エネルギーの問題と密接に関わっており、どう対

応していくかが大きな課題になっています。そのような中で、森林科学専攻で学んだ「資源の利用と環境保全の両

立を目指す精神」を持って仕事に取り組むことが、林学OBとしての私の使命だと考えています。

宇部真広(商工組合中央金庫 平成25年卒業) 金融

 文科三類に入ってみたものの、文系の専門科目にはあまり興味が湧かない。だったら思い切って理科系の分野に飛び込も

う。そういえば自分、森だとか自然が好きだったな。そんな(やや短絡的な)考えから森林科学への進学を決めました。理

科系の分野と言ったものの、林学は文理の垣根が低い、総合学習的な要素が強い学問であったと思います。生物学的要素は

もちろん、工学的要素、社会学的要素、経済学的要素etc…。私は造林学研究室で、熱帯の樹木に関する研究を専攻しました。

 一番思い出深いのは、演習林での実習。自分の足でデータを集め、分析したうえで一つの結果をアウトプットする作業か

らは、とてつもない達成感を味わえます。また卒業研究・卒論作成にあたっては、指導教員のもと論理構築の訓練を重ね、

研究者としての論理の組立て方を学びました。今の仕事でも、顧客交渉等でこの力を発揮できていればいいなあと思います。

 現在は中小企業向けの金融業務に携わっています。残念ながら、林学の知識が直接に仕事で活かされたことは今のところ

ありませんが、いつかは森林に関わる産業の成長を、金融面で後押ししたいですね。

吉田斉正(JR東日本 平成13年修了)

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14 15

大崎 学(宝酒造株式会社 平成18年修了) メーカー

運輸

林業・林産

 幼少時代から実家の裏山を駆け回り、時には山菜採りやキノコ狩りを楽しんでいた私にとって、森林科学は自然と惹かれ

る学問であり進学を決めました。

 学部時代を振り返り、真っ先に思い出されるのは、広大なフィールドで行われた実習の数々です。千葉・秩父・北海道な

ど全国各地にある演習林で、広大な自然に生きる動植物を目の当たりにし、非常に感動を覚えました。そして実習の夜には、

広大な自然に囲まれて飲むお酒の奥深い味に、感動を覚えたように思います(笑)。

 研究室は森林植物学研究室に所属し、大学院修士課程まで進みました。卒業論文、修士論文ともいわゆるキノコについて

のテーマを選び、森林における菌の果たす役割の重要性について学ぶことが出来ました。

 そして現在、私は酒造メーカーの研究部門で働いていますが、お酒の原料となる穀物や、お酒を造るのに欠かせない麹菌

や酵母といった微生物に関する研究業務を進めていると、森林科学の研究対象である樹木やキノコについての知識が活きる

場面が意外にもあることに気付きます。そんな時、学生時代にもっと真面目に勉強しておけば良かったという思いに駆られ

たりする一方で、森林科学で学んだことが仕事の中にも活かされているということを実感します。

吉里啓一郎(九州電力 平成20年修了) エネルギー

コンサルタント等

コンサルタント等

 熊本の豊かな森林に囲まれて育った経験や、それに対する感謝の気持ちから、森林科学に志しました。実習等で

実物を見たり、現象を目の当たりにするところから学問や研究が広がっていくというスタイルが、私の気質に合っ

ていたと思います。

 森林科学を専攻したことで、森林が持つ多様な機能を知り、人が森林にどのような影響を与え、また人が森林を

利用することでどのような価値を得られるかを学ぶことができました。社会に出てからも、大学で学んだことを話

すと、興味深く聞いてくれる人達がたくさんいて、人に森林の尊さを伝えたり、一緒に考えたりできることは、私

の喜びの一つです。

 私が勤めている九州電力は、電気の安定供給を通して、九州の生活や社会に役立てるよう努力しています。一方

で、エネルギー産業に携わる事業者として、地球環境問題や資源エネルギーの問題と密接に関わっており、どう対

応していくかが大きな課題になっています。そのような中で、森林科学専攻で学んだ「資源の利用と環境保全の両

立を目指す精神」を持って仕事に取り組むことが、林学OBとしての私の使命だと考えています。

宇部真広(商工組合中央金庫 平成25年卒業) 金融

 文科三類に入ってみたものの、文系の専門科目にはあまり興味が湧かない。だったら思い切って理科系の分野に飛び込も

う。そういえば自分、森だとか自然が好きだったな。そんな(やや短絡的な)考えから森林科学への進学を決めました。理

科系の分野と言ったものの、林学は文理の垣根が低い、総合学習的な要素が強い学問であったと思います。生物学的要素は

もちろん、工学的要素、社会学的要素、経済学的要素etc…。私は造林学研究室で、熱帯の樹木に関する研究を専攻しました。

 一番思い出深いのは、演習林での実習。自分の足でデータを集め、分析したうえで一つの結果をアウトプットする作業か

らは、とてつもない達成感を味わえます。また卒業研究・卒論作成にあたっては、指導教員のもと論理構築の訓練を重ね、

研究者としての論理の組立て方を学びました。今の仕事でも、顧客交渉等でこの力を発揮できていればいいなあと思います。

 現在は中小企業向けの金融業務に携わっています。残念ながら、林学の知識が直接に仕事で活かされたことは今のところ

ありませんが、いつかは森林に関わる産業の成長を、金融面で後押ししたいですね。

吉田斉正(JR東日本 平成13年修了)

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教務課専攻支援チーム森林科学担当

教務課森林科学担当

森林理水及び砂防工学

森林科学への招待Forest ScienceForest Science

東京大学農学部 森林生物科学専修/森林環境資源科学専修

大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻

2020-212020-21