我らボトムリーガー - BIGLOBEbyogaku/rugby/Rugby_comics... · 作者の解説...

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作者の解説

我らボトムリーガー 私は高校の 3 年間、ラグビー部に所属していました。身体的にも運動神経にも恵まれていない私でした

が、何故かラグビーにすっかりはまってしまい、そのせいで二浪をする羽目になりました。その上、左

変形性股関節症という病気にかかり大学 2 年の夏に 3 か月ほど入院生活を送ることになったのでした。

しかし、患部以外は元気そのものだったので、すっかり時間を持て余した私は紙とペンを用意して、見

様見真似でひとコマ漫画を描き始めました。作品は看護婦やラグビーなど、身近なものをテーマにした

シリーズものでした。

それから 40 年以上が経って再び時間に余裕のできた私は、もう一度ラグビーをテーマに漫画を描こう

と思い立ったのです。現在、日本のラグビー界は社会人チーム主体のトップリーグを頂点に、関東や関

西などの大学チームがそれぞれのリーグを構成し、毎年正月には花園ラグビー場で高校生チームが日本

一を競っています。また 2013 年にはオールジャパンがウェールズを破るなど、2019 年に日本で開

催されるワールドカップに向けて世界との距離を少しずつ縮めているように思われます。

そんな日本ラグビー界の頂点を構成するチームと対極にある、草の根のラグビー界でプレーをする選手

たちをテーマに少しずつ描きためていくつもりですので、お楽しみいただければ幸いです。

(林 正彦)

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作者の解説

地獄の特訓 鈍足で体力のない私にとって毎日の練習はこたえましたが、それでも何とかこなしていました。しかし、

夏合宿の厳しさはその比ではありません。

毎日の午前と午後の練習の前後に、ランパス(ランニングパスの略、一方のゴールラインから他方のゴ

ールラインまで、横一列に並んでパスをしながら全力で走り抜ける練習)を、通常の倍以上の本数をさ

せられました。やがて足はもつれ、息は上がって、立っているのもやっと…の状態になりますが、それ

でもわが身に鞭打って走り続けなければならないのでした。

そんな状況を表現しようと思い、いろいろ考えているうちにこの画のようなイメージが浮かんできまし

た。もちろん現実にはありえませんが、気分としてはまさにこんなところです。

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作者の解説

ハカ 「ハカ」とは、太平洋に浮かぶ島国であるトンガ、サモア、フィジーなどで、原住民の戦士が相手を威

嚇するための舞を起源とする、ラグビーの試合前のパフォーマンスのことです。日本ではニュージーラ

ンド代表(オールブラックス)が国際試合の前に行う、マオリ族のハカが有名です。彼らが相手チーム

に向かって目を剥き、大きく口を開き、舌を出して挑発する表情には、とても日本人には真似のできな

い迫力があります。

日本では、ハカや、それに類するパフォーマンスを行うチームは無いと思います。試合開始前、それぞ

れのポジションに付いてキックオフを待つ時は、どのような試合であっても一番緊張する一瞬で、特に

レシーブ側にいる時は「どうか俺のところには球が飛んでくるな!」と祈るような気持ちになったもの

でした。

しかし、そんな緊張感溢れる時間であればあるほど、相手チームが突然エグザイルのようなダンスを踊

り出したらどうだろうか? などと、つい想像してしまいます。一心不乱にダンスを踊るチームを前に

して、レフリーや相手プレーヤーはさぞかし困惑することでしょう。

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作者の解説

トンズラ “スクラム“というのはラグビー独特のルールで、ボールを前に落とす”ノックオン“や、ボールを自

分より前にいる味方にパスする”スローフォワード“などの軽微な反則があった場合に、試合を再開す

るためのセットプレーです。

両チーム 8 名ずつのフォワードが組み合って押し合い、真ん中に投げ込まれたボールを取り合うもので

す。スクラムの 1 列目は 3 名と決められており、2 列目は 4 名、最後尾の 3 列目に 1 名というフォー

メーションが一般的です。フォワードの選手は大柄な方が有利なのはもちろんですが、特に最前列の 3

名は敵・味方両方からの圧力を受け止めなければならないので、一流のチームではプロレスラーのよう

な選手が揃っています。

私も 1 列目の経験がありますが、強豪チームが相手の時などはまるでコンクリートとスクラムを組んで

いるような錯覚に陥りました。とはいえ、こればかりは素質のない者が多少努力をしたところでどうに

かなるものでもなく、その場から逃げ出しせればどんなに楽だろうか…と思ったものでした。

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ラック ラグビーのゲームで、特に分かりづらいルールのひとつが“ラック”でしょう。これは簡単にいえばボ

ールを持つプレーヤーがタックルを受けて倒れた後、両チームのプレーヤーが密集を形成してボールを

奪い合うプレーことです。

ラックがルールに明確に定義されたのはおそらく 1980 年頃で、それ以前はルーズスクラムと呼んで

いたように思います。ボールを持って敵陣目がけて走るプレーヤーがタックルで倒されたあと、両チー

ムのプレーヤーが集まってもみ合いが始まります。そしてスムーズにボールが出れば次の攻撃につなが

ります。一方、倒されたプレーヤーがボールを離さなかったり、ラックに参加したプレーヤーがボール

の上に覆いかぶさったりして球出しを妨げた場合はペナルティをとられます。またラックの中でボール

が守備側に奪われる“ターンオーバー”も珍しくありません。

しかしスタンドから見ていると、ラックの中で何が行われているかはほとんど分かりません。レフリー

の眼を盗んで相手を小突いたり蹴っ飛ばしたり…といったことも珍しくないのでは、と愚考しておりま

すが、まさか、ノーサイド精神を発揮して旧交を温めようと目論んだりはしないですよね!

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作者の解説

ラグビージャージ ラグビーの選手が着用するユニフォームのことを“ラグビージャージ”(または単に“ジャージ”)とい

います。最近の日本代表のジャージは、国際大会ごとに赤・白を基調にしたいろいろなデザインが採用

されているようです。また日本の象徴として常に桜の花のエンブレムがついていますが、併せてスポン

サーの商品名をつけることも普通になっています。

日本でラグビージャージというと虎のような横縞を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

かつては日本代表のジャージも赤と白の横縞でしたが、それはラグビー後進国であった日本が代表のジ

ャージを作る際に無地で単色のデザインはすでに先進国に採用されていたので、やむを得ず2色の横縞

のデザインにしたためだった、と聞いたことがあります。またこれに影響されて早・慶・明など国内の

大学がそれぞれのスクールカラーを配した横縞のデザインを採用したことで、日本では“ラグビージャ

ージといえば横縞”というイメージが定着したのではないでしょうか。

一方、トップリーグでは横縞はむしろ少数派で、赤、青、黄色などの鮮やかな色を基調にしたシンプル

なデザインが多いようです。ちなみに、ラグビージャージにカラフルな色彩が多いのは、試合中に密集

のなかで瞬時に敵味方を判別しやすい…という理由からなのだそうです。

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作者の解説

スクラム ラグビーでは、ノックオン、スローフォワードなどの軽い反則の後、あるいはモールやラックで密集か

らボールが出ない場合に、ゲームを再開するため両チームのフォワードが組んで押し合う「スクラム」

というプレーがあります。一般にはフォワード 8 人ずつが組み合います。ルールで最前列の「フロント

ロー」は 3 名と決められていますが、それ以外は特に制約はないようです。フロントローの真ん中のプ

レーヤーをフッカーと呼び、スクラムハーフが投げ入れるボールを足で掻き出すフッキングが主な役目

です。フッカーの両側のプレーヤーはプロップと呼ばれ、両チームの押す力に耐えなければならないの

で、皆プロレスラーのような体格をしています。

その後ろにはロックと呼ばれる長身のプレーヤーが 2 名、プロップとフッカーのお尻の間に首を突っ込

みますが、フロントローとロックの 5 名はスクラムの力が分散しないように、特にしっかりとバインド

する必要があります。私がプレーをしていた時代は、ロックは外側の肩と腕でプロップのお尻を抱え込

むようにバインドしていました。しかし最近は、外側の腕はプロップの股間を通してプロップの前方で

ジャージと短パンをつかむようにバインドするのが一般的のようです。このバインド方法が採用され始

めた当時は、プロップの股間にロックが手を通す仕草に違和感を拭いきれず、つい良からぬ想像をして

いたものでした。