アンゴラ共和国月報1 アンゴラ共和国月報 2018年10月号...

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1 アンゴラ共和国月報 2018年10月号 在アンゴラ日本国大使館 主な出来事 【内政】 ●政府主導の不法移民・ダイヤモンド対策が開始され,主にルンダ・ノルテ州において行わ れていた不法ダイヤモンドビジネスが解体され,合計で40万人近い外国人がアンゴラを自主 的に退去した。 ●25日,海外資産還元の議論に関連し,財産の強制還元と損失拡大に関する法案が閣議 承認され,今後国会における議決に進む。 【外交】 ●6~7日の日程でアウグスト外務大臣がTICAD準備会合参加のため訪日し,河野外務大 臣と会談を行った。 ●8~10日の日程でロウレンソ大統領が国賓として訪中。諸協定に加え,20億米ドルのクレ ジットラインの供与に関する合意を締結。 【経済】 ●IMFは今年のアンゴラ経済成長率を2.2%からマイナス0.1%に下方修正。 ●アンゴラ中央銀行によれば,2017末時点での政府債務高は785億7000万ドルであり, アンゴラGDPの71.04%に相当する。 内政 1.新保健副大臣の任命 2日,ロウレンソ大統領は,ヴァレンティン・ アルティノ・デ・シャンタル・マティアス保健副 大臣(病院担当)を罷免し,同職にレオナルド・ エウロペウ・インセンシオ氏(現ジョジナ・マシ ェル病院院長)を任命(AP 10/3)2.地方分権化 新しい大統領令が署名され,各省及び州政府レ ベルで決定出来る公共支出の限度が20億クワン ザ(これまでは10億クワンザ)に増加した。市 政府レベルにおいても10億クワンザ(これまで は3億2000万クワンザ)までの公共支出の決 裁権限が与えられる。同大統領令は,分権化・脱 官僚主義のプロセス具現化のためのもの(JA 10/3)3.不法移民・ダイヤモンド対策 (1)アンゴラ国家警察は,3日,ルンダ・ノル テ州で実施された「透明性オペレーション (Operacao Transparencia)」において,3千のダ イヤモンド,8万米ドル,250万クワンザを押 収した。同オペレーションのスポークスマンによ れば,この度,全国のダイヤモンド産出地におい て実施される同捜査の目的は,不法移民,ダイヤ モンドの不法な採掘及び取引を撲滅することであ (JA 10/4)(2)9日,アンゴラ国家警察は,ルンダ・ノル テ州でダイヤモンド採掘を行っていた約18万人 のコンゴ(民)人が自主的に国外退去したと発表。 アンゴラ国内の7州において,15日前から開始 された「透明性オペレーション(Operacao Transparencia)」により,アンゴラ政府は,1, 804カラットに相当するとされる31,742 のダイヤモンド原石を押収し,120のダイヤモ

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Page 1: アンゴラ共和国月報1 アンゴラ共和国月報 2018年10月号 在アンゴラ日本国大使館 主な出来事 【内政】 政府主導の不法移民・ダイヤモンド対策が開始され,主にルンダ・ノルテ州において行わ

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アンゴラ共和国月報

2018年10月号

在アンゴラ日本国大使館

主な出来事

【内政】

●政府主導の不法移民・ダイヤモンド対策が開始され,主にルンダ・ノルテ州において行わ

れていた不法ダイヤモンドビジネスが解体され,合計で40万人近い外国人がアンゴラを自主

的に退去した。

●25日,海外資産還元の議論に関連し,財産の強制還元と損失拡大に関する法案が閣議

承認され,今後国会における議決に進む。

【外交】

●6~7日の日程でアウグスト外務大臣がTICAD準備会合参加のため訪日し,河野外務大

臣と会談を行った。

●8~10日の日程でロウレンソ大統領が国賓として訪中。諸協定に加え,20億米ドルのクレ

ジットラインの供与に関する合意を締結。

【経済】

●IMFは今年のアンゴラ経済成長率を2.2%からマイナス0.1%に下方修正。

●アンゴラ中央銀行によれば,2017末時点での政府債務高は785億7000万ドルであり,

アンゴラGDPの71.04%に相当する。

内政

1.新保健副大臣の任命

2日,ロウレンソ大統領は,ヴァレンティン・

アルティノ・デ・シャンタル・マティアス保健副

大臣(病院担当)を罷免し,同職にレオナルド・

エウロペウ・インセンシオ氏(現ジョジナ・マシ

ェル病院院長)を任命(AP 10/3)。

2.地方分権化

新しい大統領令が署名され,各省及び州政府レ

ベルで決定出来る公共支出の限度が20億クワン

ザ(これまでは10億クワンザ)に増加した。市

政府レベルにおいても10億クワンザ(これまで

は3億2000万クワンザ)までの公共支出の決

裁権限が与えられる。同大統領令は,分権化・脱

官僚主義のプロセス具現化のためのもの(JA

10/3)。

3.不法移民・ダイヤモンド対策

(1)アンゴラ国家警察は,3日,ルンダ・ノル

テ州で実施された「透明性オペレーション

(Operacao Transparencia)」において,3千のダ

イヤモンド,8万米ドル,250万クワンザを押

収した。同オペレーションのスポークスマンによ

れば,この度,全国のダイヤモンド産出地におい

て実施される同捜査の目的は,不法移民,ダイヤ

モンドの不法な採掘及び取引を撲滅することであ

る(JA 10/4)。

(2)9日,アンゴラ国家警察は,ルンダ・ノル

テ州でダイヤモンド採掘を行っていた約18万人

のコンゴ(民)人が自主的に国外退去したと発表。

アンゴラ国内の7州において,15日前から開始

された「透明性オペレーション(Operacao

Transparencia)」により,アンゴラ政府は,1,

804カラットに相当するとされる31,742

のダイヤモンド原石を押収し,120のダイヤモ

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ンド取引所を閉鎖した(この内3つの取引所はア

ンゴラ人が経営していた)(OBS 10/9)。

(3)「透明性オペレーション(Operação

Transparência)」を通じ,過去一ヶ月以内に約3

8万人の外国人移民(主にコンゴ(民)からの移

民)がアンゴラを後にした。ペドロ・セバスチャ

ン大統領府武官長は,外国人移民は自らの意思で

出国したと述べている。本件に関してコンゴ(民)

政府はアンゴラ政府に対し,大きな憤りと抗議の

意志を表明している(OBS 10/21)。

(4)9月25日以降,政府は「透明性オペレー

ション(operacao transparencia)」を通じて,

今月19日時点で,200の不法ダイヤモンド取

引所及び67の不法共同組合を閉鎖してきている。

同オペレーションは全国レベルで不法移民及びダ

イヤモンド密輸の取締りを行うことが目的である。

犯罪捜査局(SIC)によれば,ダイヤモンドの

買い付け人(現地では「ボス」と称される)は外

国人であり,多くは中東の出自。この買い付け人

らは地方政府高官らに対し大きな影響力をもって

いたが,彼らはあくまでも顔見せの役割であり,

ビジネスの元締めはルアンダの有力者であった。

政府のスポークスマンによれば,オペレーション

開始の時点でほとんどの買い付け人は国外に逃亡

していた(NJ 10/19)。

(5)政府のスポークスマンによれば,不法ダイ

ヤモンド・移民への取締り運動によりこれまでに

約40万人の不法移民が自主的にアンゴラを後に

した。また,モシコ,ベンゴ,ルアンダ,ザイレ

州には多くの不法移民が滞在しており,今後の取

締り運動はこれらの州にも波及していくと述べた。

アンゴラ国家警察は,アンゴラは外国人を排斥す

る国ではなく,あくまでも法令を順守し,より秩

序のある国を構成することを目的としていると表

明。アンゴラ警察は,ルンダ・スル州サウリモの

市場において発生した暴行事案の後,コンゴ(民)

人に対するいかなる外国人排斥運動も認めない旨

通知している(JA 10/28)。

(6)ルンダ・ノルテ州にあるUNHCR事務所

は,アンゴラが主権国家である限り,不法移民,

ダイヤモンドの不法採掘及び取引への対策をとる

ことは正当であり,自国経済の効率的統治のため

であるとの理解を表明。同UNHCR事務所長は,

アンゴラ政府が実施している対策について,間違

った解釈をされてはならないと話した(JA 10/28)。

4.アンゴラの難民支援

ウェリントン・カルネイロ/アンゴラUNHC

R代表部シニア職員によれば,現在アンゴラは総

勢7万人の難民を受け入れており,CPLPの中

で最も避難民を受け入れている国である。また,

今後難民の数は8万人に到達する可能性がある

(JA 10/4)。

5.保健省の発表

保健省の発表した報告書によれば,今年に入っ

てからアンゴラにおいて既に約250万人のマラ

リア感染が確認され,内3364人が死亡してい

る。州別で最も感染者が多かったのはルアンダ州

で約100万人,その次に多かったのがベンゲラ

州で約37万であった(OBS 10/4)。また保健省に

よれば,今年に入り,今日までに93人が狂犬病

を発症し死亡しており,この内ルアンダ州では3

5人が犠牲となった(OBS 10/5)。

6.ロウレンソ政権一年目

Axis Rearch 社が9月に実施した調査結果によ

れば,93.1%の成人がロウレンソ政権の一年

目を肯定的に評価した。この内訳として,ロウレ

ンソ政権を「高く評価する」としたのは成人全体

の65%,「評価する」としたのは約29%,

「評価しない」としたのが全体の約4%であった。

現政権への評価が高かったのはウイラ,クアン

ド・クバンゴ,ルンダ・ノルテ,クネネ,クアン

ザ・スル州等であり,反対に評価が低かったのは

クアンザ・ノルテ,マランジェ,カビンダ,ウイ

ジェ州であった(JA 10/8)。

7.アンゴラへの移民

アンゴラは国内在留移民の数を人口全体の2.

5%までに制限する政策を発表した。2.5%を

超えた場合は,政府は移民数を減少させるための

措置を講じる(JA 10/8)。

8.国外資産還元プロセス

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(1)8日,ジョセフィナ・ディアキテ国会第3

委員会(国際関係・国際協力・国外のアンゴラコ

ミュニティー担当)委員長は,当地を訪問中の米

国会議員団に対し,アンゴラから不正に送金され

た資産の国内還元プロセスにおける支援を要請し

た。同日,同議員団はソウザ副大統領とも会談を

行った(AP 10/9)。

(2)25日,財産の強制還元と損失拡大に関す

る法案(Proposta de Lei sobre o Repatriamento

Coercivo e Perda Alargada de Bens)が閣議承認

され,今後国会における議決に進む。同法案は,

司法権限の規定と法的メカニズムを定めるもので,

資産には動産,不動産も含まれることとすると規

定(JA 10/26)。

9.5名の新大使が着任

17日,ロウレンソ大統領は,5名の新大使か

らの信任状を受け取った。この内3名はアンゴラ

常駐であり,それぞれ Jo Pyong Chol 北朝鮮大使

(報道ママ),Kikkan Haugen ノルウェー大使,

マリア・エレナ・タイポ/モザンビーク大使であ

る。その他2名は非常駐であり,フィンランド大

使並びにクロアチア大使(AP 10/17)。

10.国会内人事

12日,ジョアナ・リナ議員に代わり,エミリ

ア・カルロタ議員が国会第一副議長に,イジノ・

カルネイロ議員に代わり,スザナ・デ・メロ議員

が国会第二副議長にそれぞれ就任した(VE 10/12)。

11.国営テレビ局代表の交代

16日,ロウレンソ大統領は,ジョゼ・フェル

ナンド・ゴンサルヴェス・ゲレイロ氏に代え,ジ

ャーナリストのフランシスコ・メンデス氏を新ア

ンゴラ国営テレビ(TPA)総裁に任命した。メ

ンデス氏はこれまでTPA役員(コンテンツ担当)

を務めていた(JA 10/17)。

12.2019年国家予算

現在,2019年の国家予算案は総額9.2兆

クワンザで組まれており,これは2018年国家

予算に比して4%減。石油の日産平均は165万

バレル,油価は65ドル/バレルを想定。歳出の

内訳に占める保健並びに教育部門の割合はそれぞ

れ7%,6%(EX 10/23)。

13.アンゴラの人口増

フォンセカ経済・企画大臣は,2022年まで

にアンゴラの総人口は3300万人に達する見込

みであると発言。2014年に実施された国勢調

査では同年のアンゴラの総人口は2840万人で

あった(JA 10/27)。

14.公務員最低賃金増

政府は,2019年より公務員の最低賃金を現

行の2万1380クワンザから3万3380クワ

ンザに引き上げることを決定(NJ 10/26)。

外交

1.アウグスト外務大臣の訪日

(1)アウグスト外相は,6日,7日の日程で東

京にて開かれるTICAD閣僚会合に出席するた

めルアンダを出発した(JA 10/5)。

(2)6日,アウグスト外務大臣は,河野外務大

臣と二国間会談を行った。会談の際,アウグスト

大臣はロウレンソ大統領の安倍首相宛の親書を河

野外務大臣に手交した。アンゴラ外務省によれば,

親書の中でロウレンソ大統領は,1976年から

始まった日本との二国間関係を深化させたい旨言

及している。アウグスト大臣は河野大臣に対し,

本年中にアンゴラを訪問してもらいたい意向を伝

えた。この招待に対し,河野大臣は,訪問の具現

化に向け調整を行う旨返答(AP 10/6)。

(3)7日に終了したTICAD閣僚会議におい

て,アウグスト外務大臣は,アフリカ諸国の持続

可能な発展のため日本政府から提供される融資パ

ッケージを最大限に活かすため,アンゴラは,具

体的な共同プロジェクトの立ち上げにおいて継続

的な努力を行うと表明(DN 10/7)。

2.ロウレンソ大統領の訪中

(1)訪問メンバー

8日,ロウレンソ大統領は北京に到着。9日,

大統領は天安門広場にて献花を行う予定(PGA

10/8)。同9日には,習近平国家主席及び李克強

首相との会談を予定している。今回の訪中にはア

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ナ・ロウレンソ大統領夫人,マヌエル・ジュニオ

ル大統領府経済・社会開発大臣,フレデリコ・カ

ルドーゾ大統領府文官長,マヌエル・アウグスト

外務大臣,アルシェル・マンゲイラ財務大臣,マ

ヌエル・タヴァレス・デ・アルメイダ建設・公共

事業大臣,リカルド・アブレウ運輸大臣及びジョ

アン・ボルジェス電力・水大臣が同行(PGA 10/7)。

(2)主たる合意

・重要インフラ建設に向けた20億の新規融資

・相互投資保護促進条約

・詐欺,脱税防止のための所得税に係る二重課税

撤廃条約

・二国間経済・技術条約

・FOCACで定められた8つの経済アクション

プランの実施に関する覚書(アフリカ諸国の中で

は最初となる)

・人材育成に関する覚書(アンゴラ外務省と今年

4月に創設された China International

Development Cooperation Agency(CIDCA)の間で

署名)

(3)二国間会談

ロウレンソ大統領は,習近平国家主席に対して,

FOCACに参加したアフリカ国家元首の内,自

身をサミット終了後,一番目の国賓として中国に

招待してくれたことに謝意を表明すると同時に,

アンゴラが現在,世界に扉を開く新しい時を迎え

ており,国民の人権と自由を尊重し,透明性,ビ

ジネスの競争性を高め,官僚主義,汚職を是正す

ると述べた。

習近平国家主席は,アンゴラが近い将来より良

い国となると信じており,中国にとってアンゴラ

は重要な国であり,中国の支援を期待して欲しい

と述べた。

両首脳はまた,国連改革及びアフリカ大陸にお

ける紛争等についても議論を行った。

(4)首相及び国会議長との会談

ロウレンソ大統領は,李克強首相と栗戦書全国

人民代表大会常務委員長(国会議長に相当)とも

会談を行い,ロウレンソ政権の改革の姿勢に対し

両者から激励の言葉を受けた(JA 10/10)。

(5)中国の20億ドル融資

経済学者のアルヴェス・デ・ロシャ教授は,中

国によるアンゴラへの20億米ドルの新規融資締

結に関して,同資金は農業,保健,教育等の将来

的に富をもたらすセクターに充てるべきであると

述べた。また,今回の融資条件についてはクリア

ではなく,20億米ドルは110億米ドルとされ

る新規クレジットラインに含まれるものであろう

と発言(OP 10/10)。

(6)中国の新規融資

マンゲイラ財務大臣は,今回アンゴラ財務省と

中国開発銀行(CDB)との間で署名された20

億ドルの融資の一部は,中長期的に中国の債権者

に対する債務弁済に充てられると表明。また同融

資によって得られた資金は国内生産部門にも投入

される見込み。尚,今回の融資の金利については

公表されていない(AP 10/10)。

(7)Huawei 社のアンゴラへの投資

10日,世界第三位のスマートフォン製造会社

である Huawei 社の Yi Xiang 副社長は,過去20

年間において,総額6000万ドルの投資をアン

ゴラ向けて行ってきたと述べた(AN 10/10)。

(8)双方の合意

ロウレンソ大統領は,習近平国家主席及び李克

強首相に対し,アンゴラは中国からの融資を有効

に活用し,中国がアフリカ諸国と構築を目指す新

しい協力関係において,アフリカのモデル国とな

ることを約束した(JA 10/11)。また大統領は,中

国政府に対し,二国間経済・貿易協力指針委員会

を再開させることを要請した(OBS 10/10)。

3.アンゴラ・スペイン協力

(1)ギニア湾周辺の監視を強化し,海賊行為,

密売を撲滅することを目的として,アンゴラとス

ペイン双方の海軍が協力関係を強化する。この一

環として,現在当地にスペインの海洋監視船「P-

72 Centinela」が寄港しており,アンゴラ側と経

験の共有を行っている(AP 10/3)。

(2)7日以降,スペインの Elena Barraquer基

金は,ルアンダ総合病院において,白内障の診察,

手術を行っている。基金の医療ミッションの訪問

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は今回で4回目を迎え,約500人のアンゴラ人

が診察を受けることになる。また同基金は今後,

眼科の研修を目的としてアンゴラ人医師をスペイ

ン本国に送る意向を明らかにした(NJ 10/9)。

4.国連設立73周年

ルアンダで開催された国連創設73周年の記念

式典にて,バリャデリ当地国連駐在調整官は,ア

ンゴラ政府は汚職対策において国連に支援を求め

ており,国連は検察局に対し,資金的援助並びに

国際的知見の共有を行っていると述べた。また,

ルンダ・ノルテ州において不法にダイヤモンド採

掘に携わっていた外国人移民が本国に送還されて

いる動きに関して,コンゴからアンゴラに流れて

きた避難民については,強制的に本国に送還され

た事例は確認されていないと述べた(JA 10/25)。

5.ロウレンソ大統領のUAE訪問

ロウレンソ大統領は,今年二度目の訪中の帰路

においてアラブ首長国連邦に立ち寄り,ハムダー

ン皇太子と会談を行い,二国間関係の強化につい

て合意した。ハムダーン皇太子は昨年12月にア

ンゴラを訪問しロウレンソ大統領と会合をもって

おり,その際両国は農業及びエネルギー部門にお

ける協力を行うことで合意している(VE 10/15)。

6.アウグスト外相のイタリア訪問

26日,アウグスト外務大臣は,25日にイタ

リア・ローマにて開催された第二回イタリア・ア

フリカサミットへの参加を終えルアンダに到着し

た。同サミットにおいては,平和・安全保障,経

済成長,人的開発等について議論が交わされた。

サミットのマージンにおいて,アウグスト大臣は,

イタリアのエンツォ・モアヴェロ・ミラネージ外

務・国際協力大臣及びグラチアノ・ダ・シルバF

AO事務局長と会談を行った(AP 10/26)。

7.中国法務副大臣の訪問

25日,ルアンダにて,フランシスコ・ケイロ

ス法務・人権大臣は当地を訪問中の Yuan

Shuhong中国法務副大臣と会談を行った。アンゴ

ラは汚職,免責との戦いにおいて中国からの協力

を得たい考えを表明。中国法務副大臣は,今回の

訪問の目的は,両国における法務・立法部門にお

ける協力関係の深化並びに貿易・経済関係のより

一層の強化のため,アンゴラにおける民間投資に

関する法的システムについて理解を深めることで

ある(OBS 10/25)。

8.仏大統領が来年アンゴラを訪問予定

イッテ駐アンゴラフランス大使によれば,マク

ロン仏大統領は2019年12月にアンゴラを訪

問する予定。フランス大使によれば,大統領の来

訪が実現した折にはマランジェ州を訪問すること

が予定される。この理由としてフランスはマラン

ジェ農業・食品技術高等研究院(ISTAM)の職業訓

練,教員養成及び機材調達のために2百万ユーロ

を拠出予定である他,仏 Castelグループは,同

州においてビール生産用のトウモロコシプランテ

ーション開発に数百万ユーロを投資している(AN

10/30)。

9.アンゴラ・オランダ関係

オランダのハーグを訪問したアブレウ運輸大臣

は,オランダの Cora van Nieuwenhuizen インフ

ラ・水大臣と会談を行い,KLMとアンゴラ国営

航空(TAAG)のコードシェアのもと,週2便

のルアンダ-アムステルダム便を運航する合意に

署名を行った(AN 10/30)。

10.アンゴラ・ブラジル関係

(1)ブラジルによる同国企業のアンゴラ輸出向

け事業を対象とした20億ドルのクレジット・ラ

イン開設の見返りとして,アンゴラは一日平均2

万バレルの原油を同国に向けて輸出すると発表

(OBS 10/16)。

(2)29日,ネト駐アンゴラ・ブラジル大使は,

ブラジルにおいて過激な政党は存在せず,ボルソ

ナーロ次期大統領が独裁者であるとの見解を否定。

同大使は本国における政権交代がブラジルの対ア

フリカ政策を変更させることはなく,依然として

両国の伝統的関係は続くとした(OBS 10/29)。

経済

1 主要経済指標

(1) 物価

国家統計院(INE)が発表したアンゴラ全国版

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の10月期年間インフレ率は,18.04%。月間物価

上昇率は 1.39%。9月期の物価上昇率に関して修

正があり,変更後の年間インフレ率は,19.21%,

月間物価上昇率は 2.69%となった。

最も物価上昇に影響を与えたのは,衣類・靴

(2.04%),保健(1.84%),家具・家財・メンテナ

ンス費及びホテル・コーヒー・レストラン(各

1.66%)。

(2)金利

金融政策委員会(CPM)は開催されず。

(3)為替市場

1 0 月 3 0 日 , 為 替 相 場 は 1 USD =

308.00364AKZで推移。

(4)BNA 発表の外貨準備高統計

(5)マネーサプライ統計

18.04

01020304050

20

17年

8月

9月

10月

11月

12月

20

18年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

インフレ率(%) (出展:BNA, INE)

全国インフレ率

20.00

16.52

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

5/1

6/1

7/1

8/1

9/1

10/1

11/1

12/1

1/1

2/1

3/1

4/1

5/1

6/1

7/1

8/1

9/1

10/1

金利(%) (出展:BNA)

BNA基礎金利

オーバーナイト限界貸出ファシリティ

オーバーナイト流動性吸収ファシリティ(7日)

再割引利率

LUIBORオーバーナイト物貸付金利

オーバーナイト流動性吸収ファシリティ

1,764,759

1,968,357

1,392,145

2,201,588

691,313

433,877

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1

2014 2015 2016 2017 2018

BNAの外貨資産内訳の推移

金準備 SDR

外貨 預金

公債等証券 IMFリザーブポジション

持ち株等 その他外貨資産

(百万クワンザ)

26,321

30,828

31,154

27,101

24,266

21,399

13,343

13,060

12,839

13,078

12,733

14,398

13,260

14,002

12,560

11,943

11,673

27,514

32,155

32,213

27,739

24,419

24,438

17,984

17,710

17,482

17,698

17,353

18,981

17,817

18,547

17,102

16,466

16,199

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/110/1

2011201220132014201520162017 2018

外貨準備高の推移(百万米ドル)

出展:BNA

純外貨準備高 総外貨準備高

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7

(6)GDP及び成長率

(7)主要貿易統計

-

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

8,000,000

9,000,000

1月1日

2月1日

3月1日

4月1日

5月1日

6月1日

7月1日

8月1日

9月1日

10月

1日

2018

マネーサプライ統計

(百万クワンザ)(出展:BNA)

M3 = (M2 +その他有価証券類) M2 = (M1 +準貨幣)

M1 M1内預金分-クワンザ建て

M1内預金分-外貨建て

2018

8月1日 9月1日 10月1日

7,495,572 7,696,888 7,806,843

7,490,309 7,691,451 7,801,159

3,803,918 3,868,839 3,865,442

328,642 308,188 318,146

3,475,276 3,560,651 3,547,296

2,292,715 2,257,070 2,235,444

1,182,561 1,303,582 1,311,852

M1内現金等流通分

M1内預金分

M1内預金分-クワンザ建て

M1内預金分-外貨建て

百万クワンザ

M1

M2 = (M1 +準貨幣)

M3 = (M2 +その他有価証券類)

82

.5

10

4.1

11

5.3

12

4.9

12

6.8

10

3.0

95

.8

0

20

40

60

80

100

120

140

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

名目上GDP(10億ドル) 出展:IMF4月発表値

3.4

6.8

3

0 0

1

2

3

4

5

6

7

8

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

実質GDP成長率(%) 出展:IMF

米国

5.10%

中国54.21%

韓国0.40%

仏3.48%

タイ0.07%

台湾4.42%

西3.19%

印7.61%

オランダ1.65%

カナダ3.41%

伊1.87%

英国1.20%

ポルトガル

3.12%

南ア

4.95%

インドネシア

1.12%

その他4.19%

2016年原油輸出先国内訳 出展:BNA

輸出総額:255億7740万ドル

ポルトガル14%

中国11%

米国11%

ベルギー7%

ブラジル5%

シンガ

ポール4%

南ア4% 英国4%

ロシア3%

ノルウェー3%

その他34%

2016年輸入先国内訳 出展:BNA

輸入総額:130億4050万ドル

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8

機械及び電子製

品24%

食料品18%

燃料13%

建材9% 乗物3%

化学製品7%

雑貨4%

プラスチッ

ク・ゴム・

皮3%

繊維製品及び衣

料2.0%

飲物及び酢0.8%

航空比及

び船舶

3.3%

紙及び紙製

品1.1%

鉱物製品0.5%

木材0.2%

その他10.6%

2016年輸入品別内訳 出展:BNA

輸入総額:130億4050万ド

41.1 45.2

12.1 14

61.3 64.6

32.2 28.6

20.2 20.1 14.6

0

10

20

30

40

50

60

70

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

GDP比貿易収支(%) 出展:IMF

貿易収支(GDP比)

モノの輸出額(FOB, GDP比)

モノの輸入額(FOB, GDP比)

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

歳入総額 43.5 48.8 45.9 40.2 35.3 27.3 19.5 18.9

歳入総額 内,石油

由来 33 39 37.3 30.1 23.8 15.4 9.5 8.7

歳出総額 40 40.2 41.3 40.5 41.9 30.6 23.6 25.6

歳出総額 内,経常

支出 28.6 30 29 28.5 29.4 24.7 19.1 20.7

歳出総額 内,公的

投資 11.4 10.2 12.3 12 12.5 6 4.5 5

総財政収支 3.4 8.7 4.6 -0.3 -6.6 -3.3 -4.1 -6.7

総財政収支 非石油

基礎的財政収支(総

GDP比)

-26.2 -26.9 -29.2 -28.2 -28.1 -15.9 -10.2 -11.5

総財政収支 非石油

基礎的財政収支(非

石油GDP比)

-47.4 -51.1 -53.7 -47.4 -43.2 -20.9 -12.9 -14.1

総公的セクター債務

(ソナンゴル含む) 44.3 33.8 29.5 32.9 40.7 65.4 71.6 62.8

歳入総額

歳入総額 内,

石油由来

歳出総額

歳出総額 内,

経常支出

歳出総額 内,

公的投資

総財政収支

総財政収支 非

石油基礎的財

政収支(総GDP

比)

総財政収支 非

石油基礎的財

政収支(非石油

GDP比)

総公的セクター

債務(ソナンゴ

ル含む)

-60

-40

-20

0

20

40

60

80中央政府の財政主要指標

(GDP比,%)

(出展:IMF)

1562.6

847.6

441.7

671.5

961.1

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2013 2014 2015 2016

経常支出の推移

出展:IMF

政府職員給与 政府消耗品等調達 利払費 経常移転 公共事業

10億AKZ

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9

2.石油・ガス

(1)石油製品のストック状況

マヌエル・フェレイラ石油製品管理院長官は,

現在国内においてストックされている70万立方

メートルの石油製品の半分は,海上において貯蔵

されており,海上での保管は陸上よりもコストが

かかり,非効率的であることから,Sonangalp 社,

Pumangol社等,石油製品のロジスティックを行

う企業に参入してもらい同製品の管理を任せるの

も一案と話した(DN 10/5)。

(2)ルアンダ精油所休止

10月1日以降,ルアンダ精油所は,60日間

のメンテナンス作業のため運転を休止している。

今回の休止中には,諸改修作業,施設の現代化が

行われる見込み。同精油所は現在国内の石油需要

の20%をカバーしている(JA 10/6)。

(3)ソナンゴル再編

10日,アゼベド鉱物資源・石油大臣は,来年

6月以降,ソナンゴルの資本の一部を民間の手に

売却する構想を発表。大臣によれば本計画は今年

8月以降進められている同社の再生計画の一環で

ある由(JA 10/11)。

(4)石油生産見通し

アゼベド鉱物資源・石油大臣は,2022年終

了時において,アンゴラの石油生産能力が140

万バレル/日を下回らないように努力すると表明

した。またダイヤモンド部門について,国内で生

産される大部分のダイヤモンドを研磨するための

投資を奨励すると述べた(AP 10/22)。

(5)石油部門動向

26日,ジャーナリストとの朝食会の席で,ア

ゼベド鉱物資源・石油大臣は,政府は来年新しい

鉱区の開発に係る入札を実施すると表明。大臣は,

ソナンゴルが有する54の子会社(非石油部門)

についても今後財務省が民営化のプロセスを進め

ると発言。また,国内のガソリンスタンド数の適

正化について,現在の1132カ所から2022

年には1313カ所に増加させる予定であると述

べた(JA 10/27)。

(6)第3四半期の石油販売

ソナンゴルの報告書によれば,今年第3四半期

において,約4750万バレルを輸出し,約35

億5080万ドルの利益を計上。同利益額は今年

第二四半期の38億9167万ドルに比して減少

している。当該期における主要な輸出先は中国

(55.98%),インド(11.88%),ス

ペイン(7.55%)であった(AP 10/30)。

(7)ザンビアへの石油輸出案

アンゴラ政府は現在建設が予定されているロビ

ト精油所(アンゴラ中西部のロビト市に位置)で

0

20

40

60

80

100

120

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2013 2014 2015 2016

税収の推移

出展:IMF

石油税収 非石油税収 その他 平均原油価格

10億AKZ ドル/バレル

501.6 544.8 683.0 693.1

21.2 28.2

30.9 47.0 201.1

228.9 195.4

432.0

124.4 182.0

146.6

191.4

123.9

144.3 149.2

181.9

0.0

200.0

400.0

600.0

800.0

1,000.0

1,200.0

1,400.0

1,600.0

1,800.0

2013 2014 2015 2016

非石油税収の推移 出展:財務省

その他税

国際通貨・貿易取引税

消費税

不動産税

資本利得税各種(法人税・

源泉税・キャピタルゲイン

税)

10億AKZ

個人, 509071

個人事業主,

22848

法人, 15157

法人(法人税控

除), 1104

総計, 548180

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

納税者数の推移 出展:国税庁

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10

将来的に精製されるガソリン,ディーゼル,ガス

を隣国ザンビアに輸送するためのパイプラインを

建設することを検討している。アゼベド鉱物資

源・石油大臣のザンビア訪問時に,両国は本件に

係る覚書に署名を行っている(VE 10/29)。

3.アンゴラ経済情勢

(1)格付け会社の Fitch 社は,自社の出版する

報告書 Africa Monitorの中で,2016~17

年の不況期を経て,今後アンゴラ経済は短期的に

大きな回復を遂げると分析した。この要因として,

仏トタル社のカオンボプロジェクトが始動したこ

とによる輸出増,油価の上昇に加え,ロウレンソ

大統領主導による諸改革は公共投資を活性化させ

るとともに外国投資を誘致するとの見方等が挙げ

られる (OP 10/4)。

(2)8日,カトリカ大学にて,「アンゴラ経済

報告書(2017年)」の出版式典が開催された。

フランシスコ・パウロ/カトリカ大学調査研究セ

ンター研究員は,2002年~2017年の間,

アンゴラで活動する企業の国外への利益送金率は

50%であった一方,海外で投資を行ったアンゴ

ラ人のアンゴラ国内への利益送金率は約2%であ

ったと述べた。同報告書によれば,アンゴラ国内

で活動する外国企業の年間総収益は40億ドル

(AP 10/8)。

(3)経済学者のアルヴェス・デ・ロシャ教授は,

2022年までのアンゴラの経済成長率の平均は

2.8%に届かないであろうとの見方を示した。

この理由として,経済成長の速度が人口増加のス

ピードに追いついておらず,近年一人当たりのG

DPは停滞しており,富の分配が出来ていない状

況であることに加え,石油生産が減少しているこ

とが挙げられるとした(OBS 10/8)。

(4)11日,IMFは,2018年のアンゴラ

経済成長率はマイナス0.1%となるとの予測を

発表した(今年4月時点での予測は2.2%成

長)。2019年については,3.1%の成長が

見込まれるとした(今年4月時点での予測は2.

4%)。また,同機関はアンゴラの2016年の

成長率をマイナス2.6%,2017年の成長率

をマイナス2.5%とそれぞれ確定した。10月

13,14日の日程で,インドネシア,バリ島に

て世銀・IMF年次総会が開催される(ME 10/11)。

(5)国家統計院によれば,今年第二四半期にお

けるアンゴラ経済成長率は対前年同期比でマイナ

ス7.4%を記録。また,今年第一四半期の成長

率について,本年8月時点では対前年同期比でマ

イナス2.2%としていたものをマイナス4.6

6%に修正した(ME 10/17)。

(6)ジュニオール大統領府経済・社会開発大臣

は,国会において国家開発計画に係る演説をし,

アンゴラの為替市場及び外貨準備高は安定してお

り,クワンザ安の進行にも拘わらずインフレ率は

下降傾向にある点強調。2022年までに石油部

門は年間平均マイナス1.8%成長が見込まれる

ため,非石油部門における成長が期待されるとし

た。非石油部門の成長を牽引するのは農業(8.

9%),漁業(4.8%),加工産業(5.

9%),観光を含むサービス業(5.9%),建

設(3.8%)等である。大臣は,政府は「生

産・輸出多様化・輸出代替に関する支援プログラ

ム(PRODESI)」の実施をより一層強化す

ると述べた(JA 10/31)。

4.ポルトガル企業に対する債務

アンゴラ政府は,ポルトガル企業(主に建設系)

に負っていた滞留債務を返済することを約束した

が,葡 Expresso紙によれば,政府が負う債務額

に現行のクワンザ安の影響が勘案されることはな

く,事実上ポルトガル企業は約3億ユーロの債務

支払いを免除することを強いられている(AN

9/29)。

5.付加価値税導入時期の延期

付加価値税(IVA)の導入開始時期に関して,

当初予定していた来年1月から同7月に延期する

決定がなされた。延期の理由は,付加価値税の導

入に関する法案が未だ草案段階にあるため(JA

10/4)。

6.アンゴラの輸入

アンゴラ中央銀行のデータによれば,本年8月,

アンゴラはアフリカ第二位の産油国でありながら,

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11

一日あたり500万ドルを石油製品の輸入に支出

した。同文書によれば,同月アンゴラは,1億7

512万ドルを石油製品の輸入に,3億2700

万ドルを食料品の輸入に支出した(ME 10/1)。

7.ビジネス環境悪化

国家統計院(INE)は,2018年第二四半期に

おける経済情勢に関する統計報告を発表。経済情

勢指数(ICE)は,第一四半期から1ポイント減

の-15ポイントを記録。マクロ経済の停滞に加

え,非効率的な経済構造が顕著であるとして企業

家の短期的な経済成長見込みはネガティブであっ

た。また,負のサイクルにあるアンゴラ経済の回

復能力に対する懸念と,雇用,家庭の幸福を保障

するための改革が必要であるとした。尚,対前年

同期の数値は-21ポイントであったことから6

ポイントの上昇を記録した(AN 10/2)。

8.TAAG の民営化

アンゴラ国営会社(TAAG)は,最大40%

の株式を新規公開株(IPO)として売却するこ

とを決定。国会が再開次第,民営化法案

(Proposta de Lei das Privatizacoes)が国会に

提出され,この法案の中にはTAAGの民営化に

関する条項も含まれている由。売却後も政府は筆

頭株主として同社の舵取りを行う予定(VE 10/1)。

9.経済データベースの立ち上げ

11月以降,アンゴラは,国家データ統合ペー

ジ(NSDP: Pagina Nacional de Sintese de

Dados),別名,経済データセンター(Central de

Dados Economicos)と呼ばれるデータベースを立

ち上げる。このデータベースは,アンゴラのマク

ロ経済に関する情報をより効率的に公表するため

のもので,今後アンゴラ財務省及びIMFのHP

からアクセス可能となる。本プロジェクトの実現

に際し,本年9月19日~同25日の間,IMF

の技術支援ミッションがアフリカ開発銀行(Af

DB)との協力のもとアンゴラを訪問し,政府の

同システムの導入への支援を行った(AP 10/2)。

10.対航空会社滞留債務

先般,国際航空運送協会(IATA)が,アン

ゴラが多額の滞留債務を航空会社に対して抱えて

いると発表したことについて,アンゴラ中央銀行

はこの情報は正しくなく,アンゴラが抱えていた

対航空会社滞留債務は本年7月に完済されており,

その後新しい滞留債務は発生していないとコメン

トした(VE 10/1)。

11.インフォーマルセクター

経済学者のアレシャンドレ・エルネスト氏とゴ

レテ・カピロ氏の調査によれば,国内の労働力人

口の94%がインフォーマルセクターに従事して

おり,この内40.5%は小売業,53%はサー

ビス業,6.3%は手工芸業を営んでいる。19

90年代の調査によれば,当時インフォーマルセ

クターが占める労働力人口の割合は58%であっ

た(VE 10/1)。

12.イザベル氏の動向

前大統領息女でソナンゴル前総裁であるイザベ

ル・ドス・サントス氏は,自身がサトゥルニノ現

総裁から名誉毀損を受けたとして告訴していたが

今回これを取り下げることとした。同氏は,「メ

ディアの政治熱が高まっている状況に鑑み,これ

以上議論を加熱させることを控える。自分(イザ

ベル氏)が本件に関してしっかりと説明を行った

ことにより,国民は現総裁がいかに悪意をもって,

根拠のない批判を行っているかについて既に理解

している」との声明を発出(AN 10/4)。

13.アフリカ輸出入銀行の融資

アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)は,アン

ゴラの民間セクターにおける消費材・生産材の輸

入及び産業化プロジェクトに対し総額15億ドル

の融資を行うことに合意した(AN 10/9)。

14.EUの援助

当地EU代表部は,干ばつの影響緩和及び飢

餓・貧困対策を目的とし,ウイラ,クネネ,ナミ

ベ州のレジリエンス強化,食糧・栄養保障計画の

実施のため,6500万ユーロを拠出する(JA

10/9)。

15.クワンザ高

10日に開催された第53回外貨オークション

において,当初予定されていた5000万ユーロ

に反し,1625万5000ユーロが市場に放出

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12

された。これにより,今年に入り初めて対ドルで

クワンザ高が進行し,現在1米ドル/302クワ

ンザで取引されている(前回オークション終了時

は1米ドル/304クワンザ)(DN 10/11)。

16.マサーノ総裁の英国訪問

10月7日,8日の日程で,ロンドンで開催さ

れた「2018年アフリカサミット」に参加した

マサーノBNA総裁は,アンゴラに関するパネル

ディスカッションにおいて,昨今のアンゴラ経済

の進捗状況について発表を行った。マサーノ総裁

は,より効率的な商業銀行のモニタリング方法を

採用することで,資本構成の最適化を図る商業銀

行の強化を促進することが出来ると述べた(AP

10/9)。

17.IMFの評価

IMFは,本日公表された「サブサハラアフリ

カの経済見通し」と題される報告書の中で,アン

ゴラにおいて長年の課題であったガバナンスの改

善,経済成長を阻害するマクロ経済の不均衡を是

正するための努力がみられ,今後成長することが

見込まれると評価した(ME 10/11)。

18.世銀・IMF年次総会

インドネシア・バリ島で開催された世銀・IM

F年次会合のマージンにおいて,マンゲイラ財務

大臣は現在行われているIMFとのEFF実施に

係る交渉について,本年12月までに終了する見

込みであり,プログラムは来年1月から実施が開

始される予定であると表明。総会には財務大臣の

他,フォンセカ経済・企画大臣,マサーノ中央銀

行総裁が出席した(JA 10/13)。

19.市中銀行の閉鎖・合併の動き

マサーノ中銀総裁は,本年2月21日に中央銀

行から発出された通知により,市中銀行は本年1

2月31日までに各行の最低資本金を25億クワ

ンザから75億クワンザに引き上げなければなら

ない旨決定されており,約30の市中銀行のうち

何行かは本年中に営業を停止するであろうと話し

た(NJ 10/20)。

20.民間投資

民間投資輸出促進庁(AIPEX)によれば,

改正民間投資法が本年6月に施行されて以来,少

なくとも総額1000万米ドルの民間投資プロジ

ェクト実施の打診を受けてきている。これらの投

資計画が承認されるためには各事業における労働

者比率の30%が外国人,70%がアンゴラ人で

ある必要がある(ME 10/22)。

21.電力・水セクター

ボルジェス電力・水大臣は,「電力・水部門ア

クションプラン2018-2022」に基づき,

農村部における電力システムの拡張及び飲み水へ

のアクセスの改善のため,政府は2022年まで

に150億米ドルを投入すると表明した。アンゴ

ラ政府は,2022年までに全国民の50%に対

して電力へのアクセスを保障することを目指す

(JA 10/19)。

22.月間物価上昇率

本年8月から9月にかけてのルアンダ市におけ

る月間物価上昇率は4.98%となり,過去15

年間で最も高い数値を記録した。物価上昇率が最

も高かったカテゴリーは「住居・水・電気・燃料」

で46.4%であった(EX 10/19)。

23.スタンダードバンクの経済見通し

スタンダードバンクの経済研究部は,石油生産

減によりアンゴラの経済は「強い向かい風」の中

にあると分析し,今年の経済成長率は一昨年のマ

イナス2.6%以上に下落する可能性があるとの

見方を表明(OBS 10/23)。

24.政府債務状況

アンゴラ中央銀行の2017年会計報告書によ

れば,2017末時点での政府債務高は785億

7000万米ドルであり,アンゴラGDPの71.

04%に相当する。この内訳は,国内債務額が3

48億3000万ドル(GDPの31.49%),

国外債務額が437億4000万ドル(GDPの

39.55%)(OBS 10/24)。

25.国内電力生産

ラウカダムの稼働をはじめとする国内の水力発

電能力が高まったことにより,昨年8月以降,一

日あたり約70万リットルのディーゼル燃料の消

Page 13: アンゴラ共和国月報1 アンゴラ共和国月報 2018年10月号 在アンゴラ日本国大使館 主な出来事 【内政】 政府主導の不法移民・ダイヤモンド対策が開始され,主にルンダ・ノルテ州において行わ

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費を抑えることにつながっており,この結果とし

て,政府は約1億米ドルの支出削減に成功してい

る。尚,現在アンゴラで生産されている電力の7

8%は水力発電によるものである(ME 10/23)。

26.EUの協力

25日,欧州連合(EU)は,州レベルにおけ

る様々な社会経済インフラの建設及び改修を目的

として,アンゴラ社会支援基金(FAS)に対し

3000万ユーロの融資を行うと発表。同融資計

画の最大の目的は,地方においてより効率的に各

種サービスが受けられるようになることで,ビジ

ネス機会,収入の増加を促し,貧困削減に寄与す

ること (OBS 10/25)。

JA: Jornal de Angola, EX: Expansão, MH:Macau Hub, DN: Diario de Noticias, NJ: Novo Jornal, VOA: Voice

of America, CK: Club-K, AA: All Africa, AN:Ango Notícias, OBS: Observador, AP: Angop, AO24:Angola 24 horas,

FT: Financial Times, PA: Portal de Angola, EIU: Economist Intelligence Unit, ME: Mercado, VE: Valor

Económico,OP: O País, DV: Dinheiro Vivo, VG:Vanguarda