トマト台木 - TAKII↑トマト褐色根腐病根部。(駒田旦 原図)...

↑トマト褐色根腐病根部。(駒田旦 原図) ↑トマトの青枯病。右側の畝は激しい病症。 ↑コルキールート接種試験において、健全な根 の状態を保つ「グリーンガード」。 接ぎ木済み「グリー ンガード」、 軸が 緑 で穂木との違いが分 かりやすく作 業しや すい。 タキイのトマト台木は品種のバリエ ーションが広く、耐病性、作型、草 勢により最適の台木を選び使うことが できます。特に耐病性については高い レベルの耐病性付与で育成が行われ ています。 数多い品種群の中から今回は特に おすすめの台木として「グリーンガー ド」を紹介します。 トマトには多くの土壌病害が存在し ますが、「グリーンガード」の耐病性 レベルは非常に高くなっていることが 最大の特長です。中でも褐色根 ぐされ (コルキールート、写真2 )と青枯病 (写真3)は耐病性の遺伝子が単一 ではなく多くの遺伝子が関与するため、 完全な耐病性品種育成は困難ですが、 非常に高い耐病性に仕上げることがで きています( 写真4) 。また、日本で は新しい病気ですが、海外で大きな 問題となっている萎凋病レース3耐病 性も兼ね備えています。 そのほかの特長として、幼苗期の胚 はい じく の色が緑で穂木品種と明らかに異 なる色をしており、接ぎ木時の穂木と 台木のとり間違えの危険性がなく安心 して使えます(写真5) 「グリーンガード」は青枯病とコル キールートが併発する夏秋栽培や抑 制栽培で最も能力を発揮します。促 成栽培や半促成栽培でも使用可能で すが、育苗時あるいは本 ほん で地温が 低くなりすぎないよう保温に努め、根 張りをよくする管理を心掛けます。 草勢は自根とほぼ同じでおとなしく なるため、栽培は1本仕立てを基本 とし、初期の管理は摘果を確実に行 い、草勢の低下を起こさないように管 理します。 現在「グリーンガード」の強勢タイ プも近々に新発表を予定しており、ま すます品種の充実が図られることにな っています。 トマト台木 タキイトマト台木の特長 おすすめの台木 栽培の注意点 2012 タキイ最前線 冬春号 13 写真2 写真4 写真3 写真5 ~ナス・トマト台木編~ トマト台木特性比較表 タキイのトマト台木は耐病性、草勢の違いで多くの品種がラインアップしています。目的に応じて台木の使い分けをしましょう。 項目 品種名 草勢 穂木との播種間隔 耐病性 備考 春~夏まき 秋~冬まき ToMV F1 F2 F3 J3 グリーンガード 2 3 2日早 2~3日早 Tm-2 a 9 7 青枯病・コルキールート・萎 凋病レース3に強耐病性。 Bバリア 3 4 2日早 2~3日早 Tm-2 a 9 × × 1 青枯病に最強。初期草勢がお となしく、栽培容易。 ベスパ 5 6 1日早 2日早 Tm-2 a 7 × × 1 草勢が強く安定し、ミニトマト などの長期どり栽培に最適。 ガードナー 4 5 同時~1日早 1~2日早 Tm-2 a 7 × 5 青枯病とコルキールートに安 定した耐病性を発揮。 ボランチ 3 4 2日早 2~3日早 Tm-2 a 9 × 3 青枯病に最強。コルキールー ト耐病性もあり。 ドクターK 3 3 2日早 2~3日早 Tm-2 a × 1 × 8 コルキールート強耐病性。低 温伸長性も安定。 1)比較の数字:弱1←→10強 2)耐病性記号:ToMV=トマトモザイクウイルス、B=青枯病、V=半身萎凋病、F1=萎凋病レース1、F2=萎凋病レース2、F3=萎凋病レース3K=褐色根腐病(コルキールート)、J3=根腐萎凋病、N=サツマイモネコブ線虫 3)耐病性:◎強、○中、△弱、×ない 

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Page 1: トマト台木 - TAKII↑トマト褐色根腐病根部。(駒田旦 原図) ↑トマトの青枯病。右側の畝は激しい病症。↑コルキールート接種試験において、健全な根

↑トマト褐色根腐病根部。(駒田旦 原図) ↑トマトの青枯病。右側の畝は激しい病症。

↑コルキールート接種試験において、健全な根の状態を保つ「グリーンガード」。

←接ぎ木済み「グリーンガード」、軸が緑で穂木との違いが分かりやすく作業しやすい。

タキイのトマト台木は品種のバリエーションが広く、耐病性、作型、草勢により最適の台木を選び使うことができます。特に耐病性については高いレベルの耐病性付与で育成が行われています。

数多い品種群の中から今回は特におすすめの台木として「グリーンガード」を紹介します。トマトには多くの土壌病害が存在しますが、「グリーンガード」の耐病性レベルは非常に高くなっていることが最大の特長です。中でも褐色根

腐ぐされ

病(コルキールート、写真2)と青枯病(写真3)は耐病性の遺伝子が単一ではなく多くの遺伝子が関与するため、完全な耐病性品種育成は困難ですが、非常に高い耐病性に仕上げることができています(写真4)。また、日本では新しい病気ですが、海外で大きな問題となっている萎凋病レース3耐病性も兼ね備えています。そのほかの特長として、幼苗期の胚

はい

軸じく

の色が緑で穂木品種と明らかに異なる色をしており、接ぎ木時の穂木と台木のとり間違えの危険性がなく安心して使えます(写真5)。

「グリーンガード」は青枯病とコルキールートが併発する夏秋栽培や抑制栽培で最も能力を発揮します。促成栽培や半促成栽培でも使用可能ですが、育苗時あるいは本

ほん

圃ぽ

で地温が

低くなりすぎないよう保温に努め、根張りをよくする管理を心掛けます。草勢は自根とほぼ同じでおとなしく

なるため、栽培は1本仕立てを基本とし、初期の管理は摘果を確実に行い、草勢の低下を起こさないように管理します。現在「グリーンガード」の強勢タイ

プも近々に新発表を予定しており、ますます品種の充実が図られることになっています。

トマト台木タキイトマト台木の特長

おすすめの台木

栽培の注意点

2012 タキイ最前線 冬春号 13

写真2

写真4

写真3

写真5

~ナス・トマト台木編~

トマト台木特性比較表 タキイのトマト台木は耐病性、草勢の違いで多くの品種がラインアップしています。目的に応じて台木の使い分けをしましょう。

項目

品種名

草勢 茎 色

穂木との播種間隔 耐病性備考冬

春夏秋 春~夏まき 秋~冬まき ToMV B V F1 F2 F3 K J3 N

グリーンガード 2 3 緑 2日早 2~3日早 Tm-2a 型 ◎9 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

7 ◎ ◎ 青枯病・コルキールート・萎凋病レース3に強耐病性。

Bバリア 3 4 紫 2日早 2~3日早 Tm-2a 型 ◎9 ◎ ◎ ◎ × ×

1 ◎ ◎ 青枯病に最強。初期草勢がおとなしく、栽培容易。

ベスパ 5 6 紫 1日早 2日早 Tm-2a 型 ◎7 ◎ ◎ ◎ × ×

1 ◎ ◎ 草勢が強く安定し、ミニトマトなどの長期どり栽培に最適。

ガードナー 4 5 紫 同時~1日早 1~2日早 Tm-2a 型 ◎7 ◎ ◎ ◎ × ○

5 ◎ ◎ 青枯病とコルキールートに安定した耐病性を発揮。

ボランチ 3 4 紫 2日早 2~3日早 Tm-2a 型 ◎9 ◎ ◎ ◎ × △

3 ◎ ◎ 青枯病に最強。コルキールート耐病性もあり。

ドクターK 3 3 紫 2日早 2~3日早 Tm-2a 型 ×1 ◎ ◎ ◎ × ◎

8 ◎ ◎ コルキールート強耐病性。低温伸長性も安定。

1)比較の数字:弱1←→10強2)耐病性記号:ToMV=トマトモザイクウイルス、B=青枯病、V=半身萎凋病、F1=萎凋病レース1、F2=萎凋病レース2、F3=萎凋病レース3、        K=褐色根腐病(コルキールート)、J3=根腐萎凋病、N=サツマイモネコブ線虫3)耐病性:◎強、○中、△弱、×ない 

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↑接ぎ木後のメロン苗。活着させてから定植へ。

←穂木と台木の割り接ぎ作業。

↑ナス半身萎凋病。(駒田旦 原図)

ナス台木特性比較表項目

品種名 草勢 低温性 耐病性B V F

赤ナス 5 5 2 2 10赤虎 6 6 3 1 10耐病VF 6 6 2 5 10台太郎 7 4 8 1 10

トルバム・ビガー 9 4 7 7 10トナシム 8 4 7 7 10

1)比較の数字:1弱←5中→10強 2)耐病性記号:B=青枯病、V=半身萎凋病、F=半枯病

ナスは栽培が長期になるので、低温性や耐暑性と耐病性を付与し、より収量アップがねらえる台木をそろえています。

夏秋栽培や長期栽培には強勢で耐暑性があり、青

あお

枯がれ

病や半身萎い

凋ちょう

病(写真1)、根こぶ線虫に強い耐病性をもつ「トルバム・ビガー」を使います。トゲがなく接ぎ木が容易な「トナシム」もおすすめです。

「台だい

太た

郎ろう

」は青枯病のすべての菌群に耐病性をもっており、青枯病汚染圃

場で安心して使用することができます。低温性はやや劣るので、低温期の栽培は保温に努めます。

冬春栽培には、耐病性が「トルバム・ビガー」や「台太郎」より劣るものの、低温伸長性があり低温期の果実肥大がよくなる「耐

たい

病びょう

Vブイ

Fエフ

」「赤あか

虎とら

」をおすすめします。

ナス台木タキイナス台木の特長

おすすめ台木と使い分け

日本における果菜類の接ぎ木は、昭和の初頭にスイカでつる割病回避のために行われたのが最初といわれています。その後いろいろな作物で研究が行われ、スイカだけでなく、今では多くの種類の果菜類に接ぎ木が普及しています。接ぎ木を行う大きな目的は土壌病

害の回避です。土壌消毒による防除もありますが、臭化メチルが全廃された昨今、接ぎ木の重要度はさらに増加しています。しかし、新しい病原菌の出現や既存菌の病原力が増したり、病原菌による汚染度が増加することにより、既存の台木品種では対応が難しくなりつつあります。多様化した土壌病害に対処できるより強い耐病

性台木品種の育成が必要となってきています。もう一つの接ぎ木による優位性は収量の増加があります。栽培性、品質の関係からできるだけ自根と同じ生育をする台木を使うとの考え方もありますが、強い草勢、低温、高温条件下にあっても容易に長期間安定して栽培できる能力の高い台木を使うことで、今まで以上に収量を増やすことが接ぎ木を行う大きなメリットといえるでしょう。台木の命は根の能力です。タキイ

はその根の働きに注目し、台木品種を育成しています。充実したタキイの各種台木の中から、特におすすめの品種を中心にご紹介しましょう。

堂々充実 ! 土中もお任せ

タキイ台木大全~ナス・トマト・ピーマン・メロン・キュウリ用台木~

14 2012 タキイ最前線 冬春号

写真 1

タキイ研究農場

石いし

津づ

 祐ゆう

志し

ブリーダー通信24

Page 3: トマト台木 - TAKII↑トマト褐色根腐病根部。(駒田旦 原図) ↑トマトの青枯病。右側の畝は激しい病症。↑コルキールート接種試験において、健全な根

→穂木に接ぎ木済みの「スターク」台木。太い胚軸で接ぎ木作業しやすい。

一番の特長は収量性です。タキイは台木の根の形状に注目し、最高の収量を上げる台木育成を追及しています。そのうえ接ぎ木の容易さ、よい苗ができる育苗の容易さを特長にもたせています。

「スターク」(写真8)が一押しです。うどんこ病に耐病性をもっているので、育苗時にうどんこ病の発生が軽減されます。胚軸はかたく接ぎ木作業がしやすく、活着率が上がります。そして軸の太い、がっちりとした見栄えのよい苗姿になります。「スターク」の最大の特長は根の

形状です。太くてしっかりした根が、土中深くに差し込む性質をもっています(写真9)。幼苗期からの発根力にもすぐれているので、初期から順調に生育が進み作柄が安定します。当然

草勢は強く、がっちりとした草姿となり、太い枝が発生します。そして後半まで枝の発生が安定して持続するので収量性、秀品率とも向上します。「スターク」はハウスから露地まで

品種を問わずすべての穂木と相性がよいため安心して使うことができます。「V

ブイ

アーチ」をはじめとするタキイの夏秋耐病性品種は「スターク」を台木にすることで初期から強勢に管理でき、後半の厳しい環境にも安定した枝の発生を維持して上作が期待できます。

基本的には従来の台木と同じ管理で能力を発揮します。ですが「スターク」の特長である太い根が、耕土深くに差し込む能力を最大限に発揮できるよう深耕を実行し、定植後は順調な活着を行い、活着後から雌花開花までは控えめの潅水で、深くに根を導く管理を心掛けるようにします。

キュウリ台木(ブルームレスカボチャ台木)タキイキュウリ台木の特長

おすすめ台木

栽培の注意点

Q 現在、接ぎ木の普及率はどれくら いですか?

A 接ぎ木率は毎年増加の傾向にあ ります。

◎ナス:接ぎ木による増収効果が高いため80~90%まで普及してきています。

◎トマト:60~70%の接ぎ木率で、越冬や促成の冬春栽培では90%、夏秋栽培ではほぼ50%と考えられます。

◎ピーマン:自根でも比較的土壌病害に対して強いため、現状は5%未満と思われますが、臭化メチルの全廃、気候の温暖化にともない、今後、特に接ぎ木の必要性が増加すると考えられます。

◎メロン:臭化メチルの廃止にともない台木の使用は増加傾向で現在30%程度ですが、主要産地では50%を超している所もあります。

◎キュウリほか:ブルームレスの普及によって90%以上が接ぎ木栽培です。スイカも連作回避のため90%程度が接ぎ木されています。

  *   *   * 最近は家庭菜園でも接ぎ木苗の使用率が高くなり、店頭売りも増えています。耐病性が強く、栽培が安定し、多収が期待できることへの認知が広がってきています。

キュウリ台木収量性

650

550

450

350

250

本/5株

場所 滋賀県湖南市5月定植

長野県塩尻市5月定植

長野県塩尻市6月定植

スタークエイブル他社品種

穂木:Vアーチ

台木Q&A

キュウリ台木(ブルームレス)特性比較表項目

品種名接ぎ木適性 栽培性

うどんこ病耐病性胚軸太さ 胚軸かたさ 草勢 低温伸長性スターク 7 8 9 7 ○エイブル 6 5 6 5 ×他社品種Z 6 6 7 5 ○他社品種B 7 5 6 6 ×

1)比較の数字:1細、柔、弱←5中→10太、硬、強2)うどんこ病耐病性:○=耐病性あり、×=耐病性なし

2012 タキイ最前線 冬春号 15

写真8

写真9

↑「スターク」は栽培初期から発根力にすぐれ、強勢で後半までスタミナを維持。

スターク

スターク

他社品種

他社品種

~ピーマン・メロン・キュウリ台木編~

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→メロン台木「ダブルガードEX」。アールスタイプから地這い用品種までオールシーズン対応。

↑「バギー」は青枯れ、疫病に強く、さらに根量が多いため栽培が安定する。

ピーマン台木特性比較表 項目

品種名接ぎ木までの生育の早さ

穂木との播種日の差

接ぎ木栽培での草勢 収量 耐病性

青枯病 疫病 PMMoVバギー ② 3~4日早 ③ ④ ◎~○ ◎~○ L3型他社D ② 3~4日早 ③ ④ ◎~○ × L3型他社BM ③ 1日早 ② ③ × ○ L3型比較の数字:①遅・弱・少 ← ③基準 → ⑤早・強・多

タキイは現在「京きょう

鈴すず

」「京きょう

ひかり」「京

きょう

まつり」など次々にPMMoV-L3型耐病品種を育成し、品種の充実を図っています。これらPMMoV-L3型耐病品種に接ぎ木ができる土壌病害耐病台木を育成しました。

タキイのピーマン台木は「バギー」です。ピーマンの接ぎ木はほかの果菜類ほど普及していませんが、今後、土壌病害回避のために台木の育成は重要です。青枯病と土壌伝染性疫

えき

病の両方に強い耐病性をもたせ、いち早く育成を行いました(写真6)。

PMMoV-L3型耐病品種を穂木として使用します。PMMoV-L3型耐病因子が異なる品種と接ぎ木を行うと、PMMoVに感染した時、耐病性レベルの弱い方が増殖して強い側に移行します。そこで過敏感反応が起こり、えそやしおれが発生し、最悪の場合は枯死することがあります。「バギー」での接ぎ木栽培の草勢

は、自根栽培とほぼ同じなので、栽培管理は自根栽培に準じます。ただし、接ぎ木を行うとどうしても苗齢が進む場合があるため、老化苗にならないよう若苗定植を心掛けます。あわせて生育初期はやや強めに生育させるよう管理します。

ピーマン台木タキイピーマン台木の特長

おすすめ台木

栽培の注意点

土壌病害に強い耐病性を付与していることが最大の特長です。しかも草勢の強さ別にラインアップされているので、栽培条件で使い分けを行うことができます。

「ダブルガード」シリーズを紹介します。メロンフザリウム菌はレース分化により従来の耐病性台木では罹

病するようになってきています。「ダブルガード」シリーズはそれらレース分化にいち早く対応し、メロンフザリウム菌の全レースに対して耐病性を付与しています。最近全国的に蔓

まん

延えん

の兆候がある、

土壌伝染性ウイルスによるメロンえそ斑はん

点てん

病に対しても強い耐病性を付与している「ダブルガード」シリーズを使うことにより、恐ろしい土壌伝染性の病気による被害を最小限に防ぐことができます。また、胚軸が太く接ぎ木作業が容

易で特に「ダブルガードEイー

Xエックス

」(写真7)、「ダブルガードパワー」は徒長しにくくがっちりとしたよい苗姿に仕上がる特長があります。「ダブルガード」の草勢はややおとなしめであるのに対し「ダブルガードEX」はやや強めの草勢で、さらに新発表の「ダブルガードパワー」は不良環境でも栽培しやすい草勢の強い台木となっていて、土壌条件や栽培環境、穂木品種により使い分けることができます。

「ダブルガード」シリーズは新レースのフザリウムレース1,2yに対して強い耐病性を発揮しますが、レース0、1、2のように完全な耐病性ではありません。今後、より圃場の汚染が進むと、罹病する畑も出てくる可能性があるので、太陽熱消毒や土壌還元消毒など、菌の密度を下げる対策も並行して行うとよいでしょう。メロンえそ斑点病については根から一次感染するので、耐病性台木に接ぎ木することで感染を防げるため問題ありませんが、周りの畑に感染株があった場合、接触により二次的に地上部から感染する恐れがあるので、罹病株は速やかに抜きとりましょう。

メロン台木(共台)タキイメロン台木の特長

おすすめ台木

栽培の注意点

メロン台木特性比較表項目

品種名フザリウム耐病性 MNSV

耐病性接ぎ木特性 草勢0 1 2 1,2y 1,2w 胚軸太 胚軸長 容易さ

ダブルガードパワー R(0) R(0) R(0) r(0.7) r(0.1) R 5 3 5 7ダブルガード R(0) R(0) R(0) r(0.4) r(0.1) R 5 4 5 5ダブルガードEX R(0) R(0) R(0) r(0.7) r(0.2) R 5 3 5 6

1)フザリウム耐病性:発病度 強0 → 4弱 2)接ぎ木特性:1細、短、難 ← 3中 → 5太、長、容易 3)草勢: 1弱 ← 5中 → 10強

16 2012 タキイ最前線 冬春号

写真6

他社品種バギー

写真7

ブリーダー通信24