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ミャンマー最新IT事情

2013年9月4日（一財）国際情報化協力センター情報調査部福田毅

“情報化の現状と発展への取組”

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目次

1. 基本情報 2. 政治・外交他 3. 情報化関連機関 4. 情報化の現状 5. 情報化政策と動向 6. 情報化の人材 7. 情報産業の概要 8. 日本及び外国の進出状況 9. 最後に

（2013年5月=首相官邸HP）

（2012年12月＝The New Light of Myanmar）

（2013年5月＝President Office HP）

Copyright©2013 CICC. All rights reserved.

□国名：ミャンマー連邦共和国

□面積：68万ｋｍ2 （日本の1.8倍） □人口：6370万人（2012年）*約7割は農村地区に居住 □通貨：チャット（1米ﾄﾞﾙ= 0.00103 チャット）(2013/9/2 ) □首都：ネピドー（旧首都：ヤンゴン） □政体：大統領制、共和制 □元首：テイン・セイン大統領（2011年3月就任、任期：5年） □民族構成：ビルマ族68%、他主要7民族（細かく分類すると135民族） □主要言語：ミャンマー語（公用語）、他民族言語 □宗教：仏教89%、キリスト教5%、イスラム教4%他 □日本との時差：-2.5時間 □失業率：5.4%（2012年） □名目GDP総額：531億米ドル（2012年） □一人当りGDP：834.6米ドル（2012年） □実質GDP成長率：6.3% （2012年） □対日貿易収支：対日輸出593.05百万米ドル (2011年）対日輸入509.71百万米ドル □在留邦人数：543人（2011年） □在留日系企業数：68社（2011年）

2

1. 基本情報

地政学的に重要な国


2. 政治・外交他

年月内容

2007年10月テイン・セイン首相就任

2010年11月総選挙、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLDは総選挙をボイコット、アウン・サン・スー・チー氏自宅軟禁解除

2011年3月テイン・セイン大統領就任、新政権発足

2011年7月政権とアウン・サン・スー・チー氏の対話と合意

2012年4月連邦議会補欠選挙でアウン・サン・スー・チー氏が当選し国政参加

2012年11月米国一部品目を除き禁輸措置を解除、オバマ大統領訪問

2013年4月 EU武器禁輸措置を除く対ミャンマー経済制裁を解除

2013年5月安倍首相公式訪問（延滞債務解消、910億円の円借款と無償協力の表明）

2013年12月東南アジア競技会開催（ネピドー他）予定

2014年 ASEAN議長国に就任

2015年総選挙、ASEAN経済共同体発足予定

【軍事政権】・国際的孤立・アジア最貧国のひとつ・中国依存

【民政移管後】・「民主化」による制裁解除・「経済社会改革」・バランス「外交政策」

（2013年5月=首相官邸HP）

2011年3月民政移管

（2013年6月=President Office HP ）

（2012年11月=NHK 時事公論）


3. 情報化関連機関

科学技術省（MOST）：IT系大学

ミャンマーコンピュータ連盟（MCF）ミャンマーコンピュータ専門家協会（MCPA）

ミャンマーコンピュータ産業協会（MCIA）

ミャンマーコンピュータ学生協会（MCEA）

ヤンゴンコンピュータ大学（UCSY）

マンダレーコンピュータ大学（UCSM）

ヤンゴン工科大学（YTU）

政府機関大学

産業界・コミュニティ等

マンダレー工科大学（MTU）

ピイ工科大学（PTU）

教育省（MOE）：教育におけるIT活用推進

ミャンマーコンピュータ科学開発審議会（MCSDC）：最高意思決定機関議長：通信情報技術大臣副議長：科学技術大臣

ミャンマーコンピュータ情報通信技術開発会社（MICTDC）

MCC(Myanmar Computer Co., Ltd.)グループ

KMD(Knowledge Management & Dedication)

ヤダナボン・テレポート(YTP)

ミャンマー郵電公社(MPT)

Ace Data System

郵電局(PTD)

通信情報技術省（MCIT）：通信、情報技術、郵便全般の監督官庁

他

他


4. 情報化の現状世界で最も情報化の遅れた国の一つ、ASEAN最下位＊電話普及率 10% (2012年）＊パソコン普及率 1% (2010年）＊インターネット普及率 1.07% （2012年）＊国連電子政府ランキング全190ヵ国中160位（2012年）

ITU携帯電話・PC・インターネット普及率(%)

国連による電子政府ランキング

国名 2012年韓国 1シンガポール 10日本 18マレーシア 40ブルネイ 54中国 78ベトナム 83フィリピン 88タイ 92インドネシア 97インド　 125ラオス 153カンボジア 155ミャンマー 160

ICT発展の必要性 2013年5月テイン・セイン大統領・経済成長のため、ICT発展が必要・電話普及率ASEAN最下位・通信技術者、関連設備・技術不足

アジア最貧国からの脱却・経済社会改革推進・自由化・外資・競争による電話普及率向上 2016年に75-80%

最近の動向 2012年12月経済社会改革の枠組み 2013年1月通信事業自由化→国際入札 2013年4月低価格SIMカードの販売

1. 財政と税制改革 2. 金融分野改革 3. 貿易や投資の規制緩和 4. 民間セクター開発事業 5. 健康と教育分野改革 6. 食料自給と農業分野の発展計画 7. 統治システムと透明性向上計画 8. 携帯電話サービスとインターネットサービス改善計画 9. インフラ開発計画 10. 効果的かつ効率的統治システム計画

経済社会改革の枠組み (Framework on Economic

and Social Reform)

ICTマスタープラン 2001-2005 （MCF起草） 2006-2010 （韓国支援） 2011-2015 （韓国支援）

ITU IDI (ICT Development Index)

国名 2011年韓国 1日本 8シンガポール 12ブルネイ 57マレーシア 58中国 78ベトナム 81タイ 92フィリピン 94インドネシア 95インド 119ラオス 120カンボジア 121ミャンマー 131

2012年12月、計画委員会承認


0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

2012-2013 2013-2014 2014-2015 2015-2016

10%27%

50%

75%～80%

6

5. 情報化政策と動向① -電話普及率向上に向けた取組-

1. 通信市場の自由化 (1)自由化による競争導入（1社→4社）・外国オペレータ2社； Telenor（ノルウェー）、Ooredoo（カタール） 2013年6月選定（9月までに15年間のライセンス供与、9ヵ月以内に商用運用開始）・国内2社にライセンス供与・現オペレータMPTは、Myanmar Economic Corporation (MEC)と合弁計画・MPT傘下のISPヤダナボン・テレポート(YTP)は民営化計画 (2)新通信法を制定し、法的枠組み整備（2013年8月27日、議会承認） (3)MCITから郵電局(PTD)を分離し独立した規制機関とする計画（2015年） 2. 携帯電話用低価格SIMカード 2013年4月、低価格SIMカード販売開始、通信インフラ整備推進（特にGSM網拡充）・従来高額なSIMカードとインフラ未整備のため、普及が遅れていた携帯電話の普及促進・条件付1枚約150円相当(当初CDMA800MHz用)で、毎月計35万枚を全国で販売（GSM用は同年7月開始）例： GSM SIMカード価格推移(1枚、1チャット=0.1円で換算) 5万円（2002年）→10万円→15万円→5万円（2011年2月）→2万円（2012年4月）→150円（2013年7月）

電話普及率目標

携帯電話システム稼働年加入者数シェア

GSM900MHz 2002年 3,615k 66%

CDMA800MHz 1999年 1,085k 20%

CDMA450MHz 2008年上欄に含む -

WCDMA2,100MHz 2008年 738k 14%

合計 5,437k MPT SIMカード=Myanmar Times/Mizzima

出典：MCF

2012年12月現在出典：MCF


5. 情報化政策と動向② -電子政府-

2005年5月電子政府構築のため韓国の融資（第一ステップ）・各省庁間を接続する高速通信ネットワーク構築・データセンター構築・基本的行政プロセス電子化（人事管理システム、電子書類管理システム）

2012年10月現在運用中（一部パイロットシステム）・電子調達システム・データセンター・認証局(Certificate Authority) ・政府会計システム等(Government Accounting System) 2012年10月現在開発/検討中・本人確認システム(National Verification System) ・銀行・金融システム(Banking and Financial System) ・ロジスティック管理システム(Logistic Management System) ・住民登録(National Registration) ・農業データベース(Agricultural Database) ・電子課金・自動支払システム (E-Billing and Auto Payment System)等

国連による電子政府ランキング

国名 2012年韓国 1シンガポール 10日本 18マレーシア 40ブルネイ 54中国 78ベトナム 83フィリピン 88タイ 92インドネシア 97インド　 125ラオス 153カンボジア 155ミャンマー 160


6. 情報化の人材

管轄内容数科学技術省(MOST) コンピュータ大学数 25校

年間ICT専門家卒業生数（学士、大学院、修士、博士）

6,000名以上

教育省(MOE) 年間ICT専門家卒業生数（学士、大学院、修士）

1,500名

ミャンマーコンピュータ連盟(MCF) 年間ICT専門家卒業生数 (JITEE/MCPA Certification)

700名

民間スクール年間ICT専門家卒業生数 850名

ICT関係大学等卒業生

・従来、国内IT産業の採用は少ないため、シンガポールを中心に、タイ、日本、オーストラリア等国外に流出

・最近国内IT産業の採用増加人材の国外流出に歯止め・ヤンゴンコンピュータ大学(UCSY)はMCFと共同で学生の就職活動支援

国名 2011年韓国 1日本 28タイ 62シンガポール 71ブルネイ 72フィリピン 77中国 89マレーシア 90インドネシア 100ベトナム 101ミャンマー 111インド　 115カンボジア 120ラオス 121

ITU IDI Skills sub- index

毎年IT関係の卒業生多数輩出（約9千名）出典：MCF


7. 情報産業の概要

管区/州企業数ヤンゴン管区 459 マンダレー管区 82 ザガイン管区 37 シャン州 26 エーヤワディ管区 16 モン州 46 バゴー管区 31 マグウェ管区 11 合計 708

ハードウェア産業全体の50%以上がハードウェア産業製品輸入と組み立てが主体

ソフトウェア産業企業数はハードウェア産業と比べ少ない国内開発 Myanmar ICT Parkに50社以上のソフトウェア企業が進出

現地企業の状況 ICT関連企業数は約800社 MCIA加盟企業数は708社（2012年12月現在）

事業分野別MCIA加盟ICT企業数（ヤンゴン管区）

MCIA加盟ICT企業数

Myanmar ICT Park, Yangon 出典：MCIA

出典：MCIA


・携帯電話端末

・サーバ・PC・周辺機器等

10

8. 日本及び外国の進出状況

発表年月会社名進出内容 2012年 10月

NTTデータ・システム開発拠点開設・2017年に500名体制・電子政府事業

2012年 11月

日立製作所・ヤンゴン支店開設・社会イノベーション事業・MICTDCとDC設立計画（2013年6月現地紙報道）

2012年 12月

日本電気・ヤンゴン支店開設・ネピドー支店開設(2013年8月）・住商・NTTコムと通信インフラ構築（2013年5月契約）

2012年 12月

富士通・大和総研・KDDIと中央銀行向けクラウド型コンピュータ環境構築・富士通は機器類、手のひら静脈認証システム担当。

・オフショア開発 2008年以降複数の日系企業が進出

積極的に進出する日系企業存在感のある中国と韓国

・携帯電話インフラ構築華為技術(ファーウェイ）、中興(ZTE)他・携帯電話端末・サーバ・PC・周辺機器等

中国韓国政府・企業・ICTマスタープラン支援・電子政府構築支援・ICT人材育成支援・携帯電話端末・PC/周辺機器等

進出を窺う米国企業

・サーバ・PC・周辺機器・ソフト・スマホ等・IBM, HP, Dell, Apple, Intel, Cisco製品等米国製品は経済制裁中直接/間接輸入可

Google, Intel, Microsoft 事務所設立準備中

・携帯電話端末

・サーバ・PC・周辺機器等

台湾

（2011年12月 =The Washington Post)

ヤンゴン日本人商工会議所会員企業数は急増 68社（2012年12月）→105社(2013年5月）(出典：JETRO)


9. 最後に

・ミャンマーはASEAN最貧国であり、かつ情報化でも最下位。・一方、豊富な天然資源と、高い識字率と勤勉な国民6千万人を抱え、潜在能力が高い。・改革の推進と経済成長に伴い、情報化の急速な発展が期待される。

ITU携帯電話・PC・インターネット普及率(%) 一人当たり名目GDP2012（米ドル）


「参考」ミャンマーセミナー

2012年12月、首都ネピドーにてセミナー開催・MCFとCICCの共催・テーマ：「ICT for development」・来賓：MCSDC議長である、通信情報技術大臣・科学技術大臣、通信情報技術副大臣2名他、各省庁関係者等約100名が参加


「参考」経済特区と投資関係法令

経済特区

(1)ティラワ経済特区

(2)ダウェイ経済特区

(3)チャオピュー経済特区

投資関係法令・会社法 (1914年制定) ・経済特区法（2011年制定）・外国投資法（2012年制定）・会社法 (The Burma Companies Act) http://www.dica.gov.mm/Myanmar%20Companies%20Act.htm ・経済特区法(The Myanmar Special Economic Zone Law) ・外国投資法(Foreign Investment Law) http://www.dica.gov.mm/Investment%20and%20related%20laws.htm 各法令の日本語仮訳とミャンマー工業団地リスト国際機関日本アセアンセンターのWebサイト「ミャンマーの投資環境」参照 http://www.asean.or.jp/ja/asean/know/country/myanmar/invest

チャオピュー

ティラワ

ダウェイ

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