ナショナルサイバートレーニングセンターにおける ......2020/08/19  · 1...

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ナショナルサイバートレーニングセンターにおける セキュリティ人材育成の取組について ※本資料に記載されている事業計画等は 2020 7 月時点のものであり、 今後の社会情勢等に応じて、予告なく延期・変更・中止となる場合があります

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ナショナルサイバートレーニングセンターにおけるセキュリティ人材育成の取組について※本資料に記載されている事業計画等は 2020 年 7 月時点のものであり、今後の社会情勢等に応じて、予告なく延期・変更・中止となる場合があります

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上級セキュリティ分析官レベル

準上級

データ解析者レベル

中級

CSIRTメンバーレベル

初級

CSIRTアシスタントレベル

セキュリティオペレーター(実践的運用者)の育成

情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関であるNICTの技術的知見、研究成果、研究施設等を最大限に活用し、実践的なサイバートレーニングを企画・推進する組織として、「ナショナルサイバートレーニングセンター」を設置(2017年4月1日)

「ナショナルサイバートレーニングセンター」の概要

2

行政機関や民間企業等の組織内のセキュリティ運用者(情報システム担当者等)を対象

所属組織が深刻なサイバー攻撃を受けた段階等(=「有事」)における実践的なインシデント対応能力を育成

セキュリティマインドを持ち、既存ツールを単に「ユーザー」として利用するだけではなく、革新的なセキュリティソフトウェア等を自ら「研究・開発」していくことができるハイレベルな人材を育成

ハイ

レベル層

一般のシステム開発者層

セキュリティイノベーター(革新的研究・開発者)の育成

運用者全体開発者全体

※CSIRT:Computer Security Incident Response Teamシーサート

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実践的サイバー防御演習「CYDER」

東京2020大会開催に向けた実践的サイバー演習「サイバーコロッセオ」

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セキュリティオペレーター(実践的運用者)の育成

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現状各組織内においてインシデントが発生した際、情報システム担当者等が「直ちに」「的確な」対応を行わないと、被害を更に拡大させるおそれ

セキュリティ人材が社会全体として不足する傾向にある

必要性「平時」から、情報システム担当者等のインシデント対応能力を十分に高めておくことが必要

日本全体として、早急に、多くのセキュリティオペレーターを実践対応レベルまで引き上げることが必要

セキュリティオペレーター育成に関する課題

課題「有事」の対処能力は、日常

業務を行っているだけでは、なかなか身につかない

機微情報等を扱っている各組織の現用システムで、訓練のためにインシデントを発生させるのは、通常では困難

日常業務が忙しくて、訓練に長時間を割くことが難しい

求められるトレーニング像平時において擬似的に「有事」の環境を構築し、その擬似環境下で、実際の機器やソフトウェアの操作を伴う実践的なトレーニングを繰り返し実施

現場で働く情報システム担当者等が受講可能な、コンパクトで効率的なカリキュラム

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NICTによるセキュリティオペレーターの育成

石川県能美市サイバー演習自動化システムCYDERANGE (サイダーレンジ)

長年のサイバーセキュリティ研究による技術的知見

大規模高性能サーバー群 NICT北陸StarBED技術センター

大規模性大規模な組織のネットワーク環境を再現した仮想環境を構築するための大規模なサーバー群 運営ノウハウの蓄積大規模仮想環境の効率的かつ安定的な運営に関する高度な知見・ノウハウが蓄積 セキュアな環境インターネット等から隔離された強固な閉鎖環境

CYDERANGEはサイバー演習の運営に係るコストの削減と受講者のプロファイルに合わせた効果的な演習プログラムの提供を目指すサイバー演習自動化システムを2018年度から導入

仮想空間で再現された大規模ネットワーク環境

Guard!Attack!

放送環境

チケット販売

公式HP

WiFi・通信環境

社会インフラ

避難・誘導

サイバー攻撃への対処方法を体得

※ Learning Record Store (履歴データベース)

StarBED上に構築

新世代超高速通信網NICT 大容量回線

(JGN)

活用

NICTの長年にわたるサイバーセキュリティ研究で得られた技術的知見を活用し、我が国固有のサイバー攻撃事例を徹底分析した最新の実機演習シナリオを作成

インシデントハンドリングに最低限必要なスキルを厳選して凝縮し、コンパクトで効率的なカリキュラムを構成

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実践的サイバー防御演習「CYDER」

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実践的サイバー防御演習「CYDER」 の概要(CYDER:CYber Defense Exercise with Recurrence)

サイダー

行政機関、重要インフラ等の情報システム担当者等が、組織のネットワーク環境を模擬した環境で、実践的な防御演習を行うことができるプログラムを提供することにより、数千人規模でセキュリティオペレーターを育成

※CYDERは、(ISC) 2が提供する資格の認定継続に必要なCPEクレジット (継続教育単位) 付与対象の演習

2020年度コース概要

受講者の習熟度に応じてAコース及びBコースを開催

事前オンライン学習 (1時間程度)実機演習・グループワーク (1日間)

年間100回程度開催、3,000人以上の受講が可能

全国47都道府県、100回程度開催重要社会基盤事業者、民間企業等は、受講料を徴収

(70,000円/人 (税別) )

コース 難易度 主な対象組織 主な対象者 開催予定地 開催回数

Aコース(初級)

CSIRTアシスタントレベル

(全組織共通)情報システムに携わる全ての方/CSIRT要員/安全に情報システムを運用したい方

47都道府県 65回

B-1コース(中級) CSIRT

メンバーレベル

地方公共団体向け CSIRT要員、インシデント発生時に対応要員となる方/情報システム管理者・運用者/情報システムの調達・企画・開発に携わる方

全国11地域 20回

B-2コース(中級)

国の機関 (28組織) 、独立行政法人等 (87法人) 、指定法人 (9法人) 、重要社会基盤事業者 (14分野※) 、民間企業等向け

東京・名古屋大阪・福岡

15回

2020年度実施内容および対象組織

CYDER受講者数の推移 (累積数)

※14分野:情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油 等

●上記以外に、難易度や受講環境の異なるコースを検討中

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2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

受講者累計数

2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019年度

292人

11019人

7929人

715人507人

5263人

2254人

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2020年度CYDER年間開催日程

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全国 47都道府県、100回程度開催8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ 会場Ⅰ 会場Ⅱ1 土 火 長野① 木 日 火 金 (元日) 月2 日 水 三重 金 秋田 栃木 月 水 広島② 土 火 東京⑥ 沖縄3 月 木 土 火 (文化の日) 木 大阪④ 日 水 福岡

4 火 金 岐阜 兵庫 日 水長野②(諏訪) 鹿児島 金 月 木 東京⑦

5 水 土 月 木 北海道③ 土 火 金6 木 日 火 大阪③ 金 静岡 日 水 土

7 金 月 水北海道②

(旭川) 東京③ 土 月 木 日8 土 火 愛媛 木 日 火 山梨 金 月

9 日 水 北海道① 金 群馬鳥取(倉吉) 月 水 大阪③ 土 火 東京⑧ 愛知②

10 月 (山の日) 木 大阪② 土 火 愛知③ 大阪② 木 日 水 東京⑨ 大阪④11 火 金 京都 日 水 金 香川 福岡① 月 (成人の日) 木 (建国記念の日)12 水 土 月 木 宮城② 土 火 金13 木 日 火 石川 和歌山 金 大分 日 水 東京① 土14 金 月 水 土 月 木 日15 土 火 福岡① 木 愛知② 奈良 日 火 宮崎 金 福岡② 月16 日 水 金 東京① 月 水 東京③ 土 火 大阪②17 月 木 土 火 山口 木 日 水 東京⑧18 火 東京① 金 新潟 日 水 東京⑤ 徳島 金 東京⑥ 月 木 東京④19 水 土 月 木 東京② 土 火 愛知 金 東京⑩20 木 日 火 熊本 金 滋賀 長崎 日 水 東京② 大阪① 土21 金 愛知① 埼玉 月 (敬老の日) 水 富山 愛知① 土 月 木 東京⑦ 香川 日

22 土 火 (秋分の日) 木 日 火 長野(塩尻) 金 東京③ 広島 月

23 日 水 金福島(郡山) 佐賀 月 (勤労感謝の日) 水 土 火 (天皇誕生日)

24 月 木 青森 土 火 木 日 水25 火 宮城① 金 東京② 日 水 北海道 神奈川 金 月 木

26 水 大阪①島根(出雲) 土 月 木 土 火 岡山 福岡② 金 東京⑪

27 木 千葉 日 火 岩手 高知 金 宮城 石川 日 水 東京④ 土28 金 広島① 月 水 大阪① 土 月 木 日29 土 火 山形 木 岡山 日 火 金 東京⑤

30 日 水 茨城 沖縄 金 東京④福井(敦賀) 月 水 土

31 月 土 木 日

Aコース:赤 / B-1コース:緑 / B-2コース:青

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CYDERのトレーニング内容

演習舞台設定CYDERの演習舞台 (仮想組織のネットワーク) は、コース別に最適化された仮想環境を構築 攻撃・対処シナリオ

CYDERの演習で使用されるサイバー攻撃や、それに対処する検知、解析、封じ込め、報告、復旧等の流れは、現実に起きたサイバー攻撃事例の最新動向を徹底的に分析し、コース別に、毎年最新のシナリオを準備。繰り返し受講することにより、最新かつ様々な攻撃に対する対処法を学ぶことが可能

Aコース (2019年度)① 標的型攻撃メールを受信した株式会社サイダーの職員が、添付されていたドキュメントファイルを開いて、マルウェアに感染

② その職員の端末から社内の他の端末へ感染が拡大

B-1コース (2019年度)① CMS (コンテンツ・マネジメント・システム) の脆弱性を用いて侵入・改ざんされたWebサイトにさいだ市の職員がアクセスした結果、マルウェアに感染

② その職員の端末から、庁内システム内にマルウェア感染が拡大、機密ファイルが漏洩しメールサーバーにマイニングツールが設置される

B-2コース (2019年度)① さいだ省の職員が、悪意のある広告 (マルバタイジング) を含んだ一般のニュースサイトにアクセスし、マルウェアに感染

② その職員の端末から、省内システム内にマルウェアが感染拡大、機密ファイルが漏洩する

各グループそれぞれに提供するネットワーク構成

演習会場

・・・

リモート接続

グループB設備

擬似インターネット

LGWAN

グループA 演習環境さいだ市ネットワーク

DMZインターネット接続系LGWAN接続系個人番号利用事務系

・・・ グループB

演習環境

グループB

演習環境

グループB演習環境

住基ネット

受講者端末1ファイルサーバ

各種サーバ

グループA設備

受講者端末2

受講者端末3

受講者端末4

受講者の皆さん

VPN

StarBED

演習シナリオ例 演習舞台設定例 (B-1コース)

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集合演習の流れCY

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実習

実習

実習

実習

実習

実習

説明

解説

実習

説明

解説

実習

説明

解説

実習

説明

解説

実習

説明

解説

まとめ 全体解説

Aコース Bコース

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インシデント発生から解決、事後対応までを体験

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東京2020大会開催に向けた実践的サイバー演習「サイバーコロッセオ」CY

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東京2020大会開催に向けた実践的サイバー演習「サイバーコロッセオ」の概要

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連組織のセキュリティ関係者に対し、大会開催時を想定した模擬環境で攻撃・防御双方の実践的な演習を行うことにより、高度な攻撃に対処可能な能力を有するサイバーセキュリティ人材を育成

最終的に約220人以上のセキュリティ担当者等を育成予定

※サイバーコロッセオは、 (ISC) 2が提供する資格の認定継続に必要なCPEクレジット (継続教育単位) 付与対象の演習

コロッセオ演習受講者の習熟度や業務の性質等に合わせて、初級・中級・準上級コースを設定◆事前オンライン学習◆高度セキュリティ講義演習 (準上級のみ) ・実機演習・グループワーク◆オンライン復習

コロッセオカレッジコロッセオ演習と連携する20科目の講義演習 (選択受講制)

2020年度コース概要

コース 難易度 対象組織 開催地 開催回数

コロッセオ演習

初級コース CSIRTアシスタントレベル

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック

競技大会組織委員会東京

Aコース1回Bコース1回

中級コース CSIRTメンバーレベル Aコース1回Bコース1回

準上級コース データ解析者レベルAコース1回Bコース1回Cコース2回

コロッセオカレッジ 20科目

2020年度実施内容および対象組織

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サイバーコロッセオのトレーニング内容

コロッセオ演習内でカバーできない、かつ東京2020大会開催に必要と思われる広範な講義演習

選択受講制- 受講者が自身のスキルマップに基づき不足している

領域の講義演習を選択

演習舞台設定サイバーコロッセオの演習舞台 (仮想ネットワーク) は、東京大会の公式サイト、大会運営システム等のネットワーク環境を模擬して構築

演習イメージ (準上級コース)大会開催時に想定されるサイバー攻撃を擬似的に発生させることができるようにし、本格的な攻防戦等を繰り返し実施※ 攻防戦のほかに、フォレンジックやバイナリ解析の速さ等を競うコンテスト形式の演習などを開発予定

- 攻防戦受講者が複数チームに分かれ、自組織のネットワークの守備と他チームのネットワークへの攻撃を両方体験することで、攻撃者側の視点をも踏まえたハイレベルな防御手法の検証及び訓練を行う演習

コロッセオ演習 コロッセオカレッジ

科目名 科目名

セキュリティ基礎 ペネトレーションテスト実務

セキュリティツールE セキュア開発

インシデントレスポンス概論 セキュリティツールP

個人情報保護関係法令 ログ解析実務

GDPR マイクロハードニング

最新セキュリティトレンド サイバーインテリジェンス

システムアーキテクチャ フォレンジック実務

実践インシデントレスポンス マルウェア解析実務

セキュリティツールM トラフィック解析実務

脆弱性診断実務 IRノンテクニカルスキル演習

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セキュリティイノベーター育成プログラム「SecHack365」

セキュリティイノベーター(革新的研究・開発者) の育成CY

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セキュリティイノベーター育成に関する課題

現状

必要性私たちが、自らの手で自らの社会の安全を守っていくためには、既存のセキュリティソフトウェア等を単に「ユーザー」として利用するだけではなく、新たに自ら「研究・開発」していくことができる人材の育成が必要

課題マルウェア検体やその痕跡データなど関連デー

タと、それらを安全に利用して研究・開発を行うことができる「研究・開発環境」が必要

実績・経験がある一線級の「研究者・技術者」から、「技術指導・助言」を得ることが必要

求められる人物像自ら手を動かし、セキュリティに関わる新たなモノづくりができる人材

(セキュリティイノベーター)

我が国のセキュリティ・ベンダーの存在感は、世界規模で見ると決して大きいものではなく、ブラックボックス化した海外製品を利用することが多いのが現状

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NICTによるセキュリティイノベーターの育成

大規模高性能サーバー群

研究・開発に関する知見・人的資源

NICTは、クラウド型で遠隔からも安全にマルウェア研究等を行うことができる遠隔開発環境「NONSTOP」を開発し、外部との共同研究やNICT自身の研究に利用

NICTが大規模なサイバー攻撃観測網を用いて長年に渡り収集した現実の攻撃データ等を数十万規模でデータベース化し、研究に活用できる形式で提供

NICTの研究者・技術者は、長年のサイバーセキュリティ研究を通じて、NICTER、NIRVANA、DAEDALUS、STARDUSTといった、最先端の研究・開発の「モノづくり」を行い、そのノウハウを蓄積

NICTの「強み」遠隔開発環境「NONSTOP」

トレーニング受講生に対して、「NONSTOP」へのアクセス権を特別に付与することで、いつでもどこからでも安全な環境下で、豊富なマルウェア検体等を使用しつつ研究・開発の実践的トレーニングを行うことが可能

これらNICTの研究者・技術者を核として、NICTの研究分野における人的ネットワークを活用し、外部の有志の研究者・技術者の協力をも得ることにより、一線級の研究者・技術者陣による本格的な技術指導・助言を行うことができる

活用

遠隔接続

遠隔接続

遠隔接続

遠隔接続

遠隔接続

遠隔接続

北陸StarBED技術センター@石川県能美市

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セキュリティイノベーター育成事業「SecHack365」

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セキュリティイノベーター育成プログラム「SecHack365」の概要セックハックサンロクゴ

自ら手を動かし、セキュリティに関わる新たなモノづくりができる人材 (セキュリティイノベーター) の育成に向けて、若年層のICT人材を対象に、NICTの持つ長年の研究開発のノウハウや、実際のサイバー攻撃関連データとそれらを安全に利用して研究開発が行える環境を活かした、1年をかけて本格的にセキュリティ関連技術の指導を行うプログラム

日本国内に居住する25歳以下の若手ICT人材(学生、社会人)

対象者

受講生属性(2017~2019年度)

特長

社会人9%

大学院22%

大学(学部)36%

高等専門学校15%

専門学校5%

高等学校10%

中学校2%

小学校1% 2

45

最先端技術の体験先端企業の見学による社会体験で発想力を強化。講演を聞く事でプレゼンテーションスキルアップに

つなげる。

豊富な研究資産NICTの知見・人的資源、研究開発のノウハウ、攻撃データ等の活用。

受講生への支援長期間の学業との両立についての助言、指導。作る→見せる を習慣化し作品のイメージを早期に具体化。オンラインでの

指導・遠隔開発演習自宅などの遠隔地から

開発環境へアクセス可能。チャットやタスク管理ツールを活用した持続的な指導を実施。

アイデアソン・ハッカソンイベント開催地を変えて複数回実施し、継続的に開発指導。オフラインで議論、検討、相談、発表を行う。

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年間プログラム例(2019年度)

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「SecHack365」のプログラム内容例

募集開始・審査選考

6月

8月

10月

12月

2月

3月

選考結果発表4月

5月第1回集合イベント・キックオフ、交流・アイデアソン

第2回集合イベント・コースワーク

第3回集合イベント・企業見学、コースワーク・全員のテーマ発表

第4回集合イベント・デモ展示・作品へのフィードバック

第5回集合イベント・審査会へ向けた発表練習・表現の練習とフィードバック

第6回集合イベント・全員発表・優秀修了作品審査会

成果発表会・修了式

<2020年度年間プログラム>

1年間のプログラム例

9月 修了生イベントSecHack365 Returns

デモ展示ポスター作製プレゼン練習

デモ展示ポスター展示プレゼン発表フィードバック

ポスター展示プレゼン発表

表現駆動コース

• アイデアを形にする過程で価値を最大化するなど、サービスを磨き上げるコース

• グループでのハッカソン実施により、サービスづくりを進める

学習駆動コース

• 興味ある技術や作りたいものに対して、付加的な学習をしながら開発を進めるコース

• 付加学習により、他の技術や他分野を知ることで、作るもののアイデアの幅を広げる

開発駆動コース

• 開発することに重きをおいて、開発指導に特化したコース

• 定まっている開発テーマや分野について指導を受け、開発を進める

思索駆動コース

• 問題を発見して、その問題を深く理解した上で解決策の提案を試みるコース

• 問題の発掘、鮮明化、解決手法の導出・設計・実装のプロセスを実施する

研究駆動コース

• 研究的プロセスに基づいたアイデア、仮説立案と検証評価を重視したコース

• 将来のセキュリティ分野における研究者になるため、研究者に必要なスキルを磨く

セキュリティに関する技術などの研究開発や、一般的なモノづくりにおけるセキュリティ面の磨き上げを支援。

モノづくりのアプローチが異なる複数のコースを提供。応募時に自らが望むコースを選択することでミスマッチを抑制。アイデア出し

テーマ検討

テーマの決定テーマの発表レビューデモ準備

コース概要

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SecHack365実施風景

現地企業訪問・見学 講義

ポスター展示 デモ

コースワーク 成果発表会

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SecHack365 受講生の活躍例

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【学習コース】灰原 渉 (大学生)

SCIS2020 暗号と情報セキュリティシンポジウム参加電子情報通信学会・情報セキュリティ研究専門委員会主催暗号と情報セキュリティ技術に関する最新の研究成果を発表し、情報交換の場を提供する場となっている。

【研究コース】中田 有哉 (大学院生)

JANOG (Japan Network Operators‘ Group) ミーティング参加日本ネットワークオペレーターズグループ主催北米ネットワークオペレーターズ・グループ)の日本版。日本のインターネットに於ける技術的事項やオペレーションに関する事項を議論、 検討、紹介。

開発作品「光るLANケーブル イルミパケット (ILLUMIPACKET) 」を発表

【学習コース】 藤原 出帆 (高校生)

SecHack365がスポンサーとなっている「SECCON2020」ではワークショップを開催し、満員となった。好評のため企業数社から展示引き合いがあった。その他『セキュリティ博物館プロジェクト』にも参加。オープンソースカンファレンスでもデモを行った。

日時 :2020年1月28日(火)~30日(木)発表内容:「ネットワーク間の協調による

DRDoS攻撃対策手法」目的 :SecHack365受講生として、開発

の成果をネットワークセキュリティ技術分野の研究者や専門家が集まる会合にて発表。

日時 :2020年1月22日(水)~24(金)発表内容:「Sereform SF: IoT機器として

のSoC FPGAを遠隔から自由に操作するための、締め付けないセキュリティ基盤」

目的 :SecHack365受講生としての研究開発の成果をネットワーク運用事業の専門家が集まる会議で発表。

「岡山県の新型コロナウイルス感染症対策サイト(非公式)」の立上げ

地元の岡山県が公開している新型コロナウィルスの情報をわかりやすく発信。東京都のサイトを参考に、岡山県版を約18時間で作成。現在は小学生・中学生のエンジニアも含め、県内外6人のボランティアで運営している。ネットニュースや、地元のオンライン新聞などに掲載された。

【学習コース】麻生 航平 (大学院生)

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SecHack365 修了生の継続支援

「SecHack365 Returns 2019」日時 :2019年9月28日(土)会場 :秋葉原コンベンションホール参加者:2017年度修了生16人

2018年度修了生25名、合計41名内容 :若手研究者の講演、修了生の活動報告、

修了生企画、奨励賞表彰等

修了生発表 タイトルSecHack365奨励賞

「サイバー攻防体験学習ゲームCyshipの成果発表」

2017年度修了生 Cyshipチーム(北村 拓也、友利 奈緒、川島 一記)

修了生活動報告

「SXSW訪問で感じた世界に広まるサービスを作る方法」

2018年度修了生 秋田 賢

「秘密計算技術の可能性と実装」 2017年度修了生 澤 佳祐

「普通の大学院生が授業つくってみた-バグハンティングコンテストに寄せて-

2018年度修了生 古川 菜摘

「SecHack365が教えてくれた」 2017年度修了生 三須 剛史

「ExGDBの新機能とその他SecHack365以降の成果」

2018年度修了生 宮川 大星

「米国で行われるCanSatの打ち上げ実験ARLISSに参加してきた」

2018年度修了生 山本 悠介

小松 聖矢 Analysis of Botnet Cooperative Behavior using Deep Learning on Darknet「ダークネットにおける深層学習を用いたボットネット協調動作の解析」

赤間 厚生 Development of Buckler for sharing security signature「『Buckler』探知機のシグネチャと判定するプログラムを分離するためのフレームワーク」

柴崎 研冶 Support system for static analysis of malware using CNN「マルウェア解析補助システム」

開催地 : 東京、テルアビブ (イスラエル)参加者 :【東京】修了生2名 (小松 聖矢、山本 悠介)

【イスラエル】修了生3名 (小松 聖矢、赤間 滉星、柴﨑 研冶)がビデオ発表形式で参加

参加目的:イスラエル国家サイバー総局と総務省とのMoC (MEMORANDUM OF COOPERATION) に基づき、両国間の人材育成協力の一環として世界的なサイバーセキュリティ関係のイベントに参加世界の専門家を前にして発表の機会を提供

サイバーテック・東京 (2019年11月26日~27日)サイバーテック・テルアビブ (2020年1月28日~30日)

サイバーテック・グローバルサイバー分野におけるB2Bネットワーキングプラットフォームテルアビブ、ローマ、東京、シンガポール、パナマなど世界の都市でサイバー分野における最新のテクノロジーイノベーション、脅威やソリューションなどを紹介する場として開催

修了生コミュニティの活動

修了生への機会の提供

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Page 23: ナショナルサイバートレーニングセンターにおける ......2020/08/19  · 1 各種サーバ グループ A 設備 受講者 端末 2 受講者 3 受講者 4 受講者の皆さん

SecHack365 修了生の活躍例

• 未踏IT人材発掘 育成事業採択 (2017年度)• Challenge IoT Award 2017総務大臣賞受賞• 学生CGコンテスト アート部門ノミネート• 第15回キャンパスベンチャーグランプリ (CVG) 全国大会経済産業大臣賞、ビジネス部門大賞、JVCA賞受賞 (Cyship)

• MAKERS UNIVERSITY第3期生• 『知識ゼロからのプログラミング学習術』書籍出版

(Amazonのカテゴリー1部門で、ベストセラー第1位)• 広島大学学長特任補佐、特任助教• 小中高生対象のプログラミングスクール TechChance! 共同創業者• 「株式会社Cyship」 設立・代表 (https://cyship.net/)

2017年度優秀修了生 北村 拓也 さん (受講時:大学院生) 2017年度優秀修了生室田 雅貴 さん (受講時:大学生)

• にいがたITアワード 2018 最優秀賞• えちご想発 × Tech 2018 奨励賞• 新潟大学発ベンチャー「株式会社riparia」設立代表取締役CEO

• MAKERS UNIVERSITY第4期生2017年度修了生

市川 友貴 さん (受講時:大学生)• 未踏IT人材発掘 育成事業採択 (2019年度)• 学生クリエーター支援クマ財団2期生・3期生• Todai To Texas 2020 DemoDayAward 受賞• 未踏IT人材発掘・育成事業スーパークリエータ認定(2019)

2017年度修了生二ノ方 理仁 さん (受講時:小学生)

• ITスーパーエンジニア・サポートプログラム“すごうで2019”採択

• 第82回情報処理学会 全国大会中高生情報学研究コンテスト中高生研究賞 優秀賞 受賞

2018年度修了生三橋 優希 さん (受講時:中学生)

• 未踏ジュニアスーパークリエータ認定 (2018年度)

• BSテレ東 ドキュメンタリー番組「14歳からのスタートアップ」出演

2018年度優秀修了生 朱 義文 さん(受講時:高校生)

• 第81回情報処理学会 全国大会中高生研究賞優秀賞 受賞

• 2019CODE BLUE メイントラック:U25「Semzhu-Project – 手で作る組込み向けハイパーバイザと攻撃検知手法の新しい世界」発表

• 東京都私学財団「文化・スポーツ活動賞」受賞2018年度修了生

窪田 靖之 さん (受講時:中学生)• World Robot Summit 2018 ジュニアカテゴリホームロボットチャレンジ 人工知能学会賞

• 第82回情報処理学会 全国大会中高生情報学研究コンテスト中高生研究賞 最優秀賞 受賞

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