マーケットレポート オリンピック・パラリンピック関連の...
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マーケットレポート:オリンピック・パラリンピック関連のビジネスチャンス
2018年3月
2017年の訪日外国人数は2,800万人を超過し、史上最多を記録した。 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「オリパラ」と略称)に向け、観光業をはじめ、セキュリティや語学教育を含む幅広いサービス産業において、様々なビジネスチャンスが到来している。
本レポートでは特に新規事業として注目される下記分野について、日本市場動向や主要プレーヤー、外国企業の参入事例を紹介する。
1
<対象分野>(1)クルーズ(2)民泊(3)スポーツ・エンターテインメント関連ビジネス(4)サイバーセキュリティ(5)語学教育
はじめに
目次
1. 日本におけるオリパラ関連ビジネスの動向
2. 成長産業の動向(1)クルーズ
(2)民泊
(3)スポーツ・エンターテインメント関連ビジネス
(4)サイバーセキュリティ
(5)語学教育
3.外国企業進出時のパートナー候補
4. オリパラ関連ビジネスの環境(1)インセンティブ等
(2)主要な業界団体・協会
(3)主要な展示会
2
直接的効果:19,790
東京都の推計によると、東京オリパラ開催に伴う2030年までの需要増加額は東京都だけで約14兆円に上る。東京都における需要増加額の内訳は、大会開催に直接的に関わる投資・支出により発生する需要増加額が約2兆円、大会後のレガシーによる東京都の取組を踏まえた需要増加額が約12兆円と試算される。また、オリパラ開催による経済波及効果は全国に及び、その総額は約32兆円になると見込まれている。訪日外国人旅行者数の増加に伴い、旅行消費額は2020年に2017年比倍増することが期待される。
東京オリパラの経済効果予測
1.日本におけるオリパラ関連ビジネスの動向
3
施設整備費 3,500
大会運営費 10,600
その他 5,690
レガシー効果:122,397億円
新規恒久施設・選手村の後利用、東京のまちづくり、環境・持続可能性
22,572
スポーツ、都民参加・ボランティア、文化、教育・多様性
8,159
経済の活性化・最先端技術の活用
91,666
需要増加額:約14兆円
項目 東京都 全国
直接的効果 33,919 52,162
レガシー効果 170,488 271,017
合計 204,407 323,179
経済波及効果:約32兆円
<経済波及効果の推計方法>• 第2次間接波及効果まで(※)を対象
とし、最新の産業関連表(平成 23 年東京都産業連関表)を利用し、算出。
(※)投資・消費 ⇒ 生産 ⇒ 所得⇒ 消費⇒ 生産 ⇒ 所得
(単位:億円)(単位:億円)
訪日外国人旅行者数および旅行消費額
(単位:億円)
(万人) (億円)
(出典)東京都オリンピック・パラリンピック準備局「東京2020大会開催に伴う経済波及効果」(2017年3月6日)、日本政府観光局(JNTO)、観光庁訪日外国人消費動向調査
2017年の訪日クルーズ旅客数は前年比27.2%増の253.3万人であり、国土交通省は2016年、2020年には
500万人を受け入れる目標を掲げた。我が国港湾への寄港回数は前年比37.1%増の2,765回と、過去最高を
記録した。※2017年の数値は速報値
4
国内港湾への寄港回数訪日クルーズ旅客数
(出典) 国土交通省港湾局
(万人)
(回)
2.成長産業の動向(1)クルーズ①市場動向
目標: 500万人
(速報値)
(出典)各社ウェブサイト
社名 主な取組売上高
(百万円)備考
郵船クルーズ(株)
• クルーズ客船「飛鳥II」の保有、運航、クルーズ商品の企画開発、集客。客船「飛鳥II」に関連するロゴ商品の企画・販売に従事。
• 世界主要都市に寄港する『世界一周クルーズ』が人気を博し、安定した集客を維持し4期連続で黒字を確保している。
14,389
• 2016年3月期
• 日本郵船の子会社
商船三井客船(株)
• 客船「にっぽん丸」を運営。
• にっぽん丸では、自慢の和食や客船伝統の精神を引き継いだ洋食や様々な船内の催しもの、寄港地と一体となったイベントを取り入れたクルーズなどを実施。船旅の魅力を通してお客様へ『感動』を与えている。
NA• 株式会社 商船
三井の子会社
日本クルーズ客船(株)
• クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」の運航管理、船舶内施設の管理及び運営、旅行商品等の企画・開発及び販売に従事。ワンナイトクルーズをはじめ、週末クルーズ、海外・世界一周などの本格クルーズを運航。
• 「人と人とのふれあいを大切にした「フレンドシップ」の精神をモットーに、初めての方でも安心してご乗船いただけるよう乗組員による真心をこめた「おもてなし」を提供。
NA
• 2016年3月期
• 新日本海フェリーの子会社
クルーズサービスを提供する国内の大手企業のほとんどが、大手海運企業の子会社による客船事業となっている。
2.成長産業の動向(1)クルーズ②主要プレイヤー
5
外国企業名 本国 日本進出時期 サービス概要
コスタクルーズ イタリア 就航:2016年
• 2016年から日本海側で主に日本人を対象に日本発着周遊クルーズを開始。• 2017年の日本海周遊クルーズに「コスタ・ネオロマンチカ」(定員1,572名)を配
船し、4月~10月上旬までに32回運航、10月~1月は太平洋側で11回運航。• 寄港地は博多、舞鶴、金沢、境港、釜山に加え、新潟、酒田、青森、ウラジオス
トク、ソクチョ(韓国)。
プリンセス・クルーズ
米国支社設立:2012年
就航:2013年
• 同社は2013年より日本発着クルーズを就航。翌年より、日本市場のニーズに合致した客船「ダイヤモンド・プリンセス」(定員2,706名)を配船。
• 就航以来毎年、日本発着クルーズのシーズン延長により供給量を増加させている。
• 横浜と神戸を母港とし、2017年は6カ国29港、2018年はほぼ通年運航し、7カ国35港を訪れる。
スタークルーズ 香港 オフィス設立:1993年
• 同グループシンガポール法人が100%出資。• 香港やシンガポール、マレーシア、タイ等の東南アジアから、日本は那覇や石垣
島、宮古島に寄港している。• 2017年からインターポーティングによる日本発着周遊クルーズを開始。「スー
パースター・ヴァーゴ」の名称で、横浜、大阪、清水、鹿児島、上海に寄港。
MSCクルーズ スイスオフィス設立:2008年就航予定年度:2018年
• 創業者アポンテ一家が1675年にイタリアにて海運業を開始、1970年にMSC(海運会社)を創設。その子会社として、1988年にMSCクルーズ設立。
• 2018年5月に初の日本発着クルーズを運航予定。横浜を発着地とし、伏木富山、金沢、舞鶴、釜山、鹿児島、高知の6つの寄港地を周遊。また8月には室蘭、青森、ウラジオストク、仙台等4つの寄港地を周遊するクルーズも運航予定。
クルーズに関連する外国企業による日本市場参入事例は次のとおり。
2.成長産業の動向(1)クルーズ③主要外国企業の参入状況
(出典)各社ウェブサイト
6
企業概要
社 名 コスタクルーズ日本支社
所 在 地〒100-0005東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル4階
電 話 NA
代 表 者 NA
設 立 2015年11月 日本支社設立
U R L https://www.costajapan.com/
出 資 Costa Crociere S.p.A
資 本 金 NA
売 上 高 NA
主 要 事 業 クルーズ客船運航事業
コスタクルーズ(Costa Crociere S.p.A)は、ヨーロッパ最大手のクルーズ会社である。拡大する日本発着便の需要に応じ、日本発着クルーズを提供。2017年の運航本数を2016年の10本から32本に、乗客人数は2.5倍に増加させる計画を示している。
(出典)同社ウェブサイト
7
2.成長産業の動向(1)クルーズ④外国企業の参入事例:Costa Crociere S.p.A
日本の当該分野における参入状況
主 な 取 組
• 2013年から旅行会社のチャーターで日本発着クルーズを展開、2016年夏には自主運行を開始した。
• 販売は、まずは旅行会社に対するBtoBで展開していく。コスタクルーズの日本のPSA(優先的販売代理店)はJTB首都圏、JTB九州、近畿日本ツーリスト個人、クルーズプラネット、阪急交通社、西鉄旅行、読売旅行、ベストワンクルーズ、など。
同 社 の 強 み
• 船内ではイタリア料理を提供するほか、オペラ、仮装パーティー、イタリア語教室、料理教室など、イタリアならではのアクティビティを楽しめるよう企画に力を入れている。
参 入 戦 略
• 日本語のウェブサイトの新設や、全国紙に全面広告を出稿するなど宣伝にも力を入れている。日本市場での顧客の開拓のためには「休暇を取って参加しやすい短期間のクルーズが重要」との考えのもと運営を行っている。
• 夏休みを中心に短期間のクルーズを訴求することで、ファミリー層など新規顧客の取り込みをはかる。
8
2.成長産業の動向(1)クルーズ⑤主な法規制
クルーズに関連する主な法規制
クルーズ船の外国人旅
客に係る入国審査手続
きの円滑化
• 2015年より、法務大臣が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象として、簡易な手続で上陸を認
める「船舶観光上陸許可」制度を設置。
• 「フライ&クルーズ」への対応として、航空機で入国し「短期滞在」の在留資格を与えられた外国
人が、我が国から他国に渡って我が国に戻る航路のクルーズ船に乗り、一定期間内に当該クルーズ
船で再入国する場合には、原則として再入国許可を要しないものとする。
官民連携による国際クルーズ拠点の形成
• 2017年7月より、国際クルーズ拠点として横浜港、清水港、佐世保港、八代港、本部港、平良港を
指定し、民間による受入施設整備を促す協定制度等を創設。
• 指定された港湾における港湾管理者とクルーズ船社の間で、下記2点における協定を締結できる制
度等を創設した。これにより、クルーズ船の受入拡充を実現する。
①港湾管理者はクルーズ船社に岸壁の優先的な使用を認める。
②船社は旅客設備を整備し、他社の使用も認める。
(出典)国土交通省、法務省
日本政府は「訪日クルーズ旅客数を2020年に500万人」とする目標実現に向け、クルーズ船による外国
人旅客の入国手続きの円滑化や、官民連携によるクルーズ船受入拠点の拡充に取り組んでいる。
訪日外国人客の増加に伴い、ホテルや旅館などの客室稼働率が上昇している。2020年のオリパラを控え、
一層の訪日外国人客の増加が見込まれている。
観光客の受け皿として、新しいビジネス領域として民泊ビジネスが注目されている。
(出典)観光庁宿泊旅行統計調査( http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf )、SPIKE推計
9
国内民泊市場規模の成長予測(億円)延べ宿泊者数の推移(百万人泊)
2.成長産業の動向(2)民泊①市場動向
20130
470
830
1,220
1,610
2,000
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
2014 2015 2016(F) 2017(F) 2018(F) 2019(F) 2020(F)
(億円)
(百万人泊)
10(出典)各社ウェブサイト
社名 主な取組売上高
(百万円)備考
楽天LIFULL STAY(株)
• 事業者向けの在庫管理システムや、空室や期間の自動登録表示する機能を年内に導入し、マンスリーマンション事業者が契約空白期間を民泊として貸し出しやすい環境を整え、住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後に民泊サイト「Vacation Stay(仮称)」を開設する。
• 同社は2017年7月には世界最大級の民泊サイト「ホームアウェイ」、台湾最大の民泊・バケーションレンタル予約サイト「AsiaYo.com」、8月には中国最大の民泊プラットフォーム「途家」と提携している。貸主とユーザーにとって利便性の高いサイト構築と多様なニーズに応じる。
NA2017年設立のため決算情報無
(株)Loco Partners
• 大手通信事業者KDDIの傘下企業。
• 同社は厳しい審査をクリアした旅館・ホテルのみを掲載する会員制宿泊予約サイト「Relux」を運営。
• 民泊の仲介事業参入を2018年春に予定しており、物件オーナー向け特設サイトを開設し、オーナー登録の募集を行っている。
NA 2011年設立
(株)シノケングループ
• 同社はアパート・マンションの販売事業や不動産賃貸管理事業を手がける。
• 2016年より国家戦略特区である大田区等に用地を確保し「民泊対応型マンション」を建設。投資用住宅物件として分譲販売を開始。これらをモデルケースとして、今後民泊に対応した投資用物件への取り組みや販売後の運営・管理を推進する。
81,2952016年12月期・連結
2018年6月から施行予定の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に向けて、民泊仲介サイトで民泊サービスの提供の仲介を行う住宅宿泊仲介業者や住宅宿泊事業者から管理の委託を受ける住宅宿泊管理業者の新規参入が見込まれる。
2.成長産業の動向(2)民泊②主要プレイヤー
民泊新法の施行にあたり、住宅宿泊仲介業者は、民泊サービスの提供を行う住宅宿泊事業者等からの民泊仲
介サイトへの物件の登録に向けた募集・周知を進めている。新規ビジネス領域であるため、今後も多数の企
業参入が予想されている。
外国企業の日本拠点設立による市場参入事例は次のとおり。その他、日本拠点設立には至っていないが、
Wimdu(ドイツ)、House Trip(スイス)等の多くのウェブサイト上で日本の物件を取り扱っている。
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外国企業名 本国日本
参入時期 サービス概要
Airbnb, Inc. 米国 2014年
• 国家戦略特区制度を活用し、ホームシェアサービスをいち早く提供。• 2016年の訪日外国人数が約2,400万人に達し、そのうち370万人以上が
Airbnbのリスティングに宿泊した。2016年、日本におけるAirbnbコミュニティの経済効果は9,200億円に及び、2015年の経済効果5,207億円から約1.8倍と急拡大した。
途家グループ(JETRO支援企業)
中国 2016年
• 全額出資の子会社である日本途家を設立。• 日本途家のウェブサイトを立ち上げ、2020年に日本の登録物件数10万
件を目指す。• 2017年8月には、楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY
との業務提携を発表。同社が開設予定の民泊サイト「Vacation Stay」(仮称)に掲載する日本の民泊物件を途家に供給する。
(出典)報道資料より
2.成長産業の動向(2)民泊③外国企業の参入状況
企業概要
社 名 Airbnb Japan株式会社
所 在 地 NA
電 話 NA
代 表 者 代表取締役社長 田邉泰之
設 立 2014年
U R L https://www.airbnb.jp/
出 資 Airbnb Inc.
資 本 金 NA
売 上 高 NA
主 要 事 業個人宅の空き部屋等に有償で人を宿泊させるといった民泊の仲介を行う民泊仲介サイトの運営事業
同社は世界のホームシェアビジネスの先駆け企業として知られ、日本でもいち早く特区制度を活用したサービスを提供した。さらに、体験を重視し、地域コミュニティと連携したサービスを提供することで、若い世代を中心に顧客を取り込んでいる。
日本の当該分野における参入状況
主 な 取 組
• Airbnbの国内の宿泊リスティングは約5万件にのぼる。日本の当サイトの利用者は370万人と2016年に前年比約4.8倍に増え、日本人の利用者も大幅に増加した。
同 社 の 強 み
• 全世界に400万件以上に上る大規模なリスティングのプラットフォームを持つ。
• ユーザーの過去の旅情報を蓄積し、機械学習機能により個人の好みや興味から最適なオプションを提示する事ができる。
参 入 戦 略
• 2017年には新サービス展開を発表。宿泊だけでなく『体験』『ガイドブック』等の新サービスを拡充することで、ユニークな滞在体験を求めるユーザー獲得を促進。日本でもアプリを経由した和紙づくりなどの体験イベント予約に対応した。
• 地元のコミュニティと旅行者を繋ぎ、他の旅行会社では得られない体験を提供している。
• 東京でのガイドブック機能を追加し、50名以上の「エキスパート」が自らの専門分野を生かし、おすすめの店などを紹介する。
そ の 他
• 米国本社は2016年11月、旅行に関するすべてを同社のアプリで完結できる「トリップ」構想を発表。日本でも同様の包括サービス事業化を計画中。
• 日本は繊細なデザイン、食べ物、風景、日本は全てがユニークとして、事業強化する方針を示す。
• 2017年8月にはホームシェアリングラボを福岡に設立。ホスト、ゲスト、パートナーおよびコミュニティの交流と創発により、地域に新しい付加価値の創出を実現する。
(出典)同社ウェブサイト、報道資料
12
2.成長産業の動向(2)民泊④外国企業の参入事例:Airbnb
13
2.成長産業の動向(2)民泊⑤主な法規制
(出典)厚生労働省、内閣府、観光庁
住宅等を活用して宿泊サービスを提供する「民泊サービス」については、これを反復継続して有償で行う場合には、旅館業法による許可が必要である。
旅館業法の特例措置として、国家戦略特区法で指定された地域内では外国人旅客等の滞在に適した施設を提供することができる。
全国的な取組として「住宅宿泊事業法」が2018年6月より施行予定。本ルールの制定により、民泊サービスは一層の拡大が期待されている。
民泊サービスにおける主な法制度
旅館業法
• 旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。
• 旅館業を①旅館・ホテル営業、②簡易宿所営業、③下宿営業の3つに分類し、客室の最低床面積等の構造設備基準等が定められており、事前に都道府県等からの許可を得ることが必要である(2017年12月時点)。
国家戦略特区法及
びこれに基づく条
例
• 一定の要件を満たす特区内の施設を、賃貸借契約に基づき条例で定めた期間以上、旅客に使用させることが可能。• 2018年3月現在、東京都大田区、大阪府、大阪市、北九州市、新潟市、千葉市が対象。
住宅宿泊事業法
(民泊新法)
• 全国的な制度として、2018年6月より施行予定。• 民泊サービスに関わる者を「住宅宿泊事業者(民泊ホスト)」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト運営会社)」の3つに分類し、それぞれに対してルールを定めている。
• 年間営業日数は最大180日以内に制限されるほか、自治体によっては区域と期間を制限する条例を制定できる。• 住宅宿泊事業者は都道府県知事等への届出、住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録、住宅宿泊仲介業者は観光庁長官の登録が義務付けられる。
2013年から2016年にかけてのEC市場におけるチケット販売額は年平均15.9%のペースで成長している。イベント市場規模の推移を見ると、アーティストによるツアーの大型化やフェス等、音楽系のライブ市場を
含む興業イベントの市場規模が拡大傾向にあり、オンラインチケットの販売額を押し上げている。スポーツイベントの市場規模も2015年より拡大しており、今後東京オリパラやその後の大型国際スポーツイベントで外国人観光客が増加するにつれ、同市場の更なる成長が期待される。
2.成長産業の動向(3)スポーツ・エンターテインメント関連ビジネス①市場動向
14
(出典)経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 」(http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf)(左図)、一般社団法人日本イベント産業振興協会「国内イベント市場規模」各年版(右図)
イベント市場規模の推移
41,682 32,142 35,402 42,124
25,263 32,090 22,187
28,468
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
180,000
2013 2014 2015 2016
興業イベント スポーツイベント フェスティバル文化イベント 見本市・展示会 会議イベント販促イベント 博覧会
(億円)
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
2013 2014 2015 2016
EC市場におけるチケット販売額
(億円)
CAGR 15.9%
15(出典)各社ウェブサイト
社名 オリパラ関連ビジネスに関する主な取組売上高
(百万円)備考
ぴあ(株)
• 1998 年長野冬季五輪の「オフィシャルチケットサプライヤー」としてチケット販売に協力。以降、全ての大会で、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会より観戦チケット単体の国内販売業務を受託。
• 2005年から2014年の間は「JOC オフィシャルチケッティングマネジメント」として、ロンドン五輪以降は「チケットディストリビューター」として協力。
• 現在は約1,700万人の会員組織と全国約38,000ヵ所の販売ネットワークを持ち、年間約6,500万枚のチケットを取り扱う。
152,8122017年3月期・連結
三井物産(株)
• 2018年4月に興行チケット等の価格変動サービス「ダイナミックプライシング」を提供する新会社を設立予定。このサービスは、固定であったチケット価格をその時々の需給に応じて変動させることで、価格の最適化を図るサービス。
• 三井物産は既に米国の最大手チケットプレイガイドであるチケットマスター社も利用するソフトウェアを米国Neustar社より提供を受け、日本仕様にアレンジし、スポーツや音楽イベント、その他チケット関連の事業展開を進めている。
4,363,969
2017年3月期・連結
(IFRS基準)
Sports Travel &
Hospitality Group
• 英国のSports Travel & Hospitality Groupは、2017年3月に旅行業大手である(株)JTBとスポーツホスピタリティ専門会社であるSTH JAPAN株式会社を設立。
• 日本においてのスポーツイベントの新しい観戦スタイルを確立し、スポーツホスピタリティ事業に取り組む。
- -
2.成長産業の動向(3)スポーツ・エンターテインメント関連ビジネス②主要プレイヤー
2.成長産業の動向(3)スポーツ・エンターテインメント関連ビジネス③主な法規制
16
チケット不正転売防止に関する主な法規制の動向
背景
• 音楽ライブやスポーツ観戦などのチケットを大量に購入し、高額で転売する行為が発生。
• 特にインターネットの販売サイトでは高額で取引が行われ、問題となっている。
• 音楽事業者の団体は、コンサートに急に行けなくなったファンのために、チケットを定価で買い取り転売
するサイトを立ち上げるなど、高額転売の防止に努めているが決定的な予防策に至っていない。
今後の動き
• 国際オリンピック委員会(IOC)は適正価格で多くの人に観戦してもらうため取締りの徹底を求めており、大会組織委員会は
政府と超党派のスポーツ議員連盟に規制強化の法整備の要請を行っている。
• 2017年12月に自民党のライブ・エンタテインメント議連が議員立法として提出し、翌年の法制化を目指す。
• 規制対象となるのは①特定の日時や場所、座席を指定、②主催者らが転売の禁止を明示、③主催者らが本人確認など
の防止策を講じている――の3条件を満たすチケット。これを転売目的で事業として入手することや、定価を超える価格で商
売として販売することを禁じる内容となっている。違反者には罰則を検討している。
電子チケットの普及により利便性が向上しているが、チケットを大量に購入し、高額で転売する等の不正転売の防止が課題となっている。2020年のオリパラでは多数の入場券が取引されることが予想されており、高額転売が懸念されている。
販売者は本人確認や転売防止に注力するが、本人確認の厳格化にも限界があり、音楽業界は大量購入や営利目的転売の規制を政府に要請しており、今後の動向が注目される。
サイバーセキュリティ市場規模推移
2.成長産業の動向(4)サイバーセキュリティ①市場動向
「サイバーセキュリティ基本法」(注1)の施行に伴い、日本政府は2015年1月にサイバーセキュリティ戦略本部及び内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターを設置し、体制を強化。
近年のサイバー攻撃は、巧妙かつ高度化し甚大な被害に至る可能性がある。サイバー攻撃からの被害を最小限に抑えるために、徹底したセキュリティ対策や監視サービスの重要性が高まっている。
2,2122,422
2,6592,945
3,2643,559
3,819
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
2015 2016 2017(予) 2018(予) 2019(予) 2020(予) 2021(予)
(億円)
(注1)2014年11月に公布、2016年4月に改正・同年月より施行。
(注2)ベンダーの売上金額を対象とし、3月期ベースで換算。(出所)ITR「特別付録:サイバー・セキュリティサービス市場動向2017」
17
オリパラ開催期間中の会場等でのテロや、政府・民間へのサイバー攻撃への対策として、各社は先端技術
を活用したサービスの開発と拡充を進めている
18
社名 主な取組売上高
(百万円)備考
日本アイ・ビー・エム(株)
• セキュリティ対策商品として、「IBM Security QRadar」等を提供。専門知識を使用して、
セキュリティに対する先制的なアプローチを提供する。高い可視性、徹底した統合、ピ
ア・コラボレーション、さらにはAI技術をサイバー・セキュリティ領域で活用し、脅威検
知や運用にも応用する。
• 日本ではサイバー攻撃に関する情報を各社が連携してコラボレーションするエコシステム
も構築。その他、パソナと共同で、「サイバーセキュリティ人材」の育成を目指す研修プ
ログラム等を開発。
887,5002016年12月期・単体
NEC(日本電気(株))
• 社内ネットワークに接続されているサーバやPCなどの機器をリアルタイムで集中管理する
「セキュリティ統合管理・対処ソリューション」と、サイバー攻撃に関する情報とその対
処法などを即座に提供する「脅威・脆弱性情報管理ソリューション」のサービスを展開。
• 2017年2月には企業のセキュリティ対策コンサルティングサービスを開始。
2,665,0002017年3月期・連結
(株) インターネットイニシアティブ
• セキュリティの監視レベルをクラウド上で動的に変更し、不正通信を制御する技術検証を
実施。2017年10月にはオフィスネットワークやデバイスまで検証範囲を拡大し、実証実
験を開始。2018年度下期を目途に、ネットワークサービスのソリューションとして、フル
レンジ・セキュリティ機能を提供する予定。
157,7902017年3月期・連結
(株)ラック
• 国内のサイバーセキュリティ分野でのリーディングカンパニーとして、2020年の東京オリ
パラなどの世界的イベントを標的に激増するサイバー攻撃に対し、セキュリティ監視セン
ター「JSOC」の再構築や、CSITR構築・運用支援、セキュリティ診断サービスの人員増強
など、セキュリティ業界屈指の技術を駆使したサービス提供体制を拡充。
• 経産省情報セキュリティ監査企業に登録。
37,1092017年3月期・連結
2.成長産業の動向(4)サイバーセキュリティ②主要プレイヤー
(出典)各社ウェブサイト、報道資料
外国企業名 本国日本進出時期(商品販売)
日本市場への参入状況
Darktrace 英国 2015年
• 同社は2013年に設立された。ケンブリッジ大学で開発された機械学習と数学理論をベースに脅威をリアルタイムに検知し、自己学習テクノロジーを活用したサイバー攻撃対策を提供する「Enterprise Immune System」を販売している。
Votiro,Inc. イスラエル 2015年
• イスラエルの諜報機関出身者が中心となり創設された。• 電子メール経由によるウイルス感染を防ぐソフト「Secure Data
Sanitization」を提供。ウイルスが含まれている可能性のある部分を除去し、必要なデータだけを届ける「無害化」防御技術で注目を集める。
CybereasonInc.
米国 2016年
• イスラエル軍の諜報部隊でサイバーセキュリティに携わったメンバーにより開発されたソリューション「Cybereason」を提供。サイバー攻撃の最前線で培われた創業者たちの実戦経験を生かし、サイバー攻撃特有の活動を常時監視する。未知のマルウェアであっても不正な挙動をすれば即座に検知することができる。
• 2016年に日本法人設立。
Fireglass, Inc. イスラエル 2017年
• 2017年6月から日本で発売。同社は社内のパソコンから外部のサイトを閲覧するときに、中継サーバーが代わりにアクセスするソリューションを提供する。万が一、ウイルスが仕組まれたサイトにアクセスしても、閲覧者のパソコンは感染せず、中継サーバーで遮断できる。
セキュリティに関連する外国企業による日本市場参入事例は次のとおり。
近年はサイバー攻撃への攻防のため、AIを駆使した情報セキュリティ技術を持つ企業の進出が増加。高度な
技術力をつけたイスラエル企業の進出も見られる。
19
2.成長産業の動向(4)サイバーセキュリティ③主要外国企業の参入状況
(出典)各社ウェブサイト、報道資料
企業概要
社 名 サイバーリーズン・ジャパン株式会社
所 在 地 東京都港区東新橋1-9-2
電 話 03-6889-2199
代 表 者取締役CEO シャイ・ホロヴィッツ(Shai Horowitz)
設 立 2016年
U R L https://www.cybereason.co.jp/
出 資 ソフトバンク株式会社、Cybereason Inc.
資 本 金 4億円
売 上 高 NA
主 要 事 業• セキュリティープラットフォーム「Cybereason」の日本市場での提供およびそれに付帯する事業。
Cybereason Inc.は2012年に米国に設立されて以来、軍事レベルのテクノロジーによって、世界各国のあらゆる巧妙なサイバー攻撃を阻止した実績を持つ。同社が提供するプラットフォームは、エンドポイントのデータを元に、サイバー攻撃をリアルタイムで検知し対応する。
日本の当該分野における参入状況
主 な 取 組
• シャイ・ホロヴィッツ氏はイスラエル国防軍の特別編成部隊の長官として従事後、Cybereason Inc.にて、Lockheed MartinやWiproと事業開発を推進した実績を持つ。培った高度な技術力やノウハウを駆使することで、巧妙なサイバー攻撃などに対応する。
同 社 の 強 み
• 「Cybereason」はサイバー攻撃を実行する側の手口を熟知したエンジニアが開発している。攻撃者の用いるツールや外部との不正な通信、感染を拡大させる手段等の攻撃パターンについて、端末から取得したログをクラウド上のAI エンジンによって解析する。サイバー攻撃特有の活動を常時監視し、未知のマルウェアであっても不正な挙動をすれば即座に検知可能。
• 2017 年 に は 全 世 界 的 に 甚 大 な被 害 を も た らし た「WannaCry」を検知・遮断し有効性を証明した。
参 入 戦 略
• 2017年5月にはNTTセキュリティ・ジャパンとの提携により、マネージド・セキュリティ・サービス(MSS)とEndpoint Detection and Response (EDR)を組み合わせた、トータル・セキュリティ・ソリューションを共同展開すると発表した。
• 今後、法人顧客向けに共同マーケティングを行い、ソリューションの展開を強化する。
そ の 他• 2015年9月にソフトバンクがAIを活用したサイバー攻撃対策プラットフォームに注目し、米国のCybereasonInc.に出資した。
(出典)同社ウェブサイト、プレスリリース (2016年4月5日)、NTTセキュリティ・ジャパンプレスリリース(2017年5月19日) 20
2.成長産業の動向(4)サイバーセキュリティ④外国企業の参入事例:Cybereason Inc.
21
2.成長産業の動向(5)語学教育①市場動向
国際化の進展や訪日外国客の増加による必要性から、語学教育市場規模は堅調に拡大している。
語学スクールの市場は、成人向け外国語教育が約6割を占める。
学習教材別市場を見ると、E-Learningの市場規模の伸びが大きく、ネット環境の整備により、従前の電子辞書
や通信教育からシフトが進んでいる。幼児向け英会話教材も成長しており、早期教育も注目されている。
(出典)矢野経済研究所 「語学ビジネス市場に関する調査(2017年)」2017年8月4日発表(注)事業者売上高ベース
語学スクール市場の内訳(2016年度)
学習教材市場の内訳(2016年度)
語学教育関連ビジネス市場規模の推移(億円)
内容 2016年度(億円) 対前年度(%)
電子辞書 513 96.4
書籍教材 383 99.2
幼児向け英会話教材 307 105.9
通信教育 200 90.9
語学独習用機器・ソフト 198 98.5
E-Learning 90 112.5
ソフトウェア 25 92.6
3,475 3,526 3,572
1,736 1,716 1,730
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2015年度 2016年度 2017年度(予測)語学スクール 学習教材
5,211 5,242 5,302
成人向け外国語
教室市場
59.6%
幼児・子供向け
外国語教室
29.2%
プリスクール
10.2%
幼稚園/保育園
向け英語講師派
遣
1.0%
22(出典)各社ウェブサイト
社名 語学教育に関連する主な取組売上高
(百万円)備考
(株)ベネッセHD
• 民間教育事業者の最大手企業である同社は子ども向け英語事業を強化する
• 現状、子会社であるベネッセコーポレーションが提供する「こども英語教室」と、ミネルヴァインテリジェンスが提供する「ミネルヴァ」を展開しており、全国に計1,700教室(2017年10月時点)を構える。これらの子ども向け教室を、2018年4月に統一ブランド「BE studio(ビースタジオ)」に刷新し、さらに拡大する。2020年度の小学校の英語教科化で学習熱が高まる中、教育内容を充実させ、訴求力を高める。
430,0642017年3月期・連結
(株)ECC
• 大手の総合教育・生涯学習機関。
• 外国人観光客へのおもてなしに主軸を置いた外国語対話無料アプリ「おもてなCityへようこそ!」を2017年より提供。アプリ内にAI音声対話技術を組み込み、キャラクターやストーリー性を盛り込むことで、ソーシャルゲーム感覚で学習ができる。英語学習初心者の発音でも対話でき、発音の判定も行う。対話内容によりストーリーの進行を変化させ、繰り返し学習に繋がるよう工夫されている。
42,5002017年5月期・単体
(株)イーオン
• 英会話教室の大手。• 2017年より、VRに対応した英会話学習アプリ「英語でおもてなしガイド(VR
対応)」の提供を開始。外国人観光客に英語でコミュニケーションしながら案内するシーンをVRで再現し、ユーザーが外国人旅行者役やガイド役になりきって英語でコミュニケーションすることで、観光ガイドの実践的な英語力を習得する。英文のレベルや会話のシナリオが変化することで実践的な内容になっている。 学習ログを蓄積することで、適切な学習内容を案内を行う。
18,9002016年12月期・連結
語学教育への関心は長年高い。オリパラ開催に伴う訪日外国人増による需要増加を視野に、「おもてなし」
を訴求した語学教育が始まっている。各社はICT技術やコンテンツ場所や時間を選ばず、且つ楽しみながら
学習できるツールの提供に注力。
2.成長産業の動向(5)語学教育②主要プレイヤー
語学教育サービス分野における外国企業による日本市場参入事例は次のとおり。
23
社名/サービス名
本国 出資者日本
参入時期サービス概要
EF Education First
スウェーデン Bertil Hult 1973
最新テクノロジーを駆使し、オンライン教材とネイティブ講師による英会話レッスンを提供。基礎の強化と反復練習のため、24時間いつでも英語学習を可能とした。同社は東京2020オフィシャルパートナーも務めている。
EnglishCentral 米国EnglishCentral、
Google Ventures
2009
1万4,000本以上の動画と音声認識技術の応用により、日本人の苦手なリスニングとスピーキングを鍛えるオンライン学習システムを提供。日本人の英語接客力強化のために、「おもてなし英語」のホテル編とタクシー編を2017年にリリース。
AKA(JETRO支援企業)
米国AKASTUDY
Limited2015
英会話教育ロボット「Musio」により日本市場参入。会話の内容を記憶したロボットとの会話により英語を習得。
Cooori ehf アイスランド Cooori 2015人工知能を活用した効率的な語学学習システムを提供。短期間で従業員の英語力を大幅な向上をめざし、2016年より企業向けに本格販売している。
vipabc 米国 iTutorGroup 2016
独自のAI技術によって、一人ひとりに最適なレッスンを提供する。その革新さが評価され、世界で受賞多数。最高レベルのプロ講師陣、考え抜かれた利便性の高いオンラインプラットフォーム、手厚いサポートによって、学習効果を新たな次元に引き上げている。
Rise Global(JETRO支援企業)
アイルランドRise Global
セルム2016
独自のプログラムによる相互対話形式のデジタル教材の提供。言語、アート、算数、自然科学、社会科学等、多面的な知識を学習しながら英語を習得する。
2.成長産業の動向(5)語学教育③主要外国企業の参入状況
(出典)各社ウェブサイト、報道資料
企業概要
社 名 株式会社コーリジャパン
所 在 地〒106-0041 東京都港区麻布台1-4-3エグゼクティブタワー麻布台 902
電 話 03-6277-8573
代 表 者代表取締兼最高経営責任者エイソル・エヨルフソン
設 立 2015年
U R L http://www.cooori.com
出 資 NA
資 本 金 800万円
売 上 高 NA
主 要 事 業ソフトウェアの開発、コンピュータープログラミング、ソフトウェアの販売及びインターネットやその他のメディアを利用した言語教育に関するサービス
2010年にアイスランド共和国で設立されたコーリは、人工知能を活用した効率的な語学学習システムを提供。2012年に日本語学習システムを立ち上げ、2014年には英語学習版を公開した。
短期間で従業員の英語力の大幅な向上をめざし、2016年より企業向けに本格販売している。訪日観光客増加に対応するタクシー会社のドライバー等、サービス業の学習教材としても採用されている。
日本の当該分野における参入状況
主 な 取 組
• AIを活用した効率的な語学学習を支援する。個々のユーザーのクセや学習スピードを分析し、忘れやすい単語や文章を優先的に出題する。理解度に応じて次の学習内容を決定するため、効率的な語学学習を実現。
同 社 の 強 み
• PCやスマートデバイスでも利用し、場所や時間を問わずに学習が可能。
• AIの活用、データ蓄積と解析、独自開発コンテンツで科学的に証明された有効性が認められている
参 入 戦 略
• 同社は2012年に日本語学習システムを立ち上げ、2014年には英語学習版を公開。世界各国の語学学習ユーザーに使用されているが、日本でも青山学院大学、東洋大学、広島文教大学などの授業で採用されたほか、パソナが開催している講座でも採用。
• 訪日外国人対応の一環として日本交通や日本航空にも導入された実績を持つ。
そ の 他
• 今後も日本企業のグローバル化やM&A、訪日外国人の増加が見込まれるため、日本法人となるコーリジャパンを設立。企業の社員教育や旅行・観光、飲食、小売業における従業員の英語対応を支援する考え。2016年までに100社への導入、2020年までに学習可能言語を10カ国語に拡大する方針。
(出典)同社ウェブサイト、報道資料24
2.成長産業の動向(5)語学教育④外国企業の参入事例:Cooori
25
2.成長産業の動向(5)語学教育⑤主な法規制
語学教育に関連する法規制として「特定商取引法」があり、「特定継続的役務提供」に該当する場合は、留
意が必要である。
現在有償でガイドを行うには、通訳案内士という国家試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があ
る。訪日外国人向けの観光ガイドの需要増加に対応するため、2017年に「改正通訳案内士法」が成立し、
2018年1月より施行されている。規制を緩和する一方で定期的な研修受講を義務付けており、一定の品質の
確保と量的確保の両立を目的としている。
(注)語学の教授(入学試験に備えるためまたは大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)(出典)消費者庁、観光庁
語学教育や通訳案内業に関わる主な法規制
特定商取引法
期間2か月を超え、金額5万円を超える語学教育等の役務の提供(注)は、「特定継続的役務提供」として指定されており、下記の規
制を受ける。
●主な行政規制
・契約の締結前に当該契約の概要を記載した書面(概要書面)を渡さなければならない
・契約の締結後に遅滞なく、契約内容について明らかにした書面(契約書面)を渡さなければならない
・その他誇大広告の禁止、不当な勧誘行為の禁止等
●主な民事規制
・消費者が契約をした場合でも、法律で決められた書面を受領した日から8日間以内であれば、無条件で契約解除をすることがで
きる。(クーリング・オフ)
・消費者は、クーリング・オフ期間の経過後においても、将来に向って契約解除をすることができる。(中途解約)
また、その場合に事業者が消費者に請求し得る金額の上限も定められている。
改正通訳案内士法
①「業務独占規制」から名称独占へと規制を見直すことにより、幅広い主体による通訳ガイドを可能とする
②これまでの全国対応のガイドである全国通訳案内士に加えて、ガイドができる地域を特化した「地域通訳案内士」の資格制度を創
設
③全国通訳案内士の試験科目に実務項目を追加する等適正化と共に、定期的な研修受講を義務付ける。
資格を有さない者が、当該資格の名称や類似名称を用いることができない
外国企業の事業区分 日本のパートナー候補例 想定される提携方法例
クルーズ大手旅行代理店、OTA系(例:JTB、日本旅行、楽天、じゃらん)
• 旅行パッケージやイベントの共同企画• 日本の顧客データベースの活用
民泊ビジネス民泊プラットフォーム会社(例:楽天LIFULL STAY、Loco Partners)
• 双方の会員間のコミュニティ構築• 相手国の物件オーナーとのネットワークの活用
海外の旅行会社豊富な空室情報や物件のデータベースを保有する不動産仲介事業者(例:アパマン、新日本地所株式会社)
• 海外の観光客を集客し、民泊としての客室の有効活用の実現
オンラインチケット販売会社
各種劇場、スポーツ施設、イベント施設及び大手メディア • オンラインチケットの販売決済• 国内外におけるイベントの周知クレジットカード会社、電子決済システムの提供会社
セキュリティ大手セキュリティ企業(例:セコム、ALSOK)
• システムの共同企画、技術提携や販売大手IT企業(日本電気、日立、富士通等)
語学教育
大手通信教育会社(例:ベネッセHD、アルク等) • 教材の共同企画• ICTを活用した学習プログラム共有• 豊富な会員データベースを活用した共同販売
人材研究、人材紹介会社、大手英語学校(例:リクルート、イーオン、ECC等)
運輸、ホテルや小売流通業等のサービス業 • 従業員教育サービスの提供
想定されるパートナー候補企業の例
3.外国企業進出時のパートナー候補
(出典)各社ウェブサイト
26
外国企業が日本の観光関連ビジネスやICTを活用したセキュリティサービス、オンラインチケット販売や語
学教育サービスに参入するには、日本の商習慣や消費者の需要に熟知し、日本企業が既存で持つ顧客情報や
物件情報、ネットワーク等を活用したコラボレーションによる参入が望ましい。
観光関係については、観光庁から集客誘致のための支援が提供されている。その他、事業内容や自治体により独自のインセンティブを用意しているケースが多く、照会することをお勧めする。
(出典)観光庁
27
4. オリパラ関連のビジネス環境(1)インセンティブ等
名称 目的と対象事業者 インセンティブ内容(例)
MICEの誘致拡大に向けたユニークベニュー活用促進事業
• 博物館や歴史的建造物等文化施設や公的空間等の「ユニークベニュー」の積極的な開放や利用促進を目的とする。
• ユニークベニュー関係者(施設管理者、主催者、コンベンションビューロー、PCO、旅行会社等)がユニークベニュー利活用の有効性・有益性について理解を深め、利用促進に繋げることで、日本のMICE誘致の国際競争力や都市のブランド力向上を目的とする。
1件あたり100万円を上限として、博物館や歴史的建造物をユニークベニューとして利活用したレセプションや会議等の開催費用の支援
詳細は観光庁のウェブサイトを参照(http://www.mlit.go.jp/kankocho/topics03_000056.html)※平成29年度事業の募集は終了
インセンティブの例
オリパラ関連ビジネスに関わる主な業界団体・協会
(出典)各協会のウェブサイト
分野 業界団体名 連絡先 主要事業
観光全般一般社団法人日本旅行業協会(JATA)
http://www.jata-net.or.jp/
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-3 全日通霞が関ビル3階
TEL :03-3592-1271
• 観光大国を目指し、海外旅行、国内旅行、訪日旅行の各分野について三位一体で政策提言に取り組む。
• 観光の振興、訪日旅行の推進と地域の経済活性化の実現に向けた政策や人材育成の推進に従事。
• 会員数は約2,100社(賛助会員を含む)。
クルーズ一般社団法人日本外航客船協会
http://www.jopa.or.jp
〒102-0093東京都千代田区平河町2-6-4海運ビル6F
TEL: 03-5275-3710
• 外航客船および外航定期旅客船を運航する会社、旅行会社、港湾管理者、造船会社等で構成されている。
• 外航客船の安全運航対策や利用者保護制度の整備などを通じて、より安全で快適な船旅を実現するとともに、船旅の魅力を啓蒙する目的で設立。
• 18年度には、日本船旅業協会(JASTA)を統合し、事業活動の範囲も拡大を予定。
• 会員数は正会員8社、準会員1社、賛助会員50社、合計59社(団体)。
チケット販売日本チケット商協同組合(JTA)
http://www.ticket.or.jp/
〒105-0004東京都港区新橋2-16-1
TEL:03-3503-6013
• 1999年4月に設立されたチケット業界唯一の事業協同組合。• 全国600以上の加盟店の自主的な経済活動促進のため、チケッ
ト経営に必要な事業や新規事業の開拓推進により、業界の健全な発展と社会的地位の向上を目指す。
• 警察・発行元・組合員との間で偽造・盗難情報を共有して緊急配信体制を構築し、被害の未然防止及び不正品の流通を阻止する活動を実施。
28
4.オリパラ関連のビジネス環境(2)主要な業界団体・学協会
オリパラ関連ビジネスに関わる主な業界団体・協会
分野 業界団体名 連絡先 主要事業
セキュリティ独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
https://www.ipa.go.jp/index.html
東京都文京区本駒込2-28-8文京グリーンコートセンターオフィスTEL:03-5978-7501
• 「情報処理の促進に関する法律」に基づき1970年10月に設立され、2004年1月に独立行政法人となった経済産業省所管の法人である。「安全なIT社会の実現」 「ITシステムの安心・安全の確保と開発・利活用の効率化」 「未来のIT社会を担うビジネスの支援、技術開発の促進と人材育成」をミッションとする。
• 機構内に内部に産業サイバーセキュリティセンターを設置し、セキュリティ対応の研究推進に従事。
セキュリティ特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)
http://www.jnsa.org/
東京都港区西新橋1-22-12JCビル4FTEL:03-3519-6440
• 2001年にNPO-JNSA設立総会を開催し、正式にNPOへ移行し新たな活動を開始。
• 一般の人々に対し、ネットワークセキュリティに関する啓発、教育、調査研究及び情報提供に関する事業を実施することによって、ネットワークセキュリティに関する標準化の推進と技術水準の向上に寄与し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
• 会員数:205社(2017年10月現在)
語学教育全国外国語教育振興協会(全外協)
http://www.zengaikyo.jp/
東京都新宿区四谷本塩町7-9四谷ニューマンション107号
TEL:03-3354-2157
• 1991年に任意団体として発足。2013年に一般社団法人へ移行した。内閣府が所管している。
• 外国語学習に対する理解と学習意欲の増進、外国語教育、教育施設の経営及び環境整備、その他目的を達成するために必要な事業に従事。
• 会員数:加盟団体82、賛助会員27(2017年4月現在)
29
4.オリパラ関連のビジネス環境(2)主要な業界団体・学協会
(出典)各協会のウェブサイト
(注1)過去の実績は同時開催/併催展を含む。(出典)各展示会のウェブサイト
30
4.オリパラ関連のビジネス環境(3)主要な展示会
各分野で近日開催される主な展示会は下記のとおり。
オリパラ関連ビジネスに関わる主な展示会
開催期間・場所 分野 主催者 2017年実績
観光関連(民泊、クルージング、オンラインチケット等のエンターテインメント関係)
ツーリズムEXPOジャパン 2018
2018年9月20日 ~ 9月23日
東京ビッグサイト
http://www.t-expo.jp/
観光関連全般(宿泊施設、旅行業、ホテル、航空、運輸、クルーズ、各種イベント)
• 公益社団法人日本観光振興協会
• 一般社団法人日本旅行業協会(JATA)
• 日本政府観光局(JNTO)
・来場者数:191,577名・出展者数:
1,310企業・団体
第11回イベントJAPAN2018
2018年1月23日~1月24日
東京ビッグサイト西展示棟西1ホール
http://www.intercross-com.co.jp/event-japan/
アトラクションツール(遊具、乗り物、ゲーム等)、文化催事やキャラクターショー等のイベントパッケージ、エンターテインメント、映像関連、音響照明、装飾、ライセンスビジネス、IT関連・通信サービス等
(メーカー、流通業、商業施設、デベロッパー、広告代理店、イベント会社、SP会社、PR会社、レジャー施設、アミューズメント施設や自治体等が来場予定)
• 株式会社インタークロス・コミュニケーション
・来場者数:7,108名・出展者数:約80社
(注1)過去の実績は同時開催/併催展を含む。(出典)各展示会のウェブサイト
31
4.オリパラ関連のビジネス環境(3)主要な展示会
各分野で近日開催される主な展示会は下記のとおり。
オリパラ関連ビジネスに関わる主な展示会
展示会名 開催期間・場所 主な対象分野 主催者 2017年実績
ICT関連(オンラインチケット販売、セキュリティ、語学教育サービス)
SECURITY SHOW 2018
2018年3月6日~3月9日
東京ビッグサイト
https://messe.nikkei.co.jp/ss/
物理セキュリティ分野、情報セキュリティや防災の他、AIによる画像認識技術や産業用カメラなどを紹介する「画像・映像テクノロジーEXPO」等も展開
日本経済新聞社・来場者数:131,442名・出展社数:201社(同時開催したリテールテックJAPAN 2017の実績を含む)
第2回AI・人工知能EXPO
2018年4月4日~4月6日
東京ビッグサイト
http://www.ai-expo.jp/
ディープラーニング、機械学習、ニューラルネットワーク、自然言語処理、ハードウェア、ビッグデータ、AIアプリケーション等に関するAI技術や関連サービス
リード エグジビション ジャパン株式会社
・来場者数:80,423名・出展社数:93社
展示会名 開催期間・場所 主な対象分野 主催者 2017年実績
語学教育関連
NEW EDUCATION EXPO 2018
■東京:2018年6月7日~6月9日東京ファッションタウンビル(TFT)
■大阪:2018年6月15日~6月16日大阪マーチャンダイズ・マート(OMM)
http://edu-expo.org/nee2018lp/?utm_source=manabinoba&utm_medium=banner&utm_campaign=manabinoba2018banner
公開授業、小学校外国語、サイエンス、著作権、学校の環境づくり、国際セッション、教育の情報化、プログラミング教育、特別支援教育、防災教育、大学改革及び経営、ブランディング、グローバル人材育成、アクティブ・ラーニング、ラーニング・コモンズ、オープン・エデュケーション、ラーニングアナリティクス、大学ICT、語学教育等
New Education Expo 実行委員会(株式会社内田洋行内)
・来場者数:12,700名(東京7,300名、大阪5,400名)・出展社数:132社(東京・大阪両会場出展社を含む)
第9回教育ITソリューションEXPO(EDIX)
■東京:2018年5月16日~5月18日場所:東京ビッグサイトhttp://www.edix-expo.jp/HOME_tokyo/
■大阪:2018年11月7日~11月9日場所:インテックス大阪http://www.edix-expo.jp/HOME_kansai
業務支援システム、ICT機器、デジタル教材、eラーニング、各種学校向けサービスなどが一堂に展示される日本最大の学校向けIT専門展。学校業務支援 、教材・教育コンテンツ 等
リード エグジビション ジャパン株式会社
・来場者数:40,360名(東京30,518名、大阪9,842名)
・出展者数:約800社・団体(東京約500、大阪約300)
オリパラ関連ビジネスに関わる主な展示会
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4.オリパラ関連のビジネス環境(3)主要な展示会
各分野で近日開催される主な展示会は下記のとおり。
(注)過去の実績は同時開催/併催展を含む。(出典)各展示会のウェブサイト