プライベートクラウドを支える ミドルウェア - Fujitsu · 2015-11-25 ·...

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FUJITSU. 62, 3, p. 327-333 05, 2011327 あらまし 肥大化するICTコストの削減,ビジネス変化に追随するためのスピーディなシステム 導入などの要求に対し,クラウド・コンピューティングが注目を浴びている。クラウド・ コンピューティングには,サービス業者が汎用的なクラウドサービスを数多くのお客様 に提供するパブリッククラウドと,お客様情報システム部門が社内・グループ会社に向 けて,自社固有のクラウドサービスを提供するプライベートクラウドがある。両者は共 存関係にあり,ガバナンス,セキュリティ,可用性,ネットワークなどの要件に応じて, 使分けが行われる。富士通はパブリッククラウドサービスの提供に加え,プライベート クラウドを構築するためのミドルウェア製品を提供し,お客様の多様なニーズに応えて いる。 本稿では,プライベートクラウドによるICTコストの削減,スピーディなシステム導入 の実現を支える,ミドルウェア製品の概要を紹介する。 Abstract Cloud computing is attracting attention because it allows systems to be constructed speedily in response to rapidly changing business environments and helps reduce expanding ICT costs. There are two forms of cloud computing. One is a public cloud, where service providers provide their cloud services to a number of customers. The other is a private cloud, where a companys information system department provides company-specific cloud services to all sections of that company and its group companies. These two forms have a symbiotic relationship, and users can choose between them according to their requirements for governance, security, reliability, and networks. Fujitsu is meeting various needs of customers by offering middleware products to construct a private cloud system in addition to providing public cloud services. In this paper, we introduce an outline of our middleware products that can reduce ICT costs and allow speedy construction of systems in a private cloud environment. 仁藤滋昭   長倉浩士   櫻井明彦 プライベートクラウドを支える ミドルウェア Middleware to Support Private Clouds

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あ ら ま し

肥大化するICTコストの削減,ビジネス変化に追随するためのスピーディなシステム導入などの要求に対し,クラウド・コンピューティングが注目を浴びている。クラウド・

コンピューティングには,サービス業者が汎用的なクラウドサービスを数多くのお客様

に提供するパブリッククラウドと,お客様情報システム部門が社内・グループ会社に向

けて,自社固有のクラウドサービスを提供するプライベートクラウドがある。両者は共

存関係にあり,ガバナンス,セキュリティ,可用性,ネットワークなどの要件に応じて,

使分けが行われる。富士通はパブリッククラウドサービスの提供に加え,プライベート

クラウドを構築するためのミドルウェア製品を提供し,お客様の多様なニーズに応えて

いる。

本稿では,プライベートクラウドによるICTコストの削減,スピーディなシステム導入の実現を支える,ミドルウェア製品の概要を紹介する。

Abstract

Cloud computing is attracting attention because it allows systems to be constructed speedily in response to rapidly changing business environments and helps reduce expanding ICT costs. There are two forms of cloud computing. One is a public cloud, where service providers provide their cloud services to a number of customers. The other is a private cloud, where a company’s information system department provides company-specific cloud services to all sections of that company and its group companies. These two forms have a symbiotic relationship, and users can choose between them according to their requirements for governance, security, reliability, and networks. Fujitsu is meeting various needs of customers by offering middleware products to construct a private cloud system in addition to providing public cloud services. In this paper, we introduce an outline of our middleware products that can reduce ICT costs and allow speedy construction of systems in a private cloud environment.

● 仁藤滋昭   ● 長倉浩士   ● 櫻井明彦

プライベートクラウドを支えるミドルウェア

Middleware to Support Private Clouds

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

ドシステムとオンプレミスシステム双方の環境でJavaの実行基盤となるInterstage Application Serverと,SOA技術でクラウドシステムとオンプレミスシステムにまたがる連携(ハイブリッドクラウド)を実現する製品群である。(2) Symfoware(データベース)

Symfoware Serverは,情報統合・活用領域の中核となる高信頼,高性能データベースである。データベースを物理サーバ上に配置し,仮想サーバ上のアプリケーションからアクセスする方式に加え,データベース自身を仮想サーバ上に自動配備する方式にも対応している。(3) Systemwalker(ITIL運用管理)

ITILの技術を取り入れ,運用管理領域を支える。プライベートクラウド向けに以下の製品を提供している。・Systemwalker Software Confi guration Manager

V14g・Systemwalker Service Catalog Manager V14g・Systemwalker Runbook Automation V14gこのほか,従来からある製品に対し,クラウド対応機能を強化している。(4) ServerView(インフラストラクチャ管理)データセンター・インフラストラクチャ領域

を支える。仮想リソースを管理するServerView Resource Orchestrator(ダイナミックリソース管理)はプライベートクラウドの基盤となる。クラウドが普及するにつれ,ミドルウェア体系全体で整合性を持った機能がますます重要となっ

ま え が き

プライベートクラウドは,自社でICT資産を所有し,ガバナンス,セキュリティ,可用性,ネットワークをお客様の運用に合わせ,使いたいときすぐに使え,いつでも返却ができることが特長である。そのためには,ICTリソースを集約するだけではなく,利用者が簡単に申請でき,運用管理部門に負荷をかけずに自動でシステムを提供できる仕組みが必要となる。プライベートクラウドの構築には,インフラストラクチャ層,ミドルウェア層,およびアプリケーション層のそれぞれに対し,ミドルウェアの提供や機能拡張が必要である。本稿では,プライベートクラウド化における各層の課題認識を述べ,それを解決するための技術とミドルウェア製品の概要を説明する。なお,本稿は2011年1月号に掲載の「プライベートクラウドを実現するミドルウェア」(1)を基に,富士通のミドルウェア開発の最新情報を紹介する。

富士通のミドルウェア体系

図-1は,富士通のミドルウェア体系である。この体系の中核となるのは,基盤ミドルウェアであるInterstage,Symfoware,Systemwalkerと,インフラストラクチャ向けミドルウェアであるServerViewである。(1) Interstage(SOAミドルウェア)アプリケーション&サービス管理領域と情報統合・活用領域を支える。中核となるのは,クラウ

ま え が き

富士通のミドルウェア体系

ITILSOA

TRI

OLE

図-1 富士通のミドルウェア体系Fig.1-Fujitsu’s middleware lineup.

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

ドと連携することができる。プライベートクラウドに必要なミドルウェアのアーキテクチャを図-3に示す。右側の枠は,アプリケーションやパッケージソフトウェアが実行されるハードウェアや実行基盤となるアプリケーションサーバのようなミドルウェアの階層を示している。左側の枠は,右側のそれぞれの層を管理・制御するクラウド運用ミドルウェアの役割と階層を示す。(1) ダイナミックリソース管理データセンター・インフラストラクチャ領域のミドルウェアで,サーバ・ストレージ・ネットワークから成るハードウェアのリソース管理を行う。(2) 自動配備・自動運用運用管理領域のミドルウェアで,実行基盤となるミドルウェアを含めたソフトウェアスタック全体の配備・設定・運用を自動化する。(3) 業務サービスの見える化アプリケーション&サービス管理領域のミドルウェアで,アプリケーションやパッケージソフトウェアまで含めた個々の業務サービス単位の見える化を行う。(4) 開発・実行ソフトウェアアプリケーション&サービス管理領域と情報統

ている。

プライベートクラウドへのアプローチ

富士通は,プライベートクラウドにより,サイロ化されたICTシステムの最適化のアプローチとして,インフラの仮想化をベースに,効果を評価しながら標準化・自動化を繰り返し実施していくステップを想定している(図-2)。企業が所有するサーバを1箇所に集め,仮想化し,その上に業務システムを集約する。この上で,システムの仕様・構成を段階的に標準化し,ソフトウェアのインストールや,必要なシステム設定などのシステム構築作業や,運用作業を自動化する。さらにハードウェアリソースやシステムリソース,業務サービスを見える化する。利用者は,自ら借用の申請を行い,利用状況を確認する。運用者は,センター全体の運用状況を把握して,業務の稼働状況に応じ,柔軟にリソース量の調整が可能となる。これらのアプローチにより,利用者側・運用者側の手作業を削減し,サービス提供までの時間を大幅に短縮できる。また,クラウドシステムの特徴である「所有する」から「借用して利用する」の運用を実現し,さらには,システムの一部をパブリッククラウドに配置し,プライベートクラウ

プライベートクラウドへのアプローチ

サイロ型システム プライベートクラウド

仮想化技術

商談管理

生産管理

部門A 部門B

配備手順業務システムイメージ

自動化技術

ライフサイクル運用

部門A 部門Bグループ会社C

運用者

OS

ミドルウェア

運用者

コラボレーション

OS

ミドルウェア

生産管理

運用者

OS

ミドルウェア

商談管理

運用者

グループ会社C

クラウド連携技術

サイロ型システムを段階的に最適化していく

業務サービスの見える化技術

パブリッククラウド

コラボレーション

図-2 プライベートクラウドへのアプローチFig.2-Approach to private cloud.

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

合・活用領域のミドルウェアで,JavaやCOBOLの実行環境を提供するほか,パブリッククラウド上のサービス,アプリケーションとの連携機能も提供する。これらの各ミドルウェアについて順番に説明する。

ダイナミックリソース管理

プライベートクラウドの基盤となるのが仮想化技術である。従来のシステム構築では,業務システムごとに,そのシステムの最大所要量を満たすだけのサーバを個別に調達してきた。その結果,近年のハードウェアの性能向上により,平均のCPU使用率やディスク使用率が低い状態で運用されているサーバが増加してきている。また,開発・保守のために常設されているサーバは,実際には開発や改修の時期だけに使用され,全体としての稼働率を下げるといった例もある。仮想化技術により,1台の物理サーバ上で複数台の独立した仮想サーバを動作させられるようになった。そのため,複数の異なるシステムで物理サーバのリソースを共有することが容易になり,CPUやディスクのリソースを有効に活用できる。一方,仮想サーバへのシステムの割り当て方によっては,リソース不足や余剰が発生するリスクも生じる。運用管理者は,リソースを十分に活用する

ダイナミックリソース管理

ために,物理サーバに対する仮想サーバの割り当て方を適切に制御しなければならない。このリソース管理は,仮想化により生じた新たな管理作業である。この管理作業を容易にするために,サーバ・ストレージ・ネットワークというハードウェアリソースをプールし,必要なときに必要なだけリソースを割り当てられるようにした。これがダイナミックリソース管理機能であり,ServerView Resource Orchestratorという製品で提供する。また,割当てを適切に制御するためには,ハードウェアリソースや仮想リソースの使用状況やリソースプールの空き状況を運用者が常に把握できる必要がある。この運用のための見える化機能をクラウドインフラマネージメントソフトウェアとSystemwalker Service Catalog Managerという製品で提供する。

自 動 配 備

ダイナミックリソース管理でプール化されたリソースを割り当てるときに,素のままの仮想サーバが割り当てられると,その仮想サーバに対するミドルウェアのインストール作業やパラメータ設定作業が必要になる。この作業負荷を軽減するために,アプリケーションの動作に必要となる複数台のサーバ,ネットワーク,ミドルウェア構成と,

自 動 配 備

開発・実行ソフトウェア

プライベートクラウド

クラウド運用ミドルウェアCRM

サーバ・ストレージ・ネットワーク

業務サービスの見える化(見える化技術)

ダイナミックリソース管理(仮想化技術)

自動配備・自動運用(自動化技術)

SFA HRM

Interstage .NET

WebLogic WebSphere

フロント統合データ統合プロセス統合

ITIL SOA

Salesforce.com

パブリッククラウド

INTARFRM Spring Strutsアプリケーションフレームワーク

Microsoft Azure

OViSS(富士通)

図-3 プライベートクラウドのアーキテクチャFig.3-Private cloud architecture.

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

(5) 正常動作確認(6) 利用者への公開また,途中の操作で異常が検知された場合は,以降の操作を中断し,関係者へ通報するなどの考慮も必要となる。自動運用機能は,(1)~(6)のような複数の対象への操作(サーバ,ネットワーク機器へのコマンド投入,結果の確認,管理者への承認・確認依頼,関係者へのメール送信機能など)を作業フローとして定義し,自動実行する機能を提供する。これにより,作業の効率化が図れるとともに,人的ミスの防止や操作記録の確実な保存が可能になる。自 動 運 用 機 能 は,Systemwalker Runbook

Automationで提供する。

業務サービスの見える化

ハードウェアリソースが仮想化により共有され,必要に応じて貸し出されるようになると,業務システムごとのICTインフラコストの算出が難しくなる。サーバ,ストレージなどのハードウェアの調達コストを特定の業務システムに固定的に割り当てられなくなるからである。そのため,クラウドを導入すると,業務システムが使用したリソース量と時間に応じた費用算出(課金管理)が重要になってくる。そこで,基本機能として,利用部門ごとのリソース使用量・時間の把握ができる機能を提供している。また,利用者側から見ると,リソースや業務システムを借りる際に,どのような仕様のものがどういう価格で提供されているかの「カタログ」が必要になる。これが,サービスカタログであり,クラウド環境を利用するときの「顔」となる機能である。サービスカタログは,提供されているサービスの一覧,システム構成を確認・操作するセルフマネジメント機能,借用・返却申請の承認フロー,およびリソース使用料のメータリング(計測)機能から構成され,Systemwalker Service Catalog Managerとして提供している。

開発・実行ソフトウェア

クラウドの上で実行される開発・実行ソフトウェアにも,クラウドを意識した機能拡張が必要となる。一つは,前述した自動配備への対応である。

業務サービスの見える化

開発・実行ソフトウェア

それぞれの設定情報のひな形をあらかじめ作っておき,利用者が要求した際に自動的に必要な仮想イメージが載った複数台の仮想サーバのセットが得られるようにするのが自動配備の技術である。自動配備では,管理者は,仮想サーバの仕様(CPU数やメモリ量など)や搭載するOS,ミドルウェアの構成を決め,仮想サーバのイメージを構築する。そして,設定するパラメータとともに,これを「テンプレート」として登録する。利用者は,必要なときに,テンプレートを選択するだけで,いつでも自動的に必要な仮想サーバ一式を得られるようになる。自動配備は,クラウドを管理するミドルウェ

アが持つ機能であり,Systemwalker Software Confi guration Managerという製品で提供する。以下は自動配備される動作検証済みミドルウェアである。・アプリケーションサーバ

Interstage Application ServerOracle Weblogic ServerWebsphere Application Server

・データベースSymfoware ServerOracle DatabaseSQL Server

・オープンソースソフトウェアApache HTTP ServerApache Tomcat

自 動 運 用

プライベートクラウドでは,各部署に散在していた多くのシステムを集約するので,それまでは隠れていた運用負荷が集中して運用者の負担を増やすことになり兼ねない。そのため,運用操作を標準化して,自動実行することでサーバ増加に伴う運用負荷増大を抑える方策が必要とされる。例えば,ICTシステムの基本的な操作である起動手順を考えてみると,以下のような流れになるであろう。(1) 仮想サーバの起動(2) OSとミドルウェアの起動(3) 起動確認(4) 業務アプリケーションの起動

自 動 運 用

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

開発クラウドセンターではソフトウェア開発環境のクラウド化に2008年度から取り組み,国内外10拠点,4500人のソフトウェア開発者に対し,開発環境を自動構築して貸し出すサービスを行っている(図-4)。沼津ソフトウェア開発クラウドセンターで自ら実践するクラウド化は,お客様に提供するクラウド商品とサービスを磨く側面も持つ。このクラウド化の取組みで,三つの問題を解決するとともに,開発者は開発のスピードアップ,環境負荷低減(CO2排出量 13.7%削減)を見込んでいる。

む  す  び

プライベートクラウドを構築するミドルウェアの概要を紹介した。ハードウェアの集約に伴い,従来,ばらばらに行われていた調達・設定・運用・費用負担という一連のプロセスも集約され,自動的な制御・実行により効率化が期待される。この実現には,管理する側のミドルウェア間の連携はもちろんのこと,管理される側のミドルウェア(アプリケーション開発・実行環境)との連携が重要なポイントとなる。

2011年2月に,これらミドルウェアの機能強化を行った。今回の機能強化により,グラフィカルな画面で操作性を向上し,パブリック型のクラウドサービス「オンデマンド仮想システムサービス」と同様の画面操作でプライベートクラウドの構築

む  す  び

これによって,必要なときにスピーディにアプリケーション開発・実行環境を提供できるようになる。もう一つは,パブリッククラウドとオンプレミスにあるシステムとの連携を容易に行うための機能である。クラウド化を進める際に,例えば,フロント系の業務についてはパブリッククラウドで提供されているサービスを利用するケースが出てくる。その場合に,オンプレミスにある既存の業務システムと,パブリッククラウドでの提供サービスの間で,例えば,同じ顧客マスターを利用するといった連携が必要になる。この連携を実現するために,三つの統合技術(フロント統合・データ統合・プロセス統合)を組み込んだ以下の製品を提供している。・Interstage Information Integrator・Interstage Interaction Manager・Interstage Service Integrator・Interstage Business Process Manager・Interstage Business Process Manager Analytics

事   例

富士通のミドルウェア開発では「サーバの運用コストの増加」,「サーバの過不足の発生」,「開発環境構築の工数増加」という三つの問題を抱えていた。この解決策として富士通沼津ソフトウェア

事   例

開発者

OSミドルウェア

利用申請

国内(6拠点)イントラネット

海外(4拠点)インターネット

沼津,新横浜,川崎,静岡,名古屋,神戸

沼津ソフトウェア開発クラウドセンター51パターン

中国,インド,オーストラリア,ドイツ

Java環境Interstage,Windowsメモリ:4 Gバイト,HDD:40 Gバイト

サービスカタログ

仮想システム貸出

被災対策用バックアップセンター

(富山県)

サーバPRIMERGY,PRIMEQUESTSPARC Enterprise

ストレージETERNUS

セキュアな外部アクセス環境

自動配備・自動運用

ダイナミックリソース管理

実機貸出VMware,Hyper-V

図-4 沼津ソフトウェア開発クラウドセンターFig.4-Numazu Software Development Cloud Center.

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プライベートクラウドを支えるミドルウェア

る側のミドルウェアも提供している。この特徴を生かして,プライベートクラウドを通じたICTシステムの全体最適化に貢献していきたい。

参 考 文 献

(1) 長倉浩士ほか:プライベートクラウドを実現するミドルウェア.FUJITSU,Vol.62,No.1,p.8-13(2011).

仁藤滋昭(にとう しげあき)

ミドルウェア事業本部商品企画室 所属現在,Interstage製品の企画に従事。

長倉浩士(ながくら ひろし)

ミドルウェア事業本部商品企画室 所属現在,ミドルウェア製品全体の企画,開発推進に従事。

櫻井明彦(さくらい あきひこ)

ミドルウェア事業本部商品企画室 所属現在,クラウドミドルウェア製品の適用推進に従事。

著 者 紹 介

が可能となった。また,Webサーバ,アプリケーションサーバ,データベースサーバから成る3階層構造の複雑な業務システムでも,ソフトウェアのインストールから設定まで含めたシステム構成一式の配備を,利用者自身が行い,すぐに使える環境を実現した。富士通は,管理するミドルウェアも,管理され