ハイパースペクトル解析 (応用編)...4 cup95ppi.ndv n...

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ENVI チュートリアル ハイパースペクトル解析 (応用編) 概要 ........................................................................................................................ 3 使用するファイル .................................................................................................. 3 EFFORT により補正された 1995 年のデータを開く.............................................. 5 MNF 変換データ、端成分、スペクトルアンミキシング(spectral unmixing.... 6 背景 MNF (Minimum Noise Fraction) ............................................................ 6 MNF 画像を開いてロードする .............................................................................. 7 MNF 画像の比較 ................................................................................................... 7 MNF スキャッタプロットのチェック ................................................................... 7 スキャッタプロットを使用した端成分の選択........................................................ 8 ピクセル純度インデックス (Pixel Purity Index) ................................................... 11 ピクセル純度インデックス (PPI) の表示と解析 ................................................... 11 関心領域を使用しての PPI 閾値の設定 ................................................................. 13 n 次元ビジュアライザ(n-Dimensional Visualization....................................... 14 n 次元ビジュアライザと 2 次元スキャッタプロットの比較 .................................. 14 n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の使用 .................................................. 16 ユーザによる端成分の塗りつぶし ......................................................................... 17 n 次元クラスコントロールの使用.......................................................................... 18 n 次元ビジュアライザのスペクトルプロファイルへのリンク ............................... 18 n 次元ビジュアライザとスペクトル解析機能のリンク .......................................... 19 個々のスペクトルの n 次元ビジュアライザへの読み込み ..................................... 19 n 次元ビジュアライザでのクラスの圧縮 ............................................................... 20 ユーザ定義の関心領域のエクスポート .................................................................. 20 n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の状態の保存 ....................................... 21 保存した n 次元ビジュアライザの状態の読み込み ................................................ 21 すべてのディスプレイと他のウィンドウを閉じる................................................. 22 スペクトルマッピング ............................................................................................. 23 スペクトルミキシングの原因 ................................................................................ 24 ミキシングされたスペクトルのモデル化............................................................... 24 実際のアンミキシング方法 .................................................................................... 26 アンミキシングの結果 ............................................................................................. 27 アンミキシングの結果を開いて表示する............................................................... 27 この章は以下の内容から構成されています。

Transcript of ハイパースペクトル解析 (応用編)...4 cup95ppi.ndv n...

ENVI チュートリアル

ハイパースペクトル解析

(応用編)

概要 ........................................................................................................................ 3

使用するファイル .................................................................................................. 3

EFFORT により補正された 1995 年のデータを開く .............................................. 5

MNF 変換データ、端成分、スペクトルアンミキシング(spectral unmixing) .... 6

背景 ― MNF (Minimum Noise Fraction) ............................................................ 6

MNF 画像を開いてロードする .............................................................................. 7

MNF 画像の比較 ................................................................................................... 7

MNF スキャッタプロットのチェック ................................................................... 7

スキャッタプロットを使用した端成分の選択 ........................................................ 8

ピクセル純度インデックス (Pixel Purity Index) ................................................... 11

ピクセル純度インデックス (PPI) の表示と解析 ................................................... 11

関心領域を使用しての PPI 閾値の設定 ................................................................. 13

n 次元ビジュアライザ(n-Dimensional Visualization) ....................................... 14

n 次元ビジュアライザと 2 次元スキャッタプロットの比較 .................................. 14

n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の使用 .................................................. 16

ユーザによる端成分の塗りつぶし ......................................................................... 17

n 次元クラスコントロールの使用 .......................................................................... 18

n 次元ビジュアライザのスペクトルプロファイルへのリンク ............................... 18

n 次元ビジュアライザとスペクトル解析機能のリンク .......................................... 19

個々のスペクトルの n 次元ビジュアライザへの読み込み ..................................... 19

n 次元ビジュアライザでのクラスの圧縮 ............................................................... 20

ユーザ定義の関心領域のエクスポート .................................................................. 20

n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の状態の保存 ....................................... 21

保存した n 次元ビジュアライザの状態の読み込み ................................................ 21

すべてのディスプレイと他のウィンドウを閉じる ................................................. 22

スペクトルマッピング ............................................................................................. 23

スペクトルミキシングの原因 ................................................................................ 24

ミキシングされたスペクトルのモデル化 ............................................................... 24

実際のアンミキシング方法 .................................................................................... 26

アンミキシングの結果 ............................................................................................. 27

アンミキシングの結果を開いて表示する ............................................................... 27

この章は以下の内容から構成されています。

2

量を求める ............................................................................................................. 27

カラー合成の表示 .................................................................................................. 27

MTMF(Mixture-Tuned Matched Filtering)によるミキシング ............. 29

ユーザ自身による MTMF の実行 .......................................................................... 29

ENVI セッションの終了 ........................................................................................ 33

参考文献 ................................................................................................................ 34

3

概要

この章では、画像分光計のデータやハイパースペクトル画像を解析するための概

念や手順を紹介します。ここでは、Airborne Visible/Infrared

ImagingSpectrometer(AVIRIS)による 1995 年のネバダ州 Cuprite のデー

タを使用して、ハイパースペクトルデータのサブピクセル特性を調べ、鉱物の種

類を識別し、量を判断する方法を説明します。また、EFFORT と ATREM によ

り補正されたデータを使用して、マッチドフィルタリング(matched

filtering)やスペクトルアンミキシング(spectral unmixing)による結果を確

認します。

使用するファイル

DVD: Resource DVD

Path: Data/c95avsub

ファイル 概要

必要なファイル

cup95eff.int EFFORT により補正された ATREM 見掛け反射

率データ。バンド数は 50。1.96 ~ 2.51 mm

cup95eff.hdr 上記用の ENVI ヘッダ

cup95mnf.dat 最初の 25 個の MNF バンド

cup95mnf.hdr 上記用の ENVI ヘッダ

cup95mnf.asc MNF の固有値スペクトル

cup95mnf.sta MNF の統計量

cup95ns.sta シフト誤差(Shift Difference)から得られたノ

イズ統計量

cup95ppi.dat ピ ク セ ル 純 度 イ ン デ ッ ク ス ( PPI : Pixel

PurityIndex)画像

cup95ppi.hdr 上記用の ENVI ヘッダ

cup95ppi.roi PPI の値が 1750 より大きい関心領域

4

cup95ppi.ndv n 次元ビジュアライザにより保存された状態ファ

イル

cup95ndv.roi n 次元ビジュアライザにより保存された状態ファ

イルに対応する関心領域の端成分

cup95_em.asc

PPI 閾値、MNF 画像、n 次元マッチドフィルタ

リングとアンミキシングを使用して選択された11

個のスペクトル端成分の EFFORT ASCII ファイル

cup95_mnfem.asc

PPI 閾値、MNF 画像、n 次元ビジュアライザを

使用して選択された 11 個のスペクトル端成分の

MNF ASCII ファイル。マッチドフィルタリング

とアンミキシングで使用される

cup95unm.dat アンミキシングの結果―成分量画像

オプションのファイル

jpl1.sli ENVI フォーマットの JPL スペクトルライブラリ

jpl1.sli 上記用の ENVI ヘッダ

usgs_min.sli ENVI フォーマットの USGS スペクトルライブラ

usgs_min.hdr 上記用の ENVI ヘッダ

<注>

この演習を実行するには、上記のファイルが必要です。より詳細に比較したい場合には、上記リストのオプションのスペクトルライブラリファイルも使用できます。ディスクスペースの都合により、ここに選択されているデータファイルはすべて、反射率の値に 1000 を掛けることにより整数フォーマットに変換されています。したがって、ファイル内の値 1000 は反射率の値 1.0 に相当します。

5

EFFORT により補正された 1995 年のデータを開く

1. ファイル cup95eff.int を開いてください。これは、EFFORT 補正を加え

た、ATREM により補正した 1995 年の AVIRIS 見掛け反射率データです。

2. Gray Scale ラジオボタンをクリックし、バンドを選択して Load Band

ボタンをクリックし、Band 193 をグレースケール画像として新しいイメ

ージウィンドウにロードしてください。

これらのデータは、MNF バンドとの比較や、PPI 結果用のスペクトル端成分の

抽出に使用されます。

6

MNF 変換データ、端成分、スペクトルアンミキシ

ング(spectral unmixing)

背景 ― MNF (Minimum Noise Fraction)

MNF (Minimun Noise Fraction) 変換は、画像データの固有次元を求めたり、

データに含まれるノイズを分離することにより、以降の処理に必要な計算量を削

減するために使用されます(Boardman and Kruse, 1994 を参照)。MNF 変換

は、Green et al . (1988 年)によって修正され、連続した 2 つの主成分

(Principal Components)変換として基本的に ENVI に組み込まれています。

評価ノイズ共分散行列に基づく最初の変換では、データに含まれるノイズが相互

に分離され、倍率が変更されます。この最初のステップでのデータ変換により、

ノイズの単位が変えられ、バンド間の相関性がなくなります。第 2 のステップは、

ホワイトノイズ化されたデータに対して標準的な主成分変換が行われます。これ

以降のスペクトル処理のために、最終的な固有値や対応する画像をチェックする

ことで、データの固有次元が求められます。データ空間は 2 つの部分、すなわち

大きい固有値とコヒーレントな固有画像に対応する部分、および 1 に近い固有値

とノイズが支配的な画像に対応する部分に分けることができます。コヒーレント

な部分だけを使用することで、ノイズをデータから分離してスペクトルの処理結

果を改善することができます。

図 1は、ENVI における MNF の手順の概要を示します。ノイズ評価は、データ

から得られた暗い現在の画像(AVIRIS など)、データ自身から計算されたノイズ

に関する統計量、または前の変換で保存された統計量、という 3 つのソースのう

ちのいずれかから行えます。固有値と MNF 画像(固有画像)の両方を使用して、

データの次元が評価されます。情報を含むバンドの固有値は、ノイズだけを含む

バンドの固有値よりも数倍大きくなります。対応する画像は空間的にコヒーレン

トであるのに対し、ノイズ画像には空間情報がまったく含まれません。

図 1:ENVI における MNF 手順

7

MNF 画像を開いてロードする

1. ファイル cup95mnf.dat を開いてください。このデータセットには、

EFFORT により補正された 1995 年の Cuprite のデータの最初の 25 個

の MNF バンド(浮動小数点)が含まれています。

2. Available Bands List ダイアログで Gray Scale ラジオボタンをクリッ

クし、バンドを選択してください。Load Band をクリックして、最初の

MNF バンドをグレースケール画像として新しいイメージウィンドウにロ

ードしてください。

MNF 画像の比較

1. 個々に確認しながら 1 つずつ、または RGB 合成表示をしながら、他のいくつかの

MNF バンドを相互に比較するためにロードしてください。

2. Z-Profile、リンクディスプレイ、ダイナミックオーバーレイを使用して、 MNF スペ

クトルを、EFFORT 画像の見掛け反射率スペクトルと比較してください。

3. MNF 画像と見掛け反射率画像との関係を調べてみてください。MNF バンドの番号

と MNF 画像の品質を関連づけてください。

MNF スキャッタプロットのチェック

1. MNF 画像を理解するために、メインイメージウィンドウで順方向、逆方

向のマッピング・モードを用いて Tools -> 2D Scatter Plot を使用して

ください。

2. 変化の大きい(バンド番号の小さい)MNF バンドは必ずチェックしてく

ださい。また、変化の小さい(バンド番号の大きい)MNF バンドのスキ

ャッタプロットも必ず尐なくとも 1 つはチェックしてください(バンドを

変えるには Scatter Plot ウィンドウから Options -> Change Bands を

選択 します)。いくつかの MNF スキャッタプロット(図 2)のコーナー部

(尖端)を確認してください。

8

図 2:MNF の 2 次元スキャッタプロット

3. MNF コーナー部のピクセルの反射率スペクトルを理解するため、リンク

ディスプレイ、オーバーレイ、Z-Profile を使用してください。MNF デー

タが「点」的でなくなり「あいまい」になってくる部分、および、画像の

色と個々の反射率スペクトルからわかるスキャッタプロットのピクセル位

置とスペクトルミキシングの関係を確認してください。

スキャッタプロットを使用した端成分の選択

次に、MNF 画像と 2 次元スキャッタプロットツールを使用して、データからア

ンミキシング用の端成分を求められるか、調べてみてください。

1. MNF のバンド 1、2 のスキャッタプロットを読み込んでください。

2. スキャッタプロットで、関心領域描画機能を使用して、1 つまたは複数の

コーナー部やプロットが突出してアームの様な形をしている箇所でピクセ

ル数が極端に尐ない部分を円で囲みます。

9

図 3:MNF 2D スキャタプロット X:Band1, Y:Band2

右クリックで ROI を確定して下さい。これらに対応するピクセルが画像上

で色付け表示されます。

3. いくつかのクラスに対して異なる色を使用するには、スキャッタプロット

ウィンドウの Class プルダウンメニューから任意の色を選択してください。

4. 特徴的な領域を識別しやすいよう、画像とスキャッタプロットのダンシン

グピクセル機能(マウスの中央ボタンをクリックしてドラッグする)を使

用してください。

5. スキャッタプロットの Options プルダウンメニューから Options->

Export All を選択し、これらのピクセルのリストを ENVI の関心領域と

してエクスポートしてください。

6. 最初のいくつかの MNF バンドのさまざまな組み合わせを使用して、MNF

コーナーの関心領域を続けて選択してください。

7. メインイメージウィンドウのメニューバーから Overlay -> Region of

Interest を選択し、見掛け反射率データのイメージウィンドウにこれらの

関心領域をロードしてください。

8. ROI Tool の Select All および Stats ボタンを使用して、関心領域の平均

見掛け反射率スペクトルを求めてください。

9. ROI Statistics Results ダイアログで、Select Plot -> Mean for All

ROIs を選択して、関心領域の平均見掛け反射率スペクトルを求めてくだ

さい。

10

10. リンクされたウィンドウと Z- プロファイルを使用して、MNF と反射率ス

ペクトルの関係をチェックしてください。

11. スキャッタプロットウィンドウから File -> Cancel を選択して、2 次元

スキャッタプロットウィンドウを閉じてください。

<注>

スキャッタプロットのコーナー部のピクセルでは一般に良好な端成分評価を行えます。ただし、複数のバンドの組み合わせの相関から関心領域を取得した場合、重なりや繰り返しが発生することも確認してください。これが、2 次元スキャッタプロットによるデータ確認の一つの限界です。

11

ピクセル純度インデックス (Pixel Purity Index)

ここでは、ピクセルの相対純度を判定する上で凸面形状の果たす役割を調べます。

ミキシングされたピクセルから、より純度の高いピクセルを分離すると、端成分

判定のために解析するピクセル数を減らすことができ、端成分の分離や識別が容

易になります。

ピクセル純度インデックス ™(PPI™)は、マルチスペクトル画像やハイパース

ペクトル画像内で「スペクトル的な純度」が最も高いまたは極端なピクセルを捜

し出す手段です。Boardman et al . (1995) を参照してください。最もスペクト

ル的な純度の高いピクセルは通常、ミキシング端成分に対応します。PPI は、n

次元のスキャッタプロットを 1 つのランダムな単位ベクトルに繰り返し投影する

ことにより計算されます。各投影ではスキャタプロットのより端にプロットされ

るピクセルが記録され、その合計回数が示されます。各ピクセルの DN 値が、合

計回数に対応するような画像として生成されるのが、PPI 画像です。ENVI にお

ける PPI の使用方法を図 4に示します。

図 4:ENVI におけるピクセル純度インデックスの手順

ピクセル純度インデックス (PPI) の表示と解析

1. ファイル cup95ppi.dat を開いてグレースケール画像として表示してくだ

さい。より明るいピクセルはスペクトル的な一致度が極端に高いことを示

し、スペクトル的に純度の高いピクセルであることを示します。暗いピク

セルほど、スペクトル的な純度が低くなります。

2. PPI 画像のヒストグラムとデータ分布を理解するため、メインイメージウ

ィンドウのメニューバーの Enhance プルダウンメニューを使用してさま

ざまな対話的なストレッチ方法を試してみてください。ヒストグラムが歪

んで小さい値になってしまうのはなぜでしょうか?また、ミキシングとい

う観点から考えると、これは何を意味するのでしょうか?

12

3. MNF ファイル(cup95mnf.dat)と EFFORT 見掛け反射率ファイル

(cup95eff.int)が表示されていない場合は、これらのファイルを開き、2

つのファイルからバンドを各々新しいウィンドウにロードしてください。

MNF データに対して前述の PPI アルゴリズムを数千回繰り返した結果得

られるのが、PPI 画像です。画像内の値は、スキャタプロットのより端に

プロットされるピクセルが記録された合計回数を示します。したがって、

これらの値は各ピクセルの近傍における雲状データの局部的な凸形状の程

度、および各ピクセルからデータの凸状の外殻までの距離を示します。要

するに、値が大きいほど、値が小さいものに比べてピクセルが雲状の n 次

元データのコーナー部に近く、従って純度も高くなります。値がゼロであ

るピクセルは、純度の高いものとして判定されることはありません。

4. Tools -> Link -> Link Displays を使用して 3 つのウィンドウをすべて

リンクし、MNF と反射率のイメージウィンドウの Z プロファイルを作成

してください。このように設定した状態で、PPI のウィンドウ内で選択し

た特定のピクセルのスペクトルプロファイルを確認してください。

5. 画像内の値の範囲を調べるには Cursor Location/Value ダイアログを使

用してください(メインイメージウィンドウのメニューバーから Tools ->

Cursor Location/Value を選択してください)。

6. Z プロファイルとダイナミックオーバーレイツールを使用して画像内を移

動し、空間的、スペクトル的に最も純度が高いピクセルを調べてください。

前の 2 次元スキャタプロットの演習で選択した領域に PPI 値の高いピクセ

ルは含まれていますか?また、それはなぜですか?

図 5:左:PPI 画像 右:前の演習の ROI をオーバーレイした MNF 画像

13

関心領域を使用しての PPI 閾値の設定

1. PPI 画像のメインイメージウィンドウから Tools -> Region of Interest

-> ROI Tool を選択し、ROI Tool ダイアログで File -> Restore ROIs

を選択して、ファイル cup95ppi.roi を読み込んでください。このファイ

ルは、PPI 値が 1000 を超えるピクセルのリストです。 PPI の値が大き

いピクセルはどれくらいありますか?次に、自分で関心領域に対する PPI

の閾値を設定してみてください。

2. PPI のイメージウィンドウから Enhance -> Interactive Stretching を

選択してください。

3. マウスの左ボタンをクリックしヒストグラムから値を読み込み、最も純度

の高いピクセルだけを選択できるような閾値を求めてください。

4. ヒストグラム内をマウスの中央ボタンでクリックし、分布の下端の部分を

拡大してください。

5. ヒストグラムの上端の値を、最小閾値として選択してください(これが難

しい場合、最初は 2000 という値にしてください)。

6. メインイメージウィンドウのメニューバーから Overlay -> Region of

Interest を選択して ROI Tool ダイアログを開いてください。ROI Tool

ダイアログで Options -> Band Threshold to ROI を選択し、PPI 値が

大きいピクセルだけを含む関心領域を作成してください。

7. 閾値を設定する PPI ファイルを選択し、OK をクリックしてください。

8. Band Threshold to ROI Parameters ダイアログに、上記で選択した値

を最小閾値として入力し、OK をクリックしてください。ENVI は、選択

された条件に適合するピクセル数を調べてメッセージを表示します。

9. ENVI Question ダイアログで OK をクリックすると、標準の関心領域が

生成され、ROI Tool ダイアログにリスト表示されます。PPI 画像から生

成される関心領域には、選択された最小値より大きい値を持つピクセルだ

けが含まれます。

10. ROI Tool ダイアログテーブルで左端の列をクリックし、関心領域を選択

して表示してください。対応する端成分には関係なく、この関心領域には、

画像内で最も純度の高いピクセルの位置が含まれます。次の項では、n 次

元ビジュアライザを使用して、純粋な特定の端成分を分離してください。

14

n 次元ビジュアライザ(n-Dimensional Visualization)

スペクトルは、n をバンド数とする n 次元スキャッタプロット内の点とみなすこ

とができます。Boardman et al.(1995 年)を参照してください。n 次元空間

内の点の座標は、そのピクセルの各バンドのスペクトル放射輝度または反射率値

である n 個の値から構成されます。n 次元空間におけるこれらの点の分布を使用

して、スペクトルの端成分の数と対応する純粋なスペクトルシグネチャを調べる

ことができます。

ENVI の n 次元ビジュアライザ (n-Dimensional Visualizer™) には、n 次元

空間内の端成分を選択する対話的なツールが用意されています。この項では、n

次元データを確認してください。端成分を抽出する際は、数十個以下のバンド内

の数千個以下のピクセルを対象とすることでコンピュータの計算量を抑制します。

また、理論的な観点より、ミキシングされたすべてのピクセルではなく、端成分

の物質が最も良くわかるように、重要なピクセル(前述の PPI の閾値設定を使用

して選択した最も純度の高いピクセル)を使用します。n 次元ビジュアライザを

使用して端成分スペクトルを選択する手順の概要を図 6に示します。

図 6:n 次元ビジュアライザを使用する手順

n 次元ビジュアライザと 2 次元スキャッタプロットの比較

1. ENVI メインメニューから Spectral -> n-Dimensional Visualizer ->

Visualize with New Data を選択してください。

2. n-D Visualizer Input File ダイアログで、MNF ファイル

cup95mnf.dat をクリックし、Spectral Subset ボタンをクリックしてく

ださい。

3. File Spectral Subset ダイアログで、MNF band 1 をクリックし、Shift

キーを押しながら MNF band 10 をクリックして、OK をクリックしてく

ださい。

4. n-D Visualizer Input File ダイアログで OK をクリックしてください。

これらのバンドにはほとんどすべての種類の信号的な変化が含まれ、バン

ドの数を制限することで対話的な可視化機能の性能が改善されます。ROI

15

Tools ダイアログにリストされている有効な関心領域が 1 つしかない場合

は、その関心領域のデータが自動的に n 次元ビジュアライザにロードされ

ます。複数の関心領域がある場合は、クエリー時に PPI の閾値設定により

得られた関心領域を選択してください。n 次元スキャッタプロットウィン

ドウとコントロール群が表示されます。n-D Controls ダイアログの 1 ~

10 の番号は、選択された 10 個のスペクトルバンドに対応します。

図 7:n-D Visualizer

5. 1 と 2 をクリックし、バンド 1 と 2 の最も純度の高いピクセルの 2 次元

スキャッタプロット(図 8)を生成してください。

図 8:PPI を使用して薄くした MNF 2 次元スキャッタプロット

6. 比較のため、同時に、メインウィンドウから Tools -> 2-D Scatter plot

を選択し、MNF バンド 1、2 の標準 2 次元スキャッタプロット(図 9)の

作成も開始してください。

16

図 9:MNF スキャッタプロット

7. 2 つのスキャッタプロットを比較してください。ピクセルの純度に従って

n 次元スキャッタプロットからピクセルが除外されたことがわかります

か?これが重要なのは、なぜですか?

n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の使用

1. 2 次元スキャッタプロットを閉じ、n 次元ビジュアライザでいくつかの異

なる 2 つのバンドの組み合わせを試してください。雲状データの形状を確

認してください。いくつかの高次元 MNF バンドについても調べてくださ

い。

2. 次に、3 つのバンド番号をクリックして、3 つのバンドの組み合わせを試

してください。

3. 3 つのバンドしか選択しない場合は、n-D Controls ダイアログから

Options-> 3D:Drive Axes を選択して投影の表示を変更することもでき

ます。

4. 続いて、n 次元ビジュアライザ内でマウスの左ボタンによりクリックアン

ドドラッグし、投影図を回転させてください。この場合も、雲状データの

形状を確認し、いくつかの高次元 MNF バンドについても調べてください。

Options -> Show Axes を選択して Axes をオンにしてください。

5. Start ボタンをクリックして多くのさまざまな回転を起動してください。

これは、n 次元空間をスキャッタプロットにランダムに投影したアニメー

ションです。このモードでは、任意の数のバンドを同時にチェックするこ

とができます。

6. バンド 1、2、3、4、5 をクリックして 5 次元データの投影を表示してく

17

ださい。

7. 各バンドをもう一度クリックして選択を解除してください。

8. 2、3 個以上の異なるバンドの組み合わせをいくつか試して、n-D データ

の機能を把握してください。Stop ボタンをクリックして回転を停止させ、

Step テキストラベルのとなりの矢印ボタンを使用して投影図を前後に変更

してください。New ボタンは、新しいランダムな投影をロードします。

Speed スピンボックスに、より小さい値や大きい値を入力すると、回転ス

ピードの調整ができます。

9. MNF バンド 9 と MNF バンド 10 を試し、1、2 の場合と比較してくださ

い。4 つ以上のバンドが含まれている場合に回転がどの程度異なって見え

るか確認してください。このようになるのは、3 次元を超える場合には次

元が圧縮されて投影されるためです。ハイパースペクトルデータを扱う場

合はデータの次元が実際に大きく、2 次元スキャッタプロットでは不十分

であることを確認してください。

ユーザによる端成分の塗りつぶし

1. n-D Controls ダイアログに戻り、Start ボタンを使用して回転動作を再

開させます。

2. 点やコーナー部を含む図 10のような点群が表示されましたら、回転を止め、

Class プルダウンメニューのリストから色を選択し、カーソルを使用して、

1 つまたは複数のコーナー部の点を囲む円を描画してください。

3. マウスの左ボタンを使用してスキャッタプロット内で関心領域のセグメン

トを定義し、マウスの右ボタンを使用して関心領域を完成させます。

図10:n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)、および選択したピクセルが

ハイライト表示された n 次元コントロール(n-D Controls)

4. さらにデータの回転を続け、さまざまな投影から必要とされるだけ分割さ

れるようクラスを更新してください。

18

n 次元クラスコントロールの使用

1. n-D Controls ダイアログの Options -> Class Controls を選択し、n-D

Class Controls ダイアログを起動してください。このダイアログを使用

して、クラスの色を変更したり、クラスのオンオフを切り換えたり、クラ

ス値の切り取り処理を制御します。

2. 色のついたクラスボックスから任意のクラスをクリックして、そのクラス

をアクティブクラスにしてください。

3. アクティブクラス内のピクセルについてプルダウンリストから、選択した

クラスの n 次元ビジュアライザに表示する記号を選択してください。

4. 統計量の計算(Stats)、平均スペクトル(Mean)、クラスのプロット

(Plot)、クリア(Clear)、エクスポート(Export)などの処理を行うに

は、n-D Class Controls ダイアログから対応するボタンを選択してくだ

さい。

5. クラスの隣のチェックボックスをクリックして、クラスをオン / オフして

みてください。

n 次元ビジュアライザのスペクトルプロファイルへのリンク

端成分の塗りつぶしやスキャッタプロットを回転させる際に、特定の端成分に対

応する反射率スペクトルを表示することができます。この機能を使用すると、ス

ペクトルのクラスを確定する前にスペクトルをプレビューすることができます。

1. n-D Controls ダイアログで Options -> Z-Profile を選択してください。

リストから反射率データ cup95eff.int を選択して OK をクリックしてく

ださい。空白のスペクトル・プロットが表示されます。

2. n 次元ビジュアライザでマウスの中央ボタンをクリックすると、n-D

Profile ウィンドウに現在のピクセルのスペクトルが表示されます。マウ

スの中央ボタンを押しながら画像内でカーソルをドラッグすると、リアル

タイムでスペクトルを確認することができます。n 次元で定義されたクラ

ス内にカーソルがある場合、プロットされたスペクトルはそのクラスの色

と一致します。

3. n-D Profile ウィンドウでマウスの右ボタンをクリックし、n-D

Visualizer でマウスの右ボタンをクリック&ドラッグして、スペクトル収

集をオンにしてください。前のスペクトルが消去されないまま、以降の各

スペクトルが 1 つのプロット内に保持されます。n 次元ビジュアライザで

マウスの中央ボタンをクリックすると、プロットをクリアして単一スペク

トルモードに戻ります。

19

n 次元ビジュアライザとスペクトル解析機能のリンク

スペクトル解析機能(Spectral Analyst™)は、未知のスペクトルをスペクトル

ライブラリと比較し、スペクトルライブラリとの対比でスコアを付けます。スペ

クトル解析機能は、いくつかの方法を使用して 0 ~ 1 の間のスコアを生成します。

完全に一致する場合はスコアが 1 になります。スペクトル解析機能を n 次元ビジ

ュアライザのプロファイルにリンクすることで、端成分スペクトルをその場で識

別することができます。

1. ENVI メインメニューから Spectral -> Spectral Analyst を選択してく

ださい。

2. ダイアログの Open -> Spectral Library をクリックしてください。

3. ENVI をインストールしたディレクトリにある spec_lib の usgs_min ス

ペクトルライブラリディレクトリに移動し、usgs_min.sli スペクトルライ

ブラリを選択して開いてください。

4. Edit Identify Methods Weighting ダイアログが表示されますので、OK

をクリックしてください。さまざまなマッチング方法に関しては、ENVI ’

オンラインヘルプを参照してください。

5. Spectral Analyst ダイアログで Options -> Auto Input via-Z Profile

を選択し、使用可能なプロファイルのリストの n-D Profile をクリックし

てください。n 次元ビジュアライザ内の塗りつぶされたクラスのいずれか

をマウスの中央ボタンでクリックすると、スペクトル解析機能はライブラ

リと比較して未知のスペクトルにスコアを付けます。このスコアが高けれ

ば、一致する確率が高いことを示します。

6. リスト上部のスペクトル名をダブルクリックし、未知のスペクトルとライ

ブラリのスペクトルを同じプロット上にプロットして比較してください。

スペクトル解析機能と比較用のプロットを使用して、抽出した n 次元ビジ

ュアライザ画面のスペクトルの鉱物を判定してください。いくつかの鉱物

を識別しましたら、次の項に進んでください。

個々のスペクトルの n 次元ビジュアライザへの読み込み

1. 表示されている画像内で関心領域描画機能をオフにしてください(ROI

Tool ダイアログで Off ラジオボタンを選択してください)。

2. Display#1(Band193:cup95eff.int)画面の Tools -> Profiles -> Z

Profile を選択して Cuprite のデータから得られた EFFORT スペクトル

を表示してください。

3. Tools -> Profiles -> Additional Z Profile を選択し、第 2 の対応するス

20

ペクトルプロファイルとして MNF データを選択してください。n 次元ビ

ジュアライザのデータは MNF 空間内にあるため、関心のある物質を示す

MNF スペクトルをインポートする必要があります。

4. n-D Controls ダイアログから Options -> Import Library Spectra を

選択してください。n-D Visualizer Import Spectra ダイアログが表示さ

れます(標準の ENVI Endmember Collection ダイアログ)。

5. Additional Z Profile ウィンドウから 1 つのスペクトルをインポートする

には、まず、任意の反射率スペクトルが基本スペクトルプロファイルに表

示されるまで画像内でカーソルを移動してください。別のスペクトルプロ

ファイルスペクトルがリンクされ、対応する MNF スペクトルが表示され

ます。

6. プロットウィンドウでマウスの右ボタンをクリックし、ショートカットメ

ニューを表示して、Plot Key を選択し、スペクトル名を表示してください。

マウスの左ボタンでスペクトル名をクリックし、Endmember Collection

ダイアログのテーブル内にドラッグしてください。

7. n-Dimensional Visualizer ウィンドウにスペクトルがプロットされ、そ

の位置をマークするフラグが表示されます。希望に応じ任意の数のスペク

トルに対して、同じ操作を繰り返してください。

8. n 次元ビジュアライザでは、これらのスペクトルを PPI で求められたデー

タとともに回転させることができます。

n 次元ビジュアライザでのクラスの圧縮

回転や n 次元データからさまざまな 2 次元投影を行っても、いくつかの端成分を

識別した後、それ以上別の端成分を見つけることが難しい場合があります。

ENVI では、クラス圧縮を行うことで、ユーザがすでに見つけた端成分を、背景

を示す 1 つのグループとしてまとめることができるため、端成分判定の問題を単

純化できます。その結果、ミキシングされ隠れていた特徴要素が見えるようにな

り、n-D Visualizer ウィンドウで ENVI の関心領域描画機能を使用してこの特

徴要素を選択することができます。

選択されたバンドが今度は赤でリストされ、2 つだけが選択されていることを確

認してください。また、MNF プロットが表示され、データの次元と、まだ見つ

けられずに残っている端成分の数の予測値が示されます。新しい端成分が見つか

らなくなるまで、端成分選択処理とクラス圧縮処理を繰り返してください。

ユーザ定義の関心領域のエクスポート

選択された端成分の平均スペクトルをエクスポートすることもできます。

1. ROI Tool ダイアログから Select All を選択し、次に Delete を選択して、

前の関心領域をすべて削除してください。

21

2. n-D Control ダイアログで Options -> Export All を選択し、最良のク

ラスのセットを関心領域にエクスポートしてください。また、n-D Class

Controls ダイアログ(Options -> Class Controls でアクセス)から

個々のクラスをエクスポートすることもできます。関心領域の空間位置を

確認してください。

3. n-D Control ダイアログの Stats ボタンか Mean ボタンを使用して、さ

まざまな関心領域の平均スペクトルを抽出してください。これらの端成分

を、2 次元スキャッタプロットを使用して抽出した端成分や、前の演習で

使用した端成分と比較してください。

4. n-D Controls ダイアログで Options -> Z-Profile を使用して、単一スペ

クトルを平均スペクトルと比較してください。

n 次元ビジュアライザ(n-D Visualizer)の状態の保存

n-D Controls ダイアログから File -> Save State を選択し、出力ファイル名と

して cup95.ndv を入力して OK をクリックしてください。保存された状態は、

後で読み込んで使用することができます。

保存した n 次元ビジュアライザの状態の読み込み

1. Spectral -> n-D Visualizer -> Visualize with Previously Saved

Data を選択し、前に保存しておいた n 次元ビジュアライザセッションの

パラメータと塗りつぶした端成分を使用して、別の n 次元ビジュアライザ

セッションを起動してください。

2. ファイル cup95ppi.ndv を選択してください。

3. Start ボタンをクリックしてデータの回転を開始してください。n 次元ビ

ジュアライザ内の色の付いたピクセルは、前に選択されていた端成分を示

します。

4. n 次元ビジュアライザ内で、さまざまな投影やバンド数をチェックしてく

ださい。

5. Stop をクリックして回転を停止させます。

6. ROI Tool ダイアログから Select All を選択し次に Delete をクリックし

て、前の関心領域をすべて削除してください。

7. 次に、n-D Controls ダイアログで Options -> Export All を選択してく

ださい。

8. ROI Tool ダイアログで、表示が EFFORT 見掛け反射率画像にセットさ

れていることを確認し、Select All そして Stats をクリックしてください。

22

9. ROI Statistics Results ダイアログで Select Plot -> Mean for all

ROIs を選択し、すべての端成分の平均反射率スペクトルを求めてくださ

い(図 11)。

図 11:n 次元ビジュアライザを使用して取り出した端成分スペクトル

10. n 次元ビジュアライザで、反射率スペクトルと塗りつぶされたピクセルと

の関係をチェックしてください。

11. 類似しているスペクトルや塗りつぶされたクラスタの位置を確認してくだ

さい。

すべてのディスプレイと他のウィンドウを閉じる

1. 開いているデータファイルと関連するディスプレイをすべて閉じるには、

Available Bands List ダイアログから File -> Close All Files を選択し

てください。

2. n-D Controls ダイアログで File -> Cancel を選択して、これらのウィン

ドウと n 次元ビジュアライザを閉じてください。

23

スペクトルマッピング

ENVI にはさまざまなマッピング方法が用意されていますが、満足な結果が得ら

れるかどうかは、データのタイプや品質、要求される結果などによって異なりま

す。Spectral Angle Mapper(SAM)分類、スペクトルアンミキシング、マッ

チドフィルタリング、ミキシングにより微調整されたマッチドフィルタリングな

どのマッピング方法が用意されています。

SAM は、画像スペクトルを個々のスペクトルと比較し、2 つのスペクトルをバ

ンド数と同じ次元数の空間内ベクトルとして扱いながら両者の間の「スペクトル

角」を計算し、類似性を自動的に判定する方法です。SAM は、1 つのピクセル

内でスペクトル的にアクティブな物質のスペクトルマッピングを行うには良い方

法です。しかし、自然の地表面が単一で均一な物質から構成されていることは、

ほとんどありません。異なるスペクトル特性を持つ物質を 1 つの画像ピクセルで

表現しようとすると、スペクトルミキシングが発生します。Singer and

McCord(1979 年)は、ミキシングのスケールが大きい場合は、線形的なミキシ

ングが起こることを発見しました(図 12)。スケールの小さいミキシングは一般

に非線形的になります(Nash and Conel, 1974; Singer, 1981)。

図 12:線形ミキシング

線形モデルでは、物質間での相互作用がないものと仮定しています。それぞれの

光子が 1 つの物質を捉えるだけならば、これらの信号は加算されます(線形過

程)。複数の物質が関係する散乱が重なったものは、乗算が連続的に行われたもの

(非線形過程)と考えることができます。ミキシングの空間的な規模と物質の物

理的な分布により、非直線性の程度が決まります。大規模な航空ミキシングはき

わめて線形的になります。小規模で詳細なミキシングは、多尐非線形的になりま

す。ほとんどの場合、ミキシングが非線形になるのは副次的効果においてです。

地表の物質の多くは非線形的にミキシングされますが、多くの環境において、線

24

形アンミキシングの手法で(近似が最適に行われた場合は)良好な結果が得られ

ます(Boardman and Kruse, 1994)。線形的な手法により求められた量は非線

形的な手法により求められた量ほど正確ではありませんが、1 次効果までは、地

表の状態を十分表していると見なすことができます。

スペクトルミキシングの原因

画像分光計が受け取る信号の生成には、以下のようなさまざまな要因による作用

が関係してきます。

地表に存在する非常に厚さの薄い物質の場合は、入射太陽光線と相互作用を起こします。厚さの薄い物質によって全体の反射信号は影響を受けます。

1 つのピクセルで表現される領域において物質の空間的ミキシングがあると、反射される信号のスペクトルでミキシングが起こります。

また、そのピクセルで表現される領域において地形(陰)による照度の違いや実際の影があると、反射信号がさらに影響を受け、基本的には黒い端成分によるミキシングが起こります。

画像分光計では、各ピクセルからの反射光が統合されます。

ミキシングされたスペクトルのモデル化

ミキシングされたスペクトルの最も単純なモデルは、ピクセル領域内にある物質

の「純粋」スペクトルを量の割合に応じて重み付けして線形結合した線形モデル

です(図 13)。

図 13:1 つのピクセルでの線形ミキシング

この単純なモデルには、物理的モデル、数学的モデル、幾何学的モデルの 3 つの

形があります。物理的モデルには、前述のように、ピクセル群の地上瞬間視野

(Ground Instantaneous Field of View:GIFOV)、入射光、光子と物質の間

の相互作用、および結果として得られるミキシングされたスペクトルが含まれま

25

す。問題を単純化して、アンミキシングを行うには、より抽象的な数学的モデル

(図 14)が必要になります。

図 14:スペクトル ミキシングの線形代数モデルベクタ

スペクトルライブラリは、解析に適した初期データ行列の形になっています。理

想的なスペクトルライブラリには、線形結合されたときに他のすべてのスペクト

ルを形成できるような端成分が含まれています。数学的モデルは単純なモデルで

す。測定されたスペクトル(ベクタ)は、純粋な端成分スペクトルのミキシング

ライブラリ(行列)と端成分の量(ベクタ)の積であると見なすことができます。

元のスペクトルライブラリ行列の逆行列は、直交行列の転置行列と対角行列の逆

数を掛けることにより形成されます(Boardman, 1989)。逆ライブラリ行列と

測定されミキシングされたスペクトルとで単純にベクタと行列の乗算を行うこと

で、未知のスペクトルに対応するライブラリの端成分の量を評価することができ

ます。

これに対し、幾何学的ミキシングモデルでは、スペクトルミキシングを直観的に

理解することができます。ミキシングされたピクセルは、n をバンド数とした場

合、n 次元スキャッタプロット空間(スペクトル空間)内の点として可視化され

ます。2 次元の場合で、2 つの端成分だけがミキシングされている場合は、ミキ

シングされたピクセルが 1 本の線上に位置します(図 15 (A))。純粋な端成分は、

ミキシングのラインの両端に位置します。3 つの端成分がミキシングされている

場合は、ミキシングされたピクセルが三角形の内側に位置します(図 15 (B))。ミ

キシングされた端成分は、端成分の間に位置します。

図 15:幾何学的ミキシングモデル

(A) は 2 次元のミキシング(端成分が 2 つ)

(B) は 3 次元のミキシング(端成分が 3 つ)

ミキシングされたスペクトルは、すべて純粋な端成分の内部にあり、すべての量

が正で総和が 1 になることから、端成分を頂点として形成される単純な幾何学図

形の内側にあります。ミキシングされたピクセルからなるこの凸面セットを使用

26

すると、存在する端成分の数やそのスペクトルを調べることができます。幾何学

的モデルは、ミキシング端成分の数が、ミキシングされるデータに固有な次元よ

り 1 つ大きい次元に拡張することができます。

実際のアンミキシング方法

通常使用されるアンミキシングには、全く異なる 2 種類の方法があります。「既

知の」端成分を使用する方法と、「誘導された」端成分を使用する方法です。

既知の端成分を使用する方法では、一組の「既知の」または「想定される」スペ

クトル端成分から、各ピクセル内の各端成分物質の見かけ成分を求めます。これ

らの既知の端成分は、データ(前の情報を使用して選択した領域の平均)から求

めるか、対話的な操作で画像分光計のデータを確認して画像内に存在する純粋物

質を判断することで純粋物質のライブラリから求めるか、前述した物質を特定す

る他のルーチンを使用して求めることができます。

ミキシング端成分行列は、画像または基準ライブラリのスペクトルで構成されま

す。問題として線形最小二乗法による決定が重複して複数の解が存在することが

あります。ミキシング行列を反転して測定されたスペクトルと掛け合わせ、未知

の端成分の成分量を最小二乗法により推定します。各成分が正で総和が 1 になる

ように解に制約を加えることができます。陰と影は、暗黙的に(成分の総和が 1

以下に)または端成分として明示的に(成分の総和が 1 に)含められます。

第 2 のアンミキシング方法では、画像分光計のデータそのものを使用してミキシ

ング端成分を求めます(Boardman and Kruse, 1994)。データに固有な次元は、

以下のように主成分要素に関連する特殊な直交処理を使用して求められます。

データの信号全体に広がる線形部分空間(フラット部)が求められます。

データがこの部分空間に投影され、アンミキシングの次元数が下げられ、大部分のノイズが削除されます。

投影されたこれらのデータの凸面状の外殻が求められます。

データは n 次の単体により圧縮され、純粋な端成分が推定されます。

求められたこれらの端成分から、実際的な量を評価できるはずです(成分の値は正で総和が 1)。

スペクトルアンミキシングは、ハイパースペクトル解析という研究分野の中では

最も有望なものの一つです。AVIRIS データのためにすでに開発されている凸面

幾何的アプローチを使用した解析手順により、先験的な知識がなくてもさまざま

な物質(地質、植物、海洋)のための定量的な地図が得られています。アンミキ

シングによるアプローチをモデルベースのデータキャリブレーションや識別機能

と組み合わせることで、きわめて定量的でかつ自動化された解析方法が得られる

可能性があります。

27

アンミキシングの結果

この項では、前述の項で読み込んだ関心領域の平均値を使用し、最初の 10 個の

MNF バンドに適用することで、アンミキシングの結果をチェックします。その

後、ユーザ自身で選択した端成分セットを使用して、ユーザ自身でアンミキシン

グを行っていただきます。

アンミキシングの結果を開いて表示する

1. ファイル cup95unm.dat を開いてください。

2. Available Bands List ダイアログの Kaolinite のバンド名をクリックし

て Load Band をクリックし、Kaolinite の量の画像をロードしてくださ

い。明るい部分ほど存在量が多くなります。必要に応じ、コントラストス

トレッチングを使用して比較的値が大きい(推測量が多い)ものだけを表

示してください。

3. 1 つまたは複数のディスプレイに他の成分量の画像をロードして端成分の

分布を比較してください。

量を求める

1. Tools -> Cursor Location/Value を選択して、特定のピクセルの値を調

べてください。

2. 反射率データ、cup95eff.int のスペクトルの Z プロファイルを生成し、吸

収バンドの強度とさまざまな端成分の推定量を照合させてください。

カラー合成の表示

1. 3 つの良好なアンミキシング結果画像を選択して、RGB カラー合成を作成

してください。

2. 空間、スペクトル情報を使用して、アンミキシングの結果を評価してくだ

さい。

3. 部分端成分の RGB コンポジットの中の色について、ミキシングの観点か

ら説明してください。基本色(R、G、B) 以外のものもあることを確認し

てください。全ての部分において理論的に正しい結果が得られています

か?理論に合わない結果が得られた部分を確認してください(分数値が 1

より大きい、0 より小さいなど)。

4. RMS 誤差画像をチェックし、誤差が大きい部分(画像内の明るい部分)

28

がないか調べてください。繰り返しアンミキシングに使用できる端成分が

他にありますか?RMS 誤差画像に大きい誤差がないのに量が負になった

り 1.0 より大きくなるような結果が得られた場合、この矛盾をどのように

説明しますか?

29

MTMF(Mixture-Tuned Matched Filtering)に

よるミキシング

マッチドフィルタリングでは、既知の端成分の反応を最大にし、合成された未知

の背景の反応を抑制することで、既知のシグネチャとのマッチングを行いますの

で、すべての端成分を把握する必要がありません(Chen and Reed, 1987;

Stocker et al . , 1990; Yu et al . , 1993; Harsanyi and Chang, 1994)。この方

法では、特定のライブラリスペクトルや画像の端成分スペクトルとのマッチング

に基づいて特定の鉱物をすばやく検出することができます。この技法ではアンミ

キシングの場合と同様な画像が得られますが、計算量ははるかに尐なくて済む上、

すべての端成分を把握する必要がありません。ただ、1 つのピクセル内に存在す

る確率が低い(したがって背景の共分散にはあまり関係ない)物質がランダムに

一致してエラーを発生する頻度が高い点が問題です。

MTMF™(Mixture-Tuned Matched Filtering™)は、有名な信号処理方法と

線形ミキシング理論に基づく複合的な方法です(Boardman, 1998)。この方法

では、上記の(すべての端成分をわかっている必要がない)マッチドフィルタリ

ングと、ミキシング理論で要求される物理的な条件(与えられた任意のピクセル

のシグネチャがそのピクセルに含まれる個々の成分の線形結合になっているこ

と)とが組み合わされています。MTMF では、線形スペクトルミキシング理論を

使用することで、ミキシング結果を妥当な範囲に制約してエラーアラームの発生

頻度を低くしています(Boardman, 1998)。MTMF の結果は 2 つの画像群で表

現されます。一つの画像群は MF スコア(マッチドフィルタ画像)であり、0 ~

1.0 の値のグレースケール画像として表示され、基準スペクトルとの相対的な一

致度を評価することができます(1.0 は完全に一致することを示します)。もう一

つは不適正度画像であり、不適正度の値が大きいほど、複合背景とターゲットと

の間のミキシングが不適正であることを示します。マッチドフィルタリングのス

コアが大きく(1 に近く)、不適正のスコアが小さい(0 に近い)ほど、ターゲッ

トとの一致度が高くなります。

ユーザ自身による MTMF の実行

EFFORT と MNF によるデータの表示と比較

1. MNF 変換したデータ(MTMF にはこれが必要)を表示してください。

File-> Open Image File を選択し、入力ファイルとして cup95mnf.dat

を選択してください。Available Bands List ダイアログで RGB ラジオ

ボタンをクリックし、さらに MNF バンド 1、2、3 を順番に選択して

Load RGB をクリックしてください。

2. EFFORT データによるカラー合成を表示してください。File -> Open

Image File を選択し、cup95eff.int を選択してください。Available

Bands List ダ イアログで RGB ラジオボタンをクリックし、さらにバン

ド 183、193、207 を順番に選択し、Display プルダウンメニューから

New Display を選択して Load RGB をクリックしてください。

30

3. Tools -> Link -> Link Displays を使用して 2 つの画像をリンクしてく

ださい。Tools -> Link -> Dynamic Overlay off を選択して EFFORT

カラー画像のダイナミックオーバーレイをオフにしてください。

4. Tools -> Profiles -> Z Profile (Spectrum) を使用して各データセットの

スペクトルプロファイル処理を開始してください。EFFORT 画像内でカ

ーソルを移動し、2 組のスペクトルプロファイルを確認してください。

MNF スペクトルでは鉱物を識別できないことに注目してください。

MTMF に使用する MNF 端成分スペクトルの収集

1. メインイメージウィンドウから Window -> Start New Plot Window を

選択してください。プロットウィンドウから File -> Input Data ->

ASCII を選択 し、ファイル cup95_em.asc を選択してください。Input

ASCII File ダイア ログで OK をクリックして EFFORT スペクトルをプ

ロットしてください。

2. Window -> Start New Plot Window を選択してください。プロットウ

ィンドウから File -> Input Data -> ASCII を選択し、ファイル

cup95_mnfem.asc を選択してください。Input ASCII File ダイアログ

で OK をクリックして MNF スペクトルをプロットしてください。

3. EFFORT と MNF によるスペクトルを比較してください。MTMF マッピ

ングを行うには、MNF スペクトルを MNF データとともに使用してくだ

さい。

MTMF 画像の計算

1. Spectral -> Mapping Methods -> Mixture Tuned Matched Filtering

を選択してください。ファイル cup95mnf.dat をクリックし、OK をクリ

ックしてください。

2. Endmember Collection ダイアログで Import -> From ASCII File を

選択し、入力ファイルとして cup95_mnfem.asc(MNF 変換された端成

分スペクトル)を選択してください。

3. Input ASCII File ダイアログで OK をクリックし、端成分をロードして

ください。

4. Endmember Collection ダイアログ下部の Apply をクリックしてくださ

い。 MTMF Parameters ダイアログで MTMF 統計量と MTMF 画像用

の出力ファイル名を入力して OK をクリックしてください(容易に比較で

きるよう、結果をあらかじめ計算したものが Resource DVD に

cup95_mtmf.img ファイルとして入っています)。

新しいファイルと全てのバンドが Available Bands List に表示されます。

31

MTMF による結果の表示

1. Available Bands List から、マッチドフィルタによるスコアのバンドを

グレースケール画像としてロードしてください。

2. 対話的なストレッチを使用して量を 0.0 から 0.25 にストレッチし、さま

ざまな端成分のピクセル分布を調べてください。エラーアラーム(分散ピ

クセル)が最も尐なくなるよう、他のさまざまなストレッチを試してくだ

さい。

3. Available Bands List ダイアログで RGB ラジオボタンをクリックし、

Kaolinite(高陵石)、Alunite(明礬石)、Buddingtonite の MF 画像を

順番にクリックし、Load RGB をクリックして MF スコアのカラー合成

を表示してください(図 16)。これは MF のみを使用したカラー合成であ

り、Kaolinite(高陵石)は赤、Alunite(明礬石)は緑、Buddingtonite

は青で表示されています。これはかなり良好な地図画像ですが、明らかな

エラーアラームがたくさんあります(各ピクセルに色があります)。

図 16:Kaolinite(高陵石)、Alunite(明礬石)、Buddingtonite の MTMF による

結果の画像(MF スコアのみ)(RGB)

これは MF のみを使用したカラー合成であり、Kaolinite(高陵石)は赤、

Alunite(明礬石)は緑、Buddingtonite は青で表示されています。これはかな

り良好な解析画像ですが、明らかなエラーがたくさんあります(各ピクセルが色

付けされてしまっています)。

32

MF スコアと不適正度のスキャッタプロットの表示

1. Gray Scale ラジオボタンをクリックし、該当するバンドを選択して Load

Band をクリックし、EFFORT バンド 193 のグレースケールを表示して

ください。

2. メインイメージウィンドウのメニューバーから Tools -> 2-D Scatter

Plots を選択し、Buddingtonite の MF スコアと Buddingtonite の不適

正度のスキャッタプロットを表示してください。MF スコアが高く不適正

度が低いピクセルをすべて円で囲んでください(図 17)。MTMF では選択

性が高いことに注目してください。この方法を使用すると、任意の端成分

だけがかなり良好に選択されるためエラーがきわめて尐なくなっています。

図 17:Buddingtonite の端成分の MF スコアと不適正度の 2 次元スキャッタプロット

3. 現在開いているスキャッタプロットウィンドウから File -> New Scatter

Plot を使用して、他の端成分のスキャッタプロット処理を起動してくださ

い。各スキャッタプロットウィンドウ内で Options -> Export Class を

選択し、個々の鉱物を示す関心領域を作成してください(図 18)。

33

図 18:Kaolinite(高陵石)、Alunite(明礬石)、Buddingtonite の

MTMF マッピングの結果を AVIRIS バンド 193 に重ねた様子

4. MTMF による結果を、MF によるカラー合成、MNF データ、EFFORT

データと比較してください。線形スペクトルアンミキシングの結果とも比

較してください。

5. MTMF 結果ウィンドウと EFFORT 画像ウィンドウをリンクしてスペク

トルを確認し、これらを端成分スペクトル、MTMF 画像、関心領域、スキ

ャッタプロットと比較してください。EFFORT データからスペクトルを

抽出し、MTMF マッピングの結果を確認してください。

ENVI セッションの終了

ENVI セッションを終了するには、ENVI メインメニューから File -> Exit

(UNIX では Quit)を選択し、さらに OK をクリックして IDL を終了します。

ENVI RT をご使用の場合は、ENVI を終了するとオペレーティングシステムに

戻ります。

34

参考文献

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