廃棄プラスチックからの 高性能ペレット作成リサイクル技術 …...3 18.4 200...

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廃棄プラスチックからの 高性能ペレット作成リサイクル技術 福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 八尾 助教 中野 涼子 博士後期課程3年 冨永 亜矢 平成29(2017)年6月6日(火)

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廃棄プラスチックからの高性能ペレット作成リサイクル技術

廃棄プラスチックからの高性能ペレット作成リサイクル技術

福岡大学 工学部 化学システム工学科

教授 八尾 滋

助教 中野 涼子

博士後期課程3年 冨永 亜矢

平成29(2017)年6月6日(火)

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マテリアルリサイクルの加速

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2017年1月31日 化学工業日報

プラスチックのマテリアルリサイクルに関する関心が非常に高まっている

2016年1月13日 化学工業日報

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各種リサイクルの適用比率

4

リサイクル比率はこの10年以上、全く変化していない

一般社団法人 プラスチック利用循環協会より作成

LCA的観点からもマテリアルリサイクル比率を高める必要がある

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何故マテリアルリサイクルが進展しないのか1.廃棄プラスチックは化学劣化している

→ 化学劣化は再生が不可能である

バージンペレット リサイクルペレット

2.異種高分子・異物が混在している

→ 分離・純化は非常に困難

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何故マテリアルリサイクルが進展しないのか1.廃棄プラスチックは化学劣化している

→ 化学劣化は再生が不可能である

バージンペレット リサイクルペレット

2.異種高分子・異物が混在している

→ 分離・純化は非常に困難マテリアルリサイクルにより物性を再生することは不可能

現在の常識

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7Copyright (C) Fukuoka University All Right Reserved

分子物性が同じモデルリサイクル樹脂での検討結果

VPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Slow-cool

VPP:virgin polypropylene, Pre-RPP:pre-consumer recycle polypropylene

化学劣化していなくても、成形履歴があると物性は悪化する

物性低下の主要因は化学劣化ではなく物理劣化である

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8Copyright (C) Fukuoka University All Right Reserved

分子物性が同じモデルリサイクル樹脂での検討結果

VPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 10min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Quench

Pre-RPP 250℃ 10min Quench

VPP:virgin polypropylene, Pre-RPP:pre-consumer recycle polypropylene

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9Copyright (C) Fukuoka University All Right Reserved

VPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 10min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Quench

Pre-RPP 250℃ 10min Quench

VPP:virgin polypropylene, Pre-RPP:pre-consumer recycle polypropylene

分子物性が同じモデルリサイクル樹脂での検討結果

バージン並み、それ以上に再生できる

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Pre-RPP 210℃ 2min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 10min Slow-cool

Pre-RPP 210℃ 2min Quench

Pre-RPP 250℃ 10min Quench

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リサイクル樹脂の物性低下の原因は物理劣化であり、成形条件の最適化により物理再生することが可能

(再現性:確認済み)

分子物性が同じモデルリサイクル樹脂での検討結果

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(株)エコスファクトリーにより提供された廃棄容器包装リサイクル樹脂のペレットとそのDSC曲線

実容器包装リサイクル樹脂への応用PP選別樹脂の場合

125ºC

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(a) 230 ºC 10min SC (b) 230 ºC 10min Quench

引張試験によって得られた応力-ひずみ曲線

成形条件最適化により、ほぼバージンPPと同様の応力-ひずみ挙動を再現するようになる

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(a) 230ºC 10min SC、(b) 230ºC 10min Quench

(a)

(b)

引張試験後の試験片および破断面の写真

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180ºC 2min SC

180ºC 2min Q

その他の樹脂の成形条件最適化の結果

選別PE

180ºC 2min SC

180ºC 2min Q

非選別PP/PE混合系

樹脂種、選別・非選別に関わらず、成形条件の最適化で物性は大きく向上する

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適用範囲の拡張への取り組み:ペレット化条件の最適化

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3.9

4

4.1

4.2

4.3

4.4

4.5

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

140.0

150.0

160.0

170.0

180.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

Izod衝撃強さ 伸張伸び

Sample No.

伸張伸び

(mm)

Izod

衝撃強さ

(KJ/mm

2)

容器包装リサイクル樹脂試験片のペレット混錬条件依存性

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試料番号 水温(℃)造粒温度

(℃)引取り回転

数スクリュー

回転数

1 16.3 200 90 200

2 9.8 200 90 200

3 18.4 200 45 200

4 10.1 200 45 200

5 14.6 200 90 100

6 2.7 200 90 100

7 16.2 200 45 100

8 6.3 200 45 100

9 17.1 230 90 200

10 7.9 230 90 200

11 16.3 230 45 200

12 13.1 230 45 200

13 14.3 230 90 100

14 4.9 230 90 100

15 15.9 230 45 100

16 6.4 230 45 100

実機を用いた㈱エコフィールとの共同実験結果

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3.9

4

4.1

4.2

4.3

4.4

4.5

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

140.0

150.0

160.0

170.0

180.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

Izod衝撃強さ 伸張伸び

Sample No.

伸張伸び

(mm)

Izod

衝撃強さ

(KJ/mm

2)

容器包装リサイクル樹脂試験片のペレット混錬条件依存性

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試料番号 水温(℃)造粒温度

(℃)引取り回転

数スクリュー

回転数

1 16.3 200 90 200

2 9.8 200 90 200

3 18.4 200 45 200

4 10.1 200 45 200

5 14.6 200 90 100

6 2.7 200 90 100

7 16.2 200 45 100

8 6.3 200 45 100

9 17.1 230 90 200

10 7.9 230 90 200

11 16.3 230 45 200

12 13.1 230 45 200

13 14.3 230 90 100

14 4.9 230 90 100

15 15.9 230 45 100

16 6.4 230 45 100

伸び、Izodともに、混錬温度が高いほうが物性値が良好

実機を用いた㈱エコフィールとの共同実験結果

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3.9

4

4.1

4.2

4.3

4.4

4.5

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

140.0

150.0

160.0

170.0

180.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

Izod衝撃強さ 伸張伸び

Sample No.

伸張伸び

(mm)

Izod

衝撃強さ

(KJ/mm

2)

容器包装リサイクル樹脂試験片のペレット混錬条件依存性

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試料番号 水温(℃)造粒温度

(℃)引取り回転

数スクリュー

回転数

1 16.3 200 90 200

2 9.8 200 90 200

3 18.4 200 45 200

4 10.1 200 45 200

5 14.6 200 90 100

6 2.7 200 90 100

7 16.2 200 45 100

8 6.3 200 45 100

9 17.1 230 90 200

10 7.9 230 90 200

11 16.3 230 45 200

12 13.1 230 45 200

13 14.3 230 90 100

14 4.9 230 90 100

15 15.9 230 45 100

16 6.4 230 45 100

スクリュー回転数が低いほうがIzod物性値が良好

これまでの研究結果を反映

実機を用いた㈱エコフィールとの共同実験結果

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モデル樹脂および実容器包装リサイクル樹脂での結果から

が、力学的に良好なプレス成形品を作り出すことに有利

さらにペレタイザーを改良し、溶融樹脂溜まりおよび氷温急冷を実施

通常のペレタイザー 溶融樹脂溜まりを設けたペレタイザー

長時間溶融状態に保持すること ← ペレタイズにも有効

急冷処理を行うこと

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2015年7月28日、29日 ㈱エコフィールでの試作実験の様子

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液体窒素を用いた冷却管による急冷ペレット試作

溶融樹脂溜まり部を追加した2軸押し出し機の試作

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ペレタイズ条件と射出成形品の引張伸び性能

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混錬温度スクリュー

回転数水温 通常形状

樹脂溜まり

200 100 室温 ① ①-D

200 200 室温 ② ②-D

230 100 室温 ③ ③-D

230 200 室温 ④ ④-D

250 100 室温 ⑤ ⑤-D

250 200 室温 ⑥ ⑥-D

200 100 氷冷 ⑦ ⑦-D

200 200 氷冷 ⑧ ⑧-D

230 100 氷冷 ⑨ ⑨-D

230 200 氷冷 ⑩ ⑩-D

250 100 氷冷 ⑪ ⑪-D

250 200 氷冷 ⑫ ⑫-D0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

①-D ②-D ③-D ④-D ⑤-D ⑥-D ⑦-D ⑧-D ⑨-D ⑩-D ⑪-D ⑫-D

通常引張伸び 樹脂溜まり引張伸び

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ペレタイズ条件と射出成形品の引張伸び性能

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室温冷却、氷温冷却のどちらでも、溶融樹脂溜まりがある方が物性が良い

混錬温度スクリュー

回転数水温 通常形状

樹脂溜まり

200 100 室温 ① ①-D

200 200 室温 ② ②-D

230 100 室温 ③ ③-D

230 200 室温 ④ ④-D

250 100 室温 ⑤ ⑤-D

250 200 室温 ⑥ ⑥-D

200 100 氷冷 ⑦ ⑦-D

200 200 氷冷 ⑧ ⑧-D

230 100 氷冷 ⑨ ⑨-D

230 200 氷冷 ⑩ ⑩-D

250 100 氷冷 ⑪ ⑪-D

250 200 氷冷 ⑫ ⑫-D0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

①-D ②-D ③-D ④-D ⑤-D ⑥-D ⑦-D ⑧-D ⑨-D ⑩-D ⑪-D ⑫-D

通常引張伸び 樹脂溜まり引張伸び

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混錬温度スクリュー

回転数水温 通常形状

樹脂溜まり

200 100 室温 ① ①-D

200 200 室温 ② ②-D

230 100 室温 ③ ③-D

230 200 室温 ④ ④-D

250 100 室温 ⑤ ⑤-D

250 200 室温 ⑥ ⑥-D

200 100 氷冷 ⑦ ⑦-D

200 200 氷冷 ⑧ ⑧-D

230 100 氷冷 ⑨ ⑨-D

230 200 氷冷 ⑩ ⑩-D

250 100 氷冷 ⑪ ⑪-D

250 200 氷冷 ⑫ ⑫-D0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

①-D ②-D ③-D ④-D ⑤-D ⑥-D ⑦-D ⑧-D ⑨-D ⑩-D ⑪-D ⑫-D

通常引張伸び 樹脂溜まり引張伸び

氷温冷却では特に効果が著しく、また物性の安定性が増している

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PP選別品での最新検討結果

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120.00

130.00

140.00

150.00

160.00

170.00

180.00

190.00

200.00

横軸は、温度-スクリュー回転数-引取速度緑色は元のペレット、青は樹脂溜まり無し、えんじ色は樹脂溜まり有り

樹脂溜まりは安定した結果を与える

破断

伸び

(mm

)

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まとめ

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廃棄プラスチックは成形履歴などによる物理劣化により物性が低下している

従って、成形法などを最適化する物理的手法で物性再生が可能である

成形法だけでなく、ペレタイズ条件・装置によっても成形品の物性は大きく変化する

従って、ペレタイズ条件(運転および装置)の最適値を見出すことにより、多くの成形法に対応できるリサイクルペレットの生産が可能である

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国内外学会でのポスター賞受賞

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2015年3月化学工学会

2015年6月Polymer Processing Society

2016年9月プラスチックリサイクル

化学研究会

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本技術に関する知的財産権・発明の名称:リサイクルポリオレフィンを含有する熱可塑性

樹脂組成物の再生方法

出願番号:特願2014-177310

出願人 :福岡大学、広島リサイクルセンター

発明者 :八尾滋、中野涼子、冨永亜矢、石黒桂二

・発明の名称:樹脂組成物成形機および樹脂組成物の成形方法

出願番号:特願2016-032280

出願人 :福岡大学、広島リサイクルセンター

発明者 :八尾滋、中野涼子、冨永亜矢、竹中希美、石黒桂二

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産学連携の経歴

2014年 : 環境省環境研究総合推進費に採択

「高性能・高耐久性リサイクルプラスチック創製のための再生技術に関する基礎研究」

3ヶ年(約5,700万円)

2017年 : 平成29 年度環境研究総合推進費新規課題に採択

「廃プラスチックの高付加価値化リサイクル技術創製および実用化研究(3-1705)」

3ヶ年(約8,700万円)

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今後の展開

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企業への期待

• マテリアルリサイクルの高度化を実現する、高性能ペレットの生産技術確立への協力

• 上記高性能ペレットを用いた高付加価値品成形技術探索への協力

• 廃棄プラスチックの物性が再生不可能なものではなく、最適化によりバージン並みになるという認識の再構築

• 「使いこなし」という発想での積極的な利用促進

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お問い合わせ先

福岡大学 研究推進部 産学官連携センタ―

担当コーディネーター 北井 三正

TEL 092-871-6631(内線 2803)

FAX 092-866-2308

e-mail [email protected]

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