スマートデバイス向け開発基盤構築事例 日立金属株式会社 · 2017-12-26 ·...

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特色ある高級金属製品を製造している日立金属株式会社安来工場(以下、日立金属安来工場)。日本最古の製鉄技術と言われる

「たたら」の伝統技術を継承しつつ、最新技術の導入やITを活用した業務改革にも先進的に取り組まれています。

このたび、製造現場でのスマートデバイス(※1)導入に向けた開発基盤を構築し、業務アプリケーションを試作・検証されました。その

経緯と今後の展望について、日立金属安来工場 工場長室 システム課長の喜田 憲幸 様にお聞きしました。

「企業の継続的な競争力強化のため、スマートデバイスの活用は必要不可欠であり、その具体的な検討を進めるべく開発基盤構築を行いました。スマートデバイスは単なる製造現場での作業性向上にとどまらず、製品の付加価値向上のために活用できると感じています。」

※1 スマートフォンやタブレットの総称。Web・文書閲覧、ネットワーク通信、アプリケーションによる処理など様々な用途が可能な高機能端末。

■ 日立金属安来工場について

― 日立金属安来工場の事業内容について教えてください。

 日立金属安来工場では「YSSヤスキハガネ」と呼ばれる特殊鋼を製造して

います。具体的には、刃物鋼、工具鋼、自動車や航空機のエンジン部材、スマー

トフォン母材金属やICリードフレーム等のエレクトロニクス材等です。長い歴史

の中で蓄積された知見を集約した、高度かつ精密な製鋼プロセス、圧延プロセ

スによって製造管理を行っており、その高い品質がお客様に支持されています。

― システム部門の役割について教えてください。

 日立金属ではカンパニー制をとっており、安来工場は高級金属カンパニーの中

で最も大きな工場となります。システム部門は安来工場へ集約しており、安来工

場以外の吹田、鹿児島の工場システムも管理しています。また、海外の中国・韓国・

タイ・台湾・シンガポールといった拠点の

システムも安来工場の仕組みをモデルと

して作成し一元管理・運用を行っています。

 システムが導入されていれば、ある

程度の個別最適はされていますが、全

体で見るとバランスの取れていない事

は多いです。企業の中では、視点をより

広くより大きくし全体最適化をすること

が重要視されています。このためには、統一化、標準化の視点は非常に重要です。

 運用部門はどうしても細かい処理が必要であり、全体よりも問題点に注力

をしてしまうことが多い。反対にシステム部門は全体バランスや流れに注力を

しています。新しい考え方や運用はシステム部門から提案をすることが多く、

新しい運用の先導者という役割もあると考えています。

スマートデバイス向け開発基盤構築事例

日立金属株式会社

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■スマートデバイス開発基盤構築の経緯と目的

― スマートデバイスの活用検討をされたきっかけを教えてください。

 ここ数年のスマートデバイスの性能向上は目を見張るものがあります。

端末が多機能化し、従来からのメリットであった携帯性に加えて汎用性が格

段に向上したこともあり、ぜひ業務活用ができないかと模索していました。

 端末に付属するデバイス機能も豊富であり活用用途も無限に広がります。

 たとえば不具合情報を伝えるにはイメー

ジ情報は絶対的な効果がありますが、これま

では、写真を送ろうと思ってもパソコン経由

でなければ情報を取り込めず、汎用的な仕

組みづくりを断念していました。スマートデ

バイスがあれば、発見した時点で写真を撮

ることが可能です。常に携帯しているので、

やりたい時に直ぐにやれる。これは、動きの

無駄、時間の無駄を一挙に解決してくれます。

 高機能部品を作っている当社では、製品

個別に作業要領が異なることが多いです。

作業要領書は印刷物だとファイルに何冊にもなりとても持ち歩く事はでき

ませんが、電子辞書サイズであれば持ち歩く事ができます。確認したい時

に直ぐに確認できる事は目には見えませんが大きなメリットです。また、基

準改定時もデジタルデータなので、瞬時に入れ替えを行うことができ手間

もかからず、今までのような差し替え管理台帳も不要です。

 このように、スマートデバイスは、その使い方によって沢山の価値が潜ん

でいます。これらを、運用とは違う視点で見つけ出すのはシステム部門の役

割と考えています。

 これらの活用案を実用化していくためには、当社基幹システムと連動す

る機能が必要となりますが、日進月歩で進歩していくスマートデバイス関連

技術は、自社のシステム部門だけで追従していくのは非常に困難でした。一

方、ベンダーに丸投げで開発をすることは簡単ですが、「保守~運用~改

善」もベンダーに一任させることは将来的には得策ではありません。長期

的な運用を考慮し、基本的に保守は工場に継続して勤務する人にお願いす

るのが、柔軟な対応も可能でありメリットがあると考えています。

― スマートデバイス開発基盤構築プロジェクトへの参画に  JFEシステムズを選ばれたのはなぜですか。

 JFEシステムズには、2002年に原価管理システム(J-CCOREs)の導

入を契機として、その後、リードタイム短縮プロジェクト、成績表システム

(品質保証管理)の開発を担当していただき、2011年からは生産管理シス

テム刷新プロジェクトに参画してもらっています。

 このような背景を基に、最新技術への知見、会社としての総合技術力、組

織力などを評価してスマートデバイス開発基盤構築プロジェクトへの参画

をJFEシステムズへ依頼しました。

■ 開発方針

― 開発方針について教えてください。

 自社内で柔軟に変更や改善ができるように、既に存在する自社の基盤上

に開発基盤を構築しました。特に重要な基幹システムとのデータ連係部分

などは、既存の仕組みを活かした開発を行っています。

■基幹システムと連携させるスマートデバイス通信基盤

― 通信基盤を構築される際に留意された点を教えてください。

 スマートデバイス通信基盤の構築では、連携プログラムと基幹システムを

疎結合させることで汎用性を高めるとともに、データ欠損を防いでいます。

 この分野ではOSのバージョン間での互換性が必ずしも保証されていな

いのが現状です。基幹システムとの連携部分を密結合で開発してしまうと、

スマートデバイス上のソフトウェアバージョンアップや機器の更新時にプロ

グラム改修などの影響がシステム全体に及んでしまう危険性があります。

それを避けるため連携部分は疎結合し、採用技術は継続性(継承性)を重要

視しました。

 また、工場区域は広大なため、全域で無線LANを配備するのはセキュリ

ティやコスト面から難しいのが現状です。当社での取り扱い製品は鉄鋼で

すから、鉄の影では電波も遮られてしまいます。そこで、基幹システムや

ファイルサーバとの通信範囲を限定し、製造現場でのデバイス操作はオフ

ライン(非同期)とすることで業務の継続性を担保しました。移動のたびに

ハングアップしていては作業が進められませんから。

スマデバ スマデバ連携サーバ

基幹システム連携サーバ 基幹システム

ユーザーの目に触れる部分

スマデバとのデータ連携

基幹システムとのデータ連携

データの一貫保証

無線LAN

スマデバ連携PG

基幹連携PG

汎用機(AS400)

ファイルサーバ

連携DB

概念図

※スマデバ:スマートデバイス

「ものすごく価値があるがまだ形が見えないもの」それを形にしてユーザーに提供するのがシステム部門の役目だと思っています。(喜田氏)

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日立金属株式会社スマートデバイス向け開発基盤構築事例

■製造現場でのリアルタイム報告を想定した試作アプリケーション

― 今回のプロジェクトで試作したスマートデバイス向け  アプリケーションを紹介してください。

  刻印撮影アプリケーション

 工場内の現品の移動や加工など様々な作業を行う際に、現品刻印

をスマートデバイスのカメラで撮影、刻印画像データを品質記録とし

てファイルサーバ上に即時登録するアプリケーション。

 現場作業者の登録作業の軽減と業務効率向上を支援します。

  作業要領書持ち出しアプリケーション

 膨大な量の作業要領書を,スマートデバイスへダウンロードし、現場

で検索・閲覧できるアプリケーション。

  ハンディ端末をスマートデバイスへ置き換え

 原料部門等で使用しているハンディ端末の専用プログラムを汎用性

の高いプログラム(システム)へ置き換えることで保守運用コストの削

減を計ります。

 また、よく使う機能などを「お気に入り」化するなど入力支援機能を

付加することで入力作業の効率化を支援します。

■ユーザビリティへのこだわり

 アプリケーションのユーザインターフェース設計は非常にこだわり

ました。シンプルで使いやすいことが一番です。入力工数=コストと

考え、極限までタップ数を減らすことを追求しました。選択画面では、

スクロールやプルダウンは使用せず、ワンタッチで完了するタイルメ

ニューを採用しました。

 さらに、製造現場でも素早く入力ができるように、人間工学視点の設

計も盛り込みました。片手で操作するための、加速度センサー(※2)で

のメニュー表示制御、並びに、親指の可動範囲内だけで選択できるスラ

イサーメニューを開発しています。

 また、工場内で使用している専用端末画面のナビゲーションルールや現

場ユーザーの声を反映し、初めてスマートデバイスを手にするユーザーで

も使いやすい画面設計を意識しました。

※2 スマートデバイスを持つ人の手の傾きや動きを検知するセンサー

※イメージ画像

タイルメニュー

スライサーメニュー

■開発期間

― 開発の進捗はいかがでしたか。

 2013年11月、スマートデバイス開発基盤構築プロジェクトがスタート

しました。事前検証から業務アプリケーション・通信基盤構築までの開発期

間は約4カ月です。

 当時は生産管理システム刷新プロジェクト対応でJFEシステムズの開発

メンバーは工場内に常駐していたので、Face To Faceでコミュニケー

ションが取れる環境にありましたし、業務アプリケーションの試作フェーズ

では、現場ユーザーにも参画して貰いアイデアを具現化していきました。

■今後の展望

― 今後のスマートデバイス活用の展望をお聞かせください。

 今回の開発基盤構築によってスマートデバイスと基幹システムを連携す

る環境が整い、「引き出し」が増えました。JFEシステムズに試作していただ

いた3つの試作アプリケーションは現場からも好評価が貰え、今夏には本

格導入する予定です。

 その他にも、工場内での現品照合などで活用の場があると思いますが、

現状当社ではスマートデバイスに対応する非接触タグ(IC、NFC、RFID)や

バーコードの整備が未対応です。今後活用できる環境が整えば、現在、生産

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管理で使用している現場端末約1000台のうち、3割以上はスマートデバ

イスに置き換わっていくかもしれません。

 当社出荷製品にスマートデバイスに対応するタグやバーコードが整備さ

れれば、入荷先(取引先)においてもスマートデバイスをご利用いただき、入

荷情報の2重入力などを最小化することができると考えています。ネット

ワークがなくても会社間を超えたデータ連携システムを構築することで、

製品品質以上の価値が生み出せると考えています。将来的にはグループ各

社へも水平展開できればと考えています。

 発想次第でさまざまな活用の可能性がありますね。

■ JFEシステムズへの評価

― JFEシステムズへの評価をお聞かせください。

 これまでのプロジェクト対応や日々のコミュニケーションのなかで感じて

いるのは、JFEシステムズは私たちの要望を100%汲み取ってくれる分析

力・提案力が素晴らしいということです。

 現場のユーザーがやりたい事とシステムでできる事にはどうしても隙間が

あります。そこを無視して開発を進めればオーバヘッドが発生してコスト増の

原因になりかねません。JFEシステムズはその隙間をうまく埋めてくれます。

 また、私達の様々なアイデアに対しても、それを実現するためのプロセス

を提案できる力があるということは、それだけ持っている技術の裾野が広

いということだと思います。

 ここまでできるベンダーはなかなかありません。今後ともサポートをお

願いします。

お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。

■ JFEシステムズ開発担当者より

 今回、JFEシステムズでは、スマートデバイス(Android端末)の最新技

術に適用するため、総合力を活かした開発を進めました。窓口である製造

流通ソリューション事業部が全体設計・アプリケーション仕様設計・開発を行

いつつ、データ連携部設計・開発では開発企画部、UX・スマートデバイス応

用技術ではコンテンツ技術部が後方支援を行いました。

 喜田様のアイデアを具体化し成果として残すために、何もないところか

ら1を生み出すのか私たちの使命です。1から10へは自由に成長進化して

いただけるよう、お客様自身での継続性を重視した開発を行っています。今

後も様々な側面から日立金属安来工場の最適化に貢献いたします。

スマートデバイス向け開発基盤構築事例 日立金属株式会社

03-5418-2424

[email protected]://www.jfe-systems.com

〒105-0023 東京都港区芝浦一丁目2番3号(シーバンスS館)