新たなるビジネスモデルを目指して ~...~...

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1 太陽光発電の主力電源化 新たなるビジネスモデルを目指して 2019320京都大学 国際イノベーション棟 一般社団法人 太陽光発電協会 増川武昭 太陽光発電協会と京都大学による共催シンポジウム

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太陽光発電の主力電源化~ 新たなるビジネスモデルを目指して ~

2019年3月20日京都大学 国際イノベーション棟

一般社団法人 太陽光発電協会増川武昭

太陽光発電協会と京都大学による共催シンポジウム

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10kW未満10kW未満リプレース1MW未満1MW未満リプレース1MW以上1MWリプレース

GW(百万kW)

日本全体のピーク需要(夏季)

太陽光発電協会による国内累積稼働量見通しPV OUTLOOK 2050:GHG80%削減を視野に

2030年100GW

2050年200GW

2018年度末約50GW(推定)

交流(AC)

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国内導入量 2050年 200GW:世界標準からは見劣りする国際エネルギー機関(IEA)や国際的な石油会社であるShellのシナリオと比較すると、JPEAのPV OUTLOOK 2050の導入量(電源構成に占める太陽光発電の割合)は控えめな見通しとなっている。

*1)太陽光発電協会のPV OUTLOOK 2050より*2) IEA WEO:IEAによるWorld Energy Outlook 2017のSustainable Development Scenarioより世界平均を算出*3) ShellのSkyシナリオ(世界の平均気温を2度C未満に抑えるためのシナリオ)より世界平均を算出

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電源構成(kWh)に占める太陽光発電の比率

全世界:Shell Skyシナリオ*3)

全世界:IEA WEO2020 持続可能シナリオ*2)

全世界:IEA WEO2018 新政策シナリオ*2)

全世界:IEA WEO2018 現行政策シナリオ*2)

日本:太陽光発電協会*1)

日本:エネルギー基本計画

太陽光発電協会日本

エネルギー基本計画日本

IEA World Energy OUTLOOK – 世界平均

Shell Sky シナリオ世界平均

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4化学経済(化学工業日報社)2016年12月号掲載論文より

これからFIT認定される太陽光は便益が負担を上回る!?

Benefits

Costs

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コスト競争力の向上⇒ FIT価格の低減⇒ 国民負担の軽減

固定買取(FIT)価格と電気料金・スポット価格の比較(消費税を除く)

■住宅用は家庭用電力料金を下回り、2019年11月以降は順次FITを卒業。■非住宅(500kW未満)は業務用電力料金と競争できるレベルに到達。500kW以上は入札制度に移行。

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2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度

¥/kWh(税抜き)

住宅用太陽光(10kW未満)※1

事業用太陽光(10kW以上(500kW未満))※2

陸上風力

住宅用電力量料金(東電スタンダートプラン、120kWh~300kWh)

業務用高圧電力量料金(東電業務用高圧,その他期)

卸電力スポット価格(前日 Day Time)

太陽光FIT価格住宅用

太陽光FIT価格非住宅

卸電力スポット価格

家庭用電力量料金

業務用電力量料金 目標買い取価格8.5円/kWh

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自立した主力電源になるためのチャレンジ

民:コスト競争力の向上に加え、ビジネスモデルの転換が求められる官:ビジネスモデルの転換を促進し、系統制約を克服するための政策が

求められる

価値創出 系統制約の克服

地域との共生

コスト競争力の向上

主力電源として2050年迄に国内稼働量 200GWを達成するには

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設置場所 自家消費主体か系統利用主体か

設備所有形態 FIT/証書等の活用 需要家のメリット

On-site型需要場所設置(屋根・敷地内)

・自家消費主体・自家消費・系統利用併用

・供給者所有(含むSPC)

・第三者所有・需要家所有

・余剰電力FIT売電・余剰電力非FIT売電・自家消費電力の再エネ価値活用

・送配電コスト・賦課金の削減(自家消費分)

・省エネの推進(自家消費分)

・CO2削減・RE100の達成・電力コスト高騰リスクの回避

Off-site 需要地近接型・自営線・共用受変電設備・営農型

・自家消費主体(自営線)

・自家消費・系統利用併用(自営線)

・系統利用主体

・供給者所有(含むSPC)

・第三者所有・需要家所有

・余剰電力FIT売電・余剰電力非FIT売電・自家消費電力の再エネ価値活用

Off-site 需要地遠隔型

・系統利用 ・供給者所有(含むSPC)

・第三者所有・需要家所有

・FIT売電(非化石価値証書等を付加)

・非FIT売電(再エネ価値付き)

・CO2削減・RE100の達成・電力コスト高騰リスクの回避

ビジネスモデルの転換:需給一体型への転換(3類型)

欧州では再エネ事業者から直接再エネ電気を購入するCorporate PPA(Power Purchase Agreement)が近年普及している。欧州における2018年のCorporate PPAの成約容量は1.9GW(出所 RE-Source).

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ビジネスモデルの転換:セクターカップリング(分野連結)

電力供給のCO2フリー化(脱炭素化)

運輸部門の電動化

熱利用の電化

政策誘導+市場メカニズム

シナジー効果

需要側と供給側が一体となって「脱炭素化」「エネルギー利用効率と自給率の大幅な向上」

を同時達成

乗用車、路線バスの電動化は既に始まっている。貨物トラック等は非接触充電やバッテリー技術の革新によって電動化が進む。

家庭、業務、産業部門における熱利用を燃焼から高効率なヒートポンプ蓄熱方式に

再エネのコスト競争力向上により、電力供給のCO2フリー化が最も費用対効果の高い供給側対策に。

需要側に設置し自家消費電力をCO2フリー化。需要側が直接メリットを享受でき送電ロスの削減にも貢献。

<需要側対策>

<需要側対策><需要側対策>

<供給側対策>

■電力供給、熱利用、運輸の3つのセクターにおいて高効率化と脱炭素化を一体的に推進。■再エネ由来電気の需要が増大し、同時に出力変動を吸収する蓄エネ能力が飛躍的に向上。■需要側のありとあらゆる場所に設置できる太陽光発電は、セクターカップリング推進の要となり得る。

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FITからの自立・電力市場への統合に向けた制度的課題

2012年からの約10年はFITが大量導入を強力に牽引年間導入量(Annual capacity additions)5GW to 10GW

2020年代半ば頃からFITの役割が変わる?• FITは強力な牽引力から補助的な牽引力、或はセーフティーネット

的な役割に? 課題はFIT以外の牽引役をどう育てるか(制度・ビジネス両面で)

・需給一体型・自家消費モデルの推進・ZEB・ZEHの推進・セクターカップリング(電力化)の推進・Corporte PPAモデル・第三者保有モデル等の推進・非化石価値・環境価値の活用推進

FIT

FIT

2050年までに200GWを達成するには少なくとも年間5GWの導入を維持する必要がある。

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系統アクセス・Connect & Manageにおける先着優先ルールの見直し• 既存電源の既得権が保護され、競争力の高い新規電源導入の妨げになっていなか• 競争力の高いNon-firm電源を排除することにならないか

託送料金制度の抜本的見直し:• 現行制度は分散電源・需要側リソース活用の普及を後押しする制度になっていない• ストックベースの発電側課金(2021年頃に導入)は再エネにとって大きな負担。フローベースの課金制度も検討すべき。

再エネの調整力を活用するためのGrid CodeやBalancing Marketの整備 再エネの大量導入と分散電源・需要側リソースの最大活用を前提とした、将来の送配電ネットワークのグランドデザインの早期策定

今後検討されるべき制度的課題

再エネの大量導入には系統制約の解消と電力NWへの統合がが不可欠1)送電線の空き容量が不足している問題への対応:日本版コネクト&マネージ等の導入2)需給バランスを保つための出力制御リスクの最小化:地域間連系線の最大活用等3)変動性再エネの大量導入に必要な調整力を再エネ自らの調整力と需要側リソースの

活用によりコスト効率的に確保するための環境整備・制度的支援

系統制約の克服・電力NWとの統合を実現するための制度的課題

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九州電力管内における11月4日(日曜日)の電力使用状況(九州電力のHPより)9時~16時の間、太陽光発電の出力92万kW(前日計画121万kW)を抑制

系統制約の克服:出力抑制リスクの最小化

抑制量92万kW

太陽光発電実績

抑制時間

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2018年10月 2018年11月 2018年12月 2019年1月 2019年2月 2019年3月

九州電力管内 出力抑制日数

休日 平日

系統制約の克服:出力抑制リスクの最小化

3月は17日迄

想定外の3月平日の出力抑制:緊急点検・緊急対策が必要では?

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2019年1月3日 卸電力スッポト価格

システムプライス(円/kWh) エリアプライス九州(円/kWh)

出力抑制発生時にはスポット価格がゼロ円に近づく(欧州ではマイナスも)出力抑制リスクの最小化:価格メカニズムの活用

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資源エネルギー庁HPより

価格メカニズムを活用した需要創出・需要側リソースの活用

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独立型

PV System 1.01960年代~

PV System 2.01990年代~

PV System 3.02010年代~

系統連系型

PV System 4.02020年代~

系統協調型 系統統合型

次世代BIPV

独立・連系自在型

基幹電源化には太陽光発電システムの次世代化が不可欠第4世代以降では、ありとあらゆる場所とモノに設置・搭載が可能となる(PV on Things )、また需要側の分散エネルギー資源(DER)の要として系統安定化に能動的に関与するようになる。(設置場所制約の解消、出力変動対策、調整力確保)

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GW

化石燃料依からの脱却と太陽光発電の導入量(累計稼働量) イメージ

2050年迄の導入量GW(左軸)

2050年以降の導入量GW(左軸)

化石燃料への依存度%(右軸)

2050年以降

200GW

太陽光発電の最終到達点 200GWを大きく超えてSolar PV’s Final Destination Beyond 200GW■PV OUTLOOK では、2050年時点の稼働量が200GWとしたが、

100年先に向けて、現代社会にとって欠くことのできない化石エネルギーへの依存から脱却し持続可能な社会に至るまでの一通過点にすぎない

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ご清聴ありがとうございましたThank you!

一般社団法人 太陽光発電協会http://www.jpea.gr.jp/