米英の衛星放送等の現況 - Ministry of Internal ...€¦ · 米英の衛星放送等の現況 平成17年10月14日 総務省情報通信政策局 衛星放送課 参考資料2
フルスペック8Kのライブ制作伝送実験 - NHKNo.173 進化する衛星伝送技術...
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技研だより 第173号 2019/8NHK放送技術研究所 〒157-8510 東京都世田谷区砧 1-10-11 Tel: 03-3465-1111(NHK代表)
8月号2019No.173
技研では、高いフレームレートにより被写体の動きをより鮮明かつ滑らかに表現できるフルスペック8Kの番組制作機器や伝送・表示技術の研究開発を進めています。5月に開催した技研公開2019では、現行のBS8K放送の2倍となるフレーム周波数120Hz*1に対応した開発機器を接続し、中継現場でのライブ制作から、圧縮符号化、衛星伝送、表示再生までを一気通貫のシステムとして展示しました。 ライブ制作では、8K120Hzに対応したカメラや低遅延・軽圧縮IP伝送装置を用いて中継現場から技研に映像と音声を伝送しました。送られてきた映像をオンライン編集機(写真1)でリアルタイムに編集するとともに、22.2ch音響をミクシングしました。 圧縮符号化と衛星伝送では、8K120Hz映像符号化装置により、高ビットレート・高画質でのリアルタイム処理(HEVC/H.265方式*2)でライブ制作されたコンテンツを250Mbpsまで圧縮し、広帯域・大容量伝送が可能な21GHz帯中継器を搭載したBSAT-4a衛星へ伝送しました。 衛星から送信された信号は、技研で受信して復号し、8K120Hz表示に対応した薄型・軽量な88インチのシート型有機ELディスプレー(写真2)で中継現場からのライブ映像を表示しました。また、22.2ch音響は、ラインアレースピーカーを用いたトランスオーラルシステム*3で再生しました。 8K120Hzの映像をライブ制作し、衛星伝送によりリアルタイムで中継した実験は世界で初めてです。技研公開の場で実験の様子を披露することで、これまで取り組んできたフルスペック8Kの研究開発が実用に近いレベルにまで進展していることを、多くのお客様にご理解頂くことができました。 今後も、各技術の性能向上を図っていくとともに、フルスペック8Kの特長が生かせるスポーツイベント等のパブリックビューイングで高い臨場感を体験して頂くことを目指し、研究開発を進めます。● 21GHz帯衛星伝送実験は、(株)放送衛星システムと共同で行っています。*1 119.88(120/1.001)Hz*2 ISO/IECとITU-Tが共同で標準化した符号化方式*3 音源の位置から両耳までの音の伝わり方を再現することにより、スピーカーを設置していない方向からも音が聞こえてくるかのような効果
を作り出す方法
フルスペック8Kのライブ制作伝送実験
フルスペック8Kライブ制作伝送実験の概要
写真1:8K120Hzに対応のオンライン編集機 写真2:8K120Hzに対応の88インチシート型有機ELディスプレー
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令 和 元 年 度 全 国 発 明 表 彰 技研の研究成果である「映像・音声を柔軟に切り替え可能な同期方式の発明」について、青木秀一主任研究員(写真 中央右)と上田良一会長(同 中央左)が、6月10日に公益社団法人発明協会から、全国発明表彰 21世紀発明奨励賞と21世紀発明貢献賞をそれぞれ受賞しました。全国発明表彰は、優れた発明を完成した者などを顕彰することで、科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としています。 この発明は、デジタル放送などの映像・音声の再生タイミングを揃える同期を実現する技術で、新4K8K衛星放送に用いられていることなどが評価されました。
第 4 5 回 放 送 文化 基 金 賞 技研で開発した白黒映像カラー化システムが評価され、遠藤伶職員を代表とするグループが、7月2日に公益財団法人放送文化基金から、第45回放送文化基金賞(個人・グループ部門 放送技術)を受賞しました。 本受賞は、従来よりも大幅に短い時間で白黒フィルム映像をカラー化できるシステムを開発し、そのシステムが多数の放送番組で利用された業績が評価されたものです。
有 機 E L 討 論 会 第12 回 業 績 賞 技研が研究を進めてきたフレキシブルディスプレー向けの技術である
「大気安定な逆構造有機ELデバイス開発」が評価され、6月13日に有機EL討論会から、深川弘彦職員が(株)日本触媒と共同で第12回業績賞を受賞しました。 本受賞は、独自の電子注入技術の開発により、基板材料に酸素や水分の侵入を防ぐことが困難なプラスチックフィルムを用いた場合でも、長時間の安定動作が可能な有機ELデバイスを実現したことが評価されたものです。
受賞報告:全国発明表彰、放送文化基金賞、有機EL討論会業績賞
全国発明表彰の表彰式の様子
放送文化基金賞の贈呈式の様子
有機EL討論会業績賞の贈呈式の様子
Connected Media Tokyoでハイコネを活用したサービス連携の事例を展示
6月12日~14日に、幕張メッセ(千葉市)でインターネットを活用したメディア技術の総合展示会「Connected Media Tokyo 2019」が開催されました。今年は、ハイブリッドキャストコネクト*(ハイコネ)の活用事例を紹介する「ハイコネパビリオン」が企画され、10の放送事業者やアプリケーション事業者などとともに技研の研究成果を展示しました。 技研は、ハイコネを使って、自分の視聴データ(いつどの番組を見たかという情報)を放送以外のサービスと連携させることで、過去に見た番組で紹介された店舗などの情報を外出先でも活用できる事例を紹介しました。 今後も、放送と私たちの生活がスムーズにつながる社会の実現を目指して、視聴データの利活用に必要な基盤技術の研究開発を進めるとともに、展示などを通してハイコネの活用を推進していきます。* ハイブリッドキャストコネクト(ハイコネ):テレビとスマートフォンをつなげる端末連携機能とその機能を使ったサービス。昨年9月に(一
社)IPTVフォーラムにおいて、スマートフォンからテレビの選局やハイブリッドキャストのアプリケーションを起動する機能が新たに標準化された。
ハイコネパビリオンの全景 NHKブースでのハイコネの活用事例の実演
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スポーツ競技の状況を体感できる触覚インターフェース技術
スマートプロダクション研究部 東 真希子
図2 開発した触覚インターフェース(左:リストバンド型、右:ボール型)
技研では、誰もがスポーツ番組を楽しめるユニバーサルサービスの実現を目指し、競技の状況を体感できる触覚インターフェース技術の研究開発を進めています。視覚と聴覚に加えて触覚情報も提示することで、実況だけでは伝えることが難しい選手やボールの動きなどの競技の状況や、スポーツの迫力を、視覚に障害がある方にも伝えられるようになります。 今回、バレーボール競技を対象に、触覚で競技の状況を伝える技術を開発しました。 開発したシステムでは、まず、映像解析で得られたボールの位置情報のデータから、ボールがあるコートの情報を抽出したり、ボールに加わる力の向きや大きさを推定します。そして、これらの情報に基づいてさまざまな触覚インターフェースを効率的に制御します(図1)。 触覚情報を提示するインターフェースとして、リストバンド型とボール型を開発しました(図2)。リストバンド型はさまざまな振動を提示できる4つの振動子を備えており、装着するとこれらの振動子が手首の上下左右に接触します。これを両手首に装着し、例えば、右コートの選手が左コートに向かってアタックを打ったときには、右手首の左側の振動子がアタックを表すパターンで振動し、両手を塞ぐことなく競技の状況を伝えることができます。 またボール型は、アタックやレシーブの際にボールに加わる衝撃の強さを振動の大きさで表現するとともに、握った部分の側面を内蔵のサーボモーターで物理的にへこませる(凹刺激)ことで衝撃の方向も表現できます。技研公開2019では、このボール型インターフェースを用いたシステムを展示し、多くの方に体験して頂きました。 今後は、競技の状況が被験者にどの程度伝わるかの評価を進めます。また会場の歓声などを振動で表現することで、聴覚に障害がある方にもよりスポーツ番組を楽しんで頂ける技術の研究開発を進めます。
リストバンド型 ボール型
振動子、サーボモーターを内蔵
振動 + 左凹刺激
知覚する衝撃の方向
振動
凹刺激 引っ張る
コントロールボックス
振動子
振動子
図1 スポーツ競技の状況を触覚で提示するシステムのイメージ
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技研だより 第173号 2019/8NHK放送技術研究所 〒157-8510 東京都世田谷区砧 1-10-11 Tel: 03-3465-1111(NHK代表)
8月号2019No.173
進化する衛星伝送技術
2018年12月1日から、新しいデジタル衛星放送サービスである新4K8K衛星放送が始まりまし
た。デジタル放送は、映像などの膨大なデジタル信号を電波に乗せて効率的に送るための工夫が必要です。そこで、電波の大きさ(振幅)や時間的なずれ(位相)が異なる複数の電波を組み合わせて、デジタル信号として伝送しています。より多くの種類の電波を組み合わせることで、データ量の大きなデジタル信号を伝送することができます。新4K8K衛星放送では、振幅と位相が異なる16種類の電波を組み合わせて、デジタル信号を伝送しています。
電波の時間的なずれ(位相)の違い(4通り)
“1111”
“0011” “0000”
“1100”小
大 電波の時間的なずれ(位相)の違い(12通り)
電波の大きさ
(振幅)
デジタル信号と対応する電波状態(振幅・位相)の組み合わせ
放送衛星は時速10,000km以上のスビードで地球の周りを回ってるんだよ
将来、データ量のより多いデジタル信号を効率的に伝送できるようにするために、技研では振幅や位相が異なる32種類の電波を組み合わせて伝送する技術の研究を進めています。放送衛星は赤道上空3万6千キロというとても遠い距離にあるので、地上から放送衛星に向けて送られてきた電波を衛星で強めて日本全国に向けて放送しています。32種類の電波を組み合わせた伝送では、より複雑な組み合わせに対応するため、この電波の強さをより大きくする必要がありますが、このときに電波の形が歪んでしまい、32種類の電波の識別が難しくなるという課題があります。この歪を小さくできれば、32種類の電波を組み合わせることが可能となり、よりデータ量の多いデジタル信号を送れるようになります。このため、放送衛星で発生する歪を予測して、この予測と逆になるような歪を送信信号に加えて、各家庭に届く信号の歪成分を打ち消すような技術(歪補償技術)の研究を進めています。
今の技術はどうなってるの?
将来はどう進化していくの?
連載 次世代の伝送技術(第1回/全4回)
小島政明伝送システム研究部
第2回スーパーハイビジョンの地上波放送に向けて
各家庭(受信側)
放送衛星放送局(送信側)送信信号(歪補償なし)
逆歪を予め付加 歪成分を打ち消す
放送衛星の影響で歪発生受信信号(歪補償なし)
送信信号(歪補償あり) 受信信号(歪補償あり)
歪補償技術のイメージ
ちょっと豆 知 識 お楽しみに!次 回予 告
ご家庭まで放送番組をお届けする伝送技術は、絶えず進化しています。ここでは全4回にわたり、今使われている技術と将来に向けて研究中の技術を分かりやすくご紹介します。