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 「子どもがはじめて出合う絵本」といえば、1968年にディック・ブルーナの「う

さこちゃん」のシリーズが福音館書店から出版されたときのキャッチフレーズでし

た。あれから、40年を経て「赤ちゃん絵本」の概念はかなり変わってしまいました。

少子化が進み赤ちゃんの数は減りましたが、「ブックスタート」(NPO法人)運

動が2001年に始まると赤ちゃんと絵本の関わりについての関心は高まり、赤ち

ゃんに絵本を手渡す運動は各地の自治体で実践的に取り組まれています。

 うさこちゃんのシリーズは、初歩的な物語絵本といわれるジャンルに属しますし、

その頃までに出版されていた赤ちゃん絵本は「ものの絵本」や「どうぶつ絵本」

などのような「これはなあに! What is this」という論理で進むものが主流でし

た。それは、命名したり(naming)指さししたり(pointing)しながら、経験したこ

とを再認するような知識カタログ的なニュアンスの強いものでした。いずれにせ

よ赤ちゃんが、1歳近くになり初語が出始める頃にふさわしいものでした。

 ところが、最近は『じゃあじゃあ びりびり』(作/まついのりこ 偕成社 1983)

や『もこ もこもこ』(作/たにかわしゅんたろう 絵/もとながさだまさ 文研出版

1977)、それに『がたん ごとん がたん ごとん』(作/安西水丸 福音館書店 

1987)などの系統のものが、赤ちゃん絵本の主流になりつつあります。そのこと

は、これらの絵本が1歳前後の言葉が理解され始める頃の「はじめて出合う絵本」

よりも、もっと早い段階の6~10カ月くらいの赤ちゃんの生理的なリズムに合い、

その頃から楽しめることがわかってきたからです。日本語の音韻から生じる豊か

なリズムや、メロディが豊かなオノマトペ(擬声語・擬音語・擬態語・擬情語など)

を通して耳から入ることで、赤ちゃんは快の感情を強く刺激されます。絵で語る

一貫性のある物語よりは、耳から入る生理的なリズムとページをめくるリズムの

一体化が生み出す面白さなのです。

子 ども が はじめて 出 合う絵 本

佐々木宏子

うさこちゃんシリーズ 0歳からの絵本 各630円(講談社)

『じゃあじゃあ びりびり』 作/まつい のりこ 630円(偕成社)

『がたん ごとん がたん ごとん』 作/安西 水丸 735円(福音館書店)

『もこ もこもこ』 作/たにかわ しゅんたろう 絵/もとなが さだまさ 1,365円(文研出版)

子どもがはじめて出合う絵本 子どもと一緒に楽しむ絵本の選び方のポイント

どんなときに読んであげるのがいい?

年齢別に見る子どもの絵本

子どもが好きな絵本はどんなもの?

思い出の一冊 佐々木宏子

長野ヒデ子

広松由希子

村上康成

家族のきずな絵本100冊 赤ちゃん 誕生

パパ

ママ

おじいちゃん

おばあちゃん

きょうだい

動物の家族

動物とのふれあい

家族みんなで

命のつながり

家族いろいろ

昔ばなし

家族あそびのタネ 手あそび

からだあそび

つくってあそぼう〈身近なもの編〉

つくってあそぼう〈工作編〉

折り紙絵本 つくってみよう!

いっしょにぬり絵であそぼう!

つくってあそぼう! 指人形

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 絵本を親子で楽しんだり、保育者と一緒に楽しんだりするためにはいくつか

のポイントがあるように思います。ひとつは読み手と聴き手である子ども(たち)

の間に信頼関係があることです。なぜならば、幼い子どもが絵本を読み聞かせ

てもらうことは、子どもが絵本と直接に向き合って読むだけではなく、読み手のそ

の絵本に対する読み方を通して読み取るという二重の行為になるからです。

 それゆえに、子どもは読み手の表情を読んだり、読み手の心を読んだりしなが

ら、絵本の内容やストーリーを自分のものにしていきます。読み手のコミュニケー

ションスタイル(言葉遣いやイントネーション、間合い、表情、速度など)が普段

のよく慣れたものと異なると、それだけで子どもは絵本の中に入りづらくなります。

 次に、子どもの生活や日常の経験をよく知り抜いているおとなでないと、子ど

もがどのようなことに興味や関心をもっているかわからず、ふさわしい絵本の選

択が難しくなります。確かに絵本の裏表紙などには「○歳向け」などの大まかな

指標が書いてあることが多いのですが、それはあくまでも一般的な平均値であり、

子どもによってはまったく当てはまらないこともあります。

 子ども自身が好きで繰り返し読む絵本の特徴をよく知り、その情報を図書館

司書や文庫で子どもの本をよく読み込んでいる人たちに相談することで、的確

なアドバイスをもらうことも有効です。それらの方々は多くの子どもの読書歴を知

っていますし、専門的な知識も豊富ですから選書のよきアドバイザーになってく

ださるでしょう。

 最後に一番大切なことは、読み手であるおとながその絵本を本当に面白いと

思わなければ、きっと心の伴わない読み方になるでしょう。もし、子どもが好きな

絵本を読み手が面白いと思えなければ、「どうしてこの絵本に○ちゃんは夢中に

なるのか」を好奇心をもって探り、ぜひ読み手も子どもの「好き」に寄り添ってく

ださい。

 子どもと絵本をどのようなときに読み合うのかは、まったく家庭の生活リズム

によるものと考えられます。保育所や幼稚園、それに文庫や図書館であれば、あ

らかじめ読み聞かせの時間が決まっていますので、子どもたちはそれを目ざして

集まってきます。保育所であれば、お昼寝に続くおやつのあと、幼稚園では自由

遊びが終わる切れ目やお帰り前も多いものです。

 しかし、家庭での読み聞かせはお子さんの年齢や発達段階によっても異なる

でしょう。0歳時代であれば、お昼寝のあとおむつを替えて、おっぱいでお腹が安

定すれば外への好奇心が高まる時間です。1~3歳では、朝ごはんが終わりお

母さんのあと片づけも終わりほっとする時間や夜寝る前も多くの家庭では絵本

の時間です。

 お父さんの絵本タイムは、土曜日や日曜日の一定時間のこともあるでしょうね。

どんな場合も子どもたちの生活は安定したリズムが一番大切ですから、ぜひそ

れぞれの施設や家庭で決まった時間を設けてください。子どもたちは、基本的に

は食事や睡眠、それに外遊び(小さければお散歩など)もとても大切です。子ど

もの成長や発達を見極めながら、基本的には子どもたちの選択を最優先に行

われるべきだと思います。

 また、子どもたちの一年の生活の流れを見ていますと夏は外遊びやお出かけ

が多く、あまり絵本を見ませんが冬になると絵本に集中するなど、とてもムラがあ

ることも多いものです。仲のいいお友達が得られて遊びに夢中になったり、体を

使うことに熱中するとほとんど絵本に関心を向けなくなることもあります。そんな

ときは、じっくりと「絵本のとき」が再び巡ってくるのを待ちましょう。しっかり遊び

込んだあとの子どもの心は、新たな絵本に向かって挑戦を開始します。そのため

には、普段から絵本の記録をとる習慣をもっていると、子どもの成長のリズムが

つかめます。

子どもと一緒に楽しむ絵本の選び方のポイント ど ん なとき に 読 ん で あ げ る の が い い?

子どもがはじめて 出 合う絵 本

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 このテーマは年齢別に考えて、子どもがどのような絵本に興味や関心を移し

ていくのかが問われているように見えます。しかし、その前提としては「子どもは

年齢段階ごとに成長発達していき読む絵本の内容や質に一定の傾向がある」

という仮説が隠されています。しかし、長年、多くの子どもと絵本の関わりを見て

きた私には、その論理については単純に「はいそうですね」とは言いがたい思い

があります。

 逆に一冊の絵本の読み方が、子どもの成長発達に応じてダイナミックに変

化してゆく様子が面白くて、追跡した結果を著書として出版したこともあります。

確かに、かなり多くの子どもに共通する発達ごとの枠組みがあることは事実です。

例えば、言葉の意味の世界へ入る前のリズミカルで赤ちゃんに生理的な快の

感情を引き起こすようなA「赤ちゃん前期の絵本」。やがて、簡単なものの絵本

や動物絵本、それにシンプルな物語をともなった絵本であるB「赤ちゃん後期の

絵本」。しかし、赤ちゃんによっては日常生活が充実していて身のまわりに楽し

い経験が豊かにあると、あまり絵本には興味を示さず、2歳近くになってA型絵

本に出合ったときかなり質の高い反応を示すこともあります。つまり、一冊の絵

本は年齢段階によって「ふさわしい」ものがあるという考え方もあれば、子ども

個人の成長発達や興味関心のありようによって、一冊の絵本は異なった反応

を引き起こすものだとする考え方もあります。

 赤ちゃんが夢中になる絵本は、おとなである読み手をも夢中にさせる力をもっ

ています。2~3歳の子どもたちが繰り返し読むことを要求する昔話や民話絵本

は、おとなにも深く考える機会を与えてくれます。3歳を過ぎると絵本の好き嫌い

がかなりはっきりとし始め、自分自身の経験と直接に触れ合わない内容でも想

像力の発達により理解できるようになります。

 一般的な発達段階ごとの絵本リストを参考にしつつも、子ども一人ひとりの

個性を見極めつつ(子どもと相談しつつ)絵本との出合いを決めてください。

 さて、このテーマも複雑ですね。子どもの個性によって本当に異なるからです。

また、「好きな絵本」ということであれば、最近の多様な映像メディアに取り込ま

れた子どもたちは、それらのキャラクターからも強い影響を受けています。そこでは、

年齢別の「優れた絵本リスト」の枠をはるかに超えた子どもたちの選択が可能

だからです。

 1歳過ぎ頃から自動車の絵本や長新太や五味太郎の絵本が大好きで、やが

て定番の怪獣コースを歩んでいたユウちゃんが、図書館に通い始めると5歳の

ときに一人で次のような10冊の絵本を選択しました。

 まず、A:テレビ『ぴかちゅう』の影響を強く受けたポケモン関係の絵本2冊。

ついでB:昔から好きだった自動車関係の絵本を1冊。それから、C:この年齢の

子どもたちが好きな「なぞなぞ絵本」1冊。まだまだ、引きずっているD:せなけい

このおばけ関係の絵本を2冊。それから、E:五味太郎の絵本を3冊。そして、F:

お母さんがすすめた絵本を1冊、という具合でした。

 私は、現代社会に生きている子どもらしい選択なのだとある種の感慨をもち

ました。おとなが「よい」とすすめる絵本のみを読んでいる子どもなど一人もいな

いでしょう。Aは、浮き世との付き合いで時代の流行により左右されます。BCD

は成長段階でくぐり抜ける定番的な絵本、Eはこの子の個性、ユウちゃんらしさ

の核を形成しているユーモア絵本、そして最後のFはおとなのすすめを受け入れ

た絵本でした。3歳も過ぎると、おとなのすすめたい本と子どもの好きな本の間

に大きな隔たりが生じてくるとよく言われます。そんなことは、親子で人格が異な

り人生のスタートの時代背景が異なる以上当たり前のことだと思います。私た

ちおとなは、A~Fの間でバランスをとる子どもたちに、どこで責任をもつかなので

しょうね。

年 齢 別 に 見 る 子 ど も の 絵 本 子 ど も が 好 き な 絵 本 は ど ん な も の ?

子どもがはじめて 出 合う絵 本

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 絵本を研究し始めてから40年の歳月が経ちましたので、思い出の絵本はたく

さんありますが、やはり乳幼児心理学をベースに絵本を研究している者としては

『かいじゅうたちのいるところ』(作/モーリス・センダック 訳/じんぐうてるお 冨

山房 1975)をとり上げざるをえません。1歳ごろから断片的に始まる「ごっこ遊

び」の世界とは、幼い子どもたちが目の前にある現実の玩具や生活の道具、情

況や環境を、「こうありたい」という強い願望のもとに見立てて(変換し)、自分

の望む人になったりものや情況を創り出して遊ぶことです。

 この想像力を縦横に使うごっこの世界は、強い表象能力により支えられてお

り言葉の発達の基礎となるものです。生まれて数年で人間の子どもたちが、こ

のような途方もない力を発揮することには驚嘆せざるをえません。

『かいじゅうたちのいるところ』では、マックスという少年の「怪獣ごっこ」の世

界がどのような根拠に基づき想像されるかを、センダックが自らの幼い頃の遊び

経験を基礎に創作した、幼児心理学のテキストのような絵本です。私が、この

ようなことに気づいたのはアメリカ・ジョージア大学に在外研究で滞在していた

1983年の冬の頃でした。それまでにも日本で翻訳・出版された絵本はよく知っ

ていたのですが、ジョージアで英語版のオリジナルのものを何度も繰り返し眺め

ているうちに、イラストレーションが濃密に語っているごっこ遊びの構造にハタと

気がついたのです。それからというもの、この一冊はまったく今までと異なる意味

をもった心理学のテキストとして私の前に立ち現れました。

 マックスが現実の世界で持っていたフォークは、あとのページの怪獣の王様

になってからは「笏」として見立てられます。私は、王様の持つ笏の英語訳がわ

からず、大学図書館まで出かけて司書の方にたずねました。そのときは年配の

女性の司書の方もすぐにはわからず、調べておくからあとで来てほしいと言われ

たことも懐かしい思い出です。それは、scepterでした。

 主人公の少年マックスは、いたずらをして、お母さんに晩ごはん抜きで寝室に

放り込まれ、鍵をかけられてしまいます。そこから始める「怪獣ごっこ」の世界の

組み立ては、子どもの心と論理を見事に絵で表しています。ドアやベッドの縁が

木に変身し、窓際に置いてあるテーブルと花瓶の緑は、同じ形の茂みへと見立

てられていきます。マックスを運ぶ船はベッドがその見立ての土台になっており、

王様になったマックスが入っているテントは、彼が今まで遊んでいたベッドカバー

の宙づりがイメージの素材になっていることを明瞭に描いています。

 絵は細かい線で覆われており、現実の彼の部屋が想像上のどのようなもの

になるのかが同時に解け合うように描かれており、まさに絵画によるメタファー

(pictorial metaphor)と言っていいでしょう。その方法は、異次元(空想と現

実)の空間と時間が同一ページに表されているところから「異次元同図」となっ

ています。

 読み手は現実の世界の真剣な表情のマックスを眺めつつ、同時に彼が創り

上げる想像の怪獣ごっこの世界を、同一画面で目のあたりにすることができます。

クライマックスの怪獣おどりのページでは、見開きの全画面が使われており文

字は一切ありません。じっくりと眺め読んでいただくと、子どもの遊びの内面世

界の成り立ちの解釈とその精確な描写に驚かれることでしょう。空想遊びの絵

本を巧みに読み聞かせるということは、絵本内容がいかに子どもたち固有のイメ

ージに深く根ざしているかを理解することから始まります。つまり、読み聞かせとは、

読み手の解釈したことを絵本を通して伝えることでもあるのです。

言葉の発達の基礎となる「ごっこ遊び」の世界

佐々木宏子

佐々木宏子さんの著書

ささき・ひろこ 鳴門教育大学名誉教授。アメリカ合衆国ジョージア大学家政学部家族発達学科准講師、鳴門教育大学学校教育学部教授、北京師範大学珠海分校教育学院教授、環太平洋大学乳幼児教育学科教授などを経て09年4月より現職。絵本の主題分析を通して発達心理学の中に新しく「絵本の心理学」を構築している。乳幼児期の遊びが子どもの発達に及ぼす影響などを研究する第一人者。

『かいじゅうたちのいるところ』 作/モーリス・センダック 訳/じんぐう てるお 1,470円(冨山房)

『絵本は赤ちゃんから』 1,995円(新曜社)

『地域に開かれた 鳴門教育大学の 児童図書室

-20年のあゆみ』 (鳴門教育大学

附属図書館児童図書室)

しゃく

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長野ヒデ子さんの絵本

 私が生まれて初めて買ってもらった本は、フクちゃんのマンガで3歳のとき

でした。

 私は四国の海辺の小さな村で生まれたのです。それはもう60年も前の話で

すが私の村には図書館も本屋もありませんでした。母の里は町で、母と里帰り

すると祖父はその町でたった一軒の本屋さんに連れていってくれて、必ず好きな

本を買ってくれました。

 もしかしたらいろいろな本も買ってくれたのかもしれませんが、私の覚えている

のは「フクちゃん」のマンガが初めての本。マンガといっても横長の絵本のよう

で私はそれを繰り返し見て大きくなりました。大人になってまさかフクちゃんの作

者の横山隆一さんの近所に住むなんて夢にも思いませんでした。数年前、横

山隆一さんも亡くなり、家も取り壊され今はカフェとギャラリーとなり「フクちゃん」

は元気に憩いの場になって愛されています。

 また5歳のとき戦地から帰った叔父は町の図書館にしばらく勤めていました。

当時図書館の本は、あちこちからの寄せ集めなのか、ボロボロで修理をしては貸

し出しておりましたので、叔父は毎日風呂敷に本を包み持ち帰り、小麦粉で作っ

た糊で破れたところを貼り合わせ修理していましたので、それがおもしろく、幼い

私は大人の本の表紙をみたり、ページをめくってみて挿絵があるとうれしくどんな

ことが書かれてあるのだろうと思ったり、漢字ばかりで絵もないのに大人の本に

はなぜか惹かれました。

 小学校の3年生のとき、とても宮沢賢治と音楽の大好きな先生が担任で、い

ろいろ賢治の作品や『ノンちゃん雲に乗る』も読んでくれました。また『赤い鳥』

の雑誌等からも読んでくれましたが、お話の中身は少しも覚えてなくて覚えてい

るのは変てこなおもしろさとか、本の表紙の絵とか、その本を読んでもらったとき

の、なんとも言えぬ幸せな感じとか、先生の表情や声のリズムとか、その不思議

なうれしい時間の空気をしっかりと感覚として覚えているのです。あのときのおさ

ない私がたくさんのことを感じたり、物語の世界に思いをめぐらせたりした、自分

の心の動きを覚えているのです。そして味わったことのないいろいろの感情を知

ったことを思い出します。

 子どもの本や絵本は、本の中で一番すごい本だと思います。難しいことを解

りやすく、それでいておもしろく楽しく。それでいて楽しいだけでなく深い。そして

それを子どもが解る絵や言葉で書かれているのですもの。どんなお話だったか

忘れてしまったものも絵はしっかりと映像として覚えているから不思議です。

 そうそう私が初めて買ってもらった「フクちゃん」の漫画に大阪国際児童文

学館で20年前に出合いました。当時の中川正文館長が「思い出の本があれ

ば何でも探し出してあげましょう」と見つけ出してくれたのです。それは3歳の私

が手にしたあのフクちゃんでした。横長の絵本のような大きな判型の「フクちゃん」

は漫画もコマ割りでなく絵本のようでした。「私のフクちゃん!」と記憶の中のフ

クちゃんがそのまま出てきて私は飛び上がりました。

 それはフクちゃんの登場人物がいっぱい描かれていて楽しく、もしかしたら私

は「せとうちたいこさんシリーズ」の原点はこれだ!と思いました。3歳の私はこん

な楽しい本を手放さず毎日見ていたのですもの。子どものときの出会いはすご

いのだと思いました。

 その大阪国際児童文学館の存続が今危ういなんて信じられない。フクちゃん

助けて!

フクちゃんとわたし

長野ヒデ子

ながの・ひでこ 絵本作家・画家。1941年愛媛県生まれ。わが子のために制作した初の絵本『とうさんかあさん』(葦書房)にて第1回日本の絵本賞文部大臣奨励賞受賞。以降、絵本・紙芝居など著書多数。

からだちゃんえほん 『めめめめばなし』 『はなはなばなし』 『へそへそばなし』

各1,260円(小学館)

フクちゃんの作者、横山家の方からお借りした、 貴重な当時の書影。

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広松由希子さんの近著

 はじめは、その絵本が好きじゃなかった。

 5歳のとき、父の仕事の都合でアメリカの幼稚園へ転入した。ああ言えばこう言

う口の達者な子どもだったのに、ぽんと知らないことばの世界に入れられて、ひとり。

自分から周囲にうちとけられず、毎日をひりひり過ごしていた。明日はどうしたらいい

んだろう。最初に切り出すひとことを、ベッドの中でぶつぶつ練習したりした。

 声に出せない分、ことばを内に積もらせていたせいかもしれない。帰国するまでの

1年余の記憶は、その前後に比べて鮮明だ。近所にあった居心地のよい図書館

のおかげもあって、忘れられない絵本との出会いも、その時期にかなり集中している。

 好きだったのは、たとえばセンダックの絵本。“Where the Wild Things Are”

(『かいじゅうたちのいるところ』)もいいけど、クラウス文の“A Hole Is to Dig”

(『あなはほるものおっこちるとこ』)の素朴で表情たっぷりな線画が好みだった。そ

れからガアグの絵本。人を食ったような、飄 と々してときにブラックなユーモアセンス。

独特のうねりをもった白黒画面の、人懐っこい登場人物たちも魅力的だった。Dr.

スースの意味を超越したことばあそびにも夢中になったし、C・ジョンソンの「はろるど」

の描くものみな本物になる紫のクレヨンを、手に入れたいと切に願っていた。

 ほかにもたくさんの絵本に親しんだが、内容はぼんやりとしか思い出せないもの

もある。でも、その地味な絵本、エッツの“Play with Me”(『わたしと あそんで』)

は、全然好きじゃなかったくせに、ずっと胸にひっかかっていた。

 朝、小さな女の子がひとりで原っぱへ行く。バッタに出会い、「あそびましょ」と

つかまえようとすると、逃げてしまう。次々出会う動物たちに「あそびましょ」。寄っ

ていっては、逃げられる、繰り返し。誰も遊んでくれないので、じっと座っていると、1

匹、また1匹と戻ってきて、とびきりうれしい笑顔の結末があるのだが……。苦しか

った。当時のわたしには、前半があまりにも切実で。じっとこらえている後半も、納

得しかねた。口を結んでなにも言わない表紙の女の子からも、目を逸らしたかった。

ほとんど本棚にしまったきりの一冊になった。

 それから20年が過ぎて、わたしは小さな女の子の母になった。引っ越しを重ねても、

なぜか手放さず古びていたその絵本を、ふと思い立ち、久しぶりに開いてみた。

 覚えている。何度も読んではいないのに、めくるごとに、どぶどぶと、あの頃の感

情があふれだしてきた。と同時に、女の子を見つめるもうひとつの目に気がついた。

クリーム色の地色に白抜きで描かれた、おひさま。すべての画面で女の子にやわ

らかな微笑と光の視線を注いでいる。はじまりの朝陽から、大満足でお昼に帰宅

するおしまいの場面まで、少しずつ角度を変えながら。見守られていたんだ、大き

なあたたかいものに。

 絵本を閉じ、もう一度表紙を見る。真正面を見つめる女の子の深い表情。“Play

with Me(あそびましょ)” が、どんなに子どもにとって切実なひとことか、みんな含

んでいた絵本。深い安堵に包まれた。胸の奥でずっとひっかかっていたものが、

溶け出すようだった。時が必要だったのかもしれない。池のほとりで待ち続けた女

の子のように。

 そんな遠回りなどせずに、この絵本をひと目で好きになる子もいるだろう。絵本

は人それぞれの、その時々の「出会い」だから。マスメディアで紹介する絵本を選

ぶときも、一方で矛盾を感じながら、なるべく読者の個人的な出会いに想像を巡

らす。せめて自分のささやかな経験から、子どもが目に見える反応をしなくても、ぱ

っと好きにならなくても、心の内に深く根を下ろすかもしれない絵本の存在を忘れ

たくないと思っている。

忘れられなかった絵本 “Play with Me”

広松由希子

ひろまつ・ゆきこ 1963年ロサンゼルス生まれ。編集者、赤ちゃん文庫主宰、ちひろ美術館学芸部長などを経て、2000年よりフリーに。評論、執筆、展示企画、ワークショップなど、絵本と子どもと遊びの仕事をしている。

『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』 著/茂田井 武

編/広松 由希子 2,625円(講談社)

『おかえりたまご』 作/ひろまつ ゆきこ

絵/しまだ しほ 1,470円(アリス館)

『 わ た し と あ そ ん で 』 『わたしと あそんで』

文・絵/マリー・ホール・エッツ 訳/よだ・じゅんいち

1,050円(福音館書店)

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村上康成さんの絵本

 子どものころの絵本の思い出……。覚えがない。小さい自分にとって、興味はそ

こにはまるでなかった。というか、その存在もぼくの日常にはなかった。外で遊んでい

るか、漫画を読んでいるか、絵を描いているか、ごはんを食べているか、寝ているか、

それ以外何もなかった。それでめいっぱい、毎日フルスロットルで過ぎていった。

 この、戦後10年生まれは、社会は復興と高度経済成長の真っただ中にあり、貧

しいながらも平和で温かい時を過ごしていった。本との関わりを強いて言えば、少年

のぼくには、ときどき買ってもらう『ぼくら』『少年』という漫画雑誌が、夢であり、憧れ

であった。鉄腕アトムがいて、鉄人28号がいて、サスケがいた。

 とりわけ、こんな思い出はある。もっと小さいとき、小学館の『めばえ』を買ってもら

っていた。もちろん、その内容など、記憶にあるはずもない。その幼児時代を過ぎ、

小学生になった頃は、ランドセルを置き、家で内職をしている母を確認すると、夕ごは

んまでめいっぱい遊んだ。山に行ったり、川に行ったり、原っぱに行ったり、真っ暗に

なるまで、真っ黒になってほんとうによく遊んだ。そしてごはんを食べたら眠る。

 そして……。パジャマのまま、小学生のぼくはあの『めばえ』を持ち出す。両手で

本を開き、頭上にかざす。すると、ぼくの足が地面を離れる。すうっと、宙に浮かぶの

だ。そのままどんどん、夜の空にあがっていく。ぼくの家の屋根が見える。ほどよい

高さで、本の開きを少しすぼめる。静止する。行きたい方向を思えば、『めばえ』が

ぼくを連れていってくれる。

 オグリの帽子屋さんが見える。友達のヒロちゃんの家が見える。肉屋の一郎くん

の家も。土岐川も。でも、せいぜい1キロ範囲内だった。自分の地図感覚の限界だ

ったのかもしれない。空飛ぶパジャマのぼくは、町内を見渡しながら、やがて自分の

家の上に帰ってくる。『めばえ』の開きをさらにすぼめると、すうっと地面に足が着く。

 この夢をよく見た。ぼくにとっての『めばえ』はあたかも、ナウシカのメーヴェ※だっ

た。自在に空を駆けるナウシカの愛機。この映画を観たとき、ほんとうにドキッとした。

『めばえ』の思い出は内容ではなく、存在としてのうれしさだったのだろう。内容あ

ればこそはもちろんだが、内容が閉じ込められた器である本の存在は、ゲーム機もな

ければ、パソコンもないあのときのぼくにとって、かけがえのないものであったのかも

しれない。

 そんな絵本を届けたい。弱ったり、自信がなかったりしている人、悲しかったり、苦

しかったり、もちろん幸せいっぱいの人にも。その人にとって、光る珠のような確信と

して、あるいは勇気として、かたわらで、絵本がきみにうなずいてくれてるよと。

 無垢でやわらかな子どもの、あるいは少し汚れてしまった、それでもチロチロと純

心な火種の残る大人たちの、メーヴェになりたいと。

 大きな対流に乗って、どこかに向かわされている気がしている。いつの時代もそう。

でも、今が危ういと思いながら、不安や、戸惑い、憤りを知りながらも、動いている社

会、そして自分。「自分の考えを信じて」と、その少しだけたくましい力が、肩に手を

置いてくれるよと。

 青春時代に出会った『のらいぬ』(絵/谷内こうた 文/蔵冨千鶴子 至光社)

は『めばえ』から確定的な出会いとなって、絵本の魅力と絵本の力の世界へ、ぼく

を誘っていった。むなしいまでに光る夏の海。憧れと現実であった。のらいぬくん、き

みもか。ドンマイ。

 絵本との出会いは、ほんとうに素敵なこと。その人にとってのゆるぎない光る珠が、

心根にすうっと入っていく確信である。その人にとっての絵本との間に生まれる絆……、

ぼくは、どっぷりと絵本の魅力の可能性をまさぐる人生になってしまった。

メーヴェ 

村上康成

むらかみ・やすなり 1955年岐阜県生まれ。ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、ブラチスラバ世界絵本原画ビエンナーレ金牌受賞、日本絵本大賞受賞など、評価の高い作品を世に送り出している。

『ランドセルがやってきた』 文/中川 ひろたか 絵/村上 康成

1,365円(徳間書店)

『くじらのバース』 作/村上 康成

1,365円(ひさかたチャイルド)

※アニメ映画『風の谷のナウシカ』に登場する、架空の飛行用機械。メーヴェはドイツ語でカモメの意味。

『のらいぬ』 絵/谷内 こうた 文/蔵冨 千鶴子 1,260円(至光社)

いきどお

CBS2A9_KU01_01_P+++ 12.1.9 17:00 ページ 14

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『あやちゃんのうまれたひ』 作・絵/浜田 桂子 840円(福音館書店)

もうすぐ、あやちゃんの誕生日です。「生まれたとき、ちっちゃかった?」「かわいかった?」尋ねるあやちゃんに、お母さんが言いました。「あやちゃんが生まれたときのお話、してあげようか」。それは、家族が誕生する話でもありました。

『くっついた』 作/三浦 太郎 840円(こぐま社)

きんぎょさんときんぎょさんがくっついて、なかよし。あひるさんとあひるさんもくっついて、なかよし。それならお母さんとわたしもくっついちゃいましょう! さあ、お父さんもくっついて! 作者の子育て体験から生まれた、赤ちゃんが喜ぶ絵本です。

『うしお』 作/伊藤 秀男 1,680円(ビリケン出版)

うしおくんは、お父さんとお母さんと一緒に朝のお楽しみ「生まれたごっこ」をしてから幼稚園に行きます。季節に合わせたごっこ遊びに道草遊び、夜はおはなしをしてもらいます。幼児にとっての毎日は、生まれたての色あざやかな冒険の一日です。

『さくら子のたんじょう日』 作/宮川 ひろ 絵/こみね ゆら 1,365円(童心社)

さくら子が名前をもらった桜の木に初めて会ったのは、2年生のときでした。木の願いどおりすこやかに成長したさくら子は、自分の出生に秘密があるのでは?と考えるようになりました。少女の心の成長とそれを見守る家族が、やさしく描かれています。

『とうさんかあさん』 作/ながの ひでこ 1,470円(石風社)

「とうさん話して、こどもの時のはなし。かあさん教えて、こどもの時のはなし」。両親に問いかける子どもに、それぞれが懐かしい子ども時代の思い出を語ってくれます。聞けば聞くほど、昔の父さん母さんに会いたくなってきました。

『おへそのあな』 作/長谷川 義史 1,365円(BL出版)

お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんは、こちらの様子を全部知っています。なぜかって?それは、お母さんのおへその穴から、見えるし、聞こえるし、匂うから。「元気に生まれておいで……」とみんなの呼ぶ声に答えます。「明日、いくからね」。

『あかちゃんのゆりかご』 作/レベッカ・ボンド 訳/さくま ゆみこ 1,400円(偕成社)

もうすぐ生まれてくる赤ちゃんのために、お父さんはゆりかごを作り始めました。ペンキを塗って、いろいろな動物を描くおじいちゃん。ベッドカバーを縫うおばあちゃん。お兄ちゃんはモビールを。お母さんは、にっこりしました。

『うちにあかちゃんがうまれるの』 文/いとう えみこ 写真/伊藤 泰寛 1,260円(ポプラ社)

うちに生まれてくる赤ちゃんを、家族みんなで見守り迎えます。お母さんの臨月のおなかに耳をあて、一心に聞き入るまなか。話しかけると、トクトクと心臓の音。尊い命が誕生するその貴重な瞬間のドキュメント、家族で共感できる写真絵本です。

『ぎゅっ』 作・絵/ジェズ・オールバラ 1,470円(徳間書店)

お散歩をしていたサルのジョジョくん。ゾウやカメレオン、ヘビやキリンの親子たちがみんな「ぎゅっ」と楽しそうにしているのを見て、急にママに会いたくなって泣き出してしまいます。「ぎゅっ」のたくさんつまった幸せな絵本。

『どうぶつのおかあさん』 文/小森 厚 絵/藪内 正幸 780円(福音館書店)

動物のお母さんは自分の子どもたちを、どうやって運ぶのでしょう? 身近な犬やネコに始まり、ライオン、チンパンジー、コアラにゾウなど、子どもたちも大好きな動物の親子の様子が、緻密な絵とシンプルな文章で紹介されます。

『だっこのえほん』 作・絵/ヒド・ファン・ヘネヒテン 訳/のざか えつこ 1,260円(フレーベル館)

みんな、だっこが大好き。チンパンジーも、カメも、アヒルも、ゾウも。カンガルーの母さんはだっこが得意。カニやハリネズミのだっこは、ちょっとたいへん。ぼくとママのだっこはね……。誰かをぎゅっと抱きしめたくなります。

『だっこ だっこ ねえ だっこ』 作/長 新太 893円(ポプラ社)

ねこさんもぶたさんもいぬさんも、みんなだっこされてうれしそうです。おやおや、ほかにもいろんなものがだっこされていますよ。長新太さん独特のシュールな世界が広がる「ねえねえ・えほん」シリーズは、赤ちゃんから楽しめます。

一人ひとりの家族から、地球という大きな 家族のきずなまで、一緒に読みたい、

読み伝えたい100冊の 絵本を紹介します。

『パパと ママの たからもの』 文/サム・マクブラットニイ 絵/アニタ・ジェラーム 訳/小川 仁央  1,365円(評論社)

3匹の子グマにパパとママはいつも「世界でいちばんかわいいこぐまたち!」と言います。でもある日、3匹は自分よりほかの子のほうが好きなのかもしれないと、心配になりました。「誰がいちばん好きなの?」 さあ、パパとママの答えは……?

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『はるかな湖』 作・絵/アレン・セイ 訳/椎名 誠 1,680円(徳間書店)

久しぶりに再会した父子は、打ち解けないまま山へキャンプに行きます。しかし目的地の湖はにぎわいすぎていてがっかり。2人は静かな湖を求めさらに山を登ります。緑深い大自然の中で徐々に距離が縮まり、きずなを取り戻す親子。朝日が昇るとそこには……。

『かばさん』 作/やべ みつのり 1,155円(こぐま社)

お父さんと動物園に行ったみつこは、カバがお父さんにそっくりだと思いました。のんびりどっしりした寝姿は、まるでお父さんそのまま! うちに帰ったら、早速カバの親子ごっこで遊びます。カバになりきってくれるお父さんが大好きです。

『ピッツァぼうや』 作/ウィリアム・スタイグ 訳/木坂 涼 1,575円(セーラー出版)

雨が降って友だちと外で遊べないピートは、ご機嫌ななめです。お父さんは、なんとかしようと、ピートでピッツァを作ることを思いつきました。早速、キッチンテーブルにのせて生地をこねます。さぁ、どんなピッツァができるでしょう?

『ねえ とうさん』 作/佐野 洋子 1,470円(小学館)

こぶしの花が咲き、久しぶりに父さんが帰ってきました。クマの子は父さんと手をつなぎ、森の散歩に出かけます。肩車をしてくれたり、流された橋の代わりに大きな木を折って川にかけたり、「クマらしい」父さんってすごい!

『パパーッ!』 作・絵/フィリップ・コランタン 訳/薫 くみこ 1,260円(ポプラ社)

眠ろうとした男の子の隣に怪獣がいます。びっくりして「パパーッ!」と叫びますが、怪獣のほうでも男の子を怪獣だと思って驚き、同時に「パパーッ!」と叫びます。ふたりはそれぞれに、明るいところへ連れていかれ、怖い夢でも見たのかなと言われます。

『おとうさんがおとうさんになった日』 作/長野 ヒデ子 1,365円(童心社)

みんなで赤ちゃんを迎えようと、会社を休んだお父さん。お父さんは赤ちゃんを産まないけれど、その日は「いつもの景色が輝いて見えるんだ」。家での出産を選んだ家族の様子がよくわかり、お父さんにもおすすめです。

『とうちゃんはかんばんや』 作/平田 昌広 絵/野村 たかあき 1,365円(教育画劇)

「とうちゃんのかくかんばんは、かっこいい」。商店街を歩きながらぼくは思います。ぼくが店のために「かんばんや」という看板を作ると、父ちゃんは「勝手にペンキを持ち出すな」と言いながら、店の入り口にかけてくれるのです。

『せなかをとんとん』 作/最上 一平 絵/長谷川 知子 1,260円(ポプラ社)

しんぺいは、今日、逆上がりができるようになりました。教えてくれたお父さんに、早く知らせたい! 耳の聞こえないお父さんとしんぺいの会話は、背中をとんとんすることから始まります。しんぺいは、お父さんが大好きです。

『すきすき ちゅー!』 文/イアン・ホワイブラウ 絵/ロージー・リーヴ 訳/おびか ゆうこ 1,575円(徳間書店)

お父さんが出かけたあとで、大事なことを忘れたのに気づいたちゅーちゃんは、思わずお父さんを追いかけます。ひとりで出かけて大丈夫? それに、お父さんをねらう怪しい影も見えますよ。ちゅーちゃんの「大事なこと」は何だったのでしょう。

『すえっこ おおかみ』 文/ラリー・デーン・ブリマー 絵/ホセ・アルエゴ、アリアンヌ・デューイ 訳/まさき るりこ 1,365円(あすなろ書房)

ナラの木の幹に隠れて、ほかのきょうだいを見ている末っ子オオカミ。「うまく転がれない」としょんぼりする息子に、灰色の父さんオオカミは「いまはそれでいい。大きくなったらきっとできるようになる」と語りかけます。

『きんようびはいつも』 作/ダン・ヤッカリーノ 訳/青山 南 1,470円(ほるぷ出版)

金曜日はいつも、パパと一緒に早く家を出ます。どんな天気でも変わりません。動き出す町の中、みんなは急いでもぼくらは急がず、いつもの食堂でいつもの朝食。そして、いろんなことを話します。ぼくは、金曜日が大好きです。

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『おかあさん だいすき』 作・絵/マージョリー・フラック 訳/光吉 夏弥 672円(岩波書店)

あるところにだにーという男の子がいました。今日はお母さんの誕生日。贈り物は何がいいでしょう? 動物たちに相談しましたが、なかなか決まりません。最後に、森のクマさんが素敵なことを教えてくれました。それはね……。

『ちいさな ヒッポ』 作/マーシャ・ブラウン 訳/うちだ りさこ 1,260円(偕成社)

カバのヒッポは、お母さんのそばにいさえすれば安心です。ある日、お母さんはヒッポに危険を知らせる「グァオ たすけて」という言葉を教えてくれました。大きなワニに襲われたとき、ヒッポはちゃんとお母さんの教えを守れたでしょうか?

『おんぶは こりごり』 作/アンソニー・ブラウン 訳/藤本 朝巳 1,575円(平凡社)

家の用事は何でもママにおまかせのパパと息子たち。ある日ママは、「ぶたさんたちの おせわは、もう こりごり!」と書き置きを残し、出ていきます。仕方なくママの代わりに働いても、うまくいかないことばかり。困り果てたところへやっとママの帰還です。

『ママがおうちにかえってくる!』 絵/トメク・ボガツキ 文/ケイト・バンクス 訳/木坂 涼 1,680円(講談社)

階段横の電話が鳴ったら、ママが仕事から帰ってくる時間です。パパはごはんの準備を始め、子どもたちも部屋を片づけ始めました。嵐の中、まっすぐ家へ急ぐママ。お帰りなさい!みんなでお出迎えをしたら、さぁごはんです!

『おひさまいろのきもの』 作・絵/広野 多珂子 1,575円(福音館書店)

母さんとふたり暮らしのふうは、目が見えません。今度の秋祭りには、友だちとそでの長い着物を着ていくことを願っていました。貧しい暮らしの中で、母さんとふうはどうしたでしょうか。大正時代を背景にした絵も、隅々まで見てください。

『かあちゃんのせんたくキック』 文/平田 昌広 絵/井上 洋介 1,365円(文化出版局)

うちの母ちゃんはすごい。今日もまたおんぼろ洗濯機が動かなくなった。すかさず母ちゃんのせんたくキックが炸裂! お次はテレビに自動販売機、勝負はもちろん勝ち。母ちゃんの偉大さが力強く描かれ、躍動感いっぱいに宙に舞います。

『おかあさん、げんきですか。』 作/後藤 竜二 絵/武田 美穂 1,155円(ポプラ社)

4年生の「ぼく」は、母の日に感謝の手紙を書こうと先生に言われます。なんだか照れくさいので、よく考えて、言いたいことを書くことにしました。言ってほしくない言葉に、してほしくないこと。でも、最後にはとっておきのひとことを用意したのです。

『あそぼう あそぼう おかあさん』 作/浜田 桂子 880円(福音館書店)

みんながおうちにいる日曜日、ねぼすけお母さんを起こして遊びましょう。布団もエプロンも工夫すれば立派な遊び道具に変身しちゃいます。お母さんのだっこマシーンも最高! おばあちゃんがやってきたら、そろってお買い物に出かけます。

『だいすきひゃっかい』 作/村上 しいこ 絵/大島 妙子 1,365円(岩崎書店)

なぞなぞです。「寝る前に、はるながいくのはどこでしょうか」。洗面所、トイレ、窓の下……。答えはお母さんの腕の中。「はずれた罰に、だいすき100回だよ」。お母さんが、ぎゅうっと抱きしめてくれます。だいすき1回2回3回……。

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『おじいちゃんがおばけになったわけ』 文/キム・フォップス・オーカソン 絵/エヴァ・エリクソン 訳/菱木 晃子 1,365円(あすなろ書房)

死んじゃったはずのおじいちゃんがおばけになってエリックのところに現れました。人はこの世に忘れものがあるとおばけになると知った2人は、忘れものが何か一緒に探し始めます。それはおじいちゃんの思い出をたどることでもありました。

『おだんごスープ』 文/角野 栄子 絵/市川 里美 1,260円(偕成社)

おばあさんが死んでひとりぼっちのおじいさん。おばあさんのスープが懐かしくて、思い出しながら作ってみます。でも何か足りない。お客が次々やってきて、スープをごちそうするうちに……。最後は元気な笑顔でおいしいスープのできあがりです。

『うちのおじいちゃん』 文/谷口 國博 絵/村上 康成 1,000円(世界文化社)

うちのおじいちゃんが大切にしているおんぼろぐるま。雨の強い日は雨もりするし、風の強い日には、屋根が飛んでいくし。それでも、家族の思い出をいっぱいのせてみんなに追い抜かされながら、今日もにこにこ運転しています。

『だいじょうぶ だいじょうぶ』 作・絵/いとう ひろし 1,050円(講談社)

男の子が小さくて、おじいちゃんが元気だったころ、2人はよく散歩に出ました。小さな冒険や発見がいっぱいで、何か怖いことや困ったこと、いやなことがあると、おじいちゃんは必ず「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかけてくれたのです。

『こん と あき』 作/林 明子 1,365円(福音館書店)

ぬいぐるみの「こん」は、生まれたときから「あき」と一緒で、きょうだいのようです。あきが大きくなるのに、こんは古くなり、体がほころびてしまいました。こんを作ってくれたおばあちゃんに直してもらうため、ふたりは砂丘の町まで列車の旅に出ます。

『ぶたばあちゃん』 文/マーガレット・ワイルド 絵/ロン・ブルックス 訳/今村 葦子 1,500円(あすなろ書房)

ぶたばあちゃんと孫むすめはずっと一緒に暮らしていましたが、ぶたばあちゃんはくたびれていつもどおり起きられなくなり、ある「したく」を始めました。命の終わりが近づくとき、どう過ごすのが幸せなのか、家族のあり方を考えさせられる絵本です。

『ほろづき』 作・絵/沢田 としき 1,365円(岩崎書店)

ユキくんのひいおばあちゃんは、北のはずれの村で暮らしています。ひ孫たちが次の夏にいも掘りに来てくれるのを楽しみにしていたのに、息を引き取ってしまいました。でも、お葬式の夜、満月の中に、天にのぼったおばあちゃんの姿が見えたのです。

『わたしの おばあちゃん』 文/ヴェロニク・ヴァン・デン・アベール 絵/クロード・K・デュボア 訳/野坂 悦子 1,365円(くもん出版)

大好きなおばあちゃんがアルツハイマーになりました。会うたびに変わっていく様子にとまどいながらも、病院に通いやさしく気遣うマリー。かけがえのない家族の大切さを子どもの目線で描きます。おばあちゃんが決して忘れない2人の秘密とは……。

『おばあちゃんが ちいさかった ころ』 文/ジル・ペイトン・ウォルシュ 絵/スティーブン・ランバート 訳/まつかわ まゆみ 1,365円(評論社)

おばあちゃんが小さかったころは、電車も船もアイスクリーム売りも今とは違っていました。懐かしそうに語るおばあちゃんにロージーは「小さかったころのほうがよかった?」と問いかけます。おばあちゃんのすてきな答えとは……?

『はやく あいたいな』 作/五味 太郎 1,260円(絵本館)

丘の上に住むようちゃんは、急におばあちゃんに会いたくなりました。そのころ、山の上に住むおばあちゃんもようちゃんに会いたくなりました。でも行き違いになってがっかり! こうしてはいられません。なんとしても早く会いたい2人なのですから。

『おじいちゃんちでおとまり』 作・絵/なかがわ ちひろ 1,155円(ポプラ社)

男の子が初めておじいちゃんの家でお泊まりです。銭湯に行ったり買い物に寄ったりしながら、寝るまで昔の話を聞かせてもらいます。サメやワニに襲われそうになり、危険を乗り越えて島で楽しく過ごしたという冒険談は、とてもすてきなものでした。

『おじいちゃんがだっこしてくれたよ』 文/シャーロット・ゾロトウ  絵/ペネ・デュボア 訳/みらい なな 1,313円(童話屋)

ある晩、ルーはおじいちゃんを呼びましたが、来てくれたのは母さんでした。おじいちゃんは4年も前に亡くなっています。でも、ルーは「ぼくが呼ぶとすぐに来て、だっこしてくれた」。大好きなおじいちゃんのことを、覚えています。

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『ちょっとだけ』 作/瀧村 有子 絵/鈴木 永子 840円(福音館書店)

赤ちゃんが生まれて、ママは赤ちゃんの世話で忙しそうです。なっちゃんは着替えや髪どめを自分でやって“ちょっとだけ”成功しました。でも「“ちょっとだけ”だっこして」と言ったとき、ママは……。忙しいお母さん、ぜひ読んでください。

『フランシスのいえで』 作/ラッセル・ホーバン 絵/リリアン・ホーバン 訳/まつおかきょうこ 1,020円(好学社)

妹のグローリアができてから、何かとおもしろくないフランシスは、ある日家出をすることにしました。晩ごはんのあと、リュックサックに荷物を詰めて、食堂のテーブルの下へ。そこで耳にしたのは、お父さんとお母さんのやさしい思いでした。

『あーちゃんのおにいちゃん』 作/ねじめ 正一 絵/長野 ヒデ子 1,260円(偕成社)

あーちゃんのお兄ちゃんは、かっこ悪くて、やさしくなくて、ちっとも言うことを聞きません。でも、こんな子どこかにいそうですね。困ったお兄ちゃんだけど、なぜか憎めない、という妹の視線が温かい、後味のいい絵本です。

『ぼくのかわいくないいもうと』 作/浜田 桂子 1,260円(ポプラ社)

ぼくの妹は、とってもおしゃべりででしゃばり。いつも、「おにいちゃーん」って大声で走ってくるんだ。好きな絵本は『ぼくのかわいいいもうと』だって。でも、おたふくかぜで寝ている妹を見ていたら……。

『おはようサム』 作/メアリー=ルイーズ・ゲイ 訳/江國 香織 1,260円(光村教育図書)

「おきて!」ピカピカとまぶしい朝。早く散歩に行きたくてステラがサムを呼んでいます。「おきてるよ」あくびをしながら答えるサム。パンツは見つからないし、くつしたの片方も消えちゃうし……。やっとしたく完了! でも、今度はステラが?

『はるになったら』 文/シャーロット・ゾロトウ 絵/ガース・ウィリアムズ 訳/おびか ゆうこ 1,470円(徳間書店)

女の子が小さな弟に語りかけるやさしい言葉の数々。春になったら、風が吹いたら、海に行ったら、あたしがお母さんになったら……。かわいい弟にしてあげたいことがたくさん。言葉に寄り添うやさしい絵に愛情があふれています。

『ぜったいたべないからね』 作/ローレン・チャイルド 訳/木坂 涼 1,365円(フレーベル館)

好き嫌いばかりで、きちんと食事をしようとしない妹。何とかしようとお兄ちゃんが工夫します。にんじんのことを「えだみかん」と言い、魚フライのことを「ころもうみ」と名づけ、「珍しい食べ物なんだ」と言うと、妹の気持ちはすっかり変わりました。

『まほうの夏』 作/藤原 一枝、はた こうしろう 絵/はた こうしろう 1,365円(岩崎書店)

ケイとユイの兄弟は、夏休みにお母さんの田舎に行くことになりました。虫とり、川遊び、海水浴、魚釣り。毎日夢中になって遊べば「都会の子」はたちまち真っ黒に日焼けした「田舎の子」に変身しました。それはまるで魔法にかかったような夏でした。

『まねしんぼう』 作・絵/みやにし たつや 956円(岩崎書店)

ぼくの妹はまねしんぼうなんだ。ぼくが言うこと、やること、みんな真似して、やろうとする。できないのに、やろうとする。だから、失敗ばかり、おかしなことだらけ。でも、いつも一緒の妹です。

『ぼくは弟とあるいた』 作・絵/小林 豊 1,470円(岩崎書店)

冬の朝、戦争がやってきて、僕は弟と2人きりで両親と別れ、おじいちゃんの家をめざします。ところが砂漠の真ん中でバスが故障し、乗客は歩くしかありません。混沌とした状況の中で知らない同士が助け合い、家族のようになって旅を続けます。

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『くじらのバース』 作/村上 康成 1,365円(ひさかたチャイルド)

ナリン少年の住む南の島に冬が来ると、今年もクジラのバースが戻ってきます。ナリンが生まれた年にここで生まれたバースは、夏は北の海に旅をするのです。シンプルな絵ながらクジラの生態がわかり、地球に生きる命を考えさせられます。

『ライオンのよいいちにち』 作/あべ 弘士 1,365円(佼成出版社)

ライオンの父さんは、子どもたちを引きつれてお散歩です。草原の向こうの岩山でお昼寝すれば気分上々、目覚めればいい俳句が口からこぼれ出ます。狩りは母さんにまかせてマイペースで子守りをするライオンの姿が、ユーモアたっぷりに描かれています。

『ちびゴリラのちびちび』 作/ルース・ボーンスタイン 訳/いわた みみ 1,313円(ほるぷ出版)

お母さんもお父さんも、おじいちゃんたちも、生まれたときから小さいゴリラのちびちびが大好きでした。森の虫も鳥も、キリンやライオンも、ちびちびが大好きでした。けれども、ある日、ちびちびがどんどん、どんどん大きくなり始めたのです。

『スイミー』 作/レオ=レオニ 訳/谷川 俊太郎 1,529円(好学社)

小さな黒い魚のスイミーは、海の中の素晴らしいものや美しいものを見るのが大好きでした。ところが赤い小さな魚たちは大きな魚が怖くて岩かげにじっとしています。そこでスイミーはみんな一緒に大きな魚のふりをして泳ぐことを提案します。

『コウテイペンギンのおやこ』 写真・文/内山 晟 1,050円(ポプラ社)

コウテイペンギンの故郷は、南極の氷の上。子育ても、厳しい自然環境の中です。お母さんが産んだ卵を温めるのは、お父さんの役目。誕生した赤ちゃんが大きくなるまでの様々の様子をとらえた写真には、愛情とたくましさがあふれています。

『タテゴトアザラシのおやこ』 写真/福田 幸広 文/結城 モイラ 1,050円(ポプラ社)

2月の終わり、北極の海から泳いできたタテゴトアザラシのお母さんは、安全な流氷の上で赤ちゃんを産みます。そして、一緒に暮らすのは、わずか2週間。生きていくために何より大事な泳ぐことを教えたら、別々の暮らしになるのです。

『おおきくなったよ さるのあかちゃん』 文/さえぐさ ひろこ 写真/松成 由起子 1,050円(ひさかたチャイルド)

春の初めに生まれた、ニホンザルの赤ちゃんは、いつもお母さんと一緒です。夏から秋、そして冬へ、遊びながらも、生きていく術を少しずつ身につけていきます。また巡ってきた春の中に、お兄ちゃんになった姿がありました。

『14ひきのあさごはん』 作/いわむら かずお 1,260円(童心社)

野ネズミの大家族が、テーブルを囲んで朝食を楽しく始めるまでが描かれています。冷たい水で顔を洗った子どもたちは、森へ野イチゴつみに……。台所では、おばあちゃんやお母さんがパン作り、庭では、おじいちゃんとお父さんがスープ作りです。

『ぼくはねこのバーニーが だいすきだった』 作/ジュディス・ボースト 絵/エリック・ブレグバッド 訳/なかむら たえこ 1,050円(偕成社)

大好きなネコのバーニーが死んじゃってとっても悲しいぼくに、母さんが言った。「バーニーのいいところを10、思いだしてごらん」。バーニーの埋葬、両親との温かい会話を通して、男の子は、悲しみから立ち直っていきます。

『のら犬ウィリー』 作/マーク・シーモント 訳/みはら いずみ 1,365円(あすなろ書房)

ピクニックに出かけた公園で出会った1匹の子犬。ウィリーという名前をつけて一緒に遊びましたが、飼い主が心配するからと連れては帰れませんでした。翌日から家族はウィリーのことが気になってたまりません。ついにもう一度あの公園に出かけて……。

『猫吉一家物語 春夏』 作/大島 妙子 1,260円(金の星社)

猫吉、お茶目、昆布助の猫吉一家は、ガタゴト荷車できれを売るのが仕事です。人情味あふれる猫吉一家の行くところ、うれしい出会いや楽しいできごとがいっぱい。いつも明るい笑いが絶えません。「秋冬」編もありますよ。

『ジローとぼく』 作・絵/大島 妙子 1,050円(偕成社)

犬のジローとぼくは大の仲よし。いつも一緒に寝てたのに、ジローが大きくなりすぎてとうとう犬小屋にお引っ越し。泣いてるのがかわいそうで犬小屋に泊まりに行った次の朝、ジローとぼくが入れかわってびっくり! でも犬ってけっこうラクチンだったりして……。

『7日だけのローリー』 作/片山 健 1,260円(学習研究社)

ある朝家の外に見たことのない犬がいました。飼い主を探しながら1週間だけという約束でぼくたち家族が世話をすることになりました。「ローリー」と名づけた迷子の犬と過ごす幸せな1週間は飛ぶように過ぎていきました。

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『おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん』 作/長谷川 義史 1,470円(BL出版)

5歳の男の子がおじいちゃんに尋ねます。おじいちゃんのお父さんやおじいちゃんはどんな人だったのか……と。さらに、そのお父さんやおじいちゃんのことも知りたくなって次々聞くと、着流し姿やちょんまげ姿、腰みの姿の人たちが絵に登場します。

『ちいさな あなたへ』 文/アリスン・マギー 絵/ピーター・レイノルズ 訳/なかがわ ちひろ 1,050円(主婦の友社)

小さな指にキスをして誕生を喜んだあの日、やがてあなたは赤ちゃんから子どもへと育ち、巣立つ日もやってきました。母であることは、幸せや喜びをもたらすと同時に不安や痛みを伴うことでもあります。変わることのない愛に胸がいっぱいになります。

『いのちのまつり』 作/草場 一壽 絵/平安座 資尚 1,575円(サンマーク出版)

「いのちをくれた人のことをご先祖さまというんだよ」。島のオバアが教えてくれました。コウちゃんは、自分の命がお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、数えきれないほどたくさんのご先祖さまから受け継がれてきたものだと知るのです。

『ぼくは孫』 作/板橋 雅弘 絵/西村 敏雄 1,365円(岩崎書店)

おじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まることになったぼくは、うれしさいっぱいです。何しろ口うるさいママとは月とすっぽん。やさしくて理解があって、どこまでも孫には寛大なおじいちゃんとおばあちゃん。ありふれているけれど、特別な一日です。

『ぎゅうぎゅうかぞく』 作/ねじめ 正一 絵/つちだ のぶこ 1,155円(鈴木出版)

としおくんちは商店街の八百屋さんです。遊びに行ったら、お店でお母さんやお父さんが忙しく働いていました。あれあれ? 次々に現れるとしおくんの家族って、いったい何人いるのかな? 近ごろはにぎやかに暮らす、こんな大家族が少なくなりました。

『ザビット一家、家を建てる』 写真・文/長倉 洋海 1,890円(偕成社)

紛争の地セルビア・モンテネグロという国のコソボ自治州、ブコビッツ村。3年半ぶりに会ったザビットの一家は、新しい家を建築中でした。両親と8人の子どもたち。一歩一歩着実に生きている家族を追った写真絵本です。

『にぐるま ひいて』 文/ドナルド・ホール 絵/バーバラ・クーニー 訳/もき かずこ 1,470円(ほるぷ出版)

10月。父さんは、1年の間に家族みんなで作り、育てたものを荷車に積み込み、ポーツマスの市場に売りに出かけました。羊毛を紡いだショール、手袋、ほうき、りんご、楓砂糖……。最後に牛を売り、ささやかな家族への買い物をして、家へ帰ります。

『星空キャンプ』 作/村上 康成 1,890円(講談社)

湖のほとりにキャンプして1週間。テントのそばで枝の折れる音がして、ミナは父さんと母さんを起こしました。目が覚めて、思い思いしゃべりだしたのは、キャンプの思い出の数々。それは、生き物みんなが今一緒にいることを感じることでした。

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『いろいろかぞく』 作/トッド・パール 訳/ほむら ひろし 1,365円(フレーベル館)

大きな家族があれば、小さな家族もあります。静かな家族もあれば、騒がしい家族もあります。ポップな色彩で登場する、いろいろ家族。くっついたり、離れたり、それでもきみのは特別すてき。

『ごきげんなすてご』 作/いとう ひろし 1,365円(徳間書店)

3カ月前、弟がやってきてから、お母さんは私のことなんてほったらかし。弟は、サルみたいで全然かわいくない。私は、りっぱな捨て子になると決めて、家を出た。工夫もしたし、夢も広がるけれど、思うようにはならないなぁ……。

『あいちゃんの そら』 作・絵/小林 優華 1,260円(ひさかたチャイルド)

あいちゃんは、病気で歩くことができません。でもとっておきの秘密の遊びがあるんです。それは“空”で遊ぶこと。空想の翼を自由に広げ、青い空をぐんぐん飛びまわって、小鳥さんと雲に乗って遊びます。あいちゃんのすてきな世界。

『ちえちゃんの卒業式』 写真・文/星川ひろ子 1,470円(小学館)

ちえちゃんは、肢体不自由児です。でも、近所の小学校にお母さんと通い、卒業しました。「これからは、あたし、ひとりでへいきだよ」とお母さんに言ったちえちゃん。振り返った日々には、いろいろなことがありました。

『うちの かぞく』 文/谷口 國博 絵/村上 康成 1,000円(世界文化社)

怒ってばかりのお母さんはキツネになってしまい、飲みすぎてばかりのお父さんはタコになり、くしゃみしたおばあちゃんは梅干しになって……。そういう家族がみんなでにっこり笑ったら、ぽかぽかになっちゃって「おひさま」になるという結びです。

『ぼくのうちはゲル』 絵・文/バーサンスレン・ボロルマー 訳/長野 ヒデ子 1,575円(石風社)

モンゴルで生まれた男の子ジル。ラクダの鈴を子守歌に、家族やヒツジと長い旅に出ます。秋には秋の、そして冬には冬の土地……。季節ごとに旅をして、その土地でまあるいゲルの家をつくり、暮らします。夏、大好きな緑の草原で、ジルはすくすく育ちます。

『たのしいホッキーファミリー、 いなかへいく!』 作/レイン・スミス 訳/青山 南 1,680円(ほるぷ出版)

お父さん、お母さんと3人の子どもたちのホッキー一家が、町から田舎へ引っ越しました。田舎の暮らしは町とは違うことばかりですが、ホッキー一家はいつでも楽天的です。ゆかいなエピソードが独特のタッチの絵で繰り広げられます。

『日曜日の歌』 絵・文/長谷川 集平 1,173円(好学社)

ぼくが友だちをなぐったり、泣かしたりしたこと、家族で映画を見に行ったこと、そして日曜日は父ちゃんの野球の試合だったこと。その様子が絵日記風につづられ、人と人との関係や親子のつながりを考えさせられます。

『ぼくんちどうぶつえん』 文/正道 かほる 絵/大島 妙子 1,050円(童心社)

しょうたのうちは、とっても楽しい動物園です。お肉が好きなお父さんは、ライオンみたいだし、なんでも洗濯しちゃうお母さんは、アライグマみたいです。それぞれが何かの動物に似ている愉快な一家に、会いに行ってみたくなりました。

『4こうねんのぼく』 作・絵/ひぐち ともこ 1,260円(そうえん社)

今日の宿題は星の観察。それを知ったお父ちゃんは、ぼくと弟を夜のピクニックに連れ出します。「4光年離れた星からは4年前の地球が見える」と学校で教わったぼくは、今はいないお母ちゃんが見えるはずと、お父ちゃんに説明をするのでした。

『ロバのシルベスターとまほうのこいし』 作/ウィリアム・スタイグ 訳/せた ていじ 1,365円(評論社)

ロバのシルベスターは、魔法の小石の力で岩になってしまいました。父さんと母さんは、急にいなくなった息子を捜し回りましたが、見つかるはずがありません。どうしたら、もとのロバに戻れるのでしょう? やがて季節は移り……。

『そんなことって、ある?』 文/奥田 継夫 絵/西村 繁男 980円(サンリード)

おじいさんの提案で、家族でジョギングレースをすることになりました。おみやさんへ行って、裏をまわってくる往復2キロの道のりです。ところがハプニングが起こって、脱落者続出! ぼくが一番、と思ったらどんでんがえしが待っていました。

『パパはジョニーっていうんだ』 作/ボー・R・ホルムベルイ 絵/エヴァ・エリクソン 訳/ひしき あきらこ 1,260円(BL出版)

離れて暮らすパパと男の子が一緒に一日を過ごせることになりました。映画館でも図書館やカフェでも、男の子は「ぼくのパパなんだ」と紹介をします。すると、帰りの列車の中へ男の子を連れていき、パパが「ぼくの息子です」と紹介を始めました。

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『リベックじいさんのなしの木』 文/テオドール・フォンターネ 絵/ナニー・ホグロギアン 訳/藤本 朝巳 1,575円(岩波書店)

実った梨を収穫し子どもたちにあげていたリベックじいさん。彼の最期の願いは梨をひとつお墓に埋めてほしいということでした。その梨の木は大きく育ち、いつまでも子どもたちに豊かな恵みを与え続けました。ドイツの美しい叙事詩です。

『やまなしもぎ』 再話/平野 直 画/太田 大八 1,260円(福音館書店)

病気のお母さんが3人の兄弟を呼んで、「やまなしが食べたい」と言いました。兄弟は順番にやまなしをもぎに出かけていきますが、上の2人は沼の主に飲み込まれてしまいます。そして、3番目のさぶろうが出かけていきました……。

『スーホの白い馬』 再話/大塚 勇三 画/赤羽 末吉 1,260円(福音館書店)

草原に住むヒツジ飼いの少年は、白馬を大切に育てます。しかしその素晴らしい駿馬に目がくらんだ殿様は、理不尽に取り上げます。白馬は隙を見て一目散に逃げ出しますが、背中に次々矢が刺さり……。モンゴルの楽器、馬頭琴の由来を伝える民話です。

『きつねにょうぼう』 再話/長谷川 摂子 絵/片山 健 1,365円(福音館書店)

昔、貧乏な男に一夜の宿を頼んだ若い女に化けたキツネは、そのまま女房となり2人には子どもができます。ところが花盛りの椿に見とれて気が緩み、幼子にキツネの尻尾を見つかってしまいます。田植えの朝、いなくなった女房の澄んだ歌声が聞こえてきました。

『ねずみのよめいり』 再話/おざわ としお 絵/かないだ えつこ 1,680円(くもん出版)

ネズミの夫婦はきれいで気だてのいい娘が自慢の種、世界中で一番えらい方に嫁がせたいと願っておりました。まずはお日さまに相談するのですが、風のほうがもっと強いと断られてしまいました。娘の幸せを祈る親の気持ちが胸に迫る、日本の昔ばなしです。

『シナの五にんきょうだい』 文/クレール・H・ビショップ 絵/クルト・ヴィーゼ 訳/かわもとさぶろう 1,300円(瑞雲舎)

昔、シナの国にそっくりな顔をした5人の兄弟がおりました。ある日、海の水を飲み干すことができる一番上の兄さんが牢屋に入れられてしまいました。4人の弟たちはそれぞれの特技を使って、兄さんを助けることになりました。成功したのでしょうか?

『かさじぞう』 再話/瀬田 貞二 画/赤羽 末吉 840円(福音館書店)

吹雪の中に立っている6体の地蔵さまを見つけたおじいさん。「さむかろう」と売り物の笠と自分の笠をかぶせて帰りました。すると正月の明け方6人の編み笠をかぶった人たちが重い俵をのせたそりをひいてやってきました。誰もが知っている昔ばなしです。

『かあさんの いす』 作・絵/ベラ B.ウィリアムズ 訳/佐野 洋子 1,427円(あかね書房)

お母さんもおばあちゃんも私も、大きなびんにお金を貯めています。いっぱいになったらそのお金で、ふわふわでバラの模様がきれいなイスを買うためです。火事ですべてを失った家族が力を合わせて、世界一すてきなイスを手に入れる温かいおはなしです。

『パパのカノジョは』 作/ジャニス・レヴィ 絵/クリス・モンロー 訳/もん 1,365円(岩崎書店)

パパのカノジョはカッコ悪いし、とっても変わってるんです。でも、あたしの話をじっと聞いてくれて、あたしのことすごくカッコいいって言ってくれます。パパのカノジョという微妙な関係を受け入れる少女がユーモアをこめて語られます。

『おおきなかぶ』 再話/A.トルストイ 訳/内田 莉莎子 画/佐藤 忠良 780円(福音館書店)

おじいさんが植えたかぶは、とてつもなく大きくなって、とてもひとりでは抜けません。おばあさんに孫、犬、ネコと次々手伝いにやってきます。有名なロシアの民話がダイナミックな絵で生き生きと描かれ、一緒にかけ声をかけて読みたくなります。

『おばあちゃんのちょうちょ』 文/バーバラ・M・ヨース 絵/ジゼル・ポター 訳/ふくもと ゆきこ 1,680円(BL出版)

大好きなおばあちゃんが死んでしまった……。「マジック・サークル」と呼ばれる蝶が集まる森の神秘的な美しさやメキシコの伝統行事「死者のお祭り」を通して、少女はやがて「おばあちゃんはずっと心の中にいる」と気づきます。

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小さな子どもにとって「あそび」は生活そのもの。そして、そのあそびのタネは

日常のふとしたところにたくさん転がっています。忙しいお父さんやお母さんでも、

おうちで簡単に楽しめる家族あそびをご紹介します。

イラスト/松井 なつ代

小さなけんかが始まったら、わらべうたの手あそびで仲直り。さっきまでけんかしてプンプン怒っていた子も、いつのまにか他人事のようにケラケラ笑い合って楽しんでいるかもしれません。

おやすみ前にテンションが上がりすぎていたら、まぶたが重くなるような静かな手あそびを。それぞれの指を家族に見立てて名前で呼んでみたり、おはなしを自由にふくらませてみてもおもしろいと思います。

雨の日は、おうちの中で雨を楽しんでみてはいかがでしょう。おなじみの「でんでん虫」のうたに合わせて、どんどん前に進んでいきます。コツさえつかめば勝手に指が動いていきますよ。

わらべうたやおはなしに合わせて、手や指を動かしてあそびます。これさえ覚えておけば、場所を選ばずいつでも活用できます。ちょっとぐずったときや、おやすみ前にもお役立てください。

右手で

最初のポーズ

両手の親指と

人さし指を使って

左手で

しゃくとり虫がはうように片手ずつ前に進む

親指から順番に指を 折って寝かせていく

にぎったげんこつを やさしくなでながら

みんなを寝かせたら

左手に広げたハンカチをかぶせる

ハンカチの下でぴょこっと 指を1本立てる

それぞれの指をまた寝かせ、 「起こさないよう静かにね」と声をひそめる

そっとめくると……

→ 2 6 → 7

→ 3 6 → 7

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眠いけど、「まだまだあそびたい!」なんて言い出したら『おじぞうさん』を。だんだんとゆっくりとくり返し揺らしているうちに……、おやおや、どうやら眠くなってきたようです。

ズボンにマフラーやタオルをはさんでしっぽに見立てます。相手のおしりを追いかけて、先にしっぽを取ったほうが勝ち。子どもが大きくなるほど大人も燃えます!

「お船に乗ろうか」と子どもをひざにのせ、大波、小波と強弱をつけて揺すれば大喜び。むずかっている赤ちゃんにも子守歌のようにやさしく揺するといつのまにかすやすや。スキンシップいっぱいのわらべうたあそび。

休日はごろごろしていたいパパにもいいからだあそびがあります。10円玉を入れるまねをすれば軽く揺れて止まり、100円玉を入れたらうんとはげしく動いたり、1円玉だとほとんど動かなかったりと強弱をつければおもしろくなります。 少し大きな子には「ほら、大波が来たよ」とはげしく

左右上下に揺すってみたり、元気にあそんでもいい

腕の中にしっかりだいて

相手のおしりを追いかけて、先にしっぽを取ったほうが勝ち!

赤ちゃんにはゆっくり水をつけるような動作で、スリルの好きな子には落ちそうなくらいの勢いでしても喜ぶ

エネルギーがいっぱいあまっているようなら、からだ全体を使ってのあそびを。休日のおつかれパパでも、久しぶりにあそびに来たおばあちゃんとも、子どもと思いきりふれあえるあそびがたくさんあります。

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1枚の新聞紙を折って、子どもを主人公にしたおはなしをつけて形を変えていきます。壊れたと思った船が、最後は手品のように救命着になってもどってくるのでひと安心。

七変化のハンカチあそびは、何度でもくり返してやれるのが魅力です。目の前の形から想像がふくらんで、おしゃべりやごっこあそびにも発展します。

新聞紙を広げ、半分に折る

帽子を脱いで船に 見立て

はげしく船が揺れるように

もう片方も ちぎる

上もちぎる

丸めて ポーンと 投げる

拾った新聞紙を広げて 子どもにかぶせる

片方を ちぎる

折り目を上にして 角を三角に折る

はみ出た部分を 前後に折り上げる

ここからおはなしが 始まる

新聞を使った ママのおはなし

買い物かご →キャンディー →ネズミと変身する 薄手のハンカチがやりやすい

まず三角に折って

3分の1に折る

手前に起こす

向こうに出て いる部分を下の 穴に押しこむ

こんな形になる 一方を広げ

結ぶと

ついにネズミの できあがり!

裏返す

買い物かごのできあがり!

とっての部分を引っぱって 2本に分ける

大きなキャンディーのできあがり!

両端が少し重なるように折る

下からクルクル3回ほど巻く

裏返して

穴に指を差しこみ内側が表に出てくるようにクルリクルリと3回ほどひっくり返す

てぶくろがかわいいうさぎに大変身! ポケットの中から、机の下から……小さな頭を少しずつのぞかせて、「だれが出てくるかなー」。お店で売られているぬいぐるみより、意外にもこのてぶくろうさぎのほうが好評かもしれません。

おもちゃがなくても、日用品がりっぱなあそび道具に早替わり! シンプルなもののほうが応用がきくので、どんどんアイデアをふくらませてみて。子どもはあそびの天才! 捨ててしまうようなひもや厚紙も大活躍します。

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「ゆうびんでーす」、やっぱりごっこあそびは大好き。いつもはパパやママ宛ての郵便物ばかりが届くけれど、ここには自分宛てのお手紙が入っているからうれしいですよね。切手風の紙を貼ってちょっと本格的にしても楽しいです。

用意するもの

画用紙、クレヨン、はさみ、クリップ、セロハンテープ、ひも、はし、マグネット

クリップとマグネットのかわりに ガムテープを丸めてひもの先につけて釣ってもいい

ティッシュのあき箱に ひもをつけてぶら下げたポスト

布団を海に、座布団を島に見立てて魚釣りあそび。海にいない生き物を描いてもOK! ここにしかいない、何でもありの魚釣り大会で大盛り上がり!というのもおもしろいですよ。

子どもははさみやクレヨンを使って、ちょきちょきぺたぺたが大好きですよね。慣れないはさみやセロハンテープもママがついていれば大丈夫。ギザギザもヨレヨレも、大人には真似ができないかわいさです。

『たのしい親子あそび108』 著/広松 由希子 絵/松井 なつ代 1,260円(主婦の友社)

以上のあそびは この本から紹介しました。

工作あそびが終わったら……、色紙の切りくずで風船あそび。ぽんぽんと手でつくと、中で色紙が舞う、即席万華鏡のような趣。切りくずのゴミも出ないし、おかたづけも楽しくやれて一石三鳥!?

まず、子どもが画用紙に色を塗ってから、 ママが魚の形に切る

ひもやマグネットなどをセロハンテープで固定する

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折り紙を半分に折って、はさみでチョキチョキすると……あっという間にできあがり!

親子で読んで、つくって、遊べる、楽しい折り紙絵本シリーズ。

『にゃん にゃん』『わん わん』『ぷっぷー ぶっぶー』各1,050円(ポプラ社)

赤ちゃんはにゃんにゃんが好き。でも、にゃんにゃんは赤ちゃんがにがて。お昼寝したり、逃げたり、立ち止まってくるりと振り返ったり……。足やしっぽをちょっと折るだけでにゃんにゃんのいろんな表情が楽しめますよ!

わんわんが「ワン」とごあいさつしたら、小さな男の子はびっくりして「わんわん」と泣き出しました。さぁ、わんわんはどうやって男の子と仲よくなれるかな? わんわんの得意なおすわりやしっぽをフリフリだってできますよ!

ぷっぷー ぶっぶー ピーポー ピーポー ががががが びゅーん。事故にならないように安全運転しましょ。さらにアレンジして、好きな色紙を使ってトラックやはたらく車もつくってあそぼう!

折り目は上 ネコの絵を描く

折ったままで ネコのまわりを切り抜く

切れ端で耳をつける

広げると立つ にゃんにゃんのできあがり! にゃんにゃん!

折り紙を半分に折る

折り目を上にする

折り目は上 犬の絵を描く

折ったままで 犬のまわりを切り抜く

しっぽを上に折る

広げると立つ わんわんのできあがり! わんわん!

折り紙を半分に折る

折ったところを 上にする

折り目は上 車の絵を描く

折ったままで 車のまわりを切り抜く

できあがり! ぷっぷー。 別の色紙でタイヤを 貼りつけるのもいいよ。 ちゃんと立つから 立てて遊べるよ! ぶっぶー。

折り紙を半分に折る

折り目を上にする

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抽選で50 組にオリジナル絵本をプレゼント 応募要件:家族(親子、兄弟、祖母と孫など)が分担して各ページのぬり絵をぬってください(左右の指定はなし) 応募方法:下記の①~⑥を明記のうえ、ぬり絵とともに応募先へお送りください。①氏名(ぬった方全員)②年齢(ぬった方全員)③お互いの間柄④それぞれの担当ページ⑤郵便番号・住所⑥電話番号 締切:2009年6月末 応募先:〒100-0005東京都千代田区丸の内3‐4‐1新国際ビル3階 生命保険協会 広報部 問い合わせ:TEL03‐3286‐2643 FAX03‐3286‐2730  http://www.seiho.or.jp/ ※当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。応募いただいた作品については、生命保険協会のホームページや各種制作物等にて紹介させていただく場合 があります。作品の返却はいたしません。また、ご記入いただいた個人情報を無断で使用することはありません。

と の違うところ ①ロボットの手 ②ロボットの顔 ③ロボットのメーター ④男のコの頭 ⑤後ろのたてもの ⑥ロボットの頭の羽 ⑦雲

ぬり絵をぬって

送ってね

 と で違うところが7つあるよ! 探してね。 A B

※「家族のきずな絵本コンテスト」大賞作品『でんちがきれた』の登場キャラクター  (すすむくん、おじいちゃん、ロボット)を作者の斉藤好和氏が描き起こしたものです。 A

B

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このページをコピーしてはさみで切り、のりで貼り合わせて指人形をつくってね!

小さいお子さんがはさみを扱う際、保護者の方は十分にご注意ください。

※「家族のきずな絵本コンテスト」大賞作品『でんちがきれた』の登場キャラクター  (すすむくん、おじいちゃん、ロボット)を作者の斉藤好和氏が描き起こしたものです。

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『家族で楽しむ絵本とあそび』の刊行に寄せて

生命保険協会は、日本国内で生命保険業を営む生命保

険会社全社(平成21年2月現在46社)が加盟し、生命保険

業の健全な発達および信頼性の維持のために活動すると

ともに、「助け合いの精神」に基づく生命保険業の性格から、

人々の生活と社会福祉の向上に寄与するため、積極的に

社会貢献活動にも取り組んで参りました。

近年は、少子高齢化が進む社会情勢に鑑み、介護福祉

士を目指す学生への奨学金の支給や、子育て中の保護者

を支援するNPOやボランティア団体への資金助成を中心と

して、東南アジア・東アジアからの留学生に対する奨学金事

業や、全国の各都道府県に54ある地方生命保険協会を中

心とした福祉巡回車の寄贈や献血、清掃活動等の地域貢

献活動等を展開してきております。

こうした背景から、平成20年12月7日をもって創立100周

年の節目を迎えるにあたり、関係各位をはじめとする社会へ

の感謝の念も込めて、新規の社会貢献活動を検討すること

となりました。

ところで、生命保険は家族と非常に馴染み深いものです。

例えば、一家の大黒柱に万一のことがあった際に、遺された

ご家族の生活を支援する死亡保障は、まさに生命保険の原

点です。近年広く普及した医療保障・介護保障は、ご本人

のための治療費等に充てられると同時に、支えとなるご家族

も含めた生活設計を守っていけるよう、その経済的負担を軽

減したいという思いにも応えるものです。また、高齢化や核

家族化が進む中で、豊かな暮らしを支え、自立した老後を実

現する手段としても、個人年金などの老後保障の形で活用

されております。

しかし昨今、家族を大切にする傾向が一層強まる一方で、

児童虐待などの悲しい事件が相次ぎ、また孤食や成員間の

孤立、あるいはコミュニケーション面の悩みを抱える親も少な

くない、といった指摘もあります。加えて、政府も家族・地域

のきずなの重要性について訴えるために、「家族の日」及び

「家族の週間」を定めるなど、家族のあり方が社会的な関心

事の一つとなっております。このような状況認識のもと、当会

では、親子がふれあい、一体感を感じることができるとされる「読

み聞かせ」にフォーカスした活動を行うことといたしました。

こうして開始したのが、今般の「読み聞かせによる“家族

のきずな”推進活動」です。活動の全体像としては、①オリ

ジナル絵本、②読み聞かせの心構えや留意点、コミュニケー

ション支援グッズ等を紹介する副読本、③②の要約版として

のパンフレット、を作成し、また「家族のきずな」を想起させる

生保協会推奨の既刊絵本を選定したうえで、図書館や子ど

も文庫などの読み聞かせ関係団体へ寄贈して参ります。

なお、今回オリジナル絵本を作成するにあたり、「家族の

きずな絵本コンテスト」を開催いたしました。初年度にもかか

わらず、全国から343作品ものご応募をいただき、大賞以下7

作品の表彰を決定することができました。いずれも力作であり、

多様な家族やきずなが描かれた素敵な作品です(イメージは

下記、詳細は当会ホームページ(http://www.seiho.or.jp/)

ご参照)。

今回の活動を通じて、皆さまに絵本の楽しさや読み聞か

せの素晴らしさを感じていただくとともに、家族のきずなにつ

いて改めて振り返り、その大切さをご確認いただくきっかけと

なれば幸いです。

末筆ながら、本活動の実施にあたり種々ご指導を賜りまし

た当会内「家族のきずなプロジェクト推進チーム」委員の佐々

木宏子様、長野ヒデ子様、広松由希子様、村上康成様、そ

して活動全般において多大なご助力を賜りました(財)出版

文化産業振興財団の皆様をはじめ、関係各位に厚く御礼

申し上げます。

平成21年3月

社団法人 生命保険協会

『でんちがきれた』 斉藤 好和

『ずうっと ずっと あるいていくと』 小林 桂子

『白い心』 バーサンスレン・ ボロルマー (文:イチンノロブ・ ガンバートル)

大賞 優秀賞 優秀賞

『ホケマクイ かしとくれ』 鈴木 千恵子

『小鳥の三兄弟 はじめてのぼうけん』 横溝 さやか

佳作 佳作

『パパの旗』 石崎 正次 (文:吉村 健二)

『パパはぼくの たからもの』 白木 伸明 (文:山田 智彦)

佳作 佳作

家族のきずな絵本コンテストの入賞作品

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「家族で楽しむ絵本とあそび」

2009年3月19日 第1刷発行

発行所 社団法人 生命保険協会 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル3階 TEL:03-3286-2643(広報部) URL: http://www.seiho.or.jp/ 印刷 凸版印刷株式会社

※本書の中で紹介している書籍・絵本の価格は09年3月1日現在での  税込価格です。

©2009 社団法人 生命保険協会 許可なく無断転載・複製および転売・再配布を禁じます。

表紙イラスト/アンヴィル奈宝子 表紙・本文デザイン/有限会社エレメネッツ 編集協力/財団法人 出版文化産業振興財団(JPIC)

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