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2010.9 金属資源レポート 29 20 29 【資源開発基礎講座 第7回(平成20年1月29日開催)講演】 ニッケル資源獲得・HPAL 技術と コーラルベイニッケルプロジェクト 住友金属鉱山株式会社 執行役員金属事業本部副本部長 土田 直行 1. 電気ニッケル事業の沿革 最初に、バックグラウンドとして住友金属鉱山の電 気ニッケル事業がどのように進んできたかについて触 れておきたい(表1)。なお、住友金属鉱山におけるニ ッケル・ビジネスとしては、ほかに九州・日向における フェロニッケルの生産があるが、ここでは電気ニッケ ル関連にとどめておく。 まず 1939 年、愛媛県・新居浜市においてニッケル工 場を設立した。当時はガーニエライト鉱を溶鉱炉で製 錬して粗メタルをつくり、そのメタルから電解法によ って電気ニッケルを生産するという方法で操業を開始 している。その後、徐々にこのメタル電解法により生 産量を伸ばしていったが、最初のプロセス転換を 1969 年に実施している。すなわち溶鉱炉法を中止し、オー ストラリアから輸入したニッケルマットを直接アノー ドの形に鋳込み、それを電解精製するというマット電 解法に転換を図ったのである。 一方、1975 年にはフィリピンのノノク──当時のシ ェリプトゴードン──で生産されたミックスサルファ イドというニッケルとコバルトの混合硫化物を原料と した電解採取法によるニッケルコバルトの製錬を開始 している。この業績により 1980 年には大河内記念生産 賞を受賞している。 前述のマット電解法はその後メインのニッケルのプ ロセスであったが、20 年後の 1989 年、2度目のプロ セス転換を迎えることとなる。マット電解法において は、労働集約的な作業が多く、また仕掛り金利の問題、 そして──現在の MCLE 法に比べると──実収率がか なり低いという3点を理由に、1989 〜 1992 年にかけ て MCLE 法への全面的な転換を図った。MCLE 法につ いては後述するが、ニッケルマットを塩素で溶解し、 その塩化ニッケルの溶液から直接メタルを電解採取す る方法である。これが 1996 年、再度の大河内記念生産 賞受賞へとつながっている。 その後、ニッケルの生産能力は MCLE 法により増強 され、現在においては年産3万 6,000tの電気ニッケル のキャパを持っている。一方で、本稿においてとりあ げるコーラルベイニッケルによるミックスサルファイ ドの生産が 2005 年に開始され、このミックスサルファ イドからも電気ニッケルが生産されるようになってい る。2007 年は、ミックスサルファイドの生産において、 日本経済新聞社「ものづくり大賞」を受賞している。 本稿においては、住友金属鉱山が 2005 年に立ち上げたフィリピン・リオツバ鉱山におけるコーラルベイプロジェク トについて解説を行う。 289表1. 住友金属鉱山の電気ニッケル事業の沿革 1939年 メタル電解法による電気ニッケル生産開始 1969年 マット電解法による電気ニッケル生産 1975年 ミックスサルファイド(MS)を原料とする電解採取法によるニッケル製錬開始 1989年 MCLE法による電気ニッケル生産開始(330t/M) 1992年 マット電解法から MCLE法に全面転換 1996年 大河内記念生産賞受賞:「高効率のニッケル新製錬法の開発」 1996−8年 電気ニッケル生産能力増強(2,000→2,500→3,000t/M) 2005年 CBNCで MS生産開始 2007年 日本経済新聞ものづくり大賞受賞

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【資源開発基礎講座 

第7回(平成20年1月29日開催)講演】ニッケル資源獲得・HPAL技術とコーラルベイニッケルプロジェクト

特集・連載

【資源開発基礎講座 第7回(平成20年1月29日開催)講演】

ニッケル資源獲得・HPAL技術とコーラルベイニッケルプロジェクト

住友金属鉱山株式会社 執行役員金属事業本部副本部長 土田 直行

1. 電気ニッケル事業の沿革最初に、バックグラウンドとして住友金属鉱山の電

気ニッケル事業がどのように進んできたかについて触

れておきたい(表1)。なお、住友金属鉱山におけるニ

ッケル・ビジネスとしては、ほかに九州・日向における

フェロニッケルの生産があるが、ここでは電気ニッケ

ル関連にとどめておく。

まず 1939 年、愛媛県・新居浜市においてニッケル工

場を設立した。当時はガーニエライト鉱を溶鉱炉で製

錬して粗メタルをつくり、そのメタルから電解法によ

って電気ニッケルを生産するという方法で操業を開始

している。その後、徐々にこのメタル電解法により生

産量を伸ばしていったが、最初のプロセス転換を 1969

年に実施している。すなわち溶鉱炉法を中止し、オー

ストラリアから輸入したニッケルマットを直接アノー

ドの形に鋳込み、それを電解精製するというマット電

解法に転換を図ったのである。

一方、1975 年にはフィリピンのノノク──当時のシ

ェリプトゴードン──で生産されたミックスサルファ

イドというニッケルとコバルトの混合硫化物を原料と

した電解採取法によるニッケルコバルトの製錬を開始

している。この業績により 1980 年には大河内記念生産

賞を受賞している。

前述のマット電解法はその後メインのニッケルのプ

ロセスであったが、20 年後の 1989 年、2度目のプロ

セス転換を迎えることとなる。マット電解法において

は、労働集約的な作業が多く、また仕掛り金利の問題、

そして──現在の MCLE 法に比べると──実収率がか

なり低いという3点を理由に、1989 〜 1992 年にかけ

て MCLE 法への全面的な転換を図った。MCLE 法につ

いては後述するが、ニッケルマットを塩素で溶解し、

その塩化ニッケルの溶液から直接メタルを電解採取す

る方法である。これが 1996 年、再度の大河内記念生産

賞受賞へとつながっている。

その後、ニッケルの生産能力は MCLE 法により増強

され、現在においては年産3万 6,000tの電気ニッケル

のキャパを持っている。一方で、本稿においてとりあ

げるコーラルベイニッケルによるミックスサルファイ

ドの生産が 2005 年に開始され、このミックスサルファ

イドからも電気ニッケルが生産されるようになってい

る。2007 年は、ミックスサルファイドの生産において、

日本経済新聞社「ものづくり大賞」を受賞している。

 本稿においては、住友金属鉱山が 2005 年に立ち上げたフィリピン・リオツバ鉱山におけるコーラルベイプロジェク

トについて解説を行う。

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表1. 住友金属鉱山の電気ニッケル事業の沿革

1939年 メタル電解法による電気ニッケル生産開始

1969年 マット電解法による電気ニッケル生産

1975年 ミックスサルファイド(MS)を原料とする電解採取法によるニッケル製錬開始

1989年 MCLE法による電気ニッケル生産開始(330t/M)

1992年 マット電解法から MCLE法に全面転換

1996年 大河内記念生産賞受賞:「高効率のニッケル新製錬法の開発」

1996−8年 電気ニッケル生産能力増強(2,000→2,500→3,000t/M)

2005年 CBNCで MS生産開始

2007年 日本経済新聞ものづくり大賞受賞

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2. 電気ニッケルの生産量推移図1は新居浜における電気ニッケル生産量の推移で

ある。メタル電解法は当初、月産 150tで開始し、そ

の後 1969 年にマット電解法に移行してからは約 2,000

tまで増強を実現しているが、前述のような理由によ

り自動化の容易な MCLE 法へと転換を図っている。転

換が完了した 1993 年以降も増強を続け、2000 年には

3万 6,000tの電気ニッケル生産量を達成している。そ

の後はほぼ3万t程度のレベルにおける生産が続き(こ

れは原料事情による)、そして 2005 年からはコーラル

ベイからのミックスサルファイドが入るようになった。

この図における 2006 年分のうち、約1万t弱はこのミ

ックスサルファイドからの生産である。

図1. 電気ニッケルの生産量推移

3. 電気コバルトの生産量推移図2は、電気コバルト生産量の推移である。コーラ

ルベイプロジェクト開始となる 2005 年の直前における

年間生産量はおよそ 400tであったが、コーラルベイ

における生産が本格化した 2005 年以降は電気コバルト

の生産量も急激に立ち上がっており、現在においては

年間ほぼ 1,000tのペースで生産が行われている。

図2. 電気コバルトの生産量推移

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4. コーラルベイニッケルプロジェクトの概要表2は本プロジェクトの概要である。プロジェクト

としては、低品位ニッケル酸化鉱(ニッケル品位

1.26%)を高温硫酸浸出により溶解し、硫化水素で硫

化析出を行い、ニッケル・コバルトの硫化物を生産する

という方法である。この低品位ニッケル酸化鉱は、実

は Rio Tuba Nickel Mining という 1969 年に創立され

た会社がサプロライトにおいて採鉱したものを日本の

フェロニッケルメーカーに輸出していたものである。

ただし、このような低品位のものは輸出することがで

きないため、ズリとして現地のストックパイルに長年貯

蔵されていた。そこでこの低品位ニッケル酸化鉱──確

定鉱量としてはおよそ 2,200 万t──の処理を検討・実

行するプロジェクトが立ち上げられたのである。

精製されるミックスサルファイドにはニッケルが

57%、コバルトが4%濃縮されている。これを住友金

属鉱山の新居浜ニッケル工場へ運び、最終的に 99.99%

の純度を持つ電気ニッケル年産 1 万t、また 99%の電

気コバルト年産 720tの生産を目指すプロジェクトで

ある。プロジェクトライフは 20 年、投資は 180 百万

US$である。要するに、1.2%少々のものから、最終的

にはニッケルを 99.99%まで精製するというチャレンジ

である。

表2. コーラルベイプロジェクトの概要

原料 低品位ニッケル酸化鉱(Ni:1.26%)

生産物 Mixed Sulfide(MS、Ni:57%,Co:4%)

住友金属鉱山新居浜ニッケル工場で MSを E− Niに精製・E−Ni:10,000t /年(Ni:99.99%)・E−Co: 720t /年(Co:99%)

22 MDT ストックパイル 20年の操業

設備投資 180百万 US$

5. 資本構成図3は、本プロジェクトの資本構成である。住友金

属鉱山が 54%、三井物産と双日がそれぞれ 18%のシェ

アを持ち──こうした商社によって物流関係のサポー

トがなされる──、このほか地元の Rio Tuba Nickel

Mining Corporation が 10%のシェアを持っており、こ

の 4 社によりコーラルベイニッケルコーポレーション

(CBNC)が構成されている。 Rio Tuba Nickel Mining

Corporation は鉱石および石灰石の供給、住友金属鉱山

は硫酸、操業、技術に関しての管理、またニッケルサ

ルファイドを引き取るというスキームになっている。

図3. プロジェクトの資本構成

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6. 本プロジェクトの挑戦本プロジェクトにおける大きな柱の1つは、低品位

ニッケル酸化鉱からの高純度ニッケル生産である。前

述のように新居浜ニッケル工場においては、すでにニ

ッケル硫化物の塩素浸出技術が商業化されており、ニ

ッケルマット Ni3S2 を原料とした生産能力は3万 6,000

tまで拡大されていた。このニッケルマットの代わり

にニッケルコバルトの混合硫化物──これは HPAL 法

で生産されるものである──を使って高純度の電気ニ

ッケルをつくることができるか、これが第一のチャレ

ンジである。

柱のもう1つは HPAL 法の技術確立である。これは

もともと 1960 年代にキューバのモアで開発された技術

であるが、250℃という高温において硫酸浸出を行った

後、高温の蒸気をそのまま大気に放出するため、エネ

ルギー的見地からは非常に魅力に乏しいプロセスであ

った。それが近年のオートクレーブ技術の進歩により、

200℃以上の高温の蒸気をプロセス蒸気として回収する

ことが可能になってきたのである。そうした中で、

1990 年代には西オーストラリアにおいて3つのプロジ

ェクトが相次いで立ち上がった。しかしその後、住友

金属鉱山がコーラルベイプロジェクトを決定したころ

には、この3つのプロジェクトは稼働率もニッケル実

収も低く、したがって生産量が計画に達することもな

く、経済的、技術的にも失敗に終わることが見えてい

る状況にあった。そこで住友金属鉱山が HPAL の商業

生産技術を確立するということが第2のチャレンジで

ある。

表3. コーラルベイプロジェクトのチャレンジ

・低品位ニッケル酸化鉱からの高純度電気ニッケル生産 ・ニッケル硫化物の塩素浸出技術

− MCLE法1980年代に開発、新居浜ニッケル工場で商業生産− Ni3S2を原料に年間3万6,000tまで拡大

・HPALによる Ni・Co混合硫化物の生産

・HPAL法の技術確立・キューバ Moa Bayからの技術的革新

−1960年代の稼動、高温蒸気未回収・西オーストラリアでの3プロジェクトの失敗

−高温蒸気の回収が可能−低稼動、低実収で経済的・技術的に失敗

7. 世界のニッケル資源図4はニッケル資源の分布を示している。ニッケル

資源には硫化鉱および酸化鉱があり、硫化鉱が 6,200

万t、酸化鉱が1億 4,000 万tと言われている。しか

しながら、現在生産されているニッケルは、そのソー

スの 70%を硫化鉱の方に依存している。さらに酸化鉱

は品位によってニッケルが2%以上のサプロライトと、

1%程度のリモナイトに分けられ、この比は3対7で

あり、サプロライトについてはフェロニッケル原料と

して使用されているが、最大の鉱量を持つリモナイト

──1億tほど存在している──については処理がほ

とんど行われていない。すなわち、将来、このリモナ

イトを制する者は、ニッケル資源に関してはかなり先

行できることが予想されるのである。

(292)

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図4. 世界のニッケル資源

8. 低品位ニッケル酸化鉱からの高純度電気ニッケル生産前節までに述べたことを簡単に化学反応式でまとめ

ると、図5のようになる。すなわち低品位酸化鉱であ

る NiO を硫酸で浸出して硫酸ニッケルの形にする。こ

の硫酸ニッケルを今度は硫化水素を使ってニッケル硫

化物 NiS の形にする。この NiS を新居浜において塩素

で浸出して塩化ニッケル液にする。この塩化ニッケル

液からカソードの方で電気ニッケルを得るのである。

図5. 低品位ニッケル酸化鉱からの高純度電気ニッケル生産

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9. プロジェクトの沿革プロジェクトの沿革を表4に示す。1969 年に現地に

Rio Tuba Nickel Mining が創立され、1977 年にサプロ

ライト鉱の日本への輸出を開始している。2000 年には

住友金属鉱山が現地においてストックパイルを処理す

るプロセスの経済的評価を実施している。このプロジ

ェクトは順調に進み、2004 年8月に工場が完工し、そ

れからコミッショニングに入り、2005 年4月には商業

生産の体制が整った。その後、2005 年の 11 月には設

計生産量を単月ではあるが達成している。2006 年3月

には設計生産量を超えた約 110%の生産を実現した。

表4. コーラルベイプロジェクトの沿革

1969年 Rio Tuba Nickel Mining Corporation創立

1977年 サプロライト鉱の日本への輸出開始

2000年 SMM経済評価実施

2002年4月 Coral Bay Nickel Corporation創立

2004年8月 工場の完工

2005年4月 商業生産開始

2005年11月 設計生産量達成

2006年3月 設計生産量突破

2007年10月 日本経済新聞ものづくり大賞受賞

10. プロジェクトの立地図6は、本プロジェクトの立地を示している。フィ

リピン・パラワン島のリオツバは現在、人口 1 万 6,000

人ほどであり、著者が最初に 2000 年に赴いた際には

6,000 人程度であったから、実に約3倍程度に増えてい

ることになる。

図6. プロジェクトの立地

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11. 施設の概要図7はプロジェクトの施設全体を示している。

HPAL の工場は赤い部分であり、これ全体が Rio Tuba

Nickel Mining 社のニッケルラテライト鉱区になってい

る。またプラントサイトの北側にテーリングダムが建

設された。また、黄色で示されているのがストックパ

イルであり、最大のストックパイルにはおよそ 400 万

tの鉱量がある。水は4km ほど離れた川から取水し、

テーリングダムからの最終排水は 12km のパイプライ

ンで海側に放流している。石灰石は工場サイドから8

km ほど離れたところの採掘場において採掘を行い、

トラック輸送している。

図7. プロジェクト施設

12. 現地の模様プロジェクト施設全体の敷地面積はおよそ 250 ×

500m、125,000m2 である。現在、2系列目の工事を実

施中である。また写真1は海岸の設備である。トレス

テルがおよそ1km、またコーズウェイはおよそ 400 m

ある。硫酸タンク1本のキャパは1万tである。

写真1. 海岸施設

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プラントでは、まず鉱石の予備処理を行い、1mm

アンダーの鉱石をスラリー化する。その後、シックニ

ングを行い 40%以上のスラリー濃度とし、オートクレ

ーブに入れて反応させ、残渣は CCD において残渣洗浄

が施される。プレグナンソリーションはリットルあた

りおよそ7g のニッケルを含んでおり、その不純物中

和、また鉄やアルミの除去を行うのである。その後亜

鉛を除去し、最終的にミックスサルファイドが生産さ

れる。最終的な中和処理をした残渣はテーリンクダム

に送られる。設備全体に係る発電プラントは 11MW の

能力を持っている。

図8. コーラルベイのプロセス

写真2. 鉱石の予備処理設備

写真2が鉱石の予備処理設備であり、ここにおいて

処理を行っている鉱石は表5のとおりである。処理量

の 70%強を占めるリモナイトは3種類の鉱石の中で最

もニッケル含有量が低く、珪素やマグネシウムも同様

に低い。一方、LGSO および HFO においてはニッケル

が多いが同時に珪素やマグネシウムも多くなっている。

珪素やマグネシウムはどちらかというと HPAL にとっ

てはあまり好ましい元素ではないが、ニッケルを多く

含むものは、これらも同様に含むことになる。処理比

率としては、LGSO が約 20%、HF0 が 10%未満であり、

トータルブレンドした場合、ニッケルは 1.26%となる。

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表5. 鉱石の組成(%)

写真3が HPAL 設備である。スラリーを投入し、

245℃で硫酸を添加して反応させる。この設備で、およ

そ 95%のニッケルコバルトが溶液側に移る。鉄につい

ては、酸化還元電位をおよそ 500 〜 550mV に制御する

ことにより約3%の溶出率で抑えることが可能である。

写真4は、残渣洗浄の CCD シックナーである。7レ

ーンから成っており、特にオペレーションにおいては

溶液の pH を2以下に保ってニッケルのロスを避ける

ことに注意しており、これが実収の改善につながって

いる。

写真3. HPAL設備

写真4. CCDシックナー

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写真5は、脱亜鉛反応槽である。亜鉛除去は硫化水

素の添加で行われるが、これは実際には微圧下で行わ

れている。これは住友金属鉱山独自の技術であり、ニ

ッケルやコバルトのロスを実に1%以下に抑えること

が可能となる非常に選択性の高い方法である。

写真6は混合硫化物の析出槽であり、3つが連続し

ている。70 〜 80℃という低温下における反応を採用し

ているため、NiS を槽内に付着させることなく精製を

行うことができ、その結果、攪拌機などへのスケール

の付着のために設備を停止しなければならないという

事態は皆無になっている。また、反応中の pH の調整に

より、ニッケルの実収率は実に 99%以上に達している。

写真5. 脱亜鉛反応槽

写真6. 混合硫化物 MS析出槽

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写真7は最終製品のミックスサルファイドである。

表6にあるように、ニッケルがおよそ 57%、コバルト

が4〜5%である。亜鉛は 50ppm 以下に管理されてお

り、この程度であれば新居浜において 99.99%の電気ニ

ッケルをつくることができる。

写真7. ミックスサルファイド(MS)

表6. ミックスサルファイド(MS)の組成

Ni(%) Co(%) S(%) Fe(%) Al(%) Si(%) Cu(%)Zn(ppm)Cr(ppm)Ca(ppm)Mn(ppm)Mg(ppm)

57.2 4.2−5.0 33.5 <0.5 <0.05 <0.01 <0.01 50 50 50 20 <10

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図9は新居浜ニッケル工場におけるフローである。

工程は大きく塩素浸出(Chlorine Leach)と電解採取

の2つに分けることができる。電解採取は精製された

塩化ニッケル液からカソードでニッケル、アノードで

塩素を回収する工程である。一方、塩素浸出は、セメ

ンテーション、塩素浸出、脱銅電解の三つの工程から

構成される。通常の原料はセメンテーションに送られ

るが、メタル分のほとんどがミックスサルファイドの

場合は塩素浸出に直接入れて処理を行い、その後、コ

バルトと鉄を分離してから電解に供給され、最終的に

電気ニッケルを得る。写真8は電気ニッケル製造工程

の模様である。

写真9は、2003 年 10 月、海岸に上げたオートクレ

ーブをプラントサイトに上げているところである。写

真9にあるように、メインのコントラクターは日本の

JGC(日揮)が担当している。

図9. 電気ニッケル生産工程

写真8. 電気ニッケル製造工程

写真9. コーラルベイプラント建設(オートクレーブ)

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13. 工程図 10 は本プロジェクトの工程管理図である。2000

年の最初に現地に調査団を送り、2005 年の暮れには最

初のミックスサルファイドを生産している。すなわち

5年という短い歳月において実際の生産物が出たプロ

ジェクトである。その間、EIS や ECC 適応など環境に

関する審査などに1年半を、また現地採用のフィリピ

ン人のトレーニングに1年半ほどを要している。実際

の建設は2年ほどの間に実施され、その後、驚異的な

スピードで設計生産量を達成したのである。

図10. コーラルベイプロジェクトの工程管理図

(301)

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14. マンパワー図 11 は建設にあたってのマンパワーの推移である。

2003 年4月から 1,000 人を超えており、ピークは 2004

年3月の 2,100 人である。延べ2万 4,000 人が本プロジ

ェクトに携わったことになる。

図11. 建設に要したマンパワーの推移

15. ミックスサルファイド生産量の推移 図 12 が、立ち上げ後のニッケル生産量推移である。

2004 年 12 月に生産開始となり、2005 年1月ぐらいか

ら手直しを進めている。2005 年の第4四半期において

はおよそ 2,000tを上回っており、単月で見ると 11 月

には生産がキャパを超え、2006 年3月には 110%に達

している。その後、2006 年の第2四半期において一度

操業を停止したために生産は落ちているが、その後は

四半期ベースにおいて 2,500t以上の生産を達成してお

り、2007 年においては通年で1万tを超える生産が実

現している。

これを前述のオーストラリアにおけるプロジェクト

と比べてみると(図 13)、本プロジェクトにおいては

非常に順調な成績でプラントが立ち上がっていること

がわかる。たとえば現在も操業を続けているムーリン

ムーリンは4万 8,000tのキャパを誇る大工場である

が、生産量は 60 〜 70%にとどまっている。

図12. ニッケル生産量の推移

(302)

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図13. 豪州 HPAL Projectの生産状況

16. 新工場の設計と問題点への対応当初、本プロジェクトを立ち上げるにあたっては、

オーストラリアにおける3つのプロジェクトについて、

現地で実習を行うなどして徹底的に解析を重ね、本プ

ロジェクトへの課題の抽出を行っている。これらはそ

のまま、本プロジェクトが今日まで順調に歩を進める

ことができた要因ともなっているのである。すなわち

(1)高い稼働率を確保したプロセス設計であり、また(2)

エネルギー回収効率のすぐれたオートクレーブ制御技

術の開発である。さらに(3)高いニッケル実収率、そ

して(4)不純物除去技術の開発である。

(1)については、HPAL や前述のミックスサルファ

イド析出によるスケール生成制御の方法を確立するこ

とで設備停止をゼロとしており、(2)については、蒸

気回収フラッシュランクにおける液面制御などの技術

の確立により腐食や磨耗などを抑えることに成功して

いる。(3)については、CCD における低 pH での残渣

洗浄やミックスサルファイドでの高ニッケル回収率が

トータルとして高い実収に結びついている。(4)につ

いては HPAL での酸化還元電位の制御技術や脱亜鉛の

技術の開発により、高純度の電気ニッケルの生産に適

した、不純物の少ないミックスサルファイドをつくる

ことができたのである。

これらとは別にプロジェクトマネジメントの面から

見ると、(5)フィリピン人従業員のトレーニングを徹

底的に行っており、2002 〜 2004 年にかけて1年半ほど、

新居浜ニッケル工場において湿式製錬の操業の経験を

積ませ、約 30 名の精鋭を育成している。また(6)新

居浜の別子事業所において保全や分析を行うサポート

部隊を含めた約 30 名の精鋭チームをつくり、これを

2004 年3月に現地入りさせ、上記フィリピン人研修者

との融合を図ることで、ポテンシャルの高いコミショ

ニングチームを実現したことも大きい。

表7. 新工場の設計と問題点への対応

・高い稼働率を確保したプロセス設計−スケール生成の制御:HPAL、MS析出

・オートクレーブ制御技術の開発− HPAL Ni浸出の制御技術−蒸気回収フラシュ設備の制御技術−オートクレーブ反応制御

・高いニッケル実収−浸出残渣洗浄− MSでのニッケル回収

・不純物除去技術の開発:鉄制御、脱亜鉛

・フィリピン人従業員教育:2002-04年30名新居浜研修

・強力なコミショニングチーム:2004年3月全員現地入り

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17. HPAL技術の確立本プロジェクトの成功にともない、現在 CBNC にお

いては生産設備の2系列化を進めており、2009 年には

2万 2,000tの生産を目指している。また、新たな

HPAL として Taganito プロジェクトの F/S を開始し

ており、これは 2013 年をめどに3万tのプラント建設

を実施しようとしている。この2点の実現により、

2013 年以降のニッケル生産量はマット1万 8,000tと

あわせて合計7万tに達する予定であり、これにフェ

ロニッケルを加え、ちょうど 10 万tの体制が整えられ

ることになる。

表8. 住友金属鉱山による HPAL技術の確立

ニッケル工場(新居浜)で処理する MS量:

・CBNCにおける生産設備の2系列化  2009年 22,000Ni−t /年

・Taganitoプロジェクトの開始  2013年 30,000Ni−t /年

※)2012年以降 70,000Ni−t /年  (Niマット 18,000Ni−t /年)

18. CBNCにおける生産設備の2系列化前節において触れた CBNC における生産設備の2系

列化であるが、これは、現在操業している1万tのラ

インに加え、概算 300 百万 US$を投じて新たに1万

2,000tのセカンドラインを設けるものである。工事は

既に 2007 年に着工し、2009 年3月の完工と 2009 年度

内におけるフル生産を予定した。写真 10、11、12 は建

設当時の状況であり、工事の進捗はおよそ 20%である。

表9. CBNCにおける生産設備の2系列化計画

Ni生産量 22,000t /年(+12,000t /年)

Co生産量  1,440t /年(+ 720t /年)

投資額 300百万US$

進捗及び今後のスケジュール

2007年3月 建設工事開始

2009年3月 新工場の完工

2009年10月 生産開始

写真10. ボイラープラント工事状況

写真11. HPALエリア工事状況 写真12. CCDエリア工事状況

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19. Taganitoプロジェクト図 14 は 第 2HPAL プ ロ ジ ェ ク ト の 舞 台 と な る

Taganito 鉱山の概要である。Taganito 鉱山はマニラか

ら約 800km 離れたスリガオ市から車でおよそ1時間半

のところにある世界最大級のニッケル・ラテライト鉱山

である。

プロジェクトとしては、ニッケル量にして3万t/

年──これも低品位ニッケル酸化鉱である──と、コ

バルト量 2,700t/ 年である、生産は CBNC と同様のミ

ックスサルファイドである。

2007 年3月に現地パートナーと共同で F/S を開始、

12 月には鉱石の予備処理のパイロット試験を行い、基

礎設計にかかわる設計パラメータの収集を行っている。

2008 年4月にはパイロット試験を実施し、2009 年8月

にはインフラおよびプラント建設工事の開始、そして

2013 年3月に完工、2013 年中の生産開始を予定してい

る。

写真 13 はプラントサイトの候補地である。ラテライ

ト鉱床についてはまだ採掘を行っていないが、このよ

うな森林ではなく、ほとんどが灌木になっている。

図14. Taganitoプロジェクトの立地

表10. Taganitoプロジェクト

Ni量 30,000t /年

Co量 2,640t /年

原料 低品位ニッケル酸化鉱

生産物 Mixed Sulfide(CBNCと同様)

進捗及び今後のスケジュール

2007年3月 現地パートナーと共同で FS開始

2007年12月 Ore Prep.パイロット試験

2008年4月 HPALパイロット試験

2009年8月 インフラ及びプラント建設工事開始

2013年3月 工場の完工

2013年 生産開始 写真13. Taganitoプラントサイト候補地

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20. 今後の技術的課題HPAL は環境適合性や経済性が確認されたばかりの

技術であり、今後、大きな発展を遂げるポテンシャル

をはらんでいるのではないだろうか。資源、製錬に携

わる者としては、さらなる低品位の鉱石も扱えるよう

チャレンジしていきたい。CBNC におけるニッケルの

品位は 1.26%であったが、今度の Taganito においては

1.1%を予定している。個人的には 0.8%ぐらいまでは可

能となるのではないかとにらんでいる。HPAL 自体に

は 0.5%という低品位を扱えるポテンシャルが十分にあ

ると思われるのである。

またラテライト鉱床は2〜5%のクロム、また 45%

の鉄を含んでおり、クロマイトに分離してクロム原料、

また鉄はヘマタイトに分離して鉄鋼原料にするなどコ

アな技術の開発を進めることで、資源のより有効的な

活用を目指していくことのできるプロセスではないだ

ろうか。

(2010.7.2)

表11. HPALの今後の技術的課題

・更なる低品位化への挑戦 −CBNC   Ni:1.26% −Taganito  Ni:1.1 %

・硫黄燃焼による OnSite硫酸製造 −高温蒸気製造と発電への応用 −CO2排出の削減

・有価物分離技術の向上 −Cr原料としてのクロマイト回収 −Fe原料としてのヘマタイト回収

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