マーケティング戦略における市場細分化の再考 - 明...
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商学研究論集
第24号 2006.2
マーケティング戦略における市場細分化の再考
ラ・イフスタイル・セグメソテーションの視座から
AReview of Market Segmentation in Marketing Strategy
From the Viewpoint of Lifestyle Segmentation
博士後期課程 商学専攻 2004年度入学
仁 平 京 子
NIHEI Kyoko
【論文要旨】
消費者の価値の多様化を背景として,人口統計学的要因や地理的要因,社会経済的要因などの従
来の市場細分化基準による市場細分化では,企業のマーケティング戦略が適切に機能しにくいとい
う認識から,企業は新たな消費者対応として,ライフスタイル概念を加味したライフスタイル・セ
グメンテーションの高度化を図った。本稿では,ライフスタイル・セグメンテーションのアプロー
チの中から,消費者のライフスタイルの中での態度や行動を背後で支え,その一貫性と持続性を規
定する価値概念に焦点を当て,消費老の価値とライフスタイルに関する代表的アプローチの変遷を
検討することを目的とする。1970年代中盤からのライフスタイル・セグメソテーションの代表的
アプローチには,VALSやVALS2, VALSTM, Japan-VALS, Japan-VALSTMなどの一連のVALS
プログラム,VALSと対比されるLOVなどがある。そして,多変量解析技法によるライフスタイ
ル分析には,ライフスタイル変数の説明力の有効性に対する批判や変数分析の限界などのライフス
タ・イル変数の妥当性の問題が存在する。
【キーワード】市場細分化,ラ・fフスタイル・セグメソテーション,価値,VALS,製品コソセプ
ト
目次
1.はじめに
皿.市場細分化へのライフスタイル・セグメンテーションの代表的アプローチ
皿.ライフスタイル変数の妥当性
論文受付日 2005年10月2日 掲載決定日 2005年11月19日
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1.ライフスタイル変数の説明力の有効性
2.ライフスタイル変数への批判と変数分析の限界
]V.おわりに
1.はじめに
1980年代からのわが国の消費者の「価値(value)」1)の多様化を背景として,画一化した「大衆」
としての同質需要から,差異化した「少衆」2)や「分衆」3)としての異質需要へと質的に転換したと
いう実感が湧き起こった。これらの「少衆・分衆論」は,同質的な消費老グループに分割し,「セ
グメント(segment)」化された消費者像を象徴する言葉として注目され,「大衆崩壊論」の論議が
盛んに展開された。消費老のセグメソト化は,企業の製品ライン戦略の変更を迫り,多品種少量生
産技術の発展や製品開発のスピードの向上が,企業の製品種類の多様化を可能にした4)。
そして,人口統計学的要因や地理的要因,社会経済的要因などの従来の市場細分化基準による
「市場細分化(マーケット・セグメンテーショソ:market segmentation)一以下「市場細分化」と
略称」では,企業のマーケティング戦略が適切に機能しにくいという認識から,企業は新たな消費
老対応として,消費者の生活様式を意味する複合概念である「ライフスタ・イル(1ifestyle)」5)概念
を加味した「ライフスタイル・セグメンテーション(1ifestyle segmentation)」の高度化を図った6)。
ライフスタイル・セグメンテーショソの分析用具である「ライフスタイル分析(1ifestyle
analysis)」7)は,企業による市場細分化戦略の導入や行動諸科学の援用,多変量解析技法の発展と
ともに,1970年前後のアメリカを中心として積極的に展開され始めた8)。1970年代中盤からのアメ
リカでは,Rokeach inventory, VALS(Values and Lifestyle)やVALS2, VALSTMなどの一連の
VALSプログラム, LOV(List of Values),ヤソケロヴィッチ(D. Yankelovich)(1981)のニュ
ー・ 求[ル(New Rules)9),ヤンケロヴィッチのマインドベース・セグメンテーショソ
(Yankelovich’s Mindbase Segmentation)10)などの多種多様なアプローチの隆盛がみられた11)。
このようなアメリカでのライフスタイル研究の活発な動向を受け,日本では1970年代中盤から
の生活体系アプローチ12)の開発をその契機として,ニュー・ジャパニーズ・ウェイ・オブ・ライ
フ(NJWL)調査13)や日経総合ライフスタイル調査14), Japan-VALS, Japan-VALSTMなどのアプ
ローチが,研究者や実務家を中心として数多く展開されてきた。
また,この他のライフスタイル分析の代表的アプローチには,英国のGlobal MOSAIC15)やフラ
ンスのRISC16)などがあり,文化や下位文化,社会階層などの社会文化的要因によるライフスタイ
ルの文脈の差異の見地から,国別や地域別のさまさまな実証結果が報告されている。
以上のように,企業はライフスタイルを基盤とした消費者行動分析と市場細分化戦略を積極的に
採用し,その高度化を図ってきたが,無限に分化し,多様化するライフスタ・イル分析のアプローチ
の主な特質としては,消費者のライフスタイルの根底にある価値概念を主要変数として用いている
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ことがあげられる。そこで本稿では,ラ・イフスタイル・セグメソテーションの分析用具であるライ
フスタイル分析の多種多様なアプローチの中から,消費者のライフスタイルの中で態度や行動を背
後で支え,その一貫性と持続性を規定する価値概念に焦点を当て,「消費者の価値とライフスタイ
ル」に関する代表的アプローチの変遷を検討することを目的とする。
第1章では,1970年代中盤からのアメリカと日本におけるライフスタイル・セグメソテーショ
ンのアプローチの変遷の中から,VALSやVALS2, VALSTM, Japan-VALS, Japan-VALSTMなどの
一連のVALSプログラム, VALSと対比されるLOVなどの代表的アプローチを整理し,その特
質について考察する。第皿章では,多変量解析技法によるライフスタイル分析に対するライフスタ
イル変数の説明力の有効性やライフスタイル変数への批判,「変数分析」の限界などの「ライフス
タイル変数の妥当性」の問題に焦点を当て検討する。第IV章では,ライフスタイル・セグメソテー
ショソの代表的アプローチにおける特質と問題点,今後の研究課題などについて検討する。
ll.市場細分化へのライフスタイル・セグメンテーションの代表的アプローチ
Alderson(1965)が,「マーケティング活動の目的は,消費老の手元に意味のある品揃え物を配
ナることである」17)と主張するように,企業が消費者に対して品揃えを売り,消費老は自らのライ
フスタイルの維持と拡張のために,品揃えの仕入れを行う品揃え形成の連続であるといえる(傍点
筆者)。つまり,消費老の日々の消費行動は,ライフスタイル要因に規定されるため,企業は消費
者の価値の多元化とライフスタイルの変化の動向に対して,ライフスタイル・セグメソテーショソ
による市場細分化から,消費者の選択肢として意味のある品揃え物の多様化を図ろうとする。
本章では,消費者の価値とライフスタイルとの関連性に焦点を当て,VALSやVALS2,
VALSTM, Japan-VALS, Japan-VALSTMなどの一連のVALSプログラム, VALSと対比される
LOVなどの代表的アプローチの変遷を整理し,その特質について考察する。
(1) VALS(Values and Lifestyle)
ラ・イフスタイル分析の主要変数として価値概念を加え,新たに包括的な消費者類型論を提起した
VALSは, SRI International(SRIイソターナショナル 以下「SRI」と略称)の社会学者Mitch-
e11(1978)や哲学者Ogilvy(1978), Schwartz(1978)らを中心として開発された18)。
表1に示したように,VALSでは,アメリカ人を(1)必要に駆られたグループ(Need-Driven
Groups),(2)外部指向グループ(Outer・Directed Groups),(3)内部指向グループ(Inner-Directed
Groups),(4)外部指向と内部指向を結合させたグループ(Combined Outer- and lnner-Directed
Groups)という4つの主要な分類上のグループから,(1)生存者型(Survivors)(4%),(2)維持者
型(Sustainers)(7%),(3)所属者型(Belongers)(35%),(4)競争者型(Emulators)(10%),(5)
達成者型(Achievers)(22%),(6)わたしはわたし型(I am Me’s)(5%),(7)体験型(Experien-
tials)(7%),(8)社会意識型(Societally Conscious)(8%),(9)統合型(Integrators)(2%)の9
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表1VALSのセグメントの特徴
必要に駆られたグループ(Need-Driven Groups)
生存者型(Survivors):成人人口の約4%を占める。ほとんどの人々は,貧困な消費者である。教育水準が
低く,年齢が高い(平均年齢は66歳)。落胆し,内向的で,不安定で,不信を抱く傾向にある。快適な老
年のための欲望は,実現されていない。敵意のある世界としてみなされるものから離れ,生活時間は家で
過ごすことが多い。
維持者型(Sustainers):成人人口の約7%を占める。生存者型よりもわずかに収入が高い。平均年齢は33歳
(数人は,非常に小規模な“ベビーブーマー”である)。希望を諦めてはいない。険悪な人々であり,貧困
から這い上がろうとする。黒人が,最も大規模な割合を占める。
外部指向グループ(Outer-Directed GrouPs)
所属者型(Belongers):成人人口の約35%を占める。ほとんどの人々は,上流下層階級と上流中産階級の一
員である。平均年齢は52歳。“うまく調和する”ための欲望に駆り立てられている。伝統的で,保守的で,
家族指向で道徳的な傾向にある。高卒で,ブルーカラーの職業に就いている。積極的な人生観を持ち,一
般的に満足している。
競争者型(Emulators):成人人口の約10%を占める。若い(平均年齢は27歳)。大志を抱き,競争的で,一
生懸命働く。かなり成功しており,自分自身に要求している。社会階層の段階を上昇しようと試みる。と
りわけ幸福ではなく,達成者型になるために,よりよい生活を望む。
達成者型(Achievers):成人人口の約22%を占める。平均年齢は43歳。十分に教育を受けており,裕福であ
る。たくさんの自信を持つ。人生を自分が克服するための課題とみなす。アメリカンドリームを実現する
ことを夢見ている。一生懸命働き,基本的に幸福である。
内部指向グループ(lnner-Directed GrouPs)
わたしはわたし型(lamMe’s)’成人人口の約5%を占める。平均年齢は21歳。外部指向のライフスタイル
から,内部指向のライフスタイルへと移動する。新しい経験に共鳴し,“物事に対して試みる”生活を望む。
従順と刷新さを結合させた複雑なライフスタイルを持つ。
体験型(E×perientials):成人人口の約7%を占める。平均年齢は27歳。やや成熟し,調和されたわたしはわ
たし型である。自分自身を解放し,衝動的であるとみなす。同様に,新たな経験に共鳴し,“物事に対し
て試みる”生活を望む。働かない活動から満足感を得ようとする。
社会意識型(Societally Conscious):成人人口の約8%を占める。平均年齢は39歳。成熟したグループは,
社会的な問題に関心がある。最も高い教育水準。影響を及ぼし,成功した知的職業人である。すべての
VALSセグメソトの観点からみれば,大多数が進歩的である。生活の非物質的な側面は,物質的な側面よ
りもより重要である。
外部指向と内部指向を結合させたグループ(Combined Outer-and lnner-Directed Groups)
統合型(lntegrators):最も小さなグループで,成人人口の約2%を占める。平均年齢は40歳。高学歴高収
入。外部指向の達成者型と内部指向の社会意識型という2つの側面を兼ね備える。バランスがとれ,自己
実現を果たす。
出所:Mitchel1, A., The IVine、American Ltfestyles’Who We、Are and VVhere We/Are Goin8, Macmillan,1983,
pp.4-24.,Schiffman, L G. and L. L Kanuk, Consumer Behavior,4th ed.,Prentice-Hall,1991,p,136.よ
り作成。
類型に分類した19)。
図1及び図2に示したように,VALSでは,心理学者Maslow(1962,1970)の「欲求5段階
説」20)を中心とした発達心理学と社会学者Riesman(1961)の「内部指向」と「外部指向」の類
型2ユ)を折衷主義的に援用し22),連続的に変化する消費者の動態を「二重階層構造(double hier一
archy)」のシステムに構造化する。そして, Maslow(1962,1970)の欲求5段階説の理論と
VALS類型論の一部は,図2のように対比できる。
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図1 VALS類型の二重ヒエラルキー
外部才旨向型
統合型 beb)S5
達成者型社会意識型
者、騨
必要に駆られた人々
維持者型
生存者型
内部指向型
二重ヒエラルキーの領域
ee)D・伝統的な外部指 向型の発達の道
→レ現代的な内部指 向型の発達の道
出所:Mitchell, A.,J.Ogilvy, and P. Schwartz, The VALS Typology’.A New PersPective on、America, SRI Interna-
tional,1986.(アーノルド・ミッチェル,ジェームズ・オグルビー,ピーター・シュウォーッ著,吉福伸
逸監訳,霞田栄作・大野純一・小堀寛訳『パラダイム・シフトー価値とライフスタイルの変動期を捉え るVALS類型論一』, TBSブリタニカ,1987年, p.113。)
図2 マズローとVALSの体系の比較
マズr= 一の欲求ヒエラルキー
言平{西
所属安全生存
自己実現達成者…型競争者型
マズローのヒエラルキー VALS類型論の一部 マズローとVALS体系の比較
出所:Mitchell, A.,J. Ogilvy, and P.Schwartz, The VALS TyPology:、A New PersPective on、America, SRI Interna-
tional,1986.(アーノルド・ミッチェル,ジェームズ・オグルビー,ピーター・シュウォーツ著,吉福伸
逸監訳,露田栄作・大野純一・小堀寛訳『パラダイム・シフトー価値とライフスタイルの変動期を捉え るVALS類型論一』, TBSブリタニカ,1987年, p.109。)
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以上のようなVALSの特徴は,帰納的手法により抽出されたライフスタイル類型でありなが
ら,人間類型の発達モデルの演繹的理論に対応し,二重階層構造のシステムに構造化されている点
である。このようなVALS研究の契機には,戦後の高い出生率を示す「ベビーブーマー(baby
boomer)」と呼ばれた特定環境変動を共有した世代,特に「ヤッピー(Yuppie)」と呼ばれた一群
の消費者市場への影響や女性の社会進出などの人口統計学的要因の変動による社会意識と行動の変
化があげられる。
また,VALSが開発された時期は,「認知科学(cognitive science)」の著しい学問の発達が見ら
れた時期であり,このような認知科学への動向が,人間の主観や価値の探求への関心を促進させ,
VALSにおいて「価値研究」の応用が積極的に図られたといえる。
(2) VALS2
SRIのVALS体系の広範囲な改訂版であるVALS2は,3つの主要な分類上のグループの中にア
メリカ人を分類し,VALS2では,全体の8つの特有のセグメントに再分割した23)。表2及び図3
に示したように,VALS2では,(1)成功者型(Actualizers)(8%),(2)目標達成者型(Fu1創leds)
(11%),(3)確信者型(Believers)(16%),(4)達成者型(Achievers)(13%),(5)懸命努力老型
(Strivers)(13%),(6)体験者型(Experiencers)(12%),(7)自給的生活者型(Makers)(13%),
(8)貧困者型(Strugglers)(14%)の8類型に分類され, VALS2では,原型であるVALSの9類
型の区分から8類型へと修正されている点に特徴がある24)。
VALS2の主要な分類は,(1)主義指向(Principle Oriented)(是認のための欲望というよりもむ
しろ自分の信念によって選択を動機づけられた消費者),(2)地位指向(Status Oriented)(活動や
承認,他者の意見によって選択を左右される消費者),(3)活動指向(Action Oriented)(社会的活
動もしくは身体的活動,社会的変化もしくは身体的変化,危険覚悟のための欲望によって駆り立て
られた消費老)という3つの主要な「自己指向(self-orientations)」の観点から定義され,各々の
3つの主要な自己適応は,全く異なる態度やライフスタイル,意思決定のスタイルを持つ25)。
そして,図3に示したように,自己指向の観点からの変化に加えて,VALS2のモデルを組み立
てる8つの各々のセグメソトは,「資源(resources)」のレベルの観点からも異なる。資源は選択
をし,選択に満足させられる消費老の能力に影響を与える心理的要因や身体的要因,人口統計学的
要因,社会経済的要因を合成して定義される26)。このようなVALS2は, VALSに代わる新たな
「心理学的体系」とされているが,決して全世界に普遍的な枠組みではないという指摘もある27)。
そのため,文化や下位文化,社会階層などの社会文化的要因によるライフスタイルの文脈の差異の
見地から,アメリカ人のライフスタ・イル類型の典型的タイプの分布を日本人のライフスタイル類型
の分布として適用する際には,ライフスタイル特性の分析結果に関する適用可能性の問題が生じる。
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表2 VALS2のセグメントの特徴
成功者型(Actualizers):最も高い収入を得ており,自他ともに認める潤沢な資産を保有する。商品やサー
ビスは,地位や権力の象徴としてだけではなく,セソスや個性の表現手段として考える。幅広い問題に関
心を示し,変化に対しても柔軟に反応していく。常によい商品を買い求めている。
主義指向(Principle Oriented)
目標達成者型(Fulfilleds)’高い教育水準を持ち,社会的に責任ある立場の中高年の専門家。レジャー活動
はもっぱら家庭を中心に行われるが,世間の出来事にも十分の知識を持っている。新しいアイディアや社
会的変化にも柔軟に対応できる素養を持つ。所得水準は高いが,現実的で伝統を重視する消費者である。
確信者型(Believers):原則やルールを尊重し,伝統に対して愛着を示す保守的な傾向を持つ。国産品を愛
し,安心できる大手ブラソドを好む。生活の基盤は家族や地域,教会である。所得水準は中程度である
が,自分たちのニーズは,十分満たされていると感じている。
地位指向(Status Oriented)
達成者型(Achievers):社会的に成功を収め,労働に生きがいを感じ,家庭や仕事にも満足している。政治
的には保守的傾向を持ち,権威を尊重し,現状に満足する。自分たちの成功を証明する商品やサービスを
好む。
懸命努力者型(Strivers):達成者型と同じような価値を持っているが,経済力や社会的地位,心理的満足の
いずれも十分ではない。このグループの人々にとっての成功は,資産を蓄えることであり,自分が未だ十
分に目標を達成していないと感じる。そのため,より高い社会グループに追いつこうと懸命に努力する。
活動指向(Action Oriented)
体験者型(Experiencers):肌で感じることのできる実体験を尊重する。他のグループの人々よりも若い年齢
層である。エネルギーに溢れ,体を鍛え,社会活動に参加することに熱心である。衣料品,ファースト・
フード,音楽など若者向けの商品やサービスの購入に熱心である。特に,新しいものに対する関心が高い。
自給的生活者型(Makers)’実際的な方法で環境と係ろうとする。自給自足的な生活に価値を求め,家族や
仕事などの身の回りのことを中心に考える。贅沢品には関心を示さず,実用的で機能的な商品やサービス
を求める。
貧困者型(Strugglers):最も低い収入しか得られず,どのグループよりも少ない資源しか保有していない。
十分な教育を受けず,職業上の専門知識を得ることもない。強い生活信条のようなものを持つこともな
く,その日暮らしである。主たる関心事は,安心と安全である。気に入ったブラソドに対しては,ロイヤ
ルティを示す。
出所:Schiffman, L. G. and L. L. Kanuk, Consumer Behavior,4th ed., Prentice-Hal1,1991,pp.138-140.より作
成。
(3) VALSTM
SRIを母体とするSRIC-BI(SRIコンサルティソグビジネスインテリジェンスInc.一以下
rSRIC-BI」と略称)により開発されたVALSTM 28)では,アメリカの成人消費者をVALS調査票
に対する反応を基礎とした8つのセグメソトの中に配置した29)。
図4に示したように,VALSTMのセグメンテーショソ体系には,理想や達成,自己表現などの
「一次的動機づけ(primary motivation)」(水平的次元)と人口統計学的特性に関連づけられたパ
一ソナリティ特性により決定される個人の「資源(resources)」(垂直的次元)の2次元があり,
VALSTMでは(1)イノベーター型(Innovators),(2)思想家型(Thinkers),(3)達成者型(Achievers),
(4)体験者型(Experiencers),(5)確信者型(Believers),(6)懸命努力者型(Strivers),(7)自給的生
活者型(Makers),(8)生存者型(Survivors)の8類型に分類した30)。
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図3 VALS2の体系
出所 Schiffman, L G and L L Kanuk, Consumer Behavior, 4th ed,Prentlce Hall,1991, p 138
図4 VALSTMの体系
出所 「The VALSTM Segments VALSTM Fralnework」(2001-2005)(URL
programs/vals/a html)(2005/09/08取得)
http//www tokyo srlc-bl com/
一168一
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そして,垂直的次元では,革新的であり,収入や教育,自信,知性,リーダーシップのスキル,
活力のような資源を持つ度合いを基礎とする人々に区分する。これに対して,水平的次元では,一
次的動機づけと「理想(ideals)」(知識や主義により駆り立てられる消費者),「達成(achieve-
ment)」(仲間に対して成功を証明しようという目標により駆り立てられる消費者),「自己表現
(self-expression)」(社会的活動や身体的活動,身体的変化,危険覚悟のための欲望により駆り立
てられる消費者)の価値指向性を含む31)。このようなVALSTMの体系は,「サイコグラフィック・
セグメンテーショソ(psychographic segmentation)」32)としても広く知られている。
(4) Japan-VALS
SRIとNTTデータ通信く株〉システム科学研究所との共同研究により開発されたJapan-VALS
は,日本人のセグメンテーション・システムである33)。Japan-VALSの概念的枠組みは, VALS
をその源流としているが,とくにVALS2を土台として開発されている点に特徴がある34)。
図5に示したように,Japan-VALSでは,達成欲求のグループである「良識」,自己表現欲求の
グループである「自己」,安定欲求のグループである「伝統」の価値指向性を表す3つの軸と個人
の人生における物心両面のエネルギーを表現する「活力」の軸から,(D自在派(4%),(2)隠遁派
(15%),(3)良識重視派(5.9%),(4)良識適応派(10.0%),(5)自己重視派(6.6%),(6)自己適応派
(11.4%),(7)伝統重視派(5.6%),(8)伝統適応派(10.1%),(9)同調重視派(14.2%),(10)同調適応
伝統重視派
伝統邸派
図5 Japan-VALSのセグメント
匝] [壷ヨ
良識重観派
良識造応派 蘇N配
自己適応派
圃
出所:浦垣勉稿「Japan-VALSの有効性と諸活動への援用」,『ブレーン』,2.月号,誠文堂新光社,1993年, p.
128。より一部修正を加え作成。
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派(17.2%)の10類型に分類した35)(傍線原著)。
そして,Japan-VALSでは,活力の軸の見地から商品のセグメント間の普及過程について,農村
社会学者Rogers(1962)の「イノベーショソ採用に基づく採用者カテゴリー化」36)を前提とし,
Japan-VALSでは,消費者のライフスタイルを分析する上で,「革新性(innovativeness)」という
新たな視点を導入した点にも特徴がある。このように,ライフスタイル分析では,「時間経過」に
よる採用者カテゴリーの変化と他者への連続的な影響力としての「消費者間の相互作用(interac・
tion)」の見地から,イノベーションの採用類型をライフスタイルの一類型とみなして検討する必
要性もあるといえよう37)。
(5) Japan-VALSTM
SRIC-BIと株式会社NTTデータとの共同研究により開発されたJapan-VALSTMは, Rogers
(1962)のイノベーショソの普及理論と心理学の類似性理論を前提とした日本人のセグメンテーシ
ョソ・システムである38)。Japan-VALSTMでは,「伝統」,「達成」,「自己表現」の価値指向性を表
す3つの軸とイノベーションの採用類型から,(1)革新創造派(4%),(2)伝統尊重派(4%),(3)社
会達成派(5%),(4)自己顕示派(6%),(5)伝統派アダプター(8%),(6)社会派アダプター(14%),
(7)自己派アダプター(12%),(8)同調派(22%),(9)雷同派(17%),㈹つましい生活派(9%)の
10類型に分類した39)。
図6に示したように,Japan-VALSTMでは,商品のセグメソト問の普及過程について, Rogers
(1962)のイノベーショソ採用に基づく採用者カテゴリー化を前提として,(1)をイノベーター,(2)
~(4)までの3項目をアーリーアダプター,(5)~(7)までの3項目をアーリーマジョリティ,(8)~㈹
までの3項目をフォロワーとして位置づけている。これらのセグメントは,「客観的価値」が強い
伝統を重視するグループと「主観的価値」が強い自己表現を重視するグループという2つの価値
の方向性を対比して捉えている点に特徴がある。
このように,Japan-VALSTMでは,イノベーションの採用類型をライフスタイルの一類型とみ
なし,セグメソト別の消費の意味や消費行動の動機の相違を明らかにしようとする。
(6) LOV (List of Values)
1986年にミシガン大学サーベ・イ・リサーチ・センターで開発されたLOVは,ライフスタイル分
析上の主要変数である価値とMaslow(1962,1970)の欲求5段階説を前提とし, LOVは,一連
のVALSプログラムと比較し単純な調査項目により調査対象老の価値を測定する点に特徴がある。
LOVでは,(1)他者との温かい関係(warm relationship with others),(2)生活の中での楽しみや
喜び(fun and enjoyment in life),(3)安全(security),(4)他者からの尊敬(being well respected),
(5)帰属意識(sense of belonging),(6)自尊心(self-respect),(7)達成感(a sense of accomplish-
ment),(8)興奮(excitement),(9)自己達成(self-ful丘11ment)の9項目の価値リストから構成され,
-170
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図6 Japan-VALSTMのセゲメント
イノベーションパワー(受容先進性・新しい物の受け入れの速さ) 新規性評価のアンテナ
團匝] 3つの入り゜ … @ [亟劃・ ・購1麟鞭 , [ゴ 石[[
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同調派
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価値観の方向性が
s明確なフォロワー
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羅鍛謙灘灘
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出所:「日本市場を鳥瞼:プロダクト診断プログラム2000年,18~69才男女,9大都市」(URL:http:〃 www.tokyo.sric-bi.com/programs/vals/a.html)(2005/09/08取得).より一部修正を加え作成。
調査対象者に対して最も重要な価値2項目の選択,9項目の価値の相対的順位づけ,価値意識項目
ごとの評定などを求めるものである40)。これらの9項目の価値リストは,(1)と(2)の2項目が個人
の内部指向,(3)~(5)までの3項目が外部環境要因への焦点,(6)~(9)までの4項目が個人の価値を
各々表している41)。
また,LOVによる学生を対象とした「贈答行動と個人の価値」との関連性についての実証研究
では,自尊心や他者との温かい関係などの「社会的価値」を重視する能動的なグループは,ライフ
スタイルの中での楽しみや喜び,帰属意識,安全などの「非社会的価値」を重視する受動的なグル
ープよりもむしろ多くの贈答行動を行い,贈り物の選択に熱心であることが検証されている42)。
皿1.ライフスタイル変数の妥当性
多変量解析技法によるライフスタイル分析は,ライフスタイル研究の主流として大きな隆盛をみ
せ43),研究老や実務家から過大な期待と関心を集めたが,その後ライフスタイル研究は衰退し
た。その主な理由には,多変量解析技法を用いればライフスタイル分析と呼ぶような安易なイメー
ジに基づく研究,個々の消費と関連深いライフスタイル変数をその都度探索するという調査・分析
技法の非効率さなどがあげられる。本章では,ライフスタイル変数の説明力の有効性やライフスタ
イル変数への批判,変数分析の限界などのライフスタイル変数の妥当性の問題に焦点を当て検討す
る。
-171一
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1. ライフスタイル変数の説明力の有効性
ライフスタ・イル分析に対する批判の多くは,ラ・イフスタイル変数の実証的な妥当性に関するもの
である。ラ・イフスタイル変数は,従来の人口統計学的要因や社会経済的要因などを合成した「複合
的変数」に近似するため,新たにライフスタイル変数を導入する意義が乏しいなどの批判があげら
れる。
堀内(1975)は,ライフスタイル・セグメンテーショソの説明力と人口統計学的要因・社会経
済的要因による従来の市場細分化基準の説明力の有効性を比較検討し,ライフスタイル・セグメン
テーショソの説明力のほうが,従来の市場細分化基準の説明力を上回る場合が多いと主張す
る44)。そして,ライフスタイル・セグメンテーションの有効性が発揮される場合は,(1)自由裁量
的商品,趣味的特色の強い商品の保有に対する説明力,(2)世帯よりも消費者個人の財の保有に対す
る説明力,(3)商品評価に対する説明力の3点である45)。
さらに,堀内(1975)は,「ライフスタイル・セグメンテーションは,生活の中での商品の位置
づけや商品に与えている意味と価値の点でセグメント別の差を反映し,商品の購買・保有を積極的
に動機づけている要因についての有効な示唆を与える」46)と主張する(傍点筆者)。
また,Novak=MacEvoy(1990)は, VALSとLOVの相対的説明力の有効性について,「ライ
フスタイル変数単独で10%以上の説明力を持つ場合,VALSでは4項目あげられるが, LOVでは
1項目もない。しかし,性別や教育,婚姻の有無,民族,収入,社会階層,保守性などの7つの伝
統的な変数に関する説明力を比較した場合,ライフスタイル変数を追加することにより,説明力の
有意差が向上する場合が,VALSでは24項目, LOVでは16項目あげられる」47)と主張する。この
点では,ライフスタイル変数の説明力の高さが窺えるといえよう。
2. ライフスタイル変数への批判と変数分析の限界
ライフスタイル変数に対する内容的批判もあげられる。井関(1991)は,「今日では,一人の人
間が,状況や場面に応じて数多くの“ライフスケープ(lifescape)”48)を展開する。ライフスケープ
で考えるべきこの時代を,“一人十色”と特徴づけている。“十人十色”から“一人十色”へという
ように,生活者の意識と行動パターンは大きく変化している」49)と主張する。
これに対して,Thompson(2001)は,「ポストモダンの消費者は,“ミックス・アンド・マッチ
(混成や合成により自己を再創造する行為)”による柔軟な消費行動を通じてさまざまな顔を持つ,
いわば“文化的なカメレオン”となる。つまり,消費パターンをデモグラフィック特性や定量的尺
度に基づく分析から特定し,分類することはきわめて難しい」50)と主張する。つまり,消費者の価
値の一貫性と持続性が,ライフスタイルに横断的に現れるとする従来のライフスタイル分析の前提
に疑問を投げかけ,消費者の消費行動が「状況依存的」,「価値折衷主義的」に変化するといえる。
そして,ライフスタ・イル分析の調査・分析技法に関する「理論的枠組の脆弱さ」やライフスタイ
ル変数の変数分析の限界も問題点としてあげられる。Kinnear-Taylor(1976)は,「ライフスタ
一172一
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イル分析の中で測定項目を因子分析により要約し,クラスターを作成する一連の手法は,予測のた
めに有効なセグメントを作成する分析的意味においては有効性があるが,導き出されたセグメソト
の妥当性は,研究者の実務経験に依存する傾向にある」51)と主張する。
これに対して,丸岡(2000)は,「ライフスタイルを測定するための調査項目は,その時々の課
題に対応して“手作り”されることが多く,尺度の信頼性や妥当性が十分に確立していない傾向が
ある」52)と主張する。つまり,クラスターへの解釈が,分析者の知識と主観による実務経験から判
断されるため,分析結果の解釈やクラスターから導出されるセグメソトの妥当性の問題が生じる。
このような批判に対して,現在では妥当性基準への対応のための新たな研究がなされる一方で,
質問項目の削減についての論議が盛んになされている状況にある。Kamakura=Wede1(1995)は,
「潜在クラス法を用いた場合,質問数を78%,質問に要する時間を70%減少させたとしても,フル
テストをした場合と比較しても見劣りしない予測力が得られる」53)と指摘する。
さらに,佐藤(1992)が,「問題は,単純で安直な限定概念の発想にもとつくワン・ショット・
サーベイと呼ばれる単発式のサーベイにある」54)と指摘するように,セグメソトの規模的変化や質
的変容の見地から時間経過を踏まえた中・長期的な時系列分析を行い,市場細分化戦略を修正する
必要性がある。そして,Blumer(1969)は,変数分析の限界から,「定義的な概念(definitive
concept)」の対極にある「感受概念(sensitizing concept)」の重要性を主張し55),「概念の抽象的
な枠組みの中に実例を埋め込むのではなく,概念から出発して,実例の現実的な個別性に至らなく
てはならない」56)と指摘する。そのため,感受概念の発想による定性的調査の実施により,消費者
のライフスタイルにおける「生活課題」の種類や幅を掬う調査・分析技法を開発することが重要と
なるといえる。
N.おわりに
本稿では,ライフスタイル・セグメソテーショソの分析用具であるラ・イフスタ・fル分析に着目
し,ライフスタイル分析の主要変数として価値概念を加え,新たな消費者類型論を提起した一連の
VALSプログラムとLOVの既存研究を中心に概観してきた。これらの特質としては,以下の3点
があげられる。第一に,今日では,消費者の主観的側面や主体的な消費の意味づけの探求の重要性
が指摘されているが,その探求の上で重要となる概念が,価値概念であるといえる。消費老の価値
はラ・イフスタイルの中での態度や行動の根底にあり,その一貫性と持続性を規定するため,一連の
VALSプログラムやLOVでは,価値とライフスタ・イルの両変数を併用して消費者の典型的タイプ
の類型化を行ったといえる。
第二に,「類型学(typology)」によるラ・イフスタイル類型は,実証研究からの現実の観察に基づ
く「抽象化の結果」であり,消費者セグメントの分割のための比較基準の設定として設計された概
念化である。そのため,これらのライフスタイル類型は,典型的タイプとして描写された現象の概
念化,つまり,消費老の個人特性としてのライフスタイルの類型化にすぎないといえる。
-173一
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第三に,Japan-VALSやJapan-VALSTMにみられるように,時間経過による採用者カテゴリー
の変化と他者への連続的な影響力としての消費者間の相互作用の見地から,イノベーショソの採用
類型をライフスタイルの一類型とみなしている点に特徴があるといえる。
次に,これらの問題点と今後の研究課題として,以下の5点があげられる。第一に,従来のラ
イフスタイル分析では,日本人とアメリカ人という調査対象者の「民族」の相違の問題があげられ
る。消費者のライフスタイルそれ自体が,民族の歴史性や社会規範,文化,下位文化,社会階層な
どの影響を色濃く反映する現象であるため,アメリカ人のライフスタイル類型の典型的タイプの分
布を日本人に対して適用する際には,その適用可能性の問題が生じる。
第二に,従来の変数分析による定量的調査だけではなく,感受概念の発想による「エスノグラフ
ィー(ethnography)」や「ラダリング法(梯子掛け法:laddering)」,「深層面接法(depth inter-
view)」,「臨床的立場(clinical perspective)」のアプローチなどの定性的調査を相互補完的に導入
し,消費者のライフスタイルにおける生活課題の種類や幅を掬う調査・分析技法を開発する必要性
がある。
第三に,消費者の価値は,「ライフステージ(1ife-stage)」57)の変化を通じて消費者の商品選択や
欲求に影響を与える一要因であるため58),ライフステージの量的・質的差異の見地から,各ライ
フステージにおけるライフスタイルの生活課題の差異について調査・分析を行う必要性がある。
第四に,上原(1999)が「消費財マーケティングでの製品コソセプトは“生活問題の解決”に
焦点が置かれる」59)と指摘するように,ライフスタイル分析による市場調査から消費者のライフス
タイル上の生活課題に対する「問題解決要因」を探求し,製品開発における「製品コンセプト」や
解決手段としての「製品アイディア」の創出60),広告表現戦略へとそれらを反映する必要性があ
る。そして,「意味的消費と物理的消費の主体的一体化」61)の見地から,特定製品に関する製品コ
ンセプトの多様性の創造のための情報抽出に関する理論構築を検討する必要性もある。
第五に,消費者のライフスタイルにおける有機的な品揃え形成の中での製品の位置づけや製品へ
の意味づけ,製品の価値などの見地から,消費者側から見た「製品ポジショニソグ」の問題に関し
て,消費者のライフスタイルにおける製品の使用行動や廃棄決定を含む「購買後行動」研究の分析
視点から検討する必要性がある。以上のように,企業の製品戦略や広告表現戦略への消費者の価値
とラ・イフスタイルの規定性の問題,つまり,消費者とマーケティング戦略との相互作用の問題が,
今後の検討課題となる。
注
1)「価値」概念は,哲学や倫理学,経済学,文化人類学,社会学などの研究領域において,主要な概念として
形成され,発展してきた。社会学における価値概念は,「行為主体(個人または集団)によって抱かれた
“のぞましさ”についての概念であり,個人行為者の行為の方向づけに関わり,集団に構造的特徴を与える
ものである。価値は,主体内部の評価基準に対応した客体の“のぞましい”属性や性能と関連してはじめて
成立する関係概念である」と定義される。[濱嶋朗・竹内郁郎・石川晃弘編『社会学小辞典〔新版〕』,有斐
一174一
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閣,1997年,p.78。]
このような価値概念に隣接する概念には,「価値意識(value consciousness)」や「価値体系(value sys-
tem)」,「価値観(sense of value)」などがある。価値意識は,「個人または集団が抱く明示的または暗黙の
価値判断の総体」と定義される。価値と価値意識の両概念は,しばしば同意に用いられており,前者が後者
の意味をも包括して使用されることが多い。厳密には,価値は主体の評価作用を受けとめる客体の性能(ま
たは属性)であり,価値に対応する主体側の要因が,価値意識であるといえる。[同上書,p.78。]
そして,価値体系とは,「さまざまな種類および異なった水準の諸価値が,一定の原理のもとに整序,体
系化され,統一的な複合体を形成している状態」と定義される。[同上書,p.80。]
これに対して,価値観とは,「個人ないし集団がいだく,一連の関連しあった評価的態度の総体であり,
価値の序列についての主観的な見方,価値づけの仕方」と定義される。[同上書,p.78。]
2)当時,電通のPR局長であった藤岡(1984)は,画一化した大衆が差異化を求めて分化,崩壊する現象を
「少衆」と定義した。[藤岡和賀夫著『さよなら,大衆』,PHP研究所,1984年。]
3)当時,博報堂生活総合研究所の主席研究員であった関沢(1985)らは,画一性をもつ大衆が差異性を軸に
細分化した状況を「分割された大衆」,つまり,「分衆」と定i義した(傍点原著)。[博報堂生活総合研究所編
『「分衆」の誕生一ニューピープルをつかむ市場戦略とは一』,日本経済新聞社,1985年,p.3。]
4)池尾恭一著『日本型マーケティングの革新』,有斐閣,1999年,p.76。
5)Lazer(1963)は,「ライフスタイルとは,システム概念であり,社会全体の特徴的な生活様式であり,セ
グメソト特有の特徴的な生活様式でもある。ライフスタイルは,ひとつの社会における生活の動学から発達
し,現れるパターンとして具体化され,文化や価値観資源,シンボル,ライセンス,サソクションとして
の力の結果である」と定義した。[Lazer, W.,“Life Style Concepts and Marketing”in S. A. Greyser, ed.,
Toward Scientipc Marketing, AMA,1963, pp.130-131.]
6)井関(1975)は,市場細分化の新たな細分化基準としてのライフスタイル・セグメンテーショソの導入に
ついて,(1)生活の質(Quality of Life)への希求,(2)人々の欲求構造や生活意識,価値観,生活構造などの
変化,(3)若者文化(youth culture)の台頭,(4)消費者行動研究の理論レベルからの関心,(5)人口統計的変数
の説明力の低下,(6)従来の市場細分化政策からライフスタイル・セグメンテーションへの移行,⑦関連販
売,システム販売および新製品,関連製品の開発,(8)消費者から生活者への人間観の転換をその主な要因と
してあげている。[井関利明稿「「生活者」志向経営とラ・イフ・スタ・イル研究」,村田昭治・吉田正昭・井関
利明編著『ラ・イフ・スタイル発想法一新しいマーケティングの技法一』,ダイヤモソド社,1975年,pp.288-
300。]
7)本稿では,中村(1994)の定義に依拠し,「ライフスタイル分析」を個々の消費がどのように消費者個人の
生活の中に位置づけられるのかを問題にする方法として捉える。[中村雅子稿「消費老行動のライフスタイ
ル・アブローチ」,飽戸弘編著『シリーズ・政治と経済の心理学2消費行動の社会心理学』,福村出版,
1994年,p.60。]
つまり,本稿では,ラ・イフスタイル分析を「消費者の個人特性」の問題として扱う。
8)この時代の狭義のライフスタイル分析としての代表的アブローチには,経済心理学者Katona(1951,1960,
1964)の社会心理と消費需要分析,社会学者Mitchell(1969,1971,1972,1973)らの社会動向予測分析,
心理学者Yankelovich(1972)のソーシャル・トレンドアプローチ, Wells = Tigert(1971)やLeo Bur-
nett社のPlummer(1971,1974), Reynolds-Darden(1972)のAIOアプローチ, Benton&Bowles社の
Ziff(1971)のサイコグラフィック・セグメソテーショソなどがある。なお,これらの変遷については,以
下の文献を参照されたい。
・井関,前掲書(注6),pp.311-325。
・中村,前掲書(注7),pp.60-69。
9)Yankelovich(1981)の『ニュールール』では,アメリカの「豊かな社会」における「自己犠牲」から,
「不況の時代」における「自己充足」へと新しい行動原理の台頭を指摘する。このようなアメリカ社会の変
化から,Yankelovich(1981)は,アメリカ人のライフスタイルに「自己実現」が表出することを主張する。
[Yankelovich, D.,New Rules:Searchingfor Self一Fullllment in a World Turned Upside 1)own, Random House,
一175一
![Page 16: マーケティング戦略における市場細分化の再考 - 明 …...一連のVALSプログラム, VALSと対比されるLOVなどの代表的アプローチを整理し,その特](https://reader033.fdocuments.net/reader033/viewer/2022041918/5e6aed63d89df71b482e18af/html5/thumbnails/16.jpg)
1981.(ダニエル・ヤソケロビッチ著,板坂元訳『ニュールール』,三笠書房,1982年。)]
Io)Yankelovichのマインドベース・セグメソテーショソでは,(1)進取的者型(Up and Comers)(16%),(2)若
々しい実利主義者型(Young Materialists)(8%),(3)生活緊迫者型(Stressed by Life)(12%),(4)新伝統
主義者型(New Traditionalists)(14%),(5)制限家族型(Family Limited)(14%),(6)独立内向性者型
(Detached Introverts)(9%),(7)ルネサンス的高齢老型(Renaissance Elders)(15%),(8)退職者型(Re-
tired from Life)(12%)の8類型に分類する。[Schiffman, L. G. and L. L. Kanuk, Consumer Behavior,8th
ed., Prentice-Hall,2004, pp.75-77.]
11)武井(1990)は,「価値研究は,社会学に代表される“マクロ的研究”と心理学に代表される“ミクロ的研
究”の2つの応用が図られており,VALSは前者のアブローチ,ラダリソグ法は後老のアプローチである」
と指摘する。[武井寿稿「VALS類型一消費老分類の新しいカテゴリーとしてのVALSとは何か? またそ
の有効性は?」,横田澄司・亀井昭宏編著『マーケティソグの最前線2』,学文社,1990年,p.237。]
また,Durgee ・= Veryzer(1996)は,消費者の価値体系を評価するための具体的技法として,(1)標準的
な価値一覧表を適用する分析技法であるRokeach inventoryやLOV(List of Values),(2)究極的価値を解
明するために消費者に製品への感情の特徴を問う分析技法であるラダリソグ法(laddering)やモチベーシ
ョン・リサーチ(motivation research)をあげている。[Durgee, J. F. and R. W. Veryzer,“OBSERVA-
TIONS:Translating Values into Product Wants”,fournal ofAdventsing.Research, Vol.36. No.6(November-
December.1996),p.90.]
12)井関(1974)と堀内(1974)による生活体系アプローチとは,ライフ・スタイルに「システム」概念を援
用し,生活構造・生活意識・生活行動の3次元からなる「生活システム・モデル」に基づき,生活者のラ
イフ・スタイルをクラスター分析するものである。〔井関利明・堀内四郎稿「生活者セグメソテーショソの
研究」,rアドバタイジソグ』,4月号,株式会社電通,1974年, pp.72-76。及び,井関利明・堀内四郎稿
「生活者セグメンテーションの有効性」,『アドバタイジング』,6月号,株式会社電通,1974年,pp.86-91。]
13)余暇開発センター(1987,1988)の「ニュー・ジャパニーズ・ウェイ・オブ・ライフ(NJWL)調査」で
は,飽戸の五次元モデルを基礎に(1)伝統出世型(14%),(2)エグゼクティブ型(8.7%),(3)脱伝統家庭型
(15.2%),(4)消極無志向型(32.7%),(5)人生享受型(6.8%),(6)自己充足型(10.3%),(7)都会派プロフェ
ッショナル型(12.4%)の7類型に分類する。[飽戸弘稿「ライフスタイル研究の新しい視点」,飽戸弘・松
田義幸編『「ゆとり」時代のライフスタイルー7タイプにみる生活意識と行動』,日本経済新聞社,1989年,
pp.39-48。]
14)日経産業消費研究所と飽戸(1988,1989,1990,1991)による「日経総合ライフスタ・イル調査」では,(1)上
昇志向,(2)個性化志向,(3)社会性,(4)自己尊重型,(5)生活エンジョイ志向,(6)オピニオソリーダー性の6
因子から,ライフスタ・イルを(1)上昇意欲型(18%),(2)個性追求型(11%),(3>無私無欲型(14%),(4)諦観
無気力型(15%),(5)生活意欲型(10%),(6)仲間中心型(18%),(7)私生活中心型(14%)の7類型に分類
する。日経総合ライフスタイル調査では,衣食住や余暇などをテーマに定め,消費者行動とライフスタイ
ルとの関連性について計8回に及ぶ大規模な調査を実施した。これらの詳細は,以下の文献を参照された
い。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所(旧日本消費経済研究所)編『都市生活者のライフスタイルと消
費生活』,日本経済新聞社,1988a年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所(旧日本消費経済研究所)編『食生活とライフスタイル』,日本経
済新聞社,1988b年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『衣生活とライフスタイル』,日本経済新聞社,1989a年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『住生活とライフスタイル』,日本経済新聞社,1989b年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『ニュー・リッチとライフスタイル』,日本経済新聞社,1990年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『フレッシュマンとライフスタイル』,日本経済新聞社,1991a
年。
・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『「知」「遊」とライフスタイル:都市生活者の余暇』,日経産業
消費研究所,1991b年。
一176一
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・日本経済新聞社,日経産業消費研究所編『女性とライフスタ・イル』,日経産業消費研究所,1991c年。
15)英国のExperian社によるGlobal MOSAICは,オーストラリアや南アフリカ,ペルーを含む19力国におけ
る消費者を分析するシステムである。Global MOSAICでは,世界の国内総生産の約80パーセソトを生産す
る800万人を対象に分類し,14の共通のライフスタイル・セグメントの発見のために631の異なるMOSAIC
類型を要約した。[Solomon, M. R, Consumer Behavior: Baying, Having, and Being,6しh ed,, Prentice-Ha11,
2004,p.209.]
16)1978年からフランスのパリを拠点とするRISC(the Research Institute on Social Change)のRISCは,40
力国以上の国々の中でのライフスタイルと社会的変化についての国際的測定尺度である。RISCでは,母集
団を10のライフスタイル・セグメントに分類した。[lbid, pp.209-212.]
17)Alderson, W., Dynamic Marleeting Behavior A Functionalyst Theory(of Marketing, Richard D. Irwin, Inc.,
1965,p.27.(ロー・オルダースソ著,田村正紀・堀田一善・小島健司・池尾恭一共訳『動態的マーケティ
ング行動 マーケティングの機能主義理論一』,千倉書房,1981年,p. 33。)
18)VALSでは,広範囲に及ぶトピックに関する800問の質問を行い,サンプル数の規模は1600人を超えてい
る。[Mitchell, A., The IVine/Americαn Lzfes ty les’Who We Are and Where VVe Are Going, Macmillan,1983, p.
3.]
また,SRIのMitchell(1969,1971,1972,1973)らは, VALSプログラムの開発以前から, Maslow
(1962,1970)の欲求5段階説を前提としたアメリカ社会における価値とライフスタイル,生活の質に関す
る一連の「社会動向予測分析」を行っている。Mitchel1(1973)は,「ライフ・ウェイ(life way)」と「ラ
イフ・スタイル(life style)」とに大別し,ライフ・ウェイについては,(1)建設者(Makers),(2)保存家
(Preservers),(3)受益者(Takers),(4>変革老(Changers),(5)探求者(Seekers),(6)逃避者(Escapers)
の6類型,ライフ・スタイルについては,(i)実験型(Experimenta1),(ii)追従型(Following),(iiD快楽志向
型(Pleasure-Seeking),㈹自己規制型(Self-Denying),(v)実際型(Practica1),㈹見てくれ型(Ostenta-
tions)の6類型に分類した。[井関,前掲書(注6), pp.317-319。]
19)Mitchell, op. cit., pp,4-24.
なお,本稿のVALSの各類型の訳語は,吉福(1987)らに従った。[Mitchell, A., J. Ogilvy, and P.
Schwartz, The VALS Typology.一.A IVew Perspective on.Ameriaa, SRI International,1986.(アーノルド・ミッ
チェル,ジェームズ・オグルビー,ピーター・シュウォーツ著,吉福伸逸監訳,露田栄作・大野純一・小
堀寛訳『パラダイム・シフトー価値とライフスタイルの変動期を捉えるVALS類型論一一』, TBSブリタニ
カ,1987年,pp.97-107。)]
20)Maslow(1962,1970)の欲求5段階説では,(1)生理的欲求,(2)安全の欲求,(3)所属と愛の欲求,(4)承認の
欲求,(5)自己実現の欲求へと個人の「動機づけ(motivation)」を階層化して捉える。[Maslow, A. H.,
Toward a Psychology ofBeing, Princeton:Van Nostrand,1962.(A. H.マズロー著,上田吉一訳『完全なる人
間:魂のめざすもの』,誠信書房,1964年。)及び,Maslow, A. H.,Motivα tion and Personelity,2・d ed.,Harp-
er&Row, Publishers,1970.(A, H.マズロー著,小口忠彦訳『人間性の心理学[改訂新版]』,産能大学出
版部,1987年。)]
21)Riesman(1961)は,人間の社会的性格の心理的類型の変化を(1>伝統指向,(2>内部指向,(3)他人指向の3
類型に分類した。[Riesman, D., The Lonely Crowd:AStudy of the Changing.American Character, Yale
University Press,1961.(リースマン著,加藤秀俊訳『孤独な群衆』,みすず書房,1964年。)]
22)VALSでは, MaslowやRiesmanの他にGravesやLoevinger, Erikson, Fromm, Harvey, Kluckhohn,
McGregerなどの人間発達のモデル類型を折衷主義的に援用した点に特徴がある。[Mitchell,1983,0p, cit.,
pp.29-31.]
23)Schiffman=Kanuk, op. cit., p.135.
24) Ibid, p.139.
25)Ibid, p.138.
26) Ibid, p.138.
27)国家や文化的差異の見地から,多種多様なライフスタイル・セグメンテーションの実証結果が報告されて
一177一
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いる。例えば,英国のMcCann-Erickson London社では,英国人のライフスタイルを(1)アヴァンギャルド
型(Avant Guardians)(変化に興味がある者),(2)司教型(Ponti且cators)(非常に英国人的な伝統主義者),
(3)カメレオソ型(Chameleons)(大衆追随者),(4)夢遊病型(Sleepwalkers)(現状に満足し努力しようとし
ない老)の4類型に分類した。[Kotler, P. and G. Armstrong, Principles ofMarleeting,7th ed., Prentice-Hall,
1996,p.153.]
28)SRIC-BIでは,文化的差異によりVALSTMをカスタマイズする必要性から,アメリカ市場向けのU.S.
VALSTM,日本市場向けのJapan-VALSTM,英国市場向けのU.K. VALSTMなどの国別のセグメソテーショ
ン・システムを設計した。[「Family of Products:VALSTM understanding applies across industries and conti-
nents.」(2002)(URL:http://www.tokyo.sric-bi.com/programs/vals/a.html)(2005/09/08取得).]
29)「The VALSTM Segments:VALSTM Framework」(2001-2005)(URL:http:〃www.tokyo.sric-bi.com/pro-
grams/vals/a.html)(2005/09/08取得).
30)同上URL。
31)Peter, J. P. and J. C. Olson, Consumer/Behavior and Marketing Strategy,7th ed., McGraw・Hill,2005, p.385.
32)Benton&Bowles社のZiff(1971)は,「サイコグラフィックス(Psychographics)」を中心概念として,
(1)攻撃性や切望,外向性,男らしさなどから構成されるパーソナリティ変数群,②地域社会への関与や家
庭の娯楽,余暇活動などから構成されるライフスタイル変数群から消費者のライフスタイルを捉えた。
[Zi餌R,“Psychographics for Market Segmentation”,ノburnal(ofAdvertising Research, Vol.11, No. 2(April.
1971),p.3.コ
また,「広義のサイコグラフィックス」は,ライフスタイル変数と同義の概念として使用され,「狭義の
サイコグラフィックス」は,パーソナリティ変数にライフスタイル変数を加えて構成された概念である。
33)久我美絵子稿「変わる価値と変わらない価値」,『ブレーン』,1月号,誠文堂新光社,1993年,p.100。
なお,Japan-VALSでは,セグメントを10類型に分類するために,心理学的なモチベーションを探る49
の設問とデモグラフィックに関する6つの設問の計55の設問から構成されている。[同上論文,p.103。]
34)VALS2における(D主義指向,(2)地位指向,(3)活動指向という3つの主要な自己指向は, Japan-VALS上で
の達成欲求,自己表現欲求,安定欲求に近似し,資源の軸はJapan-VALS上での活力の軸に近似する。そ
のため,Japan-VALSは, VALS2をその基礎としているといえよう。[同上論文, p.105。]
35)浦垣勉稿「Japan-VALSの有効性と諸活動への援用」,『ブレーン』,2月号,誠文堂新光社,1993年, pp,
128-1290
36)Rogers(1962)は,「革新性」の概念を採用者カテゴリー化の基準として,(1)革新者(lnnovators)(2.5%),
(2)初期採用者(Early adopters)(13.5%),(3)前期追随者(Early majority)(34%),(4)後期追随者(Late
majority)(34%),(5)遅滞者(Laggards)(16%)の5類型に分類した。[Rogers, E. M., Dtlfftcsion of lnno・
vations, The Free Press,1962.(E.ロジャース著,藤竹暁訳『技術革新の普及過程』,培風館,1966年, pp.
109-116。)及び,Peter=Olson, Op. cit., pp.413-414.]
37)小坂(2002)は,「消費者のライフスタイルを製品やサービスの新しい(革新的な)ものを採用する速さで
分類することも行われる。これは製品戦略のところで論じられることが多いが,むしろライフスタイルの
一類型とみることができる」と主張する。[小坂恕著『マーケティソグ・マネジメソト論:理論が事業経営
を活かす』,有斐閣ブックス,2002年,p.120。]
38)SRIコンサルティングビジネスインテリジェンス(2002),「ロジャースの普及理論・心理学の類似性理論」
(URL:http:〃www.tokyo.sric-bi.com/programs/vals/a.html)(2005/09/08取得)。
39)SRIコソサルティングビジネスイソテリジェソス(2002),「日本市場を鳥鰍」(URL:http://
www.tokyo.sric-bi.com/programs/vals/a.html)(2005/09/08取得)。
40)Kahle, L. R., S. E Beatty, and P. Homer,‘‘Alternative Measurement Approaches to Consumer Values:The
List of Values(LOV)and Values and Life Style(VALS)”,Journal(of Consumer Research, Vo1.33(1986),pp.
405-409.
41)Ibid, pp.405-409.
42)Beatty, S. E, L. R. Kahle, and P. Homer,‘‘Personal Values and Gift-Glving Behaviors:AStudy across Cul一
一178一
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tures”,ノburnal of、Business Reseαrch, Vol.22(1991),pp.154-156.
43)荒川(1978)は「消費者(買手)類型論」としてのライフスタ・イル分析が急展開した要因として,(1)市場
細分化という考え方のマーケティング領域での普及,(2>多変量解析,データ・バソク,情報処理能力の発
展に伴う新しい調査能力・技法の開発を指摘する。[荒川祐吉著『マーケティソグ・サイエソスの系譜』,
千倉書房,1978年,p.152。]
44)堀内四郎稿「ライフ・スタイル・セグメンテーショソの技法と事例」,村田昭治・吉田正昭・井関利明編著
『ライフ・スタイル発想法一新しいマーケティソグの技法一』,ダイヤモンド社,1975年,pp.101-110。
45)同上書,p.104。
46)同上書,pp.105-106。
47)Novak, T. P. and B. MacEvoy,“On Comparing Alternative Segmentation Schemes:The List of Values
(LOV)and Values and Life Styles(VALS)”,ノburnal(of Consumer、Research, Vol.17(1990),pp.105-109.
48)「ライフスケープ」とは,「複数の商品とサービス,情報を生活のある時間と空間の中に位置づけながら,
より質の高い場面を演出しようとする試み」を指す。[井関利明稿「生活起点マーケティングの新しい展開
一ライフスケープ戦略一」,井関利明・室井鐡衛編著『生活起点発想とマーケティング革新』,国元書房,
1991年,p.313。]
49)同上書,pp.312-313。
50)クレイグJ.トンプソソ稿「とらえどころのないポストモダソ消費者」,『DIAMONDハーバード・ビジネス
レビュー』第26巻第6号,2001年,ダイヤモンド社,p.112。
51)Kinnear, T. C. and J. R. Taylor,‘‘Psychographics:Some Additional Findings”,ノburnal(OfMarleeting Research,
Vo1.13. No.4(November 1976),pp.422-425.
52)丸岡吉人稿「消費者の価値意識一マクロとミクロの視点から一」,高木修監修,竹村和久編集『シリーズ21
世紀の社会心理学7消費行動の社会心理学』,北大路書房,2000年,p.33。
53)Kamakura, W. A. and M. Wede1,“Life-Style Segmentation with Tailored Interviewing”,Journal〔of Marleet-
ing、Research, Vol.32. No.3(August 1995),pp.308-317.
54)佐藤郁哉著『フィールドワークー書を持って街へ出よう一』,新曜社,1992年,p.82。
55)「定義的な概念」とは,属性もしくは固定された基準尺度に関する明確な定義によって,対象の類に共通す
る性質を緻密に指示する概念を指す。これに対して,「感受概念」とは,属性または基準尺度を特定化しな
い概念を指し,感受概念は,その使用者に経験的な事例にアプローチする際にどこを参照するのか,どの
ように接近するのかというような概括的な意味を与えるものである。[Blumer, H., Symbolic lnteractionism:
Perspective and Method, Prentice-Hall,1969.(ハーバート・ブルーマー著,後藤将之訳『シソボリヅク相互
作用論一パースペクティヴと方法 』,勤草書房,1991年,pp.191-192。)]
56)同上書,p.194。
57)「ライフステージ」とは,生活周期の段階を指す。個人の生活周期の段階は,幼年期,児童期,青年期,中
年期,高年期などに分類され,家族の生活周期は,新婚期,育児期,教育期,子独立期,子独立後夫婦
期,老夫婦期,単身期などに分類される。[濱嶋・竹内・石川,前掲書(注1),p.613。〕
58)消費者の価値とライフスタイルの関連性について,飽戸(1989)は,「本来,価値は現に“ある”自分の好
みや態度とは異なり,社会や下位文化にとって,“あるべき”もの,として考えられたものであり,価値は
その社会や下位文化の構成員に内在化され,独特の生き方,ライフスタイルとして定着する。そのため,
価値と態度は分離し難く絡み合う」と主張する。[飽戸,前掲書(注13),pp.35-36。]
これに対して,石井(1993)は,「人は,いったん,定着させた自分の価値や文化をそれほど無造作に捨
てはしない。自分の価値や文化を内在したモノを持ったときとくにそうである。クルマ,衣服,家具,食
事,etc,いずれであれ,自分の価値とあったモノ群で身の回りをまとっていくはずである。その意味で,
ある人の身の回りのモノ群はその人の持つ価値の漂流をとどめ,定着させる機能をもっているのである」
と主張する。[石井淳蔵著『マーケティソグの神話』,日本経済新聞社,1993年,p.179。]
59)上原征彦著『マーケティング戦略論』,有斐閣,1999年,p.39。
Alderson(1957,1965)は,「合理的問題解決」を消費老の購買行動の中核であると主張し,消費者行動
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を「問題解決行動」として捉えた。Alderson(1957,1965)は,消費者行動を目的と手段の基準から,そ
れ自体が目的をなす「自己完結型行動」と目的に対する手段をなす「手段型行動」とに分類した。[Alder-
son, W.,Marketing/Behavior and Executive Action, Richard D. lrwin, Inc.,1957.(ロー・オルダースソ著,石
原武政・風呂勉・光澤滋朗・田村正紀訳『マーケティング行動と経営者行為一マーケティング理論への機
能主義的接近一』,千倉書房,1984年,pp.183-197。及び,オルダースン,田村・堀田・小島・池尾,前
掲書(注17),pp,167-176。)
そのため,消費者のライフスタイル上の生活課題を分析対象として,ライフスタイル分析による市場調
査から消費者の問題解決要因を探求する場合,消費者行動における手段型行動の側面が重要になるといえ
る。
60)上原(1999)は,以下のように定義する。「製品コンセプト」とは,使用・消費することによって消費者が
得る意味・便益,問題解決そのものを指し,企業が製品アイディアに組み入れようとする消費者にとって
の特定の主体的な意味・意義を表現したものと規定される。製品コソセプトに対比される概念である「製
品アイディア」とは,企業が市場に提供し得る製品を客観的かつ機能的用語で説明したものを指す。〔上原,
前掲書(注59),pp.37-38。]
61)同上書,p.5。
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〔17〕井関利明・室井鐡衛編著『生活起点発想とマーケティング革新』,国元書房,1991年。
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