データベースADOSによるアトピー性 皮膚炎の臨床データの...

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日皮会誌:98 (12), 1211-1218, 1988 (昭63) データベースADOSによるアトピー性 皮膚炎の臨床データの解析 藤渾 山本 重樹木 裕子** 大岡 森岡 アトピー性皮膚炎(以下AD) 284例(男136例,女148 例)の臨床症状についてdata basement system ADOSを用いて解析し,以下のことが明らかとなっ た.全年齢層でみられるADの症状は発汗による癈 慄,顔・伸側の局面,非特異的手足皮膚炎,耳切れな どである.口唇炎,関節高の局面,乾皮症, Dennie- Morganの下眼瞼皺製,手掌の過剰皺製,再発性結膜 炎,毛孔角化,前頚部皺製,白色枇糠疹,過労による 増悪, Hertoghe徴候,乳頭湿疹,魚鱗癖などは加齢と ともに多くなる.45歳以上の高齢の症例ではロ唇炎, 関節嵩の局面, Dennie・Morganの下眼瞼皺製,再発性 結膜炎,毛孔角化,前頚部皺製,白色枇糠疹,耳切れ, 過労による増悪,乳頭湿疹の発現率が減り,臨床的に いわゆるADらしさに欠ける.各症状の発現率の性差 についてはHertoghe徴候が男子で,手足皮膚炎,乳頭 湿疹,関節高の局面,手掌の皺談が女子で各々多く認 められた.前頚部皺嚢, Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭 湿疹,再発性結膜炎は重症度を表わす皮膚症状として のパラ.g-タになるが,白色枇糠疹,手足皮膚炎,魚 鱗癖,毛孔角化は重症度との関わりが小さい.ADの症 状の出現に関わる因子のうち最も相関度が高い因子か 年齢でその次が血清lgE値である.すなわちADの症 状の発現は年齢により大きく左右され,前頚部皺製, Hertoghe徴候,耳切れ,・乳頭湿疹,再発性結膜炎があ る場合は重症で高い血清lgE値を有するADである と予測されることが明らかとなった. はじめに アトピー性皮膚炎(以下AD)は年齢分布が乳幼児か ら老人にまでおよび,症状もatopic skinといわれる ゛社会保険横浜中央病院皮膚科 **日本大学医学部皮膚科(主任 森岡貞雄教授) 昭和62年n月26日受付,昭和63年5月31日掲載決定 別刷請求先:(〒231)横浜市中区山下町268 社会保 険横浜中央病院皮膚科 藤渾重樹 久雄¨ 稲冨 貞雄** 徹** ような軽症から紅皮症に近い重症のものまであり,か なり幅の広い疾患である.発症に関わる因子も即時型, 遅延型アレルギー反応の異常,血液貪食細胞の異常, 薬理学的,生理学的異常,遺伝学的素因などと種々様々 でありそれらが複雑に絡み合って病像を形成してい る.そのためADはごく一般的な疾患であるにもかか わらず明確に定義しにくい一面がある.そこでADの 病像や発症因子を解析するためにはcomputer power が不可欠と考え, personal computer を利用したdata basement system ADOS (Atopic Dermatitis Operat・ ing System)を用いて,生後4ヵ月から92歳までのAD 284例(男136例,女148例)の臨床症状について解析し, 年齢と症状発現の推移,各症状間の相関性,症状と重 症度との関係や重症度を反映すると考えられる皮膚症 状について報告する. 材料と方法 A.使用機種とソフトウェア 使用機種は20MBのハードディスクと2MBの RAMボードを増設したjイソタモリ640KBの80286 CPUでクロック10/8MHZ切替え可能なパーソナル コソピュータPC・9801VX21 (日本電気)である. ADOSシステムの構築に際し,設定した要件は以下 の如くである. 1)データの入力,変更,削除,紹介等の定型処理と データの検索,並び換え,グラフ出力等の非定型処理 が取り扱える. 2)項目の定義の自由度が高い(項目の型及び長さに 出来るだけ制限がない). 3)データ入力のときに無入力が扱える.即ち入力が ないときに「Oまたはブランクとする」のではなく 「データの入力が本当になかった」と扱える. 4)データペース機能,表計算機能,統計々算機能, グラフ出力機能を持つ. 5)エラー対策が万全で信頼性が高く,システムが短 期間で立ち上がる.すなわち,短時間で企画から設計 を経て構築できる.

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日皮会誌:98 (12), 1211-1218, 1988 (昭63)

データベースADOSによるアトピー性

   皮膚炎の臨床データの解析

藤渾

山本

重樹木

裕子**

大岡

森岡

          要  旨

 アトピー性皮膚炎(以下AD) 284例(男136例,女148

例)の臨床症状についてdata basement system

ADOSを用いて解析し,以下のことが明らかとなっ

た.全年齢層でみられるADの症状は発汗による癈

慄,顔・伸側の局面,非特異的手足皮膚炎,耳切れな

どである.口唇炎,関節高の局面,乾皮症, Dennie-

Morganの下眼瞼皺製,手掌の過剰皺製,再発性結膜

炎,毛孔角化,前頚部皺製,白色枇糠疹,過労による

増悪, Hertoghe徴候,乳頭湿疹,魚鱗癖などは加齢と

ともに多くなる.45歳以上の高齢の症例ではロ唇炎,

関節嵩の局面, Dennie・Morganの下眼瞼皺製,再発性

結膜炎,毛孔角化,前頚部皺製,白色枇糠疹,耳切れ,

過労による増悪,乳頭湿疹の発現率が減り,臨床的に

いわゆるADらしさに欠ける.各症状の発現率の性差

についてはHertoghe徴候が男子で,手足皮膚炎,乳頭

湿疹,関節高の局面,手掌の皺談が女子で各々多く認

められた.前頚部皺嚢, Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭

湿疹,再発性結膜炎は重症度を表わす皮膚症状として

のパラ.g-タになるが,白色枇糠疹,手足皮膚炎,魚

鱗癖,毛孔角化は重症度との関わりが小さい.ADの症

状の出現に関わる因子のうち最も相関度が高い因子か

年齢でその次が血清lgE値である.すなわちADの症

状の発現は年齢により大きく左右され,前頚部皺製,

Hertoghe徴候,耳切れ,・乳頭湿疹,再発性結膜炎があ

る場合は重症で高い血清lgE値を有するADである

と予測されることが明らかとなった.

          はじめに

 アトピー性皮膚炎(以下AD)は年齢分布が乳幼児か

ら老人にまでおよび,症状もatopic skinといわれる

 ゛社会保険横浜中央病院皮膚科

**日本大学医学部皮膚科(主任 森岡貞雄教授)

昭和62年n月26日受付,昭和63年5月31日掲載決定

別刷請求先:(〒231)横浜市中区山下町268 社会保

 険横浜中央病院皮膚科 藤渾重樹

久雄¨ 稲冨

貞雄**

徹**

ような軽症から紅皮症に近い重症のものまであり,か

なり幅の広い疾患である.発症に関わる因子も即時型,

遅延型アレルギー反応の異常,血液貪食細胞の異常,

薬理学的,生理学的異常,遺伝学的素因などと種々様々

でありそれらが複雑に絡み合って病像を形成してい

る.そのためADはごく一般的な疾患であるにもかか

わらず明確に定義しにくい一面がある.そこでADの

病像や発症因子を解析するためにはcomputer power

が不可欠と考え, personal computer を利用したdata

basement system ADOS (Atopic Dermatitis Operat・

ing System)を用いて,生後4ヵ月から92歳までのAD

284例(男136例,女148例)の臨床症状について解析し,

年齢と症状発現の推移,各症状間の相関性,症状と重

症度との関係や重症度を反映すると考えられる皮膚症

状について報告する.

          材料と方法

 A.使用機種とソフトウェア

 使用機種は20MBのハードディスクと2MBの

RAMボードを増設したjイソタモリ640KBの80286

CPUでクロック10/8MHZ切替え可能なパーソナル

コソピュータPC・9801VX21 (日本電気)である.

 ADOSシステムの構築に際し,設定した要件は以下

の如くである.

 1)データの入力,変更,削除,紹介等の定型処理と

データの検索,並び換え,グラフ出力等の非定型処理

が取り扱える.

 2)項目の定義の自由度が高い(項目の型及び長さに

出来るだけ制限がない).

 3)データ入力のときに無入力が扱える.即ち入力が

ないときに「Oまたはブランクとする」のではなく

「データの入力が本当になかった」と扱える.

 4)データペース機能,表計算機能,統計々算機能,

グラフ出力機能を持つ.

 5)エラー対策が万全で信頼性が高く,システムが短

期間で立ち上がる.すなわち,短時間で企画から設計

を経て構築できる.

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1212

7) Seaeonal variation (naO, VMil)

e) IgE (HIST)皿数(lU/ml)

9 ) IgE (RAST)実数

10) lgG4実数(U/ml)

II) Hood eoslnophllecount12) Blood basopMIe countt3) White blood cellC姐

14) History of atopy:

幻幻ね~幻助り刀幻0幻幻n幻幻帥n幻幻

1111122222222223333

Data of atopic dHinatllls, DBMS BY R :

ADOS SYSTEM社会保険横浜中央病院皮膚

IRASTINDEX)・’.ダウ

スウ ユ

ダヨクニ    サ

スヒパウズギ  ク

ウケンユイムメバギタ

ハヤラギダココソスブ

①②③④⑤⑥⑦③⑨⑩

      数

      盤

 ニ

トダウ

スウ ユ

ダヨクニ

スヒバウズ

ウケンユイ

ハヤラギダ

①②③④⑤

asthma

allergic rhinitis

aloplc dermatitis

urticaria

CheilltiBPltyrfasisalbaXerosisDete「loratlonby PBychologlcal tensionItch In unlnvolved skin when sweatingNon・specific handぽ毎ot岫matms

Nipple eczema

IcMhyMis

Flexural llchenldcatlon (dermatitis)

Facial ●nd extensor Involvement

Palmar hyperilnearity

K●「atosll p4自叙i●

R●Cぽrantconjunctivitis

DMir・i*-Morgan rnfraomital fold

Anterior neck fold!

H●「logha'B sign

Juicy looking

Ear rhagadm

Comment(50宇以内〉

Persml糾

藤渾 重樹ほか

BASE5000

1113sI

CCCCCCCCCC

時1111111111111111111111

■= 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ~0 0 0 ~l0 0 ~0 0 

・データベース構築

・データ編集

・データ検素

・ソーティング

・データ集計

・計算

・ソーティング

グラフ作成

図1 データベースADOSへの入力用カード

 以上の要件を満たすためにMicrosoft社が開発し

たMS-DOS version 3.1" (Microsoft Disk Operating

System)上で作動する市販のapplication soft を組み

合わせてADOSを構築した.使用したソフトウェアは

リレーショナルデータベースのRBASE 5000 (Mi-

crorim社)2),表計算のMultiplanCMicrosft社)3),グ

ラフ作成用にMicrosoft Chart (同)4),日本語人力は

ATOK6(ジャストシステムy\統計解析は多変量解析

(日本マイコソ販売)6)と多変量解析システム(社会情

報サービス)7)である.

 B.入力項目

 データベースの入力項目として患者名,診察日,性

別,年齢,罹患年齢,重症度,季節変動の有無,本人

と家族の既往歴,白血球数,好酸球数,好塩基球数,

IgE (RIST), IgE抗体(RAST)(ハウスダスト,ヤ

ケヒョウダエ,卵白,牛乳,大豆,小麦,米,蕎麦,

杉,ブタクサ), IgG4(ハウスダスト,ヤケヒョウダユ,

卵白,牛乳,大豆), 18種類の皮膚症状とcomment欄

圏]

 ヽu国

 ヽU[回

 U

stt]⇒[ゼ§ご]゜”゛”

じ甲匠

図2 ADOSシステム全体のデータの流れ

を設定した(図1).

 皮膚症状の項目についてはSvenssonが1985年に

Hanifin & Rajkaの診断基準の皮膚症状をAD 47例と

同年齢の正常人とカイ2乗検定で比較し,有意差の認

められたとするものを参考にして設定した8)9)

 C.システムの概要

 図2にADOS全体のデータの流れを示した. 1MB

当たり約4,000件のデータペース容量を持つADOSに

蓄えられたデータはSYLKファイルで表計算ソフト

のMultiplanに転送されて1枚のワークシートの表

になり,さらに種々の関数計算などで加工処理された

データは多変量解析のプログラムソフトにより統計処

理されてMicrosoft Chart でグラフ化されて可視的に

解析される.

 D.対象患者

 対象患者は当院皮膚科外来に通院する4ヵ月から92

歳までの男子136人,女子148大のAD患者284人であ

る.ADの診断についてはHanifin & Rajkaの提唱す

る診断基準に従った9).

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アトピー性皮膚炎の解析

          結  果

 入力から検索,グラフ出力,統計解析までの作業を

一貫して行えるデータペースシステムADOSを用い

ることにより,AD全体の病像,年齢,性別,季節変動

と症状の変化,治療の効果. IgE (RIST), IgE抗体

(RAST)を含む臨床検査成績と症状の程度,相関性な

どの検討が容易となり,診療上あるいはADを研究す

る上で非常に有利になった.本論文ではこのうち臨床

症状を分析した結果について述べる.

 表1にAD 284例を24歳までは3歳ごとに30歳以降

は15歳おきに分けてADの特徴的な17項目の症状の

発現率と血清lgE値の幾何平均値を示した.

 全年齢を通じての各症状の発現率は高い順から口唇

炎(78%),発汗で癈捧(76%),顔・伸側の局面(75%),

乾皮症(72%),関節嵩の局面(63%), Dennie-Morgan

の下眼瞼皺嚢(57%),手掌の過剰皺契(57%),再発

性結膜炎(45%),毛孔角化(45%),非特異的手足皮

膚炎(44%),前頚部皺裴(42%),白色枇糠疹(41%),

耳切れ(41%),過労による増悪(35%), Herotghe徴

候(29%),乳頭湿疹(26%),魚鱗癖(11%)となる.

表1

1213

 年齢層別に分析すると,0~2歳の乳幼児期から発

現して,加齢による変動がない症状として発汗で癈徐,

顔・伸側の局面,非特異的手足皮膚炎,耳切れなどが

ある.

 乳幼児期から成長とともに多くなる症状としては口

唇炎,関節高の局面,乾皮症, Dennie-Morganの下眼

瞼皺嚢,手掌の過剰皺嚢,再発性結膜炎,毛孔角化,

前頚部皺嚢,白色枇糠疹,過労による増悪, Hertoghe

徴候,乳頭湿疹,魚鱗癖などがある.45歳以上の高齢

になるとロ唇炎,関節嵩の局面, Dennie・Morganの下

眼瞼皺嚢,再発性結膜炎,毛孔角化,前頚部皺談,白

色枇糠疹,耳切れ,過労による増悪,乳頭湿疹の発現

率は減るが,発汗で癈徐,顔・伸側の局面,乾皮症,

手掌の過剰皺嚢,手足の皮膚炎, Hertoghe徴候等は成

人型ADとほぼ同じ頻度で認められる.

 血清lgE値は284例全体の算術平均値が2,230IU/

ml,幾何平均値が406IU/mlとなり,3歳までは631U/

mlと低いが加齢とともに上昇し,15~18歳のところで

ピーク(6151U/ml)となり,高齢になっても多少の凹

凸はあるが高い値で推移した(表1λ

年齢別症状発現率(%) n =284

年 齢 0-2 3-5 6-8 9-11 12-14 15-17 18-20 21―23 24-29 30-44 45―59 60―92 合 計

症状名\人数(n) 15 35 13 18 18 35 33 25 44 27 9 12 284

ロ唇炎 27 80 69 89 89 89 97 84 89 74 22 33 78

白色枇糠疹 47 80 77 72 67 34 27 24 30 22 0 8 41

乾皮症 53 94 92 78 72 66 61 68 68 67 56 100 72

過労で増悪 0 9 8 11 28 20 42 48 70 67 44 25 35

発汗で崖嫁 73 74 92 94 78 83 97 64 80 78 67 67 76

手足皮膚炎 47 37 23 44 28 34 48 44 61 48 44 42 44

乳頭湿疹 7 n 8 0 22 37 48 32 36 30 22 8 26

魚鱗癖 0 6 15 17 11 11 9 12 18 7 11 8 11

関節窓の局面 53 77 77 78 94 60 76 44 55 63 33 17 63

顔・伸側の局面 73 80 62 67 89 74 79 80 82 63 67 67 75

手掌の皺裴 27 20 23 44 44 69 76 64 77 63 78 67 57

毛孔角化 40 69 85 83 72 46 39 24 32 26 0 17 45

再発性結膜炎 7 37 38 44 44 66 48 48 57 41 67 8 45

下限皺皺裴 20 54 62 61 61 66 70 56 64 63 44 17 57

前頭部皺裴 13 29 31 50 56 51 45 52 55 41 33 8 42

Hertoghe徴候 0 14 15 39 22 23 42 24 34 44 22 50 29

耳切れ 53 46 31 44 44 40 64 32 45 30 11 0 41

lgE値(IU/m1) 63 U7 238 490 519 615 598 663 609 305 1251 979 406

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1214

 表2 性別症状発現率(%)男:136人,女:148人

藤渾 重樹ほか

症状名 男  女 有意差χ2検定

口唇炎 74  72 NS

白色枇糠疹 40  42 NS

乾皮症 75  70 NS

過労で増悪 32  39 NS

発汗で瀋障 78  75 NS

手足皮膚炎 37<50 p<0.05

乳頭湿疹 19<32 p<0.05

魚鱗癖 13  9 NS

関節高の局面 56<70 p<0.05

顔・伸側の局面 79 72 NS

手掌の皺奘 46 < 66 p<0.005

毛孔角化 49  41 NS

再発性結膜炎 43  48 NS

下眼瞼皺奘 54  60 NS

前頚部皺裴 41  43 NS

Hertoghe徴候 35 > 22 p<0.05

耳切れ 41  41 NS

 表2に284例を男136例,女148例に分けて各症状の発

現率の性差を示した. Hertoghe徴候が男子で,手足皮

膚炎,乳頭湿疹,関節高の局面,手掌の皺製が女子で

各々多く認められた(カイニ乗検定).

 表3は284例の各症状の有無と重症度,血清lgE値

(幾何平均)との関係である.重症度の決め方は概ね皮

疹が75%以上ほぼ全身に存在する場合に重症,皮疹が

50%前後あると中等度,それ以下の場合に軽症とし

た10)何れの症状も軽症から重症になるにつれてその

発現率が高くなるが,各症状の発現と重症度という二

つの属性の関係を分割表によって検定した.

 χ2値の大きい順に症状を列挙すると前頚部皺製,

Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭湿疹,顔・伸側の局面,

下眼瞼皺談,発汗で癈蜂,関節嵩の局面,再発性結膜

炎,過労による増悪,乾皮症,手掌の皺製,口唇炎と

なり信頼度95%のχ2値5.991以下の症状は魚鱗癖,白

色枇糠疹,毛孔角化,手足皮膚炎である.症状の有無

と血清lgE値(幾何平均)との関係は,χ2値が高いほ

ど症状の有無の間の血清lgE値の差が大きい傾向を

示した.また重症度と血清lgE値(幾何平均)にっい

ては重症,中等度,軽症が3,534, 491, 166IU/mlとな

り重症であるほど高い値を示した(分散分析:pく

0.005).

 図3はAD 284例に特有な17項目の症状もある,な

し(ある=1,ない=o)で記録されている質的デー

タを多変量解析の数量化理論Ⅲ類で分析し, AD 284例

と17項目の症状の有無で相関が最大となる最大固有値

を有する1次元のカテゴリースコアを機軸に,その次

に大きい固有値のI1次元のカテゴリースコアを縦軸に

とり,プロットアウトしたものである.このグラフの

意味づけを試みると,横軸では数値の大きい側に白色

枇糠疹,毛孔角化があり,過労による増悪,魚鱗癖が

数値の小さい側にあることから表1のデータを参考に

すれば数値の大→小は年齢の若→老に対応しているの

で1次元は年齢を表わしていることがわかる.同様に

縦軸は表3を参考にすれば血清lgE値が低い魚鱗癖,

手足皮膚炎等が数値の大きい側にあり,逆にlgE値が

高いHertoghe徴候,乳頭湿疹,前頚部皺裴が数値の小

さい側にあることから数値の大小はlgE値の低→高

に一致することからI1次元は血清lgE値を表わして

いると推察される11)12)

 顔・伸側の局面,発汗で癈捺,口唇炎,下眼瞼皺襲,

屈側の湿疹,再発性結膜炎,乾皮症等は中心に位置し

ており,これらの症状がADの平均的な症状であると

考えられる.

          考  察

 ADOSシステムを用いてADに特徴的な症状群の

年齢,性別,重症度,血清lgE値ごとの発現率を表に

まとめ,さらにADに特有な症状を全症例について数

量化理論III類で解析して各症状の間にどのような相関

性があるかをカテゴリースコアをプロット化すること

により説明した.

 SulzbergerはADの臨床像について2ヵ月~2歳

の乳幼児期では被髪頭部,顔面,頚部に小水庖,湿潤

性,痴皮を有する潮紅局面があるが,4~10歳の少年

期になると部位的には顔面より四肢や躯幹,関節の屈

側かおかされ,潮紅が減り乾燥し,丘疹,苔癖化局面

が出てくる.さらに12~20歳台の成年期になると皮疹

は顔面,頚上,上胸部,四肢の関節高に限局するよう

になると述べている13)

 表1のデータでは乾皮症は0~2歳で53%であるが

この内訳はO歳台は20%と少ないが,1~2歳台にな

ると80%となり,3~8歳は90%台,15歳以降は

60~70%で推移し,60歳以降は100%になる.図3で乾

皮症はADの平均的な症状であることが示されてい

るが,このことは6歳台の乳児のADには当てはまら

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          アトピー性皮膚炎の解析

表3 重症度別症状発現数(人)および症状有無別血清lgE幾可平均値

症状名重症n=39 中等度n=124 軽症n=121  症状と重症度の

分割表の検定χ2値゛

lgE値(IU/ml)n=284

+ - + - + - + -

ロ唇炎 35 4 100 24 87 34 6.29312 443 296

白色枇糠疹 19 20 55 69 43 78 3.02108 378 414

乾皮症 33 6 99 25 73 48 15.0872 461 292

過労で増悪 25 14 41 83 34 87 17.2032 678 307

発汗で痕腺 36 3 106 18 75 46 25.1024 449 293

手足皮膚炎 20 19 55 69 49 72 1.43791 325 482

乳頭湿疹 24 15 36 88 14 107 39.2328 931 303

魚鱗癖 8 31 12 112 11 110 4.30391 495 396

関節嵩の局面 33 6 86 38 60 61 19.3106 439 355

顔・伸側の局面 38 1 106 18 70 51 37.0484 510 201

手掌の皺裴 30 9 64 60 67 54 7.89017 543 277

毛孔角化 20 19 59 65 48 73 2.33833 460 367

再発性結膜炎 27 12 63 61 39 82 18.8630 706 256

下眼瞼皺裴 34 5 77 47 52 69 25.5583 529 284

前頚部皺裴 36 3 65 59 19 102 80.2568 1115 194

Hertoghe徴候 31 8 38 86 12 109 70.5079 1396 248

耳切れ 33 6 54 70 29 92 45.5649 703 278

lgE値IU/ml 3534" 491*・ 166"

'信頼度とχ2値 95%:5.99146, 99%:9.21034, 99.9%:13.8155, 99.99%:18.4203

¨分散分析:p<0.005

十:症状有,-:症状無

0.05

o、04

・魚鱗癖

0.03

    0.02

    0.01

11次元  0

   -0.01

   -0.02

-0.03

0.04

0.05

・過労で増悪

・手足皮膚炎

・手掌の皺襲

再発性結膜炎

・乳頭湿疹

ヘルト

下丿前計上

   ・乾皮症

・ロ唇炎

  .発汗で痕庫

マこ而太

顔伸側の局面

眼瞼皺裴

・耳切れ

頚部皺裴

0。06 -0.05 -0.04 -0.03 -0.02 -0.01  0

                            1次元

1215

。毛孔角化

   ゜白色枇糠疹

0.01  0.02  0.03  0.04  0.05

図3 ADの特有な症状の数量化理論Ⅲ類による分析(n = 284;

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1216 藤渾 重樹ほか

ない.

 顔・伸側の局面は全年齢を通して75%の出現率であ

り,関節寫の局面はO~2歳で53%, 3~11歳は77%,

12~14歳では94%になるが,それ以降は徐々に減り,

60歳以降は17%である.ADOSのデータは該部に皮疹

が有る無しの記録であり,その程度や面積情報を含ん

でいないので単純に言及できないが,顔面・伸側の局

面は年齢と関係なくよくみられるのに対し屈側の皮疹

は成長するに連れて現われてくるのでSulzbergerは

乳児期は顔面と伸側,幼児期は屈側と指摘したと考え

られる.

 ADに合併する魚鱗癖は報告により3~30%と発現

率にかなりのバラッキがある.これは観察する季節や,

魚鱗癖の軽症例を含めるかどうかといった報告者の診

断基準が異なるためと考えられる.上原は冬季(n月

~3月)に観察したADの尋常性魚鱗癖の合併率につ

いて6~10歳で16%, 20~35歳で17%と報告してい

る14)15)我々は四肢伸側の軽い枇糠様鱗屑を認める程

度のものは除外し,四肢伸側の皮膚が乾燥粗槌化し,

枇糠様鱗屑と菱形の葉状鱗屑を付す状態を魚鱗癖と診

断した.

 その結果3歳以下の15例には1例もなく,15歳まで

は加齢とともに増加し,284例全体ではn%の合併率で

ある.3歳以下のADの症例に1例もないことは

Rookのtextbookで魚鱗癖は1~4歳から出現し始

めるという記載と一致する.AD全体を通して11%と

いう発現率は,魚鱗癖がADの代表的な合併症である

とされる割には少ない数字であるが,英国人の発生頻

度の1/250~1/320という数字からすれば多い値であ

る16)しかし魚鱗癖は出現率が低く,重症度との相関性

がなく(表3),図3においても他の症状群から離れた

ところに位置していることなどからADを形成する

症状という意味では重要なものでないと考えられる.

 SvenssonはAD,患者の発汗で癈障の出現する頻度

は正常人と比較して危険率0.1%の有意差で多いと報

告している町発汗で癈塚は口唇炎の次に高い出現頻

度で,重症度との相関性もあり図3では中心に位置し

ADの平均的な症状であることが示されている. AD

の発汗による癈塚の出現については多くの研究者に

よって様々な考えが報告され諸説紛々とtヽつたところ

であるが17)足立らによる研究ではADの患者全例が

自己汗皮内テストに陽性を示し汗とI型アレルギーの

関連性が指摘されており18)19),ADにおいて発汗は重

要な悪化因子の1つであることが推察される.

 284例のうち45歳以上の高齢の症例は92歳の男子例

を含めて21例(7%)あり,血清lgE値の幾何平均は

45~59歳,60~92歳が各々1,251, 979IU/mlと高値を

示しているが,口唇炎,白色枇糠疹,過労による増悪,

乳頭湿疹,屈側の湿疹,毛孔角化,再発性結膜炎,下

眼瞼皺製,前頚部の皺製,耳切れなどの出現率が少な

い.このように高齢の症例では幼小児期や成人期でみ

られるADらしさを表現する症状に欠けるためにた

とえ慢性に経過するADの皮膚炎が存在しても診断

することが難しいことかある.

 河島らは小児期から思春期にかけての病気と認識さ

れているADに高齢の症例も多く存在し,その特徴は

(1)皮内反応の陽性になる傾向は成人型ADと同様

である(2)高い血清lgE値を有するが各種抗原に対

するlgE抗体(RAST)陽性例は少ないなどで高齢の

ADの診断には皮内反応と血清lgE測定が有用である

と述べている20)

 前頚部皺製, Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭湿疹,再

発性結膜炎は軽症より重症の場合に出現しやすく,高

い血清lgE値を示す(表3).重症度別にこれらの症状

のうちどれかが陽性になる頻度は重症の39例で100%,

中等度の124例で83%,軽症の121例では64%である.

白色枇糠疹,手足皮膚炎,魚鱗癖,毛孔角化等はいず

れも症状の有無による血清lgE値の差が小さく,重症

度間の発現の有意差がなく,ADの平均的な症状でな

い(図3).さらに重症度別にどれかが陽性になる頻度

は重症が88%,中等度85%,軽症が81%である.以上

のことから前頚部皺製, Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭

湿疹,再発性結膜炎はADの重症度を表わす皮膚症状

としてのパラメータになり得るが白色枇糠疹,手足皮

膚炎,魚鱗凱毛孔角化は重症度との関わりが小さい

と考えられる.

 数量化理論HI類は個体(サンプル)とあるなしのよ

うな質的データの症状(カテゴリー)の2元素で表わ

されたものの相関が最大となることを条件にコン

ピュータを用いて固有値問題を解き,最も相関度の高

い第1固有値,その次の第2固有値の順に各々のカテ

ゴリーにスコアを与えて1軸(第1固有値:横軸)2

軸(第2固有値:縦軸)のプロット図を作りその図の

各々カテゴリーの配置から軸の意味づけを与えてその

分類をもたらした原因が何であるかを探り出す方法で

ある.

 解析結果の意味づけは1)各軸について各アイテム

のカテゴリーの並び方に傾向がないか,2)プロット

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アトピー性皮膚炎の解析

図全体を見てグループごとの特徴がないかなどで軸の

解釈をする.中心付近には平均的なものが集まり,ス

コアの絶対値の大きいものほど独特すなわち1次元,

I1次元の因子からみて相関性の低いものになる11)12)

 図3の軸の意味づけで最も固有値の高い1次元が年

齢でI1次元が血清lgE値であることからADの症状

の発現は年齢によって大きく左右され,I1次元でカテ

ゴリースコアが大きい症状である前頚部皺奘, Her-

toghe徴候,耳切れ,乳頭湿疹,再発性結膜炎がある

ADは高い血清lgE値を有する重症例であることが予

測される.

                        文

 1)アスキー編集部:MS・DOS 3. 1ハンドブック.

   (株)アスキー, 1986.

 2)R : BASE 5000 Verl 1. 1 User's Manual, (株)

   ビーコンシステム, 1986.

 3) Multiplan Ver. 3.1操作マニュアル,(株)マイ

   クロソフト, 1987.

 4) Microsoft Chart 操作マニュアル,(株)マイクロ

   ソフト, 1987.

 5)日本語ワードプロセッサー太郎Ver. 3活用編

   Manual, (株)ジャストシステム, 1987.

 6)多変量解析操作説明書:(株)日本マイコソ販売,

   1986.

 7)多変量解析システム操作説明書,(株)社会性報

   サービス, 1985.

 8) Svensson A, Edman B, Moller H : A diagnos-

   tic tool for atopic dermatitis based on clinical

   criteria, Acta Det・。1 Venereol, 114(Sttfct)l)レ

   33-40, 1985.

 9)HanifinノM, Raika G: 缶切tostic知れ肖s好

   aiopic dermatitis, Acta Derm Venereol (Stocfeh),

   92(Subtl):44-47, 1980.

 10)権東 明:皮膚7型過敏症における減感作療法の

   研究,日皮会誌,93 : 1075-1089, 1983.

 11)田中 豊,脇本和昌:多変量統計解析法.現代数学

1217

 以上, ADOSシステムを用いてADに特有な症状を

解析することにより年齢と症状の発現の推移,重症度

と症状との関係,各症状間の相関性やADの症状の発

現に関わる因子が推測された.今後,さらに本システ

ムを用いて多変量の因子が複雑に絡み合って成立して

いるADを様々な観点から解析して研究を進める考

えである.

 本論文の要旨は第634回日本皮膚科学会研究東京地方会,

第86回日本皮膚科学会総会,第37回日本アレルギー学会総

会で発表した.なお本研究の一部は第34回千代田生命健康

開発事業団の研究助成金によって行われた.

   社, 1983.

 12)木下栄蔵:わかりやすい数学モデルによる多変量

   解析入門.哲学出版, 1987.

 13)Marison SB : Atopic dermatitis一Part Ill,

   Dermatology In General Medicine, 687-694,

   1971.

 14)上原正巳:アトピー性皮膚炎と尋常性魚鱗癖,皮

   膚病診療, 9(11):1043-1046, 1987.

 15)上原正巳:アトピー性皮膚炎のライフサイクル,

   皮膚病診療, 9(11):1002-1006, 1987.

 16)Rook A, Wilkinson D, Ebling F: The Text-

   book of Dermatology 3rd ed, 1273-1275, 1979.

 17)小嶋益子,青木敏之:アトピー性皮膚炎と発汗,皮

   膚Mook, 1 : 94-96, 1985.

 18)足立 準,船井龍彦,山田正之,小嶋益子,青木敏

   之:アトピー性皮膚炎における汗の役割.I.汗ア

   レルギーの可能性,日皮会誌,97 : 287, 1987.

 19)山田正之,足立 準,滝尻珍重,小嶋益子,青木青

   木敏之:アトピー性皮膚炎と奪麻疹のかゆみ,皮

   膚,29 : 717-721, 1987.

 20)河島岳史,宮野径彰,権東 明,大屋尚之,柳田

   直,徳田安章:高年型アトピー性皮膚炎について

   の検討(II),アレルギー,36 : 792. 1987.

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1218 藤渫 重樹ほか

Analysis of Clinical Data from Atopic Dermatitis by Database System, ADOS

Shigeki Fujisawa", Hisao ohoka2},Tohrulnadomi2),Yuhko Yamamoto2}andSadao Morioka2〉

      1) Department of Dermatology, Social Insurance Yokohama Central Hospital

        2) Department of Dermatology, Nihon University, School of Medicine

        (Received November 26, 1987; accepted for publication May 31,1988)

  A relational database system, ADOS (Atopic Dermatitis operating System), was made by apersonal computer

in order to analyse atopic dermatitis (AD).The results of analysis of 284 patients with AD and the presence of 17

kinds of symptoms were as follows: (l)Itch when sweating, facial and external involvement, non・specifichand or

foot dermatitis (HF), and ear rhagades (ER) were commonly found in all ages. (2) Cheilitis (CL), flexural

lichenification (dermatitis) (FL), xerosis, Dennie・Morgan's ifraorbital folds (DM), palmer hyperlinearity (PH),

recurrent conjunctivitis (RC), keratosis pilaris (KP), anterior neck folds (AF), pityliasis alba (PA), deterioration from

psychological tension (DP), Hertoghe's sign (HS), nipple eczema (NE), and ichthyosis (IC) increased with aging. (3)

Because CL, FL,DM,RC,KP,AF,ER,DP and NE decreased in older patients over 45 years of age, it is not easy to

diagnose AD in 01dage. (4)HS was commonly seen in males (n=136), while HF.NE.FL and PH were commonly seen

in females (n=148). (5) As the level of serum IgE became higher, the AD patients readily developed HS, AF,ER,NE

and RC. These symptoms were considered to be parameters for severity of AD. 0n the other hand, PA.HF.IC and

KP were not correlated with the severity of AD. (6)Themost important factors affecting the presence of symptoms

in AD were age and the level of serum IgE.

  apn.j Dermatol 98: 1211~1218,1988)

Key words: atopic dematitis, databasement system, IgE, severity of AD, the presence of 17 kinds of symptoms