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ベクトル解析の復習

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ベクトル解析の復習

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ベクトル場の積分公式

dVdVS∫∫ ⋅∇=⋅ )( ASA

ガウスの定理(Gauss’ Theorem)←物理法則(law)ではない

ストークスの定理(Stokes’ Theorem) ←物理法則(law)ではない

( ) SArA ddSC

⋅×∇=⋅ ∫∫

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ベクトル場の微分公式 その①とりあえずこの3つは必ず覚えよう!

( )( )( ) ( ) AAA

A2

00

∇−⋅∇∇=×∇×∇

=×∇⋅∇=∇×∇ φ

( ) ( )( ) ( )AAA ∆≡∇≡∇⋅∇

∆≡∇≡∇⋅∇2

2 φφφ

以下は公式ではなくラプラシアンの定義

∂∂

+∂∂

+∂∂

≡∆ 2

2

2

2

2

2

zyx

←ストークスの定理で証明できる

←ストークスの定理とガウスの定理で証明できる

←覚えるしかない

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の証明(ファインマン物理学Ⅲ電磁気学、第3章7節)

∫∫ ⋅×∇=⋅SC

dd SArA )(

∫∫ =×∇⋅∇=⋅×∇が囲む空間SS

dVd 0)()( ASA

( ) ,0=∇×∇ φ ( ) 0=×∇⋅∇ A

∫ ⋅∇=− 2

1

)()()( 12

r

rrrr dϕφφ

2r 1r

21 rr = のとき、左辺は0、右辺はストークスの定理より

0)()( =⋅∇×∇=⋅∇ ∫∫ Sr ddCC

ϕϕが囲む面

C

上式が経路Cに依らず成立するので、被積分関数は常に0

SC

(ストークスの定理)

経路Cを無限小にすると、左辺は0、右辺はガウスの定理より

上式が閉曲面Sに依らず成立するので、被積分関数は常に0

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ベクトル場の微分公式 その②以下は覚えなくてよい。いつでも導出できる

( )( )( )( )

( )

( ) ( )

( ) ( )

( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

ϕψ ψ ϕ ϕ ψϕ ϕ ϕ

ϕ ϕ ϕ

∇ = ∇ + ∇

∇⋅ = ∇ ⋅ + ∇ ⋅

∇× = ∇ × + ∇×

∇⋅ × = ⋅ ∇× − ⋅ ∇×

∇× × = ⋅∇ − ∇⋅ + ∇ ⋅ − ⋅∇

∇ ⋅ = ⋅∇ + × ∇× + ⋅∇ + × ∇×

A A A

A A A

A B B A A B

A B B A B A A B A B

A B B A B A A B A B

覚えるべきは、通常のベクトル公式

CBABCACBAACBBACCBA

ABBA

)()()()()()(

⋅−⋅=×××⋅=×⋅=×⋅

×−=×

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ベクトル場の微分の裏技(Feynman,Ⅱ27-4)

)()()( EBEBEB ×⋅∇+×⋅∇=×⋅∇ EB

)( BE ×∇⋅ B )( E∇×⋅ EB

)( EB ×∇⋅− E

)()()( EBEEEB ×∇⋅−×∇⋅=×⋅∇

各ナブラ演算子の右側には、自分が働くベクトル場しかないので、通常のナブラ演算子の記号に戻してもよい

ナブラ演算子が働くべき場を下つき文字(subscript)で表し、通常のベクトル公

式に従って順番を自由に入れ替える

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クロネッカーデルタ記号と内積同じ添え字が2度出てきたら、その添え字に関して1から3までの和をとると約束する(アインシュタインの縮約記法)

iii

ii AAAAA eeeeeA ≡=++= ∑=

3

1332211

iiijjijijijjii BABABABA ==⋅=⋅=⋅ δeeeeBA2つのベクトルの内積をアインシュタインの縮約を使って表現すると、

≠=

=jiji

ij 01

δ

クロネッカーデルタ記号

ijji δ=⋅ee

1e 2e

3e

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レビ・チビタ(Levi-Civita)記号と外積

kijkji eee ε=×

1e 2e

3e

←(1,2,3)の偶置換

←(1,2,3)の奇置換

レビ・チビタ記号(エディントンのイプシロン)

kijkjijijijjii BABABA eeeeeBA ε=×=×=×2つのベクトルの外積をアインシュタインの縮約とレビ・チビタ記号を使って表現すると、

アインシュタインの縮約記法の下、以下の公式が成り立つ

6

2

=

=

−=

ijkijk

illjkijk

jlimjmillmkijk

εε

δεε

δδδδεε

=−=

=それ以外0

)3,1,2(),1,2,3(),2,3,1(),,(1)2,1,3(),1,3,2(),3,2,1(),,(1

kjikji

ijkε

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ベクトルの3重積の公式の証明スカラー3重積

ベクトル3重積

)()( kkjjii CBA eeeCBA ×⋅=×⋅

)()( kkjjii CBA eeeCBA ××=××

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ベクトル場の微分公式の導出

( ) =⋅∇ Aφ

( ) =×∇ Aφ

( ) =××∇ BA

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マクスウェル方程式の復習

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マクスウェル方程式(積分形)

0

00

0

=⋅

⋅−=⋅

∂∂

+=⋅

=⋅

∫∫

∫∫

∫∫

S

SC

SC

VS

d

ddtdd

dt

d

dVd

SB

SBrE

SEjrB

SE

εµ

ρε

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微分形と積分形は同値

∂∂

+=×∇

=⋅∇∂∂

−=×∇

=⋅∇

t

t

EjB

B

BE

E

00

0

0

εµ

ρε

∫∫

∫∫

∫∫

∂∂

+=⋅

=⋅

⋅−=⋅

=⋅

SC

S

SC

VS

dt

d

d

ddtdd

dVd

SEjrB

SB

SBrE

SE

00

0

0

εµ

ρε

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古典物理(~1905)の全て

ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学第18章「マクスウェル方程式」p229

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ファインマン物理学Ⅰ「力学」

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マクスウェル方程式の特徴

• 電荷保存則を含んでいる

• 発散と回転で表現されている(ヘルムホルツの定理より解が一意的に求まる)

• 時間に依存しない場合(静電磁気の場合)は、クーロンの法則とビオ・サバールの法則と同値である

• 時間に依存する場合でも解はわかっている

• ローレンツ不変性を満たしている(方程式が座標系に依存しない)

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ヘルムホルツの(分解)定理任意のベクトル場Xは、回転ゼロの場(スカラー場の勾配)と

発散ゼロの場(ベクトル場の回転)に一意的に分解できる

AXXX ×∇+−∇=+= φTL

Vd ′′−′⋅∇′

= ∫ rrrXr )(

41)(π

φ Vd ′′−′×∇′

= ∫ rrrXrA )(

41)(π

無限遠でXが1/r2より早くゼロに収束するならば、

0=×∇ LX 0=⋅∇ TX

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ヘルムホルツの定理からの帰結

発散のないベクトル場は、ベクトル場の回転で表わせる

回転のないベクトル場は、スカラー場の勾配で表わせる

VdVd ′′−

′−×′=′

′−′

×∇=×∇=→

=×∇=⋅∇

∫∫ 300

0

)()(4

)(4

,0

rrrrrj

rrrjAB

jBB

πµ

πµ

µ

VdVd ′′−

′−′=′

′−′

−∇=−∇=→

=⋅∇=×∇

∫∫ 300

0

))((41)(

41/,0

rrrrr

rrrE

EEρ

περ

πεφ

ερ

任意のベクトル場は、その発散と回転が与えられれば、一意的に定まる

静電場のクーロンの法則

静磁場のビオ・サバールの法則

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マクスウェル方程式の解

ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学第20章「電流と電荷のある場合のマクスウェル方程式の解」p264

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「われわれはマクスウェル方程式を解いた。どんな電荷、電流があっても、上の積分によりポテンシャルが直接に分かり、微分して場が求められる。これでマクスウェル方程式は終わりである。(中略)電磁気の世界の中心はここにある。電気、磁気、光の完全な理論-動く電荷の作る場の完全な記述など-それはすべてここにある。力と美の点で完成された、マクスウェルのうち建てた建造物がここにある。これは恐らく物理学の 大の成功の一つである」

ファインマン物理学Ⅲ電磁気学第20章 p263

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表記法(notation)

∫ −−

= '')'(

41)( '20

dVrrerrrrE ρ

πε

(例)電荷密度が与えられたときに、クーロンの法則と重ね合わせの原理から、任意の位置における電場を求める式

O

この講義

太田流

ファインマン流

∫ −

−′= ''')(

41)( 30

dVxxxxxxE ρ

πε

∫= 2212

12

0

)2(41)1( dV

reE ρ

πε

rr′

rr ′−Vd ′′)(rρ

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デルタ関数を使おう!

<3次元デルタ関数δ(r - r’)の定義>

・ r = r’での値は無限大、それ以外ではゼロ

・ r = r’ を含む体積積分の値は1、含まなければゼロ

′=

′==′−∫ )(0

)(1)(

を含まない

を含む

rrrr

rrV

dVδ

′=∞

′≠=′−

)()(0

)(rrrr

rrδ

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デルタ関数の例

341)(

rrrrrr′−

′−⋅∇=′−

πδ

rrrr

′−∇−=′−

141)( 2

πδ

)(43lim)( 30

rrrr ′−−=′−→

εθπε

δε

><

≡)0(1)0(0

)(xx

ヘヴィサイド関数

31

rrrr

rr ′−

′−=

′−

−∇