クローン技術の真の問題...クローン技術の実の問題 233 2. ドリー誕生とその後 日本では98年以韓, ドリーの産生に用いられた技術である体細紹核移植技術を用
我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下...
Transcript of 我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下...
![Page 1: 我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下 …kitasato-ibd.com/news/65/佐上先生MRE論文.pdf我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下剤)を行う合間にMRI検査を行い、小腸か](https://reader034.fdocuments.net/reader034/viewer/2022043004/5f870e6137b0904d1815a793/html5/thumbnails/1.jpg)
我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下剤)を行う合間にMRI 検査を行い、小腸から大腸までの広い範囲を同日に評価する工夫を行ってきました。この度、オンライン科学雑誌であるPLOS ONEに当方の論文が掲載され、我々の工夫が科学的にも妥当であることが立証されました。ここでは内容について、簡単ではありますが説明させて頂きます。
研究の背景
炎症性腸疾患は腸管に炎症がある活動期と腸管に炎症がない寛解期を繰り返す病気です。炎症性腸疾患の中でもクローン病は大腸以外の口から肛門までの広い範囲で炎症が起きる病気で、通常小腸と大腸が侵されます。狭窄(腸が細くなる)や穿通、瘻孔(腸が別の臓器とつながる)などの合併症もあります。長らく症状緩和が長期予後を改善させる治療の目標でしたが、症状緩和のみでは長期予後を変えることができないことが明らかになってきています。
クローン病と診断された時点で半数以上の人で小腸に炎症があることがわかっており、小腸に病変があると外科手術や入院加療が必要になるなどの望ましくない予後が増えることがわかっています。そして、腹痛や下痢がないクローン患者さんでも小腸に活動性病変があることが報告されており、小腸病変の活動性の評価は重要です。
この小腸病変の検索法のひとつとしてMRエンテログラフィー(MRE)を我々の施設では行なっています。MREとはクローン病などの炎症性腸疾患の診断や病勢評価を目的として、小腸や大腸を対象として撮像するMRI 検査です。小腸が縮んでいては情報が得られませんので、検査1時間ほど前から、腸に吸収されにくい液体(下剤)を飲んでいただき、小腸や大腸内に液体が満たされた状態でMRI 検査を行います。大腸内視鏡の前処置としても下剤を飲んでいただく必要があるため、我々の施設では下剤を飲む回数を減らすために、大腸内視鏡検査と同日にMREを受けていただく工夫を積極的に行ってきました。(方法については下図参照:15分で下剤を内服し、服用開始1時間の小腸が下剤で膨らんだ時点でMREを受けていただき、腸内が綺麗になったところで大腸内視鏡を行います。)
0:00 0:15 1:00
前日夜から絶食
MRE
15分でニフレック®1L 服用
1:30
MRエンテログラフィー → 大腸内視鏡
大腸内視鏡
Combination of colonoscopy and magnetic resonance enterography is more useful for clinical decision making than colonoscopy alone in patients with complicated Crohn’s disease
クローン病における大腸内視鏡にMRエンテログラフィーを併用することの有用性
佐上 晋太郎 (IBD センター)
![Page 2: 我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下 …kitasato-ibd.com/news/65/佐上先生MRE論文.pdf我々はクローン病の活動性の評価に大腸内視鏡の前処置(下剤)を行う合間にMRI検査を行い、小腸か](https://reader034.fdocuments.net/reader034/viewer/2022043004/5f870e6137b0904d1815a793/html5/thumbnails/2.jpg)
研究の概要
当院でMREと大腸内視鏡を同じ日に行った患者さんを対象にMREを大腸内視鏡に併用する有用性についてカルテ情報をもとに検討を行いました。
すると、内視鏡で炎症がなかった患者さんでさえ、およそ4人中1人にMREで炎症があったことがわかりました。
特に狭窄などの合併症がある患者さんや終末回腸(クローン病の好発部位である小腸の一番肛門側である)を十分に観察できなかった(回腸観察範囲が10cm以下)患者さんでは、内視鏡とMREの重症度スコアが一致しないことがわかりました。
内視鏡、MRE共に炎症があった場合には多くの場合で治療強化が行われていました。検査後観察をはじめてから1年後の時点で内視鏡とMREで共に活動性があった患者さんは治療強化となる可能性が高いことがわかりました。反対に内視鏡、MRE共に活動性がない患者さんでは同じ治療で継続可能だったことがわかります(下図参照)。
まとめ
狭窄などの腸管合併症がある、または内視鏡で回腸末端を十分に評価できていない患者さんでは、内視鏡の観察範囲に活動性がない場合でもMREで活動性があることで治療強化が必要になることがあります。この結果から内視鏡にMREを追加することが有用であることを期待できます。
謝辞
最後に、この度の研究にご協力いただきました先生方、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。皆様のご協力なくして今回の論文は完成しませんでした。今後この研究の結果が、この疾患に悩む多くの患者さんの検査を選択する際の助けになれば幸いです。
引用文献
Sagami S, Kobayashi T, Kikkawa N, Umeda S, Nakano M, Toyonaga T, Okabayashi S, Ozaki R, Hibi T. PLoS One. 2019 Feb 20;14(2):e0212404. doi: 10.1371/journal.pone.0212404.
MaRIA overall <50active remission
No
YesTotal SES<5
1年以内の追加治療なし01
MaRIA overall <50active remission
No
YesTotal SES<5
1年以内の追加治療なし01
MaRIA overall <50active remission
No
YesTotal SES<5
1年以内の追加治療なし01
MaRIA overall <50active remission
No
YesTotal SES<5
1年以内の追加治療なし01
67%41% 43%
5%
1年以内に治療追加になった人の割合(%)内視鏡、MRE共に活動性あり
内視鏡のみ活動性あり
MREのみ活動性あり
内視鏡、MRE共に活動性なし