ミトラ神話ミトラ神話 ―― 1 星の物語 ―― 東條真人〔著〕 MIIBOAT Book 2018...
Transcript of ミトラ神話ミトラ神話 ―― 1 星の物語 ―― 東條真人〔著〕 MIIBOAT Book 2018...
-
ミトラ神話 ―― 1 星の物語 ――
東條真人〔著〕
MIIBOAT Book
2018
――――――――――――――――――――
Mithraic Myths Series 1
Story of Stars
By Masato Tojo, Ph. D.
2018
――――――――――――――――――――
ISBN 978-4-901038-89-8
表紙画 東條真人
-
2
目次
はじめに
ミトラ神話
1.はじまり
2.ミトラが現れる
3.聖七文字と七光線:七光線の奥義その1
4.コスモスの誕生
5.恒星界、十二星座、世界周期:七光線の奥義その2
6.北斗七星の誕生:七光線の奥義その3
7.地球の誕生
8.七天球層の誕生: 天球層とセフィロト
9.七惑星と七曜神(七大天使)の誕生:七光線の奥義その4
10.双子の誕生
11.アーリマンの反乱
12.オフルミズドの死
13.救済の始まり: 地球が固まる
14.アダムとエヴァの誕生: 神聖な人格原像
-
3
15.見張りと巨人たち
16.ミトラは地上に降りる
17.地球の浄化:聖牛の供儀
18.冥府下り
19.人類の友(戦友)
20.最後の晩餐
21.別れのことば:再臨の約束
22.ミトラは、コスモクラトールになる
23.人類の知性化と文明化
24.モーゼとイスラエルの子たち
25.神聖科学(秘教占星学と秘儀)の広まり
26.エゼキエルと「メルカバのわざ」
27.神聖科学(秘教占星学)のポイント
28.キリストなるミトラ:友愛の教え
29.最終戦争の予言
30.古いコスモスの最後と新しいコスモスの始まり
31.ローマ帝国:ミトラ教とイエス諸派の調停合併
32.東アジアに広がる:大融合
-
4
33.現代
聖画
解説:ミトラの図像の特徴
ミトラ教の紋章:有翼円盤。装飾礼拝用
ミトラ教の紋章:ミトラ卍(まんじ)。装飾礼拝用
少年神ミトラ(若アイオーン):装飾礼拝用
太陽神ミトラ:装飾礼拝用
両性具有のミトラ:白蓮華台座組脚坐像。装飾礼拝用
ヤズダンミトラ:装飾礼拝用
ミトラ:ミトラの旗三連旗の前に立つ:装飾用
少年神ミトラ:装飾礼拝瞑想用
ヤズダンミトラ:最高神ミトラ:装飾礼拝瞑想用
コスモクラトール=ミトラ:装飾礼拝用
ミトラのタウロクトニー(聖牛の供儀):装飾礼拝用
奥義を授けるミトラ:装飾礼拝瞑想用
照応図:東方ミトラ教版。装飾礼拝瞑想占星学用
少年神ミトラ:装飾礼拝瞑想用
白馬の騎士ミトラ:中央アジア・スラブ風。七芒星護符
-
5
少年神ミトラ:七芒星護符
少年神ミトラ:七芒星護符
少年神ミトラ:七芒星護符
少年神ミトラ:七芒星護符(変形)
少年神ミトラ:七芒星護符(変形)
天の友ミトラ:礼拝装飾用
少年神ミトラ:装飾礼拝用
少年神ミトラ:装飾用
少年神ミトラ:装飾用
太陽なるミトラ:装飾用
太陽なるミトラ:装飾用
少年神ミトラ:ケウル0「西方ダウル記2」の説明図
少年神ミトラ:「七位階の秘儀」の説明図
少年神ミトラ:「占星術的錬金術」の説明図
少年神ミトラ:装飾礼拝用
少年神ミトラ:装飾礼拝用
少年神ミトラ:秘儀の装飾礼拝用
少年神ミトラ:秘儀の装飾礼拝用
-
6
少年神ミトラと天使たち:装飾・幻視物語・瞑想用。
弥勒教風のミトラ=弥勒童神:装飾礼拝用
弥勒教のミトラ=弥勒童神:右下にいるのは老子:装飾礼拝用
ミトラ白蓮華台座半跏思惟像:装飾礼拝瞑想用
ミトラ白蓮華台座半跏思惟像:装飾礼拝瞑想用
弥勒教のミトラ:七光線の瞑想用
弥勒教のミトラ:八卦図を使った瞑想法の指導用
弥勒教のミトラ:八卦図を使って、教えを説いている。装飾用
少年神ミトラ:装飾礼拝用
少年神ミトラ:装飾礼拝用
少年神ミトラ:装飾礼拝用
ミトラ=弥勒:装飾礼拝用
女神ミトラ(聖弥勒観音):装飾礼拝用
ミトラ:原初の安らぎ。装飾礼拝用
戦う少年神ミトラ:装飾礼拝用
ミトラ七芒星護符:ローマ(フリギア)風の衣装
ミトラ七芒星護符:ギリシャ風の衣装
ミトラ七芒星護符:未来のミール
-
7
孔雀の使徒: 言葉じゃない、行動よ! 装飾宣伝用
ミトラ教の女性祭司:装飾宣伝用
第1光線 ライオン神(=アレイマニオス=アザゼル):装飾礼拝用
第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝用
第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力。装飾礼拝用
第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝瞑想用
第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝瞑想用
第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力
第1光線 孔雀王アザゼル:バビロニア風の神殿にて
第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力を与えよう
第1光線 孔雀王アザゼル:七芒星護符
第1光線 アザゼル:堕天前。アストラル界で遊ぶ
第1光線 アザゼル:堕天後。怒る。
第2光線 ジブリール:装飾礼拝瞑想用
第2光線 友愛の主ジブリール
第2光線 ジブリール:七芒星護符
第2光線 友愛の主ジブリール
第2光線 ジブリール:七芒星護符
-
8
第2光線 ジブリール:弥勒教風の八卦護符
第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾礼拝用
第3光線 財運の主シェムナーイル:七芒星護符
第3光線 財運の主シェムナーイル:七芒星護符
第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾用
第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾礼拝瞑想用
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾礼拝用
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:七芒星護符
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:十二星座護符
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾瞑想用
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾瞑想用
第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:六十四卦護符
第5光線 神の盾ミカエル:礼拝装飾用
第5光線 神の盾ミカエル:七芒星護符
第5光線 神の盾ミカエル:装飾礼拝瞑想用
第5光線 神の盾ミカエル:十二星座護符
第6光線 壮健例美の主アズラーイル
第6光線 壮健例美の主アズラーイル:装飾礼拝用
-
9
第6光線 壮健例美の主アズラーイル:装飾用
第6光線 壮健例美の主アズラーイル:願望成就護符
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール
原人オフルミズド
原人オフルミズド
原人オフルミズド
原人オフルミズド
光のかけら
光のかけら
光のかけら
光のかけら
光のかけら
大マニ:装飾用
-
10
大マニ:装飾用
占星術的錬金術:七光線の混合と調和。七光線護符
著者プロフィール
奥付
-
11
はじめに
本書ほん しょ
:星ほし
の物 語もの がたり
物 語もの がたり
と絵え
で、ミトラ神話しん わ
に親した
しむための本ほん
です。『タロ
ット大事典だい じ てん
』(国書こくしょ
刊行会かんこうかい
, 1996)と同どう
レベルの物 語もの がたり
にな
っています。ミトラ神話しん わ
のなかで、もっとも聖 書 的せい しょ てき
な神話しん わ
で
す。星座せい ざ
や惑星わくせい
のなりたちが、くわしく分わ
かります。
タイトル
本書ほん しょ
のタイトルは、「星ほし
の物 語もの がたり
」です。
英語えい ご
では、Story of Stars です。
漢字かん じ
では、「星せい
話わ
宝巻ほう がん
」 Xīng-huà Băo-juàn です。
巻末かん まつ
の聖画せい が
巻末かん まつ
には、聖画せい が
をたくさん載の
せました。ぱらぱらと、ある
いはじっくりと、いろいろなかたちで見み
て、ミトラ神話しん わ
のイメ
ージをふくらませてください。
-
12
ミトラ神話しん わ
シリーズについて
このシリーズは、ミトラ神話しん わ
を絵え
入い
りの物 語もの がたり
にして、誰だれ
も
が分わ
かりやすく読よ
めるようにしたものです。
神話しん わ
(物 語もの がたり
)はすべて、経 典きょう てん
と学 術がく じゅつ
資料し りょう
をもとに書か
き下くだ
してあります。
経 典きょう てん
と学 術がく じゅつ
資料し りょう
に関心かん しん
があるという方かた
は、ケウル・
シリーズを見み
てください。
よみがな
なんの予備よ び
知識ち しき
もなしに読よ
めるように、すべての漢字かん じ
に「よ
みがな」を付つ
けてあります。
本ほん
のサイズ
スマホ(文庫ぶん こ
サイズ)で読よ
みやすいようになっています。パ
ソコンのような大おお
きな画面が めん
で読よ
む際さい
には、見開み ひら
きで表示ひょう じ
する
とちょうどよいようになっています。
とくちょう
-
13
① ミトラ神話しん わ
についての予備よ び
知識ち しき
がまったくなくても、読よ
め
て、全 体 像ぜん たい ぞう
がはっきりとわかること。
② 以下い か
の専 門 書せん もん しょ
で学まな
んだ知識ち しき
を整理せい り
するのに役立やく だ
つこと。
・ミトラ聖典せい てん
ケウル・シリーズ
・『ミトラ占せん
星学せい がく
』シリーズ
・『アラビックパーツ占せん
星学せい がく
』
・『占せん
星学せい がく
教 室きょう しつ
手法しゅ ほう
大 百 科だい ひゃっ か
』
③ 挿絵さし え
入い
りのわかりやすい本ほん
を提てい
供きょう
すること。
シリーズの構成こう せい
全ぜん
3 巻かん
ですが、それぞれ 1 冊さつ
で完結かん けつ
していて、第だい
1 巻かん
から読よ
む必要ひつ よう
はありません。
第だい
1いっ
巻かん
星ほし
の物 語もの がたり
…星せい
教きょう
宝巻ほう がん
・ミトラ神話しん わ
のなかで、もっとも聖 書 的せい しょ てき
な神話しん わ
です。
・ギリシャ・ローマ的てき
な側面そく めん
とユダヤ(メタトロン神秘しん ぴ
主義しゅ ぎ
)的てき
な側面そく めん
の両 方りょう ほう
を深ふか
く掘ほ
り下さ
げています。
・ミトラ、メタトロン、メシア、キリストの関係かん けい
が、よ
-
14
く分わ
かります。
・占 星 術せん せい じゅつ
の基礎き そ
となる、古代こ だい
七光なな こう
線せん
、北斗ほく と
七星しち せい
、七なな
惑星わく せい
、七なな
大だい
ロット(ダイモーン)のなりたちや意味い み
が
くわしく分わ
かるようにしてあります。
第だい
2に
巻かん
友愛の物 語もの がたり
…友愛ゆう あい
宝巻ほう がん
・ミトラの友愛ゆう あい
がどのようなものかよく分わ
かるように、
キーワードとエピソードを選えら
んであります。
・キーワード …隣人りん じん
愛あい
、中和ちゅう わ
、慈悲じ ひ
、諸教しょきょう
円えん
融ゆう
。
・エピソード …双子ふた ご
の戦たたか
い、アーリマン(サタナエル)
の堕天だ てん
と改心かい しん
、見張み は
りと巨 人 族きょ じん ぞく
、聖せい
なる火ひ
の伝授でんじゅ
、
モーゼのエジプト脱 出だっ しゅつ
、占せん
星学せいがく
の伝授でんじゅ
と広ひろ
がり、イ
シスとホルス=ミトラ、ミトラ=アッティスと女装じょ そう
祭司団さいしだん
、マギとラビの混成こんせい
祭司団さいしだん
、エゼキエルの神秘しん ぴ
体験たいけん
、シャカ族ぞく
と太陽たいよう
神しん
の子こ
、キリストの秘密ひ みつ
。
・キリストなるミトラ=弥勒み ろく
、弥勒み ろく
、妙 見みょう けん
、阿弥陀あ み だ
、大日だい にち
、
毘沙門天び しゃ もん てん
、花郎か ろう
(ファラン)、弥勒み ろく
古仏こ ぶつ
(弥陀み だ
)の
ことが、くわしく分わ
かります。
-
15
第だい
3さん
巻かん
無限む げん
調和ちょう わ
の物 語もの がたり
…無限む げん
調和ちょう わ
宝巻ほう がん
・ミトラ神話しん わ
のすべてのエピソードを網羅もう ら
した本ほん
です。
・アザゼル、弥勒み ろく
古仏こ ぶつ
(弥陀み だ
)、時じ
輪仏りんぶつ
、明 王みょう おう
などのこ
とが、くわしく分わ
かります。
-
16
ミトラ神話
Esoteric Myth: Story of Stars
秘密ひ みつ
神話しん わ
『星ほし
の物 語もの がたり
』
聖画せい が
光ひかり
の神かみ
ミトラ
-
17
1.はじまり
本文ほん ぶん
始はじ
まりの始はじ
まり
始はじ
まりの始はじ
まりには、ただ「永遠えい えん
」(無限む げん
) Eternity (Infinity)
だけがありました。「永遠えい えん
」(無限む げん
)のなかを満み
たしている
のは「友愛ゆう あい
」 Mithra (Eros-Philia) だけであり、いまだ存在そん ざい
も非存在ひ そん ざい
もありませんでした。文字通も じ どお
りの虚無きょ む
であり、時間じ かん
も空間くう かん
も、天てん
も地ち
もいまだなく、人ひと
も動物どう ぶつ
も植 物しょく ぶつ
なく、始はじ
まりも終お
わりもなかったのでした。
*
「永遠えい えん
」(無限む げん
)という名な
の父母ふ ぼ
の 懐ふところ
のなかで、友愛ゆう あい
の
主しゅ
ミトラ(=メタトロン)は眠ねむ
っていました。ミトラは、
黄金色こ がね いろ
の「世界卵せ かい らん
」 the mundane egg (the Cosmic egg) の
なかで眠ねむ
っていたのです。
*
ミトラ(=メタトロン)は目覚め ざ
めてから、どのようにして天地てん ち
創造そう ぞう
をおこなうのでしょうか? どのようにして世界せ かい
を
-
18
統治とう ち
するのでしょうか? どのようにして人間にん げん
を教おし
え導みちび
く
のでしょうか?
この答こた
えは、「聖せい
七なな
文字も じ
」(七なな
光線こう せん
)と「聖せい
四よん
文字も じ
」(テ
トラグラマトン) Tetragrammaton の秘儀ひ ぎ
(奥義おう ぎ
)のなか
に隠かく
されています。
聖画せい が
世界卵せ かい らん
のなかのミトラ
-
155
18.冥府下り
本文ほん ぶん
人々ひと びと
は火ひ
をおそれる
ミトラは、聖せい
牛ぎゅう
の供く
儀ぎ
で、地球ち きゅう
とそこに住す
むすべての生い
き
物もの
を清きよ
めました。それにより、地球ち きゅう
と、人間にん げん
を含ふく
むすべて
の生い
き物もの
が清きよ
められました。
しかし、アーリマンとその配下はい か
の悪魔あく ま
・悪 霊あく りょう
たちは、闇やみ
の
国くに
(クリポト)、冥府めい ふ
(地下ち か
世界せ かい
)、十二じゅう に
のハウス(牢獄ろう ごく
)
に逃に
げ込こ
んでいて、そこからまた、地上ち じょう
に出で
て来き
て、毒素どく そ
(紅こう
塵じん
)をまきちらしていました。
自然し ぜん
や人体じん たい
のなかには、まだ少すこ
し毒素どく そ
(紅こう
塵じん
)が残のこ
って
いるので、このままだと、また地球ち きゅう
全体ぜんたい
がすっかり汚染お せん
され
てしまいます。
ミトラは、ひとり考かんが
える
ある日ひ
の夜よる
のことです。
ミトラは、洞窟どう くつ
のなかで、ひとり考かんが
えごとにふけっていま
した。洞窟どう くつ
のなかは、ミトラが生う
まれるときに持も
ってきた
-
156
松明たい まつ
の火ひ
であかあかと照て
らしだされていました。ミトラは、
最近さい きん
やけに、人々ひと びと
が火ひ
をおそれ、近ちか
づかなくなったことに気き
づいていて、それについてひとり考かんが
えていたのでした。
「人間にん げん
が火ひ
を使ひ
えるようになれば、人間にん げん
の進化しん か
は加速か そく
し、
知性ち せい
が開花かい か
し、アーリマンたちの影 響えい きょう
を受う
けにくくなる。
わたしがいなくても、ある程度てい ど
、自分じ ぶん
自身じ しん
の力ちから
で、闇やみ
の力ちから
(毒素どく そ
(紅こう
塵じん
))から身み
を守まも
ることができるようになる。
それを知し
っているので、アーリマンとその配下はい か
の悪魔あく ま
・
悪 霊あく りょう
たちは、山やま
火事か じ
をおこしたり、ひどいやけどを負お
わせ
たりして、人々ひと びと
が火ひ
をおそれるようにしむけている。
「このままでは、人間にん げん
に火ひ
を与あた
えることはできない。
かりに、いまここで無理む り
に、人間にん げん
に火ひ
を与あた
えても、人間にん げん
はそれを正ただ
しく使つか
えず、自分じ ぶん
を傷きず
つけたり、他者た しゃ
を傷きず
つけ
たりして自滅じ めつ
するだろう。アーリマンたちが、毒素どく そ
(紅こう
塵じん
)
にはたらきかけ、支配し はい
欲よく
、所有しょ ゆう
欲よく
、名誉めい よ
欲よく
、嫉妬しっ と
、怒いか
り、
憎にく
しみをあおりたて、火ひ
を悪用あく よう
させようとするからだ。
-
157
「どうしても、人間にん げん
に火ひ
を与あた
えるまえに、冥府めい ふ
(地下ち か
世界せ かい
)
にいき、彼かれ
らをうちやぶり、彼かれ
らが毒素どく そ
(紅こう
塵じん
)にはたら
きかけ、人間にん げん
の支配し はい
欲よく
、所有しょ ゆう
欲よく
、名誉めい よ
欲よく
、嫉妬しっ と
、怒いか
り、
憎にく
しみをあおりたてないようにしなければならない」。
ミトラはこう考かんが
えて、ひとつの決意けつ い
をかためました。
解説かい せつ
:欲よく
人間にん げん
にとり、欲よく
(支配し はい
欲よく
、所有しょ ゆう
欲よく
、名誉めい よ
欲よく
)は、必要ひつ よう
です。これがないと、動機どう き
と力ちから
がなくなって、地球ち きゅう
と
生 物 界せい ぶつ かい
を保護ほ ご
して調和ちょう わ
的に発展はっ てん
させるという使命し めい
をは
たせなくなるからです。しかし、紅こう
塵じん
であおりたてるべきもの
でもありません。ミトラは欲よく
そのものをなくすのではなく、紅こう
塵じん
を刺激し げき
する「怨念おん ねん
」をけしさろうと考かんが
えたのです。
なぜ冥府めい ふ
に下くだ
るか、その理由り ゆう
をかたる
ミトラは、3人さん にん
のマギとヒツジ飼か
いたちを、洞窟どう くつ
に呼よ
びよ
-
158
せると、彼かれ
らにむかって、つぎのようにいいました。
「わたしは、これから諸悪しょ あく
の根元こん げん
であるアーリマンと
悪 霊あく りょう
(ダエーワ)たちがひそんでいる冥府めい ふ
(地下ち か
世界せ かい
)に
いき、彼かれ
らをうちやぶってくる。そうしなければ、世界せ かい
もあ
なたがたもまた汚染お せん
される。あぶなくて、あなたがたに火ひ
を
わけ与あた
え、その使つか
い方かた
を教おし
えることもできないからだ。
しかし、冥府めい ふ
は死者し しゃ
の国くに
なので、そこに行い
くためには、わ
たしは死し
ななければならない。そこで、おまえたちにたのみ
がある。わたしがもどってくるまで、わたしのこの肉体にく たい
を、
みまもっていてもらいたいのだ」。
彼かれ
らは、よろこんでひきうけました。マギたちがみていると、
ミトラのからだからまばゆい光ひかり
がぬけでて、空 中くう ちゅう
を一いっ
回転かい てん
すると地面じ めん
にすっともぐっていきました。マギたちは、
ミトラが冥府めい ふ
に向むか
ったあとで、祭壇さい だん
をつくって、そこにミト
ラのからだを安置あん ち
しました。
-
159
冥府めい ふ
でのできごと
ミトラは冥めい
府ふ
に着つ
くと、つぎつぎと襲おそ
いかかってくるダエー
ワ(悪 霊あく りょう
)たちを撃う
ち破やぶ
り、彼かれ
らを冥めい
府ふ
の奥底おく そこ
に追お
い詰つ
め
て、その下した
には燃も
える業火ごう か
しかないというところに追お
いやりま
した。
伝 承でん しょう
A.
そして、アーリマンに深手ふか で
を負お
わせ、時とき
の終お
わりまで地上ち じょう
に出で
て来こ
られないようにしました。
伝 承でん しょう
B.
そして、アーリマンをつかまえると、つぎのような約束やく そく
を
させました。第だい
1いち
は、冥めい
府ふ
のよき支配者し はい しゃ
になり、人間にん げん
や
動物どう ぶつ
の霊魂れい こん
をその性質せい しつ
に応おう
じて輪廻りん ね
転生てん せい
させること。つ
まり、よい霊魂れい こん
は、ふたたび人間にん げん
に生う
まれ変か
わらせ、悪わる
い
霊魂れい こん
は、動物どう ぶつ
に生う
まれ変か
わらせることです。第だい
2に
は、わた
しの友とも
の霊魂れい こん
が合あい
言葉こと ば
を唱とな
えたときには、わたしの住す
む
「永 遠 界えい えん かい
」(アイオーン界かい
)に入はい
るための門もん
を開ひら
いてやる
-
160
ことです。アーリマンは、このことを約束やく そく
し、ミトラと固かた
い
握手あく しゅ
をかわして、「ミトラの友とも
」になりました。
聖画せい が
剣けん
を持も
つ少 年しょう ねん
神しん
ミトラ
――ミトラは、諸悪しょ あく
の根元こん げん
を絶た
つために、地下ち か
にある冥めい
府ふ
に
行い
く決意けつ い
を固かた
めました。
ミトラとアーリマンのやりとり
-
161
呼よ
びかけよ、と声こえ
は言い
う。
わたし(=アーリマン)は言い
う、いまさら何なに
と呼よ
びかけたらよ
いのか、と。
(ライオンの)仮面か めん
をとれ
力ちから
をふるって声こえ
をあげよ。
見み
よ、あなたの友とも
主しゅ
なる神かみ
の
友愛ゆう あい
と智慧ち え
の輝かがや
きを。
わたしはミトラ、
それがわたしの名な
。
わたしのほかに神かみ
はいない。
友とも
であるわたしは、友 情ゆう じょう
をもってあなたを呼よ
び
友 情ゆう じょう
の力ちから
のすばらしさを証 明しょう めい
するために来き
た。
-
162
時とき
が熟じゅく
すのを待ま
ち、
泉いずみ
の炎ほのお
をしずめ、
果は
てしない憎悪ぞう お
と怒いか
りというクサリをたちきった。
あなたと光ひかり
のかけらたちを宿 命しゅく めい
の牢獄ろう ごく
から救すく
い出だ
すため
に。
わたしは決けっ
して見捨み す
てない。
たじろぐな、わたしはあなたの友とも
。
わたしの右手みぎ て
はあなたを支ささ
える。
わたしは神かみ
、あなたの友とも
。
あなたの右手みぎ て
をかたくとって言い
う
恐おそ
れるな、わたしはあなたを助たす
ける、と。
恐おそ
れるな、友とも
よ、わたしは必かなら
ずあなたを助たす
ける。
神かみ
は言う。
生命いのち
の泉いずみ
から離はな
れねばならなかったものよ、
思おも
い出だ
せ、どこに友愛ゆう あい
があり、どこに智慧ち え
(霊れい
知ち
)があるか
を。
-
163
そして気き
づけ、どこに充 足じゅう そく
と長 寿ちょう じゅ
があり、
どこに目め
の輝かがや
きと平和へい わ
があるのかを。
智慧ち え
は、生命いのち
の水みず
、わたしの愛あい
と友 情ゆう じょう
。
これを保たも
つものは生い
き、これを捨す
てるものは死し
ぬ。
友とも
よ、わたしの手て
をつかめ、
そして、生命いのち
の光ひかり
につつまれて、祝 福しゅく ふく
の道みち
を歩あゆ
め。
わたしはあなたの友とも
なる神かみ
、その名な
はミトラ(友愛ゆう あい
)。
わたしのほかに神かみ
はいない。
冥府めい ふ
へと通つう
じる七なな
つの門もん
をくぐり、
八やっ
つの層そう
をひとつ、またひとつと降お
りて、
ついに冥府めい ふ
の最奥さい おく
の地ち
に来き
た。
もはや、道みち
はない。
これ以上い じょう
、下した
には行い
けない。
ここは、闇やみ
の底そこ
、どんづまりの地ち
。
降お
りきったものに残のこ
された道みち
は、ただひとつ。
-
307
照応図:東方ミトラ教版。装飾礼拝瞑想占星学用
-
408
奥付 ミトラ神話シリーズ1
星の物語
―――――――――――――――――――――――――
電子版
2018 年 7 月 日 21初版第 1 版発行
著者 東條真人 (Masato Tōjō)
発行者 岡庭加奈 (Kana Okaniwa)
〒154-8691 東京都世田谷郵便局私書箱30 号
電話&FAX 03-3424-4830
メールアドレス [email protected]
ホームページ
http://mithra.world.coocan.jp/MIIBOAT/index.html
総合出版案内
http://mithra.world.coocan.jp/MIIBOAT/MIIBOAT.html
発行所 MIIBOAT Book(ミィーボートブック)
ISBN 978-4-901038-89-8
http://mithra.world.coocan.jp/MIIBOAT/index.htmlhttp://mithra.world.coocan.jp/MIIBOAT/MIIBOAT.html
-
409
Copyritht © 2018 Masato Tōjō
All rights reserved. No part of this book may be reproduced by any
neans without prior written permission from the publisher.
目次へ
表紙目次はじめにミトラ神話1.はじまり2.ミトラが現れる3.聖七文字と七光線:七光線の奥義その14.コスモスの誕生5.恒星界、十二星座、世界周期:七光線の奥義その26.北斗七星の誕生:七光線の奥義その37.地球の誕生8.七天球層の誕生: 天球層とセフィロト9.七惑星と七曜神(七大天使)の誕生:七光線の奥義その410.双子の誕生11.アーリマンの反乱12.オフルミズドの死13.救済の始まり: 地球が固まる14.アダムとエヴァの誕生: 神聖な人格原像15.見張りと巨人たち16.ミトラは地上に降りる17.地球の浄化:聖牛の供儀18.冥府下り19.人類の友(戦友)20.最後の晩餐21.別れのことば:再臨の約束22.ミトラは、コスモクラトールになる23.人類の知性化と文明化24.モーゼとイスラエルの子たち25.神聖科学(秘教占星学と秘儀)の広まり26.エゼキエルと「メルカバのわざ」解説:メルカバ
27.神聖科学(秘教占星学)のポイント28.キリストなるミトラ:友愛の教え29.最終戦争の予言30.古いコスモスの最後と新しいコスモスの始まり31.ローマ帝国:ミトラ教とイエス諸派の調停合併32.東アジアに広がる:大融合33.現代
聖画解説:ミトラの図像の特徴ミトラ教の紋章:有翼円盤。装飾礼拝用ミトラ教の紋章:ミトラ卍(まんじ)。装飾礼拝用少年神ミトラ(若アイオーン):装飾礼拝用太陽神ミトラ:装飾礼拝用両性具有のミトラ:白蓮華台座組脚坐像。装飾礼拝用ヤズダンミトラ:装飾礼拝用ミトラ:ミトラの旗三連旗の前に立つ:装飾用少年神ミトラ:装飾礼拝瞑想用ヤズダンミトラ:最高神ミトラ:装飾礼拝瞑想用コスモクラトール=ミトラ:装飾礼拝用ミトラのタウロクトニー(聖牛の供儀):装飾礼拝用奥義を授けるミトラ:装飾礼拝瞑想用照応図:東方ミトラ教版。装飾礼拝瞑想占星学用少年神ミトラ:装飾礼拝瞑想用白馬の騎士ミトラ:中央アジア・スラブ風。七芒星護符少年神ミトラ:七芒星護符少年神ミトラ:七芒星護符少年神ミトラ:七芒星護符少年神ミトラ:七芒星護符(変形)少年神ミトラ:七芒星護符(変形)天の友ミトラ:礼拝装飾用少年神ミトラ:装飾礼拝用少年神ミトラ:装飾用少年神ミトラ:装飾用太陽なるミトラ:装飾用太陽なるミトラ:装飾用少年神ミトラ:ケウル0「西方ダウル記2」の説明図少年神ミトラ:「七位階の秘儀」の説明図少年神ミトラ:「占星術的錬金術」の説明図少年神ミトラ:装飾礼拝用少年神ミトラ:装飾礼拝用少年神ミトラ:秘儀の装飾礼拝用少年神ミトラ:秘儀の装飾礼拝用少年神ミトラと天使たち:装飾・幻視物語・瞑想用。弥勒教風のミトラ=弥勒童神:装飾礼拝用弥勒教のミトラ=弥勒童神:右下にいるのは老子:装飾礼拝用ミトラ白蓮華台座半跏思惟像:装飾礼拝瞑想用ミトラ白蓮華台座半跏思惟像:装飾礼拝瞑想用弥勒教のミトラ:七光線の瞑想用弥勒教のミトラ:八卦図を使った瞑想法の指導用弥勒教のミトラ:八卦図を使って、教えを説いている。装飾用少年神ミトラ:装飾礼拝用少年神ミトラ:装飾礼拝用少年神ミトラ:装飾礼拝用ミトラ=弥勒:装飾礼拝用女神ミトラ(聖弥勒観音):装飾礼拝用ミトラ:原初の安らぎ。装飾礼拝用戦う少年神ミトラ:装飾礼拝用ミトラ七芒星護符:ローマ(フリギア)風の衣装ミトラ七芒星護符:ギリシャ風の衣装ミトラ七芒星護符:未来のミール孔雀の使徒: 言葉じゃない、行動よ! 装飾宣伝用ミトラ教の女性祭司:装飾宣伝用第1光線 ライオン神(=アレイマニオス=アザゼル):装飾礼拝用第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝用第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力。装飾礼拝用第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝瞑想用第1光線 孔雀王アザゼル:装飾礼拝瞑想用第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力第1光線 孔雀王アザゼル:バビロニア風の神殿にて第1光線 孔雀王アザゼル:意志と力を与えよう第1光線 孔雀王アザゼル:七芒星護符第1光線 アザゼル:堕天前。アストラル界で遊ぶ第1光線 アザゼル:堕天後。怒る。第2光線 ジブリール:装飾礼拝瞑想用第2光線 友愛の主ジブリール第2光線 ジブリール:七芒星護符第2光線 友愛の主ジブリール第2光線 ジブリール:七芒星護符第2光線 ジブリール:弥勒教風の八卦護符第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾礼拝用第3光線 財運の主シェムナーイル:七芒星護符第3光線 財運の主シェムナーイル:七芒星護符第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾用第3光線 財運の主シェムナーイル:装飾礼拝瞑想用第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾礼拝用第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:七芒星護符第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:十二星座護符第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾瞑想用第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:装飾瞑想用第4光線 学問と芸術の主ダルダーイル:六十四卦護符第5光線 神の盾ミカエル:礼拝装飾用第5光線 神の盾ミカエル:七芒星護符第5光線 神の盾ミカエル:装飾礼拝瞑想用第5光線 神の盾ミカエル:十二星座護符第6光線 壮健例美の主アズラーイル第6光線 壮健例美の主アズラーイル:装飾礼拝用第6光線 壮健例美の主アズラーイル:装飾用第6光線 壮健例美の主アズラーイル:願望成就護符第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール第7光線 神火と神剣の主イスラーフィール原人オフルミズド原人オフルミズド原人オフルミズド原人オフルミズド光のかけら光のかけら光のかけら光のかけら光のかけら大マニ:装飾用大マニ:装飾用占星術的錬金術:七光線の混合と調和。七光線護符
著者プロフィール奥付