圃

とコンデンサ-でをチュ-=ング

ANAGiSAWA Mqsqshi

真空管アンプには多くの部品が使われている.初

心者向けのシングルアンプでも,主な部品だけで50

-60個ぐらいになる.厄介なことに,これらの部品

のどれを換えても音に影響がある.一般のオーディ

オマニアはピンケーブ)レやスピーカーケーブルなど

を取り換えることで音の調整をするが　アンプ製作

者はアンプの部品を換えることで自分好みの音にす

ることができる.さらに,ベテランのアンプ製作者

にかかれば　部品を換えることよりもっと効果があ

6SL7　　　　　39kn　3033A

308V　　　　　　　　　　　　　　41 3V

る奥の手がある.回路自体を変更してしまうのた.

たとえば　初段を単なる増幅段からSRPPに換えた

り,次段との結合をCR結合から直結にすることも

可能だ　シャシーのレイアウトを換えることなく多

くの回路を試すことができるのだがここでは部品の

交換,主に抵抗とコンデンサーに的を絞って進める.

アンプ製作者には　いつも使っている定番の部品

というのが必ずある.定番の部品を使ってアンプを

完成させ,再生音に不満があればカットアンドトラ

471｣F

350V　　30kO 3W

82kO 2W　　　390n TC10-130W

(①　照光式電流計(100mA)

[図1] LMT 3033A Sing一e Amp (MJ201308)を例に,抵抗やコン

デンサーの選択と初心者でもできる音のチューニングを考えてみる

54

イで部品を交換して,音を追求してい

くのが常道だ　しかし,トランス類を

換えるのは物理的にも費用の面でも大

変だから,真空管(メーカーの違い)辛

抵抗,コンデンサーを換えることで音

80　決めをするのが普通だ

カーボン抵抗と酸化金属皮膜抵抗

o　　　筆者は以前から,信号系にはカーボ

ン抵抗(皮膜またはソリッド)を使い電

力用には酸化金属皮膜抵拐(酸金)を使

用している.特にオーディオ用のカー

ボン抵抗は音の色付けが少なく厚みの

ある音が気に入っている.酸金は堅牢

で高温に対して強く.何よりワット数

に対して小型であるのが好ましい.金

属皮膜抵抗(金皮)はカーボン抵抗より

ノイズが少なく,高精度の抵抗が容易

に作れて比較的安価であるが　筆者は

ほとんど使っていない.多くの半導体

アンプが使用しているのがその理由か- (笑).

オーディオ用のカーボン皮膜抵抗は,

長年愛用してきた東京光音電波のRD抵

抗やリケンのRMG抵抗が製造中止にな

MJ

波大地アースtこ挑戦

HiBAZAKi isqo

本格的な大地アースは手間とお金がかかるが　静

電結合による高周波大地アースは低出費で容易に実

現でS,意外な音質改善効果があることを発見した

工ントレック社のグランドボックス

大地に直接アースをせずに大地アースに近い効果

が得られる｢仮想アース製品｣が最近注目されてい

ら.近年話題になったのは　スウェーデンのエント

レックが商品化した写真1のグランドボックスで

左がTellus.右が上位モデルSilver Tellusだ　オ

ープン価格で, 2014年に日本で発売された際の税

抜き予想実売価格はそれぞれ15万円と34万円であ

る.木製筐体の中には複数の金属層と,金/鍋/鍋/

亜鉛などの金属粉が入っており,リアパネルに機器の

アースを接続する端子辞が付いている.寸法は前者が

435W x 295D x 134Hmm,後者が435W x 302D x

155Hmmなので　中の導体部床面積はほぼA3サイ

ズである.これらは木の箱に詰めた導体と大地間の

静電容量を介して高周波的な大地アースをとり,機

器の筐体に乗っている高周波ノイズを大地に逃がし

て信号系グランドを浄化し,音質を改善すると思わ

れる.数種の金属粉を混ぜるのは固有音をなくすた

めだろう.これに触発されて,私も｢高周波大地ア

ース｣に挑戦した.

[写真1] 2013年音展のオヤイデ電気ブースで注目された,スウェーデンEntreq (工ントレック)のグランド,+･･ソクス請

56

アルミ板も鳴き止めすれば効果がある

まず最初に試したのか　写真2に示す,ほぼA3

サイズの2mm厚アルミ板である.写真左手前の角

には, 2.4mmの貫通下穴をあけてM3タップ3mm

のメネジを切り,平ワッシヤーとスプリングワッシ

ャを介して長さ4mmのM3ネジでYラグを取り付け

た.このYラグとプリアンプ(アキュフェーズ

C-2420)のアース金具間を,両端にミノムシクリッ

プを付けたアース線で接続する. C-2420にはアース

端子がないので　XLR端子の固定解除金具にミノム

シクリップを取り付けた

その結果は,ヴォーカルや弦楽器が艶やかで潤い

感のある音になり,量感と瞬発力が増して抑揚が豊

かになった.確認のためアース線を取り外すとドラ

イで尖った音に戻ったので　アルミ板の高周波大地

アースによる改善効果は明白だ　しかしアルミの固

有音と思われる色付けが気になった　アルミ板を叩

いた音色に近い音が付きまとうのだ　そこでアルミ

板の鳴き止めに質量2kgのA4判カタログ集(写真

3)を載せたところ,色付けが許容レベルまで低減

し,低域が分厚くなって量感がさらに増強された

アルミ板を用いる際は.鳴き止め用の重し力不可欠

である.

導電ゴムマットはゴム特有の音が付きまとう

次に試みたのがエンジニア社の卓上導電マット,

写真4のZCM-06と専用アースコードZCM-10であ

る. ZCM-06は写真5に示すように,緑と黒の2層

導電ゴムマットで　サイズはA3より一回り大きい

450Wx320Dmm,厚さは2mmである.仕様では

表面抵抗値が緑の層は100-10000MQ ,黒い層は1

-100kQとなっている.

このマットで高周波大地アースを行うと,音が艶

MJ

で良い音か判定できるのか

WAMURA Yosuo

測定と音について

良い音のアンプを製作するのに,測定は役に立つ

かという直接的な問いに対しては, ｢残念ながらあま

り役に立たない｣というのが答えです.それでは不

要かというと,こんどは｢どうしても必要です｣とい

うのが答えになります.

前者としてば　超という字が付くほど物理特性の

優れた高級半導体アンプは　必ず音が良いかという

疑問があります.測定と音を関連づげろには現状の

定常的･静的な特性の測定では不十分で　過渡的･

動的な特性の測定が関連付けへのブレイクスルーに

なると考えています.しかしながら,静的な特性の

測定でもまったく役に立たないわけではありません

それでも,次のような静的な測定でもある程度の

判断をすることができます.

(主滞域バランスの良いアンプの目処として,周波数

特性は低域と高域の-ldB (あるいは-3dB)低下

する周波数万とfHの積が40万というよく知られた

｢40万の法則｣があります.これは高域あるいは低

域だけを無理に拡げろよりも,帯域が多少狭くても

バランスを取るほうが音質は向上するということを

一一一~∵嘉子三二

-

∴二一三二∴∴. �����ｾ8xｩ����凉�<Y>X蜜ｬ冦鐙�y?��l浩をま婿鵠器諒,嘉急造a'.

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蕊紬謡蛮星 ∴○〟〇〇m1〃∴ ∴-∴}○∴ 刳巨}80888轄態遼遠高＼ ･∵∴∴∴㌣∴∴ �����������

[写真1]測定のようす,機材は左からデジタルオシロAgiientDSO-X2014A,自作4-200可変50Wダミーロード,オーディ

オアナライザーHP 8903A

58

意味します.たとえば図1 tlfL-15Hz, fH-25kHz

なので積は37.5万となります.これは　カップリン

グコンデンサーの値やオーバーオールNFBの位相

補償コンデンサーで調節することができます.

②パワーレスポンス特性は低域の聴感に大きな影

響があります.図1のパワーレスポンスのように,

小信号時の周波数特性が低域まで伸びていても,低

域でのパワーは必ずしも期待するほど伸びていない

のです.本当に豊かな低音には良好な低域のパワー

レスポンスが必要で　そのためには余裕を持った出

力トランスと電源が欠かせません

③音の良いアンプでは,必要条件か十分条件かはさ

てお5,歪率特性の100Hz, lkHz, 10kHzでのカー

プがほぼ同一で寄り添っていることが多いと感じて

います.筆者はこの原因を,出力トランスのインピ

ーダンスのような特性が周波数で大きくは変わらな

いことが間接的に効いていると考えています.

④周波数特性における高域のピークは聴感を欺き,

明るく輝かしい音との印象を与えがちなので危ない

存在です　周波数特性はNFBをかけることで大幅

な改善が可能です.しかしながら,筆者はそれに付

随して図2のようにピークが高域に生じるくらいな

ら, NFBなしの狭帯域のほうがかえって音が良い

と考えています.ただし,この判断は好みの問題で

もあるので意見の分かれるところです.

⑤アンプが明らかに発振気味というのは問題外とし

ても,オシロで出力波形を観ていると入力信号に触

発されるように局部的に発振している場合がありま

す.このような発振は通常の測定でも,ヒアリング

でもわからないことが多々あります.トウイーク一

にとって危険ですし,音が濁る原因でもあるのでオ

シロによる注意深いチェックが必須です.

⑥ダンピングファクターDFは,スピーカー(主に

ウーファー)が必要とする制動力との兼ね合いで最

適値が決まります. DFの値は2.5-4あたりが無難

MJ

ってみよう

thejl project(ジェイワン･プロジェクト)は航

空機,自動車,スポーツ,オーディオなどさまざまな

ジャンルに造詣が深いアメリカの若い工業デザイナ

ーたちが　アイデアを寄せ合い具現化する技術集団

だ　ナスペックは彼らの技術と商標権を獲得し,オ

ーディオに特化した製品を数多ぐ)リースしてきだ

制振効果の高いオーディオボードやラック.スパ

イクなども高い評価を受けているが　ソフト系素材

のIDSコンポジット(Isolate Damping Specialty

Composite)の製品群は,リーズナブルで有用性が

高い.この素材は､アメリカの軍需産業用として開

発された複合素材で　物理特性に優れ,音響ノイズ

振動,衝撃,共振などを効果的に抑制することが可

能だ

その中でもマテリアルTダンピングシートT-2010

は,わずか1mmの厚さで手ごろな価格だが　効果

は上位製品と変わりはない.コンポーネントの設置

面の高低差によるガタつきを解消するスペ-サーと

して使いつつ,制振効果も得られる.また裏面には

ダンピング効果のある湖面があるので　振動対策を

採っていない普及価格帯のCDプレーヤーやアンプ

類の天板,樹脂製ケースなどの共振抑制もできる.

あるいは古典的スピーカーのエンクロージャー内面

マテリアルTハイブリッドダンピングシート　TO3-2010

¥2,625 (税込)

●推奨負荷質量. 3-20kg

●サイズ: 200mmXIOOmmxlmm (厚)

●使用環境　0-50℃

60

などに貼りつけることで　いわゆる｢箱鳴き｣を抑

えることもできるなど　幅広く使える.

ハサミで簡単に切れるので　いろいろな場所に使

える便利な製品だ　本機を使うことで付帯音を取り

除くと同時に,再生帯域内の解像度を向上させるこ

とができる.ゴム系素材や鉛などのように音楽を無

機的に聴かせることなく.生き生きと再現してくれ

るのが好ましい.筆者は独自設計のツインアーム仕

様のガラード301用ベースシャシーとアームベース

間に本機を使い, S/Nの改善を図っている.

またホールでのライブ録音のときをど　剛性不足

の簡素な折りたたみ式テーブルなどに録音機やモニ

タースピーカーをセットしなくてはならない.そん

なときに性　向ブランドのマテリアルAダンピング

マットA55S/4Pなどを設置面に挿入している.さ

らにDATレコーダーやCDレコーダーなど複数の

録音機を使う場合,スペースの関係で重ねて設置し

なくてほならなくなることがある.そんなときにも

本機を使うことで　機器間の振動をアイソレートす

るよう心がけている.

●発売元　株式会社ナスペック〒500-8386　岐阜県岐阜市薮田西1 -4-5

TEL 058-21 5-751 0　h請p.//naspecaudiO.com/

マテリアルAダンピングパッド　A5519S/4P

¥5,775 (税込4個1組)

●推奨負荷質量10-80kg (4点支点)

●サイズ. 55mmx55mmX5mm (厚)

●使用環境: 0-40℃

MJ

柏オ-デイオケ-プルとは

NOUE ChItqke

ケーブルの場合は,使いこなしや活用術といった

ものにはちょっとなじまない.せいぜい端子を磨く

とか引き回しといった程度なので　ここではもう少

し根本的な話をすることにしたい.

良識的なオーディオフアンに時々見られるが　ケーブルの影響に触れたがらない,あるいは否定した

がる傾向があるようだ　理由はさまざまだが　常軌

を逸したような価格の製品があったり,奇矯な理屈

を振り回すメーカーがあったり,さらに線材などの

過剰な数字競争が騒がれたりといったことで嫌気が

さしてしまうのではないかと想像される.そして,

何もしていないごく普通の安価なケーブルが一番い

いのだといった　一種の思考停止状態に陥るようだ

確かに異常な高額製品もあるし,屁理屈にしか思

えない設計理論も見受けられる.しかし.きちんと

理論や測定に基づいて設計された製品とそれらを一

緒にして否定してしまうのは.とてももったいない

ことではないだろうか.システムの音質を一段二段

と引き上げてくれるケーブルは確かに存在するし,

それらは決して高額品ばかりではない.オーディオ

コンポーネントのひとつとしてケーブルを捉えると,

いっそう面白いものなのだが

もうひとつ,ケーブルで音が変わるのはわかるが

それが果たしていいものなのかどうか判断できない

∴ 定�����∴∴ 豫X,H��I?�ﾓﾘ+�+��

∴∴ �-��{��2�X�り�ﾉ6���ｸ���

∴∴ -.∴ ･顕 ∴∴∴ ∴∴

∴∵∴ ..a.

スピーカーケーブルの端末はおろそかにせず, Yラグなどを

使ってしっかり固定

2015/7 61

というユーザーが意外に多いようだ　ケーブルで音

が変わったとして,それはケーブルの音で色が付い

ただけではないのかという凝念が捨てきれないよう

なのである

結論だけ言うが　そういう心配は無用だ　何にし

ても音がよくなったとすれば製品がいい証拠であっ

て,音が変わってしまったといって心配することは

ない.逆に本当に色が付いたとすればどこかで悪い

部分も出てきているはずなので　注意深く聴いてみ

れば判断がつくものである.

良質をケーブルを選ぶためのポイントを簡単に挙

げておぐ　音数が増えたかどうか,レスポンスや位

相に凹凸や乱れはないか.レンジが狭くなっていな

いか,立ち上がりのスピードが速くなったか.これ

らを気にして聴けば　大体間違いはない.そして決

して音色だけで聴かないことである.

納得の行く素材,構成のオーディオケ-フル

を見つけ,システムの

向上を目指そう

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信号系のケーブルは端子のクiノー二ンクも定期的に行うようにしたい

反射のコントロ-ルと-刀-のセッティング

ZAWA TQkqhISq

筆者の場合,ほとんど毎月のように新しいスピー

カーを製作しているので　その調整と試聴に追われ

てしまい, 1つのスピーカーをしっかりと育て上げ

ることができないのが悩みです.さらにリスニン

グルームが6畳の和室1つなので　スピーカーを固

定してセッティング術を研究することもできていな

いのが実情です.しかし,そのような部屋でも結構

満足のできる音質になっているので　注意している

点をまとめてみました.

吸音材は最小限にする

部屋の畳の上には合板とMDFを敷きつめてあり

ます.畳が古くてボコボコなので仕方なく敷いたの

ですが,部屋がライブになりました.スピーカーの

音は.吸音性の素材を多用したデッドな部屋よりも,

少し響く部屋のほうが生き生きとしてきます.

ただし,定在波を目立たなくするために,部屋の

中は適当に散らかしておきます.部屋は長辺方向に

使っていますが　右手の窓際には収納部屋からあふ

れたスピーカーが凸凹になるように積んであります

(写真1主　まだ　床の上は　試聴に使うCDやス

ピーカーの調整に使うパーツ類を収めた小箱が散乱

しています.遮光カーテンは,音を反射しそうな硬

めの素材でできたものを使っています.折り目が凸

凹になるので　走在波の院止に役立っています

左手の壁には　エンクロージャーの吸音材に使っ

[写真1 ]定在波の抑制のためあえて散らかしている六塁間

62

ている観賞魚の水槽用ろ過ウール(loos)を2つ,

スピーカーの1次反射面付近にタコ糸でつるしてあ

ります(写真2).部屋に置いてある吸音性の素材は

これだけですが　古い家で音が抜けやすいこともあ

り,変な響きに悩まされることなく音楽鑑賞が楽し

めています.

部屋を散らかしておくことは見た目が悪いのでお

勧めしませんが　生活用品を上手に使って対向面を

凸凹にするように配置しましょう.また,吸音材の

使用は必要最小限にすると良いと思います.

コルクシートの活用

スピーカーのインシュレーターには1mm厚のコ

ルクシートがお薦めです. 1円硬貨大にカットした

ものを3個,スタンドとの間に挟むことでガクッキ

やスリップが防げます.音質に副作用をまったく感

じないので気に入っています.鈴を使ってスピーカ

ーの振動を抑えるときにも,間に挟んで使用してい

ます(写真3).鉛を直接置くと変な音に感じること

が多いのですか　コルクシートがあることで違和感

が少なくなります.

多くの方は普通の部屋にオーディオ装置を設置し

ていることと思います.上記の方法は非常に初歩的

ですが　部屋の響きを上手にコントロールすること

ど.スピーカーをしっかりとセッティングすること

ができれば　充分な音質で音楽鑑賞を楽しむことが

できると思います.

[写真2]壁の1次反射面には吸音材　[写真3]鉛のブロックの下にを吊ってある　　　　　　　　　　　コルクシートを挟み振動を抑制

MJ