ヒトの進化・マカクの進化 - Primate Research Institute · 2013-09-20 ·...

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ヒトの進化・マカクの進化 身体形態から 600万年の進化史 なぜヒトの進化は急速に進んだのか? なぜ、現生ヒトは1種なのか? 濱田 穣

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ヒトの進化・マカクの進化 身体形態から

600万年の進化史

なぜヒトの進化は急速に進んだのか?

なぜ、現生ヒトは1種なのか?

濱田 穣

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マカクの進化600万年 アフリカからアジアへの分散ルート: 北回り? 南回り?

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アッサムモンキー

ベニガオザル

ブタオザル

カニクイザル

アカゲザル

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化石マカク類: A: ロブストス・マカク(中国、周口店) B, E: アンデルソニ・マカク(中国河南省) C, D: バーバリーマカクの亜種?(イタリア、サルディニア島)

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マカクの生態学的棲み分け (フーデン, 1982)

常緑広葉樹林 常緑広葉樹林以外

亜熱帯

熱 帯

ベンガル湾 ベンガル湾

樹上性

地上性

アッサムモンキー

ベニガオザル

キタブタオザル

ミナミブタオザル

カニクイザル

アカゲザル

樹上性

地上性 北緯18度

チベット ベニガオザル

ボンネットモンキー

島に生息: ニホンザル・タイワンザル・スラウェシマカク(7種)・メンタワイマカク(2種)・トクモンキー

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カニクイザル種群

アッサムモンキー種群

5.1

mya

3.7

-4.0

mya

プロト-ブタオザル種群

南ブタオザル ボルネオ スラウェシ・マカク

パーガイ・ブタオザル南メンタワイ諸島

シベルット・ブタオザル北メンタワイ諸島

1.5

-1.7

mya

北ブタオザル アジア大陸部

シシオザル インド南西地域

1.1

-1.5

mya

南ブタオザル スマトラ、半島マレーシア

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ミナミブタオザルの現在の分布

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スラウェシ島

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スラウェシ・マカク

ニグラ

ニグレッセンス

ヘッキ

トンケアナ

オクレアータ

ブルネッセンス

マウルス

トンケアナ

オクレアータ

マウルス

ブルネッセンス

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マカク頭骨形態比較

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6

マカクの頭骨形態の分析

Assam

Fasc

Nem-Leon

Sulawesi

Sylvanus

マウラ

ヘッキ

カニクイザル

オクレアータ

トンケアナ

ブルネッセンス

ニグレッセンス

ニグラ

南ブタオザル

北ブタオザル

ニホンザル

ヤクシマザル

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石器利用:貝・蟹・堅果

右手 両手 左手

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コミュニケーション キタブタオザル

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人類の系統発生

パラントロプス

ホモ

新人

チンパンジー

アナム猿人

アウストラロピテクス類

プラティオプス

ケニヤピテクス類

ルドルフエンシス

ラミダス猿人

オロリン猿人

共通祖先

ハビリス原人

直立原人

ネアンデルタール人

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ヒト:林縁、疎林などに生息 東アフリカ~南アフリカ

著しい進化 地域集団への分裂

気候変動: 鮮新世‐更新世 ⇒地域集団ごとに特徴ある形質:

食性・生活スタイル ⇒さまざまな系統

独特な進化メカニズム 生活技術革新

--顔面などのコミュニケーション器官の発達

脳の発達

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人類進化と脳容量の拡大 (ルーウィンとフォウリー, 2004)より

新 人

直立原人

ハビリス原人

平均体重(kg)

ゴリラ

チンパンジー オランータン

アフリカヌス猿人

ボイセイ猿人

ロブストス猿人

アファール猿人

平均脳容量(

cm3)

ホモ属 漸進的変化? 跳躍的変化?

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側頭筋と頭骨 筋断面の筋繊維 (黒:タイプ-I, 赤:タイプ-II)

電気泳動による筋タンパク質の検出

カニクイザル ヒト

分子量標準

カニクイザル側頭筋

ヒト側頭筋

タイプ-II

断面積比

マカク ゴリラ ヒ ト

MYH16

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MYH16遺伝子の 系統樹

dN: 非同義変化 dS: 同義変化

アファール猿人

百万年前 百万年前 現在

直立原人

パラントロプス猿人

MYH16 不活性化

イヌ

マカク

オランウータン

チンパンジー

現代人

dN/dS<0.1 負のダーウィン淘汰

dN/dS=1.0 淘汰無

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脳の大型化:要因

究極的要因 淘汰: エネルギー問題

至近要因 遺伝学的要因

発生学的要因

跳躍的進化(分断平衡モデル)

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ヒトの進化

生息環境: 隔離 ⇒ 多様性

⇒新規性(脳)と生態学的基盤

• 直立二足歩行が発端

– 手の利用

– 狩猟・採集:得難いが高品質の食物

– 顔の表情: 眼、眉毛、まぶた、唇

– 言語

– 大脳化

分散性:共通化