カナダの鉱業事情 -...

Japan Oil, Gas and Metals National Corporation

JOGMEC 0

カナダの鉱業事情

平成２２年１２月２４日

前バンクーバー事務所副所長

村上尚義


JOGMEC 1カナダの鉱業事情講演内容

出典：The Atlas of Canada

- 鉱業の概要

（生産量・輸出入・ポテンシャル等）

- 鉱業政策・投資環境

- 探鉱・開発状況

- 最近のトピックス

- まとめ


JOGMEC 2金属鉱産物生産高

鉱種別生産高（2009年）

鉱種生産額（百万C$）対2008年比（%）

銅 2,775 64

ニッケル 2,239 39

亜鉛 1,243 88

金 3,365 119

鉄鉱石 3,174 78

ウラン 1,392 146

その他 1,964 60

計 16,151 71

（出典： Natural Resources Canada）

(百万C$) 州別金属鉱産物生産高（2009年）

QCONNF&LBBCSKMTNBYKTNWTAB

QC:Quebec, Ontario, Newfandland & Labrador, British Columbia, Saskatchewan, Manitoba, New Brunswick, Yukon Territory, North West Territory, Albata

（出典：Natural Resources Canada 2009）

・主要非鉄金属鉱産物：銅・鉛・亜鉛・ニッケル・金・銀・タングステン等

・2009年の金属鉱物、非金属鉱産物、石炭を含む鉱産物生産額は322億C$ 、うち金属鉱物は2008年と比較し29％減の162億C$

・2009年のニッケル生産額は2008年の57億C$から22億C$へと大幅に減少。ニッケルの平均価格が前年の23.2C$/kgから17C$/kgへと下落したこと。そして、Xstrata社によるSudbury鉱山の閉山や、Vale Inco社のSudbury鉱山とVoisey’s Bay鉱山での2009年7月以降のストライキ発生などに起因


JOGMEC 3鉱石生産量（2009年）

鉱種単位 2007年 2008年 2009年対2008年比（％）

（金属）

銅 t 577,545 584,003 480,380 82

鉛 t 68,851 87,127 72,074 83

亜鉛 t 594,113 704,780 672,379 95

ニッケル t 244,539 246,197 131,631 53

鉄鉱石千t 32,774 32,102 31,699 99

金 kg 102,211 94,909 95,698 101

銀 t 829 709 608 86

モリブデン t 6,819 8,229 8,836 107

白金 kg 21,925 22,764 12,686 56

タンタル t 55 53 29 55

アンチモン t 162 111 55 50

ビスマス t 137 71 86 121

カドミウム t 293 313 284 91

コバルト t 4,761 4,809 2,276 47

（非金属）

ウラン t 9,100 8,703 10,076 116

ダイヤモンド千カラット 17,144 14,523 10,946 75

カリウム千t 11,085 10,379 4,318 42

石膏千t 7,562 5,819 3,540 61

岩塩千t 11,970 14,224 14,566 102

重晶石千t 9 9 15 167

（出典： Natural Resources Canada）

・主要鉱種の世界生産量に占める割合

銅： 3.0%鉛： 17.6%亜鉛： 5.93%金： 4.0%銀： 2.9%モリブデン： 4.0%

・2009年の金生産量の伸びはわ

ずかだが、金価格が上昇したことにより、生産額は前年比19％増の34億C$となった

・2009年のウラン生産は、生産量増（8,700t→10,100t）と価格の上昇により、前年比46％増の14億C$となった


JOGMEC 4地金生産量（2009年）

地金（単位：t）

2007年 2008年 2009年※１対2008年比（％）

銅 453,453 442,050 335,052 76

鉛※3 236,688 259,094 258,940 100

亜鉛 802,103 764,310 685,504 90

ニッケル 162,646 167,732 113,067 67

アルミ 3,082,625 3,120,148 3,030,269 97

カドミウム 1,388 1,409 1,299 92

コバルト※2 4,883 4,899 4,358 89

※1 予測※2 酸化コバルトは含まず※3 リサイクル分を含む（出典： Natural Resources Canada）

・主要地金の世界生産量に占める割合

銅： 1.8%鉛： 2.9%亜鉛： 6.0%


JOGMEC 5埋蔵量

主要金属埋蔵量の推移

年銅ニッケル鉛亜鉛

モリブデン銀金

（千t）（千t）（千t）（千t）（千t）（t）（t）

2000 7,419 4,782 1,315 8,876 97 13,919 1,142

2001 6,666 4,335 970 7,808 95 12,593 1,070

2002 6,774 4,920 872 6,871 82 11,230 1,023

2003 6,037 4,303 749 6,251 78 9,245 1,009

2004 5,546 3,846 667 5,299 80 7,198 801

2005 6,589 3,960 552 5,063 95 6,990 971

2006 6,923 3,940 737 6,055 101 6,873 1,032

2007 7,565 3,778 682 5,984 213 6,588 987

2008 7,456 3,605 636 5,005 222 5,665 947

（出典：Natural Resources Canada,Overview of Trend in Canadian Mineral Exploration 2009）

鉱種 2009年埋蔵量 2009年埋蔵量（世界計）カナダ/世界計

(%)順位

銅（千ｔ） 8,000 540,000 1.5% 12

鉛（千ｔ） 700 79,000 0.9% 11

亜鉛（千ｔ） 8,000 200,000 4.0% 8

ニッケル（ｔ） 4,100,000 71,000,000 5.8% 6

銀（ｔ） 16,000 400,000 4.0% 9

鉄鉱石（百万ｔ） 1,100 77,000 1.4% 12

イルメナイト（千ｔ） 31,000 680,000 4.6% 8

カドミウム（ｔ） 24,000 590,000 4.1% 9

コバルト（ｔ） 120,000 6,600,000 1.8% 7

ニオブ（コロンビウム）（ｔ）

46,000 2,900,000 1.6% 2

セシウム（ｋｇ） 70,000,000 70,000,000 100.0% 1

セレン（ｔ） 6,000 88,000 6.8% 5

タングステン（ｔ） 110,000 2,800,000 3.9% 4

テルル（ｔ） 700 22,000 3.2% 3

白金族金属（ｋｇ） 310,000 71,000,000 0.4% 4

ビスマス（ｔ） 5,000 320,000 1.6% 5

モリブデン（千ｔ） 450 8,700 5.2% 4

リチウム（ｔ） 180,000 9,900,000 1.8% 6

レニウム（ｋｇ） 32,000 2,500,000 1.3% 7

（出典：US Geological Survey DATA）

主要金属埋蔵量（ 2009年）


JOGMEC 6主要鉱産物輸出入状況



JOGMEC 7操業鉱山（2008年）

2008年末時点で、91鉱山が操業

銅（±金±モリブデン）鉱山：10鉱山亜鉛・鉛鉱山：10鉱山金・銀鉱山：29鉱山ニッケル（ ± 銅±コバルト±PGM）鉱山：21鉱

山鉄鉱山：3鉱山タングステン鉱山：1鉱山ウラン鉱山：4鉱山その他：13鉱山


JOGMEC 8主要な操業鉱山（銅）

鉱山名操業会社名州名2008年生産量（金属純分）

2009年生産量（金属純分）

採掘方法

Huckleberry Imperial Metals BC Cu（千t）Mo（千t）

16.90.1

Cu（千t）Mo（千t）

20.00.1 露天掘

Kemess South Northgate BC Cu（千t） 23.5 Cu（千t） 23.8 露天掘

Mount Polly Imperial Metals BCCu（千t）Au（t）Ag（t）

27.41.46216.25

Cu（千t）Au（t）Ag（t）

16.01.5007.0

露天掘

Gibraltar Taseko Mines BC Cu（千t）Mo（千ｔ）

26.70.3

Cu（千t）Mo（千ｔ）

31.9 0.3 露天掘

Highland Valley Teck BC Cu（千t）Mo（千t）

119.3 1.9

Cu（千t）Mo（千t）

118.23.00 露天掘

Hudson Bay Hudbay Minerals MB Cu（千t） 55.3 Cu（千t） 48.4 坑内堀

Inco Sudbury and Thompson Vale ON Cu（千t） 116.7 Cu（千t） 43.0 坑内堀

Kidd Creek Xstrata ON Cu（千t） 42.7 Cu（千t） 43.6 坑内堀

（出典：Raw Materials Group）


JOGMEC 9主要な操業鉱山（亜鉛）

鉱山名操業会社名州名



採掘方法

Myra Falls Breakwater BC

Zn（千t）Cu（千t）Au（t）Ag（t）

35.85.00.43520.6


30.93.30.48318.0

坑内堀

Brunswick Mine Xstrata NB Zn（千t）

Pb（千t）242.570.4

Zn（千t）Pb（千t）

252.466.5 坑内堀

Hudson Bay HDMS（Hudbay Minerals子会社）

MB Zn（千t）Cu（千t）Au（t）Ag（t）

103.055.33.34835.2


78.748.42.86831.3

坑内堀

Chisel North HDMS MB 坑内堀

Trout Lake HDMS MB 坑内堀

Kidd Creek Xstrata ON Zn（千t） 100.0 Zn（千t） 110.0 坑内堀

Perseverance Zinc Mine Xstrata QC Zn（千t） 60.3 Zn（千t） 135.7 坑内堀

LaRonde Agnico Eagle QC Zn（千t） 65.8 Zn（千t） 56.2 坑内堀

Langlois Breakwater QC Zn（千t） 38.6 Zn －坑内堀

（出典：Raw Materials Group）HDMSはHudbay Mineral社が2004年12月､Anglo American社から316百万C$で買収Hudbay Minerals社が保有する鉱山の生産量は総計のみ公表｡


JOGMEC 10主要な操業鉱山（ニッケル）

鉱山名操業会社名州名2008年生産量（金属純分）

2009年生産量（金属純分）採掘方法

Inco Sudbury and Thompson Vale ON

Ni（千t）Cu（千t）Co（千t）Pt（t）Pd（t）

125.0116.71.05.167.18

Ni（千t）Cu（千t）Co（千t）Pt（t）Pd（t）

60.043.00.53.204.73

坑内堀､露天掘

Montcalm XstrataON Ni（千t）

Cu（千t）Co（t）

8.95.10.3

Ni（千t）Cu（千t）Co（t）

2.01.20.1

坑内堀

Falconbridge Sudbury Xstrata

ON Ni（千t）Cu（千t）Co（千t）

16.819.10.5

Ni（千t）Cu（千t）Co（千t）

11.421.40.3

坑内堀

Raglan Xstrata QCNi（千t）Cu（千t）Co（千t）

25.96.40.5


29.37.20.6

坑内堀､露天堀

Voisey’s Bay Vale NFLNi（千t）Cu（千t）Co（千t）

77.555.41.7


40.024.01.0

坑内堀､露天掘

（出典：Raw Materials Group）


JOGMEC 11主要な操業鉱山（金）

世界の金生産量（2009年：計2,350t； Canada 4.2%）

（出典：Natural Resources of Canada, USGS）

（出典：Canadian Minerals Yearbook 2009 （Natural Resources of Canada ））

鉱山名操業会社名州名主鉱種副産物

2008年生産量

（金属純分t）

2009年生産量

（金属純分t）

採掘方法

Red Lake Gold Mine Goldcorp ON Au 19.570 19.400 坑内堀

Hemlo Gold Mines Barrick ON Au 8.090 8.550 坑内堀

Porcupine JV Gold Mine Goldcorp ON Au 9.050 9.890

露天堀,坑内堀

Kemess South Copper/Gold Mine Northgate BC Au Cu 5.759 5.382 露天堀

LaRonde Gold Mine

Agnico Eagle QC Au Cu 6.725 6.329 坑内堀

Musselwhite Gold Mine Goldcorp ON Au 6.550 7.250 坑内堀

Troilus Copper/Gold Mine Inmet

QC

Au Cu 4.706 4.205 露天堀

Casa Berardi Aurizon QC Au 4.940 4.954 坑内掘

Doyon Gold Mine Iamgold

QCAu 3.670 3.400 坑内堀

Hudson Bay Mines

Hudbay Minerals MB Zn Cu 3.348 2.868 坑内堀

Inco Sudbury and Thompson Nickel/Copper Mines Vale ON Ni Cu 2.600 1.500 坑内堀

Macassa Gold Mine

Kirkland Lake Go ON Au 1.250 1.400 坑内堀

Seabee Gold Mine Claude SK Au 1.414 1.460 坑内堀

Mount Polley Copper/Gold Mine

Imperial Metals BC Au Cu 1.462 1.500 露天堀

Eagle River Gold Mine

Wesdome Gold ON Au 1.545 1.890 坑内堀

Kiena Gold Mine

Wesdome Gold QC Au 1.255 1.101 坑内堀


JOGMEC 12製錬所及び精錬所


JOGMEC 13主要な製錬所及び精錬所の生産状況

製錬所操業会社名州名生産量（千t）

2007年 2008年 2009年

Horne Copper（銅） Xstrata QC 177.3 171.5 163.7

Copper Cliff（ニッケル） Vale ON 100.0 100.0 40.0

Falconbridge Sudbury（ニッケル） Xstrata ON 20.0 20.0 －

Kidd Creek（銅） Xstrata ON 127.8 87.0 54.0

Flin Flon（銅・亜鉛） Hudbay Minerals MB 90.0 74.7 75.0

精錬所操業会社名州名生産物生産量（千t）

2007年 2008年 2009年

Valleyfield Xstrata QC 亜鉛 291.7 291.6 260.4

Kidd Creek Xtrata ON亜鉛 142.5 121.2 112.7

銅 127.8 87.3 54.1

Port Colborne Vale ON コバルト 2.03 2.20 1.19

Copper Cliff Vale ON ニッケル 131.0 143.0 83.0

CCR Xtrata ON 銅 319.6 344.8 278.2

Belledune Xstrata NB 鉛 70.8 81.3 －

Flin Flon HudBay Minerals MB 亜鉛 110.5 113.0 72.0

Fort Saskatchewan Sherritt SKコバルト 3.57 3.43 3.72

ニッケル 31.4 32.4 34.0

Trail Teck Cominco BC亜鉛 291.9 269.9 239.9

鉛 76.3 85.0 72.6（出典：Raw Materials Group）


JOGMEC 14操業鉱山・製錬所（ウラン）

鉱山名操業会社名

州名

2008年生産量（t U3O8）

2009年生産量（t U3O8）

採掘方法

McClean Lake Areva SK 1,451 1,633 露天堀

McArthur River Cameco SK 7,530 8,663 坑内堀

Rabbit Lake Cameco SK 1,633 1,724 坑内堀､露天堀

（出典：各操業会社webサイト）


JOGMEC 15鉱業政策・投資環境（連邦政府の方針）

・連邦政府の鉱業政策： 1996年12月に発表した｢カナダ政府の鉱物及び金属に関する政策：持続可能な開発のためのパートナーシップ（The Minerals and Metals Policy of the Government of Canada: Partnerships for Sustainable Development）｣に基づく

・３つの行動計画

経済成長と雇用開発の奨励：新規投資を誘致し､国際的に好ましい投資環境を確立

効率的かつ有効な連邦制度の整備：鉱物資源の所有権及び管理権は､各州に帰属。カナダの鉱物･金属産業に関する連邦政府の役割を明確化し､効率的かつ有効な連邦制度の整備を図る（ただし、ウラン探鉱を含む原子力開発は連邦の管轄）

持続可能な開発への取り組み：効率的かつ環境保護上効果的な方法で鉱物･金属を発見､採取､生産し､付加価値を高め利用及びリサイクルを行う。また、利害関係者､個人及び地域社会の関与と参加の下で意志決定


JOGMEC 16鉱業政策・投資環境（外資法）

・カナダの外資法：カナダ投資法（Investment Canada Act.）により規制され、平等・自由・権利の

保障及び各州政府の権限拡大が目的。

・外資法の改正（2009年前半に改正）：

日本を含むWTO 加盟国の投資家に対する審査基準が600百万C$以上（改

正前：312百万C$以上）となる。この基準は新法の施行後段階的に引き上げ

られ、5年後には1,000百万C$となる見通し（外国企業による投資の規制緩

和）

ウラン生産の権益を有する場合に設けられていた特別審査基準（5百万

C$以上）は今回の法改正にて撤廃された（ただし、投資案件がカナダの国家

安全に係わると判断される場合には、審議の実施が求められる場合もある）。

世界との競争がカナダの経済生産性を高め、結果的に市民生活を向上させ

るとの考え方に基づく


JOGMEC 17鉱業政策・投資環境（鉱業税制）

・連邦所得税、州所得税、及び鉱業税・ロイヤルティ（州税）から構成される

（長所）

◆ 高リスクで資本集約産業である鉱業の特性を考慮し、連邦及び州の所得税制と大半の州の

鉱業税制は、鉱山会社が税引き前に投下資本の大部分を回収できる仕組み

◆ 鉱業に係る欠損金の繰戻しや繰越しを大幅に容認

◆ ほとんどの州が生産利益に対して鉱業税を徴収

（短所）

◆ 連邦政府、州政府ともに、給与税もしくは固定資産税等の利益を基礎としない税金を歳入源

として重視し、それらへの依存を高める傾向にある。金属価格が国際相場に左右される鉱業

界には不利

◆ 鉱業税制は州・準州ごとに大幅に異なっており、複雑で理解しにくい


JOGMEC 18鉱業政策・投資環境（優遇措置）

(連邦政府）

・カナダ探鉱費用（Canadian Exploration Expense：CEE）控除

・カナダ開発費用（Canadian Development Expense：CDE）控除

・減価償却及び加速減価償却

・フロースルー株式制度（Flow-Through Share Mechanism）

株式発行法人が株式の対価額相当まで探鉱費用と開発費用を投じることが出来るという合意のもとに発行する株式。税法上、探鉱開発費用はフロースルー株式を購入した投資家（納税者となる個人並びに会社）の経費と見なされる

※ 探鉱開発投資税額控除（Canada‘s Mineral Exploration Tax Credit）：フロースルー株式を購入した個人投資家には、更に15％の探鉱開発投資税額控除が認められる制度で俗称｢スーパー・フロースルー株式｣と呼ばれている。同制度は2005年に一度期限切れとなったが、業界団体の強い働きかけにより、2006年5月に再導入され、現在2011年3月まで延長されている。

（州政府）

・各州ごとに税金控除と探鉱支援措置がある


JOGMEC 19鉱業政策・投資環境（環境影響評価）

・環境影響評価制度：鉱業の管轄と同様に、各州と連邦政府それぞれが管轄する。鉱山プ

ロジェクトは、河川、湖、野生動物、地域住民等、その影響が広範囲

にわたることから、大規模な開発は州と連邦の両政府の環境アセス

メント審査の対象となる。

・申請の簡略化：ほとんどの州政府と連邦政府の間で重複業務を排除する連携協定

（ Agreement on Environmental Assessment Cooperation）を

締結

州政府によっては環境影響評価プロセスの「窓口」機関を設けてワ

ンストップ的体制を整備

事実上、環境影響評価は単一の審査プロセスとして進行

・連邦の評価制度：カナダ環境影響評価法（Canadian Environmental Assessment

Act - CEAA ）による。事業のタイプによって、４種類の環境影響評

価プロセスのうちから選択


JOGMEC 20探鉱・開発状況（国別探鉱費）

出典：World Exploration Trends （Metal Economics Group 2010）

世界の非鉄金属探鉱予算の地域別内訳（2009年）1,846社/探鉱費予算総額73.2億US$

国別探鉱費の推移


JOGMEC 21探鉱・開発状況（州別探鉱費支出）

a：会社推計、b：予測

（注）探鉱費には鉱山サイト外における活動（フィールド調査、エンジニアリング、FS、環境調査、間接費等）を含む。既知鉱床の調査は含まず。出典： Natural Resources Canada

・カナダ国内の探鉱支出は、2001～2008年の8年間にわたり続いていた増大傾向がストップし、2009年の探鉱支出は前年比47％減の17億C$（推定値）となった

・2009年の州別探鉱支出（推計）は、すべての州・準州にて減少。主な州における探鉱支出額は、ON州が469百万C$、QC州348百万C$、SK州293百万C$、NV準州189百万C$、及びBC州179百万Cとなった

・ただし、カナダにおける探鉱投資の減少は限定的なものであるとの見通し。2010年の探鉱支出総額は2,161百万C$となり、前年に比べて24％増の予測


JOGMEC 22探鉱費支出額上位100位内の探鉱プロジェクト（2009年時点）

・2009年の初期ステージ探鉱と鉱床評

価の比率は、概ね初期探鉱が7～8

割、鉱床評価が2～3割となった。


JOGMEC 23探鉱・開発状況（シニア企業とジュニア企業の探鉱費比較）


・2008年までのジュニア企業の探鉱活動は目覚ましく、2008年のピーク時にはその割合はカナダ全体の65％、支出額にして21億C$へと達した。しかし、経済危機の影響によりジュニア企業の探鉱活動は縮小し、2009年の探鉱投資額は9.7億C$（カナダ全体の56％）となった。シニア企業に関しても、2009年に探鉱を実施した企業数は前年比28％減の76社で、探鉱投資額は7.70億C$へと減少した。１案件当たり１百万C$を超える探鉱プロジェクトは、2009年にその数が半減した


JOGMEC 24探鉱・開発状況（鉱種別探鉱費内訳）

・2009年の鉱種別探鉱費は、貴金属（主に金）の占有率が最も大きく全体の43％を占め、探鉱費は786.1百万C$となった。ベースメタルはこれに次ぎ318.4百万C$（17％）

・2009年の鉱種別探鉱費は全ての鉱種で減となり、ベースメタル、ウラン、及びダイヤモンドに関しては50％以上の減少率となった。継続的な金価格の強さを背景に比較的、経済危機の影響の少なかった貴金属でも探鉱費は23％減となっている

・2010年は探鉱費増が見込まれ、貴金属は26％増、ベースメタルは21％増と予想されている。貴金属の2010年探鉱費は約10億C$となる見込みで、これはピークであった2007年と2008年に匹敵する水準

・「その他」に含まれる、カリウムやクロム鉄鉱と希土類元素・リチウムに関しても2010年の探鉱費増が見込まれる。


(


JOGMEC 25最近のトピックス（Sudbery及びVoisey’s Bay鉱山ストライキ）

・Valeが保有するオンタリオ州のSudburyニッケル製錬所とニューファンドランド・ラブラドール州のVoisey’s Bayニッケル鉱山にて、企業と労働組合の間での労使協定に関する話し合いが決裂し、製錬所と鉱山ともに

ストへ突入。

・Sudburyニッケル製錬所：

＜労使側の意見＞

企業側から提示されていた労使協定案について3,000人規模の労働組合が2009年7月10～11日間にわた

り投票を行い、反対85％で否決。組合側は同月14日からストを開始した。

同製錬所に係る労使協定は2009年5月31日に期限切れを迎えており、今次更改の争点は、ニッケル価格

連動ボーナスの減額と2010年7月1日からの新規採用者に対する確定給付年金から確定型拠出年金への

制度移行。組合側は、「Valeは世界経済危機を背景とした金属価格下落を理由にこれまでの労使協定を

反故にすることを目論んでいる。」、と主張。

＜Vale側の意見＞

同製錬所を100年以上操業してきたが、鉱石硬度が増大し生産コストを押し上げており、また年々厳しく

なっている大気基準を遵守するためのコスト負担増等によりSudbury製錬所は高コスト体質。Vale側は、

安定した継続操業実施を勘案すると止むを得ないと判断。7月7日には、ValeのRoger Agnelli CEOが

Sudbury製錬所はValeで最も高コストであり、操業を維持できないとコメント。


JOGMEC 26最近のトピックス（Sudbery及びVoisey’s Bay鉱山ストライキ）

Sudbury製錬所は、金属価格下落及び施設メンテナンスを理由に6月1日～7月27日の間、操業を休止して

いたが、ストにより操業休止へ。

その後、Valeは10月以降よりスト中の労働組合員以外の従業員1,200人で製錬所の操業再開を目指した

がフル生産に至らず。2010年夏期にストは終決した。

同製錬所の2008年ニッケル生産量は85.3千tで、Valeの2008年ニッケル生産量275.4千tの31％を占めて

いる。また、同年の世界のニッケル生産量1,385.7千tの6.2％を占めていた。

・Voisey’s Bayニッケル鉱山：

ニューファンドランド・ラブラドール州のVoisey’s Bayニッケル鉱山では、7月8日に同様の労使協定案の投

票が実施され、反対99％でVale提示協定案を否決、2009年8月1日よりストが開始された。

これは同鉱山は、世界景気低迷を理由に7月1日より1か月の操業停止中であったが、その間に3年に1回

の労使協定更改協議が行われ、労働組合側が反発したために発生。その後、Sudbury精錬所ストの終決

のすぐ後に、同様に終決に至った。

2008年のVoisey’s Bayにおけるニッケル生産は77.5千tで、Valeの2008年ニッケル生産量275.4千tの28％を占めている。また、Voisey’s Bayでは銅及びコバルトも生産しており、2008年生産量は各々55千t、1.7千tであった。


JOGMEC 27最近のトピックス（オンタリオ州鉱業法の改正）

・経緯： 2009年10月20日に鉱業改正法法案が議会通過、同月28日には、royal assent（R.A.）（議会を

通過した法案の発効に必要な）国王の署名を受け、成立。オンタリオ州における鉱業法の本格改正は約100年ぶりとなる。

法成立後、直ちに発効となる条項はその一部であり、今後、より具体的な施工規則が定めれられ

る中で残りの条例も段階的に有効になるなっていく。今回の改正では、同州の鉱業法が「近代化」され、先住民地域での適切な協議の実施や、人口が集中している州南部における地表権者と鉱物権者間の問題緩和策などが導入。

・主な改正内容：

＜州南部＞地表権が民間に、そして鉱物権が政府に属する区域の場合、新たな鉱区の設定は自動的に不可

となる。ただし、地権者が望む場合、鉱区の設定および探鉱を再度可能とする申請を行うことができる。

＜州北部＞地表権が民間にそして鉱物権が政府に属する区域の場合、地権者は、鉱区の設定を不可とする

よう申請ができる。申請が認められるかどうかは、鉱物ポテンシャルなどの基準に照らし合わせて判断される。

◆ 2010年中に地図による鉱区設定制度を州南部へ導入。3～5年以内には、オンラインによる鉱

区設定制度を州全体へと導入

◆ 先住民の文化的に重要な地域での鉱区設定を不可とする

◆ 先住民に関連しての協議問題に対する論争解決プロセス（新規鉱区の通知、作業開始に先

立っての探鉱活動計画の提出、協議実施要求等）を導入

◆ 探鉱に先行し、探鉱計画の提出または許可の取得が必要となる。探鉱活動は、土地へ与える

影響の度合いによって分類


JOGMEC 28最近のトピックス（中国企業の投資）


JOGMEC 29最近のトピックス（ウラン探鉱・原子力利用に関するモラトリアム, REE探鉱）

・ウラン探鉱（原子力利用）に関するモラトリアム・政策： BC州、ノバ・スコシア州

・ウラン探鉱（原子力利用）に関する規制強化・地域的な凍結：ニューブランズウィック州（探鉱・採掘許認可

の厳格化）、NF&LB州北部沿岸（3年間の期限付き、見直しの予定）、ケベック州（水力発電の推奨、原子力

関連施設新設の抑制）

・近年、Li及びREE鉱床探査が活発に行われているが、特にREE鉱床にはウランやトリウム等の放射性元素

が含まれる場合が多く、操業の際には残渣となる。現在のところカナダには操業中のREE鉱山が無いため、

許認可取得に関して不透明。

・ウラン探鉱・開発等の原子力利用は、従来連邦が管理。カナダ天然資源省の見解では、放射性元素を含む

残渣は廃棄物。従って、原子力利用には相当しないとのこと。

・原子力利用のモラトリアムを行っている州を除けば、各州政府ともにカナダ天然資源省と同じ見解。現在の

ところ、探鉱実施は可能となっている。


JOGMEC 30まとめ

＜鉱業投資に係るカナダの優位点＞

・法制度や許認可手続きが比較的明瞭

・鉱業優遇策や金属価格の高騰により探鉱は活発。鉱種別では、金・銅・リチ

ウム・希土類元素、ウラン等

・近年の中国や韓国の投資も探鉱を促進

＜鉱業投資に係るカナダの問題点＞

・インフラ整備

・環境問題（環境保護の厳格化と先住民の権利確保： BC州Prosperity鉱山の

例など）

・先住民問題

カナダの鉱業事情 -...

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