シリコン電極薄型燃料電池 - shingi.jst.go.jp · E +0.08V (vs. MSE) Time 2min UPD-SLRR...
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シリコン電極薄型燃料電池-電気化学的原子層堆積による多層触媒-
東京理科大学 理工学部 機械工学科
教授 早瀬 仁則(Hayase Masanori)
2017.11.7
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燃料電池について
触媒には白金が用いられ,カーボンブラックに担持され表面積を大きくしている.PEMと触媒,カーボンペーパをホットプレスしたものをMEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ.
H+
H+
ee
発明の背景(小型燃料電池/バイオマス水素利用)
技術者には小さいしかし、消費者にとっては…?
“地産地消”
災害に強いエネルギ源
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発明の背景(多孔質シリコンからの展開)
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単結晶シリコンをHF溶液中で陽極酸化
することにより得られる
多孔質シリコンを多孔質白金に改質できることを発見
多孔質シリコン層断面 多孔質白金層断面
多孔質シリコンをHFを添加した
白金めっき液に浸漬することにより得られる
一体形成シリコン電極薄型燃料電池 2
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一体形成シリコン電極薄型燃料電池 3
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多孔質白金層を燃料電池触媒層とした燃料電池の開発に取り組んでいる
一体形成シリコン電極薄型燃料電池 3
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多孔質白金層を燃料電池触媒層とした燃料電池の開発に取り組んでいる
一体形成シリコン電極薄型燃料電池 3
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発明の背景(シリコン電極薄型燃料電池)第1世代型 技術の熟成
2001年から研究を開始し、2010
年には目標出力密度を達成した。
しかし、下記2点の課題を抱えて
いた。
白金使用量削減(本発明)
反応面積拡大(出願済)
に解決の目途が得られた。
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発明の背景(第2世代Pd-Pt 触媒)
・白金使用量の削減
・COへの対応Pd-Pt触媒
単原子層に満たない白金がパラジウム上に堆積した構造
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発明の背景(第2世代Pd-Pt 触媒)
Pure H2
Pd-Pt触媒
耐一酸化炭素特性
I-V特性Pt触媒
Pd-Pt触媒は高い耐CO特性が期待できるが,Pdコアの脆化・崩壊が懸念
燃料流路観察
Pdコアの脆化・崩壊
Pt触媒 Pd-Pt触媒
H2/CO(100ppm) 燃料に対するPd-Pt触媒の耐性
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発明の概要(Au-Pd-Pt触媒の提案)
第2世代第1世代 第3世代
Pd-Pt触媒の高い性能は、表面原子数層で達成できると仮定
基材を多孔質AuとするAuはPtやPdに比べ、豊富に存在する -> Pd, Pt使用量の大幅削減AuはPdよりも高い水素脆化耐性多孔質Auの段階で、アニーリング等による機械的強度の向上
本発明
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UPD (Underpotential Deposition)
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発明の概要(電気化学的原子層堆積)
・ UPD ( Under Potential Deposition ) = 犠牲層となる金属を単原子層レベルで析出
・ SLRR( Surface Limited Redox Replacement ) = 反応を表面に限定した酸化還元反応
Pd積層化
Pt堆積
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発明の概要(H-UPD検証データ)
Experimental conditions
WE Au wire
Solution 0.1mM PdCl2 + 10mM HCl + 0.1M HClO4
Pd UPD for 1ML Pd deposition
E +0.08V (vs. MSE)
Time 2min
UPD-SLRR via Hydrogen for Pd deposition
E1(negative) -0.6V (1s) (vs. MSE)
E2(positive) 0V (vs. MSE)
120 122 124 126
−0.6
−0.4
−0.2
0
0.2
0.4
−20
−15
−10
−5
0
Time / s
E v
s. M
SE
/ V
Cu
rren
t d
ensi
ty /
mA
cm−
2
UPD
E2=0Vに達したら再度H UPD
SLRR
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EDXによるH-UPD-SLRRの評価
多孔質Pd-Pt断面
今までの結果から多孔質Pd上に一様に微量なPtが堆積できたと考えられる
10μm
多孔質Pd-Pt断面のマッピング結果
10μm
SEM image
Poro
us
Pd
-Pt
Si
Pt
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発明の概要(Au-Pd-Pt の電気化学的挙動)
Au上へのPd堆積 Au-Pd上へのPt堆積
それぞれ、たった一回の原子層堆積で、電気化学的挙動が大きく変化している。Pt 堆積後は、第2世代Pd-Pt触媒と同様の傾向が見られ、高い触媒性能が得られた
多孔質AuにUPD-SLRRによりPd-Pt堆積したAu-Pd-Pt構造は、MEMS型燃料電池の優れた触媒層 17
評価方法 - ギ酸酸化( Formic Acid Oxidation , FAO ) -
・サイクリックボルタンメトリー (CV) = 電位掃引試験
・クロノアンペロメトリー (CA) = 定電位印加試験
Experimental conditions
WE Au wire with Pd5ML or Pd5ML + PtsML
Solution 0.5M HCOOH + 0.1M H2SO4
Cyclic Voltammetry
Scan range -0.68V ~ +0.2V
Scan rate 10mV/s
Chronoamperometry
Applied Pot. -0.3V (vs. MSE )
Time 3600sを用いて,CO耐性を評価する
ギ酸
HCOOH
CO2 + 2H+ + 2e-
COad + H2O CO2 + 2H+ + 2e-
脱水素反応-H2
脱水反応-H2O
ギ酸酸化のメカニズム
直接経路
間接経路
反応中間体としてCO発生
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評価方法 ギ酸酸化におけるサイクリックボルタンメトリー
単原子層に満たないサブモノレイヤーの白金が堆積すると酸化電流が大きくなる
水素吸脱着
ギ酸酸化のメカニズム
HCOOH CO2HCOOH CO2
(ⅰ)直接経路 (ⅱ)間接経路
CO
CO
CO
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評価方法 ギ酸酸化における定電位印加試験
0 600 1200 1800 2400 3000 36000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1200 1800 2400 3000 36000
0.01
0.02
0.03
Au-Pd5ML
Au-Pd5ML-Pt
-
-
Time / s
Cu
rren
t d
ensi
ty /
mA
cm-2
極微量白金が堆積すると酸化電流が大きく,1時間後も常に安定している
-0.3V印加
・時間経過と共に酸化電流が減衰
・Au-Pd5MLの方が顕著なCO汚染
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性能比較表
※ 通常型とは、実用化された家庭用料電池や燃料電池自動車用の燃料電池を指す。第1世代は、当グループ開発のPt触媒。第2世代は当グループ開発のPt触媒。第3世代は、本発明のAu-Pd-Pt触媒。
従来技術 本発明
CO 耐性(100ppm) 10分で1/10に出力低下(通常型の炭素担持触媒)
純水素時と同等1時間以上変化なし
白金使用量 3.6mg/cm2 (第1世代)
(通常型目標は 0.1mg/cm2)
2.5μg/cm2 (第2,3世代)
パラジウム使用量 1.5mg/cm2 (第2世代)
(通常型では使用しない)
< 50μg/cm2 (第3世代)
耐久性 Pd層崩壊のため、数時間(第2世代)
少なくとも数カ月
触媒形成プロセス 通常型では、粉体の取り扱いが難しい
基板一体で、取扱いが容易
携帯電子機器への搭載 通常型の小型化は、大手メーカーが挑戦したが、成功に至っていない
燃料電池セルは極めて薄く、可能性は高い。
サステナビリティー 現状では化石燃料からの水素を前提
バイオマスからの水素を前提に開発中
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今後の計画
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まとめ(特許性、有用性)
UPD-SLRRは吸蔵+吸着置換モデルに依存し,繰り返し回数によりパラジウム層厚さを単原子層レベルで制御することが可能
Au-Pd-Pt多層触媒は従来のPd-Pt触媒のように耐CO特性がある
有用性➢ 市場性(将来性ビジョン)・汎用機器対象では、性能面、コスト面での競争力が現状やや不透明・バイオマス水素燃料電池利用のキラー製品の提示が望まれる
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本技術に関する知的財産権
発明の名称 :
触媒層付きシリコン基体、燃料電池及び
触媒層付きシリコン基体の製造方法
出願番号 :特願2016-159735
出願人 :学校法人東京理科大学
発明者 :早瀬 仁則、他1名
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参考: Core Shell 構造
Pt core X core
PtML
shell
白金使用量の削減や、触媒機能性向上のために、コアを別金属として、表層に触媒機能を発現するための金属を析出させたコア・シェルナノ粒子が注目されている。
気相反応を用いるものが多いが、液相で行われるものもある。堆積金属をサブモノレイヤーで制御することは難しい。
本発明では、UPD-SLRRという、電
気化学的原子層堆積手法により、サブモノレイヤー単位で電気的に堆積量を制御できる。粉体粒子では、粒子間の電気的導通に不確かさが生じる。基板上の多孔質金属層を使用する本発明は、精確な堆積制御が容易である。
JACS, 132, 13636 (2010)25
参考: CO耐性メカニズム
水素放出によるCO脱離説
白金の応力状態依存説
Pd-Pt触媒が、高いCO耐性を示す理由は分かっていない
吸蔵されていた水素が放出される際に、Ptに吸着したCOを弾き飛ばすといった説がある。しかし、共同研究者の平坦面を用いたAFM観察からは、下地のPd層が5層程度あれば、CO吸着が抑制される様子がAFMにより、観察されている。
最近、我々は、パラジウムよりもわずかに大きい白金がサブモノレイヤーで堆積することにより、白金側が圧縮応力を受けるために、CO吸着が抑制されるとの仮説を検討している。Pt堆積のUPD-SLRRを複数回行った場合、CO耐性が低下しており、この仮説を支持している。
本発明で使用するH-UPD-SLRRを用いれば、こうした積層構
造を形成することが期待でき、表層が崩れても、下層が出現することで、長寿命の触媒が期待できる。
なお、PtがPdより大きいため、表層Ptの内部への拡散が小さいことを示唆する観察結果がある。
多層析出では被毒する一層以下が高いCO耐性?
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お問合せ先
東京理科大学
研究戦略・産学連携センター
担当URA 川﨑 愛一郎
TEL 03-5228-7440
FAX 03-5228-7441
e-mail ura@admin.tus.ac.jp
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