ミクロの世界と小さな研究者たち - Yonago · 小さな研究者たち...

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60 80 米子市の「医療」を軸に、さまざまなテーマで医療環境の充実を紹介しています。 ■問合せ 子育て支援課(☎23―5439)、都市創造課(☎23-5353) クローバーの表側と裏側 クローバーにどんな模様がついているのか見てみたかっ たので、観察しました。観察してみると、ちょっと気持 ち悪かったけど、面白かったです。 小さな研究者たち 今回は、地域の取り組みとして電子顕微鏡のイベント に参加された、福生東青少年育成会の“小さな研究者” の皆さんにお話を伺ってきました。 (40倍)

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Page 1: ミクロの世界と小さな研究者たち - Yonago · 小さな研究者たち 今回は、地域の取り組みとして電子顕微鏡のイベント に参加された、福生東青少年育成会の“小さな研究者”

医療充実都市よなご

第9回

 米子市が世界に誇る二人の研究者を

ご存じですか?

 

大阪大学名誉教授の故・菅す

がた田

栄えいじ治

さん

と、鳥取大学名誉教授の田た

なか中

敬けいいち一

さん

は、私たちの目では見ることのできない

非常に小さいものを観察することがで

きる「電子顕微鏡」という顕微鏡の開発

や発展に多大な貢献をした研究者です。

 

菅田さんは、国産第一号となる電子顕

微鏡の組み立てに成功し、従来よりも厚

みのある試料を観察することができる

300万ボルトの超高圧電子顕微鏡を

開発しました。この300万ボルト電子

顕微鏡は改良を重ね、現在も大阪大学で

共同利用されており、国内外から利用希

望が殺到しています。

 

田中さんは、試料を立体的に観察でき

る「走そ

うさ査

型電子顕微鏡」の世界的権威で、

昭和60年に当時世界最高となる80万倍

の走査型電子顕微鏡を開発し、エイズウ

イルスの拡大写真を世界で初めて撮影

することに成功しました。

電子顕微鏡の開発・発展に貢献

した二人の研究者

米子市の「医療」を軸に、さまざまなテーマで医療環境の充実を紹介しています。■問合せ 子育て支援課(☎23―5439)、都市創造課(☎23-5353)

ミクロの世界と小さな研究者たち

クローバーの表側と裏側クローバーにどんな模様がついているのか見てみたかったので、観察しました。観察してみると、ちょっと気持ち悪かったけど、面白かったです。

小さな研究者たち今回は、地域の取り組みとして電子顕微鏡のイベントに参加された、福生東青少年育成会の“小さな研究者”の皆さんにお話を伺ってきました。(40倍)

Page 2: ミクロの世界と小さな研究者たち - Yonago · 小さな研究者たち 今回は、地域の取り組みとして電子顕微鏡のイベント に参加された、福生東青少年育成会の“小さな研究者”

 

このようにお二人は、現在もさまざま

な研究の最前線で使われている電子顕微

鏡の開発・研究に貢献し、医学、工学、

化学など、多岐にわたる分野の発展の礎

を築きました。

 

そもそも電子顕微鏡は、私たちが思い

浮かべる顕微鏡とは少し違います。私た

ちのイメージする理科室にあるような顕

微鏡は、光を利用して観察する「光学顕

微鏡」と呼ばれるもので、肉眼よりも小

さいものを観察することができますが、

電子顕微鏡は、電子線を利用することで、

光学顕微鏡では見ることができないDN

Aやウイルスのような、より小さなもの

を観察することができる顕微鏡です。電

子顕微鏡は大きく分けて二つの種類があ

ります。一つは電子線を試料に透過(通

り抜け)させることで試料の内部を観察

することのできる「透過型電子顕微鏡」。

もう一つは電子線を試料に当てて、そこ

から反射、または発生する電子を利用し

電子顕微鏡の仕組み

て、表面の形を観察することができる「走

査型電子顕微鏡」です。

 

この電子顕微鏡の開発は、科学的な分

野の発展に貢献するだけでなく、実は私

たちの身近な暮らしに大いに関わって

います。例えば、「蚊の針」を観察する

ことで刺されても痛くない低侵襲性(痛

みの少ない)の注射針が開発され、「サ

メの肌」を観察することで水の抵抗を受

けにくい表面構造の水着が開発されまし

た。電子顕微鏡の発展によって今まで見

ることができなかった生物の微細で優れ

た構造を知ることができるようになった

ことで、私たちの暮らしをより豊かにし

てくれるさまざまなものが発明され、今

後もその可能性に期待が寄せられていま

す。身

近にあります!

ミクロの世界への入り口

 

昨年、「電子顕微鏡のまち・米子市」

推進協力会から米子市に電子顕微鏡を二

台寄贈していただきました。米子市ゆか

りの研究者お二人の功績をたたえるとと

もに、子どもたちが気軽に電子顕微鏡に

親しめるようにという思いをこめて、米

子市児童文化センターに設置していま

す。一台は田中先生が実際に使用されて

いたもので、もう一台は簡単に操作がで

きる最新型の電子顕微鏡であり、実際に

試料を観察することもできます。

 

さらに、電子顕微鏡をより身近に感じ

ることができるように、有志の先生方の

ご指導やご協力のもと、市民の皆さんが

実際に電子顕微鏡を使うことのできるイ

ベントが随時開催されています。このイ

ベントを通して、これまでに多くの子ど

もたちが自分の観察したいものを持ち寄

り、電子顕微鏡でさまざまなものを観察

してきました。こうして〝小さな研究者〞

の皆さんが電子顕微鏡に触れ、生活に身

近なものを観察することで、普段は見る

ことのできないミクロの世界を体験して

います。

 

このように、電子顕微鏡を身近に感じ

られるまち米子は、子どもの頃から最先

端の研究機器に触れることができ、科学

への関心を育むことのできる、他にはな

いまちです。電子顕微鏡に触れた〝小さ

な研究者〞の皆さんが、未来の科学界を

けん引し、世の中の安心や、ワクワク感

を創り出してくれることを楽しみにして

います。

水晶の表面水晶は綺麗だから、観察してみようと思って選びました。観察してみると、もっと平べったいかと思ってたけど、思っていた形と違ってました。もっと他のものも観察してみたいと思いました。

桃の皮の表側テレビで、桃を頬ずりすると痛いというのを観て、調べようと思いました。観察してみると、いっぱい細かい毛があってすごいと思いました。今度は表面がツルツルな果物を観察したいと思いました。

◀田中敬一さん

◀故・菅田栄治さん

〜電子顕微鏡を使いたい方へ〜

米子市児童文化センターに設置されてい

る電子顕微鏡は、自分の見たいものを数

万倍まで拡大して観察することができま

す。講師の先生と一緒に観察しますので、

使用をご希望の方は、事前に米子市児童

文化センターまでお申し込みください。

▼申込先 

米子市児童文化センター

(☎34ー5455)毎週火曜日休館

(40倍)(1000倍)