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インドの繊維アパレル産業 2012 2 日本貿易振興機構(ジェトロ)

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インドの繊維アパレル産業

2012 年 2 月

日本貿易振興機構(ジェトロ)

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本報告書に関する問い合わせ先:

日本貿易振興機構(ジェトロ)

生活文化産業企画課

〒107-6006 東京都港区赤坂 1-12-32

TEL:03-3582-5313

email: [email protected]

【免責条項】

ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、あるいは懲罰的損害および利

益の喪失については、一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロがかかる損害の可能性

を知らされていても同様とします。

© JETRO 2012

本報告書の無断転載を禁ずる。

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アンケート返送先 FAX:03-5572-7044

e-mail:[email protected]

日本貿易振興機構 生活文化産業企画課宛

● ジェトロアンケート ●

調査タイトル:インドの繊維アパレル産業

ジェトロでは、将来の市場として、潜在的需要が高い可能性のある国や地域のマーケット情報を

日本の中堅中小企業の方々に紹介することを目的に本調査を実施いたしました。報告書をお読み

いただいた後、是非アンケートにご協力をお願い致します。今後の調査テーマ選定などの参考に

させていただきます。

■ 質問 1:今回、本報告書で提供させていただきました「インドの繊維アパレル産業」について、

どのように思われましたでしょうか?(○をひとつ)

4:役に立った 3:まあ役に立った 2:あまり役に立たなかった 1:役に立たなかった

■ 質問 2:①使用用途、②上記のように判断された理由、③その他、本報告書に関するご感想を

ご記入下さい。

■ 質問 3:今後のジェトロの調査テーマについてご希望等がございましたら、ご記入願います。

■ お客様の会社名等をご記入ください。(任意記入)

ご所属

□企業・団体

□個人

会社・団体名

部署・部署名

お名前

~ご協力、ありがとうございました~

※本アンケートにご記入いただいた情報は、当該サービスの向上のために使用します。

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要旨

2010 年、インドの繊維アパレル産業全体の市場規模は 780 億米ドルとなり、その内訳は国内

市場が 560 億米ドル、輸出市場が 220 億米ドルであった。産業分野別に見ると、アパレル(衣料

品)が国内市場全体の 64%(推定値)と過半数を占め、以下、家庭縫製用生地、産業用繊維製品

(テクニカルテキスタイル)、家庭用繊維製品の順に続く。

2006 年から 2010 年の間に、同産業の CAGR(年平均成長率)は 7.7%の伸びを見せた。こうし

た成長が実現した背景には、同市場に有利な消費者動態(人口の大半が若年層である等)、国民

一人当たりの所得増加、労働市場に参入する女性の増加、消費者意識の高まり、小売販売の拡大、

輸出市場における大きな需要といった要因がある。

インドの繊維アパレル産業は、繊維製品の製造数量という点で、世界のアパレル産業の中でも

トップクラスに位置しており、バリューチェーン全体を通じて完全一貫生産が行われている。ま

た、多種多様の合成化学繊維を含む多数の繊維を取り扱っている。

同国の繊維アパレル産業の構造は複雑であり、分散化・細分化された小規模な事業主体が数多

く存在するだけでなく、複合工場とも呼ばれる一貫生産を行う大規模企業も存在している。こう

した工場セクターでは大部分の部門が組織化されているが、一方で動力織、手織、メリヤス製品

製造、および加工の各作業は、その性質上ほとんどが組織化されていない。インドにおける生地

(織物)総生産量の約 61%は動力織によるものであり、また総生産量の製品内訳は、約 23%が

メリヤス生地、残る 77%が織布となっている。

産業クラスター(集積地)

糸、繊維製品、および生地の製造はインド国内各地で行われている。しかし、原料を入手しや

すい、熟練・卖純労働者を確保しやすい、そして主要市場に近接しているなどの理由から、製造

拠点はインドの特定地域に密集してクラスター化しているのが現状であり、繊維アパレル産業ク

ラスターは国内に約 70 存在し、それぞれがある特定の繊維製品を専門に製造している。

インド西部、より厳密に言えばマハラシュトラやグジャラートといった地域には紡績工場およ

び複合工場が数多く集中している。グジャラート州スーラトでは、綿紡績工業に加え、ポリエス

テル糸の大型供給業者が同都市に多いことからポリエステルの糸・繊維製品の製造も盛んである。

一方北部、特にルディアナやカーンプルといった地域では紡毛織物工業が盛んであるが、これは、

他地域に比べて北部の冬場の寒さが厳しく、冬期には毛織物の需要が高いためである。

消費傾向

消費部門/カテゴリーとしては、主に家庭用製品、非家庭用製品、輸出用製品の 3 部門に分類で

きるが、2009 年の統計では、繊維製品総消費量の約半分の割合を占めたのは国内家庭用製品であ

った。家庭用製品の内訳としては、個人用衣料品が全体の 93%のシェアを占め、残りの 7%が家

庭用繊維製品であった。また、同じく 2009 年に国内で販売された繊維製品の 90%が織物であり、

残る 10%がニット織物であった。

消費者がどのような繊維を使用した繊維製品を好むかは、インドのさまざまな地域特有の天気

や気候条件、また季節によるところが大きい。合成繊維の混紡織物は国内あらゆる地域で入手可

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能であるが、綿織物は高温地域で、紡毛織物は寒冷地での消費が多い。2009 年に販売された全繊

維製品の約 59.2%が合成繊維の混紡織物であり、また約 40%が綿製品であった。さらに同年の

総販売量の消費者年齢層別内訳を見ると、25 歳から 39 歳までの年齢層が全体の 28.8%を占めて

いた。2009 年の女性一人当たりの繊維製品購買量は 26.95 m で、男性一人当たりの量 19.12 m

をはるかに上回った。

アパレル部門

インドは世界最大規模のアパレル製造国であり、その 2009 年度国内市場規模は 1 兆 5,500 億

インドルピー(330 億米ドル)と推定される。同市場販売量の最大シェア、36%を占めるのがメ

ンズウェア部門であり、次に 32%を占めるレディースウェア部門、25%を占めるキッズウェア部

門、7%を占めるユニセックス ウェア部門と続く。

製品製造傾向

2010 年度までの過去 5 年間、インドにおける糸の総製造量は 63 億 kg であり、CAGR は 6.2%

の成長を遂げた。紡績糸のなかで、2010 年度製造量が 35 億 kg、70%以上に達しているのが綿糸

である。人造糸部門の主要製品はポリエステルフィラメント糸で、同部門の全製造量の約 90%を

占める。一方、2010 年度までの過去 5 年間、インドにおける繊維製品の総製造量は 625 億平方

メートル分に値し、CAGR は 4.8%増加した。インドでは、既製品のほとんどが綿製品であり、総

製造量の 80%以上を占めている。

国際貿易

輸出される製品は、既成アパレル製品、綿製品、手織物、合成繊維製品、羊毛製品、紡毛織物、

絹製品など多岐にわたり、これら繊維アパレル製品の輸出がインドの輸出収入全体に占める割合

は非常に大きい(繊維アパレル製品輸出の 2010/11年度までの過去 5年間における CAGRは 9.3%

増)。インドから輸出される繊維アパレル製品全体の約 70%以上が既成アパレル製品および綿製

品であり、主な輸出国は米国および EU 諸国となっている。

一方、繊維アパレル製品の輸入については、ここ数年にわたり増加傾向にある(繊維アパレル

製品輸入の 2010/11 年度までの過去 5 年間における CAGR は 8.6%の伸びを見せた)。その内訳

は、同製品総輸入量の約 95%が織物、残りの 5%がアパレル製品となっている。織物部門におけ

る主要品目は含浸織布(プラスチックや金属などで加工した素材を用いた特殊産業用生地)およ

び合成繊維製品であり、2011 年度に輸入された全繊維アパレル製品のそれぞれ 46%、28%を占

めている。

流通経路

インドの繊維アパレル産業はさまざまな部門や分野に細分化されており、その結果、販売部門

および流通網はそれぞれ独立システムを取っている。その中間に位置する中間業者もさまざまで、

流通網を構成する要素として、中間流通業者、卸売業者、輸入業者、発注代行業者、小売業者、

販売業者、仲買問屋などが存在する。こうした大規模な流通システムによる、原料購入から製品

(衣料品)製造、出荷までの平均リードタイムは約 45 日から 60 日(場合によっては最長で 80

日)、一方海外向け発送リードタイムは約 30 日から 35 日となっている。

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大手企業の多くは、自社小売店舗を保有しているか、または直接小売業者への製品販売を行っ

ている。インドでは 60%を超える繊維製品がこのような大規模流通システムを通じて販売されて

いる。対外輸出は、輸出商社または世界的に事業を展開する大型アパレル小売業者の発注担当部

署を通じて行われるのが一般的である。

一般消費者が製品を購入する店舗はさまざまであるが、約 95%の繊維製品が個人小売店で販売

されており、また 2009 年の統計では、全繊維製品の約 4.4%は露天商、行商人、週卖位で催され

る雑貨市などを通じて消費者の手に渡っていることが分かった。

ピーク期

インドにおける繊維原料・製品の購入ピーク期は、祝祭シーズンであり、また結婚式のシーズ

ンが始まる 10 月から 1 月である。生地等の繊維製品は、最終製品である衣料品の需要をベース

にして、一方、原料となる繊維は、その出回期に応じてそれぞれ仕入れを行う。インドにおいて、

繊維原料が市場に出回るピーク時期は 11 月から 3 月である。紡績工場が綿の大量仕入れを行う

のは通常 11 月および 12 月で、翌年の 10 月から 11 月にかけて必要となる繊維原料を確保してい

る。

海外企業

インドの繊維産業が、世界を舞台に重要な役割を果たすようになったことで、数多くの海外繊

維アパレル企業が同国への投資を行っている。繊維原料が豊富で、製造全段階が国内で管理可能

であるというインド特有の利点に注目し、数々の海外繊維関連企業が同国で多種多様な投資機会

を得ているのである。

コストを抑え、販売利益を生む必要性にますます迫られるようになった海外企業は、インドの

ように繊維原料や生地を安く調達できる国に関心を寄せている。インドは、第三国への輸出に向

けた繊維原料や生地の主要調達拠点の一つとなり、また多くの海外繊維アパレル企業が同国に生

産・製造設備を建設し、製品製造を行うようになった。

また、海外企業がインド市場に参入しているのは、世界で最大かつ今なお成長し続けている繊

維アパレル市場の一つとなっている同国の国内需要に応えるためでもある。このため、海外企業

はインドにおける小売業部門にも投資を行っている。

このような企業は、さまざまなルートを通じて、仕入事務所や連絡事務所の開設、ブランドラ

イセンス付与、フランチャイズ、合弁事業を通じた製造兼小売業および製造などの形でインド市

場に参入を果たしている。

法的枠組み

当初、インドの繊維産業への海外からの投資には制限が加えられていたため、この分野への FDI

(海外直接投資)は極めて尐なかったが、現在では規制が緩和され、事前に政府の承認が必要と

されない自動認可ルートによる 100%の FDI が認められている。

2012 年 1 月、インド政府は、51%を超える FDI について、販売製品価格の 30%以上にあたる

原材料の調達を国内の小規模製造業者や農村・零細製造業者、職人・熟練工から行うことを条件

に、卖一ブランド小売業への 100%までの FDI 解禁の実施を発表した。ここで言う小規模製造業

者とは、その工場および機械類への投資総額が 100 万米ドル以下の産業を指す。

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ビジネスチャンス

世界市場において、インドは、さまざまな企業がその製品製造のアウトソーシング化を行う主

要拠点国として台頭している。実際、2010 年 FIFA ワールド・カップの T シャツの製造を行った

のは、インドのタミル・ナードゥ州ティルプルにある産業クラスターのアパレルメーカー各社で

あった。世界的に見て、繊維製品の製造拠点は、欧米諸国からアジア諸国へとその地を移してお

り、インドの繊維アパレル産業もこうした流れをくんでいる。この傾向は今後も続くと見られ、

結果としてインドの繊維アパレル産業におけるビジネスチャンスもさらに増加するものと考え

られる。

一方、国内繊維アパレル産業は発展途上にある。2011 年度におけるインドの国民一人当たりが

購入した生地(面積ベース)は 43.25 m2であり、同年度目標値の 56.6 m2をはるかに下回った。

繊維アパレル産業の専門審議会は、2012 年から 2017 年までの製品製造量および輸出量の目標成

長率をそれぞれ 12%、15%に設定したが、同期間中にこの成長率を達成するためには、同産業の

全部門にわたって 1 兆 4,460 億インドルピーもの大金を投資する必要がある。従って、インドの

繊維アパレル産業への日本企業による投資のポテンシャルは非常に大きい。

さらにインドでは、アパレル小売市場が成長を遂げている。同国のアパレル小売部門は、可処

分所得の増加、基本的な必需品よりもライフスタイルを追求する製品の消費が増えたことによる

購入パターンの変化、中産階級に属する若年層人口の増加、ブランド製品志向の高まり、および

その他好材料がプラスに働き、売り上げを順調に伸ばしている。日本企業は、同国のアパレル小

売市場のニーズに応えることが可能であり、また最近になって卖一ブランド小売業への FDI 規制

の緩和が実施されたことも追い風となって、同小売業部門への投資ポテンシャルもまた非常に大

きくなっているといえる。

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目次

1. インドの繊維アパレル市場 ..................................................................................................... 1

1.1. 概要 ...................................................................................................................................... 1

1.2. バリューチェーン ................................................................................................................ 2

1.2.1. 綿繊維産業 .................................................................................................................... 4

1.2.2. 合成繊維産業 ................................................................................................................ 6

1.2.3. 紡毛織物産業 ................................................................................................................ 7

1.2.4. 絹繊維産業 .................................................................................................................... 8

1.2.5. 黄麻繊維産業 ................................................................................................................ 9

1.3. インドの繊維アパレル産業の構造 ..................................................................................... 10

1.3.1. 工場セクター(ミルセクター) ................................................................................. 11

1.3.2. 動力織部門 .................................................................................................................. 11

1.3.3. 手織部門 ..................................................................................................................... 11

1.3.4. 加工部門 ..................................................................................................................... 12

1.3.5. メリヤス製品製造 ....................................................................................................... 12

1.4. 主な成長促進要因 .............................................................................................................. 13

1.4.1. 有利な消費者動態 ....................................................................................................... 13

1.4.2. 所得の増加 .................................................................................................................. 14

1.4.3. 女性就業者の増加 ....................................................................................................... 15

1.4.4. 家庭用および工業用繊維製品に対する需要の増大 .................................................... 15

1.4.5. 消費者意識の高まりと消費者心理の変化 ................................................................... 16

1.4.6. 現代的小売形態の台頭 ................................................................................................ 17

1.4.7. 輸出市場による需要 ................................................................................................... 17

1.5. 最新動向 ............................................................................................................................. 17

2. 市場の特徴 ........................................................................................................................... 19

2.1. 需要源................................................................................................................................. 19

2.1.1. 家庭セクターにおける需要の構成 ............................................................................. 19

2.1.2. 非家庭用繊維製品 - 産業用繊維製品(テクニカルテキスタイル) ....................... 20

2.2. 購入パターン ...................................................................................................................... 21

2.2.1. 繊維の種類別消費パターン ........................................................................................ 21

2.2.2. 地方別消費パターン ................................................................................................... 22

2.2.3. 人口動態別消費パターン ............................................................................................ 22

2.2.4. 性別による消費パターン ............................................................................................ 23

2.2.5. 地域別需要 .................................................................................................................. 24

2.3. 地域ごとの特徴 .................................................................................................................. 24

2.3.1. クラスター発展の成功要因 ........................................................................................ 26

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2.3.2. 家庭用繊維製品産業クラスター ................................................................................. 28

2.3.3. 経済特別区(SEZ)および繊維産業地区の役割 ........................................................ 28

2.3.4. 産業クラスターに求められる強いイニシアティブ .................................................... 30

2.4. 市場部門 - アパレル産業 ................................................................................................... 30

2.4.1. メンズウェア .............................................................................................................. 31

2.4.2. レディースウェア ....................................................................................................... 32

2.4.3. キッズウェア .............................................................................................................. 34

2.4.4. ユニセックスウェア ................................................................................................... 34

3. 製品製造および貿易 ............................................................................................................. 35

3.1. 製造傾向 ............................................................................................................................. 35

3.1.1. 製糸............................................................................................................................. 35

3.1.2. 生地製造 ..................................................................................................................... 36

3.1.3. 既製品 ......................................................................................................................... 37

3.1.4. アパレル製品 .............................................................................................................. 37

3.2. 繊維製品およびアパレル製品の貿易 ................................................................................. 38

3.2.1. 繊維製品およびアパレル製品の輸出 .......................................................................... 38

3.2.2. 繊維・アパレル製品の輸入 ........................................................................................ 41

3.3. 流通経路 ............................................................................................................................. 43

3.3.1. 年間需要パターン ....................................................................................................... 45

3.3.2. バリューチェーンにおける季節的変化 ...................................................................... 46

4. 規制および支援環境 ............................................................................................................. 47

4.1. 部門別規制 ......................................................................................................................... 48

4.1.1. 海外直接投資(FDI) ................................................................................................ 48

4.1.2. アパレル製品部門の保護策廃止 ................................................................................. 48

4.1.3. 財政政策 ..................................................................................................................... 49

4.1.4. マーク表示、ラベル表示に関する規定 ...................................................................... 52

4.1.5. 巨大クラスター計画 ................................................................................................... 53

4.1.6. 技術改良資金計画 (TUFS=Technology Up gradation Fund Scheme) (2007 年から

2012 年の期間) .............................................................................................................................. 53

4.1.7. 総合繊維産業地区(テキスタイルパーク)計画 (SITP= The Scheme for Integrated

Textile Parks) ............................................................................................................................... 53

4.1.8. 環境法上の許可 .......................................................................................................... 53

4.2. 総合物流 ............................................................................................................................. 54

4.3. ファクタリング .................................................................................................................. 55

5. 市場競争 ............................................................................................................................... 57

5.1. 外国企業 ............................................................................................................................. 57

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5.2. 輸入品との競争 .................................................................................................................. 59

6. ビジネスチャンスおよび課題 ............................................................................................... 61

6.1. ビジネスチャンス .............................................................................................................. 61

6.2. 課題 .................................................................................................................................... 62

7. 成功事例研究 ........................................................................................................................ 64

7.1. バルドマン日清紡ガーメンツカンパニー(VNGCL) ........................................................... 64

7.1.1. バルドマン・テキスタイル・リミテッド(VTL) .................................................... 64

7.1.2. 日清紡ホールディングス ............................................................................................ 64

7.2. カレマン・ファブリックス・インディア・リミテッド (CARREMAN FABRICS INDIA LTD.)

65

7.2.1. バンスワラ・シンテックス・リミテッド(BSL) .................................................... 65

7.2.2. カレマン・ミシェル・ティエリグループ(CMTG) ................................................ 65

7.3. ベネトン・インディア(BENETTON INDIA) .................................................................... 66

7.4. セリオ(CELIO) ............................................................................................................... 67

7.5. リード&テイラー(REID & TAYLOR) .............................................................................. 69

8. 付録 ...................................................................................................................................... 71

8.1. インドの繊維産業クラスター ............................................................................................ 71

8.2. インドの小売業者 .............................................................................................................. 72

8.3. インドにおけるインド企業と外国企業の提携 ................................................................... 73

8.4. 商習慣................................................................................................................................. 74

8.5. インドの主要繊維・アパレル製品バイヤー (製品種類別) ................................................. 75

8.6. 産業見本市(インド国内) ................................................................................................ 76

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1. インドの繊維アパレル市場

1.1. 概要

インド国内の繊維アパレル市場は、世界で急成長している市場の一つである。その構造は、全

バリューチェーン(繊維原料部門から小売販売部門まで)にわたって垂直的統合がなされており、

さらに紡績、製織、編み織、裁断、縫製、販売などのさまざまな業務が相互に関連し合っている。

このような垂直型および水平型の統合構造を強みとするインドは、海外繊維アパレルメーカーお

よび小売業者の進出先として世界で 2 番目に有望な国とされており、また、数多くの一流アパレ

ルブランド製品製造のメッカとしても浮上している。インドの好景気、消費者の購買力増加、小

売部門の成長などを考慮すれば、輸出に加え、国内市場の大きな成長も望める。

インドの繊維アパレル産業の年平均成長率(CAGR)は 7.69%増加し、2006 年度に 580 億米ドル

であった売上高は、2010 年度には 780 億米ドルとなる見込みである。2010 年度の国内市場規模

は 560 億米ドルで、輸出総額は 220 億米ドルであった。製品部門別に見ると、衣料品が国内市場

シェアの 64%と大部分を占め、次いで家庭縫製用生地、産業用繊維製品、家庭用繊維製品が続く

結果となった。

グラフ 1.1 国内の繊維アパレル市場 (2010 年)

出所: 第 12 次 5 カ年計画に向けた繊維および黄麻産業に関する専門審議会報告

繊維製品製造の工場など設備に着目した場合、インドの繊維アパレル産業は世界でもトップク

ラスの規模を誇っている。紡績機の紡錘スピンドルについては、その設備能力は中国に次いで世

界第 2 位であり、全世界の総能力の約 20%を占める。また製織についても世界有数の設備能力を

備え、世界の総設備能力の約 61%を占めている。インドの繊維アパレル産業は、同国経済を担う

重要な役割を果たしており、中でも繊維産業は、同国 GDP の約 4%、全工業生産の 14%、輸出

衣料品

64%

家庭縫製用生地

17%

産業用繊

維製品

14%

家庭用繊維製品

5%

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総額の 17%1 をそれぞれ占める主要産業である。

インドの繊維アパレル産業の強みは、幅広い種類の繊維原料が入手可能であり、数多くの熟練

工が活躍する一方で、熟練や経験を必要としない卖純労働力も豊富な点にある。インドにおける

同産業は、さまざまな繊維原料、例えば綿、黄麻、羊毛、絹、人造・合成繊維などが豊富に入手

できることから、複数の繊維原料を使用した製品が製造されている。

表 1.1 インドの繊維生産量

繊維種類 生産量 順位

綿+ 50 億 kg 2

絹 2000 万 kg 2

合成繊維* 25 億 kg 2

羊毛 4850 万 kg 7

黄麻(黄麻、ケナフ、および同類繊維)* 18 億 kg 1

注: + 2009/10 年度の数字 * 2008/09 年度の数字 出所: 繊維省

1.2. バリューチェーン

インドの繊維アパレル産業におけるバリューチェーンは、紡績、製織・編み織、加工、衣服製

造の 4 段階により構成される。繊維部門については、その製品は糸、繊維製品、および既製品に

分類される。

図 1.1 繊維アパレル産業 – バリューチェーン

1インド政府繊維省提供の情報による

出所: D&B インド

原料 糸 繊維製品

天然繊維

綿

羊毛

黄麻

合成繊維

ビスコース

ポリエステル

アクリル 既製品

加工済み

完成繊維製品

衣料品

紡績 製織/編み織

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紡績

紡績とは、原料となる綿や合成繊維を糸の状態にする工程を言う。綿の場合、紡績前に綿繰を

行って不純物を取り除く。インドには、こうした綿繰および加工行う施設が約 1,700 ある。紡績

部門は、同産業の別工程部門に比べ、比較的きちんと組織化がなされており、その作業のほとん

どが工場セクター(ミルセクター)で行われているが、小規模企業セクター(SSI セクター)が

製造する紡績糸は、インドにおける全製造量のわずか約 10%となっている。紡績部門で製造され

る紡績糸は、複合工場または製織工場、手織工場、動力織工場、およびメリヤス製品工場で原料

として使用される。

表 1.2 設備能力 (2010 年度)

単位 能力

紡錘数 百万錘 42.04

ローター数 十万 6.75

織機 (組織セクター) 十万台 0.71

動力織機 十万台 22.46

手織機 十万台 23.77

梳毛スピンドル (紡毛) 千錘 604.00

非梳毛スピンドル (紡毛) 千錘 437.00

製織および編み織

綿または人造糸から織物またはニット織物を製造する工程。インドにおける製織は、そのほと

んどが小規模企業の手織・動力織設備で行われる。組織セクターでは、製織は複合工場および製

織専用生産施設で集中して行われる。動力織はインド最大の生地製造部門となっており、手織部

門は農村部の消費者用低価格・低品質製品の製造、そして最高級品需要のある都市部消費者用製

品および輸出用製品の製造を手掛ける。

編み織は、主にインドの小規模および中規模のメリヤス製品生産施設で行われる工程である。

本部門においては、2000 年まで小規模企業の保護措置が取られていたことから、大型企業の存在

は限られている。

加工

加工工程とは、漂白、染色、シルケット加工、捺染などを施して、衣料品の製造に用いられる

生地・繊維製品を完成させる工程を言う。インドの繊維産業では未開発部門の一つと言える。

衣料品製造

生地にデザイン、型製作、裁断、装飾、縫製、仕上げ作業を施して既製服や衣類を製造する工

程。インドのアパレル製品分野では作業の分散化が図られ、製品製造の大部分が小規模な二次加

工業者や下請け製造業者に委託されている。インドにおける衣料品のメーカーは約 27,000 社、

下請製造業者は 48,000 社、そして製造および輸出を行う業者は 1,000 社を超えると推定される。

しかし、そのほとんどが小規模業者であり、大型貿易会社の下請け製造業者として業務を請け負

っている。縫製は、衣料品製造工程の中でも最も労働集約的作業を伴うため、多くの場合、二次

加工業者に外注されている。

使用される原料によって、同産業部門の製品は、綿、絹、羊毛、黄麻などを使った天然繊維製

出所: インド政府繊維委員会報告 注: 暫定数値

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2.3 2.2 2.2 2.12.3

2.52.8 2.9 2.9

3.1

3.5

19.8 19.318.0

20.7

23.926.2 27.2 26.9

28.9

31.7

品と、ビスコース、ポリエステル、アクリルなどの繊維を用いた合成繊維製品に分類される。

1.2.1. 綿繊維産業

綿は、インドの繊維アパレル製品の大多数の原料となっている繊維であり、国内繊維消費量の

ほぼ 60%を占めている。綿糸はインドの紡績糸総生産量の 70%以上を占め、同国の衣料品対外

輸出総量の約 80%が綿製衣料品となっている。

同産業における紡績の生産性はここ数年の間に向上した。2011 年 12 月現在、非小規模企業セ

クターでは 1,953 の紡績工場が、そして小規模企業セクターでは 1,326 の紡績工場が稼働してい

た。綿繰・加工施設は約 1,700 存在しているが、インド政府は綿製造技術の向上を課題とし、国

内の綿繰・加工施設の近代化支援を行った。

綿糸の製造量は、2001 年度には 23 億 kg であったが、2011 年度には 35 億 kg へと増加した。

グラフ 1.2 綿糸の製造量 (卖位:十億 kg)

インドの綿生地製造量(面積ベース)は、2002 年度には 198 億 m2であったが、2011 年度に

は 317 億 m2となり、増加傾向をたどっている。その成長率については、年度によってばらつき

が見られる。

グラフ 1.3 綿生地の製造量 (卖位:十億 m2)

出所: 繊維省

出所: 繊維省

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0.0 0.2 0.10.7

1.42.2

0.6

2.12.9

3.4 3.4 3.53.9 4.2

4.74.2

3.7

5.5

4.4 4.8 5.0

6.66.9

7.58.4 8.0 8.3

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

Cotton Raw Incl. Waste Cotton Yarn, Fabrics & Madeups

RMG of Cotton including Accessories

88

142

196

279

319 319

268

219240

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

綿製品の輸出は順調な伸びを見せており、2011 年度の輸出総額は 83 億米ドルとなった。綿糸、

綿生地、綿既製品・既製服は、インドの重要な対外輸出品である。原綿の輸出は 2006 年度以降

急速に増加しているが、一方で綿製品の輸出は、世界的な景気低迷の影響を受け、2009 年度には

落ち込んだ。

綿製品は、インドが輸出を行っている繊維アパレル製品の中で、その輸出量が 2 番目に大きな

製品である。強力な綿製造基盤を生かして海外市場の夏物衣料のニーズに応えることで、インド

の綿製既製服の輸出は長年健全な成長を続けてきた。綿製衣料品は、インドの衣料品輸出総額の

約 80%を占める主力製品である。

グラフ 1.4 綿および綿製品の輸出額 (卖位:十億米ドル)

出所:繊維省

インドの綿糸および綿生地の輸入額は、増減を見せながら推移している。2003 年度から 2008 年

度にかけては順調な伸びが見られたが、2008 年度以降は下降が続いた。

グラフ 1.5 綿糸および綿生地の輸入額 (卖位:百万米ドル)

原綿(くず綿を含む)

綿既製服(服飾品を含む)

綿糸、綿生地、綿既製品

出所: 繊維省

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1.2.2. 合成繊維産業

インドは、高度な先進技術が導入された大型合成繊維製造工場を各所に整えており、その製造

量は世界第 2 位である。国内繊維市場においては、全繊維製品のうち約 3 分の 2 を合成繊維製品

が占めている。

人造フィラメント糸の製造量は、2001 年度は 9 億 kg であったが、2011 年度には 15 億 kg と

なる見込みである。ポリエステル糸の製造量は、インドにおける合成繊維紡績糸総製造量の中で

最大のシェアを誇っている。

表 1.3 人造フィラメント糸製造量 (卖位:十億 kg)

年度 ビスコース

フィラメント糸

ポリエステル

フィラメント糸

ナイロン

フィラメント糸

ポリプロピレン

フィラメント糸 合計

2001 0.06 0.82 0.03 0.02 0.92

2002 0.05 0.87 0.03 0.02 0.96

2003 0.05 1.00 0.03 0.02 1.10

2004 0.05 1.01 0.03 0.02 1.12

2005 0.05 1.00 0.04 0.02 1.11

2006 0.05 1.08 0.04 0.01 1.18

2007 0.05 1.27 0.03 0.01 1.37

2008 0.05 1.42 0.03 0.01 1.51

2009(暫定値) 0.04 1.33 0.03 0.02 1.42

2010(暫定値) 0.04 1.43 0.03 0.01 1.52

2011(暫定値) 0.04 1.46 0.03 0.01 1.5

出所: 繊維省

合成繊維・合成繊維製品の輸出

合成繊維・合成繊維製品の輸出は、長年にわたって着実に伸びている。合成繊維製品の輸出額

はインドからの繊維製品総輸出額の大部分を占めている。

グラフ 1.6 合成繊維・合成繊維製品の輸出額 (卖位:十億米ドル)

出所: 繊維省

0.0 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 0.3 0.4 0.4

1.41.8

2.0 2.02.2

2.9 3.1

3.6

4.2

0.7 0.8 0.71.0 0.9 1.0 1.0 1.2

1.4

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

Manmade Staple Fibres Mannade Yarn, Fabrics & Madeups

RMG Manmade Fibre

合成ステープルファイバー

合成繊維既製服

合成糸、繊維製品、既製品

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合成繊維製品の輸入

合成繊維の紡績糸の輸入は、長年にわたって着実に伸びており、特に近年は大幅な伸びが見ら

れる。

グラフ 1.7 人造フィラメント/ 紡績糸(くず糸を含む)の輸入額 (卖位:百万米ドル)

出所: 繊維省

1.2.3. 紡毛織物産業

紡毛織物・衣料品産業は、綿製および合成繊維の製品・衣料品産業に比べ、比較的小規模であ

る。製品の種類は、中間製品から完成品、衣類、ニットウェア、毛布、カーペット、また最近で

は産業用繊維製品に至るまでとさまざまである。輸出依存型産業であり、保温性の高い衣料品を

求める民間および防衛部門のニーズに対応している。

インドの紡毛産業の売上高は 1,000 億インドルピーと推定される。同産業は大きく組織セクタ

ーおよび分散型セクターに分類され、その拠点は国内各地に配置されている。組織セクターは、

複合工場、コーミング処理施設、梳毛および非梳毛紡績施設、ニットウェア・織物衣料品生産施

設、機械織カーペット製造施設によって構成され、また分散型セクターは、メリヤス製品やニッ

ト製品の製造所、動力織工場、手織りカーペット、粗製じゅうたん、およびナムダーの製造工場、

個人経営染色工場、加工所、手織紡毛製品製造所から成る。インドには紡毛製品の製造施設が約

958 存在するが、その大部分が小規模セクターに属する。

表 1.4 紡毛製品の製造

製品 単位 2009 年度 2010 年度 2011 年度

梳毛糸 百万 kg 60.0 61.0 62.0

紡毛糸 百万 kg 30.0 30.0 30.5

ウールトップ 百万 kg 37.0 38.0 38.5

生地(紡毛/梳毛) 百万 m 85.0 87.0 88.0

再生毛糸 百万 kg 40.0 42.0 43.0

毛布(再生毛織/毛織) 百万枚 18.0 20.0 22.0

再生毛織地 百万 m 30.0 30.0 32.0

ニット製品 百万 kg 19.0 20.0 21.0

手織カーペット 百万 m2 10.0 10.0 10.0

機械織カーペット 百万 m2 0.4 0.4 0.5

397 416487

560 554640 661

715

864

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11(P)

出所: 繊維省

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羊毛については、インドで製造される量だけでは国内羊毛産業の需要を満たすことができず、

輸入に頼っている状況である。インド製羊毛の大部分は品質に务り、主に手織カーペットの製造

に使用されている。また紡毛産業では、旧式の不十分な設備しか整っていない加工施設が多いこ

とが問題となっている。インドで製造される紡毛製品の種類は多岐にわたり、ウールトップ、糸、

生地、既製服、カーペットなどが輸出されている。

グラフ 1.8 インドの紡毛製品輸出額 (卖位:百万米ドル)

出所: DGCIS(商業情報統計総局)、繊維省

1.2.4. 絹繊維産業

世界第二位の絹生産国であり、また世界第一位の絹消費国であるインドは、一般によく知られ

るマルベリーシルク(桑蚕)、エリシルク(エリ蚕)、タッサーシルク(タッサー蚕)、インド

でのみ生産されるムガシルク種のゴールデンムガシルク(ムガ蚕)の 4 種類すべての絹の生産を

行う世界で唯一の国である。インドで生産される絹の約 60%が手織り部門へ出荷され、伝統的な

手織り製品、中でもサリーやドレスの素材、そして既製品、椅子張り生地などに製品化される。

インドの絹糸・絹生地の製造量は長年にわたって増加しているが、年によって増加の度合いに

ばらつきが見られる。

表 1.5 絹糸・生地製造統計

種類 単位 2009 年度 2010 年度 2011 年度

絹生地 十万 m2 4,439.00 4,600.00 4,644.40

絹紡糸 メートルトン 500 560 585

絹紡ちゅう糸 メートルトン 250 280 295

出所:第 12 次 5 カ年計画に向けた繊維および黄麻産業に関する専門審議会報告

一方、過去 5 年にわたり、絹製品の輸出にはかげりが出ている。

85.17 92.9 99.99 89.69105

338 350381 378

324

0

50

100

150

200

250

300

350

400

FY07 FY08 FY09 FY10 FY11(P)

Wool Yarn, Fabrics & Madeups RMG Wool毛糸、毛織物、羊毛既製品 羊毛既製服

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707658 681

595 594

437383 365

298 347

265 272314

291 240

5 3 1 5 80

100

200

300

400

500

600

700

800

FY07 FY08 FY09 FY10 FY11(P)

Silk Textiles Natural Silk Yarn, Fabrics & Madeups

RMG of Silk Silk Waste

グラフ 1.9 絹製品の輸出 (卖位:百万米ドル)

インドの 2011 年度における絹糸および絹生地の輸入総額は 1 億 6,810 万米ドルとなる見込み

である。

グラフ 1.10 絹製品の輸入 (卖位:百万米ドル)

出所: DGCIS、 繊維省

1.2.5. 黄麻繊維産業

インドは世界有数の黄麻および黄麻製品の製造国である。国内に 79 の黄麻生産複合工場があ

り、その内 62 の工場が西ベンガル州に位置する。黄麻産業において稼働される織機の総数は、

2009 年現在 48,260 台であり、その内訳は、ヘシアン織機が 22,038 台、麻袋織機が 24,093 台、

カーペット裏地(CBC)織機が 1,068 台、その他織機が 1,061 台となっており、製造された黄麻

製品の総額は約 600 億インドルピーである。黄麻産業における製品構成については、安価な黄麻

布袋が優勢で、全体の約 66%を占めるという偏った構成となっている。

2011 年度の黄麻製品の製造量は、約 160 万メートルトンとなる見込みである。2010 年度には、

絹製品

絹既製服

天然絹糸、生地、既製品

副蚕糸

199207

178 184168

0

50

100

150

200

250

FY07 FY08 FY09 FY10 FY11(P)

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黄麻製品製造工場がストライキを行った影響で製造量は減尐した。

表 1.6 黄麻製品の製造量 (卖位:千メートルトン)

ヘシアン布 麻袋 カーペット背クロス その他 合計

2007 年度 250.3 874.7 2.9 228.4 1356.3

2008 年度 350.3 1143.0 6.0 276.7 1776.0

2009 年度 297.8 1071.4 4.5 160.0 1633.7

2010 年度 206.5 921.6 2.2 193.0 1323.3

2011 年度 265.8 1062.9 4.8 266.5 1600.0

出所: 繊維省

インドから輸出される主要な黄麻製品は、黄麻糸およびヘシアン布である。

表 1.7 黄麻製品の輸出額 (卖位:百万米ドル)

2007 年度 2008 年度 2009 年度 2010 年度

2011 年度(暫

定値)

黄麻製品全体 259.17 326.62 304.02 217.65 455.26

黄麻製床敷物 64.17 79.01 55.19 59.37 73.94

その他黄麻製品 59.32 78.34 108.68 63.00 111.12

黄麻糸 53.21 53.58 47.86 30.53 116.89

黄麻ヘシアン布 82.47 115.69 92.29 64.75 153.31

出所: DGCIS、 繊維省

1.3. インドの繊維アパレル産業の構造

インドの繊維アパレル産業の構造は複雑で、小規模の分散化および細分化された工場が数多く

稼働している他、複合工場としても知られる大規模な統合企業もいくつか機能している。小規模

セクターは、その構成要素のほとんどが組織化されておらず、また労働集約型であるのに対し、

大規模セクターは、その大部分が組織化された資本集約型企業である。過去数年にわたり、国内

市場の成長、そして輸出拡大の条件がそろったことで、同産業は大きく発展し、統合化や技術向

上を図ってきた。

図 1.2 インドの繊維アパレル産業の構造

出所: D&B インド

インドの繊維アパレル産業

組織的

工場セクター

非組織的

動力織 手織 加工 メリヤス製

品製造

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1.3.1. 工場セクター(ミルセクター)

工場セクターでは糸および生地双方の製造を行っているが、本部門における生地製品の製造は

衰退の一途をたどっており、現在では工場(ミル)の大半が紡績業に限定して製品を大型動力織

および手織工場に納入し、さらにその輸出も行っている。工場セクターで製造される生地は、イ

ンドにおける生地総製造量の約 4%を占めている。

スピンドルの登場により、繊維産業は著しい成長を遂げてきた。2011 年 12 月時点において、

組織セクターにおける紡績工場数は 1,759、一方複合工場の数は 194 であった。このような組織

セクターの工場および複合工場に加え、小規模企業セクターでは数多くの小規模紡績施設を操業

しており、その数は 1,326 にのぼる。また、同年同月現在の組織セクターにおける製織工場の数

は 171 であった。

紡績工場の大多数がインド单部に位置しており、タミル・ナードゥ州の工場の生産能力だけを

総計しても、国内の総生産能力の約 40%を占めている。

表 1.8 インドの繊維工場数 (2011 年 12 月)

繊維工場(非小規模工業) 工場数

紡績工場 1759

複合工場 194

紡績工場(小規模工業) 1326

製織工場(非小規模工業) 171

出所: 繊維省 注: 数値は暫定値

1.3.2. 動力織部門

動力織部門は、インドにおける生地総製造量の 61%を占める。2011 年 12 月現在、インドには

約 51 万 9 千の動力織施設が存在し、229 万 7 千台の動力織機が稼働しているが、その技術的レ

ベルについては、旧式の平織機からハイテクの無杼織機に至るまでさまざまであると言える。本

部門で使用されている無杼織機は約 10 万 5 千台で、有杼織機については、その約 75%(推定値)

が 15 年以上使用され続けている旧式の織機であり、事実上、工程・品質管理のための機器・装

置はそろっていない。しかし、過去 5~6 年の間に、動力織部門の技術的レベルは大幅に向上し

た。

動力織部門では国内外で需要のある、綿製、混紡、合成繊維製、絹製、羊毛製などのシャツ地、

スーツ地、ドレス生地、サリー、ドーティ、シーツ地、タオル、チャードル、ファニシングテキ

スタイル、ショール、毛布等さまざまな種類の生地を製造している。

1.3.3. 手織部門

手織部門は、インドの生地総製造量の約 4%を占める。手織設備はインド国内各地に存在し、

家庭用と非家庭用を合わせて 237 万 7 千台の手織機が稼働している。手織機総数のうち、206 万

6 千台が農村部、また 31 万 1 千台が都市部に設置されているが、稼働しているのは全体の約 90%

で、残る 10%は使用されていない状況である。織機の大半はインド北東部で使われており、国内

総数の約 65.2%を占める。次に織機の分布が多いのが西ベンガル地区で(約 12.9%)、タミル・

ナードゥ州(同約 6.5%)、アンドラプラデシュ州(同約 5.2%)と続く。家庭用手織設備の約

93%が機械紡糸を使用し、残る 7%が手紡糸を用いている。国内総製造量の 53%が完全にまたは

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部分的に商業目的で使用されるが、家庭内での使用のみを目的としたものも 38%とかなり大きな

割合を占めている。

1.3.4. 加工部門

加工作業にはさまざまな工程が必要となるため、極めて細分化され、繊維複合工場の一体施設、

個人経営の大型加工企業および小規模加工工場といった部門に大きく分類されている。本産業は

非常に特殊な方法で事業を行っており、施設の 90%が中・小規模企業セクター(SME セクター)

に属し、作業が細分化されているため、そのほとんどが各加工施設で行う作業はせいぜい 1~2

工程に限定される。インドには約 2,300 の加工施設があるが、その大多数は独立型の加工場で、

紡績・製織・編織の施設と一体化している工場はわずか 22 カ所に過ぎない。

加工作業に不可欠な機械類の購入には莫大な資本費用が必要で、製織業者や編織業者の多くが

加工を行うための設備能力を十分に備えていない。このため、小規模加工施設が別途これらの加

工作業のほとんどを引き受けており、その大多数が生機の染色および捺染を行っている。これら

の加工施設では、一日に最大で 5,000 m の生地の染色および仕上げ処理を行うことが可能である。

中には、自動化技術を活用し、かつ一日約 2 万 m の生地の加工処理能力を持つ独立の加工工場や

複合工場も数カ所存在する。個人経営の小規模加工業者のほとんどは、動力織産業の中心地付近

に位置し、動力織製品の漂白、染色、捺染、および仕上げ処理を行っている。大規模企業は多く

の場合、自社の糸染め施設を持っており、また紡績業者の多くも、漂白、シルケット加工、毛焼、

および染色などを行う自社の糸加工処理施設を新設するようになっている。

1.3.5. メリヤス製品製造

メリヤス製品の製造とは、一般的に編地で衣料品を作る作業のことを言う。編織およびメリヤ

ス製品製造作業の大半は、ティルプル、ルディアナおよびカーンプルの 3 つの産業クラスターで

行われている。現在、インドで製造される生地総量の約 23%がメリヤス生地となっている。

図 1.3 インドの繊維産業

出所: 産業報告, D&B インド

工場

•資本集約型 •紡績および製織双方が行われているが、圧倒的に紡績工場が多い

•紡錘スピンドル、ローター、および織機を利用

•天然繊維および合成繊維双方を使用

動力織

•極めて分散型のシステム

•さまざまな生地の需要に応じ、生機および加工生地を製造

•綿糸および綿以外の糸双方を使用

•圧倒的に製織が多い

•主に有杼織機を使用

メリヤス製品製造

•極めて分散型のシステム

•需要の高い主要製品は下着類

•綿糸および綿以外の糸双方を使用

•圧倒的に編み織が多い

手織

•極めて分散型のシステム

•地域化された技術 •家内生産設備 •圧倒的に手織りが多い

•主に100%天然繊維を使用

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1.4. 主な成長促進要因

インドの繊維アパレル産業は、多くの要因により成長に弾みをつけている。中でも、次に挙げ

る要因が同産業の成長を牽引する主な原動力となっている。

人口の大多数を若年層が占める、同産業にとって有利な消費者動態

急速な経済成長と国民一人当たりの所得の増加

女性の就業者数の増加

家庭用および工業用繊維製品に対する需要の増大

消費者意識の高まりと消費者心理の変化

最新型販売形態の台頭

国際市場におけるインドの繊維アパレル産業に対する需要

1.4.1. 有利な消費者動態

インドは、人口の大半が若年層であるため、諸外国に比べて消費者の獲得に有利であると言え

る。人口に占める年齢別の割合は、14 歳以下が約 29%、若い大学生を中心とする 15~19 歳が

10%超、就業年齢層に属する 20~60 歳が 52%超と推計される。

グラフ 1.11 インドの年齢別人口分布

インドでは 35 歳未満が人口の約 3 分の 2 を占め、平均年齢は 25 歳となっている(世界の平均

年齢は 29 歳)。この傾向は今後も続き、2030 年までにインドの平均年齢は 32 歳、世界の平均

年齢は 34 歳になる見込みである。今後 20 年に渡り就業人口の割合は高めで推移すると見られ、

繊維アパレル産業では巨大な消費者層の確保が期待できる。

出所: インド統計局による予測レポート、B&D リサーチ

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表 1.9 インドの平均年齢(主要国との比較)

1.4.2. 所得の増加

過去 10 年間において、インドは年率 7 パーセントを超える高経済成長を経験しており、国民

一人当たりの所得は急増している。

グラフ 1.12 実質国内総生産(卖位:兆インドルピー)

出所: インド統計ハンドブック、インド準備銀行( RBI)

サービス分野、特に情報技術、ソフトウェア、金融サービスの高度な発展により、若年層の専

門職の給与が急増、可処分所得も大幅に増えている。また、所得が急速に伸びたため、国民一人

当たりの繊維製品の購入が増加している。

所得の伸びとともに、衣料品および家庭用繊維製品にかける支出も増加している。さらに、イ

ンドの家庭ではブランドへの意識が一層高まっており、そのため、ブランドの繊維製品に対する

需要が伸びている。また、アパレルに関しても、インド人の所得および購買力の向上により、ブ

ランド品は次第に手頃な価格になってきている。

国名 1990 年 2000 年 2010 年 2020 年 2030 年

世界平均 24.4 26.6 29.1 31.5 34.2

インド 21.1 22.6 25 28.1 31.7

ブラジル 22.5 25.3 29 33.6 37.9

中国 25 29.6 34.2 37.1 41.1

英国 35.8 37.7 39.9 40.4 41.4

日本 37.4 41.4 44.7 48.6 52.2

米国 32.8 35.1 36.6 37.9 39.5

出所: 国連人口局

35.438.7

42.544.6

48.752.9

FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11

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グラフ 1.13 インドの国民一人当たりの繊維製品購入額 (卖位:インドルピー)

1.4.3. 女性就業者の増加

女性の就業者数は年々増加しており、現在、概算で約 20.7%の女性が公共および民間部門の組

織や企業に勤務している(1992 年は僅か 14.4%)。

グラフ 1.14 組織および企業に勤務する女性の割合(%)

出所: 統計・計画実施省、D&B リサーチ

概して、就業女性は非就業女性に比べて、より多くアパレル製品を購入する傾向にある。つま

り、女性の就業によりレディースアパレル製品の需要が急速に拡大していることになる。さらに、

女性の就業者数の増加により家計の購買力も向上、このため家庭用繊維製品全体の需要が急増し

ている。

1.4.4. 家庭用および工業用繊維製品に対する需要の増大

好調な経済成長により、各産業(自動車関連、インフラストラクチャー、化学製品)において

14 15 15 15 16 16 17 17 18 18 18 18 19 19 19 20 20 20 20

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

E

20

09

E

20

10

E

出所: 繊維委員会

1488

1609

1754

2007 2008 2009

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工業用繊維製品(産業用繊維製品)に対する需要が増えている。インドは、国内のインフラ事業

やヘルスケア、自動車といった成長産業への投資を考慮に入れると、今後も堅調な経済成長を記

録すると予想され、工業用繊維への高い需要は維持されると見込まれる。

国民一人当たりの所得が伸び、可処分所得が急増し、また不動産分野も活況を呈していること

から、家庭用繊維製品、中でも、インテリア関連、ベッドシーツ、タオルなどの製品の消費も増

えている。都市部の世帯数が増加し、また企業も職場の室内装備充実に費用を投じているため、

家庭用繊維製品への需要は増しており、今後も高水準で推移すると予想される。

グラフ 1.15 インテリア用素材の市場規模 (卖位:百万メートル)

出所: 2010 年全国世帯調査、繊維委員会

1.4.5. 消費者意識の高まりと消費者心理の変化

過去 10 年の間にインドでは衛星テレビやインターネットを通して欧米文化に触れる機会が増

え、その影響で消費者意識が高まり、欧米のトレンドを好む傾向が現れた。海外ブランド品を買

い求めることが可能になり、消費者の意識がさらに高まる中、インドの平均的消費者の購入姿勢

は変化を見せている。

消費者期待の変化

119 122 126139 134

158

2004 2005 2006 2007 2008 2009

1990 年代 2010 年

ほとんどが必要な時にアパレルを購入 その場の状況に応じた行動、つまり、まさに店頭

での衝動買いによりアパレル製品を購入

ブランドに関する知識はない メディアでの報道や最新型販売店が揃える商品に

よりブランド認知が高まる

大型店は値段が高いと考えられている 大型店はより多様な商品を揃えており、従って選

択の幅がより広いと考えられている

価格が重要な要因 価格に見合う商品の価値が重要な要因

スタイリッシュでファッショナブルなアパレ

ル製品は特別な機会にのみ着用するもの

常にファッショナブルでスタイリッシュであると

見られたい

出所: D&B リサーチ

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1.4.6. 現代的小売形態の台頭

過去 10 年において、インドではショッピングモールなどの現代的な小売形態が急速に成長を

遂げた。現在では多くの消費者がその現代的小売形態の店舗で製品を購入することを好むように

なっており、理由としては便利さ、商品の幅広い品揃え、魅力的な雰囲気などがあげられる。こ

れらの販売形態が市場全体に占める割合は比較的低いが、アパレル需要には多大な影響を及ぼす

と予想されている。これは、先に述べた理由により現代的小売形態で製品を購入する消費者が増

えているためである。

表 1.10 インドにおける規模別最新型販売形態

項目 ディスカウント

ストア デパート

ハイパー

マーケット 専門店

面積

(平方フィート) 10,000- 30,000 20,000-40,000 80,000-120,000 500-5,000

商品カテゴリー 豊富な品揃え 豊富な品揃え 豊富な品揃え 単一カテゴリー (例:

アパレル製品)

ブランド数 複数ブランド 複数ブランド 複数ブランド

単一ブランド

(単一ブランド専門

店)、複数ブランド(マ

ルチブランド販売店)

提供割引 常時 (25-50%) 随時 随時 随時

価格 低い 高い 平均的 高い

店舗例 Loot Mart,

Megamart

Shopper’s stop,

Lifestyle

Hypercity, Big

Bazaar

Pantaloons, EBOs

like Raymond,

Arrow, etc.

出所: D&B リサーチ

世界を代表する企業の中には、インドのファッション産業やアパレル市場に参入している企業

も多く、多額の利益を上げている。GUESS、GAS、Levi’s、Benetton、Gucci、Marks & Spencer な

どのファッション小売企業は、各社最大規模の店舗をインドにオープンしており、同国での存在

感を強めるべくさらに計画を進めている。

1.4.7. 輸出市場による需要

国内市場に加えて、輸出分野はインドの繊維アパレル産業の成長に寄与する主な要因のひとつ

である。インドは、世界展開を行う販売企業から重要な原料調達・製品製造中心地域として注目

されている。国際的な巨大小売企業はコスト削減に向けてアウトソーシングを検討している。調

達の意思決定を行う上で決め手となる主な要因は、コスト、経験および専門技能、原料の調達可

能性および迅速さである。インドの産業界はこうした要因の多くについて有利な状況にあるため、

インドの繊維アパレル産業の見通しは明るい。また、こうした優位性により、インドの各産業も

さらにコスト競争力を高めることが可能になる。インド企業は、繊維製品加工業者から世界的企

業のベンダー・パートナーへと進化を遂げつつある。

1.5. 最新動向

インドでの原料調達

現在、繊維原料の調達をインドで行う動きが活発になっており、海外の多くの小売企業がイン

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ドを拠点としているが、その一大要因は綿、絹、黄麻などの豊富な原料がインドで供給できると

いう点である。また、このようにインドが調達拠点として台頭してきた背景には、原料供給面だ

けでなく、バリューチェーン全体にわたり進出が可能で、また繊維産業における豊かな経験を持

つ国であることが挙げられる。

産業用繊維製品製造の着実な成長

産業用繊維製品の需要と製造は、衣料品用生地に比べ、急速に拡大している。インドはいまだ

産業用繊維製品の主要消費国とは言えないが、こうした状況は変化しつつある。消費者側の意識

が高まり、手ごろな価格で製品の入手が可能となり、またライフスタイルが変化したことにより、

個人用の使い捨て製品の消費が増加し、包装材、ジオテキスタイル、医療用繊維材などの需要が

高まっている。

事業提携

インドの繊維アパレル産業では、合弁事業およびタイアップなどの事業提携がますます増えて

いる。タイアップは、繊維産業のバリューチェーンのどのレベルでも実現可能である。

必需品からライフスタイル製品への移行

インドの繊維製品の消費パターンには、製品面、サービス面において変化が見られる。可処分

所得の増加に伴い、必需品の消費に比べて、ライフスタイルを追求するための製品およびサービ

スの消費が著しく伸びている。

このような消費動向の変化は、家庭用繊維製品の購買行動にも表れている。家庭用繊維製品は、

祭事用品や基本的必需品としてよりも、今やライフスタイル製品としてその消費量を伸ばしてい

る。消費者は、意欲的に自分の住宅にお金をかけるようになっており、また核家族化により家族

一人一人が自分の部屋を持てるようになったため、好きなように装飾を施すことができる。この

ため、インドの消費者は、家庭向け製品を選ぶ際にはデザインやスタイルを追求するようになっ

ている。

消費者のニーズに基づくアパレル製品の細分化

インドの消費者は、自分たちのニーズや期待を満たしてくれる製品が増え、自由に選択できる

ことを望んでいるため、こうした消費者のニーズに応じ、製品の種類はより具体的に細分化され

るようになった。メンズウェア、レディースウェア、キッズウェアという大きな区分に加え、そ

の他新たに生まれた衣料品分類としてカジュアルウェア、インナーウェア、スポーツウェア(運

動着、トレーニングウェア、水着など)、学校の制服、若者・大学生向けのファッション、小さ

い・大きいサイズの衣料品、マタニティウェアなどがある。

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2. 市場の特徴

2.1. 需要源

繊維市場は、消費を基準とした場合、3 つの部門(国内家庭用繊維製品セクター、業務用、工

業用および産業用繊維製品を含む非家庭用繊維製品セクター、繊維製品・衣料品の輸出セクター)

に分類することができる。

グラフ 2.1 インドの繊維アパレル産業を構成する 3 部門

産業全体の 50%と高い割合を占める国内家庭用繊維製品セクターがインドの繊維アパレル産

業の大黒柱と考えられる。

2.1.1. 家庭セクターにおける需要の構成

家庭セクターにおける購入パターンを見ると、その購入製品の種類は、個人用衣料品および家

庭用繊維製品の 2つに分類され、個人用衣料品が全製品の93.3%と圧倒的なシェアを誇っている。

個人用衣料品、家庭用繊維製品いずれの製品も、着分生地、衣料品、または一枚布衣料に分類

される。着分生地とは、メートルまたはヤード卖位で販売される製品で、縫製を施してドレスな

どの衣服を完成させる必要がある。衣料品とは、レディーメードのシャツ・パンツなど、縫製を

施す必要のない既製服のことである。一枚布衣料とは、既製品とも呼ばれるが、様々な長さや幅

を持ち、縫製を必要としない製品であり、この中にはタオル、サリー(5 m~8 m)、およびベッ

ド用シーツなどが含まれる。

繊維製品はさらに、その製造工程によって織物製品と編物製品に分類される。2009 年の繊維製

品の購入内訳を見ると、織物製品が全体の 88.24%を占めていたことが分かる。

出所: 繊維委員会、 D&B リサーチ

国内家庭用繊維

製品セクター

50% 非家庭用繊維製

品セクター

29%

輸出セクター

21%

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グラフ 2.2 家庭繊維製品セクターにおける織物・編物製品のシェア (2009 年)

出所: 2010 年度 繊維委員会による全国家庭用繊維製品調査

需要パターンは年を追って変化しており、既製服が求められる傾向が強くなっている。これは

主に、人口統計上、また所得レベルに変化があったためと考えられる。

2.1.2. 非家庭用繊維製品 - 産業用繊維製品(テクニカルテキスタイル)

家庭向け以外の製品についてみると、生地・衣料品メーカーなどの繊維産業バリューチェーン

における需要に加え、化学、医療、自動車、玩具、包装材料、その他製造業、および農業など、

他セクターからの需要も大きい。

産業用繊維製品とは主に、美的または装飾的な特性というよりは、その技術的性能や機能的特

性を重視して使用される繊維素材および繊維製品のことを言う。産業用繊維製品は、衣料品・服

飾品や室内装飾品に使用される伝統的な生地とは違い、主にその特殊な物理的・機能的性質を生

かした用途に用いられる。

表 2.1 産業用繊維製品 – 製品種類別市場シェア(卖位:百万ルピー)

種類 用途 2008 年度

Agrotech 農業・園芸・林業用品 5,530

Buildtech 建築用材料 21,570

Clothtech 靴・衣料品向け先進素材 69,080

Geotech ジオテキスタイル、土木繊維 2,720

Hometech 家具類、家庭用繊維製品、および床材 50,250

Indutech 濾過、浄化・清掃、その他工業用 32,060

Meditech 衛生用品および医療用品 16,690

Mobiltech 自動車、船舶、鉄道、および航空機関連 31,830

Oekotech 環境保護関連用品 680

Packtech 包装素材 146,300

Protech 人身防護・物財保護 13,020

10%

41%

24%

18%

7%

89%

Knitted textiles Garments in piece length Readymade garments

Garments in piece length Household varieties編物繊維製品

一枚布衣料

着分生地

各種家庭用繊維製品

既製服

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種類 用途 2008 年度

Sporttech スポーツ・レジャー用品 28,510

合計

417,560

出所: 国家繊維政策

インドの産業用繊維製品市場は、小規模ながらも近年順調に拡大している。インド経済、特に

製造業における成長が、同国の産業用繊維製品製造部門の成長の実現につながっていると考えら

れる。同部門のなかで急成長を遂げているのは自動車関連、医療用、工業用、家庭用、および保

護具向けの繊維製品で、各分野の製造業の伸びによる所が大きい。またインドにおける産業用繊

維部門の成長を後押しした要因としては、大規模な原料の供給基盤を有すること、熟練した労働

力が揃っていることなども大きな要因となっている。

2.2. 購入パターン

基本的に、繊維およびアパレル製品は消費者製品であるため、こうした製品の需要は性別、年

齢、職業、そして所得レベルによって異なる。さらに、インドには多種多様な文化が共存してお

り、伝統衣装やその着用習慣も国内各地で全く異なる。

2.2.1. 繊維の種類別消費パターン

繊維製品は、種々の物理的・化学的性質を持ったさまざまな種類の繊維を原料として製造され

ているため、どの繊維を原料とした製品が好まれるのかについては、インド各地の天気や気候条

件によって、また季節によって異なる傾向がある。合成繊維製品・混紡織物製品はインドの全地

域に普及しているが、綿製品は高温地域で、また紡毛織物製品は寒冷地域での需要が高い。

グラフ 2.3 繊維種類別消費傾向 (%)

出所: 繊維委員会

綿

39.96%

正絹

0.57%

合成繊維および混

59.22%

紡毛

0.25%

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綿製品および正絹製品の消費が多い地域は都市部であり、同地域における両製品の総消費量に

対するシェアはそれぞれ 44.4%、1.3%と、全国平均の消費シェアより高くなっている。一方、

都市部における合成繊維製品および混紡製品のシェアは 54%で、全国平均に比べると低い割合を

示している。

2.2.2. 地方別消費パターン

このほか、繊維製品の消費パターンは、地理的区分および気候条件によっても異なる傾向があ

る。消費パターンに関する調査がインド国内の 5 つの地方について行われている。

グラフ 2.4 国民一人当たりの消費量 – 地域別 (卖位:m)

出所: 繊維委員会

2009 年、国民一人当たりの繊維製品消費量が最も多かったのはインド中央部であり(一人当た

り 28.09 m)、一方最も尐なかったのは北部であった(一人当たり 19.29 m)。製品別に見てみ

ると、北部、单部、および西部では、合成繊維・混紡織物製品の消費量が全体の約 65~66%、ま

た綿製品は約 33~35%を占めているが、東部では逆に、綿製品のシェアが 59.8%、合成繊維・

混紡織物製品のシェアが 39%となっている。中央部地方で最も購入されているのは、繊維製品全

体の 73.3%を占める合成繊維・混紡織物製品である。

2.2.3. 人口動態別消費パターン

繊維製品の個人消費については、消費量が最も多い年齢層は 25 歳から 39 歳のグループで、全

体の 28.83%を占めており、以下 40 歳から 59 歳のグループ、15 歳から 24 歳の若年層グループ

と続く。成人年齢層による消費量が多くなっているのは主に、その収入力によるものと考えられ

るが、一方若年層にとっては、最新ファッションや刻々と変化する流行を追求したいという欲求

が一番の原動力となっている。都市部では、25 歳から 39 歳の成人年齢層の消費シェアは 29.46%

にのぼる。

19.29

26.67

21.84

24.75

28.09

23.04

North

South

East

West

Central

All India

北部

单部

東部

西部

中央部

全国

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グラフ 2.5 年齢層別に見る需要の割合

出所: D&B インド リサーチ

2.2.4. 性別による消費パターン

インドにおける繊維製品の消費パターンは男性と女性で大きく異なる。男性に比べ、女性の需

要がはるかに多く、2009 年の統計ではインドの女性一人当たりの繊維製品購入量は 26.95 m で、

インド男性一人当たりの購入量 19.12 m を上回った。この理由としては主に、着用する衣服・ス

タイルが男女で異なり、またインドでは男性が身に着ける衣服の種類は比較的尐ないのに対し、

女性が身に着ける衣服は、サリーやシャルワールのような伝統衣装から欧米スタイルのシャツ、

トップス、スカート、スラックス、ジーンズ、またさらにインナーウェアやナイトウェアといっ

た衣料品に至るまで非常に多岐にわたっているという点が挙げられる。その上、インドの女性は

本質的に流行に敏感で、さまざまな種類の衣服を手元にそろえたいと考える傾向があるのも一つ

の要因である。

地域的に見ると、製品の消費量が最も多いのは男女共に都市部となっている。

グラフ 2.6 国民一人当たりの繊維製品消費量 (卖位:m)

出所: 繊維委員会

3% 10%

22%

29%

27%

9%

(0~5歳)乳幼児 (6~14歳)小児

(15~24歳)若年層 (25~39歳)成人層I

19.12

21.95

18.03

26.95

34.48

24.05

Male

Urban Male

Rural Male

Female

Urban Female

Rural Female

男性

都市部在住男性

農村部在住男性

女性

都市部在住女性

農村部在住女性

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さらに、インドにおける男女の需要傾向に関しては、男性が合成繊維製品より綿製品を好むの

に対し、女性は圧倒的に合成繊維・混紡織物製品を好むという違いがある。これは、繊維製品の

中で最も消費量が多いのが、インドの女性の多くが日常的に着用するサリーであり、その素材と

して、着心地が良く手入れが簡卖で、かつ低価格である混紡生地が好まれていることが理由の一

つとなっている。

2.2.5. 地域別需要

繊維製品の消費パターンは、都市部と農村部で違いが見られる。都市部の中でも、巨大都市と

小都市ではそのパターンが異なる。小売チェーンやショッピングモール、百貨店の出現も、繊維

製品が都市部で購入される傾向に拍車をかけている。

繊維製品の人口一人当たりの消費量は、農村部に比べ、都市部の方がはるかに多い。都市部の

中でも、消費量が最も高いのはデリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイといった巨大都市で、

以下アグラ、ボパール、パトナ、インドールなどの大都市、そしてランチ、マイソール、ブバネ

シュワル、グワリオルなどの小都市が続く。

グラフ 2.7 人口一人当たりの消費量 – 地域別 (卖位:m)

都市部と農村部では、着用する衣服・スタイルが大きく異なる。農村部の消費者は主にドーテ

ィ、クルター、サリー等を身に着けるが、都市部の消費者はジーンズ、T シャツ、シャルワール、

スーツなどさまざまな種類の衣服を着用する。こうした違いは主に、都市部と農村部では職業、

社会的地位、および服装に対する意識レベルに差があることに起因する。

都市部の人口一人当たりの繊維製品消費量は 28.22 m と、農村部に比べ、はるかに多くなって

いる。都市部全体では、一枚布衣料および既製服(織物製)の消費量が、それぞれ全体の 43.5%、

25.3%を占めている。

2.3. 地域ごとの特徴

糸、生地、および繊維製品の製造はインド国内各地で行われているが、原料や熟練労働力・卖

純労働力の入手のしやすさや市場への近さなどの理由から、生産施設は国内の様々な地域に集積

している。さらに、小規模工業の保護政策が実施されたことも、国内における小規模繊維生産施

出所: 繊維委員会

23.04

28.22

31.79

29.81

23.08

21.04

All India

Urban

Metropolis

Big cities

Small cities

Rural

全国

都市部

巨大都市

大都市

小都市

農村部

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設の急増に大きく貢献した。インドには、繊維アパレル産業クラスターが約 70 存在し、それぞ

れが特定種類の繊維製品の製造を専門的に行っている。

インド西部、主にマハラシュトラやグジャラートといった地域には数多くの紡績所および複合

工場が集中している。グジャラート州スーラトでは綿製品の製造が盛んであるが、大型ポリエス

テル糸供給業者の拠点に近接していることから、ポリエステル糸および生地の製造も活発に行わ

れている。

紡毛織物産業はインド北部を拠点としているが、これは、冬の寒さが厳しくない他の地方に比

べて、冬期における同産業市場の製品需要が高くなるためである。

表 2.2 製造工程別集積地域

インド单部の、特にセーラムからエロードにかけての地域は、綿花の代表的産地であり、綿織

物製造の中心地となっている。この地域には当初、組織化されていない小規模工場が多かったが、

最近では、いくつかの業者で組織化が図られ、先端技術を活用している。

インド国内各地に点在する各クラスターは、その技術および規模という点でバラエティに富ん

でいる。デリーのクラスターは、インド屈指の、アパレル輸出の中心地および情報発信基地であ

ると同時に、優れたデザイン・商品化技術を生かし、多種尐量製造方式も採用している。チェン

ナイのクラスターには、基本製品を大量生産する老舗の大規模工場が集中しており、またバンガ

ロールでは、注文仕立ての衣服や補正下着など、より高度な製造技術が必要とされる製品に焦点

を当て、その製造を行っている。

インドの主要な繊維アパレル産業クラスターは、ニットウェア製造で名高いタミル・ナードゥ

州ティルプル、既製服製造が盛んなデリー、バンガロール、およびムンバイ、刺繍入り綿布・衣

服製造を行うラクナウ、羊毛ニットウェア製造を行うルディアナ、既製品(特に家庭用繊維製品)

製造を行うパーニーパット、ショラプールなど、各地に展開している。

例えば、既製服クラスターのほとんどは、主要消費地となる都市部市場へのアクセスの良さが

要因となって、デリー、ムンバイ、アーメダバード、バンガロール、プーナ、グルガオンなどの

大都市に位置している。こうしたクラスターの発展には他にも、機器装置、原料、資金、熟練労

働力および卖純労働力(大部分が移民)等を簡卖に確保できるという要因も大きく貢献している。

ラージャスターン州ジョドプル、ジャイプール、キッシャンガール、およびグジャラート州の繊

維産業クラスターには専門熟練工や職人がそろっているため、これらの地では主に絞り染めおよ

びブロック捺染繊維製品の製造が行われている。同様に、主にラクナウでは、専門熟練工の手に

より刺繍入り綿布・衣服製造が行われている。ラクナウのこうした手工業は、過去 3 世紀もの間、

何世代にもわたって引き継がれてきたものである。

製造工程 地理的集積地

紡績 Tamil Nadu, Gujarat, Maharashtra, Madhya Pradesh

編み織 Punjab, Tamil Nadu

製織 Tamil Nadu, Gujarat

衣料品製造 Delhi, Gujarat, Maharashtra, Madhya Pradesh, Karnataka, Tamil Nadu

出所: D&B インド

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2.3.1. クラスター発展の成功要因

各クラスターでは、その参加企業同士が相乗効果的協力関係を築き、全企業の競争力の向上を

図っており、結果としてクラスター全体の売上高増加だけでなく対外輸出の増大につながってい

る。クラスターの一員となった企業は市場機会の開拓、特殊な原料や労働力の確保、マーケティ

ングおよび販売促進活動、公共施設を利用した認証取得やトレーニング等にかかる時間、労力、

およびコストを節約することができ、これがすべての企業の効率改善につながる。さらに、クラ

スターは事業の成功に伴って、トレーニングセンター、職業技術専門学校、各種試験・検査設備、

組合、および金融機関などの機関業務を組織的に展開することができる。

図 2.1 インドの繊維アパレル産業クラスター

出所: D&B インド

インド国内の繊維産業クラスターは 70 を超えているが、輸出については全クラスターが成功

を収めている訳ではなく、コスト、経営、出荷などの効率化を集約的に実現したクラスターのみ

が順調に業績を伸ばしている。その上、一般にこうしたクラスターは需要主導型産業であり、そ

の発展には競争が不可欠である。輸出数量制限(クォータ制)の撤廃後、ティルプルのように効

率化が実現されたクラスターでは海外からの受注高が増加している一方、製品の出荷が効率化さ

動力織産業

アパレル製品産業

レース/刺繍産業

家庭用繊維製品産業

手加工業

手織産業

絹産業

産業用繊維工業

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れておらず、受注が減尐しているクラスターも存在する。従って、競争が激化し、より多くの海

外バイヤーが現在、低コスト、高品質、迅速な出荷、および安定した取引関係といったプラス要

素を複合的に求めるようになっている現在、こうしたクラスターの発展を支援することが急務と

なっている。

表 2.3 インドの繊維アパレル産業における主要製品製造中心地

地域/都市名 製品種類・地域特徴

Tirupur & nearby cities 綿製ニットウェア輸出中心地

Mumbai & Sholapur 動力織による織物の輸出中心地

Ludhiana & Kanpur 紡毛ニットウェア製造中心地

Kolkata 綿製衣料品・メリヤス製品

Bangalore 大手メーカー集積地

出所: D&B インド

ティルプルのクラスターは主に、強力な影響力を持つティルプル輸出業者組合の支援を得て、

そのビジネス持続可能性の向上に成功している。

ケーススタディ: ティルプルのニットウェア産業クラスター

タミル・ナードゥ州コインバトール近くに位置するティルプルは、綿製ニット衣料品の製造を

専門として行っていることから「T シャツ・シティー」とも呼ばれる。ティルプル クラスターの

2007 年度の輸出総額は 1,125 億インドルピーに上ると推定されている。

ティルプル クラスターの発展: 1985 年以前、ティルプルのニットウェア産業クラスターでは、

ニットウェア製造のバリューチェーンにおける主要製品が安価な綿製メリヤス製品(大部分が下

着類)であり、またクラスター企業間の連携はほとんど行われていなかったため、輸出業は重要

視されていなかった。しかし、1990 年にティルプル輸出業者組合(TEA)が設立されて初めて、

企業間の協力体制が強化され、集約的に効率化が図られた。TEA による経済開発活動が開始され、

繊維関連企業による投資が増大した結果、ティルプルクラスターは飛躍的成長を遂げた。例えば、

同クラスターからの輸出額は、1990 年にわずか 30 億インドルピーにも満たなかったのに対し、

2004 年には 440 億インドルピーを超える結果となり、輸出業者の数は約 50 から 500 以上に増え

た。また全企業の平均従業員数は、わずか 50 人から 150 人以上へと増加した。同クラスターで

は現在、T シャツ、スポーツウェア、ポロシャツ、スウェットシャツ、婦人服、子供服、ナイト

ウェアなど幅広い種類の製品を製造している。

ティルプルには、繊維製品製造の各工程を担う生産施設が 5,000 以上存在しており、そのうち

約半数が編み織・縫製工場である。同クラスターの衣料品製造施設は 2,500 を超え、その業務の

大部分を外注・下請け業者に委託している。衣料品製造の発展に伴い、同クラスターで紡績、漂

白、染色、捺染などを行う関連産業も成長を遂げている。結果としてティルプルクラスターはよ

り大規模な垂直的統合を推進し、こうした縦型経済組織の恩恵を被っている。

同クラスターの急成長を促進しているもう一つの重要な要因は、同クラスターがコインバトー

ルの綿糸紡績工場群に近接していることにより、原料を容易に、しかも迅速に入手できる点であ

る。さらに、各工場が現代技術に投資を行っており、短期間で特注サンプルおよび現物の納入を

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可能にしていたことも一因である。また、過去数年にわたり、衣料品製造施設は先端技術を導入

し、コンピュータ化されたハイテク編機・刺繍用機械、本格的な加工機器、個人用機械、圧縮成

型機などが数多く輸入された。

同クラスターはまた、州および中央政府による数々の技術的・財政的インセンティブおよび支

援の恩恵も受けている。政府はさらに、同地域のインフラ整備対策も行っており、例えば工業需

要に応えるための水道事業や電力需要を満たすための風力発電事業、廃水処理工場の設置、そし

てノイヤル川の橋梁工事などが実施されている。

同クラスターはさまざまな経済開発活動に積極的に取り組んでいる。TEA は 2006 年 2 月に物

流企業 St John Freight Systems Ltd と共に TEA-St John Logistics Private Limited という会社を設

立し、合弁事業を進めている。同会社は、ヨーロッパ向け衣料品の保管・流通拠点としてベルギ

ーのアントワープに系列会社を設立する予定であり、これによりティルプルの販売業者とヨーロ

ッパのバイヤーの間にサプライチェーンを確立する。同会社は貿易商社としての役割を果たすだ

けでなく、物流サービスの提供も行い、その過程で、アントワープの倉庫でティルプルの販売業

者のファッション関連新製品の展示を行う計画である。また将来は、ヨーロッパ主要都市で自社

の小売店の経営に踏み出す計画もある。

2.3.2. 家庭用繊維製品産業クラスター

家庭用繊維製品部門は、国際市場において急成長を見せている。インドの家庭用繊維製品は、

素晴らしいデザインのバラエティ豊かな製品の数々を他に負けない低コストで提供できること

から、一躍世界で脚光を浴びている。インドにおける同製品の製造は主に、ハリヤナ州パーニー

パット、ケララ州カヌール、タミル・ナードゥ州バハヴァニおよびセンニマライ、同州カルール、

マハラシュトラ州ソラプールの 5 つのクラスターで集中的に行われている。

表 2.4 主要な家庭用繊維製品産業クラスター

所在地 製品

anipat カーペット、ダーリ(厚織り綿布)、ベッドリネン、掛け布、食卓用リネン、

バスマット、台所用製品

Karur ベッドリネン、台所用リネン、トイレ用リネン、食卓用リネン、カーテン、

ドレープ、その他既製品

Bhavani&Chennimalai カーペット、ラッグラグ、ベッドカバー、プレースマット、ランナー類、ナ

プキン、掛け布、食器用ふきん、クッションカバー、台所用品

Sholapur ジャカード織チャードル(頭巾型衣装)

Mumbai ベッドカバー、枕、クッションカバー

出所: D&B インド

2.3.3. 経済特別区(SEZ)および繊維産業地区の役割

インド政府は現在、繊維アパレル製品の対外輸出を拡大するべく、国内の複数箇所で繊維アパ

レル産業地区開発プロジェクトを推進している。これらの地区のほとんどが、高い成長ポテンシ

ャルを有する繊維産業クラスターに位置しており、繊維工場、加工および補助工場を保有し、ま

た水道設備、自社発電所を含む電力設備、廃水処理施設、通信回線、試験室、デザインセンター、

製品倉庫、原料倉庫、機械器具など、さまざまな施設・設備を備えている。さらに、こうした地

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区では、従業員用の宿舎や休憩施設、食堂、レクリエーション施設を設置し、社会的発展を目指

した取り組みも行う予定である。

表 2.5 インドの繊維アパレル産業地区

プロジェクト名 所在地 州 工場数 年間生産量

(単位:千万ルピー)

Hyderabad Hi-tech Weaving

Park

Mahboog

Nagar

Andhra

Pradesh 109 450

HindupurVyapar Apparel Park

Limited Ananthpur

Andhra

Pradesh 171 340

Pochampally Handloom Park

Limited Pochampally

Andhra

Pradesh 28 35

Brandix India Apparel City

Private Limited

Vishakhapatn

am

Andhra

Pradesh 17 7000

MAS Fabric Park (India) Ltd. Nellore Andhra

Pradesh 16 2500

Gujarat Eco Textile Park Limited Surat Gujarat 33 850

Mundra SEZ Textile & Apparel

Park Limited Kutch Gujarat 15 740

Farideal Textile Park Surat Gujarat 53 1200

Vraj Integrated Textile Limited Kheda Gujarat 21 647

Sayana Textile Park Surat Gujarat 50 1312

Surat Super Yarn Limited Surat Gujarat 54 1250

RJD Integrated Textile Park Surat Gujarat 115 597.54

Metro Hi-tech Co-operative Park

Limited Ichalkaranji Maharashtra 125 200

Pride indiaCo operative Textile

Park Limited Ichalkaranji Maharashtra 170 225

Baramati Hi Tech Textile Park Baramati

35 347

Shri Dhairyashil Mane Park

Co-operative Society Limited Ichalkaranji Maharashtra 167 370

Deesan Infrastructure Pvt. Ltd. Dhule Maharashtra 52 2134.53

AsmeetaInfratech Pvt. Ltd. Bhiwandi Maharashtra 65 1045.52

Islampur Integrated Textile Park Islampur Maharashtra 12 904

Latur Integrated Textile Park Latur Maharashtra 20 617

Purna Global Textiles Park Ltd. Hingoli Maharashtra

200 The Great Indian Linen & Textile

Infrastructure Company Perundurai Tamil Nadu 20 520

SIMA Textile Processing Centre Cuddalore Tamil Nadu 7 500

Palladam Hi-Tech Weaving park Palladam Tamil Nadu 105 300

Komarapalayam Hi-Tech

Weaving Park Ltd.

Komarapalaya

m Tamil Nadu 57 350

Karur Integrated Textile Park Karur Tamil Nadu 42 623

Madurai Integrated Textile Park Madurai Tamil Nadu 17 900

Vaigai Hi Tech Weaving Park Vaigai, Theni Tamil Nadu 90 361

Kanchipuram AACM Handloom

Silk Park Kanchipuram Tamil Nadu 115 118

Jaipur Texweaving Park Limited Kishangarh Rajasthan 51 550

Kishangarh Hi-Tech Textile Park

Limited Kishangarh Rajasthan 34 800

Next Gen Textile Park Pvt Ltd Pali Rajasthan 53 1050

Jaipur Integrated Texcraft Park

Pvt. Ltd. Jaipur Rajasthan 19 90

Bharat Fabtex& Corporate Park

Pvt. Ltd. Pali Rajasthan 53 921.51

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プロジェクト名 所在地 州 工場数 年間生産量

(単位:千万ルピー)

Lotus Integrated Tex Park Barnala Punjab 8 1740

Rhythm Textile & Apparel Park

Limited Nawanshehar Punjab 14 350

Ludhiana Integrated Textile

Park Ltd. Ludhiana Punjab 55 500

EIGMEF Apparel Park Limited Kolkata West Bengal 73 180

Doddabalapur Integrated Textile

Park Doddabalapur Karnataka 90 350

CLC Textile Park Pvt. Ltd. Chhindwara Madhya

Pradesh 20 400

出所: 繊維省、 D&B インド リサーチ

現在に至るまで、貧弱なインフラや物流がインドのアパレル製品輸出業者の出荷スケジュール、

ひいてはその競争力に悪影響を及ぼしてきた。このためインドの繊維産業は成長を阻まれていた

が、インドにおける IT 産業地区(ITP)の登場を追い風として、こうした制約やデメリットは大

幅に軽減される見込みである。

2.3.4. 産業クラスターに求められる強いイニシアティブ

インドの繊維アパレル工場の大多数が小規模で、事業展開も限られている。このため海外から

の大型発注になかなか対応できないでいた。従って、こうした工場は、拡大しつつある海外ビジ

ネスチャンスを活用できていないのが現状であり、輸出数量制限(クォータ制)撤廃以降、米国

や EU 諸国への驚異的な輸出増大の恩恵にあずかっているのは、ほとんどが堅調な産業クラスタ

ーの大規模繊維アパレル製造会社・企業であった。インドの繊維産業の繁栄は、繊維産業の全ク

ラスターが成功を収められるかどうかにかかっている。弱小クラスターの強化を図り、国際競争

力を向上させるための各クラスターのイニシアティブが非常に重要となる。

2.4. 市場部門 - アパレル産業

インドは、世界有数の衣料品製造国であり、2009 年のインド国内のアパレル市場規模は 1 兆

5,500 億ルピー(330 億米ドル)と推定される。

アパレル市場では、最終消費者別、用途別、または価格別に製品を分類することができる。最

終消費者別にみた製品カテゴリーは以下の 4 タイプに大きく分けられる。

表 2.6 アパレル市場における最終消費者別主要カテゴリー

製品カテゴリー 種類

メンズウェア

シャツ、スーツ、パンツ、T シャツ、カジュアルシャツ、ナイトウェア、下着、

毛織物(マフラー等)、その他民族衣装(ルンギー、ドーティ、クルター、パ

ジャマ等)

レディースウェア

民族衣装(シャルワールクルター、ランガードレス等)、サリー、ペチコート、

ブラウス、T シャツ、トップス、欧米スタイルスーツ・コート・ブレザー、ス

ラックス、スカート、ランジェリー、羊毛ショール・上掛け、ナイトウェア

キッズウェア ベビースーツ、スモック、ハーフパンツ、寝間着、シャルワールカミーズ、シ

ャツ、スカート、パンツ、T シャツ、トップス、チュニック

ユニセックスウェア ジーンズ、羊毛衣料(セーター、ショール、ジャケット等)、スポーツウェア

(ジャージ、ショーツ、トラックパンツ等)、ソックス、タイ、スカーフ

出所: D&B リサーチ

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メンズウェア部門が最も大きく、レディースウェアがそれに続く。しかし、レディースウェア

部門が着実に成長していることから、そのアパレル市場全体に占めるシェアの増大が予想される。

グラフ 2.8 インドのアパレル市場 (2009 年)

2.4.1. メンズウェア

メンズウェアの製品構成は、他の部門に比べ、よりシンプルである。販売シェアを見ると、製

品カテゴリーの中で最大のシェアを占めるのがシャツ、2 番目がパンツとなっている。シャツは

さらに、フォーマルウェア、カジュアルウェア、オケージョナルウェア(特別行事用)の 3 タイ

プに分類される。さらに価格設定や購入者のプロフィール(都市圏・非都市圏)に基づいて分類

することも可能である。インド市場ではさまざまなメーカーおよびブランドが製品展開を行って

いる。中には、一社で種々のブランドを立ち上げている企業もあれば、さまざまなサブカテゴリ

ー別にブランド展開している企業もある。シャツは、デザインが多彩で、その素材もさまざまで

あるが、綿よりも混紡生地を用いたシャツの人気が高い。その裏付けとして、2009 年における綿

のシャツの売り上げは全体の 29.93%であったが、これに対し、化学繊維製・混紡生地製のシャ

ツは 70.07%と高いシェアを占めた。

出所:アパレル産業による推定値

36%

32%

25%

7%

メンズウェア レディースウェア

キッズウェアおよびユニフォーム ユニセックスウェア

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グラフ 2.9 2009 年のメンズウェア主要製品販売数(卖位:百万点)

出所: 繊維委員会による 2010 年度全国世帯調査

インド農村部では、男性消費者は依然としてドーティ、ルンギー、クルター、パジャマなどの

伝統的な民族衣装を好んで着用しているが、近年では、シャツ、パンツ(ズボン)、ジーンズな

どの需要も高まっている。

パンツ(ズボン)部門はその規模を徐々に拡大しており、同製品市場全体の販売数は 2008 年

に 3 億 2,300 万点であったのに対し、2009 年には 3 億 5,100 万点に増加した。また、メンズパ

ンツに関してはテーラーメイドから既製品に切り替える男性が増えているようである。

グラフ 2.10 2009 年のメンズウェアの市場シェア (%)

出所: 繊維委員会による 2010 年度全国世帯調査

2.4.2. レディースウェア

アパレル市場全体に占めるレディースウェアのシェアは着実に伸びている。こうした成長を支

える要因の一つとして、インド都市部において労働市場に参入する女性が増加していることが挙

げられる。経済的自立を手に入れたことで、衣料品、特に仕事着(フォーマルウェア)にも普段

461

351

182 199

101

230

シャツ パンツ ジーンズ Tシャツ ドーティ ルンギー

43 42 35

21 14

57 58 65

79 86

シャツ パンツ クルター ドーティ ルンギー

都市部 農村部

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着にもお金をかけることができるようになったのである。レディースウェアのトレンドとしては、

サービス産業に参入する若い女性が増えたことにより、欧米スタイルのファッションが好調に推

移している。しかし、本カテゴリーにおいては依然として、サリー、シャルワールカミーズなど

の民族衣装の売り上げが圧倒的に多い。

グラフ 2.11 2009 年レディースウェア主要製品販売数 (卖位:百万点)

農村部の女性は、その大半がサリー、シャルワールカミーズなどの民族・伝統衣装を好んで着

用する。都市部でも、欧米スタイルの衣服に加え、特別な行事にはサリー等の伝統衣装が着用さ

れ、また伝統的なシャルワールカミーズは仕事着としての人気も高い。

グラフ 2.12 2009 年レディースウェア市場のシェア

出所: 繊維委員会による 2010 年度全国世帯調査

39.04 35.76 38.48 37.79 31.82

62.5

100

60.96 64.24 61.52 62.21 68.18

37.5

都市部 農村部

出所: 繊維委員会による 2010年度全国世帯調査

1729

425 369

186 88 27

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

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2.4.3. キッズウェア

キッズウェア部門もまた成長しているが、これは国民の可処分所得が増え、またさまざまなブ

ランドの製品が入手可能となったためである。加えて最近ではますます多くの女性が労働市場に

参入を遂げていることで、その子供の衣服に多くの費用を投じるようになったことも一因となっ

ている。また、制服はこの部門を構成する主要品目の一つである。

グラフ 2.13 2009 年・国民一人当たりの購入額(卖位:ルピー)

2.4.4. ユニセックスウェア

本カテゴリーを構成するのは、カジュアルウェア、スポーツウェア、スカーフ等の服飾品、帽

子、セーターなどの製品である。これら製品の消費者は主に若年層であり、本カテゴリーの認知

度が上昇し、小売店への露出度が上がったことで、その売り上げは増大している。

49.0441.76

7.64 6.09 3.060

10

20

30

40

50

60

出所: 繊維委員会による 2010 年度全国世帯調査

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3. 製品製造および貿易

インドは、原料繊維が豊富で、十分な労働力を確保できる利点を生かし、世界有数の繊維アパ

レル製品製造国となっている。ここ数年にわたり、同産業では各施設の大幅な製造容量補強を行

っており、数々の現代科学技術を導入するなど、製造能力強化に多額の投資を行っている。

3.1. 製造傾向

3.1.1. 製糸

ここ数年の間に、紡績糸および人造フィラメント糸製造業は成長を続けている。しかし、国内

市場および輸出市場双方における需要が低下していることから、その成長率には年によってばら

つきが見られる。

2010/11 年度までの 5 年間、インドの糸製造は全部門を合わせ、CAGR(年平均成長率)6.2%

の割合で成長を続け、その総製造量は 63 億 kg となった。糸製造部門別に見ると、同期間の紡績

糸製造は、綿糸製造の順調な伸びに後押しされ、CAGR6.4%の割合で、一方人造フィラメント糸

製造は同 5.6%の割合でそれぞれ成長を遂げた。紡績糸製造部門では、2010-11 年度、綿糸の製

造量が 35 億 kg と、全体の 70%を超えるシェアを占めた。輸出規制が撤廃されたことで、国際貿

易の状況には変化が表れ、各企業はその生産能力拡大の促進を図っていると言える。綿糸以外の

糸は、紡績糸だけでなくフィラメント糸にも加工される。

グラフ 3.1 糸製造量 (卖位:十億 kg)

出所: 繊維委員会

人造糸製造部門の中で、その総製造量の約 90%と最大のシェアを占めるのがポリエステル フ

ィラメント糸である。2010/11 年度までの 5 年間、同糸の製造は CAGR(年平均成長率)6.3%の

割合で安定成長を達成した。一方、同期間のビスコース フィラメント糸、ナイロン フィラメン

ト糸、ポリプロピレン フィラメント糸の製造については、その動向に変動が見られる。

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0 Spun Yarn

Cotton Blended Non-cotton

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8 Man-made Filament Yarn紡績糸 人造フィラメント糸

綿糸 混紡糸 綿以外の糸

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表 3.1 インドの主要な糸/繊維製造企業

会社名 糸/繊維の種類

Reliance Industries 合成繊維

Grasim Industries 合成繊維

Indo Rama Synthetics 合成繊維

Vardhman Textiles 綿、混紡、綿以外

Century Enka 合成繊維

Garden Silk Mills Ltd. 合成繊維

Aditya Birla Nuvo Ltd 合成繊維混紡

RSWM Ltd 合成繊維混紡

Sanghi Polyesters Ltd. 合成繊維

Modern Syntex (India) 合成繊維混紡

出所: 産業レポート

3.1.2. 生地製造

2010/11 年度までの 5 年間、インドにおける生地の製造は CAGR 4.8%の割合で成長を続け、そ

の製造量は 625 億 m2となった。生地製造部門別に見ると、同期間の綿生地製造は CAGR 5.9%の

割合で、一方合成繊維生地の製造は同 3.1%とより緩やかなペースで、それぞれ成長を遂げた。

しかしながら 2009 年度には、国際市場および国内市場における景気低迷により、生地の製造量

は落ち込みを見せた。

グラフ 3.2 生地の製造量 (卖位:十億㎡)

出所: 繊維委員会

2010/11 年度統計では、インドにおける生地製造の約 61%を担うのが動力織部門であり、これ

に約 24%のメリヤス製品部門が続いている。

綿織物 混紡織物 カダール・毛・絹織物 合成繊維織物

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グラフ 3.3 部門別生地製造の割合

インドの主要な生地製造企業数社を以下に示す。

表 3.2 インドの主要生地製造企業

Arvind Mills Ltd SRF Ltd Ashima Ltd

Raymond Ltd Alok Industries Ltd Bombay Dyeing & Mfg. Co. Ltd

S Kumars Nationwide Ltd Krishna Knitwear

Technology Ltd

KSL Realty & Infrastructure

Ltd

出所: 産業レポート

3.1.3. 既製品

既製品とは、ベッドリネン、食卓用リネン、麻布、袋物、毛布、カーペット、マットレス、ク

ッション、魚網、テリークロス(タオル地)、室内装飾材料などの衣料以外の完成繊維製品のこ

とである。既製品はさらに、その原料によって、綿既製品、綿以外の既製品、および混紡既製品

に分類される。インドで製造される既製品のほとんどが綿製で、全製造量の 87.4%以上を占めて

おり、以下、混紡既製品が 10.1%、綿以外の既製品が残る 2.5%のシェアを占めている(2006 年

度データ)。

既製品の種類については、インドで製造される全既製品のうち最大のシェア(70%以上)を占

めるのがベッドシーツであり、以下、麻布、その他既製品と続く。その他既製品としては、カー

テン、室内装飾用繊維製品、タオル、タオル地、蚊帳、フィルター、リント布、ベッドカバー用

木綿地などがある。インドにおける主要既製品製造企業の例としては、Welspun India、Abhishek

Industries、Alok Industries、Garware-Wall Ropes Ltd.、 Alps Industries Ltd などが挙げられる。

3.1.4. アパレル製品

生地は、既製品のほかに、仕立ての必要のないアパレル製品である既製服の材料ともなる。イ

ンドでは従来、地元の洋服店で仕立てた衣服を着用するのが一般的であったため、インド製造業

の歴史においては、既製服というコンセプトは比較的新しい。2000 年まで、アパレル製品製造業

は小規模セクターに向けた保護策の対象となっており、非小規模工業(SSI)の工場ではその全

分散型動力織部門

61%

分散型メリヤス製

品部門

24%

手織部門

11%

製造工場部門

4%

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製品製造量の半分以上を輸出に充てている場合のみアパレル製品の製造を行うことが可能であ

った。以降、国内市場用アパレル製品の製造に対して規制緩和は行われたものの、製造部門のほ

とんどが細分化され、かつ組織化されていないのが現状である。インドには大規模なアパレル製

品製造企業がいくつか存在するが、その多くが主に数々の海外ブランド製品の製造、輸出を行っ

ている。

表 3.3 インドの主要アパレル製品製造企業

Pantaloons Retail (India) Ltd Aditya Birlal Nuvo Ltd Vishal Retail Ltd

Gokaldas Exports Ltd Rupa & Co. Ltd Raymond Apparel Ltd

Orient Craft Ltd S P L Industries

出所: 産業レポート

既製品および既製服の製造に関するデータの収集は、政府関係機関が定期的に行っているわけ

ではなく、またその他情報源によるデータの公表も行われていない。家庭用繊維製品の家計消費

状況については、繊維省が毎年行う綿密な調査によるデータがまとめられている。しかし、産業

用、業務用、およびその他非家庭用繊維製品の消費に関するデータ収集は行われていない。

3.2. 繊維製品およびアパレル製品の貿易

インドは、繊維製品およびアパレル製品産業の国際的サプライチェーンにおける重要な中継地

点である。従来、これら両製品はインドの主要な輸出品目であり、年によりその成長率にはばら

つきが見られるものの、これら製品の輸出は年々順調に伸びている。一方、同製品の輸入もまた

ここ数年間で伸びを見せているが、輸出に比べるとその規模は比較的小さい。

3.2.1. 繊維製品およびアパレル製品の輸出

2010/11 年度までの過去 5 年にわたり、繊維製品およびアパレル製品の輸出は CAGR 9.3%の割

合で成長を遂げた。世界的な景気低迷およびインドの主要輸出相手国の需要低下が原因となり、

2008 年から 2009 年にかけて輸出額は 3.5%落ち込んだが、近年、輸出は著しい成長を見せてい

る。繊維製品の輸出規制の撤廃を受けて、EU 諸国および米国への繊維・アパレル製品の輸出にプ

ラスの影響が表れていると言える。

グラフ 3.4 繊維・アパレル製品の輸出額 (卖位:十億米ドル)

10.8 12.1 12.615.8 17.4

20.2 19.5 20.824.7

0

5

10

15

20

25

30

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

出所: DGCIS、繊維省

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輸出製品の種類は、既製服、綿製品、手織繊維製品、合成繊維製品、羊毛製品・毛織物、およ

び絹製品など、多岐にわたる。繊維・アパレル製品の輸出は、インドの輸出収入全体の大半を占

める主要ファクターの一つとなっている。

グラフ 3.5 繊維・アパレル製品輸出の内訳 (2011 年度)

既製服

43%

合成繊維製品

19%

絹製品

2%

毛織物

2%

綿製品

34%

出所: DGCIS、繊維省

インドの繊維・アパレル製品輸出全体のうち、合計で 70%を超える割合を占める主力製品が既

製服・アパレル製品、そして綿製品である。インドでは、繊維・アパレル製品の材料となるのは

圧倒的に綿が多い。インドのアパレル産業は、さまざまな種類の原料、他国に負けない人件費の

安さ、専門知識・技術などがすべて十分にそろい、また経済発展の軸となる取引体系が整ってい

るなど、多くの利点の恩恵にあずかっている。

インドの繊維・アパレル製品の主な輸出先は米国および EU 諸国である。これら製品の最大輸

出先は、全体の約 19%を占める米国であり、以下、UAE、英国、ドイツおよびフランス(同割合)、

イタリア、スペイン、トルコと続く。

グラフ 3.6 インドの繊維・アパレル製品の主要輸出先 (2011 年度)

米国

19%

UAE8%

英国

7%

ドイツ

7%

フランス

3%

その他

56%

出所: DGCIS

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過去 5 年間において、綿製品、合成繊維製品、およびアパレル製品の輸出は順調に伸びている。

一方、同期間における絹製品の輸出は減尐傾向をたどっている。

グラフ 3.7 繊維・アパレル製品輸出製品の内訳

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

綿製品 合成繊維製品 絹製品 紡毛織物 既製品

出所: 産業レポート

インドで製造される既製服の輸出先内訳については、EU 諸国を合計した割合が最大となってお

り、次に大きなシェアを占めるのが米国となっている。

グラフ 3.8 既製服の主要輸出国 (2011 年度)

出所: DGCIS

アパレル製品の種類別に見ると、カジュアルウェアの輸出が全体の約 3 分の 2 と最大のシェア

を占めている。その他の主要輸出製品には、フォーマルウェア、キッズウェア、スポーツウェア、

肌着類などがある。インドでは、冬服・防寒服用素材(羊毛)が手に入りにくい一方、綿が豊富

米国

26%

英国

11%

ドイツ

9% UAE

9% フランス

6%

スペイン

5%

その他

34%

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に入手できる特性を生かし、主に西洋諸国で夏場に着用するアパレル製品の輸出を行っている。

対象消費者別製品カテゴリーについては、アパレル製品総輸出量の約 70%を占めるのがレディー

スウェアであり、残りの 30%を構成しているのがメンズウェアおよびキッズウェアである。

3.2.2. 繊維・アパレル製品の輸入

繊維・アパレル製品の輸入は年々増加しており、2010/11年度末までの過去 5年間にCAGR 8.6%

の割合で成長を遂げた。これら製品の 2010/11 年度の輸入額は 31 億米ドル(前年比 20.5%増)

であった。

グラフ 3.9 インドの繊維製品輸入 (卖位:十億米ドル)

輸出のケースと異なり、繊維・アパレル製品全体のうち輸入される割合が圧倒的に大きいのは

繊維製品であり、そのシェアは約 95%、残りの 5%がアパレル製品となっている。繊維製品部門

では、含浸織布(プラスチックや金属などで加工した素材を用いた特殊産業用生地)および合成

繊維製品の輸入が最も多い。綿製品および絹製品は、2011 年度に輸入された全繊維アパレル製品

のそれぞれ 8%ずつを占めている。

グラフ 3.10 インドの輸入繊維・アパレル製品の内訳 (2011 年度)

出所: DGCIS

2.1 2.12.5 2.6 2.6

3.1

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)出所: DGCIS

紡毛織物

1%綿製品

8%

人造フィラメ

ント糸28%

絹製品

5%

既製品

7%

その他繊維製

品46%

アパレル製品

5%

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29 29

37

43

52

62

10 11 14 12 9 13

49

54

60 61

67

82

FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)

MMF yarn Other textiles T&G Imports

過去 5 年にわたり、アパレル製品、既製品、およびその他繊維製品の輸入が増加、一方、紡毛

織物および絹製品の輸入は減尐傾向を見せている。

グラフ 3.11 繊維・アパレル製品の輸入動向

インドの繊維・アパレル製品輸入先については、その大半がアジア諸国であり、中でも最大の

輸入先の一つとして近年台頭しているのが中国である。その他、インドの同製品の主な輸入先と

して、米国、香港、韓国、パキスタン、イタリア、そしてバングラデシュなどが挙げられる。

日本からの繊維・アパレル製品の輸入は、過去 5 年間で着実に伸びており、その輸入額は 2006

年度に 4,850 万米ドルであったが、2011 年度には 8,250 万米ドルとなり、CAGR 11.2%の割合で

成長を遂げている。こうした日本からの輸入増大の原動力となったのは、2006 年度から 2011 年

度までの期間に CAGR 17%の割合で成長を遂げた人造フィラメント糸輸入の急増であり、同糸の

みで同国からの輸入量全体の約 75%を占めた(2011 年度)。この次に輸入量が多かったのが、

その他繊維製品であった。

グラフ 3.12 日本からの繊維・アパレル製品の輸入 (卖位:百万米ドル)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 (P)紡毛織物 綿製品 人造フィラメント糸絹製品 既製品 その他繊維製品アパレル製品

出所: DGCIS

人造フィ

ラメント

その他繊

維製品

繊維・アパレ

ル製品総輸

入高

出所: DGCIS

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3.3. 流通経路

インドの繊維アパレル産業はさまざまな部門や分野に細分化されており、その結果、販売部門

および流通網はそれぞれ独立システムを取っている。その中間に位置する中間業者もさまざまで、

流通網を構成する要素として、中間流通業者、卸売業者、輸入業者、発注代行業者、小売業者、

販売業者、仲買問屋などが存在する。こうした大規模な流通システムによる、原料購入から製品

(衣料品)製造、出荷までの平均リードタイムは約 45 日から 60 日(場合によっては最長で 80

日)、一方海外向け発送リードタイムは約 30 日から 35 日となっている。

繊維製品は、以下のようなさまざまな流通経路・形態を通じて販売されている。

企業が所有する小売店舗

小売店への売切り

フランチャイズ店

仕入れ業者、販売代理店、および小売店

自社の小売店舗を所有する主要企業には、Arvind Mills や Color Plus などがある。大型企業の多

くに支持されているのは、小売店への売切りという形態である。こうした形態を取っている主な

企業には、Louis Philippe や Aditya Birla Group などがある。さらに、フランチャイズ店を展開す

る形でインド市場への参入を果たしている外国企業も数多く存在する。また、大型小売店の登場

により、一つの店舗でより幅広い種類の、かつ大量の製品を取り扱う必要性が生じている。

インドでは、繊維製品の 60%以上が、卸売業者、販売代理店、および数多くの小規模小売店な

どから成る流通ネットワークを通じて、工場渡しの形で引き渡され、また最終消費者・ユーザー

へと販売されている。流通経路に関するもう一つの特徴としては、製造業者または輸入業者への

受注の確保および統合管理を行う「代理業者」の強力な存在感が挙げられる。輸出は、輸出商社

または世界的に事業を展開する大型アパレル小売業者の発注担当部署を通じて行われるのが一

般的である。

大型輸出商社には、サプライチェーンの各拠点専用部門があり、例えばデザイン部門では、デ

ザイナーやスタイリストたちが、バイヤーの要求、新しいトレンド、および売り上げに基づいて

繊維製品や衣料品の開発を行っている。その他部門としては、要求された、または指定された生

地や装飾材料の調達を専門に行うグループ、生産フロアとの連携を密にしながら製品製造計画お

よび管理を行うチーム、定期的な検査手順を通じて製品が指定の要件を満たしている保証を行う

品質管理チームがある。

サプライチェーンには、もう一つ別の工程段階がある。輸出商社は注文業務を、場合によって

は輸出商社からの受注を行う取引業者や仲介業者に下請けに出し、発注作業を委託している。そ

してそれを基に、顧客・取引先の要求および注文に従って製造業者から生地を買い付ける。一般

的に輸出商社は、各製造業者との独自の取引ベース、専用デザイナーチーム、および品質管理担

当グループを有している。

アパレル製造業は注文生産型ビジネスと言える。一般的に、アパレルメーカーは、特約販売業

者または代理店を通じて原料その他必要素材を調達する。卸売レベルの取引業者は、工場の代理

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業者を通じて、または動力織工場および既製服の家内生産施設から直接、生地やアパレル製品を

購入する。生地の買い付けが代理業者を通して行われるのは、一般的に、買い付け数量の尐ない

卸売業者に対して工場が直接販売を行わないためである。代理業者は通常、2 カ所以上の工場と

取引を行い、生地を卸売業者に供給して手数料を受け取る。小規模卸売業者は概して、他の大型

卸売業者から直接製品の購入を行うが、こうした大規模・小規模卸売業者の間にも代理業者が介

在することがある。

表 3.4 取引業者の生地およびアパレル製品の購入パターン (シェア:%)

工場から直接

購入

動力織工場か

ら直接購入

既製服家内工場

から直接購入

代理業者を

通じて

その他卸売業

者を通じて

卸売業者 21.43 7.14 7.14 50.00 14.29

小売業者 12.00 12.00 12.00 20.00 44.00

出所: インド国立応用経済研究所(NCAER)

繊維製品の卸売業者は、製品を 3~4 社の中間業者(代理業者、小規模卸売業者、既製服製造

施設、小売業者、小規模小売業者等)に販売する。小売業者は製品をより小規模な小売業者また

は最終消費者に販売するが、小売業者の約 81%が直接最終消費者への製品販売を行っている。

表 3.5 取引業者の生地およびアパレル製品の販売パターン (シェア:%)

対代理業者

対小規模卸売

業者 対既製服工場

対小売業者/小

規模小売業者 対最終消費者

卸売業者 18.00 35.00 12.00 35.00 -

小売業者 - - - 19.00 81.00

出所: NCAER

取引業者のほとんどが、毎回同種の得意先と取引を行い、同種の製品を扱っている。生地およ

びアパレル製品は、小規模・大規模小売店双方で、また会社が所有するショールームや小売チェ

ーンを通じて販売される。一般消費者が製品を購入する店舗はさまざまであるが、約 95%の繊維

製品が個人小売店で販売されており、また 2009 年の統計では、全繊維製品の約 4.4%は露天商、

行商人、週卖位で催される雑貨市などを通じて消費者の手に渡っていることが分かった。その他

消費者への製品販売拠点として挙げられるのは、大規模工場(ミル)所有の小売店、百貨店、適

正価格販売店、Khadi Bhandar(カダール織・手織物商店)、仕立屋兼小売店、卸売業者、半卸売

業者などがある。

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グラフ 3.13 製品販売拠点・店舗(2009 年)

94.57%

4.43%

0.09%

0.48%

0.13%

0.26%

0.04%個人小売店 露天商/行商人/週単位の雑貨市

仕立て屋兼小売店 百貨店/適正価格販売店

卸売業者/半卸売業者 工場所有の小売店

Khadi Bhandar

出所:繊維委員会による 2010 年全国世帯調査

3.3.1. 年間需要パターン

インドでは、繊維製品は一年を通して常に購入されているが、その量は月によって異なる。繊

維製品の需要が高まり、結果として購入量が増えるピーク期間は、ディワーリという灯明の祭が

開催され、また結婚シーズンの始まる 10 月となっている。この祝祭の季節の間、平均的なイン

ドの家庭では家族の全メンバーが衣料品を購入し、また部屋の模様替えを行うことから同期間の

家庭用繊維製品購入量は増加する。

グラフ 3.14 2009 年における国民一人当たりの繊維製品購入額 (卖位:インドルピー)

149

120 125

157143 139

107

128 134

223

132

197

0

50

100

150

200

250

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

出所:繊維委員会による 2010 年全国世帯調査

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繊維製品の購入量は、インドが雨季に入る 7 月が最も尐ないが、この期間にはレインコートや

防水服の需要が高まる。輸出市場の需要は、クリスマスや新年に向けて 12 月に、またインドか

らの輸出の多くを夏服が占めることから夏季の数か月間に、それぞれピークに達する。

3.3.2. バリューチェーンにおける季節的変化

こうした季節による需要の変化に合わせて、アパレル製造企業は生地の、また生地製造企業は

糸の発注の時期をそれぞれ決定する。生地の発注については、一般的に上記各ピーク時期の約 40

日前に行われる。結果的に、インドにおける生地の需要ピーク時期は 5 月から 12 月となってい

る。

生地は最終製品(衣料品)の需要に、また原料繊維はその出回り期にそれぞれ基づいて調達を

行う。インドにおける綿の生産については、3 月から 9 月の期間に種をまき、栽培を行って、9

月から 4 月にかけて収穫を行う。収穫された綿が市場に出回るピーク時期は 11 月から 3 月であ

り、紡績工場は通常 11 月から 12 月に綿の大量仕入れを行って、翌年の 10 月、11 月までに原料

として必要な分すべてを確保しておく。最終的に、インドで生産される綿の 80%以上は 3 月末ま

でに完売し、一般的に各企業は綿を半年間にわたり在庫しておくこととなる。

しかし今年、綿の価格は激しく変動しているため、各企業は綿の仕入れを行っておらず、短期

的に必要となる分のみ調達を行う計画である。

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4. 規制および支援環境

インドの繊維アパレル産業は、歴史的に見て、雇用機会の増加を図る目的で小規模工業(SSI)

の発展を目指し、政府が介入する傾向が強く、多くの規制が課されてきた。その結果インドでは、

組織化された大規模工場セクターが、中国その他の国々ほど発展を成し遂げるに至っていない。

本産業は、本質的には小規模に展開がなされており、このことがインドの本産業の海外進出を阻

み、その潜在能力が十分に発揮されない主要因の一つとなってきた。

図 4.1 政府の政策および規制に関する変化

出所:D&B 産業研究サービス

現在、繊維アパレル産業に適用される規制シナリオは、20 年前とは大きく異なっている。1985

年以降、繊維産業部門では数々の規制が撤廃された。政府は 1985 年および 2000 年に、繊維産業

に対する 2 つの政策を導入し、以来本部門の競争力強化に焦点を当ててきた。繊維産業の許可制

は 1991 年に撤廃され、アパレル製品、メリヤス製品、およびニットウェアを対象とした SSI 保

護策は 2000 年に廃止された。また投資の面では、本部門では自動認可ルートによる 100%の海

外直接投資(FDI)が認められ、自由化が図られた。加えて、合成繊維製品の輸入税および国内

消費税は予算枠の中で数年にわたり一貫して引き下げられており、繊維製品における素材ごとの

税率の差はかなり小さくなってきている。

許認可制 許認可制の撤廃

FDI 上限あり 自動認可ルートによる

100%の FDI 認可

SSI 保護策 保護策撤廃

差別的税制 税制合理化

現 在 過 去

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4.1. 部門別規制

インド繊維省は、本部門の成長促進策を数多く導入してきた。中でも重要性が高いのが FDI 規

制緩和およびアパレル部門保護策の廃止である。

4.1.1. 海外直接投資(FDI)

当初、インドの繊維産業への海外からの投資は規制されており、同産業分野への海外直接投資

(FDI)の流入も非常に尐なかった。現在では同部門の自由化が進み、事前に政府の承認が必要

とされない自動認可ルートによる 100%の FDI が認められている。

2012 年 1 月、インド政府は、同産業小売部門における FDI 規制の緩和を実施し、小売業への

100%までの FDI を解禁した。それまで、インドでは卖一ブランド小売業に対しては 50%以下の

FDI のみが認められていた。

現在では、以下に示す条件を満たす場合に、卖一ブランド製品小売業への 100%の FDI が認め

られている。

卖一ブランド製品の販売のみを行う。

世界中、同一ブランド名で製品展開を行う。

「卖一ブランド」製品とは製造段階で商標がつく製品のみを指す。

出資を行う海外事業者はそのブランドのオーナーでなければならない。

51%を超えるFDI案件については、販売製品価格の30%以上にあたる原材料の調達を国内

の小規模産業や農村・零細産業、職人・熟練工から行わなければならない。ここで言う小

規模産業とは、その工場および機械類への投資総額が100万米ドル以下の産業を指す。工

場・機械類の評価額とは、その建設・設置時の価格を指し、減価償却についての規定は行

わない。

インドの繊維アパレル産業の輸出目標達成には多額の投資が必要となることから、同産業にと

って FDI が果たす役割は大きい。こうした同産業にとっての FDI の重要性を認識し、インド繊維

省は FDI 担当グループを設定した。同グループにより、支援および助言サポートの提供、外国企

業が共同事業パートナーを見出す手助け、業務上の諸問題の仕分け、国内の繊維製品製造および

海外投資に関するデータ管理などが行われる。

4.1.2. アパレル製品部門の保護策廃止

2000 年の繊維産業政策が打ち出される以前、インドのアパレル部門は SSI セクター向けに保護

されていたため、大型企業は、その製品総製造量の 50%以上を輸出にあてる場合のみアパレル製

品を製造することが可能であった。このような制限事項により、アパレル製品工場の能力拡大お

よび技術改良を図ることができず、同産業の成長は妨げられていた。

インドのアパレル製造業者の競争力向上を目的として、2000 年に繊維産業政策が実施されたこ

とにより、こうした制限事項は撤廃され、またアパレル製品、メリヤス製品、およびニットウェ

ア部門を対象とした SSI セクターの保護策も廃止された。これによりアパレル製造会社はその製

造規模を拡大し、アパレル産業部門においてますます増大する国内需要および輸出需要を満たす

ことができるようになり、同産業ではこうした措置が歓迎された。

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4.1.3. 財政政策

インドの繊維アパレル産業では長年にわたり、国内消費税の課税比重に偏りがみられ、組織化

された工場に比べ、小規模な生産施設が優遇されてきた。さらに、基本的な繊維製品(糸、生地

等)に比べ、付加価値繊維製品(衣料品、既製品等)に対し、より多額の国内消費税が課せられ

ていた。

しかし、ここ数年の間に、同産業の競争力向上および全般的な成長・付加価値の最大化を目指

して、課税システムは合理化され、差別的な措置はなくなりつつある。付加価値チェーン全体で

見ると、消費税免除という選択肢が与えられた。つまり、人造フィラメント糸および人造ステー

プル繊維に強制的に課される国内消費税を除き、その他繊維製品の国内消費税の課税が選択制と

なったのである。税の支払いを選択した企業は一定の税額控除が認められる。さらに、複税制度

は廃止され、全繊維製品を対象に、追加国内消費税の課税も撤廃された。

最近になって、人造フィラメントの国内消費税が引き下げられたことにより、合成繊維の製造

量は増加したが、現在の課税システムでは依然として綿が優遇される傾向があり、綿に対する国

内消費税課税が低く抑えられている。人造フィラメント製造に必要な中間製品の国内消費税は引

き続き高く設定されており、結果として人造フィラメント製造には多額のコストが必要となって

いる。インドで製造される合成繊維製品の国際的競争力の向上を目指すには、国内消費税および

関税がさらに減免される必要がある。

さまざまな繊維製品、特に人造フィラメントに課される国内消費税が徐々に引き下げられてい

る。合成繊維や合成繊維糸の関税率は、2002 年度には 20%と高かったが、2008 年度には 7.5~

10%にまで引き下げられた。これにより、合成繊維・合成繊維糸の輸入は近年増加傾向にある。

インドの合成繊維製品産業は、綿製品産業ほど国際的競争力が高くないが、近い将来に中間繊維

製品の輸入税が引き下げられれば、その競争力は高まるものと期待される。

表 4.1 インド繊維産業の国内消費税体系 (従価税% )

製品 2004

年度

2005

年度

2006

年度

2007

年度

2008

年度

2009

年度

2010

年度

2011

年度

2012

年度

天然繊維

綿 0 0 0 0 0 0 0 0 0

羊毛 0 0 0 0 0 0 0 0 0

亜麻 0 0 0 0 0 0 0 0 0

人造フィラメント/糸用原料

DMT(テレフタル酸ジメチル)、

PTA(高純度テレフタル酸) 16 16.32 16.32 8.16 8.24

8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10

MEG(モノエチレングリコール) 16 16.32 16.32 12.24 12.36 12.36#

/8.24 8.24 10.3 10.3

アクリロニトリル 16 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

カプロラクタム 16 16.32 16.32 16.32 12.36 12.36#

/8.24 8.24 10.3 10.3

パラキシレン 16 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

木材パルプ 0 0 0 0 0 0 0 0 0

綿糸 9.2 4.08* 4.08* 4.08* 4.12* 4.12*#

/0

4.12*#

/0 4.12* 5.15*

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製品 2004

年度

2005

年度

2006

年度

2007

年度

2008

年度

2009

年度

2010

年度

2011

年度

2012

年度

紡績糸 18.4 8.16* 8.16* 8.16* 8.24* 8.24*#

/4.12*

8.24*#

/4.12*

10.30

*

10.30

*

混紡糸 18.4 8.16* 8.16* 8.16* 8.24* 8.24*#

/4.12*

8.24*#

/4.12*

10.30

*

10.30

*

紡毛糸 18.4 8.16* 8.16* 8.16* 8.24* 8.24*#

/4.12*

8.24*#

/4.12*

10.30

*

10.30

*

繊維/フィラメント

ポリエステル ステープル繊維 18.4 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

アクリル ステープル繊維 18.4 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

ビスコース ステープル繊維 18.4 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

ポリエステル フィラメント糸 27.6 24.48 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

ビスコース フィラメント糸 18.4 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

ナイロン フィラメント糸 18.4 16.32 16.32 8.16 8.24 8.24#/

4.12

8.24#/

4.12 10.3 10.3

生地

綿生地 10 4.08* 4.08* 4.08* 4.12 4.12*#

/0

4.12*#

/0 4.12* 5.15*

混紡生地 10 8.16* 8.16* 8.16* 8.24* 8.24*#

/4.12*

8.24*#

/4.12*

10.30

*

10.30

*

紡毛生地 10 8.16* 8.16* 8.16* 8.24* 8.24*#

/4.12*

8.24*#

/4.12*

10.30

*

10.30

*

注: * =中央付加価値税(CENVAT)適用なしの無税、 # = 非石油系製品に適用される CENVAT の主要な

3 種の従価税率(14%、12% 、および 8%)は 10%、8%、および 4%とそれぞれ 4%ずつ引き下げられ、また

綿製品および織物製品に課される 4%の CENVAT は、世界的景気後退を背景として 2008 年 12 月 7 日にイン

ド政府が打ち出した経済刺激策の一環として撤廃された。しかし、2009 年から 2010 年の年度においては、

天然綿製品に課せられる任意の CENVAT は 4%に戻され、人造フィラメント糸・繊維を除くその他繊維製

品の CENVAT は 8%となった。人造フィラメント糸・繊維および DMT、 PTA、アクリロニトリルといった

中間繊維製品に強制的に課せられる CENVAT は 4%から 8%へと引き上げられた。 出所:繊維委員会

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表 4.2 インド繊維産業の関税体系 (従価税% )

製品

2004

年度

2005

年度

2006

年度

2007

年度

2008

年度

2009

年度

2010

年度

2011

年度

2012

年度

天然繊維

綿 10 10 10 10 10 0 0 0 0

羊毛

a) 32 ミクロン未満 5 5 5 5 5 5 5 5 5

b) 32 ミクロン 以上 5 5 5 5 5 5 5 5 5

人造フィラメント/糸用原料

DMT、PTA、MEG 20 20 15 10 5 5 5 5 5

アクリロニトリル 15 15 5 5 5 5 5 5 2.5

カプロラクタム 20 20 15 10 10 10 10 10 7.5

パラキシレン 5 5 5 2 0 0 0 0 0

木材パルプ 5 5 5 5 5 5 5 5 2.5

綿糸 20 20 15 12.5 10 10 10 10 10

合成紡績糸

20 20 15 12.5 5 5 5 5 5 (ナイロンを除く)

混紡糸 20 20 15 12.5 10 10 10 10 10

紡毛糸 20 20 15 12.5 10 10 10 10 10

繊維/フィラメント

ポリエステル ステ

ープル繊維 20 20 15 10 5 5 5 5 5

アクリル ステープ

ル繊維 20 20 15 10 5 5 5 5 5

ビスコース ステー

プル繊維 20 20 15 10 5 5 5 5 5

ポリエステルフィラ

メント糸 20 20 15 10 5 5 5 5 5

ビスコース フィラ

メント糸 20 20 15 10 5 5 5 5 5

ナイロン フィラメ

ント糸 20 20 15 10 10 10 10 10 7.5

生地

綿生地 20** 20** 15** 12.5** 10** 10** 10** 10** 10**

混紡生地 20** 20** 15** 12.5** 10** 10** 10** 10** 10**

紡毛生地 20** 20** 15** 12.5** 10** 10** 10** 10** 10**

注: ** 従価税率または特別税率のうち高い方の税率 出所: 繊維省

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4.1.4. マーク表示、ラベル表示に関する規定

消費者保護を目的とした繊維産業規制が実施され、インド国内市場で販売される生地およびそ

の他繊維製品には安全基準やマーク・ラベル表示に関する規則が課されている。対象となる製品

には、インド国内で製造された製品だけでなく、輸入繊維製品も含まれる。製品製造業者が製品

発送に向け梱包を行う際や、繊維製品の販売を行う際には、以下に示す事項についてマーク表示

するよう求められる。

上の 3.に示した事項のマーク表示は、各生地製品の表面カバーおよび全生地 1 m ごとに織端か

ら 2.5 cm 未満の部分に施し、(d) および (f)に示した事項は、生地 1 m ごとに織端部分に表示を

行う。表示文字は、トップ、糸、および生地については 0.5 cm 未満、パック入り糸については

糸、生地、および衣服のマーク表示に関する規則

出所: 繊維省

1. ウールトップ用マーク

a. メーカー名・所在地

b. 正味重量

c. 平均繊維長

d. トップの原料繊維の組成

2. 100%綿の糸用マーク

a. メーカー名またはインド国内の卸売業者名、同企業の所在地

b. 番手

c. CSP値

d. 正味重量

e. 梱包月・年

3. 綿および/または羊毛繊維を含む生地用マーク

a. メーカー名またはインド国内の卸売業者名、同企業の所在地

b. 長さおよび幅

c. 通常の水洗いによる色落ちの有無

d. (該当する場合は)二級品・損傷品の表示

e. 梱包月・年

f. 繊維組成

4. その他の指示

a. すべてヒンディー語および英語で表示する

b. 偽造表示または誤解を招くような表示は行わない

c. 偽造表示もしくは誤解を招くような表示がなされた製品、またはマーク表示の

ない製品を販売したり、販売目的で保管してはならない

d. 輸出用生地、工業的用途で各産業に供給される生地など特定の種類の生地には

マーク表示の規定は適用されない

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0.25 cm 未満、ベール梱包またはケースの場合には 3 cm 未満の高さとする。

4.1.5. 巨大クラスター計画

総合的動力織産業クラスター開発計画 (CPCDS=Comprehensive Power loom Cluster

Development Scheme) - 事業主を支援し、いまだ組織化が行われていないが、最新のインフラ・

技術を備え、十分な従業員訓練を提供できる世界レベルの工場の建設を行い、また遠隔地に居住

する貧しい職人の生活水準を高め、人的資源開発を行うと共に、各市場を包括的に結び付けて成

長を促進する支援を行うための計画。

総合的手織産業クラスター開発計画 (CHCDS=Comprehensive Handloom Cluster Development

Scheme) - インフラ整備が不十分なクラスターも存在することから、協同事業セクター内外で

織工たちが直面する問題の解決を目指した計画。

総合的手工業クラスター開発計画 (CHCDS=Comprehensive Handicrafts Cluster Development

Scheme) - 手工業クラスターにおいてインフラ面および製造面における組織規模拡大を図る

ための計画。

4.1.6. 技術改良資金計画 (TUFS=Technology Up gradation Fund Scheme) (2007 年から

2012 年の期間)

1999 年に実行に移された計画(当初の実施予定期間は 5 年)。事業主の支払う金利の低減を図

ることで、繊維産業の近代化および改革を行うことを目的とする。同計画が繊維産業の投資環境

に与えたプラスの影響は大きく、2012 年までその実施期間が延長された。

4.1.7. 総合繊維産業地区(テキスタイルパーク)計画 (SITP= The Scheme for Integrated

Textile Parks)

官民提携事業方式を基に、最新式のインフラ設備を提供することで同産業の取り組みの援助を

行う。

4.1.8. 環境法上の許可

事業主は、1986 年制定の環境(保全)法の下、環境森林省によって発せられた通達(S.O. 60(E)

1994 年 1 月 27 日発出、随時改正)に関する 31 種の産業カテゴリーに向けた産業プロジェクト

を打ち出すため、必要に応じ、公害防止および環境保全に関連した法的許可を得る必要がある。

丘陵地帯など、環境面からは地盤等が脆弱であると考えられる特定地域における産業構築は、

環境森林省によって策定される別のガイドラインに沿って実施される。

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4.2. 総合物流

インドの繊維アパレル産業が国際貿易において成功を勝ち取るためにはタイムリーな納品が

重要となるため、総合物流およびサプライチェーンが担う役割は極めて大きいと言える。しかし、

インドの同産業における総合物流およびサプライチェーンは多くの問題を抱えているというの

が一般的な見解である。インドでは、繊維製品の納入までのリードタイムが世界的平均よりもは

るかに長い。このため同産業の成長に向け、輸出の重要性を考慮した上で、同国は特に港の近代

化を図ることでインフラのさらなる整備を行い、輸出基盤を固めようとしている。さらに同国は、

ブランド価値の創出、サプライチェーン管理、およびアパレル産業教育など必要とされるトレー

ニングなどにも投資を行っている。

インドでは総合物流サービスのアウトソーシングが進んでいる。概して、インドの企業は現在、

推定で全輸送・物流業務の 52%を外部に委託している。さらに、コストの最適化を図り、各企業

の中核を成すビジネスに集中すべく、数多くの企業がこうした外部委託および第三者物流 (3PL)

モデルに注目している。この結果、非常に断片化された輸送・物流システムを擁する繊維産業の

整理統合および規模拡大が可能となりつつある。

グラフ 4.1 輸送・物流の外部委託度

出所: 産業レポート

インドの製造企業の多くが、物流業務の支援機能として社内総合物流システムを確立している

が、結果として次第にコスト面で無駄が多くなり効率的に機能していない。各企業は自社の中核

事業に重点的に取り組み、また顧客満足度を向上させることを目標に掲げて努力を続けているが、

こうした目標を達成する唯一最良の方法として、第三者的立場の、またさらに別の外部の物流専

門家・企業と提携関係を結ぶことが重要であることを認識し始めている。

インドの小売業セクターを支える主要な物流企業は以下に示すとおりである。

52%

90%

60%

48%

10%

40%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

輸送および物流 輸送 倉庫保管

外部委託 社内処理

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インドの小売業セクターにおける主要な総合物流企業

出所: 産業レポート

4.3. ファクタリング

インドの金融業者は、顧客の需要に応じて各種のファクタリング(売掛債権買取)サービスを

提供しており、その内容としては、遡及型・非遡及型債権買取業務、国内および国際債権買取業

務、公示・非公示債権買取業務などがある。インドでは 90%を超える債権買取が国内取引に関連

している。国内債権買取業務の中でも圧倒的に多いのが遡及型債権買取であり、非遡及型につい

ては国内債権買取取引高のわずか約 1%にも満たない。

2012 年の初めに「ファクタリング法案」が可決されたことで、近年停滞しているファクタリン

グ業界は活性化が期待されている。インドにおける債権買取取引高は同国 GDP のおよそ 0.7%、

銀行融資全体の約 1.3%をそれぞれ構成している。同取引高は過去数十年にわたり力強い成長を

遂げており、インドルピー ベースで 2001/02 年度、2005/06 年度にそれぞれ 96%、85%と特に

高い成長率を達成している。

インドでファクタリングサービスの提供を手掛ける企業の数は限られており、現在こうした企

業のほとんどが、債権買取専門機関(例:SBI Factors、Canbank Factors、IFCI Factors、Global Trade

Finance)、商業銀行(例:HSBC、Standard Chartered Bank、Citibank、ICICI Bank、Axis Bank)、

専門金融機関(例:ECGC)、その他ノンバンク金融会社(例:Birla Global Finance Company、

Bibby Financial Services)である。

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図 4.2 インドの金融業者(債権買取事業主体)

出所: D&B インド

債権買取事業主体

債権買取専門機関(多くの場合銀行の

子会社)

商業銀行 専門金融機関 ノンバンク金融会社

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5. 市場競争

5.1. 外国企業

インドの繊維アパレル産業には、ここ数年で多くの有力な国際的繊維関連企業が参入している。

外国企業がインド市場に参入する主な理由は、インドがその市場規模においても、また第三国向

け輸出用に低コストで生産を行う拠点(供給地)としても、ビジネスチャンスの宝庫と認識され

ているためである。こうした外国企業は、仕入事務所や連絡事務所の開設、ブランドライセンス

付与、フランチャイズ、合弁事業を通じた製造兼小売業および製造などの形で市場に参入してい

る。

図 5.1 外国企業によるインドの繊維市場への参入方法

インドの繊維アパレル産業において、外国企業は生産施設や小売店など多方面にわたり施設や

設備に資本投入を行っているが、より一般的なのは調達拠点への設備投資である。インドは調達

拠点として注目されているが、それは主に、低コストで熟練労働力を確保できるためである。イ

ンドに調達拠点を持つ主な外国小売企業の例としては、JC Penny、Nautica、Dockers、Target 等

がある。調達拠点では、一般的に国内市場向けの製品の製造は行わないが、調達拠点として事業

を開始したにもかかわらず、最終的にインド国内市場向けにブランドを立ち上げた企業の例もあ

る。

外国企業の中には、インドで既にその名が定着している有力企業やブランドが存在し、フラン

チャイズの特約店を通して、事業を軌道に乗せている企業もあり、これらの企業は小売市場への

出所: 産業レポート

•Gap, Li&Fung, JC Penny, Federated, Fifth Avenue, Carrefour, Zara

•El Corte, Kellwood, VF Corporation, Tesco, Next, M&S

仕入事務所および/または連絡事務所

•Tommy Hilfiger, Nike, Lacoste, Nautica, United Colors of Benetton, Zara ブランドネーム使用の承諾

•Marks & Spencers, Crocodile フランチャイズ展開

•VF Arvind Brands, Benetton, Levi Strauss, Reebok 製造小売業

•Raymond (Contonifico Honegger.Raymond UCO)

•Banswara-Carreman •Oswal -FM Hammerle

製造業

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新規参入手段を熟知していると言える。高額製品を扱う国際的アパレルブランドには、当初、需

要の不振により店舗の閉鎖を余儀なくされたブランドもあった。Jimmy Choo や Bottega Veneta

といった高級ブランドは、事業の発展を維持するため、他企業に所有権の売却を行った。

インドの繊維産業では、国内企業と有力な国際的企業の間で共同事業が数多く行われている。

Hugo Boss、Liz Claiborne、Diesel、Ahlstorm、Kanz、Baird McNutt 等の国際的アパレル企業は、

独自に現地法人を設立し、大幅な事業拡大に努めている。共同事業を行っている国内外企業には、

Rajasthan Spinning & Weaving Mills、Armani、Raymond、Levi Strauss、De Witte Lietaer、Barbara、

Jockey、Vardhman Group、Gokaldas、Vincenzo Zucchi、Arvind brands、Benetton、Esprit、Marzotto、

Welspun などがある。インドの繊維企業は、資本参加している合弁会社との協力関係を築き、最

先端技術の専門知識やデザイン技術、ブランディングの活用、およびグローバル市場への参入を

目指している。

表 5.1 インド市場におけるインド企業・海外メーカーの提携例

インド企業 海外メーカー 提携形態

Raymond India Ltd Gruppo Zambaiti, Italy 合弁事業

Raymond India Ltd Lanificio Fedora, Italy 合弁事業

Raymond India Ltd UCO NV, Belgium 合弁事業

Reliance Wrangler, John Player &Lee,

Diesel 戦略的共同事業

Arvind Mills CF ITALIA 技術提携

Trent, Tata Group

Industria deDiseno Textil

Sociedad Anonima (Inditex SA),

Spain

合弁事業

Cheslind Textiles Zieglertex 技術・マーケティング提携

DCM Group Benetton 合弁事業

Banswara Syntex Carreman Michel Thierry Group 合弁事業

Arvind Mills VF Corporation 合弁事業

Alok Industries Teviz, Portugal 合弁事業

出所:「企業レポート」記事

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5.2. 輸入品との競争

インドの繊維アパレル製品の輸入を見てみると、日本からの輸入が全体の 2.7%を占めており、

そのうち、紡毛糸・生地が 12.1%、人造フィラメント糸が 7%のシェアをそれぞれ占めている。

表 5.2 インドの繊維アパレル製品輸入全体に占める日本からの輸入の割合(2011 年度)

製品 日本からの輸入

(単位:百万米ドル)

輸入総額

(単位:百万米ドル)

日本からの輸入

の割合(%)

繊維製品(既製服を含む) 82.48 3093.79 2.67

人造フィラメント/紡績糸

(繊維くずを含む) 62.35 863.19 7.22

その他織編用糸、生地、既製品 12.79 1405.15 0.91

紡毛糸・生地 3.16 26.09 12.11

綿糸・生地 2.8 240.29 1.17

既製繊維製品 0.73 226.87 0.32

絹糸・生地 0.04 168.43 0.02

既製服(織物・メリヤス製品) 0.6 161.21 0.37

出所: DGCIS

インドの輸入繊維製品のうち、日本から輸入される主要品目は人造フィラメント糸であり、

2011 年度における同糸の日本からの輸入額は 6,235 万米ドルであった(同糸の輸入総額は 8 億

6,319 万米ドル)。同糸のインドへの主要輸出国は中国である。2001 年度には、インドの中国お

よび日本からの同糸輸入は、それぞれ全体の 5 パーセントを占めていたが、直近 10 年で中国か

らの輸入が急増し、2011 年度の同国からの輸入は全体の 49%を占めた(日本は 7.2%)。その他、

インドへの同糸の主な輸出国・地域としては、ネパール、韓国、台湾、インドネシア、EU 諸国(主

にドイツ)が挙げられる。

グラフ 5.1 インドにおける人造フィラメント/紡績糸の輸入 (卖位:百万米ドル)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

FY01 FY02 FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11

輸入総額 中国からの輸入額 日本からの輸入額

出所: DGCIS

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その他、日本からの主な輸入繊維製品として、紡毛糸および紡毛生地がある。日本からの紡毛

糸・紡毛生地の輸入は、インドの繊維製品輸入全体の 12.1%を占めており、年々増加の一途を辿

っている。

グラフ 5.2 インドの紡毛糸・生地の輸入 (卖位:百万米ドル)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 FY11

World China Japan

出所: 産業レポート

輸入総額 中国からの

輸入

日本からの

輸入

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6. ビジネスチャンスおよび課題

インドの繊維アパレル産業はますます成長および発展を遂げているため、本セクターへの参入

を検討している企業にもたらされる可能性は非常に大きいと言える。一方で、このようにビジネ

スチャンスは多く存在するものの、同時に企業や投資家が克服すべき課題もいくつか見られる。

6.1. ビジネスチャンス

同産業の専門審議会は、2012 年から 2017 年までの計画期間における製品製造量および輸出量

の目標成長率をそれぞれ 12%、15%に設定したが、この成長率を達成するためには、段階的に製

造施設の増設を行う必要があり、そのためには 1 兆 4,460 億インドルピーにも及ぶ多額の投資が

必要となる。また、バリューチェーン全段階、全部門への投資も不可欠である。

表 6.1 必要投資額 (2012~2017 年) (卖位:十億インドルピー)

部門 投資額

紡績 417.5

製織 239.39

編織 25.03

加工 644.00

アパレル製品製造 120.00

合計 1445.92

出所: 第 12 次 5 カ年計画に向けた繊維および黄麻産業に関する専門審議会報告

また、インドの全人口に占める、中流階級に属する若年層の割合が増加していることがプラス

要因となり、国内小売市場も今後活況を呈するものと予想される。これにより外国企業は、イン

ドの繊維アパレル産業への投資を行う機会が十分に得られることとなる。

同国の繊維アパレル産業における潜在市場開拓を行うため、日本の繊維会社は、インドへの投

資、インドからの仕入れ、およびインドへの輸出といった選択肢からビジネスチャンスを探るこ

とが可能である。

インドへの投資

一つめの選択肢として、日本企業は、垂直的統合がなされた大型工場などの生産施設への投資

や小売店舗の新設、インド国内のメーカーとの共同事業や技術的企業提携の推進、さらにブラン

ド ライセンス供与などを行うことが可能である。

インドからの仕入れ

日本企業はまた、インドのメーカーや供給業者と提携してインドからの輸入事業に踏み出すこ

と、あるいは同産業の、非常に高い生産能力を備え、一貫して安定した品質とサービスを提供し

てきた大型企業との提携協定を結ぶことも可能である。同国既製服部門は、コスト面での競争力

が高いため、日本企業の同製品仕入れ先として非常に大きな将来性を秘めており、日本国内市場

だけでなく海外市場での販売展開も視野に入れた仕入れ業務提携が可能である。各企業はさらに、

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輸出振興地域やテキスタイルパークにおいて輸出志向型施設(EOU)として生産施設を構築する

こともできる。EOU の設立には、工場や機械類にかかる輸入税が免除されるなどの大きな利点が

ある。

インドへの輸出

インドには巨大なアパレル小売市場が存在する。インドの消費者は、基本的な必需品への出費

に比べ、ライフスタイルを追求する製品にお金をかけるようになっていることから、生活の質を

高めるブランド衣服・服飾品のインドへの輸出が新興分野として大きな可能性を秘めている。日

本企業は、インドのメーカーまたは輸入業者とフランチャイズ契約またはライセンス契約を結び、

インド市場における製品販売展開を行うことが可能である。また、糸および半製品(生地)のイ

ンド メーカーおよび小売店への輸出も視野に入れることが可能である。

製品分類別に見てみると、日本企業からインドへの輸出ビジネスで成功が期待されるのは、綿

以外の繊維製品および工業用繊維製品分野、そしてアパレル製品産業である。

6.2. 課題

インド産業は数々の強みを備えているが、一方で同国の繊維アパレル産業には、各企業が同産

業での事業を成功へと導くために克服する必要のある課題も数多く存在する。

低水準技術

インドの繊維アパレル産業の技術的水準は、旧式なシステムから最先端技術に至るまでさまざ

まである。同産業は断片化しており、工場の大多数が小規模で、取り入れられているのは低レベ

ルの技術に限られているため、同産業の成長および生産性の向上は阻まれてきた。とはいえ、同

産業は近代技術の導入を急速に進めており、また生産能力を拡大するための投資を行っている。

関連する繊維機械工業もまた発展途上にあり、輸入機械への依存度が高い。

同国の繊維産業は、技術普及度に関する評価が低い。インドの紡績セクターでは、最近、より

高度な技術を駆使した紡績機械が採用されたものの、導入されている技術はほとんどが旧式であ

る。設置されている紡錘スピンドルの半分以上の使用年数が 10 年を超えている(報告によると、

生産性を最大限に保つためには、スピンドルは設置されて 10 年以内に交換する必要がある)。

インドの製織セクターで使用されているのはローテクの織機である。手織機の多くは徐々に動

力織機に切り替えられているが、動力織機のすべてがハイテクの動力操作製織機械であるという

わけではない。

インドの繊維産業における技術の改良および近代化の重要性を認識し、インド政府は 1999 年 4

月、繊維産業の近代化に必要な原動力となる一石を投じる目的で、また国内市場および海外市場

における経済的存立可能性および競争力の向上を目指して、技術改良資金計画 (TUFS)を打ち出

した。本計画は、黄麻、紡績、繰綿および繰綿プレス、絹繰糸および撚糸、ウール洗毛および梳

毛、合成繊維製糸、特殊織、縮れ・撚り加工、ビスコース フィラメント糸およびビスコース ス

テープル繊維の製造、製織または編織、アパレル製品または既製品製造、ならびに繊維、糸、生

地、アパレル製品、および既製品の加工など、繊維産業内の多岐にわたる部門すべてに適用され

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る。

低生産性

同国の繊維アパレル産業の生産性は、その他主要繊維輸出国に比べ、比較的低いと言えるが、

これは、高額な電力料金、生産構造の特異性、そして低レベルの技術といった問題に起因してい

る。

サプライチェーンのインフラ

本産業のサプライチェーンには、本セクターの成長を著しく鈍化させる恐れのあるいくつかの

障害が存在する。例えば、原料購入から製品(衣料品)製造、出荷までの平均リードタイムは約

45 日から 60 日、一方海外向け発送リードタイムは約 30 日から 35 日に及んでいる。さらに、不

安定な電力および水の供給、出荷ルートとなる各道路の接続性、港の施設やその他輸出用インフ

ラの不備などが、同国の繊維セクターの競争力向上に悪影響を及ぼしてきた。インドの大型アパ

レル製品・家庭用繊維製品企業は予定通りに納品を行い効率的な納入管理を目指しているものの、

依然として、特に港のインフラが整っていないため、その納品効率には限界がある。

新技術に関するトレーニング

近代的技術が導入されるにつれて、ハイテク機械を取り扱い、複雑な業務を管理することがで

きる熟練労働力の需要が高まっている。しかし、主にトレーニングが十分に行き渡っていないこ

とから、インドの繊維アパレル産業ではこのような熟練労働力が不足している。現在、同産業で

は次々と多額の投資がなされており、結果さらに多くの雇用が創出される見込みであることから

も、トレーニング施設を新たに設立し、また既存施設の教育能力の増大を図るなどして、国内各

地でトレーニング用インフラの改善を行う必要が高まっている。

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7. 成功事例研究

ここ数年、インドの繊維アパレル産業へは多数の国際企業が進出し、バリューチェーン、つま

り製品の全生産過程のうちさまざまな事業部門に参入している。以下に述べるのはインドの繊維

アパレル産業で成功を収めている外国企業五社についての事例研究である。ここでは国籍もバリ

ューチェーンにおける参入事業も異なる五社を取り上げる。

これら五社の成功には、主にインドの繊維アパレル産業に有利な規制環境、比較的安価なコス

ト、バリューチェーンの各段階への参入、小売部門の成長といった要因がプラスに働いている。

インドは同産業の原料調達拠点としての成長が著しく、各企業はその潜在力をうまく活用してき

た。小売部門は、主要都市のほか中小都市にも販売拠点を展開することで全国に事業基盤を拡大

している。

しかし成功している企業も、その過程ではさまざまな困難に直面してきた。その困難とは生産

性の低さ、電力供給や港湾等のインフラの貧弱さ、技術的な立ち遅れなどである。

7.1. バルドマン日清紡ガーメンツカンパニー(VNGCL)

バルドマン日清紡ガーメンツカンパニー(VNGCL)はバルドマン・テキスタイル・リミテッド

(VTL)の子会社であり、VTL(インド)と日清紡テキスタイル株式会社(日本)が 2009 年 4 月、

出資割合 51 対 49 で設立した合弁会社である。生産開始は 2010 年末。設立資本金は推定 3 億イ

ンドルピーで、株式と借入により調達された。日清紡の技術的ノウハウと VTL の事業力を活かし

て国際市場向け既製シャツの製造販売を行う。

7.1.1. バルドマン・テキスタイル・リミテッド(VTL)

VTL は繊維、編織用糸、縫糸、生地の製造を手がけるインド有数の総合繊維メーカーである。

日清紡とは 2002 年から長期にわたって取引関係を結んでいるほか、それ以前にも綿糸、綿繊維

分野で提携した経歴を持つ。VTL とその子会社の生産拠点はインド全域 20 箇所におよび、従業

員数は約 2 万 5,000 人。世界の一流繊維関連会社と幅広い提携関係を構築しており、提携先は

American & Efird (A&E)(アメリカン&エファード)(米国、縫糸)、日本エクスラン工業および

丸紅(日本、アクリル繊維。2009 年合弁解消)、東邦レーヨン(日本、綿糸)、日清紡(日本)

である。

7.1.2. 日清紡ホールディングス

日清紡ホールディングスはテキスタイル、ペーパープロダクツ、ケミカル、不動産、自動車ブ

レーキ、メカトロニクス、エレクトロニクスの各事業を展開する日本の企業グループである。

同グループのテキスタイル事業は、紡績・製織・編織・加工・縫製分野において開発から生産

に至るまで世界トップクラスの技術を誇っている。主な製品はシャツ、デニム、テキスタイル、

モビロン、繊維素材、オイコスである。コスト削減と拡販によってグローバル市場におけるシェ

アを拡大するため、アジアへの生産拠点移転を予定している。

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現状と今後の戦略

- ルディアナに工場を持ち、年間生産能力はシャツ 87 万枚。2011/12 年度にはこれを 180

万枚まで引き上げる計画である。

- 運用安定化の途上にあった 2010/11 年度には、1,990 万インドルピーの損失を記録した。

- 合弁契約では、VTL が糸や生地等の原材料を供給する一方、日清紡が製品の 3 分の 2 を

買い取り、日本など国外市場で販売できるとされている。ただし VNGCL はインド国内の

ブランドにも製品を供給する義務がある。現在 VNGCL は日清紡の指針に沿い製品や生産

の合理化を図る途上にあり、生産はまだ試験段階にとどまっているため、製品はインド国

内でのみ販売されている。生産合理化が実現すれば、日清紡による製品の買取りが開始さ

れる予定である。

- 留意すべき点は、生産工程に新技術が導入された場合、日清紡は熟練従業員よりも新人を

雇用する意向を持っていることである。その背景には、熟練者は旧工程に慣れているため、

新工程や技術を学ぶのに時間がかかるという事情がある。

7.2. カレマン・ファブリックス・インディア・リミテッド (Carreman Fabrics India

Ltd.)

カレマン・ファブリックス・インディア・リミテッド(CFIL)は、高付加価値のライクラをベ

ースにしたレディースウェア用デザイナーズ生地の製織・輸出を目的に、インドのバンスワラ・

シンテックス・リミテッド(Banswara Syntex Limited, BSL)とフランスのカレマン・ミシェル・

ティエリグループ(Carreman Michel Thierry Group, CMTG)が出資割合 50 対 50 で設立した合弁

会社である。設立は 2005 年 9 月 16 日、生産販売開始は 2006 年中頃。1998 年より CMTG が BSL

から糸を調達するなど、両社には長期にわたる協力関係があり、合弁会社設立後も良好な関係が

保たれている。

7.2.1. バンスワラ・シンテックス・リミテッド(BSL)

1976 年設立の BSL は垂直統合型のテキスタイル製造会社。合成繊維の混紡糸、ウールおよび

ウール混紡糸、各種生地、既製服を製造している。現在は創業者の持株比率 53.54%の公開株式

会社である。バンスワラ、スーラト、ダマンに製造拠点を持ち、製品の輸出先は米国、英国、カ

ナダ、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、フィリピン、トルコ、GCC 諸国など世界 50 カ

国以上におよぶ。

7.2.2. カレマン・ミシェル・ティエリグループ(CMTG)

CMTG はレディースウェア用の中高級生地を製造販売する会社。扱う生地の素材はウール、ウ

ール混、高級合成繊維、セルロースなど。設立は 1986 年、本社はフランスのカストル。欧米で

の生地・既製服の製造および販売において幅広い経験を有する。ブランド「CARREMAN」は欧米

諸国で広く認知されている。

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現状と今後の戦略

- CFIL の 2010/11 年度の純利益は 241 万 3,000 インドルピーで、2009/10 年度の 468 万

7,000 インドルピーに対し大幅減となった。収益減尐の要因は生産性の低下、生産コスト

の増加、機械類の修理費および人件費の増加などである。

- CFIL が織機 60 台を設置したほか、BSL がリース契約で 17 台を提供した。

- ラジャスタン州バンスワラに工場を整備し、年間約 400 万メートルの生地を生産。

- 工場は現在、最新ピカノール社製レピア方式織機 77 台を備えた最先端の織工場となって

いる。監督はフランス人技術者が行っている。

- CFIL はひきつづき両親会社の強みを相互に活用していく方針。CMTG が生地の製織、デ

ザイン、加工における技術力を提供する一方、原料の糸は BSL から調達される。

7.3. ベネトン・インディア(Benetton India)

世界的プレゼンスとブランド構築

ベネトングループはイタリア最大にして世界的なプレゼンスを誇るアパレルメーカーであり、

世界 120 カ国に 6,400 以上の店舗を展開している。創業は 1965 年、本社はイタリア。Benetton

Group S.p.A がグループのホールディング・カンパニーである。卸売と小売という二つの販売チ

ャネルをもつ。主な取扱製品はカジュアル・ニットウェア、紳士・婦人・子供向けスポーツウェ

ア、サングラス、腕時計、靴など。主要ブランドには United Colors of Benetton (UCB)(ユナイ

テッド・カラーズ・オブ・ベネトン)、Undercolors of Benetton(アンダーカラーズ・オブ・ベ

ネトン)、Sisley(シスレー)、Playlife(プレイライフ)等がある。収益の主要部分、約 75%は

先進諸国で、残り約 25%は新興国での売上である。総売上の内訳は、最も高い割合を占めるのが

UCB でおよそ 74%、次がシスレーの 19%、プレイライフと Killer Loop(キラーループ)がそれ

ぞれ 2%、残る 5%がその他の売上である。

インド市場への参入

ベネトングループのインド市場への参入は 1991/92 年度。DCM グループと出資比率 50 対 50

でデリーに合弁会社を設立、基幹ブランド UCB の製品販売を開始した。2004 年 DCM が撤退し、

ベネトン・インディアはグループの 100%子会社となる。その時点でインド国内の小売店舗数は

60、売上は 5 億インドルピー以上であった。現在の店舗数は直営店、フランチャイズ店合計で 425

を上回る。

サクセス・ストーリー

ベネトン・インディアはハリヤナ州グルガオンに製造工場を有し、国内店舗向けアパレル製品

の半数近くをここで製造している。国内需要の残り半分は委託生産で、委託先はプンジャブ州ル

ディアナ、デリー、カルナタカ州バンガローレ、タミルナードゥ州チェンナイ、ネパール、ベネ

トンインターナショナルなど。製品に用いるデザインはイタリア本国の製品デザイン開発チーム

がデザインするグローバル・コレクションのなかから選ばれる。

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同社はインド市場において高級服飾ブランドとしての地位を確立しており、今後もインドの富

裕層の拡大を背景にその地位は揺るがぬものと見られる。数年前にシスレーブランドを新たに投

入、そのさらなる浸透にも力を入れる。

- インターナショナルなデザイン -インドにおける製品ラインナップは国内の顧客の好み

を考慮のうえ、「インターナショナルデザイン」のカテゴリーから選ばれる。

- 柔軟で適応力のある製品戦略- 同社の製品戦略は柔軟で適応力に富む。それぞれの販売地

域における志向や好みに直接結びつくよう、製品構成は店舗ごとに変えている。レディー

スウェア、キッズウェアを中心とした展開も収益の向上につながっている。

- カスタマイズされた小売店- ターゲットの顧客層に合わせ、店舗をカスタマイズすること

にも注力している。主にレディースウェア、キッズウェアが売上を左右する主力製品であ

る場合、基幹店のなかにもメンズウェア売場の面積を最小限にとどめているものがある。

その他、インドの子供向けアパレル市場の急成長を背景に、子供服専門の店舗も展開して

いる。

今後の戦略

- 従来ベネトン・インディアは国内の 10 大都市に事業を集中していたが、消費者の可処分

所得の増大にともない、今後はより規模の小さい都市にも拠点を広げていく。

- 卸売業とフランチャイズ展開については従来通りの方針。さらに、販売製品の 100%をイ

ンド国内で調達する。

- 現在、世界で五指に入るインド市場の拡大を背景に、今後 5 年間で店舗数を現在の倍の

850 に増やす計画。

- インドのアパレル市場における高品質ファッションブランドとしての存在感を引き続き

アピール。そのための戦略として、巨大小売チェーンにベネトンのグローバルイメージに

合致するデザインの店舗を出店する構想がある。

- インドをグローバル市場向け生産の一大拠点とすることにも、ますます注力していく。イ

ンドは同社のグローバル市場向け、なかでもキッズウェア セグメント向けの中心的な調

達先となる。

7.4. セリオ(Celio)

世界的プレゼンスとブランド構築

セリオはフランスのサン=トゥアンに本社を置く世界有数の紳士服販売会社。1985 年にマー

ク・グロスマン、ローレン・グロスマン両氏が設立し、現在では世界的な紳士服専門ブランドに

成長した。世界 70 カ国に 1,000 を上回る小売店(うち 500 店舗はフランス国内)を有し、世界

合計の年間売上点数は 3,500 万点以上。欧州市場を中心にファッション性と価格の手頃さを兼ね

備えた紳士服の販売を展開している。

すでに現地組織をもつフランス、スペイン、イタリアにおいてはローカル企業との提携関係を

構築。その他の国への輸出に関しては、フランチャイズ店と協力しネットワークを構築している。

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セリオはこれらの現地パートナーから現地市場における出店・店舗経営に関する知識やコネクシ

ョンの提供を受け、見返りとしてトレーニングプログラムの提供や小売店の出店・経営に関する

アドバイスなどのサポートを行っている。

インド市場への参入

セリオは 2009/10 年度、インドのインダスリーグ社(Indus League Clothing)と持分比率 50

対 50 で合弁会社セリオ・フューチャー・ファッション・リミテッド(Celio Future Fashion Limited)

を設立し、インド市場に参入した。インダスリーグは同社の株式の 85.70%を所有するフューチ

ャー・ベンチャー社(Future Venture、フューチャー・グループ傘下)の子会社である。

新世代のライフスタイルを提供するブランド、インダスリーグは 1999 年 4 月に創業、2005 年

4 月にインド最大の大規模小売チェーン、フューチャー・グループの一員となった。既製服のデ

ザイン、製造、小売を手がける同社の強みはブランドのユニークさ、充実したデザイン基盤、効

率のよいサプライチェーン、強固な基幹情報システム、そして小売市場における幅広いプレゼン

スである。

セリオは現在、セリオ専門店 34 とその他の小売店舗 96、計 130 の販売拠点をインドの上流お

よび中流都市に展開している。25 歳~35 歳の男性をターゲットにファッション性の高い紳士服

を提供する。製品の調達は国内外から行っている。

サクセス・ストーリー

セリオは、急速にインドのアパレル市場紳士服セグメントにおける中心的存在となりつつある。

主要取扱分野はカジュアルウェア、フォーマルウェア、スポーツウェア、デニムウェアである。

基本的アイテムに始まり、より高度な技術を用いた標準品質をはるかに上回る高級品に至るまで、

幅広い価格展開をすることで優位性維持を図る。一番の売れ筋はピケ織のストライプ地にワッペ

ンをあしらったポロシャツや、ブルーと白、あるいは赤と白のツートンカラーにアイレットワー

クや刺繍などを施したマリンテイストの T シャツである。豊富なカラーバリエーションで、ウォ

ッシュ効果やヴィンテージ感をきかせたトラベラーズ T シャツも人気を集めている。

製品構成

セリオは、ベルト、バッグ、キャップ、ハット、スカーフ、水着、シャツ、T シャツ、バミュ

ーダパンツ、スラックスなど、あらゆるシーンで活躍するさまざまな服飾品アイテムを展開して

いる。カラー展開についてはブラック、グレー、ネイビー、オフホワイト、ベージュといったニ

ュートラルな色を基本に、ニットウェアやバミューダパンツのシリーズではブルー、グリーン、

カーキ、パープル、ライラック、ピンク、オレンジ、赤といった差し色を使用している。赤はセ

リオのシンボル的な色であり、ブラックと組み合わせてエネルギッシュかつエレガントなセリオ

の特長を際立たせている。同社は先頃、現代的クラシック、トラベラーズ、スポーティ・ストリ

ート、グラムロックといった要素が同時に取り入れられた最新の春夏コレクションを発表。スポ

ーツウェア、デニムいずれの製品についても、常に顧客の要請を考慮してデザインされている。

デニムには特に注力しており、ジーンズのクラシックデザインはすべてカバーしているほか、「ス

マート・セリオ・デニム」シリーズを展開。またカーゴパンツも、昨年に比べ、さらに大きく製

品展開している。

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- 価格の手ごろさ - 基本的なアイテムの価格はインドの顧客が普段目にする価格と全く変

わらず、非常に手ごろである。全般的に、インド市場での同社のマージンは他国市場に比

べて尐ない。比較的低価格であることがセリオの強みと成功の鍵となっていることは明ら

かであり、インド国内での価格はグローバル市場より 25~30%低く抑えられている。

今後の戦略

セリオは、今日に至るまで積極的な拡大計画を推進してきたが、その姿勢は今後も変わらない。

インド市場ではファッション性の高い衣料品に対する潜在需要が多いと見込まれるからである。

- セリオはインドへ進出して 2 年目の 2011 年度末時点で 5 億 2,000 万インドルピーの売上

を記録。2012 年度末にはこれを 12 億 5,000 インドルピーまで引き上げる計画である。

- 今後インド国内からより多くの製品を調達するという明確な戦略を掲げている。設立当初

の調達先の割合は、輸入 6 割に対し国内生産 4 割だった。2 年目にはその割合が半々にな

り、さらに今後、「メイド・イン・インディア」の衣料品の割合は 6 割に達する見込み

だ。

- 店舗数は現在、セリオ専門店 34 を含む 130 に達しているが、これに加え、今年度中に専

門店を 15、大型店内店舗 16 を新たに出店する予定。

- セリオのニットシリーズは、大部分がコーマ綿 100%である。セリオは今後数年間にわた

り、これまで手つかずとなっていた新たな市場を開拓していくことになるだろう。

7.5. リード&テイラー(Reid & Taylor)

世界的プレゼンスとブランド構築

リード&テイラーは 1839 年、織工アレクサンダー・リードと銀行家ジョゼフ・テイラーによ

り、スコットランドで設立された。

インド市場への参入

リード&テイラー・インディア(Reid & Taylor (India) Ltd)は垂直統合型の高級アパレルメー

カーであり、エス・クマール・ネーションワイド社(S Kumars Nationwide Ltd (SKNL))の子会

社である。SKNL も同じく垂直統合型のインドのテキスタイル会社で、世界の複数の主要都市に

おいて自社ブランド、ライセンス契約合計で 47 ブランドを展開している。SKNL は 1998 年、ラ

イセンス契約によってリード&テイラーをインドに紹介し、これにより高級スーツ・生地の製造

販売が可能となった。

リード&テイラーはインドで初めて生地・製品双方を同一ブランドで提供したアパレルメーカ

ーである。同社は「リード&テイラー」と「ステファンズブラザーズ」という二つの世界的高級

ブランドの製品製造・販売を手がけている。両ブランドのターゲットはインドの生地・既成服市

場における高級および超高級セグメントである。

「リード&テイラー」ブランドには高級および超高級生地、すなわち梳毛織、ウール 100%、

ウール・ポリエステル混紡などの高級および超高級市場向けのスーツ生地のほか、高級セグメン

トの一部であるフォーマルウェアを中心とした既製服が含まれる。アパレル分野にはフォーマル

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スーツ、カジュアルなデイリースーツ、ジャケット、スラックス、シャツ、ネクタイ、その他服

飾品に加え、幅広い品揃えの T シャツ、ジーンズその他のカジュアルウェアなどがある。

サクセス・ストーリー

- 急成長セグメントにおけるプレゼンス –同社のブランドはインドの急成長セグメント、す

なわち高級および超高級セグメントにおいてプレゼンスを確立している。この成長の背景

には若者の間に高まっているブランド志向のほか、国内の就業人口の増加がある。

- ブランドの創設と確立を実現- リード&テイラーは、生地セグメントから既製服セグメン

トへとその範囲を意識的に拡大することにより、既存のブランド価値を活用し、最小限の

コストでブランドの確立を果たした。同ブランドは、国内外で著名人たちの支持を集め続

けている。

- 効率的な外部調達 - 同社は、自らはブランドの確立と拡販に注力する一方、外部業者と提

携し製造の一定部分を外注する戦略を取っている。その結果、業界内の余剰生産能力の活

用が可能となり、自ら製造を行う場合には必須である高額の設備投資も不要となったので

ある。

今後の戦略

今後の計画は以下の通り。

- 高級市場セグメントに新ブランドを投入する

- 卖一ブランド小売店とマルチブランド小売店の店舗構成を最適化する

- SKNL の世界展開による相乗効果を活用する

- 生産能力を高めることで国内外における需要拡大に応え、新ブランドを創設する

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8. 付録

8.1. インドの繊維産業クラスター

地域 所在都市名 州 製品・作業工程

Anantpur Chitradurg Andhra Pradesh ジーンズウェア

Guntur Guntur Andhra Pradesh 動力織物

Chittoor Nagari Andhra Pradesh 動力織物

Karimnagar Sirsilla Andhra Pradesh 動力織物

Warangal Warangal Andhra Pradesh 動力織物

South & North East Okhla & Shahdara Delhi 既製服

North East Delhi,

East Delhi & South

Shahdara,Gandhinag

ar, Okhla &

Maidangari

Delhi メリヤス製品

Ahmedabad Ahmedabad Gujarat 既製服

Gandhinagar Kalol Gujarat 動力織物

Rajkot Jetpur Gujarat 織物捺染

Mahesana Vijapur Gujarat 綿生地製織

Bhiwani Bhiwani Haryana 動力織物

Gurgaon Gurgaon Haryana 既製服

Panipat Panipat Haryana 動力織物

Panipat Panipat Haryana ショディ糸

Panipat Panipat Haryana 綿紡績

Bangalore Bangalore Karnataka 動力織物

Bangalore Bangalore Karnataka 既製服

Belgaum Belgaum Karnataka 動力織物

Bellary Bellary Karnataka ジーンズウェア

Gadag Gadag Betgeri Karnataka 動力織物

Mysore Mysore Karnataka 絹

Ernakulam Ernakulam Kerala 動力織物

Kannur Kannur Kerala 動力織物

Mallapuram Mallapuram Kerala 動力織物

Palakkad Palakkad Kerala 動力織物

Faizlure Kerala 動力織物

Kolhapur Ichalkaranji Maharashtra 動力織物

Mumbai Mumbai Maharashtra 既製服

Mumbai Mumbai Maharashtra メリヤス製品

Nagpur Nagpur Maharashtra 動力織物

Nagpur Nagpur (Butibori) Maharashtra 既製服

Nashik Malegaon Maharashtra 動力織物

Pune Pune Maharashtra 既製服

Sangli Madhavanagar Maharashtra 動力織物

Sholapur Sholapur Maharashtra 動力織物

Thane Bhiwandi Maharashtra 動力織物

East Nimar Burhanpur Madhya Pradesh 動力織物

Indore Indore Madhya Pradesh 既製服

Jabalpur Jabalpur Madhya Pradesh 既製服

Jabalpur Jabalpur Madhya Pradesh 動力織物

Ujjain Ujjain Madhya Pradesh 動力織物

Balasore Balasore Orissa 動力織物

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地域 所在都市名 州 製品・作業工程

Dhenkanal Dhenkanal Orissa 動力織物

Ganjam Ganjam Orissa 動力織物

Amritsar Amritsar Punjab ショディ糸

Amritsar Amritsar Punjab 動力織物

Ludhiana Ludhiana Punjab メリヤス製品

Ajmer Kishangarh Rajasthan 動力織物

Jaipur Jaipur Rajasthan アパレル製品

Coimbatore Tirupur Tamil Nadu メリヤス製品

Coimbatore Coimbatore,Palladam

,Kannam Palayam Tamil Nadu 動力織物

Erode Surampatti Tamil Nadu 動力織物

Karur Karur Tamil Nadu 動力織物

Madurai Madurai Tamil Nadu 既製服

Salem Salem Tamil Nadu 既製服

Virdhunagar Rajapalayam Tamil Nadu 綿紡績工場(ゲージ別生

地)

Allahabad Mau Uttar Pradesh 動力織物

Banda Banda Uttar Pradesh 動力織物

Gautam Buddha

Nagar Noida Uttar Pradesh アパレル製品

Gorakhpur Gorakhpur Uttar Pradesh 動力織物

Jhansi Jhansi Uttar Pradesh 動力織物

Kanpur Kanpur Uttar Pradesh 綿メリヤス製品

Varanasi Varanasi Uttar Pradesh 動力織物

Kolkata Sovabazar, Cossipur West Bengal メリヤス製品

Kolkata Metiaburuj Ward No.

138 to 141 West Bengal 既製服

Nadia Ranaghat West Bengal 動力織物

8.2. インドの小売業者

会社名 店舗数

Koutons Retail India Limited 1398

Reliance Retail Limited 900

Aditya Birla Retail Limited 624

Cotton County Retail Limited 600

Pantaloon Retail (India) Limited 550+

Liverpool Retail India Limited 410

Raymond Limited 405

Brandhouse Retails Limited 400+

Next Retail India Limited 386

Spencer’s Retail Limited 350

Madura Garments Lifestyle & Retail Limited 334

Khadim India Limited 326

ITC Limited 322

Welspun Retail Limited 271

Spykar Lifestyles Private Limited 270

Lilliput Kids wear Limited 198

Arvind Limited 190

Vishal Retail Limited 182

Gini&Jony Limited 145

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会社名 店舗数

Catwalk Worldwide Private Limited 125

Century Textile & Industries Limited 121

Provogue (India) Limited 109

Nike India Private Limited 107

Shopper’s Stop Limited 103

Fabindia Overseas Private Limited 97

Remanika Fashions 90

Vah Magna Retail Private Limited 72

Loot (India) Private Limited 75+

Royal Classic Mills (Private Limited) 65

Express Retail Services Private Limited 65

Jain Amar Clothing Private Limited 57

Raymond Apparel Limited 56

Lawrence & Mayo Private Limited 53

Varkeys Retail Ventures Private Limited 53

Vivek Limited 51

Aarvee Denims and Exports Limited 50

AFL Private Limited 50

Liberty Retail Revolutions Limited 50

ColorPlus Fashion Limited 45

Odyssey India Limited 41

Hidesign India Private Limited 40

Trent Limited 36

Lifestyle International Private Limited 23

QRS Retail Limited 22

Just Lifestyle Private Limited 18

Nilkamal Limited 13

And Designs India Limited 12

Gatha Apparels Private Limited 8

Aqwani Fashions Private Limited 8

Ebony Retail Holdings Limited 8

B G Fashions Private Limited 5

Hypercity Retail Limited 4

Metro Cash and Carry India Private Limited 5

8.3. インドにおけるインド企業と外国企業の提携

インドにおける主要なインド企業・外国企業提携例

インド企業名 外国企業名 提携形態

アパレルおよび衣料品

Trent Ltd., Tata Group Inditex, SA - Spain JV

Arvind Mills Lee, Wrangler JV

Arvind Mills CF Italia, Italy Technical Collaboration

Raymond India Zambaiti, Italy JV

Raymond India UCO NV, Belgium JV

Madura Garments Espirit Global, USA JV

DCM Benetton India Benetton International JV

Futura Group Lee Cooper JV

Fabindia East, UK JV

Reliance John Player, Diesel Strategic Partnership

DLF Giorgio Armani, D&G

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インド企業名 外国企業名 提携形態

家庭用繊維製品

Creative Portico India Portico, New York JV

Alok Industries Mileta International, Czech

Republic JV

服飾品

Madura Garments Louisse Philipe Brand Licensing

Murjani Group FCUK Franchise

Aditya Birla Group Allen Solly Brand Licensing

小売およびマーケティング

Reliance Industries Marks & Spencer, UK JV

Alok Industries Peacock Alley, USA Marketing

Creative Portico India Tommy Hilfiger Licensing Agreement

出所: 産業レポート

8.4. 商習慣

商業上のしきたりおよび成功要因

握手 - 商談開始にあたっては握手をするのが一般的だが、強く握り込まず、軽く手短に

行う。その後、まず「雑談」からスタートして本題に入ることが望ましい。商談中、イン

ドの同業者に呼び掛ける際には、社会的ステータスを表す役職を用いて「Professor X (X

教授)」と呼んだり、または「Mr. X(X さん[男性])」 、「Miss X(X さん[女性])」な

ど役職に続く苗字で呼び、ファーストネームは使わないのが習慣となっている。重要なポ

イントとして、相手が女性の場合には、握手は自分から求めず、その女性の判断に委ねる

という点に注意する。

名刺 - 商談開始時に交換する。商談の前に、出席者全員に渡すことができるよう、十分

な枚数を準備しておく。

ドレスコード - インドの上級管理者はスーツを着用しているが、気候条件によってはよ

りカジュアルな装いの場合もある。女性は地味な服装を心掛けると良い。

贈り物 - 贈り物を渡す場合、黒、白いずれの色の包装紙も使用しないよう注意する(イ

ンドではこれらの色は不幸をもたらすと信じられているため)。一方、赤色、緑色、およ

び黄色は幸運をもたらすと信じられている。好まれる贈り物には、花、チョコレート、香

水、小型電気製品などがある。またインドでは、送り主の面前で贈り物を開ける習慣はな

いので注意が必要。

食習慣 - インドでは多くの国民が飲酒せず、また牛肉を口にしないという事実を認識し

ておくことが重要である。

商談に関する注意点 -商談中は、両手を腰に当てて立たないように注意する(インドでは

このポーズは攻撃的であると考えられるため)。また、商談の日程は国民祝祭日に設定し

ない。国民の祝祭日以外にも、インドには特定地域固有の祭日が多くある点に注意が必要

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である。祝祭日は、グレゴリオ暦に従って設定されるわけではないため、商談の日程を決

める前に自国のインド大使館などで祝祭日を確認すると良い。

フレキシブルな時間の概念 - インドの人々は特に時間に正確であるというわけではない。

商談の時間が指定されている場合でも、インド側企業の交渉相手は、商談が定刻通りに開

始されなくても問題は無いとするフレキシブルな時間の感覚を持っている点に注意が必

要である。

コネクション構築 – 業界および政府にコネクションのある人物を探す。未解決の事態を

迅速に好転させたい場合や、案件に新規に着手する場合には非常に重要である。

インドの法体系 - インドの法体系を過小評価してはならない。物事の解決に時間がかか

ることもあるが、それよりも法の枠組みの中で身動きが取れなくなるリスクが大きい。

インド人の才能を生かす– インドの市場で成功するためには、現地の人々を雇用し、適

切なトレーニングを行うのがよい。

期限に対して柔軟に – さまざまな作業・手続きがスローペースで進むため、すべてを適

切に実行に移すためには、不測の事態に備える十分な時間的余裕を持つことが望ましい。

忍耐力を持つ – インドでビジネスを始めるにあたっては忍耐力を持つことが肝要であ

る。障害は多々起こりうるが、忍耐力を持ち、適切なコネクションを築き上げることで、

業務のスピードアップが図れる。

コミュニティの多様性を理解する – インドに数多く存在するコミュニティについて理

解を深め、その多様性を認めることが重要であり、カースト、宗教、食習慣などに関連す

るコメントは控えるべきである。

8.5. インドの主要繊維・アパレル製品バイヤー (製品種類別)

インドの繊維・アパレル製品バイヤー

会社名 製品種類

Eastern Silk Inds. Ltd. 絹

Zenith Exports Ltd. 絹

Cottage Industries Exposition Ltd. 紡毛織物

Ritesh Properties & Inds. Ltd. 紡毛織物

V 2 Retail Ltd. アパレル製品

Aditya Birla Nuvo Ltd. アパレル製品

S E L Manufacturing Co. Ltd. アパレル製品

Pearl Global Ltd. [Merged] アパレル製品

Provogue (India) Ltd. アパレル製品

Raymond Apparel Ltd. [Merged] アパレル製品

Indus-League Clothing Ltd. アパレル製品

Brandhouse Retails Ltd. アパレル製品

Raymond Ltd. アパレル製品

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会社名 製品種類

Cantabil Retail India Ltd. アパレル製品

Color Plus Fashions Ltd. アパレル製品

Venus Garments (India) Ltd. アパレル製品

Cotton County Retail Ltd. アパレル製品

Zodiac Clothing Co. Ltd. アパレル製品

Indus Clothing Ltd. アパレル製品

B I L Continental Ltd. その他繊維製品

Anisa Carpets Ltd. その他繊維製品

E Hill & Co. Ltd. その他繊維製品

Euro Fashion Inners Intl. Pvt. Ltd. その他繊維製品

Mothercare (India) Ltd. その他繊維製品

Rupa & Co. Ltd. その他繊維製品

I L A C Ltd. その他繊維製品

出所: 産業レポート

8.6. 産業見本市(インド国内)

イベント名 開催地 開催日

(日/月/年)

ターゲット製品・

コンセプト

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 2 月)

Times Asia Wedding Fair

Palace Exhibition

Convention Centre,

Bengaluru

3/2/2012 Wedding garments &

jewelry

CEO LIFE STYLE Chennai Trade &

Convention Centre 11/2/2012 CEO Focus

Boutiques of

India-Wedding &

Lifestyle Agra

Hotel Marina, Agra 11/2/2012

Sarees, Designer salwar

suits, Lehengas, Bags,

Jewelry, Home Décor,

Footwear

India Fashion Forum Bombay Exhibition

Centre(Bec), Mumbai 13/2/2012 Apparels

Fashion & Lifestyle Mumbai World Trade

Centre 17/02/2012 Designer Focus

Garment Technology

Expo

NSIC Exhibition

Complex, New Delhi 17/02/2012

Fabrics, Textiles, Sewn,

Knitted & Embroidered

products

O' Luxury Hotel Swosti Plaza,

Bhubneshwar 24/02/2012 Luxury Apparel & Clothing

FASHION GURU-

Fashion, Jewellery &

Lifestyle Exhibition

Hotel Radisson-

Jalandhar

Event is

postponed.

New dates

will be

updated

soon.

Latest trends in Apparel &

Jewelry industry

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 3 月)

The Wedding & Lifestyle

Fair Worli Blue Sea, Mumbai 1/3/2012

Luxurious wedding

trousseaus, services and

lifestyle products

INTERNATIONAL

WOMEN's WEEK

Ludhiana

Ludhiana Majestic Park

Plaza, Ludhiana 2/3/2012 Fashion & Jewelry

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イベント名 開催地 開催日

(日/月/年)

ターゲット製品・

コンセプト

India Fashion Forum

Bombay Exhibition

Centre(BEC), Mumbai,

India

13/3/2012 Fashion Accessories &

Clothing, Designer wears

INDIAN FASHION

EXHIBITION-AUSTERE

FIESTA ( AUSTERE

FIESTA )

Kolkata Ice Skating Rink 13/3/2012

Platform for textile

companies to learn and

share new business trends

India Shop Expo

Bombay Exhibition

Centre(BEC), Mumbai,

India

13/3/2012

Retail designing technology

and visual merchandising

industry

Boutiques of

India-wedding & lifestyle

Hotel Millennium,

Guwahati 16/3/2012

Ethnic wear, Western wear

and Jewelry

THE SUPERLATIVE

SHOW

Ludhiana Majestic Park

Plaza 17/3/2012

Exclusive designer wear,

semi-formal and ensembles,

accessories, jewelry, and

lfestyle products

Farwan Hotel JW Marriott,

Chandigarh 28/3/2012 Designer wears

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 4 月)

The Woman -

Chandigarh Chandigarh Hotel Taj 31/3/2012 Woman focus

The Woman Ludhiana Ludhiana Majestic Park

Plaza 6/4/2012 Woman focus

Wedding

Mantra-Amritsar

Hotel Golden Tulip

Amritsar 6/4/2012

Apparel, Jewelry, Home

furnishings, Interiors,

Handicrafts, Fashion

accessories

Fashionista Lifestyle and

Fashion Exhibition -

Nagpur

Hotel Centre Point,

Nagpur 13/4/2012

Fashion & accessories,

Lifestyle products

Mega Shopping Fest

Ghatkopar

Bhatiawadi Hall,

Mumbai 20/4/2012

Fashion jewelry & apparel

sector

Fashionista 2012 The Grand Thakar,

Rajkot 20/4/2012

Fashion clothing,

accessories, jewelry, ethnic

wear, home textiles

Fashionista 2012 Hotel Central Point,

Nagpur 13/4/2012

Fashion clothing,

accessories, jewelry, ethnic

wear

34th India Knit Fair

2012

India Knit Fair Complex,

Tirupur 18/4/2012 Garments

Boutiques of

India-Wedding &

Lifestyle Raipur

Raipur Hotel Babylon

International 21/4/2012

Wedding & lifestyle

products

Fashionista Lifestyle and

Fashion Exhibition -

Thane

Tip Top Plaza, Thane 27/4/2012

Designer jewelry,

clothings, accessories, home

furnishing, interiors,

handicrafts

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 5~6 月)

World Children Expo

Ambience Mall

Convention Centre,

Gurgaon

4/5/2012 Kids focus - Apparels, Toys,

Healthcare

Fashionista Lifestyle and

Fashion

Exhibition-Coimbatore

Hotel Residency

Coimbatore 8/6/2012

Apparel, clothing, &

cosmetics

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イベント名 開催地 開催日

(日/月/年)

ターゲット製品・

コンセプト

Mega Shopping Fest Blue

Sea Blue Sea, Mumbai 18/6/2012

Consumer & lifestyle

products

South Mumbai Shopping

Fest

Mumbai World Trade

Centre 22/6/2012 Western & ethnic wear

Fashionista Lifestyle and

Fashion Exhibition -

Nashik

Hotel Green View,

Nashik 23/6/2012

Clothing, accessories,

jewelry, home furnishings,

interiors, handicrafts

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 7~8 月)

Bride & Groom

Exhibition-Delhi New Delhi Hotel Ashoka 7/7/2012 Wedding focus

Wedding Asia - New

Delhi Ashok Hotel New Delhi 20/7/2012 Wedding focus

Wedding Exhibition-

Chandigarh Chandigarh Hotel Taj 3/8/2012 Wedding focus

The Trousseau Show Blue Sea, Mumbai 13/8/2012 Sarees, ethnic wears,

jewelry, accessories

Wedding Asia Ludhiana Ludhiana Majestic Park

Plaza 17/8/2012 Wedding focus

インド国内のアパレル・衣料品産業見本市(2012 年 9~11 月)

Vivah Mumbai Mumbai J.W. Marriott 31/8/2012 Wedding focus

Igmatex New Delhi Pragati Maidan, New

Delhi 1/9/2012

Platform for textile industry

stakeholders to learn and

share new business trends

Wedding Festival

Coimbatore (WEDDING

FESTIVAL)

Le Meridien Coimbatore 30/9/2012 Wedding focus

The Wedding Expo

Jamnagar

Hotel Kalatit

International, Jamnagar 10/10/2012 Wedding focus

Mother Baby & Child

Expo Nehru Centre, Mumbai 27/11/2012 Mother & baby care focus

インド国内の生地・繊維製品産業見本市(2012 年 2~3 月)

Foodtek 2012 Bombay Exhibition

Center, Mumbai 23/2/2012 Fabrics

Kingpins Show - India

Bombay Exhibition

Centre(BEC), Mumbai,

India

6/3/2012 Textile Industry

Garfab-TX Surat

Surat International

Exhibition & Convention

Centre,Surat

2/3/2012 Textiles, technology, policy

makers

InFashion

2012-International

Textile & Ingredient

Innovation show

Hall No 1, Bombay

Exhibition Centre 13/3/2012 Textiles & garments

Temac Chennai Trade

Centre,Chennai 15/3/2012

Participants include various

stakeholders across textile

industry

Knit World International Dana Mandi, Ludhiana 16/3/2012 Knitting garments, allied

machines & accessories

Atexcon 2012 - Asian

Textile Conference

Hotel The Westin,

Mumbai 5/3/2012 Textile, technology

The Kingpins Denim

Show 2012

Bombay Exhibition

Centre, Mumbai 6/3/2012 Denim

In Fashion 2012 Bombay Exhibition

Center, Mumbai 13/3/2012

Garments & fashion

accessories

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イベント名 開催地 開催日

(日/月/年)

ターゲット製品・

コンセプト

InFashion

2012-International

Textile & Ingredient

Innovation show

Bombay Exhibition

Centre, Mumbai 13/3/2012

Garments & textiles, fashion

accessories

インド国内の生地・繊維製品産業見本市(2012 年 4~7 月)

Fibers & Yarns Mumbai World Trade

Centre 12/4/2012

Raw materials, weavers &

knitters

India Denim Expo Epicentre, Gurgaon 20/4/2012 Denim, technology

InDIGO 2012 Epicentre at Apparel

House , New Delhi 20/4/2012 Denim

Fibers & Yarns 2012 World Trade Centre,

Mumbai 12/4/2012 Weavers, knitters

34th India Knit Fair IKF Comples, Tirupur 18/4/2012

Screen & Textile Printing

Expo 2012

Chennai Trade Centre,

Chennai 20/4/2012 Fabrics & Textiles

Fabrics & Accessories

Trade Show

Gayathri Vihar Palace

Ground, Bengaluru 1/6/2012 Fibres, yarns, technology

Fabrics & Accessories

Trade Show

Gayatri Vihar, Palace

Ground Bangalore 1/6/2012 Fabrics

Fabrics & Accessories

Trade Show

Gayatri Vihar, Palace

Grounds, Bangalore 1/6/2012 Fabrics & Textiles

インド国内の生地・繊維製品産業見本市(2012 年 8~12 月)

Yarnex 2012 India Knit Fair Complex,

Tirupur 31/8/2012 Fabrics & Textiles

India International Yarn

Exhibition IKF complex, Tiruppur 31/8/2012 Fibres - Yarn

VASTRA Export Promotion

Industrial Park, Jaipur 22/11/2012

Latest trends in textile

industry; Participants

across various stakeholders

India International Yarn

& Fabric Show Chennai Trade Centre 11/10/2012

Home textiles, yarns, fibres,

denim

KNIT TEX Velan Hotel Fair Ground,

Tiruppur

Apparel & Knitting

technology

TEX-STYLES INDIA

2012

Pragati Maidan, New

Delhi Fabrics & Textiles

INDIA KNIT FAIR 2012 India Knit Fair Complex

Tirupur Fabrics & Textiles

インド国内の服飾品産業見本市(2012 年)

Fashionista Lifestyle and

Fashion Exhibition Hotel Royal Cliff, Kanpur 4/2/2012

Clothing, accessories,

jewelry, home furnishings,

interiors, handicrafts

Bigwheel Fashion

Fairground

Bombay Exhibition

Centre(BEC) 13/3/2012

Fashion clothing &

accessories

The Vimonisha Private

Collection-Indian

Summer

The Chola Sheraton,

Chennai 6/4/2012

Fashion accessories &

jewelry

She woman Kolkata Kolkata Hotel The Park 7/4/2012 Woman focus

Fashionista Lifestyle and

Fashion Exhibition

Hotel The Grand Thakar,

Rajkot 20/4/2012

Clothing, accessories,

jewelry, home furnishings,

interiors, handicrafts

She woman Bangalore Palace Grounds,

Bengaluru 5/5/2012 Woman focus

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イベント名 開催地 開催日

(日/月/年)

ターゲット製品・

コンセプト

International Fashion

Jewellery & Handicraft

Expo

NSIC Exhibition

Complex, New Delhi 30/11/2012

Fashion accessories,

handicrafts, jewelry

インド国内の家庭用繊維製品産業見本市(2012 年)

India Carpet Expo-New

Delhi

Pragati Maidan, New

Delhi 17/2/2012 Home textiles

Inside Outside Mega

Show Chandigarh

Sekhon Banquet Hall,

Chandigarh 8/3/2012 Home Textiles

IFFTEX India Expo Centre and

Mart, Greater Noida 15/4/2012 Home Textiles

Home Expo India 2012 India Expo Center &

Mart, New Delhi 15/4/2012 Home Textiles

インド国内の工業用繊維製品産業見本市(2012 年)

Buyers Seller Meet on

Technical Textile

The Gateway Hotel &

Resort, Surat 15/2/2012 Technical textiles

TECHNOTEX INDIA MMRDA Exhibition

Center, Mumbai 27/9/2012 Technical textiles