サービス管理責任者...
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令和元年11月12日
サービス管理責任者
児童発達支援管理責任者基礎研修
「個別支援計画作成の手順とポイント」
社会福祉法人とちのみ会 とちのみ学園
こども発達支援センターさの かりん
藤原 雄一
この講義の目的と目標
目的
傾聴と生物・心理・社会モデルによるアセスメントと、ストレングス、意思決定支援の視点に基づいたサービス提供のプロセスを学ぶ
目標
・個別支援計画作成の手順とポイントを理解し、演習に向け
ての準備ができる
・発達の視点、家族支援、地域支援の必要性について理解
を深める2
• 今回の基礎研修の演習は、放課後等デイサービスの発達支援と、家族支援、地域支援(移行支援)が中心となります。
• 児童以外の受講者はトータルサポート(縦横連携)視点でケースにかかわってください。
・学齢期にどんな支援が必要であったか
・将来を見据えてどんな移行支援が求められるのか など
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意思決定
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選択できる感覚(五感)得意な感覚を生かす
能力発達段階
食べ物の認知色の概念など
意思決定と発達支援
支援者の面談、観察、検査によって児童の特性と発達をとらえ支援につなげる
講義の内容
(0)サービス提供のプロセス
(1)相談支援時の状況把握
(2)アセスメント
(3)個別支援計画の作成
(4)個別支援計画の実施
(5)中間評価と修正
(6)終了時評価
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(2)アセスメント
(3)個別支援計画の作成
①到達目標の設定
②基本的ニーズの把握
③ニーズと課題の整理
(4)個別支援計画の実施
②個別支援計画の作成
①初期状態の把握
(5)中間評価と修正
(1)相談支援時の状況把握
(6)終了時評価
支 援 会 議
(0)サービス提供のプロセス
①支援計画の中間評価
②支援計画の修正
相談支援事業者
(児童支援利用計画案)
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かんたさんを支える児童支援利用計画と個別支援計画の連携
行政職員
放課後等デイサービス事業所方針に基づいた具体的な支援
児童発達支援管理責任者
個別支援計画
かんたさんの社会生活と放課後を支えていくために、相談支援専門員は、トータルプランとしての児童支援利用計画を作成し、サービス提供事業所の児童発達支援管理責任者は、個別支援計画を作成して、本人の支援に加えて家族や地域にも働きかけていきます。
相談支援専門員
指定相談支援事業所
サービス担当者会議
友だちを増やしたいことばを伸ばしたい
サービス等利用計画
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方針と支給量
アセスメント
サービス等利用計画案
個別支援計画
モニタリング
相談支援事業者
支給決定(市町村)
サービス事業者
アセスメント
サービス等利用計画
個別支援会議
継続サービス利用支援
(モニタリング)
個別支援計画の実施
(サービスの提供)
個別支援計画の変更
サ
ー
ビ
ス
担
当
者
会
議
①
個別支援計画の原案
サービス等利用計画の変更
サ
ー
ビ
ス
担
当
者
会
議
相談支援専門員と児童発達支援管理責任者の連携
相談支援専門員による支援
児童発達支援管理責任者による支援
利用契約(利用開始)
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アセスメント情報、利用計画と事業所のアセスメントでニーズ整理をする
・好きなこと得意なことを活かして、具体的な支援内容を盛り込む
評価:目標と結果の振り返り
説明:児発管本児
保護者支援者関係者
方針と支援内容のすり合わせ、サービス、支給量変更
1日目2日目AM
2日目PM
利用計画と支援計画の違い
サービス等利用計画(人生の設計図となるもの)
生活全般をアセスメントし、本人の願いを中心に、生活や支援の全体像を示したものであり、障害福祉サービス等の必要性を見立てたもの
支給決定の根拠となる
本人はもとより、複数の事業者が同じ方向を向いて支援していくべき指針となるもの
【特徴】サービス等「つなげる」「広げる」支援
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個別支援計画(夢や希望の道標となるもの)
必要なアセスメントをさらに深め、本人の願いをかなえるため、より具体的な支援内容を盛り込んだもの
サービス提供の根拠となる
個別支援計画は、事業所内の職員が本人と同じ方向を向いて支援していくべき指針となる。
【特徴】サービス等を「深める」支援
並立協働の関係
※児童発達支援管理責任者(サービス管理責任者)は個別支援計画の作成やサービス提供プロセスの管理他のサービス提供職員への技術指導と助言(基礎研修修了者は案を作成し、責任者をサポートする役割を担います)
(1)相談支援時の状況把握
実施方法
相談支援時の状況把握
• 相談受付票、基本情報、アセスメント表、ニーズ整理表、児童支援利用計画
• 他の事業所から情報提供を受ける(個別支援計画書、特性)
例)児童発達支援事業所⇒放課後等デイサービス事業所
• 保健センター(保健師)、医師(小児神経)、心理(行政の発達相談)保育園、幼稚園、学校、学童保育
※演習では事前課題のプロフィール、情報シートの内容から状況を把
握し、これまでの個別支援計画(中間評価)と利用計画をもとに個
別支援計画(案)を作成していただきます。10
(2)アセスメント
実施方法
アセスメント
• 面接によって児童、ご家族の意向を丁寧に聴く(ラポート形成)
• 抱えている悩み、課題(問題)を一緒に明らかにする
• 事業所のアセスメントツールに従って聞き取り
• 観察の状況(見学、体験利用等)
• 検査の結果(田中ビネー、WISC‐Ⅳ、Vineland-Ⅱ、乳幼児発達スケール等)
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アセスメントと支援計画
相談内容
(主訴)
情報収集
解釈 支援計画
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アセスメント
①面接②観察③検査④事前情報
整理統合
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• 子どもの発達の理解
• 特性に応じた対応
• 将来の見通し(特別児童扶養手当、療育手帳、サービス等の制度、就学)
• メンタルヘルス
• 家族間の葛藤、調整
※チームによる支援(心理、言語、運動、医師等と連携)
家族支援
地域支援
• 横連携・・・医師、教育センター(指導主事、SSW)、学校(校長、担任、SC)
自立支援協議会
• 縦連携・・・成人期に向けた支援
※通所施設の日中一時支援や入所施設の短期入所
コンビニ買物学習、公共交通機関利用等のSSTとさまざまです。
発達障害 概念図
2016/10/24,25
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*診断名は自閉症スペクトラムに統一
発達性協調運動障害
片づけない散らかす
気が散りやすい注意の配分や調整が苦手
段取りができないどこに片づけるか決められない手順が多いととりかかれない
目に見える問題
背景にある特性、特性に合わない環境等の要因
観察によって引き出された特性は支援の内容に盛り込むことができる
行動から特性を理解する(氷山モデル)
観察
アセスメント時の技術
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傾聴によって気持ちを理解する
子どもの接し方が分からない
こどもを預かってほしい
きょうだいを叩く
おもちゃを使いたい悔しい
保護者が語った悩み
保護者の本当の気持ち
傾聴によって引き出された気持ちは支援の内容に盛り込むことができる
傾聴
本人の強み(ストレングス)に着目してプランを立てる
• これまで中心だった「医療モデル」にかわってストレングスモデルがスタンダードになっています。医療モデルは問題や疾病の改善を中心としたプランです。
• 本人の「強み」や「ポジティブな特性」を見つけ出し、その強みを中心にしてプランを築き上げるように規定されています。
• ネガティブな面に焦点をあててプランを立てると、その人がもっている「強み」を見逃しまいやすくなります。これがプランの質を決定的に左右します。
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リフレーミング辞典
リフレーミングとストレングスアセスメントの例
こどもの状態 リフレーミング ストレングス 支援のポイント
片づけない散らかす
いろいろなことに興味がある
・絵を描くことが好き・折り紙の飛行機で遊ぶことが好き・短時間なら集中できる・褒められることが好き・人の気持ちに気づきやさしい
・ひとつのことに集中できる環境づくり・短時間で出来たら褒める
きょうだいを叩く 気持ちを行動で伝えることができる
・きょうだいと遊ぶことが好き
気持ちを言葉に置き換える
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発達
生物
社会心理
生物・心理・社会モデル○例)診断名ADHD
多動・不注意・衝動性
○例)診断名ASD
想像力の遅れ(集団行動、ごっこ遊び、人物画が苦手)
○保護者の対応・叱る、否定する・子どもを障がい扱いされて悔しい
○学校の評価わがまま、勝手な子
○自尊感情の低下・勉強や人が嫌いになる(不登校)
○注目行動の増加・反抗的、抑うつ
サービス等利用計画との連携• 児童支援利用計画の目標(方針)に沿って、個別支援計画には具体的な支援内容が反映されているか確認する。
到達目標の設定• 到達目標は、時間軸をとおして段階を踏んで達成される。短期目標(~6か月)と長期目標(1年)。
• 目標は高すぎず・低すぎず、到達可能な支援目標を設定する。• 優先順位の設定
個別支援計画• 時間(支援期間)と領域(支援内容)の観点から個別支援計画を作成。• 支援の担当者・責任者を決め、スタッフと共有する。• 本児、保護者に説明し同意を得る。
(3)個別支援計画の作成
実施方法
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支援の組み立て方のポイント
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心配な状況 見立て保護者、支援者の思い
支援の手立て
言動、経過 理由、原因どのようになってほしい?
具体的な支援内容
具体的な例
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心配な状況 見立て保護者、支援者の思い
支援の手立て
友だちを叩く
①挨拶を行動で伝えているのでは?②おもちゃを貸してほしかったのでは?
叩かずに伝えられるようになってほしい
①挨拶の仕方を教える
②借り方を教える
苦手なこと 長所・強みわかること、できること
具体的支援内容
言葉で伝えること 行動で伝えること
①頭を下げる、トントン、手をあげるなど、挨拶として好ましい行動を示す。
②手で「貸して」ジェスチャーを示す。※支援目標に明記するときの主語は支援者になります。語尾は~していく、~する
• 支援スタッフはお互いに情報交換しながら支援を実施。• ケース会議(定期的なスーパービジョン)• 支援の経過を保護者に報告する。(おやつを食べました)仲良く遊びました。だけではNG)
• 「できないこと」を報告するときは5W1Hで。(今日は○○さんを叩きました。何度言ってもやめてくれず困ります。はNG)
• 支援の成功体験はは自宅や園、学校でもできるように伝えること
• 支援経過記録表
(4)個別支援計画の実施
実施方法
必要なツール
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• 時期(段階)ごとに、到達目標達成度を評価・分析。• サービスが適切に提供されているかを評価。• 達成度は、初期状態と比較して主目標及び個別目標の観点から評価。• 評価は児童も一緒に。併せて、児童の意向や環境の変化なども評価。
• 中間評価記録表
(5)中間評価と修正 ①個別支援計画の評価
実施方法
必要なツール
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• 到達目標に達成するためにサービス利用計画・個別支援計画プログラムを修正。
• 提供されるサービス内容を修正。• 修正にあたっては、 時間軸と支援(サービス)内容の観点から修正・変更。
• 本児とご家族に修正や変更の説明をした上で同意を得る。
• サービス等利用計画・個別支援計画の修正・変更記録表
(5)中間評価と修正 ②個別支援計画の修正
実施方法
必要なツール
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• 到達目標達成度を含めたサービス等利用計画・個別支援計画全体を客観的に評価。
• サービス提供はスムーズに行われたか、また、行われなかった場合の原因は何かを評価。
• 本人の状態の変化・満足度などの観点から評価。
• 同様のケースの個別支援計画作成に評価を活かす。
• サービス担当者会議でのふり返り。
• 終了時評価表
(6)終了時評価
実施方法
必要なツール
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補足資料 児童(放課後等デイサービス)の加算体制
• これまで説明してきた支援を実践するにあたり、児童発達支援と放課後等デイサービスでは、次のような制度を利用することができます。
• 家族支援
ご家族の相談は「事業所内相談支援加算」
家庭訪問は「家庭連携加算」
• 地域支援
学校との連携は「関係機関連携加算」
保育・幼稚園や学校への移行支援は「保育・教育等移行支援加算」
定期の訪問は「保育所等訪問支援」
• 障がいのある児童生徒は、必要な支援(合理的配慮)を自ら調達できる
• 自分の長所と弱点を自覚し、弱点をカバーする独自の工夫ができるように支援をすすめていく必要がある(専門用語でメタ認知という)
• 個別支援計画における目標は、本人の目標。つまり、本人がそれを目標として自覚していなければならない(支援計画書では本人の役割の欄に記載)
• 通常、9~10歳以降に発揮されやすい。MRの児童生徒は高等部で始めるとよい
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補足資料 自覚と工夫(メタ認知)