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クルーズ産業の現状日本船の視点から

2015年12月4日

新潟港クルーズ客船受入セミナー商船三井客船株式会社 常務取締役 山口直彦

目次

１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

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１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

国名 1990 2000 2010 2011 2012 2013 2014

米国 3,500 6,900 10,016 10,370 11,000 11,016 11,327

カナダ 150 300 691 763 700 734 714

numbers：1000 sources： CLIA, JOPA data

世界のクルーズ人口推移

カナダ 150 300 691 763 700 734 714

英国 180 800 1,621 1,700 1,701 1,726 1,644

ドイツ 190 283 1,219 1,388 1,544 1,687 1,771

イタリア ― 250 889 923 835 869 842

フランス 75 223 387 441 481 522 593

その他欧州 180 250 1,410 1,727 1,572 1,553 1,686

オセアニア 100 275 474 679 742 893 1,000

ブ ジブラジル - - - - - 724 483

アジア（除日本） - - - - 687 1,097 1,273

日本 175 216 188 187 217 238 231

合計 4,625 10,297 17,495 19,757 20,291 21,300 22,040

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クルーズ産業成長の秘密①オールインクルーシィブのお得感

(移動、宿泊、エンターテインメント、 リラックス、そして食事)

①オールインクルーシィブのお得感

(移動、宿泊、エンターテインメント、 リラックス、そして食事)

②様々な選択肢。進化を続けるクルーズ船

③安全、快適さ、そして安心感 (乗下船時のセキュリティ徹底、国際基準の厳格な保船管理、衛生管理、医務室＝船医の存在、コンシエルジュ機能など。)

①②③ ⇒ 高いリピート率

②様々な選択肢。進化を続けるクルーズ船

③安全、快適さ、そして安心感 (乗下船時のセキュリティ徹底、国際基準の厳格な保船管理、衛生管理、医務室＝船医の存在、コンシエルジュ機能など。)

①②③ ⇒ 高いリピート率

世界で年間22百万人以上が利用。産業規模は14兆円 CLIA 2015

①②③ ⇒ 高いリピ ト率①②③ ⇒ 高いリピ ト率

１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

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クルーズ産業の始まり

1844年、P&Oによるエジプトクルーズ1844年、P&Oによるエジプトクルーズ1970年ごろ 米国でクルーズ産業勃興

・ クルーズ専用船）・ 定曜日発着、同一ルート・ フライアンドクルーズ（マイアミ拠点）・ モノクラス・ イールドマネジメント

1970年ごろ 米国でクルーズ産業勃興

・ クルーズ専用船）・ 定曜日発着、同一ルート・ フライアンドクルーズ（マイアミ拠点）・ モノクラス・ イールドマネジメントイ ルドマネジメント

CS→ 高いリピート率イ ルドマネジメントCS→ 高いリピート率

巨大装置産業へ進化

1980年～2005年栄枯盛衰 グ ピ ズ

1980年～2005年栄枯盛衰 グ ピ ズ栄枯盛衰。消えた名門ロイヤルバイキングライン、エピロティキクルーズ

合従連衡。名門ブランドの買収キュナード、ホランドアメリカライン、P&Oなど

・ 大型船への巨額投資RCI 22万トン級で13億ドル、プライベートアイランド・ IT、システム投資、宣伝広告費

顧客の囲い込み（ブランド成長）

栄枯盛衰。消えた名門ロイヤルバイキングライン、エピロティキクルーズ

合従連衡。名門ブランドの買収キュナード、ホランドアメリカライン、P&Oなど

・ 大型船への巨額投資RCI 22万トン級で13億ドル、プライベートアイランド・ IT、システム投資、宣伝広告費

顧客の囲い込み（ブランド成長）・ 顧客の囲い込み（ブランド成長）・ チャーター航空会社との提携・ 顧客の囲い込み（ブランド成長）・ チャーター航空会社との提携

Queen Elizabeth 2 wikipedia

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メガキャリア時代

大手寡占の時代到来。5社でシェアは8割以上。

Carnival Group 100隻 218,096バースRoyal Caribbean 46隻 110,744バースNCL 22隻 44,292バースMSC 12隻 31,860バースGenting* 7隻 9,396バース

Cruise Industry News 2015 Summer

*Gentingは、2015年にCrystal CruisesをNYKから買収。

それら以外でも高級クルーズ部門や帆船、探検船、リバークルーズなど特殊クルースでは独立系の会社が存続。

１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

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大型化する客船・・・ 船上のリゾート都市

メガキャリアは、船の大型化を進めている。現在の主流は14 17万トン級在の主流は14～17万トン級。

⇒ 世界最大22万トン、喫水11ｍ、全長360ｍ、エアドラフト65ｍ

船内はまるでリゾート都市。

世界最大のOasis of the Seas号とその船内（ロイヤルカリビアン提供）

多様化する商品・・・ 帆船、探検、リバークルーズ

また クルーズ商品の多様化も進んでいるまた クルーズ商品の多様化も進んでいるまた、クルーズ商品の多様化も進んでいる。ラグジュアリーな小型船、帆船タイプ、探検クルーズ、あるいはリバークルーズはそういった代表格であり、人気の高いニッチ商品となっている。

また、クルーズ商品の多様化も進んでいる。ラグジュアリーな小型船、帆船タイプ、探検クルーズ、あるいはリバークルーズはそういった代表格であり、人気の高いニッチ商品となっている。

上Viking River Cruises左Club‐Med II、@wikipedia

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新たなる市場を求めて・・・ グローバル化

北米市場における市場浸透率（Penetration)

..

)が4％と、ほぼ上限に達しつつあることから、

メガキャリアは、成長市場への進出を図りつつある。

・中古船のドロップ新造船の投入（中国市場）・新造船の投入（中国市場）

・地元企業との合弁事業化

日本にやってきたSun Princess号（カーニバルジャパン提供)

今、世界でもっとも注目されているのがアジアにおけるクルーズ。今、世界でもっとも注目されているのがアジアにおけるクルーズ。

中国パワー（送客力）

特に、中国は、急激に増加する海外旅行市場、クルーズに対する興味と参加率の高さ、さらに経済成長力と全面的な国家サポートによりクルーズ市場の急成長が期待されている。

・ACA（アジアクルーズ連盟）の予想2014年0.7百万人 → 2020年1.6百万人（＠15％成長）

・中国運輸省の予想 → 2020年4.5百万人（＠33％成長）

特に、中国は、急激に増加する海外旅行市場、クルーズに対する興味と参加率の高さ、さらに経済成長力と全面的な国家サポートによりクルーズ市場の急成長が期待されている。

・ACA（アジアクルーズ連盟）の予想2014年0.7百万人 → 2020年1.6百万人（＠15％成長）

・中国運輸省の予想 → 2020年4.5百万人（＠33％成長）

天津、上海からの向け地は、韓国（昨年70万人）、台湾、そして

日本が人気。

天津、上海からの向け地は、韓国（昨年70万人）、台湾、そして

日本が人気。

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成長の障害

• 経済減速、特に中国景気調整リスク

• テロ、感染症、戦争リスク

• 建造能力の限界(新規発注は2022年竣工？）

発注実績 隻数 総トン数 ベッド数（LB) 建造ヤード

2015年 7隻 751,800 18,867 伊、独、日、芬

2016年 10隻 1,142,850 27,556 伊、日、独、仏

2017年 10隻 1,016,970 25,084 独、仏、伊、芬

2018年 9隻 1,134,575 27,404 伊、芬、仏、独

2019年 7隻 916,200 29,700 仏、伊、独、芬

累計 43隻 4,962,395 128,611

Cruise Industry News 2015 Fall

１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

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• ３隻の日本籍船が、高品質のクルーズ商品を日本人向けに提供

• 料金は、平均すると一泊一人あたり４万円から６万円（平均

日本の客船

料金は、平均する 泊 人あたり 万円 ら 万円（平均的なキャビン）

• 平均的客層は、アクティブで、クルーズライフの楽しみ方を知っているシニア層中心。

MS.Nippon-Maru MS.Asuka-2 MS. Pacific Venusぱしふぃっくびいなす

飛鳥-IIぱしふぃっく

びいなすにっぽん丸

日本籍のクルーズ船比較

GRT 50,142 26,518 22,472

L x W x D 241x29.6x7.5 183x25x6.5 167x24x6.6

船客定員(LB)

872 476 398

乗組員 470 220 230

建造・改装 1990/2006 1998 1990/2010

運航者 郵船クルーズ日本クルーズ

客船商船三井客船

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日本船の長所とは・・・

日本船の場合、次のポイントが期待される。

① チャレンジングな航路設定や目先の変わった寄港地日本船の場合、次のポイントが期待される。

① チャレンジングな航路設定や目先の変わった寄港地

② 日本人の口にあった食体験

③ 人とのふれあい (not commercial driven)

④ 日本船ならではのエンタメ

② 日本人の口にあった食体験

③ 人とのふれあい (not commercial driven)

④ 日本船ならではのエンタメ④ 日本船ならではのエンタメ④ 日本船ならではのエンタメ

①日本のクルーズ船寄港地

国土交通省港湾局産業港湾課資料より転載

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② 嗜好に合ったお食事

日本船の自慢は”お食事“。決していつもフルコースの豪華

なディナーを意味するわけではありません。日本人の嗜好にあった和洋中の味をご用意します。

本物の和食は日本船の自慢（にっぽん丸の北海道ディナー例）

③ 乗組員のおもてなし

日本船のおもてなしは

お茶会の一期一会にも似て、

日本船のおもてなしは

お茶会の一期一会にも似て、

クルーズのあらゆる場面での出会い

を大切にします。

それは、ノーチップポリシーにも現れ

ています。

クルーズのあらゆる場面での出会い

を大切にします。

それは、ノーチップポリシーにも現れ

ています。

Chashitsu “Yoshino”, Ms. Nippon Maru

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④日本型イベントの追及

日本のクルーズ船社（３社）は、より魅

オペラクルーズ（にっぽん丸）

日本のクル ズ船社（ 社）は、より魅力的な商品開発のために、花火クルーズ、夏祭りクルーズ、オペラクルーズや大相撲クルーズなど常に新しいテーマクルーズの開発を行っている。

対応すべき課題①

これまで手つかずで。外国船の参入相次ぐ外国船の参入相次ぐ。

新たなビジネスチャンス？ 日本船3社が集中

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対応すべき課題②

クルーズ産業の安定的成長のためには、日本人のクルーズ人口を増やさねばならない。だれが新しく生を増 。 新まれてくる需要の担い手になるのか。

寄港実績では外国船が優位に

2009年ー2014年 わが国港湾への寄港回数（外国船/日本船）

国土交通省港湾局産業港湾課速報値

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日本船と外国船の違い

• 外国船の収入構造は、チップ 政府諸税・港費の徴収 積極的なチップ、政府諸税・港費の徴収。積極的な船内営業（大手の場合、総収入の２０‐２７％）

• 外国船のコスト構造は、

便宜置籍（船員の国籍、免税/不課税仕入、

固定資産税不課税など） 優遇措置固定資産税不課税など）、優遇措置、

スケールメリット

⇒ 戦うフィールドを変える。

１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

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日本海の魅力①海外航路の設定

歴史と文化：大陸との結びつき隠岐 対馬 能登 敦賀 大陸への海路 文化伝来隠岐、対馬、能登、敦賀： 大陸への海路、文化伝来

新潟、秋田、函館 ： ウラジオストックとの姉妹都市提携

小樽、敦賀、舞鶴 ： ナホトカとの姉妹都市提携

８～９世紀海路 姉妹都市提携古代から大陸との海路

小樽

函館

渤海

舞鶴

函館

小樽函館

敦賀舞鶴

対馬

対馬

対馬

壱岐

能登客院

松原客院

筑紫館

新羅

唐

日本海の魅力②多様な寄港地

歴史と文化小樽

歴史と文化北前船航路の主な寄港地

輪島

七尾

小木

酒田

土崎

古賀

能代

鯵ヶ沢

十三湊

江差

松前

福

にっぽん丸の寄港可能な港が36港

萩

温津津

浜田

境港

宮津

舞鶴

敦賀

三国

島 尾

伏木

柏崎

新潟

浦

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日本海の魅力③海からの景観

・ 自然 ：日本海の落日日本海の落日洋上から見る景観

北アルプス鳥取砂丘大山、鳥海山、岩木山、利尻富士利尻富士

夏の静穏な海

・ イカ漁漁火・ 余部崎灯台(海抜２８４ｍ）

「にっぽん丸」の実例（海外クルーズ）2016年5月 ぐるりにっぽんとナホトカ・ウラジオストック

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「にっぽん丸」の実例（目的地）2013年5月日本一周クルーズ 佐渡島

「にっぽん丸」の実例（発着）2016年7月新潟発着 夏の利尻・礼文クルーズ

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１．世界のクルーズ産業の規模

ズ プ２．クルーズの歴史と主要なプレーヤー

３．成長のシナリオと制約要因

４．日本のクルーズ市場概観

５．日本船から見た日本海側の魅力

６．新潟港のさらなる客船受入の鍵

クルーズ船が寄港地に求めるもの

共通するもの寄港地

発着地としての寄港地 観光地としての寄港地

共通するもの知名度地元の歓迎経済的メリット

発着地としての寄港地乗下船の利便性

交通手段の整備

ターミナル機能の整備

CIQなどスムーズな出入国

観光地としての寄港地観光資源(周辺含む)

ツアー

イベント

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寄港地での印象的な歓迎

輪島港の市民の送迎（左上）、筆の産地五日市港（左）大船渡港での獅子頭（上）

新しい可能性①レイル＆クルーズ

欧米でクルーズ大発展の仕掛けのひとつは、航空機とクル ズの組み合わせで クル ズ最航空機とクルーズの組み合わせで、クルーズ最適の水域と大消費地を繋げたこと。

日本では発達している鉄道網と組み合わせられないかいか。

⇒ 上越新幹線、北陸新幹線

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新しい可能性②前後の寄港地との広域連合

2015年GW日本一周 2014年GW日本一周2014年GW日本 周

人気の日本一周。前後の寄港地との距離、役割分担。

ご清聴ありがとうございました。