アフリカ 経済 見通し 20202...

8
アフリカ 経済 見通し 2020 COVID-19 下に おいて ハイライト 補足資料

Transcript of アフリカ 経済 見通し 20202...

Page 1: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

アフリカ経済見通し2020

COVID-19下に おいて

ハイライト

補足資料

Page 2: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

本資料に表明されている見解および採用されている主張は、必ずしもアフリカ開発銀行、その理事会またはそれらが代表する国々の公式見解を反映したものではありません。本資料ならびに本資料に含まれるデータおよび地図は、いかなる領域の地位または主権、国際的な国境や境界に関する決定、および領域、都市または地域の名称に法的影響を与えるものでもありません。

IISBN 978-9973-9848-7-6(印刷版) IISBN 978-9973-9848-8-3(電子版)

© African Development Bank 2020

アフリカ開発銀行が提供元かつ著作権所有者であることが適切に認識されている限りにおいて、個人使用を目的とする本資料の複写、ダウンロードまたは印刷ができます。また、本資料からの抜粋を利用者の文書、プレゼンテーション、ブログ、ウェブサイトおよび教材に使用することを許可します。

Page 3: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

1

マクロ経済のパフォーマンスと見通し

アフリカ経済の見通しは芳しくない2020年のアフリカの実質 GDPは、COVID-19流行前の 2020年 1月に出された予測から 5.6

ポイント下方修正され、新型コロナウイルスが相当な影響を及ぼすものの、短期的な影響にとどまる場合には、1.7%縮小すると予測されています。2020年上期以降も影響が長引く場合は、2020年の GDPはさらに大きい 3.4%の縮小になると見られ、COVID-19流行前の成長予測から7.3ポイント下方修正されています。

2020-2021年の累積では、GDP損失額は 1731億ドルから 2367億ドルに達する可能性も成長が縮小すると、2020年のアフリカの GDP損失額は 1455億ドル(ベースライン)から1897

億ドル(最悪のケース)に達する可能性があると予測されます。COVID-19流行前の予測では、2020年の GDPは 2兆 5900億ドルでした。予測される回復は部分的なものになると見られるため、損失の一部は 2021年に持ち越されます。2021年の GDP損失額は、276億ドル(ベースライン)から 470億ドル(最悪のケース)と予測されています。COVID-19が大流行していなかった場合の GDPは、2兆 7600億ドルと予測されていました。最も影響が大きいのは、医療システムが脆弱な国、観光、国際貿易、コモディティ輸出に大

きく依存している国、債務負担が大きく不安定な国際資金の流れに大きく依存している国です。ただし、このパンデミックが社会経済に与える全体的な影響は、依然として不透明です。それは、解明が進められているこのウイルスの疫学、需要と供給に対するその影響の程度、公共政策の対応の有効性、行動変化の持続性に大きく左右されます。

パンデミックが急激なインフレの引き金にこのパンデミックはすでにアフリカ大陸におけるインフレの引き金になっており、一部のケースでは、2020年第一四半期に 5%以上のインフレが起こっています。これは主に、大部分を輸入に頼っている食品およびエネルギーの供給が中断したことに起因します。一方で、他の多くの国では、ロックダウンやその他の封じ込め措置による総需要の劇的な減少により、特に非資源集約型経済の国々で、インフレ圧力が緩和されています。全体として、食料やエネルギー価格を含む消費者物価指数は上昇すると見られますが、パンデミック後に需要が回復するまで、コアインフレは安定した状態が続くと見られます。

ハイライト

Page 4: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

2 C O V I D -19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し

アフリカにおける

ウイルスの蔓延は、 感染者の隔離と

治療に対する各国の準備が整っているかどうかに大きく左右されます

財政支出の拡大ですでに高い財政赤字が倍増の恐れもパンデミックとその経済的影響により、アフリカの全ての経済分野で財政支出の拡大という政策対応が実施されるとみられています。このような拡張的財政政策は、アフリカ大陸の財政赤字をさらに拡大させることになるでしょう。2020年の財政赤字は、ベースラインシナリオで GDPの 8%に倍増し、最悪シナリオでは 9%にも達すると予測されています。COVID-19に関連した医療支出、失業給付、ターゲット別賃金補助と直接移転、減税と課税繰延の予算支出が大幅に増加した結果、このように財政状況が悪化します。

ソブリン債務負担を拡大するCOVID-19COVID-19により、債務が適切に管理されなかった場合、広範囲にわたってソブリン債務危機が生じる可能性が高まっています。アフリカでは多くの国で債務の対 GDP比が高く危機的状況に陥っていますが、2020年と 2021年には、この債務対GDP比が COVID-19の流行前の軌道をさらに最高で 10パーセントポイントも上回ると予測されています。ユーロ債をはじめとする民間債権者の商業債務比率の上昇と、アフリカの外貨建て負債の比率の高さを受け、アフリカにおけるリスク構造が変化しているため、ソブリン債務の増加が特に懸念されています。

送金や海外直接投資が急減する可能性海外からの資金源として最多を占めているのは送金で、世界経済の回復と海外への移住の増加を背景に、2018年には 2017年から7%増加して 828

億ドル、2019年にはさらに増加して 862億ドルとなりました。送金は多くのアフリカ諸国にとって非常に重要な海外からの資金源となっており、カーボベルデ、コモロ、ガンビア、レソト、リベリア、セネガルでは GDPの 10%以上を占めています。そのため、これらの国々は COVID-19による送金への影響に非常に脆弱になっており、特に、移民の雇用と収入が脅かされている高所得国が影響を受けています。

海外直接投資は、2018年に 10.9%増加して459億ドルとなり、2019年にはさらに 490億ドルに達したと見られていますが、これも 2020年には、

不透明な情勢の中、投資家が投資を減らしたり延期するなどして減少に転じると見られています。 2016年以降増加している政府開発援助(2018年には 1.2%増加)は、先進国経済に生じる危機の影響によって制約を受ける可能性があります。また、アフリカでの投資資金の流れは 2017年以降減少しており、2019年には 271億ドルでしたが、現在では新興市場の資本の流れが突然止まるという深刻な圧力を受けています。予測によると、世界経済の成長に対する COVID-19ショックと投資家の間のリスク回避傾向の強まりにより、2020年には 50%以上減少すると見られています。

社会経済的影響

アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々に平坦化アフリカ 54カ国における COVID-19の確定症例数は、2020年 6月 22日現在 30万 4642名でした。報告されている死亡者数は 8087名となっています。ほとんどの国で検査能力が限られているため、報告された数字は実際より少ないと見られます。これまでのところ、北アフリカおよび南アフリカ諸国が最も影響を受けており、東アフリカ、中央アフリカ、西アフリカの症例数は少なめです。しかしながら、この差は検査や対策アプローチの違いによって生じている可能性があります。

アフリカはコロナウイルスの蔓延を抑える準備が不十分アフリカにおけるコロナウイルスの蔓延は、感染者の隔離と治療に対する各国の準備が整っているかどうかに大きく左右されます。アフリカでは病気に対する脆弱性が高く、医療システムの準備が整っていないため、公衆衛生上の緊急事態につながる大きなリスクが生じています。ある国の医療システムの能力を総合的に評価する世界健康安全保障指数 (Global Health Security Index)では、多くのアフリカ諸国が、ほとんど準備できていないと評価されています。国際的な影響を持つ伝染病の脅威に臨床的観点から対応する準備が整っていると評価されたのは、54のアフリカ諸国のうち 21カ国のみでした。残りの 33カ国は、伝染病の大流行に対応する準備が不足している、ほとんど準備できていない、と評価されています。

Page 5: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

C O V I D -19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し 3

政府や開発

パートナーは、 調整され、 対象が絞られた、 迅速な対応を取って

パンデミックの

影響を抑えなければなりません

さらに 2820万から 4920万のアフリカの人々が極度の貧困に陥る可能性アフリカにおいて極度の貧困状態(1.90ドルの国際貧困ラインを使用)にある人々の数は、COVID-19が流行しなかった場合、2020 年に4億 2520万人に達すると見られていましたが、COVID-19によりベースラインシナリオで 4億5340万人に、最悪シナリオでは 4億 6270万人にまで増加する可能性があります。2021年には、COVID-19の大流行によってGDP成長率が人口上昇率を下回り続けるため、極度の貧困状態にある人々の数が 3400万人から 4920万人増加する見込みです。アフリカで最も人口が多いナイジェリアとコンゴ民主共和国で、増加数が最大になると見られます。2020年には、両国それぞれにおいてベースラインシナリオで 850万人および 270万人の増加、最悪シナリオでは 1150万人および 340万人の増加となります。

2500万から 3000万の雇用が失われるとの予測2019年には約 7億 7340万人のアフリカの人々が雇用されていましたが、COVID-19の流行前の予測では、この数字は 2020年に 7億 9270万人に増加すると見られていました。GDPが 1.7%縮小するというベースラインシナリオでは、2020年に2460万の雇用が失われると見られています。GDP

が 3.4%縮小するという最悪シナリオでは、最大で 3000万の雇用が失われる可能性があります。雇用者の半分近くを占めるワーキングプアの人々が大きなダメージを受けることになるでしょう。また、この危機は生き残る雇用の性質にも影響を及ぼすと見られます。ロックダウンやその他の制限を受けてフォーマルセクターの労働者の賃金や労働時間が引き下げられ、所得を維持するための生き残り戦略としてインフォーマルセクターへの転職者が増加するためです。

政策の選択肢

COVID-19のパンデミックは世界的な規模で影響を与えているため、政府や開発パートナーは、調整され、対象が絞られた、迅速な対応を取って効果的にその影響を抑えなければなりません。アフ

リカ全体において、多面的な対応を順序立てて取る必要があります。これには、ウイルスの蔓延を抑え、死亡者を最小限に抑えるための公衆衛生上の対応、流動性への制約とソルベンシー・リスクを緩和するための金融政策上の対応、パンデミックが生活に及ぼす経済的影響を緩和し、企業を支援するための財政上の対応、労働者とその雇用を保護するための労働市場政策、アフリカ経済を再建し、将来のショックに備えてアフリカ経済が強靭性を再構築し強化できるようにするための構造的政策が関わってきます。

公衆衛生上の対応アフリカにおけるウイルスの蔓延は、感染者の隔離と治療に対する各国の準備が整っているかどうかに大きく左右されます。

効果的な情報共有・コミュニケーション戦略を策定する。コロナウイルスの症状、予防、治療に関する正確な情報を早期に拡散すれば、その蔓延を抑え、市民がパニックに陥ったりデマが拡散したりすることを防ぐことができます。民間セクター、特に電気通信企業との戦略パートナーシップにより、情報を迅速に収集、伝達して資源計画や検査キャンペーンを行うことができます。

公衆衛生セクターに資源を再配分し、しっかりした公衆衛生緊急事態計画を策定する。短期的には、アフリカ諸国は既存の資源を活用し、COVID-19感染者の発見、検査、隔離、治療のための保健インフラに投資すべきです。

保健面の備えに投資して医療システムをアップデート、アップグレードする。長期的には、保健面の備えに大規模な投資を行い、アフリカの医療システムのアップデートとアップグレードを行うことが必要です。COVID-19の大流行は、アフリカ諸国が緊急に保健システムを強化し、将来のショックに対する強靭性を構築するための警鐘とすべきです。

医療従事者の数を増やす。アフリカの教育システムを変え、公衆衛生カリキュラムを優先するとともに、学生に提供するプログラムの質を改善する必要があります。

開発の優先事項の中で、保健システムの地位を高める。保健システムにより多くの財源を配分することが、構造的な投資不足の是正に欠かせません。保健セクターは、アフリカ各国政府の開

Page 6: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

4 C O V I D -19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し

各国政府は、 将来のショックに

対するアフリカ

大陸の脆弱性を

高めることになる

構造的なボトル

ネックの解消に取り組む必要があります

発アジェンダにおいて、最優先課題のひとつとされなければなりません。さもなければ、アフリカ大陸は今後も保健上のショックに対応し、その経済的影響を緩和する準備が整わない状態が続いてしまいます。

財政政策上の対応財政的余裕のある国の政府は、対象を絞った一時的な減税や現金給付、生活困窮手当を通じて、最も影響を受けた企業や世帯が事業や生活を維持できるよう支援することができます。各国政府は、解雇された人々や生計手段を失った人々を次のような措置で支援することができます。

• 現金給付、影響を受けた事業者の確定申告期間の延長、影響を受けた産業への一時助成金。

• 社会保護プログラムが比較的よく機能している国においては、失業保険や社会保障などの社会的セーフティネットプログラムの受給資格および適用範囲の一時的拡大。

• 低所得世帯を対象に、非政府組織が活用しているような仕組みと連携した食料(配給またはバウチャー)等の救済支援。

金融政策上の対応ビジネス界は、資金の借り入れコストが上昇していると報告しています。企業が期日どおりにローンを返済できないのではないかと銀行が懸念しているからです。

財務条件を緩和する。中央銀行は、金利の引き下げによって流動性を供給することで、財務状況の悪化に迅速に対応しなければなりません。影響を受けた企業やセクターには、対象を絞った介入措置を取るべきです。

経済を支えるため、マクロプルーデンスで非従来型の金融政策を用いる。中央銀行は、一時的に負債の再編や再構成を行うことで、ホスピタリティや娯楽産業など最も影響を受けたセクターの企業(航空会社、ホテルチェーン、物流、スポーツなど)への資金供給を目的とした独自の量的緩和を行うことができます。脆弱なグループを支援するため、零細企業やインフォーマルセクターの銀行口座を持たない人々を対象とするプログラムを設け、政府が資金を提供し、場合によっては現場に近い他の機関に運営させることもできます。

労働市場の対応COVID-19がアフリカの労働市場に与える影響は、インフォーマルセクターに従事している、またはフォーマルセクターで臨時雇用の機会しかない、特に若者と女性を中心とした脆弱なグループにとって、大きなものとなるでしょう。

若者と女性を中心とした脆弱なグループを支援 する。COVID-19のパンデミックは人々の脆弱性によって異なる社会経済的影響をもたらす可能性があります。この状況は、脆弱な立場に置かれた人々を対象として入念に設計された政策を必要とし ます。

• フォーマルセクターの労働者に対しては、各国政府は中小企業(その 3分の 1は女性が所有)に対する給与税の繰り延べを行ったり、公的資金を投入して商業信用供与を促進するメカニズムを創設することができます。

• インフォーマルセクターの労働者に対しては、モバイル送金などのデジタル技術ツールを使用して現金給付を行うという選択肢がありますが、デジタル機器が使用できない場合には、食料品、水、衛生用品を配布する方が迅速に支援できる可能性があります。

• 医療従事者やソーシャルワーカーには、短期的にはボーナスなどのインセンティブ、中・長期的には男女の賃金格差の是正などの措置を取ります。

労働者と雇用を守るため積極的な労働市場政策を実行する。各国政府は、罹患したり隔離されている人 、々育児をする人々の収入を保証するため、テレワークなどの柔軟な労働形態を奨励したり、雇用維持保証、共同出資の有給病気休暇、育児休暇を提供するなどして、労働者を保護すべきです。インフォーマルセクターの労働者、失業者、保険未加入の労働者、およびその家族を含め、すべての人を対象に共同出資の保健サービスへのアクセスを拡大しなければなりません。

構造的政策COVID-19流行後の世界に備え、強靭性を大幅に高めるために、各国政府は、将来のショックに

対するアフリカ大陸の脆弱性を高めることになる構造的なボトルネックの解消に取り組むべきです。この感染症の流行後に実施される政策が、長期的な経済の軌道を左右します。

Page 7: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

C O V I D -19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し 5

経済を再開させる

ためには、政策立案者はまず、一貫性のある国家的な枠組みに

基づいて戦略を策定しなければなりません

アフリカの生産基盤を再建するための構造改革を加速する。生産性を高め、ビジネス環境における課題に対応するためには、人的資本に投資して、エンジニアリング、製造、建設のスキルを持つ労働力を構築しなければなりません。農業加工、デジタル技術、ICTサービス、貿易物流などのセクターは、その競争力を高めるために政府の介入を必要としています。

経済のフォーマル化に対する障害に取り組む。企業登録を緩和し、税金を調整することで、手続き上の要件や高額な税金の請求に対する恐れから現在のところフォーマル化を避けているインフォーマルビジネスのフォーマル化を促すことができます。積極的な広報キャンペーンで、資本へのアクセスや事業拡大・増益の機会拡大といった、フォーマル化のメリットを強調することができます。

最大限の保護を目指して社会保護プログラムを再考する。改革には、インフォーマルセクターの労働者のニーズに合った柔軟なアプローチが求められます。たとえば、労働者が退職年金基金に自主的に加入できるようにすることなどです。

いつ経済を再開させるか、妥協点を見出す政策立案者は、経済の再開とコロナウイルスの抑え込みの間で生じるトレードオフを評価しなければなりません。その目的は、厳しいロックダウンの経済的コストと症例数の両方を抑えることですが、これにはジレンマが伴います。アプローチのひとつとして、基礎疾患があり、コロナウイルスに感染すると合併症を発症するリスクが高い人や 65

歳以上の人を特定して保護し、経済再開の第一段階ではその移動を制限するなど、対象を絞った措置を取ることが挙げられます。

COVID-19からの回復は不安定で不均質になると見られるため、各国政府は新たな情報が入手可能になるに伴い、さまざまな状況に応じて継続的に調整ができる、入念に計画された段階ごとの適応戦略に従う必要があります。他の大陸、特に時系列から見てパンデミックのより進んだ段階にある大陸から、関連する教訓が得られる可能性があります。経済を再開させるためには、政策立案者はまず、一貫性のある国家的な枠組みに基づいて戦略を策定し、国内各地で効果的に実施するとともに、それに伴う不確実性や国民の不安を管理しなければなりません。それには、戦略に対する市民の信頼と支持を得るための透明性が必要とされます。特に、経済の再開に伴って再び感染が広まる可能性が高いからです。

Page 8: アフリカ 経済 見通し 20202 COVID-19下におけるアフリカの経済パフォーマンスと見通し アフリカにおける アフリカにおけるパンデミック曲線は徐々

この『アフリカ経済見通し 2020』の補足資料は、アフリカにおける COVID-19の流行により予想されるマクロ経済的および社会的コストについて詳述したものです。 また、この危機と闘い、景気低迷に直面し、回復に向けた準備を整えようとする各国に向け、政策オプションも提示しています。

COVID-19の流行が短期間で収束し、各国がロックダウンをはじめとする厳しい封じ込め措置を 7月までに解除することができれば、2020年のアフリカの実質GDPは 1.7%の縮小に留まると見られます。しかし、これらの措置が 2020年上期以降も継続される場合、2020年の GDPは 3.4%の縮小になる可能性があります。2020-21年の累積では、GDP損失額は 1731億ドルから 2370億ドルに達する可能性があります。

さらに、GDPが 1.7%縮小した場合、2020年に 2460万の雇用が失われると予測されており、3.4%縮小した場合には最大で 3000万の雇用が失われる可能性があります。最も大きな打撃を受けるのは、雇用者の半分近くを占めるインフォーマルセクターの労働者になるでしょう。

アフリカにおいて極度の貧困状態にある人々の数は、COVID-19が 流行しなかった場合、2020年に 4億 2520万人に達すると見られていましたが、COVID-19により、GDPが 1.7%縮小した場合さらに2800万人、3.4%縮小した場合にはさらに 3750万人増加すると見られます。2021年は、GDP成長が人口上昇率を下回り続けるため、それぞれのケースでさらに 3400万人および 4920万人増加する見込みです。

最も影響が大きいのは、医療システムが脆弱な国、観光、国際貿易、コモディティ輸出に大きく依存している国、債務負担が大きく不安定な国際資金の流れに大きく依存している国です。このパンデミックが社会経済に与える全体的な影響は、依然として不透明です。それは、解明が進められているこのウイルスの疫学、需要と供給に対するその影響の程度、公共政策の対応の有効性、人々の行動変化の持続性に左右されます。

COVID-19の流行は世界的な規模で影響を与えている ため、政府とその開発パートナーは、調整され、対象が絞られた、迅速な対応を取ってその影響を抑えなければなりません。アフリカ全体において、順序立った多面的な対応を取る必要があります。これには、ウイルスの蔓延を抑え、死亡者を最小限に抑えるための公衆衛生上の対応、流動性の制約とソルベンシー・リスクを緩和するための金融政策上の対応、パンデミックが生活と企業に及ぼす経済的影響を緩和するための財政上の対応、労働者とその雇用を保護するための労働市場政策、アフリカ経済を再建し、将来のショックに備えて強靭性を再構築、強化できるようにするための構造的政策が関わってきます。

アフリカ開発銀行グループAvenue Joseph Anoma01 BP 1387 Abidjan 01Côte d’Ivoirewww.afdb.org