FACTORS LEADING TO PSYCHIATRIC HOSPITALIZATION OF

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8 (1974年9月) 5. The number of cases in which more than 105/ml bacterial counts were detected was larger among the patients who used diapers than those who did not, showing a significant difference between them. FACTORS LEADING TO PSYCHIATRIC HOSPITALIZATION OF THE GERIATRIC PATIENT Takashi KATAGIRI and Takeshi MISAWA (Komoro National Sanatorium, Nagano) This research was based on 70 geriatric patients who had been admitted to psychiatric wards of Komoro National Sanatorium. We keep on putting questions to families of these patients, related to factors leading to psychiatric hospitalization. We camed to following opinions by statistic treatment of these response, 1. Families have relative strong torelans for psychopathic symptoms. 2. These patients had several problems leading to psychiatric hospitalzation, but most significant factor was harmful behavior. 3. The psychiatric treatment for the geriatric patient must aim at the improvement of these harmful behaviors. We take up work to confirm the factor, which make improvement of these harmful behaviors after this. REHABILITATION OF THE RHEUMATOID ARTHRITIS IN THE AGED Kiyoshi SHIOJI, Tetsuo SAEKI, Kazuhiko IKEGAMI and Mariko SAWADA (Shirahama-Onsen National Hospital, Wakayama) Rehabilitation is the main treatment in medical management of rheumatoid arthritis. In our clinic over 200 in-patients sufferd from rheumatoid arthritis are admitted in a year and in those the patients over 60 years of age are 20% of all. Treating arthritis in elderly patient requires time, patience and act. Physical therapist should use the proper exercise to relieve pain, preserve function and prevent deformity. Physical therapy cannot be successful, however, if the patient and their famillies who assist him do not understand the gaol to be achieved. The physical therapist must evaluate periodically the patient's progress and review the therapy programs. -750-

Transcript of FACTORS LEADING TO PSYCHIATRIC HOSPITALIZATION OF

8 (1974年9月)

5. The number of cases in which more than 105/ml bacterial counts were detected was larger

among the patients who used diapers than those who did not, showing a significant difference

between them.

FACTORS LEADING TO PSYCHIATRIC HOSPITALIZATION OF

THE GERIATRIC PATIENT

Takashi KATAGIRI and Takeshi MISAWA

(Komoro National Sanatorium, Nagano)

This research was based on 70 geriatric patients who had been admitted to psychiatric wards

of Komoro National Sanatorium. We keep on putting questions to families of these patients,

related to factors leading to psychiatric hospitalization. We camed to following opinions by

statistic treatment of these response,

1. Families have relative strong torelans for psychopathic symptoms.

2. These patients had several problems leading to psychiatric hospitalzation, but most

significant factor was harmful behavior.

3. The psychiatric treatment for the geriatric patient must aim at the improvement of these

harmful behaviors.

We take up work to confirm the factor, which make improvement of these harmful behaviors

after this.

REHABILITATION OF THE RHEUMATOID ARTHRITIS IN THE AGED

Kiyoshi SHIOJI, Tetsuo SAEKI, Kazuhiko IKEGAMI and Mariko SAWADA

(Shirahama-Onsen National Hospital, Wakayama)

Rehabilitation is the main treatment in medical management of rheumatoid arthritis. In our

clinic over 200 in-patients sufferd from rheumatoid arthritis are admitted in a year and in those

the patients over 60 years of age are 20% of all.

Treating arthritis in elderly patient requires time, patience and act. Physical therapist

should use the proper exercise to relieve pain, preserve function and prevent deformity. Physical

therapy cannot be successful, however, if the patient and their famillies who assist him do not

understand the gaol to be achieved. The physical therapist must evaluate periodically the

patient's progress and review the therapy programs.

-750-

58 (1974年9月)

老 人 関 節リ ウ マ チの リ ハ ビ リテ ー シ ョ ン の 問 題 点

塩 路 清*佐 伯 鉄 雄*

池 上 和 彦*沢 田 希 子*

平均寿命が延 びて高令化社会に成長 しつ つ あ る 今

日, 国民福祉 の充実 と共 に老 人医療が拡大 実 施 さ れ

て, 高令 者で リハ ビ リテーシヨン(以 下 「リハビ リ」

と略す)に 温泉治療を希望す る患者 も急増 の傾向に あ

る. 温泉地に位置す る リハ ビ リ専 門病院 の特徴 として

当院も リウマチ性疾患 を中心 と した慢性疾患 の入院患

者 が 多 く. 中で も慢性 関節 リウマチ(以 下 「RA」 と

略 す)は 年間平均200症 例を越 え, その うち50才 以上

の症例は約40%を 占め, 60才 以上の症例 に限つ て も

20%近 くを占めている. (表1)

老人患 者の リハ ビリはその肉体的な生活力低下 のみ

な らず, 精神的にも治療 に対す る意欲の欠損 のため十

分 な効果 をあげ難い といわれ てい る. 老人の慢性疾患

の うちでも リウマチ性疾患 は進行性 で, 且つ難治性で

あ り, RAは 特に管理指導 の困難 なものの 一 つ で あ

り, 今回当病院での老 人関節 リウマチの治療特に リハ

ビリ医療上の問題点に検討を加え, 今 までの治療 の反

省 とし, 将 来の治療体系の確立の一助 としようと試み

た. 特に難解な症例 を示 してその問題点 を検討 した.

対 象

当病院は神経痛, リウマチ治療 センターの機能上,

リウマチ性疾患の入院患者が多 く, 年間平均200名 を

こえてお り, 入院患者の半数近 くを占めている. RA

患者はその病状に応 じて内科 あるいは整形外科病棟 に

入院 して全身管理の うえ, 理学診療科で リハ ビ リ医療

を行つている. 時には リハ ビリ外科 として障害部位の

手術 も併用 して リハ ビリ ・ゴール への到達 の 手 掛 り

表1RA入 院患者の年令別分類

ともしている. 入院後臨床検査の終了後医師, PT,

OT, 看護婦 などの医療従事者 による評価会議を開い

て, リハ ビ リ・プ ログラムを作製 してい る. 筋 力 テ

ス ト, ROM測 定, 日常生活動作採点 の外 にCMI指

数, Y-Gテ ス トな どの心理的検査 も行い, 指導上の

一助 としてい る.

成績ならび に症 例検討

RAは 進行性 ・多発性の関節炎 で, 且つ慢性の消耗

性 疾患であ り, 特 に老人においてはその 日常生活動作

の制限は強い, Class, Stage別 にみる と若年者患者に

比 し, その病年の長短 にかかわ らずClassの 進行 し

た症例が多 い. (表2)

従つてRA患 者 の平均在院 日数 をみると60才 以上

の症例では若年者 に比 し長 く, 最 近では老人 医療無料

化の波にのつて1年 を こえる症例が多 くな つ て い る

(表3).

RAの 治療 には基礎治療 ・薬物治療 ・手 術療法 ・リ

ハ ビリに大別 した一連 の治療体系が構成 され, そ の有

機的 な連携を保ちなが ら患 者の症状の改善 の道づ けを

行 うわ けであ る. その体 系の中で リハ ビ リを円滑 に進

めるには各医療従事者の密接 な連絡を とつた協力が必

要 であ り, 特に老人症例 につい ては精神的 ・肉体的機

能低下を補 う努力 が必要 である.

当 院 に 入 院 し リハ ビ リを受 けたRA症 例 につい て

国 立 白 浜 温 泉 病 院

Shirahama-Onsen National Hospital

* 理 学 診 療 科Kiyoshi SHIOJI

(理 学 療 法 士)Tetsuo SAEKI

Kazuhiko IKEGAMI

Mariko SAWADA

(Rehabilitation of the Rheumatoid Arthritis in

the Aged)

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(医 療 第28巻 第9号) 59

表2 RA入 院 患 者 のClass・Stage分 類

表3 RA入 院患者の平均入院日数

表4 RA入 院患者 のADL評 価の変動

3ヵ 月後の 日常生活動作の評価を行 うと, 若年者RA

では, 半数以上 の症例が改善 を示 してい るが, 高年者

では入院加療 していなが ら悪化 を示す症 例 が 多 い.

(表4)

これ らの 日常生活動作の機 能低下 は単 なる関節症状

の悪化によるのみでな く, 高令者 の精神的 不 安 定 に

よることがある. コーネル ・医学 指数(CMI), 矢 田

部 ・ギルフオー ド性格検査(YGT)か らみれば, 高令

者 は若年者 に比 し神経症的傾 向が強 く, 精神的障害に

図1 CM1に よる神経症判別図

ついて もいろいろの種類 ・程度があ り, 症例ご とにそ

れ ぞれ の問題点をかかえてい る(図1).

これ らの リハ ビ リ上 の問題点を二, 三の症例 につい

て検討 してみ た.

症 例

症例171才 の主婦, 昭和41年 ころ慢 性に両 手指 の

関節 の腫脹 ・疼痛を来 し, 次第に全身の諸関節 に炎症

が波及 した. 昭和43年2月 全身症状の悪化のため温泉

治療を希望 して当院に入院 した.

入院時全身 の関節炎 があ り, 特に両膝の腫脹, 疼痛

が強 く辛 うじて独歩 しえた. 赤沈値 の亢進 もあ り全身

症状の活動性 が強 かつ たが, 全身症状の回復を各種薬

剤 投与ではか りなが ら徐 々に温泉治療 とともに リハビ

リを施行 した. 改善度 は微 々であつ たが, 1年8カ 月

の入院生 活に より全身症状並 びに両膝関節の疼痛 ・支

持性 も軽快 ・改善 して独歩可能 とな り退院 した. その

間両膝関節 は レ線像 では関節裂 除の狭小化 ・骨侵蝕 像

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図2 症例1の 左膝関節の レ線像1.

入院時既に関節裂隙の狭小化がみ られている.

の出現があ り. 関節の破壊 は進 行 した と判定 されたが

日常生活動作は逆に楽になつてお り, Classは3か ら

2に, Stageは 逆に進行 している像が認 め られ た.

(図2)

その後 自宅療養 していたが, 昭和45年1月 両 膝関節

の症状が増 悪 し, 歩行不能 となつて再入院 した. 両膝

関節 の疼痛が強 く, 支持性 も不安定 であ り, 膝関節 伸

筋力の低下も強 く, リハビ リ・プログ ラムに よる効果

を期待で きなか つた. リハビ リの効果 のみ ら れ な い

まま, 昭和45年3月 には第12胸 椎の圧迫骨 折 を 起 こ

し, その後1年 間 は床上の簡単なADL訓 練 をするに

過 ぎなかつた. その後脊推症状 の改善 をみたのでほ と

んど強直 した右膝関節には昭和47年3月, 左膝関節に

は同年5月 にグパ ール型 全人工膝関節置換 術を施行 し

た.(図3, 4)術 後の リハ ビ リに努 力 を 重 ね た 結

果, 両膝 の疼痛は消失 し関節運動域 も改善 し90. 近 い

屈曲度を得, 室 内の杖な し歩 行も可能 となつた. その

改善 も3ヵ 月間 に過 ぎず, 再 び高血圧 とともに骨多孔

症 と多発性の脊椎圧迫骨折を起 こし, 再度臥床のやむ

な きに至つた.

この症例はCMIで は皿型 に 属 し, Y・Gテ ス ト

ではB型 で, 精神不安定で神経症型, 表面上は治療 に

意欲的 であつたが, リハ ビ リ実 施上では疼痛に耐え難

く, 恐怖心 もあ り訓練指導の非常に困難な症例であつ

た. 加 えて老人にあ りが ちな内科的合併症 と しての高

血圧や骨多孔症に伴 う脊椎骨折を惹起 したため, より

以上 に リハビ リを困難 に した.

図3 症例1の 左膝関節 のレ線像2.

再 入院後膝関節の骨破壊が進行 し, 内

側 の脛骨果面の陥入像 が認 め られ る.

図4 症例1の 左膝関節 のレ線像3.

グパール型全人工膝関節置換術が施行 された.

症例269才 の主婦, 昭和42年 ころ発病 し次第に関

節症状の悪化を来 し, 某温泉病院 に入院加療 したが症

状の改善をみない まま, 昭和46年1月 担送にて入院 し

た. 両膝関節 の破壊が強 く, 疼痛, 動運制限のみな ら

ず, 筋力の低 下が著明で 日常生活動作 も介助を必要 と

す る状態 であつた. 加えて心機能 の低下のためわずか

の動作で も負担 になつ ていた. 筋力の回復 と耐久力 の

増 大をはか り, ADL訓 練 に努 めた結果全身状態 も改

善 し, 独歩 も可能 にな り, 家庭生活への復帰 も間近い

と期待 されていた. 昭和46年9月 ころか ら心臓喘息発

作を頻発 し, 高血圧症 も併発 した. 次いで突然吐血を

起 こし, ベツ ト上で臥床のやむ なきに至つた.

この症例は リハビ リの動機づけ も十分に可能 で リハ

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(医 療 第28巻 第9号) 61

ビ リ・プログラムに従つてゴール近 くまで回復をみた

が, いろいろの合併症の併発をみたため リハ ビ リを中

止せざるを得 なかつた ものである.

考 案

人口構成 の急激 な変動 で60才 以上の人 口が10%以 上

を 占め るようにな り, 老人 の医療は極めて重要 な問題

となつて きた. 老人 医療 のうちで医学的 リハ ビリは治

療の一環 として大 きな場を 占めてい る. 一般的にいつ

ても若年者の場合 と比較 して多 くの難解な問題点 を有

してい る. 老化に伴 う変化 は運動 に関係 ある四肢躯幹

の骨 ・関節 ・筋肉のみな らず心臓 ・肺 ・精神機能に も

種 々の障害 を与 え, また偶発症 として骨折 や筋 ・腱断

裂 も起 こる可能性 もあ り, 運動に よる心肺機能の異常

の発生やその他 の合併症へ の配慮 も必要 である. しか

し更に問題 となるのは難聴, 意志発表力 の低下 などに

基づ く不十分 な対話 のため リハ ビ リへの動機づ けと持

続す る意欲の保持 が困難で あ り, そのためには接す る

側での忍耐 と愛情 が必要 とされ る. 作業 療法 な どにつ

いて も現在 までの生活, 職業な どの経過に基づ いて 自

己を生か した作業 を選 ぶなどの細かい配慮 を とらねば

な らない. 更には起 こりうる心身の障害を予測 して十

分 に注意 をは らい, 事前の策を講 ず ること も 老 人 の

リハ ビ リの成果 をあげるための条件の一つ と考 え られ

る. 1)3)

慢性関節 リウマチの リハ ビ リは, 多発性, 進行性 で

症状の鎮静の期待 しに くい疾患で, 全身症状 を伴 い,

個 々の程度 の差 も多 く若年者において もその実施 と評

価は困難 とされている. 単 なる関節の変形や筋萎縮 の

治療 に しても リハ ビ リのみな らず, 薬剤療法や手術 的

療法 なの総合 した医療が必要で ある.

幸い老人のRAは 比較的予後が良 い といわれ て い

る. 特に60才 以上 に発病 した症例については病年 の短

い点は さておいて悪性 の経過を とることは少 ない とさ

れ てい る. ただ, RAに 類似 した多発関節症や肩手症

候群 などとの鑑別診 断が要点 とされてい る. 悪性 の経

過 をとることが少ない といつても活動性の強い症例 も

多 く, わずかな障害が予期以上 の障害 として現われ る

ことがあ り, 罹患関節についてみて も肩関節罹患が多

く上肢を使用す るADL動 作 の不 自由さを 来 す こ と

も多 い. 治療療としては薬剤に対 して も反 応 し, そ の

活動性 の強い反面 コン トロール しやす い といわれ てい

る2)4)5).

リハ ビリ分野 におい て老人RA患 者 を とりあ げ た

場合, いわゆ る老人病患者 の リハビ リの難渋性, 更に

進行性破壊性疾患 と してのRAの リハ ビリの問 題 点

が加わ ることにな り, その運営 は実 に厄介 なものとな

ることがあ る. リハ ビ リの成功 の第一歩 は患者の動機

づ けといわれてい るが, 老人RAの 場合 も病態 の 認

識 と リハ ビ リ・ゴールの理解を得 ることが 大 切 で あ

り, 十分な理解 と意欲が無 い場合 の リハ ビリは絵 にか

いた餅の ように無意味な努力 におわる ことが多い ので

ある. もち ろん こうした心理的精神的な面 の み な ら

ず, 老人RAの 場合比較的病年を経過 して関節 破 壊

が強 く, 変形 ・運動制限な どの機能障害の進んだ症例

が多 く, 若年者例 に比 して通常の リハ ビ リ・プ ログ ラ

ムにの りかね る耐久力 の低下 してい る場合や, 老人特

有 の身体 的合併症 のみな らず長期薬剤投与(特 にステ

ロイ ド剤 など)の ため予測 できない重篤 な合併症が併

発 してい ることも多 い. 従つ て障害外科 と しての関節

変形 矯正術 や関節形成術 などの指示が得 られ ることも

少な く, 外 科的治療 の効果 をあげ られぬわ けで ある.

リハ ビ リを施行 し, 再 々評価 を行 つて訓練を促進 して

い るに もかかわ らず, 評価毎 に機能低下 を来す症例 も

多 く, リハ ビ リ治療上 に も問題 が多い.

PT, OTと して, たえず患者 と接触 して対 話 と指

導をはか り, 病態 の認識 と把握 に努力 を重ね てい る.

実際的にグル ープ治療 と個人指導 の二面か ら治療 の方

向づけを行 つている. グループ治療は患者 間 で の 対

話 と鼓舞の場 とな り, 相互間 での容易 な病 態 の 理 解

と意欲の増大に役 立つてい る. 個人指 導においては,

PT, OTと して患者 の日々の関節炎症 ・全身状態態の推

移を察知 し, それに基づいた 日々の リハ ビリ ・プ ログ

ラムをた てることがで きる. 患者 として も相互理解 に

基づいた治療への意欲を深め うるのであ る. もちろん

病院内の リハ ビ リは理学 診療 棟におけ る治療 だけでな

く, 病棟 での看護婦 による リハ ビ リ看護を一貫 して行

わねば ならないのは当然であ る.

個 々のRA患 者についても関節 破 壊 ・生 活 不 自

由 ・活動性な どの程度 もさまざまで あ り, 症例に よつ

ては長期間 のステロイ ド服用に よる骨萎縮, 筋萎縮,

関節 破壊 や変形, 動脈炎や難治性潰瘍 などの病変で苦

慮する こともあ り, 通常 の障害 の固定 した疾患や単 一

あ るいは少数 の関節機能障害疾患 と同一視 して リハ ビ

リを進め ると, リハ ビリ ・ゴール に到達せず, かえつ

て社会復帰はおろか家庭復帰 もで きな くなることがあ

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る.

近年整形外科的治療法の進歩に伴 つて, 人工関節を

使用 した関節形成術や関節変形嬌正術で ある程度機能

回復を得 ることは可能にな りつつあ るが, 老人 のRA

症例では全身状態や合併症のため思 い切 つた障害外科

の指示に従えない ことが多いの も問題 である.

また病 院での リハ ビ リ・ゴールが達成 され家庭復帰

が可能にな り, 患者 と家族 との連絡, 協力 が必要 とな

つて も, 病院 のもつ指命 と疾患の特殊性 か ら遠 隔地か

ら来院 し, 長期間の入院を必要 とす る症例が多 く, 患

者の家族 の対話 ・教育の機会 を持 ち難 く, 家族 の患者

に対する理解 を説得す ることが十分 に行 えず, 退院後

の治療の指導 の問題点を残 してい る. 治療 する側か ら

みても, 医学的管理下 にかか わ らず進行 し続 ける傾向

の多い疾患 だけに, 常に予期 しない併発症 もあ り, リ

ハ ビリの訓練の中止 を余儀な くした り, リハ ビ リ・

ゴールの再設定を必要 とす る症例が老人 のRAに 特 に

多 く, 医学的 リハ ビリの結果一応の成果を得て家庭復

帰が可能 と考え られて も, 家庭 へ復帰 してか らの生活

に社会的 な問題を残 している ことがある.

リハ ビ リの技術面について も老人のRAに おいて

はよ り愛護的に治療 する必要が ある. 過重の訓練に よ

る疲労や疼痛の発生は避けね ばな らない. 関節可動域

の改善をはかるための訓練や疼痛の減退 をはかるため

の温熱療法を患者 の苦痛 の程度を こえて行つてはな ら

ない. 訓練後20~30分 を こえ る関節 の疼痛 の持続 はか

えつて今後 の訓練の障害 となる. 関節, 運動に よつ て

疼痛が惹起 され る場合 は等張性運動が指示 され, それ

に よつてある期間一定の リハビ リ効果を期待で きる.

症例に よつては温熱に よつてかえつて疼痛 の増強を来

す こともあ り, 時 には寒冷 マッサージが用い られる こ

ともある. 特 に必要な ことは患者のたえざる変化に対

応 して局所関節の炎症や全身症状 の評価 に基づいた訓

練 の内容 ・程度を検討 し, リハ ビリ ・ゴールの再決定

をす る必要が ある.

結 語

当院での老人慢性関節 リウマ チの リハ ビ リの現状 と

その問題点 につい て述べた.

老人症例 は若年者に比 し身 心 ともに障害 を認め るこ

とが多 く, 忍耐強 く愛護的に治療 を続 ける 必 要 が あ

る. それ にもかかわ らず 日常生活動作の評価を行 うと

改善 を示す症例が少な く, 障害外科 の対象 にもな り難

い. 長期 間入 院を必要 とす る症例 も多 く, 病院 ・家庭

を通 じこの一貫 した リハ ビ リが必要 である

本論文の要 旨は昭和48年10月 山口における第28回 国

立病院療養所総合医学会 リハ ビ リ分科会 で発表 した.

文 献

1) 横山巌:リ ハ ビ リテーシ ヨン医学, 10, 225,

1973

2) 五十嵐三都男他:リ ウマチ, 13, 493, 1973

3) Lawton, M. P.:J. Amer. Geriat., 16, 1346,

1968

4) Ehrlich, G. E. , Katz, W. A. etCohen, S. H.:

Geriatrics, 25, 103, 1970

5) Ditunno, J. etEhrlich, G. E.:Geriatrics, 25,

164, 1970

(昭和49年4月1日 受付)

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