シェアハウスに住む世帯の 最近の状況 - Stat ·...

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1 シェアハウスに住む世帯の 最近の状況 総務省統計研修所 西 文彦 2015年度第67回日本人口学会 201567注) 本資料に記載されている内容は、すべて個人の見解に基づくものである。

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シェアハウスに住む世帯の 最近の状況

総務省統計研修所 西 文彦

2015年度第67回日本人口学会 2015年6月7日

注) 本資料に記載されている内容は、すべて個人の見解に基づくものである。

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研究の背景

• 国立社会保障・人口問題研究所が、文部科学省の補助金(平成25年度~平成29年度科

学研究費補助金:基盤研究A)を受けて行う「結婚・離婚・再婚の動向と日本社会の変容に関する包括的研究」に対する研究協力

• 総務省統計研修所の調査研究の一環

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研究の目的

• シェアハウスの最近の状況を明らかにする。

シェアハウスを研究テーマとして取り上げた理由は、 シェアハウスが、シングルマザー等の社会的に弱い立場に 置かれがちな方々に対して、子育てと就労の両面から、 より良い環境を提供している実例があり、 社会的な弱者を支援するための一つの方策と なり得るためである。

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• 対象地域 全国

• 対象年次

2008, 2013年

使用したデータ

• 住宅・土地統計調査 (総務省統計局)

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ここでいうシェアハウスとは、一つの住宅に三つ以上の世帯が同居している場合、及び二つの世帯が同居している場合には、主世帯と単身者世帯の組み合せである場合をいう。

シェアハウスの定義

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主要な結果(1)

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主要な結果(2)

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住宅の定義

一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で,一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたものをいう。ここで,「完全に区画された」とは,コンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで,同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいう。

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住宅の定義(つづき)

また,「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」とは,次の四つの設備要件を満たしていることをいう。

(1) 一つ以上の居住室

(2) 専用の炊事用流し(台所)

共用であっても,他の世帯の居住部分を通らずに,いつでも使用できる状態のものを含む。

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住宅の定義(つづき)

(3) 専用のトイレ

共用であっても,他の世帯の居住部分を通らずに,いつでも使用できる状態のものを含む。

(4) 専用の出入口

屋外に面している出入口又は居住者やその世帯への訪問者がいつでも通れる共用の廊下などに面している出入口

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主世帯及び同居世帯の決め方について

一つの住宅に2世帯以上住んでいる場合には,そのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)を「主世帯」とし,他の世帯を「同居世帯」とした。

なお,単身者が友人と共同でアパートの1室を借りて住んでいる場合など,1住宅に二人以上の単身者が住んでいる場合は,便宜,そのうちの一人を「主世帯」とし,他の人は一人一人を「同居世帯」とした。

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主要な結果(3)

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主要な結果(4)

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要因分析(1) シェアハウスは減少傾向 その要因を寄与度でみると、

2世帯が同居しているシェアハウスや同居世帯が1人世帯のシェアハウスの減少が影響

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表1-1 住宅内世帯数(7区分)別 シェアハウスの世帯数

       ― 全国(2013年、2008年)

住宅内世帯数(7区分)

2013年 2008年 増減数 寄与度

(1,000世帯) (1,000世帯) (1,000世帯) (%)

総 数 191 209 -19 -8.9

2世帯 150 164 -13 -6.3

3 26 26 0 0.0

4 7 9 -3 -1.2

5 2 5 -3 -1.5

6 2 4 -1 -0.6

7 1 0 1 0.3

8世帯以上 3 2 1 0.4

(再掲)3世帯以上 40 46 -5 -2.6

資料出所: 2013年、2008年住宅・土地統計調査から特別に集計した結果、 総務省統計研修所

注) 上表には、住宅以外の建物に住む世帯、すなわち、会社等の独身寮や学生寮・寄宿舎等は含まれていない。

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表1-2 世帯の種類(3区分)別 シェアハウスの世帯数

       ― 全国(2013年、2008年)

世帯の種類(3区分)

2013年 2008年 増減数 寄与度

(1,000世帯) (1,000世帯) (1,000世帯) (%)

総 数 191 209 -19 -8.9

主世帯 87 95 -8 -3.7

同居世帯(2人以上の世帯)

6 3 2 1.1

同居世帯(1人世帯)

99 112 -13 -6.2

資料出所: 2013年、2008年住宅・土地統計調査から特別に集計した結果、 総務省統計研修所

注) 上表には、住宅以外の建物に住む世帯、すなわち、会社等の独身寮や学生寮・寄宿舎等は含まれていない。

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要因分析(2) 間借世帯減少が影響 2.

表2 持ち家・借家の別(6区分)別 シェアハウスの世帯数

       ― 全国(2013年、2008年)

持ち家・借家の別(6区分)

2013年 2008年 増減数 寄与度

(1,000世帯) (1,000世帯) (1,000世帯) (%)

総 数 191 209 -19 -8.9

持ち家 87 85 2 1.0

民営の賃貸住宅 20 27 -7 -3.3

県営・市営等の賃貸住宅 1 1 0 0.1

公社等の賃貸住宅 1 1 -0 -0.1

給与住宅 6 11 -5 -2.4

間借 67 75 -8 -3.9

不詳 8 9 -0 -0.2

資料出所: 2013年、2008年住宅・土地統計調査から特別に集計した結果、 総務省統計研修所

1) 上表には、住宅以外の建物に住む世帯、すなわち、会社等の独身寮や学生寮・寄宿舎等は含まれていない。

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3. 20~34歳の1人世帯が減少に影響 要因分析(3)

表3 家計を主に支える者の年齢(11区分)別 シェアハウスの世帯数 ― 全国(2013年、2008年)

家計を主に支える者の年齢(11区分)

2013年 2008年 増減数 寄与度

(1,000世帯) (1,000世帯) (1,000世帯) (%)

総 数 191 209 -19 -8.9

19歳以下 4 5 -1 -0.6

20~24歳 15 25 -11 -5.1

25~29歳 12 21 -9 -4.1

30~34歳 10 14 -4 -2.1

35~39歳 10 12 -2 -1.0

40~44歳 11 11 0 0.2

45~49歳 12 13 -1 -0.3

50~54歳 14 13 1 0.5

55~59歳 13 17 -4 -1.8

60~64歳 15 13 2 1.1

65歳以上 60 52 9 4.1

不詳 14 14 0 0.1

資料出所: 2013年、2008年住宅・土地統計調査から特別に集計した結果、 総務省統計研修所

注) 上表には、住宅以外の建物に住む世帯、すなわち、会社等の独身寮や学生寮・寄宿舎等は含まれていない。

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4. 年間収入100万円未満の1人世帯が減少に影響 要因分析(4)

表4 世帯の年間収入(10区分)別 シェアハウスの世帯数 ― 全国(2013年、2008年)

世帯の年間収入(10区分)

2013年 2008年 増減数 寄与度

(1,000世帯) (1,000世帯) (1,000世帯) (%)

総 数 191 209 -19 -8.9

100万円未満 29 34 -6 -2.7

100~200 44 42 2 0.9

200~300 36 35 1 0.3

300~400 22 26 -4 -1.8

400~500 13 14 -1 -0.6

500~700 15 18 -3 -1.3

700~1000 11 15 -4 -2.1

1000~1500 5 6 -1 -0.7

1500~2000 1 2 -1 -0.4

2000万円以上 1 1 -0 -0.2

不詳 14 15 -1 -0.3

資料出所: 2013年、2008年住宅・土地統計調査から特別に集計した結果、 総務省統計研修所

注) 上表には、住宅以外の建物に住む世帯、すなわち、会社等の独身寮や学生寮・寄宿舎等は含まれていない。

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東京都、愛知県や千葉県が減少に影響 5.

要因分析(5)

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要因分析(つづき)

1.

一方で、増加傾向にある世帯もある。 その要因を同様に寄与度でみると、

家計を支える者の年齢が65歳以上の世帯が増加

2. 年間収入100~200万円の世帯が増加

兵庫県、沖縄県、栃木県等でやや増加 3.

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結論 シェアハウスは減少傾向

この理由として、シェアハウスを利用している割合が比較的高い20~34歳人口が、少子化に伴い、2008年から2013年にかけて、約1割減少していることや、この間、比較的景気が良かったこと、また、家賃が若干低下していることなどから、シェアハウスを利用する必要性が低下した可能性があることなどが考えられる。

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THE END

総務省統計研修所 西 文彦

2015年度第67回日本人口学会

本稿は、以下の総務省統計研修所ウェブサイトに掲載されている。

http://www.stat.go.jp/training/2kenkyu/saika.htm