カイゼン - Nikkan...会 社 概 要 利益を生み出せる工場に変身 ソーシン...

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利益を生み出せる工場に変身 ソーシン 経営の見える化で問題に気づき 2 闘う! カイゼン カイゼン カイゼン 戦士 戦士 戦士 工場管理 201702 1 会社名 ㈱ソーシン 所在地 〒 358-0045 埼玉県入間市寺竹 1115-1 設  立 1999 年 従業員数 1,168 名 事業内容 トラックなど機械加工、車両部品のプレス・板金、熱処理、 塗装、組立 ソーシンは、債務超過に陥り苦し い時期から脱却し、利益を生み出す 体質へ変わることを目指して改善活 動に勤しんできた。その革新の一手 に選んだのはマネジメント手法の1 つ、「VM(Visual Management)」 だ。モノの状態や生産状況などの業 務をひと目で見えるようにすること で問題点を明らかにし、改善の焦点 を定めやすくする。2012 年から始 めた VM 活動は経営効果にも表れ、 着実に実を結んでいる。そして、社 員にも気づく習慣が身につき、問題 意識が芽生えた。全員参加をスロー ガンに、改善のさらなる進化に向け て奮闘している。 ソーシンの皆さん 前列左から遊馬太一 VM/FMS 推進室室長、中野武彦社長、 小林廣孝専務取締役入間工場長、今村浩明総合企画部部長

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会 社 概 要

利益を生み出せる工場に変身ソーシン

経営の見える化で問題に気づき

2闘う!カイゼン戦士カイゼン戦士カイゼンカイゼンカイゼン戦士戦士戦士

工場管理 2017/02 1

会 社 名  ㈱ソーシン所 在 地  〒358-0045 埼玉県入間市寺竹1115-1設  立  1999年従業員数  1,168名事業内容  トラックなど機械加工、車両部品のプレス・板金、熱処理、

塗装、組立

 ソーシンは、債務超過に陥り苦しい時期から脱却し、利益を生み出す体質へ変わることを目指して改善活動に勤しんできた。その革新の一手に選んだのはマネジメント手法の1つ、「VM(Visual Management)」だ。モノの状態や生産状況などの業務をひと目で見えるようにすることで問題点を明らかにし、改善の焦点を定めやすくする。2012年から始めたVM活動は経営効果にも表れ、着実に実を結んでいる。そして、社員にも気づく習慣が身につき、問題意識が芽生えた。全員参加をスローガンに、改善のさらなる進化に向けて奮闘している。

ソーシンの皆さん前列左から遊馬太一VM/FMS推進室室長、中野武彦社長、小林廣孝専務取締役入間工場長、今村浩明総合企画部部長

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闘う!カイゼン戦士

Vol.63 No.2 工場管理2

債務超過からの脱却を 目指して

 ソーシンは、千代田自動車工業、各和精機、国産機器の3社が合併して1999年に発足した。2003年には武蔵プレス工業を吸収。日野自動車グループとしてトラックなどの車両部品の機械加工やプレス・板金、塗装などを手がけ、多様な加工技術を持つ。複数の会社が1つにまとまってソーシンとして舵を切ったが、順風満帆な船出ではなかった。03、04年に多額の損失を出し、以後8年間、債務超過を解消できない苦しい時期が続いた。 複数の会社が合併したためにそれぞれのやり方で業務を進めていたことや今まで通りのやり方が最適と考えて問題意識が足りないことなどが要因として考えられた。こうした状況を打破するべく、手を替え品を替え改善活動に取り組み、一定の成果はでていたが、今一つ決定打に欠けていた。そこで出会ったのが、中部産業連盟(中産連)が提唱す る マ ネ ジ メ ン ト 手 法「 VM( Visual Management)」である。「目先の収益ではなく、会社としての体質強化を図りたい」と考えていた中野武彦社長の思惑と、VMの目指すところが一致。2012年からコンサルタントの指導の下、本格的に5S・VM活動を始めた。

社長の作戦 「自ら背中を見せる」

 まずはVM活動を推進するための事務局を発足。そして全社員から活動の目指す姿を表すスローガンとポスター案を募集し、全社的活動として進め

ることを示した。見える化を図るVM活動は、まず5Sでモノの見える化を徹底。「いきなり生産部門から始めるのではなく、まずは小さいグループから始め、徐々に活動を広げていくことを狙いました」と孤軍奮闘の事務局として任された、今村浩明総合企画部部長は振り返る。そこで管理・間接部門で5S・VM活動の土台と応援できる体制をつくり、生産現場へ展開する戦略を立てた。 2Sの先陣を切ったのは中野社長だった。中野社長は自ら姿置きした机の写真を撮影し、全社員にメール配信。「社長が2Sをやっているのだから、やらなくては」と雰囲気が漂い、皆が後に続いた。そして、中野社長はコンサルタントによる指導時の巡回にも必ず同行し、その場で指示とアドバイス。社長が背中を見せることにより、社員たちが後に続く。これは中野社長の作戦でもあった。強固なトップダウンで発動した第一歩はうまく踏み出せた。

整頓することで見えなかった 問題が見える

 整理は時に楽しみながら進められたというが、整頓になると苦戦。そこには基準づくりが欠かせなかった。そこで、全社の表示や整頓方法を統一するため整頓基準書を作成。毎日、終業後に集合し、1カ月半をかけてモノの置き場の標準化(置き方、表示など)をこつこつと進めた。「それまで“三社三様”のセンスに任せており、表示もバラバラでした。今まではそうした違和感に気づかなかったのです」(中野社長)。つまり、今まで通りのやり方に問題意識を抱くことなく、改善点すら見

整頓基準書に従い統一を徹底 工場の入口にはVM活動のスローガンと変遷を掲示