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せん断中心、
ねじり中心簡易法
第2 回実務家のための構造力学を考える会 2 (FSME 2)
2018年8月25日(土)14:45~15:45 大阪市立大学杉本キャンパス No.G201
明石工業高等専門学校
都市システム工学科 三好 崇夫
非常駐車帯を持つ鋼床版箱桁橋の設計・・・
ねじりに伴う応力の検討など
本内容に関連する項目
非常駐車帯
せん断中心S
P e
主なポイント
(1)せん断中心とねじり中心は一致する。
(2) 簡単な断面であれば、面内曲げを受ける片持ちばりに分解して、自由端の変位の適合条件から
せん断中心の計算可
(3) 一般の断面では、各板要素のせん断力による断面内のモーメントの釣り合いからせん断中心の
計算可
説明内容
(1)図心と主軸の定義
(2)せん断中心の定義
(3) 簡易法によるH形断面のせん断中心の計算
(4) 一般法によるH形断面のせん断中心の計算
(5) ねじり中心の定義
(6) 簡易法によるH形断面のねじり中心の計算
(7)一般法によるH形断面のねじり中心の計算
(8) せん断中心に対する偏心荷重作用時の挙動
(1) 図心と主軸の定義
Z形断面を持つ単純ばり
x
y
A
A
A-A
z
y
x
t
s
θ
図心を原点とする直線直交座標x-y-z座標
x軸まわりにy-z座標をθ回転させたs-t座標
を考える。
z
y
x
t
s
θ
y、z座標に関する断面1次モーメント
0y AG zdA= =∫
0z AG ydA= =∫
→y、z座標が図心を通過するため、いずれも0
s、t座標に関する断面1次モーメント
0s AG tdA= =∫
0t AG sdA= =∫
→s、t座標も図心を通過するため、いずれも0
y、z座標に関する断面2次モーメント2
y AI z dA= ∫ 2
z AI y dA= ∫
z
y
x
t
s
θ
断面相乗モーメント
yz AI yzdA= ∫
s、t座標に関する断面2次モーメント2
s AI t dA= ∫
2t A
I s dA= ∫断面相乗モーメント
st AI stdA= ∫
も計算可能
z
y
x
t
s
θ
s、t座標を回転させたとき
0st AI stdA= =∫
となるs、t座標が存在する
このときのs→Y、t→Z座標
と表すことにする。
Y、Z軸を断面の主軸と呼ぶ。
Z
Y
Y、Z座標に関する断面2次モーメント2
Y AI Z dA= ∫ 2
Z AI Y dA= ∫
断面相乗モーメント
0YZ AI YZdA= =∫
z
y
x
Z
Y
Z軸まわりの曲げモーメントMZ
の作用
→直交するY軸方向のみにたわみを発生
Mz
z
y
x
Z
Y
任意方向の曲げモーメントMの作用
→主軸Y、Z軸方向の曲げモーメントMY、MZに分解
→MYによるZ軸方向、MZによる
Y軸方向のたわみを計算
MzMY
M
(2) せん断中心の定義
自由端に集中荷重の作用する片持ちばり
図心への集中荷重Pの作用
図心
→片持ちばりは、ねじりを伴って下方へたわむ
自由端に集中荷重の作用する片持ちばり
腹板中心への集中荷重Pの作用
→図心に集中荷重が作用する場合に比べて、ね
じり変形は減少するが0ではない
自由端に集中荷重の作用する片持ちばり
せん断中心Sへの集中荷重Pの作用
→ねじり変形は全く生じず、曲げ変形のみが発生
部材に鉛直荷重が作用するとき、断面にねじ
りを生じないような断面内のせん断力の作用点
をせん断中心と呼ぶ
(3) 簡易法によるH形断面のせん断中心
の計算
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり
�主軸はy、z軸
�せん断中心位置を求めるため、自由端にy方向の集中荷重Pyを載荷
�自由端の腹板には、Pyを左右のフランジに配分
するための剛棒を仮定
Pyによる左右フランジへの作用力Py1、Py2
力の釣り合いにより
2 1 21 2,s s w s
y y y y yw w w
h h b hP P P P P
b b b
−= = =
2 21 1 2 2
1 2,12 12z z
t b t bI I= =
hs1
Py
Py1
hs2
bwPy2
左右フランジのz軸まわりの断面2次モーメントIz1、Iz2
(4.1)
(4.2)
断面全体として回転せ(ねじれ)ず、左右フラン
ジのたわみが等しくなるための適合条件
v1
v23
11
13y
z
P Lv
EI=
32
223
y
z
P Lv
EI=
v1 = v23 3
1 2
1 23 3y y
z z
P L P L
EI EI= (4.3)
式(4.1)、(4.2)を式(4.3)に代入
3 32 2
3 31 1 2 23 312 12
s w sy y
w w
h b hP L P L
b b
t b t bE E
−
=
hs2について解くと、3
1 12 3 3
1 1 2 2s w
t bh b
t b t b=
+
(4.4)
(4.5)
hs1+hs2= bwより、
32 2
1 3 31 1 2 2
s w
t bh b
t b t b=
+(4.6)
�以上の手法は、簡単な断面に対してのみ適用可
能
�一般的な断面に対しては、せん断流理論に基づ
く断面内のモーメントの釣り合いからせん断中
心位置を計算
(4) 一般法によるH形断面のせん断中心
の計算
せん断力Qyを受ける断面、板要素に生ずるせん断
流qys
s
yx
zs
Qydx
ds
xtdsσ
sxsx ds tdx
s
ττ ∂ + ∂
sxtdsτx
x dx tdsx
σσ ∂ + ∂ ( ) ( )sx xt t
s x
τ σ∂ ∂= −
∂ ∂
微小要素の釣り合いより、
両辺sで1階積分して、
( )0
00
s xys sx
tq t ds C
x
στ
∂= = − +
∂∫
曲げ応力と曲げモーメントの関係は、
zx
z
My
Iσ =
s
yx
zs
Qydx
ds
xtdsσ
sxsx ds tdx
s
ττ ∂ + ∂
sxtdsτx
x dx tdsx
σσ ∂ + ∂
曲げ応力と曲げモーメント関係の1階微分は、
x zy
z z
d dMy yQ
dx I dx I
σ = =
せん断力Qyを受ける断面、板
要素に生ずるせん断流qysは
0
00
s
ys sx yz
yq t Q tds C
Iτ= = − +∫
横倒しH形断面の左右フランジ上縁をs座標の原点(s = 0)にとる→ s = 0はτsx = 0より、C0 = 0
0
0
s
ys sx yz
yq t Q tds
Iτ= = −∫ y
zss
(6.1)
左フランジのせん断流qys1は、y = s-b1/2より
11 10 2
syys
z
Q bq s t ds
I = − − ∫
y
zss
t1
b1/2
b1/2
t2
bw
b2/2
b2/2
Izは断面全体の断面2次モーメントであり、
3 31 1 2 2
12 12z
t b t bI = +
(6.2)
(6.3)
式(6.3)を式(6.2)へ代入して積分すると、左フランジのせん断流分布は
2 21 1
1 1 1
02 2 2 2
s
y yys
z z
Q Qb bs sq s t s t
I I
= − − = − −
(6.4)
y
zss
t1
b1/2
b1/2
t2
bw
b2/2
b2/2
同様に、右フランジのせん断流分布は
22
2 22 2y
ysz
Q bsq s t
I
= − −
(6.5)
左右フランジのせん断流の分布状況
右フランジの中心からzs2離れた点
に、せん断力Qyの作用を仮定
1
10
b
ysq ds∫
左フランジのせん断流が右フラン
ジの中心まわりになすモーメント
=
Qyが右フランジの中心まわりにな
すモーメント
1
1 20
b
w ys y sb q ds Q z⋅ =∫
1
10
b
ysq ds∫
(6.6)
式(6.3)、(6.5)を式(6.6)へ代入すると、
12
11 23 30
1 1 2 2 2 212 12
b yw y s
Q bsb s t ds Q z
t b t b
⋅ − − =
+
∫
積分してzs2について解けば、
32 2
1 3 31 1 2 2
s w
t bz b
t b t b=
+(6.8)
→簡易法による式(4.5)と一致
(5) ねじり中心の定義
回転中心Rまわりにθだけ回転
① y方向にv変位
断面内の任意点Pの動き:
② z方向にw変位 ③ θ回転
v wθ
自由端にねじりモーメントTx
を受ける溝形断面片持ちばり
↓
�(結果的にはねじり中心Tまわりに)回転変位を発生
�部材軸方向にはそり変位uω
(断面の出入り)を発生
�固定端ではそり変位が壁に
よって拘束されるため、そ
り直応力σωが発生
→断面内でのそり直応力σω
を積分することにより
軸力Nx、y、z軸まわりの曲げモーメントMy、Mz
z
yx0x A
N dAωσ= =∫ (7.1)
0y AM zdAωσ= =∫ (7.2)
0z AM ydAωσ= =∫ (7.3)
�具体的な計算は省略するが結果的にいずれも0
�構造全体に関する力のつり合い条件からも0でなければならない
そり直応力による軸力、曲げモーメントが0となるような回転中心をねじり中心と呼ぶ
(ねじりモーメントのみの作用を受けると、断面
はねじり中心まわりに回転する)
z
yx
⇔ねじり中心以外の点まわり
に回転させると、My、Mzが0でなくなる。
→何かしらの外力の作用を受け
る必要があり、断面全体がそ
れによる変位v、wを発生
(6) 簡易法によるH形断面のねじり中心の計算
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり
�自由端にねじりモーメントTxが作用
�Txは左右フランジが受け持つ鉛直力Psに置換
�自由端の腹板には、Pyを左右のフランジに配分
するための剛棒を仮定(左右フランジでPsの向
きは逆)
bwとPsを用いてTxを表せば、
x s wT Pb= (8.1)
Psによって左フランジは下向き
にδ1、右フランジは上向きにδ2
変位
3
113
s
z
P L
EIδ =
3
223
s
z
P L
EIδ =
左右フランジの変位δ1、δ2は、
3 3 3
1 3 31 1 1 1 1
412
3 3s s s
z
P L P L P L
EI E t b Et bδ = = = (8.2)
3 3 3
2 3 32 2 2 2 2
412
3 3s s s
z
P L P L P L
EI E t b Et bδ = = = (8.3)
Txのみの作用であれば、断面は
ねじり中心Tまわりに回転
Tまでの左右フランジ中心からの距離をそれぞれdt1、dt2とすると、
適合条件は
1 2
2 2
tanw t tb d d
δ δθ = =− (8.4)
(8.5)
式(8.2)、(8.3)を式(8.4)に代入して
3 3
3 32 1 1 2 2 2
4 41 1s s
w t t
P L P L
b d Et b d Et b⋅ = ⋅
−
dt2について解けば、
31 1
2 3 31 1 2 2
t w
t bd b
t b t b=
+(8.6)
→ねじり中心Tは、せん断中心Sと同じ
31 1
2 3 31 1 2 2
s w
t bh b
t b t b=
+(4.5)
式(8.6)はせん断中心の位置を表す式(4.5)と同じ
本手法は簡単な断面のみに対して適用が可能
(7) 一般法によるH形断面のねじり中心の計算
一般断面に対するねじり中心計算法
z
yxx A
N dAωσ= ∫
Yes
y AM zdAωσ= ∫
任意点がねじり中心
z AM ydAωσ= ∫
No
①任意点まわりに断面が回転
するとして、それによるそ
り応力σωを計算
任意点
②σωを式(7.1)~(7.3)に代入
③Nx = 0、My = 0、Mz = 0?
任意点を移動して①へ戻る
→兎も角、ねじり中心Tは、せん断中心Sと一致
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり�自由端がある中心Rまわりにθ回転�Rは左右フランジからzt1、zt2とする
�左フランジは下向きにv1、右フランジは上向き
にv2変位
�左右フランジにはたわみをもたらすモーメント
Mz1、Mz2が作用すると考える
左フランジのMz1による曲げ応力σx1
Mz1
σx1
Mz2
σx2
11
1
zx
z
My
Iσ = (9.1)
左フランジたわみv1とMz1の関係
1 1 1z zM EI v′′= − (9.2)
左フランジたわみv1と回転角θの関係
1 1tv zθ= (9.3)
式(9.3)を2階微分すると
これを式(9.2)に代入して
1 1 1z z tM EI z θ ′′= − (9.4)
( )1 1 1t tv z zθ θ′′′′ ′′= =
右フランジたわみv2と回転角θの関係
2 2tv zθ= (9.6)
式(9.4)と同様に、右フランジのモーメントと回転角の関係は
2 2 2z z tM EI z θ ′′= − (9.7)
Mz1
σx1
Mz2
σx2
外力として曲げモーメントの作用はないから、z軸まわりのモーメントの釣り合いより、
1 2 0z zM M− =
式(9.4)、(9.7)を代入すると、( )1 1 2 2 0z t z tEI z EI zθ θ′′ ′′− − − =
( )1 1 2 2 0z t z tE I z I zθ ′′− − =即ち、 (9.8)
弾性係数Eは一定値であり、任意のθ”に対して成立するためには、
1 1 2 2 0z t z tI z I z− = (9.9)
式(9.10)を式(9.9)に代入して、zt1について解けば、
21
1 2
zt w
z z
Iz b
I I=
+
幾何学的関係により、
2 1t w tz b z= − (9.10)
31 1
1 12z
t bI =
32 2
2 12z
t bI =
左右フランジの断面2次モーメント
Mz1
σx1
Mz2
σx2
回転中心Rの左フランジからの距離は、3
1 11 3 3
1 1 2 2t w
t bz b
t b t b=
+ (9.11)
式(9.11)は簡易法によるねじり中心の計算式(8.6)と一致(もちろん、せん断中心とも一致)
31 1
2 3 31 1 2 2
t w
t bd b
t b t b=
+(8.6)
(8) せん断中心に対する偏心荷重作用時の挙動
=
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり:自由端のせん断中心Sからez離れた点に下向きの集
中荷重Pyが作用
せん断中心Sに作用するPyによるたわみδと、偏心
ねじりモーメントPyezによるねじり角θ発生
+
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり:自由端のねじり中心Tからez離れた点にねじりモー
メントTxが作用
�Txの作用位置に関わらず、左右フランジ逆対称
な鉛直力Psが発生
�断面はねじり中心(せん断中心)まわりにθ回
転するのみ
1軸対称H形断面を横倒しにした片持ちばり:自由端のねじり中心Tからez離れたU点にヒンジを設けて、ねじりモーメントTxを作用させる
①ヒンジがないものとして、U点に生ずる上下方向変位δTxを計算
= +
①
②ヒンジを押し戻してU点の上下方向変位を0とするため、U点に上向きの不静定力Psを作用させ、
それによるU点の上下方向変位δTPy、δPyを計算
= +
②
③変位の適合状況を適用して、不静定力、即ち強
制的にU点まわりにねじりモーメントを作用させた場合に生ずる反力を計算
= +
変位の適合条件:
δTx = δTPy+δPy
①ヒンジがないものとして、U点に生ずる上下方向変位δTxを計算
式(8.4)を代入すると、
幾何学的関係より、
tanTx zeδ θ=
2
2Tx z
t
ed
δδ =
式(8.3)を代入すると、3
2
2 2 23s
Tx z zt z t
P Le e
d EI d
δδ = =
式(8.1)より、Ps = Tx/bwを代入
3
2 23x
Tx zz t w
T Le
EI d bδ = (10.2)
②ヒンジを押し戻してU点の上下方向変位を0とするため、U点に上向きの不静定力Psを作用させ、
それによるU点の上下方向変位δTPy、δPyを計算
せん断中心に作用する上向き集
中荷重Pyによる上向き変位δPy:
( )3
1 23y
Pyz z
P L
E I Iδ =
+ (10.3)
せん断中心まわりに作用する偏心モーメントezPy
による上向き変位δTPy:
3 2 3
2 2 2 23 3z y z y
TPy zz t w z t w
e P L e P Le
EI d b EI d bδ = = (10.4)
式(10.2)のTx→ezPyと置き換えて
③変位の適合状況を適用して反力を計算
= +
変位の適合条件δTx = δTPy+δPyに、式(10.2)~(10.4)を代入すると、
( )2 3 33
2 2 2 2 1 23 3 3z y yx
zz t w z t w z z
e P L P LT Le
EI d b EI d b E I I= +
+
Pyについて解けば、
( )( )
1 22
2 2 1 2
x z z zy
z t w z z z
T e I IP
I d b I I e
+=
+ +
ここに、
31 1
1 12z
t bI =
32 2
2 12z
t bI =
31 1
2 3 31 1 2 2
t w
t bd b
t b t b=
+
左フランジの断面
二次モーメント:
右フランジの断面
二次モーメント:
右フランジ中心からねじり
中心までの距離:
本項で主張したいこと...
この片持ちばりは、ねじりモーメントTxと上向
き集中荷重Pyが同時に作用するのと等価
→ Pyが作用するので、ねじり中心には変位vが生じ、U点を中心に回転することになる
=
ご清聴頂きまして
ありがとうございました