Establish ment of Electrochemical Device Engineer ing 10 · 燃料電池 燃料電池 医用材料...

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文部科学省 科学研究費補助金 特別推進研究 (平成20年度採択) VOL. 10 研究代表者:逢坂哲彌(早稲田大学理工学術院教授) 総括と展望 Establishment of Electrochemical Device Engineering

Transcript of Establish ment of Electrochemical Device Engineer ing 10 · 燃料電池 燃料電池 医用材料...

文部科学省 科学研究費補助金 特別推進研究(平成20年度採択)

VOL.10

研究代表者:逢坂哲彌(早稲田大学理工学術院教授)

総括と展望Establishment of

Electrochemical Device

Engineering

学問の社会・産業への貢献

電気化学デバイス工学、さらなる深化。電気化学界面設計で未来を拓く―このタイトルのもと発行してきたパンフレットも最終号(第10号)を迎えました。電気化学は電極と電解質の『界面』を扱う化学であり、私たちの生活を豊かにする材料やデバイスの開発に繋がる産業技術の礎となっています。このプロジェクト「電気化学デバイス工学の確立と深化」では、原子や分子スケールからの界面設計に基づき、界面の構造や界面での現象を活用した新しい機能を持つデバイスの開発と実用化のための研究を

推し進めました。そして、材料やデバイスの応用研究の根源にあるものを学問として体系化することを目指してきました。この4年半の取り組みでは、めっき技術の新たな深化によるリチウム蓄電池の新しい負極材料の関発や、ナノマイクロ加工技術との組み合わせによる新しい概念の燃料電池や磁気記録媒体、バイオセンサの創製といった、暮らしに役立ついくつもの成果が得られています。その中で私たちは、界面設計に「次元」という見方・考え方を取り入れ、それを「電気化学デバイス工学」を貫く一つの軸とすることにしました。デバイス機能の現れ方を「次元」(3次元、2次元、0次元)として整理し、それを私が世界に先駆けて提唱し培ってきた「電気化学ナノテクノロジー」における界面設計に反映させることで、「電気化学デバイス工学」の確立と深化が加速度的に進みつつあることを実感しています。未来を拓く電気化学デバイス工学のさらなる深化の序章として、このプロジェクトの成果をここに紹介します。

早稲田大学理工学術院教授

逢 坂 哲 彌

磁気記録

燃料電池燃料電池

二次電池 医用材料

バイオセンサ

電気化学ナノテクノロジー

海外・国内連携育成若手研究者の学・産での活躍

機能性材料・デバイスの研究開発

学問として体系化

共通概念や普遍性

事象ごとの経験論

新材料・デバイス研究の展開

電気化学デバイス工学の確立

実践的な開発研究対象とする代表的なデバイスを設定

社会・産業への貢献

機能発現の分類

反応機構の理解と設計 形成プロセスの開発

構造の導入と制御

電子材料

カソード触媒の開発

オンチップ燃料電池の提案

交流インピーダンス法の適用

交流インピーダンス法の適用

高容量スズ負極材料の開発

高容量シリコン負極材料の開発

マイクロ接点材料の開発

電極/電解質界面被膜の制御

測定条件の最適化

デバイス感応性の制御

機能性分子の配列・固定化

プローブ分子の配列・固定化

測定対象への特異性向上

界面における金属錯体形成

磁性ナノドットアレイの作製

磁性ナノ粒子の固定化

磁性ナノ粒子の規則化配列

固体表面への金属ナノ粒子触媒の担持

高プロトン伝導性電解質の開発

ナノ粒子のバイオ・医療応用

燃料電池

二次電池

二次電池

エレクトロニクス材料

二次電池

バイオセンサ

バイオセンサ

磁気記録媒体

磁気記録媒体

燃料電池

燃料電池

医用材料

3次元

3次元・2次元複合

2次元

2次元・0次元複合

0次元

合金電析とその脱合金化による高表面積電極の形成と階層構造導入

ナノ・マイクロ加工プロセスと反応選択性触媒層の適用による無隔膜燃料電池

3次元的な反応分布を考慮した伝送線モデルを用いた等価回路の設計

集電体構造、電解液抵抗、正極・負極の界面反応・イオン拡散を想定した等価回路の設計

体積変化の影響を緩和するミクロンオーダーのスリットをスズ薄膜に導入

有機溶媒の還元分解を伴う有機電解液からのシリコン電解析出(めっき)

金-ニッケル合金めっき膜への炭素共析よる膜構造の非晶質化

反応場雰囲気制御による負極と電解質との界面安定化

固液界面から溶液側へのナノ領域におけるイオン分布と電荷遮蔽効果を考慮

単分子層が形成する3次元的ナノ凹凸と対象イオンのサイズを考慮

電極上に検出に関わる部位と分子認識に関わる部位を順次固定化(積層化)

電圧掃引処理によるプローブ分子との強固な結合の形成

界面相互作用の制御による非特異吸着の抑制

単分子層(2次元的な分子配列)に特有な性質の効果的活用

ナノ・マイクロ加工プロセスと精密めっき反応による磁性合金ナノドットアレイの形成

ナノ粒子表面との相互作用が期待される官能基を有する単分子層を介した固定化

上記の系の基板にナノ・マイクロ加工プロセスによる物理的グリッドを導入

超音波照射により水中で生成するラジカルによる合金ナノ粒子触媒の合成

表面を硫酸化したプロトン供与性ジルコニア粒子の水への分散

粒径を制御して合成した酸化鉄ナノ粒子の表面特性の制御

次元 デバイス トピックス アプローチDimension Device Topic Approach

このプロジェクトでは、電気化学ナノテクノロジーに基づく「固液界面制御による新機能発現の

ための材料開発研究」と「界面構造や界面現象の実践的な活用によるデバイス開発研究」に総合

的に取り組むことで、「電気化学デバイス工学」の体系化を進めています。私たちの生活を豊かに

する具体的なデバイスを学問体系の『縦糸』とすることで、プロジェクトの成果が目に見えるように

しました。その一方で、デバイス機能の現れ方の特徴を「次元」という視点から見つめ直し、それ

を取り入れた界面設計を学問体系の『横糸』としました。さまざまなデバイス開発研究で蓄積され

た数多くの知見やノウハウを、機能発現の次元(3次元、2次元、0次元)とそれに基づく界面設計

の視点から整理することで、デバイスに依らない根源的なものが見えてきました。

2008年6月からこれまで4年半の期間で、このプロジェクトには19名の博士研究員が研究協力者等として参画し、

また、9名が学位(博士号)を取得しました。このプロジェクトでの経験を活かし、電気化学デバイス工学のさらなる

深化の担い手としての活躍が期待されます。

3次元

2次元 0次元

機能が面内および面外方向への拡がりによって特徴付けられ、空間的な多様性や変化が高次のデバイス機能に繋がる。

機能が幾何的な面に沿った拡がりで特徴付けられ、場としての均一性はデバイス機能の安定化に繋がる。

機能が空間的な拡がりではなく点への凝集として特徴付けられ、

単独でのほか、集合体としても機能する。

合金電析とその脱合金化によって形成したナノ細孔を有するサブミクロンサイズの樹状PdCo合金(電子顕微鏡像)

有機溶媒の還元分解を伴う有機電解液から電解析出した非晶質Si-O-Cめっき膜の断面像(電子顕微鏡像)と元素分布

SO4/ZrO2ナノ粒子の電子顕微鏡像

抗体(タンパク質)を固定化する前後のSiO2基板表面の原子間力顕微鏡像(左:固定化前、右:固定化後:1μm四方)

100nm

500nm

100nm

物理的グリッドを付したSi基板上のFePtナノ粒子の規則配列(電子顕微鏡像)

50nm

0

10.00[nm]

断面図

酸素分布

ケイ素分布

炭素分布

カソード触媒の開発

オンチップ燃料電池の提案

交流インピーダンス法の適用

交流インピーダンス法の適用

高容量スズ負極材料の開発

高容量シリコン負極材料の開発

マイクロ接点材料の開発

電極/電解質界面被膜の制御

測定条件の最適化

デバイス感応性の制御

機能性分子の配列・固定化

プローブ分子の配列・固定化

測定対象への特異性向上

界面における金属錯体形成

磁性ナノドットアレイの作製

磁性ナノ粒子の固定化

磁性ナノ粒子の規則化配列

固体表面への金属ナノ粒子触媒の担持

高プロトン伝導性電解質の開発

ナノ粒子のバイオ・医療応用

燃料電池

二次電池

二次電池

エレクトロニクス材料

二次電池

バイオセンサ

バイオセンサ

磁気記録媒体

磁気記録媒体

燃料電池

燃料電池

医用材料

3次元

3次元・2次元複合

2次元

2次元・0次元複合

0次元

合金電析とその脱合金化による高表面積電極の形成と階層構造導入

ナノ・マイクロ加工プロセスと反応選択性触媒層の適用による無隔膜燃料電池

3次元的な反応分布を考慮した伝送線モデルを用いた等価回路の設計

集電体構造、電解液抵抗、正極・負極の界面反応・イオン拡散を想定した等価回路の設計

体積変化の影響を緩和するミクロンオーダーのスリットをスズ薄膜に導入

有機溶媒の還元分解を伴う有機電解液からのシリコン電解析出(めっき)

金-ニッケル合金めっき膜への炭素共析よる膜構造の非晶質化

反応場雰囲気制御による負極と電解質との界面安定化

固液界面から溶液側へのナノ領域におけるイオン分布と電荷遮蔽効果を考慮

単分子層が形成する3次元的ナノ凹凸と対象イオンのサイズを考慮

電極上に検出に関わる部位と分子認識に関わる部位を順次固定化(積層化)

電圧掃引処理によるプローブ分子との強固な結合の形成

界面相互作用の制御による非特異吸着の抑制

単分子層(2次元的な分子配列)に特有な性質の効果的活用

ナノ・マイクロ加工プロセスと精密めっき反応による磁性合金ナノドットアレイの形成

ナノ粒子表面との相互作用が期待される官能基を有する単分子層を介した固定化

上記の系の基板にナノ・マイクロ加工プロセスによる物理的グリッドを導入

超音波照射により水中で生成するラジカルによる合金ナノ粒子触媒の合成

表面を硫酸化したプロトン供与性ジルコニア粒子の水への分散

粒径を制御して合成した酸化鉄ナノ粒子の表面特性の制御

酸素還元活性の向上

自給式無隔膜微小燃料電池への展開

燃料電池カソード3次元反応場解析

市販リチウム二次電池の劣化解析

充放電サイクル特性の改善

7,000サイクル以上という優れた充放電特性の実現

優れた電気特性と耐摩耗性の実現

負極寿命の延長と対不純物耐性の向上

デバイス応答量と安定性の向上

参照デバイスの不感応性向上

特異な電位応答発現を発見

デバイス応答の安定化と再現性の向上

夾雑物存在下での腫瘍マーカーの特異的検出

ジアステレオマー錯体形成を利用したキラルセンサ

超高密度磁気記録媒体への適用

超高密度磁気記録媒体への適用

超高密度磁気記録媒体への適用

炭素を担持体とするアルカリ型燃料電池用触媒の形成

高分子電解質に代わる長寿命電解質としての適用

ナノ粒子の体内動態の制御や安全性評価法の提案

次元 デバイス トピックス アプローチ 成果Dimension Device Topic Approach Outcome

Coordinated system[研究連携体制]逢坂・門間グループおよび本間グループ(応用物理化学)、庄子グループ(マイクロシステム工学)、松方グループ(触媒化学)の有機的な連携により研究を推進しています。

Research organization[研究組織]

逢坂哲彌門間聰之 庄子習一 松方正彦 本間敬之

a bb c c

c c

杉山敦史横島時彦向山大吉奈良洋希杭弢

秀島翔吉野正洋國本雅宏山本大輔蜂巣琢磨

a:研究代表者 b:研究分担者 c:連携研究者(2013年1月現在)博士課程学生を含むプロジェクト関係者を記載

早稲田大学理工学術院

中西卓也(理工学術院)張弘(理工学術院)黒岩繁樹(理工学術院)

早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構

関口哲志水野潤

早稲田大学ナノ理工学研究機構

冨中悟史

物質・材料研究機構

栃原美佐子小林千秋馬場大輔程姗姗

戸ヶ崎徳大

劉軍鄭文國

早稲田大学大学院先進理工学研究科

早稲田大学先進理工学部応用化学科・応用物理化学研究室〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1 TEL 03-5286-3202 FAX 03-3205-2074

電気化学デバイス工学の確立と深化 VOL.10 2013年1月発行

研究統括

・逢坂(研究代表者)

磁気・電子デバイス

触媒化学

・松方表面電気化学

・本間

マイクロシクテム工学

エネルギーデバイス・門間・奈良・横島・杭・向山・冨中

・中西・張・黒岩・秀島・杉山・吉野・

蜂巣

センサ・医用デバイス

・庄子・関口・水野

研究総括

磁気・電子デバイス

エネルギーデバイス(二次電池と燃料電池)

バイオセンサと医用材料

触媒化学

表面電気化学

マイクロシステム工学

連携グループ

中核グループ