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肺がんにおける外来化学療法レジメンurayaku/area_connection/...Ram投与時のinfusion...
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第3回薬薬連携ワーキングセミナー
肺がんにおける外来化学療法レジメン
横浜市立大学附属市民総合医療センター 薬剤部
山本 環
2018年11月29日
本日の内容
•小細胞肺がん
•非小細胞肺がん細胞障害性薬
免疫チェックポイント阻害薬
経口薬
小細胞肺がん
小細胞肺がん
肺癌診療ガイドライン 2017年版
CBDCA+VP-16 or CPT-11
•適応小細胞肺癌
•レジメンエトポシド 100mg/m2 day1-3
カルボプラチン AUC5 day1
21日ごと
イリノテカン 50mg/m2 day1,8,15
カルボプラチン AUC5 day1
28日ごと
1コース目は入院で実施
支持療法
デキサート注
9.9mg day1、3.3mg day2-3
グラニセトロン点滴1mg day1
イメンド(125) 1C分1 day1
イメンド(80) 1C分1 day2-3
支持療法
デキサート注
9.9mg day1、6.6mg day8.15
グラニセトロン点滴1mg day1
アロキシ点滴0.75mg day8.15
イメンド(125) 1C分1 day1
イメンド(80) 1C分1 day2-3
CBDCA投与量
•カルボプラチンの投与量の計算
カルボプラチンはAUCと血小板の減少率に相関があり、AUCは腎機能と相関するので、カルボプラチンの投与量計算はカルバート式を用いる
カルバートの式:投与量=AUC ×(糸球体濾過量+25)
化学療法レジメンハンドブック第5版
CBDCA+VP-16 or CPT-11
•主な副作用骨髄抑制、悪心嘔吐、脱毛、間質性肺炎、下痢
•注意事項初回は入院で実施し、1コース目day8や2コース目から外来で実施
VP-16はビリルビン上昇時に遊離体濃度上昇で作用増強
CPT-11は下痢、コリン様症状に注意
早発型:投与中~投与直後 コリン作動性
遅発型:投与後24時間以降 SN-38による腸管粘膜障害
小細胞肺がんでは高いdose intensityを保つことが重要
骨髄抑制が強い場合はペグフィルグラスチムを使用
非小細胞肺がん
非小細胞肺がん
肺癌診療ガイドライン 2017年版
遺伝子変異陽性:キナーゼ阻害薬PD-L1≧50%:ペムブロリズマブ上記以外:細胞障害性抗癌剤
細胞障害性薬
CBDCA+PTX(+Bev)
•適応進行非小細胞肺癌
•レジメンベバシズマブ 15mg/kg
パクリタキセル 200mg/m2
カルボプラチン AUC6
21日毎
1コース目は入院で実施
支持療法
デキサート注16.5mg day1
ガスター注20mg day1
ポララミン注5mg day1
グラニセトロン点滴(1) day1
イメンド(125) 1C分1 day1
イメンド(80) 1C分1 day2-3
CBDCA+PTX(+Bev)•主な副作用悪心嘔吐、骨髄抑制、脱毛、関節痛、末梢神経障害
(高血圧、出血、蛋白尿、血栓症、消化管穿孔)
•注意事項PTXの脱毛頻度は90%以上
Grade2以上の末梢神経障害はPTX累積投与量が715mg/m2
を超えると起きやすい
アルコールに関する問診:tri weeklyのPTXではおよそビー
ル500mL程度に相当
Bev併用時は定期的な血圧の測定を行う
腎機能にあわせてCBDCA投与量を随時調節していく
CBDCA+nab-PTX
•適応進行非小細胞肺癌
•レジメンnab-PTX 100mg/m2day1,8,15
カルボプラチン AUC6 day1
21日毎
1コース目は入院で実施
支持療法
デキサート注9.9mg day1
グラニセトロン点滴1mg day1
イメンド(125) 1C分1 day1
イメンド(80) 1C分1 day2-3
CBDCA+nab-PTX
•主な副作用悪心嘔吐、骨髄抑制、脱毛、関節痛・筋肉痛、末梢神経障害、黄斑浮腫
•注意事項nab-PTXはアレルギー予防の前投薬は不要
特定生物由来製品のためリスクの説明も必要
PTXよりも末梢神経障害が出やすい
軸索障害によるもの→回復が見込める(現実的には厳しい)
腎機能にあわせてCBDCA投与量を随時調節する
CBDCA+nab-PTX
•黄斑浮腫治療が遅れると回復が困難になるため、早期発見できるようご指導、モニタリングをお願いいたします。
アブラキサン 適正使用ガイドライン
CBDCA+PEM(+Bev)
•適応切除不能な進行再発非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)
•レジメンペメトレキセド 500mg/m2
カルボプラチン AUC6
21日毎
1コース目は入院で実施
支持療法
デキサート注 9.9mg day1
グラニセトロン点滴1mg day1
イメンド(125) 1C分1 day1
イメンド(80) 1C分1 day2-3
CBDCA+PEM(+Bev)
•主な副作用骨髄抑制、悪心嘔吐、発疹、脱毛、下痢、間質性肺炎
(高血圧、出血、蛋白尿、血栓症、消化管穿孔)
•注意事項葉酸の投与
初回投与の7日以上前からパンビタン®服用(1日1回1g)
投与終了時は最終投与日から22日目まで内服継続
ビタミンB12の投与
初回投与の7日以上前にメチコバール®注を筋肉内投与
投与中止後22日目まで9週間ごとに1回投与
NSAIDsの使用
投与2日前から2日後はNSAIDsの使用を避けることが望ましい
DOC(+Ram)
•適応進行再発非小細胞肺癌
(二次治療以降)
•レジメンラムシルマブ 10mg/㎏
ドセタキセル 60mg/m2
21日毎
1コース目は入院で実施
支持療法
デキサート注 6.6mg day1
ポララミン注 5mg day1
グラニセトロン点滴 1mg day1
DOC(+Ram)
•主な副作用アレルギー、インフュージョンリアクション、骨髄抑制、
悪心嘔吐、関節痛、浮腫、間質性肺炎
(高血圧、蛋白尿、出血、血栓症、消化管穿孔)
•注意事項Ram投与時のinfusion reaction
FN発症率34% 外来施行時にはジーラスタ併用も検討
血栓の既往ないか確認
創傷治癒遅延:手術前後4週間程度はRam投与を避ける
アルコールのアレルギー確認:当院のDOCはアルコールフリー
浮腫:DOC総投与量が350~400mg/m2超えると発現頻度アップ
免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬
用法用量
•ペムブロリズマブ200mg/body 21日毎
•ニボルマブ240mg/body 14日毎
•アテゾリズマブ1200mg/body 21日毎
•デュルバルマブ10mg/kg 14日毎(12カ月まで)
放射線治療終了より42日以内に開始
免疫チェックポイント阻害薬
ニボルマブ ペムブロリズマブ アテゾリズマブ デュルバルマブ
作用 抗PD-1抗体 抗PD-1抗体 抗PD-L1抗体 抗PD-L1抗体
適応 進行再発非小細胞肺癌
PD-L1陽性の進行再発非小細胞肺癌
進行再発非小細胞肺癌
局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
使用line 二次治療以降 PD-L1発現率を確認し、一次治療から可
二次治療以降 二次治療以降
PD-L1発現率の有無
問わない(非扁平上皮癌では1%以上が望ましい)
一次治療50%以上
二次治療1%以上
問わない(扁平上皮癌では発現率を確認することが望ましい)
問わない
日本肺癌学会:肺癌患者における PD-L1 検査の手引き
免疫チェックポイント阻害薬
項目 基準値上限 基準値下限 注意を要する有害事象
ACTH 63.3 7.2 pg/mL 副腎機能障害
コルチゾール 19.6 3 μg/dL 副腎機能障害
TSH 10 0.25 μIU/mL 甲状腺機能障害
FT3 4.3 2.3 pg/mL 甲状腺機能障害
FT4 1.7 0.9 ng/mL 甲状腺機能障害
HbA1c 6.2 % 1型糖尿病
KL-6 500 U/mL 間質性肺炎
免疫チェックポイント阻害薬使用時に気をつけたい検査項目
これらは処方箋には記載されていませんが、患者さんがお持ちの検査結果からモニタリングをお願いします。(上記は月1回測定)
免疫チェックポイント阻害薬
キイトルーダ 患者向けパンフレット
経口薬
経口薬
各遺伝子変異陽性の場合の治療薬
EGFRゲフィチニブ、エルロチニブアファチニブ、オシメルチニブ
ALKクリゾチニブ、アレクチニブセリチニブ、ロルラチニブ
ROS1クリゾチニブ、ロルラチニブ
EGFR遺伝子変異の特徴
•exon19欠失、exon21 L858R点突然変異が約90%を占める
•EGFR-TKIによる治療は1年程度で耐性を生じる
EGFR-TKI
ゲフィチニブ エルロチニブ アファチニブ オシメルチニブ
用法用量 250mg/回1日1回
150mg/回 1日1回食事の1時間以上前または食後2時間以降
40mg/回1日1回空腹時(食事の1時間以上前または食後3時間以上)
80mg/回1日1回
EGFRに対する作用
可逆的阻害 可逆的阻害 不可逆的阻害 不可逆的阻害
主な副作用
皮疹、下痢肝機能障害間質性肺炎
皮疹、下痢爪囲炎間質性肺炎
皮疹、下痢、口内炎肝機能障害、爪囲炎間質性肺炎
皮疹、下痢爪囲炎、QT延長間質性肺炎
その他 高齢者は無酸症が多いため食後投与が望ましい
exon19欠失に対して効果が高い
一次治療から使用可能に
ゲフィチニブ
•用量調節腎障害:特になし
肝障害:Child-Pugh分類中等度以上でAUC3.1倍
•注意事項相互作用の確認
(CYP3A4阻害剤・誘導剤、ワルファリンなど)
H2 blockerやPPIの併用
制酸剤により6-7時間にわたりpH5以上が持続するとAUCが50%減少
エルロチニブ
•相互作用食事の影響:食後投与でAUC2倍
PPI併用:AUC46%低下
H2-blockerの併用:AUC33%低下
CYP3A4阻害剤の併用:ケトコナゾール併用でAUCが86%上昇
CYP3A4誘導剤の併用:リファンピシン併用でAUCが69%低下
オシメルチニブ
•特徴以前までは「EGFR-TKIに抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」に対する適応のみだった
2018年8月に一次治療に対する適応が追加
副作用にQT間隔の延長(6.1%)
定期的な心電図検査、電解質検査(K、Mg、Ca等)が行われているか確認
EGFR阻害剤による主な副作用
ゲフィチニブ エルロチニブ アファチニブ オシメルチニブ
皮疹 10%以上 62% 88.3% 42.8%
爪囲炎 1-10% 8.7% 74.2% 27.6%
下痢 10%以上 22.6% 98.4% 40.1%
各添付文書より抜粋
副作用好発時期
ジオトリフ 患者向けパンフレット
皮膚障害の予防
ジオトリフ 患者向けパンフレット
間質性肺炎
•初期症状息切れ
息苦しさ
空咳
発熱
さいごに
いつも電話やトレーシングレポートを通して貴重な情報を提供していただきありがとうございます。
薬局の先生方との連携しながら、患者さんがよりよい治療を安心して継続していけるよう取り組んでいきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。