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国際標準化に係る中国・韓国の動向について
平成28年3月
株式会社三菱総合研究所
背景
中国・韓国の国際標準化活動における存在感が増大。
国際標準化活動における中国・韓国の動きを分野横断的に調査し、その動向を我が国関係者に共有。
中国:10年で約6倍
韓国:10年で約2倍
各国のISO/IEC国際幹事引受数の推移 中国のISO/IECにおける要職確保
ISO会長:張暁剛 氏 - 鞍山鋼鉄集団董事長 - ISO/TC17議長を13年間務め
た経験。
IEC副会長:舒印彪 氏 - 中国国家電網公司総経理 - IEC/TC115国際幹事を4年間 務めた経験。 ITU事務総長:赵厚麟氏
- 2015年1月就任
1
中国・韓国の国際標準化会合における動向について、
• ISO/IECにおける電気・電子機器、機械、素材分野等のTC(Technical Committee、専門委員会)等の議長・幹事・コンビナーに対してインタビューを実施(約30名)するとともに、
• ISO/IECの国内審議団体に対してアンケートを実施(約70団体)。
調査対象・手法
2
調査結果 〜注目すべき中国・韓国の動向〜
① TC等への若手出席者の増加
中国・韓国の狙い 起きている現象
OJTによる人材育成を通じて、国際標準化活動のノウハウ・人脈を獲得
② 議長ポスト等の積極的な確保
③ 積極的な国際会議の自国開催
④ 欧米との接近・協力
⑤ 戦略的な規格策定
将来の国際提案等を見据えたノウハウを獲得
国内関係者の出席を促進し国際標準化活動のノウハウ・人脈を獲得
海外キーパーソンの呼び込みと技術動向の収集
先端技術の情報・ノウハウを獲得
企業が強みを発揮できる分野での規格提案を主導
⑥ スピード感のある標準化活動 他国よりもスピード感を重視し、
国際標準化活動を主導 3
【会議参加者の声】 「中国の新規提案が増えている。米国(NREL)との連携も進められてい
る。」(電気・電子機器) 中国の国際幹事はTCの議事進行を積極的にリードし、欧米からの参加
者と活発にコミュニケーション。また、TCのスコープ拡大により自国のアクティビティを活性化しようとしている。(新技術分野)
「中国は、新たな議論を行う場の創設を積極的に提案。ノウハウや情報を取るために枠組みを作ろうとしている可能性。」(機械)
「中国は、最先端の技術を規格化しようとするが、ノウハウの流出につながるため、対応に困ることがある。」(素材)
「韓国から、審議案件の約7割にも相当する、技術的話題性のあるテーマに関連した規格案が非常に数多く提案される。」(IoT・ビッグデータ)
「中国・韓国共に標準化活動に対する政府又は公的機関の支援、参画メンバーの習熟等によって、今後影響力が増すことも想定される。 」 (IoT・ビッグデータ)
中国の教授が新たにSCを立ち上げ、実際は博士課程の学生が作業する例も。(機械)
中国・韓国の影響力の増大
4
中国・韓国の影響力の増大
5
中国:素材、電気・電子機器、機械で増大と回答した比率が高い(約4~5割)
中国
韓国
N=217
N=53
N=43
N=7
N=15
N=5
N=47
N=7
N=40
0% 20% 40% 60% 80% 100%
電気・電子機器
輸送機器
医療機器
機械
建築材料及び住宅設備
素材
IoT・ビッグデータ
その他
全体
①大きく増えた ②多少増えた ③どちらともいえない ④多少減った ⑤大きく減った
N=179
N=47
N=32
N=1
N=13
N=2
N=41
N=10
N=33
0% 20% 40% 60% 80% 100%
電気・電子機器
輸送機器
医療機器
機械
建築材料及び住宅設備
素材
IoT・ビッグデータ
その他
全体
①大きく増えた ②多少増えた ③どちらともいえない ④多少減った ⑤大きく減った 韓国:機械、IoT・ビッグデータ、医療機器で増大と回答した比率が高い(約4~5割)
中国・韓国の過去3~5年の影響力の変化
現象1 TC等への若手出席者の増加(まとめ)
語学力に長けた30〜40代の若手が多く出席しており、約2〜3年前から出席者が固定化。
標準化活動(会議進行や新規提案の質など)の水準は現時点では必ずしも高くないが、将来的に見れば若手が育ち、日本の国際標準化活動にとって大きな脅威となりうる。
OJTによる人材育成を通じて、標準化活動に関する経験値、ノウハウ、人脈を蓄積し、将来的に活躍する素地を構築。
<中長期的な視点での人材育成>
後継者育成が課題の日本と対照的。
(中国・韓国の狙い)
6
現象1 TC等への若手出席者の増加
7
3%
29%
27%
40%
1%
N=209
① 20歳代
② 30歳代
③ 40歳代
④ 50歳代
⑤ 60歳以上
15%
30%46%
9%
N=173
① 20歳代
② 30歳代
③ 40歳代
④ 50歳代
⑤ 60歳以上
中心的な役割を担っている参加者の年齢
中国 韓国
中国・韓国では、30~40代が中心的な役割を担っている。
40代以下が6割 40代以下が4.5割
現象1 TC等への若手出席者の増加 【会議参加者の声】 「非常に若いメンバーを出してくるので、10年、20年後に中国・韓国が中心になるので
はないかという危惧はある。」(電気・電子機器) 「委員が30代と非常に若い。30代、40代の層が厚く、これから伸びてくると感じる。中国
は世界第2位の経済大国、標準化はこれから取り組む。今後、韓国以上に主導権を確保する可能性がある。」(電気・電子機器)
「中国の参加メンバーは固定されている。若手が多い。5年ほど前には中国からは出席すらしていなかった。この2~3年ほどでみかけるようになった。」(輸送機器)
「韓国については、企業からの参加者に加え、政府からも参加。30代が多い。特に、自国開催だとメーカーが多く参加。」(輸送機器)
「日本からのメンバーと比較して、中国・韓国は非常に若い。最年長でも50代で、多くは30代である。」(IoT・ビッグデータ)
「韓国が関与するテーマが広がったために、より多くの研究者がかかわるようになった。」 (IoT・ビッグデータ)
「韓国代表団長はベンチャービジネスを起こしている40代の方で、語学力があり、交渉力にもたけている。」(新技術分野)
「中国・韓国のメンバーは、積極的に発言を行い、各国のエキスパートとも急速に親しくなっている。そろそろどこかのコンビーナとして起用されるのではないか。次代を担う若手の育成にも励んでいるようにみえる。」(医療機器)
8
現象1 TC等への若手出席者の増加 【会議参加者の声】(つづき) 「韓国の若手の参加者からは、「自国製品の仕様を世界基準にしよう」という意気込み
を感じる。」 (医療機器) 「韓国からは、ソフトウェア開発企業、およびそれに対するコンサルティング系企業等
で国際的に活躍できる若者が標準化にも参加している。」(IoT・ビッグデータ) 「韓国の中心人物は大学教授であるが、この教授の元教え子の教授(40代)も常に参
加している。両教授は常にそれぞれ1~2名の学生を同行させ、国際会議の経験を積ませている。」 (IoT・ビッグデータ)
「WGのコンビナーを務める中国の教授が、会議に5名程度ドクターコースの学生を連れてくる。議事録などの実務を全て学生が行う。学生の旅費や滞在費などの資金支援があるようである。」(機械)
「中国は若手が多い。一般に、ISOでは欧米は50~60代が多いが、中国は40歳代が中心。 」(その他)
「中国・韓国の参加者は留学経験者であり英語は堪能だが、標準化はわかっていない人が多い。」(その他)
9
現象1 TC等への若手出席者の増加
10
中心的な役割を担っている参加者の年齢:中国
IoT・ビッグデータや輸送機器など、40代以下が9割近く占める分野も存在。
N=209
N=52
N=40
N=6
N=13
N=4
N=45
N=8
N=41
0% 20% 40% 60% 80% 100%
電気・電子機器
輸送機器
医療機器
機械
建築材料及び住宅設備
素材
IoT・ビッグデータ
その他
全体
① 20歳代 ② 30歳代 ③ 40歳代 ④ 50歳代 ⑤ 60歳以上
現象1 TC等への若手出席者の増加
11
0% 20% 40% 60% 80% 100%
①国際標準化活動のノウハウ獲得
②海外キーパーソンとの人脈強化
③先端技術に関する情報収集
④その他N=78
0% 20% 40% 60% 80% 100%
①国際標準化活動のノウハウ獲得
②海外キーパーソンとの人脈強化
③先端技術に関する情報収集
④その他N=67
若手参加者が増えた主な理由 中国 韓国
若手参加者を増やし、ノウハウを獲得。 →将来的に国際標準開発等を担うための、TCにおける議長等
の獲得・人材育成
現象2 議長ポスト等の積極的な確保(まとめ) 議長等に空きができた場合や自ら新規提案をしTC等を新設した
場合、議長ポスト等を積極的に確保。 規格提案をすることで先端技術に関する情報を収集していると
感じられる場合も。
将来的に自国に有利な国際標準化活動を行うため、標準化活動のノウハウ・人脈形成による人材育成を行うとともに、先端技術に関する情報等を獲得。
12
(中国・韓国の狙い)
現象2 議長ポスト等の積極的な確保
【会議参加者の声】 「中国・韓国は、今はポストを取る段階である。議長やセクレタリを取れば、ものを決め
るときに有利になる。」(電気・電子機器) 「中国が様々なTCで議長ポストを取っているのは、先端技術に関する情報をいち早く
収集するためのいろんな提案を行うためとも推測できる。 」(電気・電子機器) 「中国は、委員長交替時に対立候補を出す等の戦略を行使する可能性がある。」 (電
気・電子機器) 「中国・韓国の勢いで、具体的な新規提案がないにも関わらず、 WGができ、中国・韓
国がコンビナーをとったケースがある。」(機械) 「休眠していたTCが、中国・韓国の働きかけにより再開し、ポストを確保した。」(その
他) 「中国の影響力がある後進国(南アフリカ、ケニア)を利用し、WG・総会を開催し、中国
を擁護するような発言を行わせている。」(その他) 「中国も韓国もTCやSCの幹事国を積極的に取りに来る。」(その他) 「中国がTCの幹事国となり、TCで議論できる対象範囲を広げようとしている。」(素材) 「韓国の大学教授がTCやSCの幹事国を積極的に取りに来る。積極的にロビー活動を
行い、他国との連携を深めている。」(素材)
13
現象2 議長ポスト等の積極的な確保
14
中国の影響力が増えたと捉える主な理由
0% 20% 40% 60% 80%
①発言の増加
②提案数の増加
③提案の質の向上
④スピード感のある標準化活動
⑤議長・幹事への就任
⑥他国との連携
⑦その他 N=66
中国の影響力が増えたと捉える理由の半数弱として、議長・幹事への就任が挙げられている。
現象3 積極的な国際会議の自国開催
ここ数年、積極的に自国でTC会合等を開催。 (※)中国:37回、韓国:23回、日本23回(平成27年7月時点での開催予定数)
自国開催時には、国内の経営者、専門家等も容易に会議に出席することが可能。
国内関係者が出席するための環境をつくり、国際標準化に関するノウハウ・人脈を獲得。
海外からキーパーソンを招き、関係強化・先端技術動向に関する情報を獲得。
15
(中国・韓国の狙い)
現象3 積極的な国際会議の自国開催
16
国際会議の自国開催誘致への姿勢
中国:機械、電気・電子機器、素材で積極姿勢の割合が高い傾向(45~60%)
中国
韓国
N=215
N=54
N=43
N=7
N=15
N=5
N=45
N=7
N=39
0% 20% 40% 60% 80% 100%
電気・電子機器
輸送機器
医療機器
機械
建築材料及び住宅設備
素材
IoT・ビッグデータ
その他
全体
①非常に積極的 ②積極的 ③どちらともいえない ④あまり積極的ではなし ⑤消極的
韓国:医療機器、IoT・ビッグデータ
で積極姿勢の割合が高い傾向(45~50%)
N=179
N=46
N=33
N=2
N=14
N=2
N=39
N=10
N=33
0% 20% 40% 60% 80% 100%
電気・電子機器
輸送機器
医療機器
機械
建築材料及び住宅設備
素材
IoT・ビッグデータ
その他
全体
①非常に積極的 ②積極的 ③どちらともいえない ④あまり積極的ではなし ⑤消極的
現象3 積極的な国際会議の自国開催
17
0% 20% 40% 60% 80% 100%
①海外キーパーソンとの人脈強化
②先端技術に関する情報収集
③国内関係者出席による人材育成
④当該TC/SCの議長等の実績づくり
⑤その他N=76
0% 20% 40% 60% 80% 100%
①海外キーパーソンとの人脈強化
②先端技術に関する情報収集
③国内関係者出席による人材育成
④当該TC/SCの議長等の実績づくり
⑤その他N=54
自国開催誘致に積極的な理由
中国 韓国
現象3 積極的な国際会議の自国開催
【会議参加者の声】 「韓国や中国では、TCの前後にワークショップをやり、そこで欧州のキープレーヤーに
プレゼンをさせる等の例が多くみられる。」(電気・電子機器) 「中国の国際会議のホスティングは非常に熱心。」 (電気・電子機器) 「中国は自国開催により、 TCにおける実績を作り、発言権を増そうと考えている。」
(医療機器) 「韓国においてTC年次会議を開催した際、KATSや大学・企業からの韓国オブザー
バーが多数参加。」 (医療機器) 「TC総会の参加者向けのワークショップを開き招待する等して、韓国は、欧米キー
パーソンとの関係強化を図っている。」(機械) 「中国の自国開催の会議において、多くの中国規格のISO化を図っている。」 (機械) 「韓国について、特に近年に限っては、国際会議の韓国内開催の依頼があれば即OK
の感あり。」(その他) 「約3年前から、中国が国内で開催するセミナーに日独を招いて講演を求め始めた事
例も。」(電気・電子機器)
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現象4 欧米との接近・協力
中国・韓国は、欧米企業の標準化専門家OBを好条件で雇用。 欧米も、標準化活動の水準が低い中国・韓国にポストを譲りつ
つ、規格の中身を独仏が作成するなどして連携。
中国・韓国として、欧米から国際標準化活動に関するノウハウや先端技術動向の情報を取得、キーパーソンとの関係強化。
欧米も中国市場をにらんだ規格策定の主導権を握ることで、中国とWin-Winの関係を構築
19
(中国・韓国の狙い)
現象4 欧米との接近・協力
【会議参加者の声】 「中国・韓国の大手通信機器企業は、標準化担当の責任者として欧州の方を雇用し、
国際標準化会合で積極的に活動させるなど、欧米の標準化専門家を取り込む動き。」(電気・電子機器)
「韓国企業がヨーロッパ人をヘッドハンティングし、そのメンバーがIEC会議に積極的に参加し、規格変更を行っている。」 (電気・電子機器)
「中国は規格の中身を作れないが、独や仏が中国のコンビナーや議長を助けて、規格を策定していることがある。」(機械)
「TC/WGの議長を日本が取りに行ったが、中国とフランスが協力し、先にポストを取られた(中国:議長、フランス:共同議長)。」(その他)
「韓国は特に、幹事・議長等を狙っているTC/SCにおいて、積極的にロビー活動を行い、他国との連携を深めている。」(その他)
20
現象5 戦略的な規格策定
事業戦略の一環として、国際標準化活動を行う企業が増加。 大学や研究機関が会合に出席している場合でも、背後に企業の
戦略がある場合がある。 標準化にコミットする企業が増えており、新しいビジネスプラット
フォームに関する標準を策定しようとする動きも。
企業が自らの強みを発揮できるビジネスモデルの構築を念頭に、(大学教授等を通じて)新たなビジネスプラットフォームに関する標準を戦略的に提案。
21
(中国・韓国の狙い)
現象5 戦略的な規格策定
【会議参加者の声】 「以前はCESI(中国電子工業標準化研究所)の技術者のみの国際会議参加のみだっ
たが、近年は中国系企業所属の技術者の参加がみられるようになった。」(電気・電子機器)
「中国は、TCの中で鍵となるWG、あるいは興味のあるWGに参加し、自国技術を標準化に盛り込もうとしている。」(医療機器)
「技術的話題性のあるテーマに関連した規格案が韓国から非常に数多く(審議案件の約7割)提案されている。また財政的に厳しい国の組織に韓国企業がスポンサーとなって会議に出席させ、その国から提案させている。」(IoT・ビッグデータ)
「新しいビジネスプラットフォームを作ろうとするプロジェクトに対し、国と韓国企業が折半出資。新たな収益モデル構築とそれを支える国際標準への官民連携の事例があった。」(その他)
「韓国の参加者は積極的に発言を行い、各国のエキスパートとも急速に親しくなっている。そろそろどこかのコンビナーとして起用されるのではないか。英語も達者であるし、次代を担う若手の育成にも励んでいるようにみえる。」(医療機器)
「中国は、TCの核となる「基本的考え方」を作るWGを重要視するとともに、その他のWGにおいても自国技術を文書に取り込むよう提案を行ってきている。」 (医療機器)
「韓国は、ISO規格を自社および自国のイニシアティブで作成することによって、プロセス認証事業を国際的に普及する際の中心的役割を担い、大きな利益を得ようとしている。そのために、WGの議長を自社社員にスカウトし、本WGで策定済みの規格によるプロセス認証事業の国内制度化を韓国政府に働きかけている。」(IoT・ビッグデータ) 22
現象5 戦略的な規格策定
【会議参加者の声】 (つづき) 「中国の国内標準として策定した規格の国際標準化を目指して、プロジェクトが提案さ
れた。」(IoT・ビッグデータ) 「中国・韓国共に、プロジェクトエディタへの就任人数が多い。」 (IoT・ビッグデータ) 「中国が議長をとったWGにおいて、先進国の先端技術に関する情報を入手するため、
新規提案の段階で網羅的な案文を示し、投票に添付されたコメントへの対応で相手国の技術情報の入手しようとしている。」(その他)
「中国が幹事国になって以来、不完全なものでも提案し、比較技術として他国の技術を知るという戦術をとっている。」(その他)
「プラント建設等の中国の産業の海外進出に有益と思われる分野での規格制定に熱心。」(その他)
23
現象6 スピード感のある標準化活動
国内調整に時間がかかる日本と比較し、新規提案や議長ポスト等の獲得への意思表明等についてのスピード感が極めて早い。
他国に先んじて議長等への就任を立候補、新規提案の提出を行うことで、国際標準化活動を主導。
中国・韓国は業界内のプレーヤーが日本に比して少なく、スピード感では圧倒的に優位
24
(中国・韓国の狙い)
現象6 スピード感のある標準化活動
【会議参加者の声】 「日本が後手にまわり、TC幹事を韓国にとられた。」(電気・電子機器) 「幹事国に空きが出た場合、中国は自動的に手を挙げる。国策として幹事数を増やし
ている様子。ポジションがあれば必ず取るというスタンスにみえる。」(繊維) 「中国国籍ではない、他国メンバー(ヨーロッパ、南米など)を中国代表として参加させ
るケースが散見されるようになった。」( IoT・ビッグデータ) 「中国は、通訳として若手(女性)を多く参加させてきているが、年を経るとともに単なる
通訳ではなくロビイストとして成長してきている。」(機械)
25
日本としての課題
国際標準化活動について、日本としての課題を複数回答可として尋ねた。 若手・中堅の関与が低い(59%)、国際標準化活動への経営
層等の理解不足(51%)の回答が多く 旅費等活動予算の不足(45%)も半数弱が課題と認識
26
0% 20% 40% 60% 80%
①若手・中堅の関与が低い
②国内での調整に時間を要する
③国際標準化活動への経営層等
の理解不足
④旅費等活動予算の不足
⑤その他
N=272
日本としての課題認識
今や「良いものを作れば売れる」という時代ではない。
(日本の課題として)標準化に取り組む人材の社内評価が低い。 →標準化の重要性について経営トップレベルでの理解が必要。
日本は、交渉力のある人材が不足。 標準化戦略は、畑を耕してから収穫
まで数年単位の時間がかかる。
その他、標準化を取り巻く現状認識
中国・韓国
日本
⇒国際標準化活動に若手が多数参加
⇒国際標準化活動への参加者の高齢化
・国際標準化活動のノウハウ獲得のため ・国、関連機関を挙げての取り組み
(40歳代以下の比率=中国:約60%、韓国:45%)
<国際標準化活動の現場において
中国・韓国に関して起きている現象>
①TC等への若手出席者の増加
②議長ポスト等の積極的な確保
③積極的な国際会議の自国開催
④欧米との接近・協力
⑤戦略的な規格策定
⑥スピード感のある標準化活動
・国際標準化活動に関わる若手育成が不十分=上記①②③への対応の遅れ ・国際標準化活動への経営層等の理解不足 =上記④⑤⑥への対応の遅れ
■国際標準化活動に関する中国・韓国および日本の現状
・標準化官民戦略の再確認と実践 ・若手標準化人材の育成 ・経営層を含め企業内の十分な理解の浸透 ・企業内で標準化に関する全社的な戦略の推進等を担う体制の強化 ・各企業のエース級人材の標準化活動への投入 等
■日本の将来を見据えた取り組み
中長期的には、日本における標準化専門家の世代交代が行われるタイミングで、量・質両面において、中国・韓国の追い上げを許す可能性
27