長期金利の上昇リスクについて - 三菱UFJ信託銀行2/16...

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1/16 三菱 UFJ 信託資産運用情報 2012年6月号 長期金利の上昇リスクについて Ⅰ.はじめに Ⅱ.期待潜在成長率および期待インフレ率の上昇による金利上昇 Ⅲ.日本の財政の持続可能性 Ⅳ.財政リスクプレミアムによる金利上昇 ⅴ.終わりに 受託運用部 共済資金運用グループ 主任調査役 小川 雅久 主任調査役 明神 勝 日本郵政グループ 調査役 本間 丈明 企画管理グループ 和田 健太郎 Ⅰ.はじめに 日本の長期金利(10 年債)は1%前後の低位で推移する状態が続いており、この金利水準は、 主要先進国と比較してもかなり低い水準にある。 欧州債務問題を受けて資金の逃避先となっていることや、盛り上がりに欠ける資金需要、 長期にわたるデフレ環境の継続などがその要因と思われる。一方、悪化の一途をたどる財政 状況、新興国の経済成長がもたらす資源価格の上昇など、中期的な長期金利の上昇を誘発す るリスクも山積している。 そこで今回は、長期金利に影響を与える期待潜在成長率、期待インフレ率、財政リスクプ レミアムについて検討を行い、今後の長期金利の上昇リスクについて考察を試みた。 図表1:主要国金利のグラフ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 【%】 0 5 10 15 20 25 30 35 40 日本 米国 英国 ドイツ イタリア スペイン ギリシャ(右軸) 目 次 出所:BLOOMBERG

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長期金利の上昇リスクについて

Ⅰ.はじめに

Ⅱ.期待潜在成長率および期待インフレ率の上昇による金利上昇

Ⅲ.日本の財政の持続可能性

Ⅳ.財政リスクプレミアムによる金利上昇

ⅴ.終わりに

受託運用部 共済資金運用グループ 主任調査役 小川 雅久

主任調査役 明神 勝

日本郵政グループ 調査役 本間 丈明

企画管理グループ 和田 健太郎

Ⅰ.はじめに

日本の長期金利(10年債)は1%前後の低位で推移する状態が続いており、この金利水準は、

主要先進国と比較してもかなり低い水準にある。

欧州債務問題を受けて資金の逃避先となっていることや、盛り上がりに欠ける資金需要、

長期にわたるデフレ環境の継続などがその要因と思われる。一方、悪化の一途をたどる財政

状況、新興国の経済成長がもたらす資源価格の上昇など、中期的な長期金利の上昇を誘発す

るリスクも山積している。

そこで今回は、長期金利に影響を与える期待潜在成長率、期待インフレ率、財政リスクプ

レミアムについて検討を行い、今後の長期金利の上昇リスクについて考察を試みた。

図表1:主要国金利のグラフ

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ギリシャ(右軸)

目 次

出所:BLOOMBERG

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Ⅱ. 期待潜在成長率および期待インフレ率の上昇による金利上昇

1.期待潜在成長率について

リーマン・ショックによる世界的な景気後退を受けて、日本経済は、2008 年半ば以降、供

給能力過剰の状態に陥り、需給ギャップがマイナス圏で推移している。内需の自律的な成長

を促すような、目立った牽引役は見当たらず、長期的な円高トレンドの進展もあり、国際競

争環境が厳しさを増すなか、当面は外需の伸びにも多くを期待しにくい。

図表2の折れ線グラフは、企業の考える今後3年間の実質経済成長率の予測値であるが、

2008 年度の極めて低い水準から幾分上向いてはいるものの、低空飛行を脱したとは言えない

状況にある。このような企業による日本経済の成長見通しの動向を踏まえると、設備投資や

雇用を大幅に増やすような行動を取ることは考えにくく、期待潜在成長率の上昇が近い将来

に起こる可能性は低いと思われる。

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GDPギャップ(2011年第4四半期まで)左軸

企業による今後3年間の実質経済成長率予想値(前年度比)

(%)

2.期待インフレ率について

消費者物価指数(CPI)は、2008 年に原油価格等国際商品価格の高騰を受け、非耐久消費財

を中心として、上昇したものの、リーマン・ショックの影響を受けた需要減少により 2009

年夏に大きく落ち込んだ後、 近では概ねゼロ%近傍で推移している。それでは、今後の物

価の見通し、つまり期待インフレ率はどの程度であろうか。

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CPI CPI(除く生鮮食料品)

図表3:CPI 推移(前年同月比)

出所:総務省統計局

出所:内閣府

図表2:GDP ギャップと期待成長率

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出所:BLOOMBERG

長期固定利付国債の利回り(名目長期金利)と長期物価連動国債の利回り(実質長期金利)の差

を[1+実質長期金利]で割った値は、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)と呼ばれ、理論

上は、市場が織り込んでいる期待インフレ率と解釈できる。図表4に示している通り、BEI

は 2009 年以降上昇傾向にあり、今年2月には、3年5ヵ月ぶりにプラスとなった。

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08/6 08/9 08/12 09/3 09/6 09/9 09/12 10/3 10/6 10/9 10/12 11/3 11/6 11/9 11/12 12/3

(%)

10年物価連動国債利回り 10年利付国債利回り ブレーク・イーブン・インフレ率

ただし、物価連動国債は 2009 年度以降、新規発行が停止している上、財務省による買入償

却や日銀による買取を受けて、市場での流通量が少なく、需給がタイト化している。このこ

とが同国債の利回り低下に貢献している度合いは少なからずあると思われ、BEI の上昇を期

待インフレ率の上昇のみによって説明するのは難しいと思われるが、大まかな傾向として、

リーマン・ショック直後の極めてデフレ色の強い状況を脱し、期待インフレ率はここもとや

や上向いているとの見方はできよう。

また、期待インフレ率の代用変数として、内閣府が出している消費動向調査の物価の見通

し(総世帯、上昇見通しの比率から下落見通しの比率を差し引いた数値)を見てみると、図表

5に示している通り、2009 年 12 月を底として、先行き物価上昇見通しを持つ世帯の割合が

増えており、先程の BEI 同様、デフレ気味の状況を出発点としながらも、期待インフレ率が

幾分上向いていることを示唆している。

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11/12

上昇 上昇-下落

(%)

出所:内閣府

図表4:ブレーク・イーブン・インフレ率の推移

図表5:物価の見通し(総世帯)

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3.期待潜在成長率および期待インフレ率の上昇による長期金利上昇の可能性

しかしながら、ここもとの期待インフレ率の上昇が、長期金利の上昇につながっていない

ことは、期待インフレ率の上昇による長期金利の上昇圧力が、それ以外の要因によって相殺

されていることを示唆していると思われる。つまり、将来の消費税引き上げ見通しや原油等

資源価格の上昇見通しによって、期待インフレ率が上向く一方、期待潜在成長率は低下して

おり、この結果名目ベースでの経済成長率に変化が生じていない可能性が考えられる。

即ち、有効需要の増加を伴わない要因によって、期待インフレ率が上向いたとしても、そ

れによって期待潜在成長率へ悪影響が出るならば、長期金利が大きく上昇する状況には、な

りにくいということであろう。

Ⅲ.日本の財政の持続可能性

次に長期金利に影響を与える財政リスクプレミアムについて考えてみたい。その上で、ま

ず日本の財政状況が持続可能なのかについて考察する。

1.日本の政府債務残高

まず、政府債務の大きさを考えてみる。国と地方を合わせた長期債務残高は、平成 23 年度

末の実績見込みベースで903兆円、平成24年度末の予算案ベースで940兆円(財務省公表デー

タ)と 1,000 兆円も目前である。国家の財政健全度を計る上でのストックの指標として一般的

に債務残高の対 GDP 比が用いられるが、図表6を見ると、1990 年代後半に財政の健全化を

着実に進めた他の先進国と比較して、日本は急速に悪化しており、財政の行き詰まりにより

国債価格が急落したギリシャをも凌ぎ、 悪水準となっている。

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英国 ドイツ

イタリア スペイン

ギリシャ

出所:IMF データより作成

図表6:政府債務残高の対 GDP(名目)比率

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これは、欧米の先進国が、財政赤字が野放図に拡大することを防ぐための仕組みが導入さ

れているのに対し、日本は1年限りの特例公債法が毎年制定される形で赤字国債が発行され

てきたことが一つの要因と言える。例えば、達成できているかは別として、EU 加盟国は曲

りなりにも安定成長協定によって財政赤字の対 GDP 比を3%以内に抑制することが義務づ

けられており、米国でも多くの州が財政均衡を義務づける憲法を制定するなど、政治的な思

惑により財政支出が拡大し過ぎることに対して警鐘を鳴らす仕組みがある。

日本においても 1990 年代後半に財政再建路線を推し進めようとした時期もあったが、その

後の景気悪化もあり、景気対策への支出が膨らんだことなどから、2000 年以降、政府債務が

急速に拡大していった。

もっとも、政府債務の大きさだけで財政状況を判断するのは、日本のバランスシートを負

債サイドからしか見ていないことからフェアとは言えない。そこで、政府の総負債残高から

政府の保有する金融資産等を差し引いた、純債務残高の対 GDP 比を見たものが図表7のグ

ラフである。

資産サイドを考慮すると政府債務比率はギリシャを下回っていることが解る。また、図表

6では 200%を越えていた政府債務比率が 120%程度の水準まで下がり、他の先進国との開き

も小さくなる。

しかし、主要先進国の中では長期にわたりイタリアが日本を上回る状況が続いていたが、

リーマン・ショック後の日本の財政出動により、この5年程度の間に逆転する状況となって

いる。このようにバランスシートの資産サイドを加味したとしても、ストックベースからみ

た日本の財政状況が厳しいことは疑いようのない事実と思われる。

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(%)

日本 米国

英国 ドイツ

イタリア スペイン

ギリシャ

出所:IMF データより作成

図表7:政府純債務残高の対 GDP(名目)比率

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2.日本のプライマリー・バランス

プライマリー・バランス(以下 PB)とは、政策的な支出を税収等でどの程度賄えているかを

示す指標のことを指す。財政健全度を計る指標として、政府債務の対 GDP 比率がストック

の財政状態を表すのに対し、この PB からはフローの財政状態を見ることができる。以下の

ドーマーの定理によると、PB が均衡している状態においては、国内の成長率が金利よりも

高ければストックの債務残高対 GDP は発散しないということになる。PB を均衡したとして

も利払い費分だけ債務残高は増えてしまうが、まずは PB を均衡化させていくことが重要と

されている所以である。

日本のPBの状態を見てみると、図表8が示すとおり、バブル経済崩壊後の1993年度以降、

一度も黒字となったことはなく恒常的な赤字が続いている。他の先進国では、PB が赤字に

なっても短期間のうちに修正を図るような財政運営を行っているが、日本の場合はそうした

傾向がみられない。1990 年以降では、橋本政権や小泉政権下での財政構造改革により、一時

的に PB が改善した局面もあったが、失われた 20 年といわれる経済情勢を背景とした税収の

伸び悩みや、景気対策としての公共投資の増加、社会の高齢化による社会保障費の増大、リー

マン・ショック後の財政出動などにより、再び PB の赤字は拡大し、足元では先進国の中で

低の水準となっている。

-12

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(%)

日本 米国

英国 ドイツ

イタリア スペイン

ギリシャ

出所:IMF データより作成

■ ドーマーの定理(プライマリー・バランスの均衡条件)

(r-n)B/Y+(g-t)=0

r:利子率 n:成長率 B:公債残高 Y:GDP

g:利払い費を除いた歳出/GDP 比 t:税収/GDP 比

g-t:プライマリー・バランス

図表8:プライマリー・バランスの対 GDP(名目)比率

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出所:財務省公表データより作成

3.財政の持続性

図表9は過年度の一般会計予算・決算を見たものである。平成 21 年度にはリーマン・ショッ

ク後の世界的な金融不安に対応するため、2度にわたる補正予算を組んだ結果、歳出は 100

兆円を超えた。その後も東日本大震災への対応予算として4回の補正予算が成立するなど大

型予算・決算が続いている。

(単位:兆円)

  区分 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度決算 決算 決算 当初予算 当初予算

税収 44.3 38.7 41.5 40.9 42.3公債金 33.2 52.0 42.3 44.3 44.2その他収入 11.8 16.4 16.7 7.2 3.7合計 89.2 107.1 100.5 92.4 90.3国債費 19.2 18.4 19.5 21.5 21.9地方交付税 15.7 16.6 18.8 16.8 16.6一般歳出等 49.8 66.0 57.0 54.1 51.8(うち社会保障関係費) 22.6 28.7 28.2 28.7 26.4(うち公共事業関係費) 6.9 8.4 5.8 5.0 4.6合計 84.7 101.0 95.3 92.4 90.3公債依存度(%) 39.2 48.5 42.1 47.9 49.0

歳入

歳出

出所:財務省公表データより作成

しかし、こうした大型予算の財源としての税収については、リーマン・ショック以降の景

気悪化等により伸び悩んでおり、特に平成 21 年度以降は4年連続で公債金(借入)が税収を上

回る状況となった。

加えて、財政赤字の累積により、歳出項目である国債費は緩やかに増加し、平成 23 年度予

算で 20 兆円を突破。国債費は、主に借入金の債務償還費と利払費に分けられるが、利払費に

ついては、金利の低下が続いているにも関わらず、平成 18 年度を底に増加に転じており、今

後の金利動向次第では、利払費の大幅な増加が懸念される状況となっている。

0

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平成

元年

2 3 4 5 6 7 8 9

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単位:兆円

公債発行額(左軸)税収歳出

図表9:過年度の一般会計予算・決算

図表 10:一般会計税収・歳出と公債発行額の推移

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出所:財務省、国立社会保障・人口問題研究所より作成

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平成2年

3 4 5 6 7 8 9

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【兆円】

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公債残高(右軸)

利払費

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%

10年金利

さらに、今後の増加が懸念されるのが、社会保障関係費である。社会保障関係費は、平成

24 年度予算では 26.4 兆円と一般歳出の約半分を占める。社会保障関係費は、大きく年金・

医療・介護の 3 つに分かれるが、このうち特に今後増大すると想定されるのが年金・介護の

分野である。図表 12 は社会保障給付費と社会保険料収入の推移を示しているが、少子高齢化

の進行により、社会保障給付費の伸びが社会保険料収入の伸びを上回り、社会保険関係費が

急速に増加して推移することは避けられない状況である。

特に、今年からは団塊の世代が 65 歳以上となり年金給付の対象となることから、社会保障

費が今後1兆ずつ増加し、数年後には 30 兆を突破する見込となっている。

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平成

元年 2 3 4 5 6 7 8 9

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21

(兆円)

社会保険料収入

社会保障給付

このように、国債費や社会保障関係費の増加が懸念される中、景気回復やデフレ脱却が進

まず、政府債務残高が一本調子で膨らみ続ける場合、財政の持続可能性について極めて大き

な不安が残る。

出所:財務省公表データより作成

図表 12:社会保障給付費と社会保険料収入の推移

図表 11:日本の利払費と公債残高

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Ⅳ.財政リスクプレミアムによる金利上昇

こうした日本の財政悪化に対する懸念は、10 年程前から声高に叫ばれ、その度に長期金利

の暴騰、日本国債の暴落が起きるといわれてきた。しかし、実際にはそのような金利の大幅

上昇は起きず長期金利は低位で安定してきた。

ではなぜ、財政リスクプレミアムの拡大により、欧州の財政悪化国のように金利が上昇す

る事態となっていないのかについて検討を行いたい。

図表 13 は、主要先進国の CDS スプレッドを比較している。国債の CDS とは国債のデフォ

ルトに対する保険料率のようなもので、各国の財政状況を市場メカニズムで測った客観的評

価と言え、日本の CDS は米国やドイツなどと比較するとやや高い水準にある。しかし、GDP

比の政府債務残高が 200%を超え、先進国の中で 悪の水準にある日本において、一定程度

の財政プレミアムを反映し、CDS の水準はやや高い水準にあるものの、ギリシャなどの欧州

の財政悪化国のように、急上昇する展開には至っていない。

このことから、財政リスクプレミアムはそれほど大きなリスクとして懸念されていないよう

に思われる。

この要因として、日本における国債の需要動向を見てみる。

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150

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2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年

0

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4,000

6,000

8,000

10,000

日本 ドイツ

イタリア スペイン

米国 ギリシャ(右軸)

出所:Bloomberg より作成

1. 国内での安定的な国債消化

図表 14 は、日本国債の投資家の割合を示したものであるが、約 76%を国内金融機関が

占め、海外投資家の保有比率は 8.5%に過ぎないことが分かる。つまり、日本国債の 90%

以上が国内で保有されているのである。財政が行き詰ったギリシャの場合は、海外投資

家が国債の約4分の3を保有するなど、国債を発行するにあたり国内資金のみでファイ

ナンスすることは難しく、海外資金が買い続ける必要があった。一方、日本国債の場合

図表 13:主要国の CDS スプレッドの推移

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は国内金融機関が安定的に国債を買い続けているため、海外から国債に対し高いプレミ

アムを求められない上、国内でリファイナンスが続けられる限り国債のデフォルトは起

きない。財政赤字が拡大しても、国内金融機関により安定的に消化され続ける限りは、

財政危機は起きないという点が日本とギリシャとで大きく異なるのである。

金融機関75.7%

非金融法人企業

1.2%

非営利団体1.6%家計

3.1%海外8.5%

一般政府9.9%

出所:日本銀行公表データより作成

日本国債の安定消化に寄与しているのは、金融機関とりわけ銀行であるが、銀行による国

債の購入が増えたのは、我が国における資金不足主体の変化によるところが大きい。図表 15

は主体別の資金過不足状況を示しているが、1980年代は民間法人企業部門の不足額が大きく、

国内の企業は銀行への借り入れに依存していた。しかし、1990 年代から着実に民間法人企業

の資金不足が解消され、むしろ手元流動性を厚くし資金余剰主体に転じた一方で、政府部門

の資金不足は顕著になっている。

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010

【兆円】

民間非金融法人企業海外

一般政府家計

出所:日本銀行公表データより作成

図表 14:日本国債の保有投資割合

図表 15:主体別資金過不足

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出所:日本銀行公表データより作成

図表 16 は銀行の預貸ギャップ(預金-貸出)、図表 17 は預貸率および預証率の推移を見

たものである。2000 年以降、銀行の貸出に対する預金が大幅に拡大している。資金余剰主体

になった民間法人企業の借り入れ需要が低下する中、銀行は預貸ギャップを埋める手段とし

て国債購入を行ってきた。言い方を代えれば、銀行が貸出による信用リスクを取るよりも、

金利リスク(市場リスク)を取るビジネス展開を図ってきたことが、国債の金利安定に寄与し

ているといえる。

0

20

40

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80

100

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140

160

180

200

00年

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【預貸ギャップ、兆円】

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

00年

01年

02年

03年

04年

05年

06年

07年

08年

09年

10年

11年

預貸率

預証率

2. 民間部門の貯蓄超過と経常収支および対外純資産の黒字

国債が国内の資金で安定消化されている、つまり民間部門の貯蓄で財政赤字を補える状況

をマクロ経済学の理論から考えると、IS(貯蓄・投資)バランスの構造式により、経常収支が

黒字であることを意味している。

また、日本の個人金融資産は 1,500 兆円にものぼるが、図表 18 の家計の純金融資産と政

府債務の関係が示すとおり、これまでは家計純金融資産が政府債務を安定的に上回っていた。

このように民間部門の貯蓄残高が継続的に政府債務の残高を上回る状況からは、対外純資産

も黒字と考えられる。

図表 16:銀行の預貸ギャップの推移 図表 17:預貸率、預証率の推移

■ IS バランス(投資・貯蓄バランス)の構造式

〇支出面から見た GDP GDP(Y)=消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+純輸出(X-M)

〇所得面から見た GDP GDP(Y)=消費(C)+貯蓄(S)+税金(T)

よって、純輸出を経常収支と考えると

経常収支=投資・貯蓄バランス(S-I)+財政収支(T-G)

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2,0001990

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2008

2009

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2011

【兆円】

家計金融資産 政府債務

実際に、2011 年の日本の経常収支は約 10 兆円の黒字であり、2010 年末の対外純資産も約

250 兆円(対外資産約 560 兆円、対外負債約 310 兆円)と世界一の対外債権を有している。

そして、図表 19、20 が示すとおり、各国の経常収支や対外純資産と長期金利の間にはある程

度の相関があることが分かる。

つまり、日本において財政悪化にも関わらず財政リスクプレミアムがそれほど顕在化して

いないのは、民間部門の潤沢な資金余剰がその背景と考えられよう。

出所:Eco Win より三菱 UFJ 信託銀行作成 出所:Eco Win より三菱 UFJ 信託銀行作成

図表 18:家計純金融資産と政府債務の推移

ハンガリー

ポルトガル

アイルランド

スペイン

ブラジル

インドネシアメキシコ

イタリア

日本

-4

-2

0

2

4

6

8

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12

14

16

-150 -100 -50 0 50 100 150 200【対外純資産(GDP比率)、%】

【長期金利、%】

低金利

高金利

純債務国 純債権国

図表 19:各国の経常収支と長期金利 図表 20:各国の対外純資産と長期金利

カナダ

米国 英国

フランス

アイルランド

ハンガリー

日本

-4

-2

0

2

4

6

8

10

12

14

16

-10 -5 0 5 10 15 20【経常収支(GDP比率)、%】

【長期金利、%】

低金利

高金利

経常赤字国 経常黒字国

出所:日本銀行公表データより作成

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3.財政プレミアム拡大による長期金利上昇の可能性

しかし、逆の観点から考えれば、経常収支が縮小するならば、民間部門の貯蓄超過では財

政赤字をまかなえなくなっていくということ、さらには財政リスクプレミアムの拡大により

長期金利が上昇する可能性があることを意味している。

よって、経常収支の動向を検討してみる。

(1) 最近の経常収支動向

財務省が発表した 2011 年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を

引いた貿易収支は約4兆円の赤字となり、単年度の赤字額としては 1979 年度以降で 大と

なった。これは、円高が輸出競争力を弱める中、東日本大震災やタイでの洪水災害の影響を

受けサプライチェーンが一時的に寸断されたことに加え、原発稼動停止に伴う代替燃料の輸

入増などが影響したものである。

ただし、図表 21 が示すとおり、2011 年の貿易収支は赤字となったものの、所得収支が大

幅な黒字となり、経常収支は黒字を確保した。日本は 1980 年代初頭より貿易収支の黒字が

主導する形で経常黒字を維持してきたが、近年は貿易収支が悪化する中、対外純資産の累増

に伴い、所得収支の黒字が経常収支の黒字を支える構造が定着している。

出所:Eco Win より三菱 UFJ 信託銀行作成

-5

0

5

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15

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25

30

35

85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11

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0

50

100

150

200

250

300

所得収支

貿易収支

経常収支

対外純資産(右軸)

【経常収支、兆円】 【対外純資産、兆円】

【年】

図表 21:日本の経常収支などの推移

■ 経常収支の構造式

経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常収支移転

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出所:Eco Win より三菱 UFJ 信託銀行作成

(2)経常収支のシミュレーション

ただし、将来的に国のエネルギー政策として原発依存度を引き下げていくことが想定され

る中で、化石燃料の輸入に頼らざるを得ない状況においては、原材料コストや電力コストの

増加を避けるために、製造業の海外シフトが更に進む可能性もある。

よって、輸入の伸びが輸出の伸びを継続的に上回った場合の経常収支および対外純資産の

推移を試算してみた。輸出入を含めた前提条件は図表 22 に記載の通りである。

経常収支については、まず貿易収支の赤字化が定着した後、所得収支の減少を通して経常収

支が赤字化する系譜を辿るが、経常収支が赤字に転じるのは 2023 年頃となる。また、対外

資産取り崩しにより対外純資産が枯渇するのは更に先の 2047 年頃である。

この試算からも、経常収支の赤字や対外純資産の減少が、国債の安定消化に支障をきたし、

財政プレミアムの拡大を通じて、長期金利の上昇を促すといった事態を今すぐ織り込むよう

な展開にはなりにくいのではないかと思われる。

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-20

0

20

40

60

80

85 90 95 00 05 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55

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200

300

400

所得収支

貿易収支

【年】

【兆円】 【兆円】

対外純資産(右軸)

経常収支

推計

①貿易収支赤字化 ②経常収支赤字化 ③債務国化

対外資産取り崩し

所得収支減少

前提条件

ドル円 右下表参照

原油価格(WTI、前年比) 10%

原子力発電 全面停止

世界GDP(前年比) 3%

輸出(前年比) 3%

輸入(前年比) 4%

所得収支 ※1 増加後、減少

対外純資産 対外純資産増減≒経常収支

経常収支赤字化/債務国化 2023年 / 2047年※1 所得収支≒対外純資産×収益率(2000年以降の平均収益率で試算)※3 所得収支、対外純資産ともに円安が進むと、円換算金額が増加する

ドル円(年末値) 2011年 2015年 2020年 2025年

年率2%程度の円安 77 83 91 100

図表 22:日本の経常収支・対外純資産の推計(シミュレーション)

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Ⅴ.終わりに

これまで見てきたとおり、長期金利の決定要因である期待潜在成長率、期待インフレ率、

そして財政リスクプレミアムからは、今後しばらくの間、長期金利が急騰するリスクは限定

的であると思える。

しかし、一歩引いてこの状況を考えてみたい。民間部門の貯蓄超過が続くということは、

貯蓄・投資バランス(S(貯蓄)-I(投資))のプラスが継続するということである。これは貯蓄が

伸びるか、投資が縮小すれば成立するわけであるが、仮に貯蓄はマイナス(=取り崩し)とな

るものの、投資がそれ以上にマイナス(=回収)となり、結果として(S-I)がプラスとなること

も有り得る。

日本の今後を考えた場合、高齢化の進展により家計部門における貯蓄は適宜取り崩されて

いくと思われる。一方、期待潜在成長率や期待インフレ率が高まらない状況が続くならば、

投資の抑制と固定資本減耗の増加により、ネットの投資はマイナス(=回収)が継続すること

も考えられる。

このように、日本経済の活力低下の結果、民間部門の貯蓄超過が続き、財政リスクプレミ

アムが顕在化しないのであれば、長期金利が上がらないことを素直には喜べない。

内閣府は、「日本再生の基本戦略」(平成 23 年 12 月に閣議決定)で示された施策が着実に実

施されるなど、成長戦略シナリオの下でのシミュレーションを「経済財政の中長期試算」とし

て発表している。これによれば、相当な幅を持って理解される必要があるとの断りはあるも

のの、2020 年度の実質成長率は前年比 2.3%、消費者物価上昇率は同 1.8%、長期金利は 4.3%

である。

次回執筆する機会に恵まれたときは、こうした“良い”金利上昇リスクを検討する必要に

迫られていることを切に願いたい。

(平成 24 年5月 17 日 記)

【参考文献】

証券アナリストジャーナル、『特集 日本の財政リスクを考える』VOL.49 NO.11

高田創ほか[2010]世界国債暴落、東洋経済新報社

みずほ総合研究所編[2010]ソブリンクライシス、日本経済新聞出版社

財務省 日本の財政関係資料

三菱UFJ信託銀行 資産運用部[2012]国内債券:金利急騰はあり得るか

日銀 経済・物価情勢の展望(2012年4月)

内閣府 経済財政の中長期試算(2012年1月)

※本稿中で述べた意見、考察等は、筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する公式見解ではない

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編集発行:三菱UFJ信託銀行株式会社 投資企画部

東京都千代田区丸の内 1丁目 4番 5号 Tel.03-3212-1211(代表)

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