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温冷覚検査装置

熊本高専 人間情報システム工学科

教授 小山 善文

熊本高専 制御情報システム工学科

教授 永田 正伸

２０１４．０７．０８

共同研究者大串 幹（熊本大学附属病院リハビリテーション部、准教授）萩野光香 （熊本大学医学部附属病院 リハビリテーション部、OT）

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社会的背景

感覚障害を伴う可能性がある疾患患者数の増加

末梢性のしびれ・肘のケガ等による尺骨神経麻痺

・全身性の内科的疾患（糖尿病、膠原病、ビタミン欠乏）

脳の障害・脳卒中、腫瘍、脳炎

脊髄障害によるしびれ・脊椎の変形（頚椎症、腰椎症）

・椎間板ヘルニア

・脊髄炎、脱髄疾患（多発性硬化症ほか）

・血管障害

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脳卒中・糖尿病の罹患率分布

糖尿病の疑い強い人８９０万人 （2007年）

患者は今後さらに増えるのでは？

（出典:厚生労働省患者調査の概況）

(出典:糖尿病の人ってどのくらいいるの？｜厚生労働省)

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現在の感覚検査（スクリーニング時）における問題点

主観的結果しか得られず、

客観的評価が得られにくい

感覚検査ごとに器具の交換が必要

検査時間が長いため、

被験者に負担がかかる

精密な検査を行う機器は大きく

手軽でない

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従来技術とその問題点

従来の温度覚検査方法試験管 ペンシル型温度感覚計

価格

1本200円程度 ユフ精機 98000円温度設定 温：40-45℃

冷：10℃程度→温度維持困難

温：48℃冷：3℃→ダイヤル式 ２段階

準備物 試験管，ビーカー，お湯，氷，温度計，タオル・・・

本体，電池

注意点 試験管の周りに水滴などついていないように必ずふき取る。

感温部(円形4mm)を垂直に軽く短時間あてる

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温冷覚刺激プローブ

図 提示器の構造

①銅板②温度センサ③ペルチェ素子④ヒートシンク⑤温度センサ

感温部（プローブ）

・感温部(プローブ)の銅版(90×90mm)・5-45℃の温度設定・充電式電池で連続使用が可能

図 コントロールボックス

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項 目 性 能電源 ９Ｖ乾電池

最大定格電流 温冷覚プローブ動作時 0.7A 最大1A動作時間 5時間30分

プローブ動作時：5度：20分 45度：30分コンタクト面積 □ ９×９mm重量 プローブ 49g

コントロールボックス（電池込） 424g設定刺激温度 5,10,15,20,25,30,35,40,45,50℃の10ステップ

計測温度範囲 20℃～40℃動作環境温度 20℃～30℃

新技術の特徴・従来技術との比較• 温冷覚刺激＋皮膚温度計測

◎温冷覚刺激プローブ 仕様（暫定）

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温冷覚刺激プローブ

図 パラメータによる特性の違い

↑実験結果による

↑ペルチェに流す電流量

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図 コンタクト部の温度変動グラフ（25℃設定時）

温冷覚刺激プローブ テクニカル性能実験結果 その１

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0 5 10 15 20 25 30

時間（秒）

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（℃

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測定温度

表示温度

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0 10 20 30 40

時間（秒）

温度

（℃

）

測定温度

表示温度

図 コンタクト部の温度変動グラフ（４５℃設定時）

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0 5 10 15 20 25 30

時間（秒）

温度

（℃

）

測定温度

表示温度

図 ４５度から５度への温度遷移

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0 10 20 30 40

時間（秒）温

度（℃

）

測定温度

表示温度

図 ５度から４５度への温度遷移

温冷覚刺激プローブ テクニカル性能実験結果 その２

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温冷覚刺激プローブ性能評価実験結果

図 被検者の評価感覚結果（室温27℃）

検査部位：手指コンタクトタイム：３ｓ

1

2

3

4

5

5 15 25 35 45

評価値

設定温度[℃]

平均値

温冷覚刺激プローブを被験者に5℃から45℃の範囲で10℃ごとにコンタクト

そのときの感覚を声で回答

1：冷たい

２：ひんやり

３：何も感じない

４：温い

５：熱い

被験者：健常者学生23人

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温度覚検査：パイロットスタディ

• 対象者：健常者１０名（男性：５名 女性：５名）

• 方法：

• 5-45℃のそれぞれの温度で分かった人,分からなかった人の割合を算出

• 各疾患で髄節，支配領域，全身性，末梢性など障害の部位が違うことが考えられるが，今回は健常者と合わせるために手指での分析

対象者が回答 記録

5-45℃の間で様々な温度を与える

対象者：「温かい」「どちらでもない」「冷たい」

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結果：パイロットスタディ

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5℃ 10℃ 15℃ 20℃ 25℃ 30℃ 35℃ 40℃ 45℃

100 100 100 100

90

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30

60

100

わかった人 わからない人

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臨床での試用

対象:熊大医学部付属病院入院患者で感覚障害の疑いのある27名

評価期間:平成24年8月～平成25年7月

中枢―脊髄性疾患 末梢性疾患 全身性疾患

頚椎症性脊髄症(2名) 肘部管症候群(3名) 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(1名)

脊髄空洞症(1名) 手根管症候群(2名) 家族性アミロイドポリニューロパチー(2名)

HTLV-1関連脊髄炎(1名) 膝窩動脈損傷(1名) チャーグストラウス症候群(1名)

脊髄小脳変性症(1名) 踵骨骨折術後障害(1名) 皮膚筋炎：ステロイドミオパチー(1名)

馬尾障害(1名) 糖尿病(16名)

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結果：臨床での試用

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5℃ 10℃ 15℃ 20℃ 25℃ 30℃ 35℃ 40℃ 45℃

70 70 6763

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411

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わかった人 わからない人

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5℃ 10℃ 15℃ 20℃ 25℃ 30℃ 35℃ 40℃ 45℃

温覚閾値が高くなった？

冷覚閾値が低くなった？

TRPA1 TRPM8

TRPV4TRPV3

TRPV1TRPV

2無髄性線維有髄性線維線維

受容器

考察：

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皮膚温度計測機能

図 温冷覚刺激プローブ構成図

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外気温を考慮した検定式より接触面の温度計測

図 外気温25℃での検定式

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皮膚温度計測実験結果 その１部位 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E

手の甲[℃]

温度計計測値 31.8 27.2 31.4 31.8 30.9プローブ計測値 31.3 28.3 31.6 33.3 29.6

誤差 0.5 1.1 0.2 1.5 1.3

部位 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E

手のひら[℃]

温度計計測値 31.8 30.3 31.9 33.5 32.7プローブ計測値 33.6 30.4 32.8 34.6 31.5

誤差 1.8 0.1 0.9 1.1 1.3

部位 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E

腕[℃]

温度計計測値 33.2 27.2 31.4 31.8 30.9プローブ計測値 35.2 28.3 31.6 33.3 29.6

誤差 2.0 0.1 0.4 1.9 1.8

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部位 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E

頬[℃]

温度計計測値 25.4 34.2 34.5 34.1 34.4

プローブ計測値 27.3 39.9 33.8 33.0 36.2

誤差 1.9 0.3 0.7 1.1 1.8

部位 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E

足の甲[℃]

温度計計測値 21.0 23.5 24.8 27.3 32.9

プローブ計測値 21.1 24.4 23.6 29.2 34.5

誤差 0.1 0.9 1.2 1.9 1.6

皮膚温度計測実験結果 その２

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 ：温冷覚検査装置

• 出願番号 ：特願2014-035768• 出願人 ：熊本高専

• 発明者 ：小山善文

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実用化に向けた課題

• 温度計機能は、現在、 対環境特性実験を実施中。

目処がついた時点で診療機関でのフィールドテス

ト予定

• 実用化に向けて、電子回路、装置、プログラムの精度向上 → 企業との共同開発

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触覚刺激プローブの試作

DCファンF3010TB30[mm]×30[mm]×12[mm]

温度センサLM35DZ8[mm]×8[mm]×5[mm]

ペルチェ素子TES1-1270530[mm]×30[mm]×3[mm]

非接触式触覚刺激プローブ

サイズ:35[mm]×40[mm]×54[mm]

重さ:160.4[g]

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図 電圧－風力・風速関係グラフ

予備実験の結果

圧痛覚刺激よりはるかに弱い風圧

圧痛覚→最低14[g]

触覚刺激プローブ 基礎実験結果

筆で僅かに触れる

筆を少し強く触れる

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実用化に向けた課題

• 触覚刺激プローブは、構造の再検討中

• 実用化に向けて、電子回路、装置、プログラムの精度向上 → 企業との共同開発希望

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産学連携の経歴

共同研究、地域プロジェクト参加、地域産学連携コーディネート経験多数あり

• 2006年-2007年 東京エレクトロン九州（株）と共同研究

実施

• 2006年 JST可能性調査研究事業に採択

• 2010年- 熊本大学医学部付属病院リハビリ

テーション部と共同研究

・20１４年- 構造計画研究所と共同研究実施予定

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振動覚検査装置・温冷覚検査装置の今後の展望

• 温冷覚刺激プローブ ： 機能追加、安全性対策、再現性

• 振動覚刺激プローブ ： 診療機関での臨床実験

• 触覚刺激プローブ ： 実験器を確立し評価試験

カートリッジ型 → 一体型へ

触覚

痛覚 位置覚

温度覚振動覚

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想定される用途

本技術は、医療機関でのスクリーニング検査用向け

・客観的、定量的診断

・簡便な計測、小型軽量

・複数の感覚検査が可能

他分野用途への展開は ？

疾患の改善・進行の診断が可能

医療福祉の充実

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国内市場分析

一般病院数８６７０戸 (厚生労働省平成２２年度調査)一般病院とは…・病床数が２０以上で、通院および入院診療・一般的な治療が可能な患者を対象とする医療施設

医療従事者

・医師 約３０万人

・理学療法士 ８万人

・作業療法士 約７万人

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お問い合わせ先

熊本高等専門学校

○九州沖縄地区産学官連携コーディネーター

上甲 勲

ＴＥＬ（ＦＡＸ）：０９６－２４２ －６１９４

e-mail：i-johkoh@kumamoto-nct.ac.jp

○総務課研究推進係

TEL：０９６－２４２－６４３３

e-mail：sangaku@kumamoto-nct.ac.jp