車両挙動解析による 路面プロファイルのリアルタイム計測 -...

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車両挙動解析による 路面プロファイルのリアルタイム計測 北見工業大学 社会環境工学科 教授 川村 1

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車両挙動解析による

路面プロファイルのリアルタイム計測

北見工業大学

社会環境工学科

教授 川村 彰

1

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研究の背景

乗員の快適性・安全性 車両の燃費・耐久性 荷傷み・地盤振動

走行路面の平坦性

道路管理者の関心事

道路利用者の満足度と密接に関係

補修必要箇所の選定 路面損傷の予防保全 補修効果の検討

道路ストック量の増加・老朽化する道路施設・社会基盤更新時代

利用者ニーズ・地域特性を考慮した舗装の維持管理

管理実態・地域特性に 応じた路面管理

路面の多様な状況

新たな道路の維持管理に向けて

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地方自治体における舗装維持管理

舗装維持管理実態 * 北海道内の人口1万人以上の27自治体

8割以上の自治体が週1回以上の道路パトロールを実施 評価および判断は目視により行われている 7割の自治体が舗装維持管

理の改善が必要と意識

早急な改善が 必要

改善必要だが 急がぬ

現在の方法 でよい

その他

わからない

維持管理意識

毎日 週1回

週数回

特別時

月1回

パトロール頻度

川村 :道内市町村の舗装維持管理実態と簡易平坦性モニタリングについて, 第16回技術者フォーラム in 北見, 2013.1

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プロファイルは路面のスライスにより出現

- The Little Book of Profiling -

プロファイルについて

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IRI尺度について

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FHWA, RPUG, NEXCO, FEHRL, ARRB

世界のプロファイラー

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プロファイラーの分類

Sayers, M.W. 等, Guidelines for Conducting and Calibrating Road Roughness Measurements, World Bank Technical Paper No.46, 1986

クラス 算 出 方 法

1 間隔250mm以下の水準測量で縦断プロファイルを測定し、QCシミュレーションによりIRIを算出する。

2 任意の測定装置で縦断プロファイルを測定し、QCシミュレーションによりIRIを算出する。

3 RTRRMS(レスポンス型路面平坦性測定システム)で任意尺度の平坦性指数を測定し、相関式によりIRIに変換する。

4 パトロールカーに乗車した調査員の体感や目視によりIRIを推測する。

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Z1

Z2

サスペンションのたわみの累積量を走行距離で除した値

平坦性指標IRIとは?

基準車(QCモデル)

世界標準の路面平坦性指標:1986年、世界銀行により提案

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従来技術とその問題点

既に実用化されているものには、レーザー変位計・スキャナーや加速度・ジャイロセンサーを利用した高速測定プロファイラーがあるが、 高価格 測定環境上の制約 汎用性の確保 等の問題があり、広く利用されるまでには至っていない。

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簡易平坦性測定装置の開発 STAMPER System with Two Accelerometers for Measuring Profile Enabling Real-time data collection 路面の状態に太鼓判を捺す(= STAMPする)装置

測定原理 * IRI: 国際ラフネス指数

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STAMPERのシステム構成

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STAMPERの利用環境

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STAMPERの利用効果

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新技術の特徴 ターゲット(課したテーマ)

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新技術の位置付け

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新技術の特徴・従来技術との比較

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◎:非常に優れている(安価) ○:優れている(安価)

△:一部不向き ×:不向き

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新技術による課題解決

課題

解決の 方向

解決策

成果

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我が国の道路総延長 1. 高速道路 総延長:9,126.8 km (0.7%)

2. 一般国道 総延長:67,237km (5.3%)

3. 都道府県道 総延長:142,407km (11.2%)

4. 市長村道 総延長:1,049,970km (82,7%)

合計: 1,268,743km 国土交通省道路局資料、平成22年4月1日

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STAMPERの測定精度

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速度依存性

車種依存性

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新技術の改良・改善に向けた3課題

1) 低速測定の実現(車速20 km/h以下) • 一般道路(国道、都道府県道、市町村道)におけるプロファイ

ラーの普及

2) さらなるコスト削減・利便性の向上 • 安価なシステム構成(100万円以下) • スマートフォーンへの活用(クラス3相当)

3) センサーの改良 • ワイヤレスセンサーの採用

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企業への期待(その1): 新技術の改良・改善

• 未解決の低速測定時の精度確保については、

走行速度測定の精度向上及びセンサーの追

加により克服できると考えている。

• 計測、信号処理・制御の技術を持つ企業及

びIT関連企業との共同研究を希望。

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プロファイル特性

誘導特性

基本特性

課題

- 機能面 - 安 全 ・ 快 適 性

顧 客 満 足 度

誘導特性

基本特性

課題

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走行抵抗 振動 耐久性 乗り心地 燃費

自動車関連

エコ・ロード政策 振動・騒音対策 省エネ

環境対策

荷傷み回避 運転者疲労軽減 救命搬送

輸送関連 道路ユーザーへの路面情報提供 GISとのリンク クラウドサービス

IT関連

道路点検パトロール 維持補修決定 防災・除雪対策 道路利用者費用改善

道路維持管理

道路ストックの増加/社会基盤更新時代

STAMPERによる 路面情報

ドライビングシミュレータを利用した高度道路診断システムの開発

新規に想定される用途

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デジタル道路地図とGISマッピング

: IRI<3 (良い)

: 3≦IRI≦5 (普通)

: 5<IRI (悪い)

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Topics

Trend

プロファイラーの将来展望

適用課題

方向性

現在

将来

道路維持管理 主体

CS重視 目標:SS

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企業への期待(その2): 第2世代のプロファイラー開発

• プロファイラーの新展開 – プロファイル測定と同時に顧客満足度(CS)に関係

する情報を提供する事業への展開について、ご関

心のある企業(特に道路、自動車、計測、輸送、

情報処理、人間工学など)との共同研究を希望。

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知的財産権:

• 発明の名称 :路面平坦性測定装置

• 出願番号 :特願2008-230637

• 出願人 :北見工業大学、(株)ワーカム北海道、

(株)共和電業

• 発明者 :川村彰、富永智、坂田光児

本技術に関するご連絡

お問い合わせ先:

北見工業大学

産学官連携コーディネーター 内島 典子

TEL 0157-26 - 4161

FAX 0157-26 - 4171

e-mail [email protected]