中野区長と 外国人留学生 の懇談会 -...
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2つのサブテーマ
中野区の住宅問題をテーマに、以下の2つのサブテーマについて話し合った。
(1) 住宅探し(2) 生活マナー
中野区長と外国人留学生の懇談会
〜外国人も日本人も住みやすいまちをめざして〜
2017.6.27
懇談会の概要
本懇談会は、中野区と明治大学国際日本学部山脇ゼミの共催、中野区観光協会と中野区国際交流協会の協力のもと、明治大学中野キャンパスにて、2017年6月27日に開催された。
国際日本学部 山脇ゼミ
2013年度に国際日本学部が中野キャンパスに移転して以来、中野区における多文化共生のまちづくりに向けて、活動をしている。
発行:明治大学 山脇ゼミ編集:稲垣七海・田村凌一発行日:2018年1月17日
明治大学国際日本学部の学生ら9名が参加
懇談会の趣旨
外国人も日本人も住みやすいまちを目指すには、どうしたらよいか、特に住宅問題に焦点をあて、明大生と地域関係者が共に考える場とする。
参加者 出身国
王 麗 明治大学大学院 中国
申 楠楠 明治大学大学院 中国
フレドリック・ペルソン 明治大学 スウェーデン
ビアンカ・モンカレアノ 明治大学 カナダ
ブロック・ラッチ 明治大学 オーストラリア
孫 小淳 TCC日本語学校 中国
洪 晴陽 TCC日本語学校 中国
畑 隆文 明治大学 日本
片岡 久実 明治大学 日本
田中 大輔 中野区長 日本
山脇 啓造 明治大学教授 日本
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外国人への対応
「不動産会社に相談してみたところ、比較的安い物件や、立地が良い綺麗な物件は、外国人に紹介するのは難しいと言われた。ただ明大生であることを申告したら、相談できるとも言われ、具体的には3件断られて4件目で契約に至った。保証人は友達などには頼めなかったので、保証会社に頼んだ。」
申 楠楠(中国)
住宅探し
自国との差
「新小岩にスウェーデン人の友達と一緒に暮らしている。スウェーデンでは友人同士で住むことは珍しくないが、日本では男2人で住むことを受け入れてくれる物件はなかなかみつからなかった。また、私は3件くらい外国人だからという理由で断られた。」
フレドリック・ペルソン(スウェーデン)
契約における必要事項
「日本に来て最初の1週間の間、ホテル住まいで母と物件探しをした。一番困ったことは携帯電話を持っていないと契約できないと言われたことだ。そんなルールは知らなかったので、携帯電話をレンタルするところからのスタートだった。そもそも携帯をレンタルできることも知らなかったので、とても苦労した。契約時に必要なものや、生活必需品に関する知識を事前に把握できていればと今では思う。」
ブロック・ラッチ(オーストラリア)
片岡 久実
(山脇ゼミ)
ディスカッションの最初に、山脇ゼミが2017年5月から6月にかけて行った外国人留学生27名に対するアンケート調査の結果を報告した。外国人留学生対象のアンケートにおいて、不動産会社が取り扱う物件には外国人お断りの物件が多いこと、保証人の確保が難しいことなどが挙げられた。また、住んでる上での問題点として、ゴミの分別の難しさや騒音問題が多く、これらは今回のディスカッションのテーマとして扱われた。いずれにせよ住宅を探す際にも、また住み始めてからも、文化や習慣の違いに悩まされた経験がある外国人留学生は少なくないとわかった。
外国人住宅問題に関する調査報告
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寮での暮らし
「住んでいる寮では、日本人と外国人留学生とでユニットが分けられている。分けずに一緒に暮らしたほうが、共同生活の過程で日本人の生活スタイルなども知ることができて、外国人留学生が日本になじみやすくなるのではないかと思う。」
ビアンカ・モンカレアノ(カナダ)
「中国ではゴミの分別をする文化や習慣がないので、日本に来たばかりの頃はよくわからなくて戸惑った。燃えるゴミ、燃えないゴミの分別をしないままゴミを出してしまい、大家さんに怒られた経験もある。」
王 麗(中国)
近所付き合い
「中国で生活していた時は、引っ越しをした後、すぐに隣人と仲良くなり、困った時にはお互いに助け合っていた。日本では、学校とアルバイト以外で日本人と話す機会がなく、10部屋ほどあるアパートに住んでいても、他の住民にはほとんど会わないし、話せる機会がない。」
孫 小淳(中国)
生活マナー
「夜にゴミを出すのは禁止で、朝に出さなければならないというルールは知らなかった。深夜の2時にゴミを出してしまったこともある。カラスや猫に荒らされてしまうからという理由も今日初めて知り、とても勉強になった。」
洪 晴陽(中国)
ゴミ出しのルール
近所付き合い
「田舎にある実家に住んでいた時は近所付き合いがかなりあったが、上京してからは引っ越しの挨拶以来、全く話していない。実家にいた時と比べて、近所付き合いがない今の暮らしの方が、自分的には過ごしやすいと感じる。」
畑隆文(日本・中野区在住)
中野区が作ったゴミの分別方法や収集の曜日を教えてくれるスマホのアプリがある。今は日本語だけだが、7月から、英語、中国語(簡体字)、ハングルに対応する予定なので、是非活用してほしい。中野では1年間で約3分の1の人が移動する。
そのように同じ場所に長く住まない人はあまり近所付き合いを重視していないように感じる。
平和の森公園など、区民の集まる場所に足を運んで、話しかけたりすれば、知り合いをつくりやすくなるだろう。
田中区長
会場からの意見
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おわりに
田中区長
「日本は外国人が少ない国であるため、交流の機
会が少なく、外国人に対して先入観を抱いてしま
ったり、文化の違いを消極的な印象で捉えてしまう
方もいる。やはり、外国人が身近に暮らすというこ
とへの個人的な慣れ、そして社会全体が慣れてい
くことが大切である。
区民同士が支えあって生きることが、中野区の
目標。そして、その区民の中に外国人住民がいる
ことを、私たちはこれからも常に意識していかなけれ
ばならない。」
山脇教授
「今年、法務省が初めて、外国人住民調査を行ったが、4割の外国人が入居差別を経験しており、中野だけでなく日本全国の問題である。そうした問題の解決に向けて、区と大学が連携して、取り組んでいくことができれば、日本社会にとっても大きな意義があると思う。」
来場者からの意見
不動産会社の方「翻訳担当者が法律業務に従事していない場合が多く、契約内容の細かいニュアンスを外国語で表現したり、外国語の契約書をつくるのは難しい。」
アパートの大家をしている地域の方「外国の方に対する先入観を抱いていて、過去に外国人の入居を拒否してしまったことがある。今回の会は、自身の意識改善につながったと思う。」