臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1...

34
2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 DICを徹底的に理解する〜 埼玉動物医療センター 腫瘍科 林宝謙治 臨床獣医師のための腫瘍学徹底シリーズ 第7回 本日の講演内容 1. DICの診断ピットホールと早期診断 2. 埼玉動物医療センターでのDIC診断基準 2018年10月現在 3. 獣医学領域のDICの治療の実際 4. 新しい治療 AT製剤 リバーロキサバン 5. 線溶亢進型DICの診断と治療 FDPとD-dimerの乖離 トラネキサム酸 血液凝固の正常と異常 血管内 血管外 正常 凝固しない (循環) 凝固する (止血) 異常 凝固する (血栓) 凝固しない (止血異常) なぜ血液は凝固するのか? 1. 一次止血:血小板vWFフィブリノーゲン が関与 2. 二次止血:12種類の凝固因子が関与 凝固因子とは? 出血を止めるときに必要なタンパク質 主に肝臓で産生 ※ vWF:ヴォン・ヴィレブランド因子 (von Willebrand factor,血管内皮で産生) 血小板 フィブリノゲン (肝臓で産生) vWF 傷口 血管壁 組織 組織 1次止血 血管壁 トロンビン 血液凝固因子(多くは肝臓で産生) フィブリノゲン (肝臓で産生) フィブリンの網 フィブリン血栓 血小板 傷口 組織 血管壁 組織 2次止血完了 血管壁

Transcript of 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1...

Page 1: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

1

臨床家が知っておくべき腫瘍とDICの密接な関係〜DICを徹底的に理解する〜

埼玉動物医療センター 腫瘍科 林宝謙治

臨床獣医師のための腫瘍学徹底シリーズ 第7回

本日の講演内容1. DICの診断ピットホールと早期診断

2. 埼玉動物医療センターでのDIC診断基準➢2018年10月現在

3. 獣医学領域のDICの治療の実際

4. 新しい治療➢ AT製剤

➢ リバーロキサバン

5. 線溶亢進型DICの診断と治療➢FDPとD-dimerの乖離

➢トラネキサム酸

血液凝固の正常と異常

血管内 血管外

正常 凝固しない(循環)

凝固する(止血)

異常 凝固する(血栓)

凝固しない(止血異常)

なぜ血液は凝固するのか?1. 一次止血:血小板,vWF,フィブリノーゲン

が関与

2. 二次止血:12種類の凝固因子が関与

※ 凝固因子とは?

⚫出血を止めるときに必要なタンパク質

⚫主に肝臓で産生

※ vWF:ヴォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor,血管内皮で産生)

血小板

フィブリノゲン(肝臓で産生)

vWF傷口

血管壁

組織

組織

1次止血血管壁

トロンビン 血液凝固因子(多くは肝臓で産生)

フィブリノゲン(肝臓で産生)

フィブリンの網

フィブリン血栓

血小板

傷口

組織

血管壁

組織

2次止血完了 血管壁

Page 2: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

2

線溶とは?• フィブリン血栓=線維素

• 線溶:フィブリン血栓を分解する作用

• 『線維素溶解』

• プラスミンが関与

• 血漿中のプラスミノーゲンが活性化したもの

• プラスミノーゲンは,肝臓で作られる

線溶:プラスミンが血栓を溶解

フィブリン血栓

プラスミン

血管の修復終了 DICとは?• 播種性血管内凝固症候群

(Disseminated Intravascular Coagulation)

Disseminated : 播種性=種をばらまくように

Intravascular : 血管の中に

Coagulation : 血の塊(血栓)ができる状態

Death Is Coming とも言われている!

人では,DICはがん患者の死因の第2位!

DICの概念

線溶亢進

凝固因子の枯渇

出血多臓器不全

凝固亢進

微小血栓

がん細胞から出る組織因子

炎症から出るサイトカイン

血栓と多臓器不全

• 血栓がなぜ悪い

• 腎臓につまる→腎不全

• 肝臓につまる→肝不全

• 肺につまる→肺血栓塞栓症→呼吸不全

• 四肢の血管につまる→四肢の壊死

• 脳の血管につまる→脳梗塞

血栓は死に直結する!

Page 3: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

3

Pre-DICとは?

• DIC準備状態,切迫DICとも呼ばれる

• DIC発症前の1週間以内の状態

– 明確な定義はない

• DIC治療のガイドラインで,早期治療介入を行いやすくするための用語

28日後の生存率Pre-DIC vs DIC

死亡 41生存 21

不明 2

生存 119

死亡 76

不明 1

Pre-DIC:196 DIC:64

2014〜2017年

34%

61%

n=260

DIC診断の心得

• DICになってからでは救命率は低い!

• Pre-DICで発見し,治療を開始する

• DICは探しに行かないと見つからない!

• 常に意識していないと見逃す!

犬・猫のDICの基礎疾患1. 感染症

– 子宮蓄膿症

– 敗血症

2. 造血器悪性腫瘍– リンパ腫

– 白血病

3. 固形がん

4. 組織損傷– 外傷

– 手術

– 熱傷

– 熱中症

5. 肝障害– 胆管肝炎

– 胆嚢炎

6. 急性膵炎

7. 溶血,不適合輸血– IMHA

8. 蛇咬傷

9. ショック

10.その他

DICの基礎疾患n=312

腫瘍 (139)非腫瘍 (173)

埼玉AMC:2014年9月〜2017年7月

DICの基礎疾患n=312

腫瘍DIC

26(8%)

腫瘍Pre-DIC

113頭(36%)

非腫瘍DIC

37(12%)

非腫瘍Pre-DIC

136(44%)

腫瘍 (139)非腫瘍 (173)

Pre-DICが8割

Page 4: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

4

DICの基礎疾患

リンパ腫

37(27%)

血管肉腫

25(18%)組織球性肉腫

11(8%)

乳腺癌

10(7%)

肥満細胞腫

8(6%)

その他

30(22%)

肝細胞癌 3(2%)

肝細胞腫 3(2%)

膀胱移行上皮癌 3(2%)

悪性黒色腫 3(2%)

副腎腫瘍 2(1%)

GIST 2(1%)

肺腫瘍 2(1%)

腫瘍 (139)

DICの基礎疾患

肝・胆道系30

(17%)

子宮蓄膿症14(8%)

慢性腸炎14(8%)

脾臓腫瘤11 (7%)

敗血症 5

(3%)腹膜炎 5

(3%)

クッシング 4

(2%)

その他 90(52%)

非腫瘍 (173)

DICの診断基準

国際止血学会 日本救急医学会旧厚生相

獣医学でのDIC診断の現状

• 診断基準

➢人と比較してかなり大雑把

➢世界的にもコンセンサスがない

➢論文でも根拠なく定義されている

➢検査項目が少ない

➢きちんと議論,検討する場(学会)がない日本血栓止血学会,日本救急医学会

Page 5: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

5

1. 血小板減少症(20万未満)2. FDP>10μg/ml3. PTまたはAPTTのいずれかあるいは両方

の延長(基準値の25%延長)

※上記3項目中2つを満たすとDIC疑い※上記3項目全てを満たすとDICと

Carr AP et al. JVIM 2002

DICの診断基準 その1簡易版

DICは診断できるが,Pre-DICの診断は困難!

DICの診断基準 その2フルコース版

DICを起こし得る基礎疾患

Nelson RW &Couto CG, Small Animal Internal Medicine, 2009

1 血小板数の低下

2 PTの延長

3 APTTの延長

4 Fibの低下

5 FDPの高値

6 AT活性の低下

4項目以上を満たす

DIC

2〜3項目を満たす

‖Pre - DIC

この6項目を測ればDICを早期診断できるのか?

1 血小板数

2 PT

3 APTT

4 Fib

5 FDP

6 AT活性

これまでの診断基準でDICを確実に早期診断する事は困難!

• DICの本態は凝固活性化状態

• 診断基準に用いられている6項目とは?

– 凝固亢進そのものを調べる検査ではない!

診断に用いられる6項目

1. 血小板減少

2. PTの延長

3. APTTの延長

4. Fibの低下

5. FDPの高値 → 線溶亢進の結果

6. AT活性の低下 →トロンビンと結合し消費

凝固亢進による消費

DIC以外の血小板減少症1. 血小板の破壊

➢ ITP

➢SLE

2. 骨髄抑制/骨髄疾患

➢造血器悪性腫瘍➢白血病,多発性骨髄腫,

リンパ腫の骨髄浸潤など

➢再生不良性貧血

➢ 化学療法

3. 肝不全・肝硬変

4. 敗血症

5. 希釈

➢ 大量出血

➢ 大量輸液

➢ 大量輸血

6. 妊娠(人)

➢ 原因は不明

➢ 動物では??

感度は高いが特異度は低い!

Page 6: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

6

敗血症と血小板減少症

• グラム陰性菌に起因

• 免疫学的な破壊

➢血小板に対する免疫複合体の形成

➢補体の活性化

• 損傷した血管内皮表面への血小板の沈着

• 骨髄抑制

敗血症でDICになるが,DICじゃなくても血小板は減少する!

慢性肝疾患と血小板減少症

1. 肝臓でのトロンボポイエチン産生の低下

➢トロンボポイエチンは血小板産生を促す

※トロンボサイト(血小板)ポエチン(造血因子)

2. 肝臓の線維化に伴う脾機能亢進症

肝機能低下があればDICではなくても血小板は減少する!

PT,APTTの延長

• 犬・猫のDIC診断における感度,特異度は不明!

• 凝固因子が30%未満で延長

• 多くは,DICの末期(凝固不全)になって延長

DICの早期診断には向かない!

DIC以外のPT,APTTの延長

1. 肝不全・低栄養状態

2. 殺鼠剤中毒/ワルファリン内服

➢ ワルファリンはVK拮抗薬

➢ VK依存性凝固因子(Ⅶ,Ⅸ,X,Ⅱ)

3. 血友病

4. 凝固因子の先天的欠乏症

5. ビタミンK欠乏

PTとAPTTDIC以外のフィブリノゲン低下

1. 肝不全,低栄養

2. 薬物性

➢L-アスパラギナーゼ:肝臓での蛋白合成阻害

➢ステロイド:凝固亢進,合成阻害

➢線溶療法

3. 先天性:極めて稀(犬の症例報告あり)

• 特異度は比較的高いが感度は低い!• 炎症性疾患ではDICでも上昇!

Page 7: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

7

FDPとは• フィブリン・フィブリノゲン分解産物

Fibrinogen・Fibrin Degradation Products

FDPの増加の意味

• フィブリノゲンとフィブリンの過剰分解!

• 増加は血栓が沢山溶けた証拠!

DIC以外のFDP上昇1. 血栓症:深部静脈血栓症,肺塞栓症など

2. 胸水,腹水

3. 血腫➢胸・腹水中および血腫でFDPが形成→血中へ移動

4. 外科手術後 → 術後は評価できない!

5. 線溶療法(t-PAなど)

感度は比較的高いが特異度は低い!

FDPが正常=DICは除外?

• FDPが上昇しないDICは存在

• FDPは血栓が溶解しないと上昇しな

• 線溶抑制型DICでは上昇は軽度または上昇なし

DICの概念

線溶亢進

凝固因子の枯渇

出血多臓器不全

凝固亢進

微小血栓

FDP

DICの基礎疾患,ステージによって線溶の状態は様々!

DICの病型とFDP

1. 線溶抑制型DIC(FDP微増) 敗血症

2. 線溶亢進型DIC(FDP著増) 白血病

3. 線溶均衡型DIC(中間型) 固形がん

犬では線溶亢進型DICは少ない!

Page 8: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

8

アンチトロンビン(AT)とは?

• 肝臓で産生

• トロンビンと1対1に結合し,その作用を阻害

• DICで血栓が増加=トロンビンが増加

ATが結合(消費)

ATが低下

トロンビン 血液凝固因子(多くは肝臓で産生)

フィブリノゲン(肝臓で産生)

フィブリンの網

フィブリン血栓

血小板

傷口

組織

血管壁

組織血管壁

AT阻害

DIC以外のAT活性低下1. 肝不全

2. 低アルブミン→ATはAlbと相関

3. 炎症による血管外漏出(敗血症など)

4. 顆粒球エラスターゼによる分解(敗血症など)

5. 薬物性:L-アスパラギナーゼ

6. 先天性(人)

AT活性のピットホール• ATは,トロンビンに対してかなり過剰に存在

➢凝固が亢進するだけではATの著明な低下は起こらない(10-20%)

• DIC以外の病態で低下する事の方が多い

• 解釈には十分な注意が必要!

• 但し,ATが著しく低下した症例ではヘパリンが効かないため,治療の選択には重要な項目

• AT<60%は予後不良因子

Kuzi et.al. JVIM 2010

L-アスパラギナーゼ投与後の注意点

• 肝臓での蛋白合成を抑制

• 血液凝固因子活性の低下➢Ⅴ,Ⅶ,Ⅷ,Ⅸ,X,XI,フィブリノゲン

• 血液凝固阻止因子低下➢AT,プロテインC,プロテインS

出血にも血栓にも注意が必要!

DICじゃないのにDIC基準を満たすケース トップ3

1. 殺鼠剤中毒(ワルファリン中毒)

➢75%はDICと診断できる検査値に一致

2. 肝不全

3. 血腫,浮腫,腹水,胸水

FDPやD-dimerは読めない

Page 9: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

9

ではどうやって確実にDICを診断するか?

• 基礎疾患の見極め→DICを起こす病態か?

• 可能であれば6項目全て検査?

• お金がかけられない!

• 6項目全て院内で計測するのは困難

• 6項目全て計測しても肝不全などでは確定困難

もっと自信を持って診断できないか?

トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)

➢凝固活性化を反映する重要なマーカー

➢TATが正常であればDICを除外可能

➢DICや血栓症の診断,治療効果の判定に利用

➢日本血栓止血学会DIC新基準2017年版にTATが追加

朝倉英策ほか, 血栓止血誌, 2017

トロンビン 血液凝固因子(多くは肝臓で産生)

フィブリノゲン(肝臓で産生)

フィブリンの網

フィブリン血栓

血小板

傷口

組織

血管壁

組織血管壁

AT阻害

TAT

DICの凝固反応とAT, TAT

組織因子(TF)サイトカイン

凝固亢進(血栓誘発)

プロトロンビン トロンビン

フィブリノゲン フィブリン血栓

AT

TAT

阻害

TAT値の上昇が見られる病態1. DIC,Pre-DIC

2. 血栓症:深部静脈血栓症,肺塞栓症など

3. 心房細動の一部

• TAT値の上昇 = 凝固活性化状態

• TATが正常 = 凝固活性化状態は否定

• TATが正常 = DICは否定

人医での常識• TATの評価がDICに対する治療効果の

判定に最も有用

• 血小板数,FDPのみでの治療効果の判定は誤判断する事あり

• DICの診断基準を満たしてもTATが正常であれば診断を見直す必要あり

Page 10: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

10

獣医学でのTAT測定• 測定系が確立していなかった

• 報告は極めて少ない

• 外注でしか計測不可能だった

• 過去の報告

➢犬の凝固活性化の評価にTATが有用

➢犬のクッシングにおける凝固亢進のマーカーとして利用

➢健常犬と比較して悪性腫瘍罹患犬のTAT値は高値Ravanat C, J Vet Inter Med , 1995

Jacoby RC, Archives of Surgery , 2001Maruyama H,The Veterinary Record, 2005

LSIメディエンス社パスファースト

• 院内でTAT測定が可能

➢血漿0.1mlで測定時間約30分

犬のDICにおけるベッドサイド測定機器によるTAT測定の有用性

COI開示演題発表に関連し,発表者らの開示すべき利益相反関係にある企業はありません

林宝謙治1,庄山俊宏1 ,平林美幸1 ,石川勇一1 ,田中亜紀2,3

1. 埼玉動物医療センター 腫瘍科2. University of California, Davis3. 日本獣医生命科学大学

• 研究デザイン:症例対照研究

• 研究対象動物2014年9月〜2016年3月に埼玉動物医療センターを受診した

1. 健常犬(不妊,去勢,健康診断)

2. 疾患犬:DICを起こしうる基礎疾患を主訴に来院した犬

• 調査項目

– TAT

凝血学的検査によるグループ分け

グループ 1:健常犬

グループ 2:異常なし

グループ 3:1項目異常値あり

グループ 4:2項目異常値あり

グループ 5:3項目異常値あり

グループ 6:4項目以上異常あり(DIC)

Pre-DIC

疾患犬

血小板,PT,APTT,Fib,FDP,AT,の6項目を全て測定

Page 11: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

11

TAT中央値の比較Kruskal Wallis検定

n数 TAT中央値(範囲) ng/ml

グループ1(健常犬)

102 0.06(0.019−0.489)

グループ2(異常なし)

55 0.11 (0.03-0.88)

グループ3(異常1)

78 0.29 (0.004-3.8)

グループ4(異常2)

65 2.59 (0.034-51.8)

グループ5(異常3)

29 3.85 (0.294-35)

グループ6(異常>4)

20 9.76 (0.862-75.4)

各群のTATの中央値に有意差あり(p=0.011)

• グループ1(健常犬)と比較して– グループ4:2.57倍(p=0.011)

– グループ5:5.2倍 (p<0.001)

– グループ6:15.3倍 (p<0.001)

※グループ2(p=0.916)と3(p=0.772)は有意差なし

TAT測定値の比較 線形回帰分析

02

04

06

08

0TA

T値

(ng/m

l)

Group 1 Group 2 Group 3 Group 4 Group 5 Group 6

健常犬のTAT基準値

0.251ng/ml以下

ブーストラッピングによるロバスト法

(n=102) 疾患犬のPre-DICのカットオフ値(グループ3とグループ4のカットオフ値)

0 .351 ng/ml(感度84.21% ,特異度81.90%,AUC 82.66%)

0.0

00

.25

0.5

00

.75

1.0

0

Se

nsitiv

ity

0.00 0.25 0.50 0.75 1.001 - Specificity

Area under ROC curve = 0.9007

埼玉AMCでのDICの診断基準DICを起こす可能性のある基礎疾患を有し,且つ

TAT ≧ 0.4ng/ml

1 血小板数の低下 (<20万/ul)

2 PTの25%延長 (>12秒)

3 APTTの25%延長 (>25.75秒)

4 Fibの低下 (<178mg/dl)

5 AT活性の低下 (<95%)

6 FDPの高値 (>5μg/ml)

4項目以上を満たす

DIC

2-3項目を満たす

‖Pre - DIC

とにかく

• TATが正常であればDICは除外!

但し,アーチファクトには注意が必要!採血は頸静脈からスムースに!

Page 12: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

12

今後のDIC診断の課題

• 簡易版の確立!– 血小板,FDPまたはD-dimer, TATのみである

程度診断ができないかを検討中

ここから治療のお話

DICの治療

• DICの病型によって治療戦略を変更

➢詳細な検査が可能

➢診断基準がある程度確立

• 血液製剤

• 様々な新規抗凝固剤が開発,普及

獣医学でのDIC治療の現状

• 診断にコンセンサスがないため治療の開始時期,治療内容もバラバラ

• DICの病型分類も行われていない

• 選択できる治療薬も少ない

• とりあえずヘパリン?

DICの既存の治療

1. ヘパリン(低分子ヘパリン)

2. 合成プロテアーゼインヒビター

• メシル酸ナファモスタット(フサン)

• メシル酸ガベキセート(FOY)

3. 血漿輸血

4. 全血輸血

DIC治療の実際(2016年)母集団:国内の動物病院(n=53)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

26

27

38

15

7

46

14

39

9

44

33

20

ヘパリン

低分子

フサン

血漿

全血

FOY

Page 13: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

13

CASE :ぷりん

07582

症例• 雑種

• 13歳齢

• 雌(避妊済み)

主訴・現病歴• 急な元気, 食欲の低下

• 前日の夜からふらつき

• 本日は起立不可→紹介受診

身体検査• 体重 14.35 kg

• 体温 38.1℃

• 可視粘膜やや蒼白

• 起立困難

• 明らかな神経学的な異常はなし

• 左側に腹腔内腫瘤?

血圧低血圧 (平均血圧 60mmHg)

CBC(第1病日)RBC(×106/μl) 3.45 WBC(/μl) 26 400

PCV(%) 21 Band-N 0

Hb(g/dl) 6.3 Seg-N 20 517

MCV(fl) 58.0 Lym 2 222

MCHC(%) 31.5 Mon 3 398

II < 5 Eos 0

TP(g/dl) 7.6 Bas 0

Plat(×103/μl) 19 NRBC 26(1.0%)

多染性赤血球の出現あり

血液化学検査(第1病日)TP(g/dl) 6.6 Tcho(mg/dl) 250

Alb(g/dl) 2.5 BUN(mg/dl) 81.0

Glb(g/dl) 4.1 Cre(mg/dl) 3.7

Glu(mg/dl) 98 Ca(mg/dl) 10.2

ALT(U/l) 105 IP(mg/dl) 6.1

AST(U/l) 170 Na(mmol/l) 139.2

ALP(U/l) 479 K(mmol/l) 4.58

NH3(μg/dl) 29 Cl(mmol/l) 107.6

TBIL(mg/dl) 0.7 CRP(mg/dl) >7.0

凝血学的検査検査(第1病日)

PT(sec) 8.6 (6.0-16.1)

APTT(sec) 33.3 (8.8-24.0)

Fib(mg/dl) 277.5 (125-393)

AT活性(%) 71.0 ( >95)

FDP(μg/ml) >60.0 (<5)

TAT(ng/ml) 36.3 (<0.4)

Page 14: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

14

X線腹部X線検査

• 脾臓の腫瘤 6.7×6.5㎝

• 周囲に少量の液体→出血

• 全体的に混合エコー

暫定診断• 脾臓腫瘤の破裂による腹腔内出血

• フルDIC(凝固因子の枯渇)

• 腎パネル,肝パネルの上昇→多臓器不全?

さあどうしますか?

1. 輸血はできないがすぐに緊急手術(脾摘)?

2. 輸血してすぐに緊急手術?

3. すぐに手術はせず,まずは輸血?

治療と経過• 第1病日:夜間診療(輸血確保できず)

➢ メシル酸ナファモスタット (フサン)CRI

➢ 輸液

• 第2病日:貧血の進行 PCV:21→13%

➢全血輸血 400ml

➢低分子ヘパリン (フラグミン)

➢フサン

翌日に手術を計画

Page 15: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

15

治療と経過第3病日

ヒトAT濃縮製剤投与

脾臓摘出実施

AT活性 :71% → 61.2%

PCV : 13 → 31%

TAT :36.3 → 17.1ng/ml

血小板 : 19 → 53 × 103/μl

AT活性(%)の推移

61.2

116.2

82.788.6 84.3

投与前 20分後 24時間後 36時間後 72時間後

手術実施

血小板数(×103)

AT活性(%)

TAT(ng/ml)

投与直前 53 61.2 17.1

投与20分後 116.2 21

投与1日後 25 82.7 5.82

投与2日後 48 88.6 1.77

投与3日後 62 84.3 1.25

手術

病理組織診断

• 血腫

その後の経過• DIC離脱

• 腎,肝パネル正常化

• 元気・食欲の改善

• 術後7日で退院

• 長期予後良好

脾臓腫瘤に起因する腹腔内出血

• DICの対策をせずに手術は ❌

• 出血死は多くない

• 輸血の準備は必須

• 血栓による多臓器不全に最も注意が必要

• 1-2日はDICの改善に全力を注ぐ

• 但し,原因の除去が根本的な治療– 様子を見すぎるのも❌

– 内科治療を1-3日位して手術?

Page 16: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

16

DICの治療ってなんだ!

1. 血栓:凝固の過剰な活性化を止める!

➢ 血栓による臓器障害を防ぐ

➢ 凝固のカスケードを抑制する

➢ トロンビン生成を抑制する

2. 出血:凝固因子の補充±過剰な線溶を抑制

➢ 凝固因子の枯渇

➢ 線溶亢進 出血

原因の除去は大前提!

DICの概念

線溶亢進

凝固因子の枯渇

出血多臓器不全

凝固亢進

微小血栓

凝固活性を抑制する治療

1. ヘパリン/低分子ヘパリン

➢ 最も頻繁に使われている(アンケート:100%)

2. 合成プロテアーゼインヒビター

➢ アンケート:約40%の病院で使用

➢メシル酸ガベキサート(FOY)➢使用率27%

➢メシル酸ナファモスタット(フサン,ブイペル)➢使用率13%

よく受ける質問

➢低分子ヘパリンなら「実は必要もない状況」で使用しても,副作用をあまり心配しなくていいのでとりあえず使用して大丈夫でしょうか?

➢DICを疑ったらとりあえずヘパリンを入れていますがそれでいいでしょうか?

ヘパリン・低分子ヘパリン

• ヘパリン自体に抗凝固作用は殆どなし

• AT活性を促進する事で抗凝固作用を発揮

• ATの低下した症例(正常の70%以下)では無効

(人では70%以下,犬では85%以下)

➢人ではATが70%以下ではAT濃縮製剤が保険適応

➢動物では(血漿)輸血(しかない?)

人では最近は否定的な意見が多い!

ATを計測せずにヘパリンを使用していると 全く効いていない可能性あり!

状況を悪化させる可能性も!

Page 17: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

17

ヘパリン起因性血小板減少症Heparin Induced Thronbocytopenia : HIT

• ヘパリン投与後に自己抗体が産生

• 凝固亢進

• 血小板減少症と血栓形成

※ DICっぽいからとりあえずヘパリンは危険!

ヘパリン単独治療が推奨されないケース

1. 著しくAT活性が低下している時(<85%)

2. 出血している場合,術中

3. 線溶亢進型DIC

ヘパリン vs 低分子ヘパリン

未分画ヘパリン 低分子ヘパリン

分子量 10,000〜15,000 4,000〜6,000

長所 安価 出血のリスク少ない半減期が長い(2-4時間)

短所 出血のリスク 高価

DICに対する未分画ヘパリンの使用量

用量(IU/kg) 経路 回数

最低用量 5-10 SC TID

低用量 100-200 SC TID

中用量 300-500 SC または IV TID

高用量 750-1000 SCまたは IV TID

低分子ヘパリン:75〜120単位/kgを24時間かけてCRI

合成プロテアーゼインヒビター

• メシル酸ガベキサート(FOY)➢1-2mg/kg/hr/24時間 CRI

• メシル酸ナファモスタット(フサン,ブイペル)➢ 0.1- 0.2mg/kg/hr/24時間 CRI

• AT非依存性にトロンビンを抑制

• 血小板凝集も抑制

• 出血の副作用はまずない

• 使用上の注意点:静脈炎➢人では,中心静脈からの投与が原則!

FOY vs フサン

• 抗凝固作用: FOY < フサン

• 最も大きな違い

➢フサンは線溶抑制効果も強い(FOYは弱い)

➢フサンは出血症状が強い線溶亢進型DICに著効することあり!

• フサンの注意点

➢高カリウム血症

➢スピロノラクトンの併用注意

Page 18: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

18

出血に対する治療1. 全血輸血

➢ ほぼ100%の動物病院で実施

2. 血漿輸血

➢ 20%の動物病院で実施

3. 濃厚血小板輸血

4. 血液製剤

➢ フィブリノゲン製剤

➢ その他

5. トラネキサム酸(線溶を抑制)

全血輸血について

• 貧血していない場合は,必要量の投与不可

• 不適合輸血がDICを悪化させるリスク

• 輸血自体がDICの原因となる!

血漿輸血

• 輸血バックごと回せる遠心分離機が必要

血漿輸血

• 輸血バックを遠心分離できない場合の代替案

➢スピッツ管で遠心→コンタミの問題あり

➢自然に分離した血漿を輸血

➢注射ポンプを上手く利用

• ATが正常で出血傾向がなければ輸血しない

血漿輸血

• 人では重篤な出血傾向の場合のみ

➢凝固因子の補充を目的に行う

• 動物ではAT製剤の代替としても

• 但し,血漿ではATはあまり上がらない

• DIC症例では原則的にヘパリンと併用

• 血漿のみでは凝固亢進を促進する可能性

濃厚血小板輸血

• 人では重度の血小板の低下時に行う

• 動物での臨床応用は?

Page 19: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

19

Azabu University

NII-Electronic Library Service

PGE1を用いて血小板の凝集を抑える!

DICの病型による治療➢DICの病態を以下に分類して治療

➢線溶亢進型:急性前骨髄球性白血病,大動脈瘤

➢線溶抑制型:敗血症→FDPやD-dimer微増

➢線溶均衡型:固形癌

➢線溶亢進型DICの推奨治療

➢線溶亢進型DICではヘパリンの投与は危険!

➢合成プロテアーゼインヒビター(フサン)

➢トラネキサム酸とヘパリンの併用

トラネキサム酸• 線溶を抑制する目的で使用

• 原則DICの治療には禁忌!➢血栓が溶けなくなる

以下を全て満たせば考慮1. 線溶亢進型DICの診断に間違いがない

2. 重度の出血がコントロール不可

3. 必ずヘパリン類を併用

4. 専門家に常に相談できる状況である事!

朝倉英策ほか, 血栓止血誌, 2014

トラネキサム酸

• 現在の獣医臨床ではルーチンに使えない

➢線溶亢進型DICの診断法の確立が必要

• 出血傾向が認められるDICでも安易に用いるべきではない

• フサンの投与が無難!

使い方を間違えたら血栓で死亡する!

線溶亢進型DICの診断

1. PIC著増PIC:plasmin –α2 plasmin inhibitor complex

2. ROTEM

3. FDP/DDの上昇(乖離)

獣医学領域でも測定可能

※獣医学領域で両者の乖離を確認した報告はない※線溶亢進型DICを診断した報告もない

FDPとD-dimerの乖離

D-dimer

フィブリノゲン分解産物 フィブリン分解産物

<FDP>

線溶液均衡型DICではフィブリンのみが分解

FDPとDDはパラレルに微増

線溶亢進型DICではフィブリノゲンも分解

FDP著増,D-ダイマー微増

乖離 FDP/D-dimer ≧ 3

Page 20: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

20

FDPとD-dimerの乖離とROTEMを用いた犬の線溶亢進型DICの診断

COI開示演題発表に関連し,発表者らの開示すべき利益相反関係にある企業はありません

林宝謙治1,平林美幸1 ,鵜飼正保1 ,宮本拓弥1 ,田中亜紀2,3

1. 埼玉動物医療センター 腫瘍科2. University of California, Davis3. 日本獣医生命科学大学

日本獣医内科学アカデミー 2018年臨床研究アワード受賞

本研究の目的

• 犬のDIC症例においてFDPとD-ダイマーの乖離を確認し,線溶亢進型DICの割合を評価する事

方 法

症例選択

• 2016 6月-2017年7月に埼AMCに来院

• DICが疑われ,血液凝固・線溶検査が実施された犬

FDP/D-dimerの評価

Pre-DIC または DIC

FDP/D-ダイマーを算出

3以上の犬を乖離と判定

FDP ≧ 40μg/ml(著増)+

結 果

Page 21: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

21

母集団の特徴(n=379)

n数 雄(去勢)

雌(不妊)

年齢(中央値)

体重(kg)(中央値)

Pre-DIC76

39(23)

37(24)

10 6.5

DIC 2713(6)

14(9)

10 8.6

非DIC 276141(85)

135(89)

11 7.7

FDPとD-dimerの乖離

乖離なし 97頭

あり6頭(5.8%)

n=103

血管肉腫

2

肝細胞癌

2

リンパ腫

1

ITP

1

<乖離症例6頭の基礎疾患>

トラネキサム酸の適応

DICに対するトラネキサム酸

• 犬では線溶亢進型DICは少ない

• トラネキサム酸が適応となることも少ない

• 出血傾向の著しいDIC症例

– FDP/D-dimerを確認し,トラネキサム酸を検討?

• 原則は禁忌

– 安易に使用すればDICを悪化

その他の治療1. 血液製剤

• アンチトロンビン濃縮製剤

• フィブリノゲン製剤(産科DIC)

• その他

2. 遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤

3. 新規経口抗凝固薬(直接経口抗凝固薬)

• ダビガトラン(抗トロンビン)

• リバーロキサバン(抗Xa)

4. 経口合成プロテアーゼインヒビター

• メシル酸カモスタット

リバーロキサバン

• 直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anti-Coagulants:DOACs)

• AT非依存性にXa因子を直接阻害

• トロンビンは阻害しない

• 出血の副作用が少ない

• 近年,犬猫でも報告Lang D, , Drug Metab Dispos, 2009Weinz C, Drug Metab Dispos, 2009

Conversy B,Vet J,2013Morassi A , J Vet Emerg Crit Care, 2016

Yang VK, J Vet Emerg Crit Care, 2016Dixon-Jimenez , J Vet Emerg Crit Care, 2016

DICの凝固反応と抗凝固薬組織因子(TF)サイトカイン

凝固カスケード活性化

プロトロンビン トロンビン

フィブリノゲン フィブリン血栓

ATX因子 Xa因子

リバーロキサバン

低分子ヘパリン

Page 22: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

22

リバーロキサバン• 犬の血栓塞栓症(4頭)の報告

➢ 0.5-1.1mg/kg SID

➢ 出血の副作用なし

• IMHAの犬(24頭)の報告➢ 血栓に対する予防的投与

➢ 0.51-1.19mg/kg SID

➢ アスピリンやクロビトグレルと比較

➢ 出血,血栓形成に有意差なし

• 健康猫への投与(6頭)➢ 1.25mg/cat,2.5mg/cat,5mg/catで投与

➢ 出血などの重大な副作用なし

➢ 投与量に依存して第Xa因子を抑制

Morassi A , J Vet Emerg Crit Care, 2016Yang VK, J Vet Emerg Crit Care, 2016

Dixon-Jimenez , J Vet Emerg Crit Care, 2016

モニター方法が問題?

CASE:シャア

• 症例

➢フレンチ・ブルドック

➢11歳齢

➢雄

• 主訴・現病歴

➢右肩の腫瘤(3ヵ月前から)

➢皮下出血(1週間前から)

➢血尿(昨日から)

CBC (第1病日)

RBC (x106/ul) 4.64 WBC(/ul) 20 200

PCV (%) 34 Band-N 0

Hb (g/dl) 11.7 Seg-N 16 634

MCV (fl) 70.9 Lym 1 250

MCHC (%) 35.6 Mon 769

II <5 Eos 577

TP (g/dl) 7.2 Bas 0

Plat(x103/ul) 42

Page 23: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

23

血液化学検査(第1病日)

TP 6.8 g/dl BUN 9.0 mg/dl

Alb 4.0 g/dl Cre 0.5 mg/dl

Glb 2.8 g/dl UN/Cr 18.0

ALT 102 U/l Ca 9.8 mg/dl

AST 198 U/l Na 129 mmol/l

ALP 147 U/l K 3.7 mmol/l

TBil 0.5 mg/dl Cl 93 mmol/l

TCho 277 mg/dl

Glu 97 mg/dl

尿検査USG 1.018

pH 6

Pro +

Glu ー

Ket ー

Bil ー

OB 3+

Sed 赤血球,白血球

凝血学的検査(第1病日)PT(sec) 7.0 (6.0-16.1)

APTT(sec) 15.9 (8.8-24.0)

Fib(mg/dl) 97.7 (178-393)

AT活性(%) 65.1 (>95)

FDP(μg/ml) > 60 (<5)

D-dimer(μg/ml) 20 (<1)

FDP/D-dimer ≧3 (<3)

TAT(ng/ml) 18.5 (< 0.4)

右胸壁腫瘤 エコー所見

• 無エコー領域を含む不均一な混合エコー性

• 心臓,その他の臓器に特意所見なし

ここまでの評価は?

Page 24: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

24

暫定診断

• 胸壁の腫瘍を疑う

1. 血管肉腫

2. 軟部組織肉腫

3. 骨肉腫/軟骨肉腫

• 線溶亢進型DICに伴う出血傾向

では治療は?

治 療

•フサン

•リバーロキサバン

FDP (μg/ml)

D-dimer(μg/ml)

Fib(mg/dl)

AT活性(%)

TAT(ng/ml)

血小板(×103/ul)

初診時 >60 20.0 97.7 65.1 18.5 42

2 75.1

3 296 96.1 142

4 100.5 4.10

5 3.07 220

6 55.3 17.03 450 113.7 2.28 305

7 >60 14.83 450 116.8 1.81 357

8 25.4 12.13 450 114.6 2.08 391

FNACT

Page 25: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

25

FNA(第4病日) 第12病日

手術(第15病日) 肋骨7本,肩甲骨1/3の切除

病理組織診断:血管肉腫

Page 26: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

26

TATの推移

18.5

4.13.07

2.28 1.81 2.081.35 1.44

0.838 0.896 1.01

2.55

0.967 0.6 0.280

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

初 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 15 手術後 16 17 病日

(ng/ml)AT濃縮製剤

➢AT活性の低下を伴うDIC症例においてAT濃縮製剤の投与がルーチンに行われている

➢AT活性が低下したDIC症例に血漿輸血が行われている➢血漿輸血ではATはあまり上昇しない

➢血漿の確保も容易ではない

➢犬の誘発性DICモデル35頭において人AT製剤の安全性と有効性が報告

➢本製剤の毒性試験が犬で実施されている(インタビューホームに記載)

➢但し,獣医学領域でのAT製剤の臨床での報告はない

Hauptman et al. Circulatory Shock.1988

AT活性の低下を伴う犬のDICに対する

人AT濃縮製剤の臨床的有用性

林宝謙治1,平林美幸1 ,石川勇一1 ,田中亜紀2,3

1. 埼玉動物医療センター 腫瘍科2. University of California, Davis3. 日本獣医生命科学大学

COI開示演題発表に関連し,発表者らの開示すべき利益相反関係にある企業はありません

本製剤の人での主な副作用

• アナフィラキシー様ショック

• 蕁麻疹

• 血圧低下,呼吸困難

• 嘔吐

• 発熱

• 肝酵素の上昇

• 出血傾向

本研究の目的

• AT活性の低下した犬のDIC症例において

1. 人AT濃縮製剤の安全性

2. 投与後のAT活性の上昇

を確認すること

方 法

Page 27: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

27

研究デザイン

• 前向き観察研究

(ケースシリーズ)

症例選択

• 2015年12月〜2016年9月に埼玉動物医療センターに来院

• DICあるいはPre-DICと診断

• AT活性70%未満の犬

• オーナーの同意が得られた犬

AT濃縮製剤の投与• 乾燥濃縮人アンチトロンビン

–ノンスロン®(日本製薬株式会社)

500単位/head(60単位/kgを上限)

注射用水10mlで溶解後に20分かけてCRI

調査項目投与前,20分,24H,36H, 72H

• CBC,血液化学検査,血液ガス

• PT,APTT,Fib,FDP,AT, TAT

• ECG,血圧

• TPR

• ±ROTEM

(採血量が確保できない場合は未実施)

結 果

AT製剤の投与量(n=18)(DIC=7,Pre-DIC=11)

• 10.0-30.0 単位/Kg 5頭

• 30.1-50.0 単位/Kg 9頭

• 50.1-60.0 単位/Kg 4頭

Page 28: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

28

投与前後の変化20分,24H,48H, 36H, 72H

• 下記の調査項目では有意な変動なし

➢ CBC,血液化学検査,血液ガス,PT,APTT,Fib,FDP, 血圧,ECG,TPR,ROTEM(10頭のみ実施)

• ショック,アレルギー,嘔吐を含む状態の悪化なし

• その他,本製剤が原因と考えられる明らかな副作用なし

AT製剤投与量別経時的変化

40

60

80

100

120

140

AT

(%

)

投与前 20分後 24時間後 48時間後 72時間後

10-30U/kg 30.1-50U/kg 50.1-60U/kg

全頭でAT製剤投与20分後のAT活性が上昇53.4%,95%CI:45.1-61.7,p<0.001

投与量による20分後のAT活性の比較10-30単位/kg vs 30.1-50単位/kg(p=0.0015)30.1-50単位/kg vs 50.1-60単位/kg(p=0.32)

投与後のTATの推移

02

46

TA

T (

ng

/ml)

投与前 20分後 24時間後 48時間後 72時間後

全頭でAT製剤投与20分後のTAT値が上昇投与前に比べて投与20分後のTAT値は0.87ng/ml高い

95%CI:0.33-1.40,p=0.002

CASE

• 患者情報

• シベリアン・ハスキー

• 不妊手術済み雌

• 10歳齢

主訴・現病歴

• 主訴:肺腫瘤の切除を希望(紹介受診)

➢画像診断センターでCT済み

• 現病歴:1週間前の健康診断で偶発的に発見

肺副葉に4cm大腫瘤

Page 29: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

29

身体所見

• 体重 21.8kg

• 体温 37.3℃ 心拍 110bpm 呼吸 30bpm

• 聴診 著変なし

• 呼吸 著変なし

• 所見 著変なし

• 体調は特に問題なし

埼玉AMCでの血液検査

• CBC,血液化学検査:異常なし

• 血液凝固・線溶検査 :異常なし

治療方針

• 副葉切除

手術当日

• 当日の朝の身体検査で著変認めず

• 10:00 ope室へ移動しようとした際に虚脱,眼振

• 超音波検査➢胸腔内出血(PCV 51%)➢心嚢水貯留➢右心耳に腫瘤?

FDP (μg/ml)

Fib(mg/dl)

AT活性(%)

TAT(ng/ml)

血小板(×103/ul)

PCV(%)

初診時 1.0 253.6 110.4 0.231 257 39

手術日 21.8 189 43.8 5.39 89 25

凝血学的検査

救急処置

• ドパミン

• ボルベン

• 全血輸血200ml

• 輸液

術中所見(心膜切開,右房腫瘤)

MASS

心臓

心膜

Page 30: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

30

診断病理組織診断

• 肺 :組織球性肉腫

• 心臓:血管肉腫

DICの治療

• フサン

• フラグミン(術後から)

• 全血輸血

• AT製剤(術後)

FDP (μg/ml)

Fib(mg/dl)

AT活性(%)

TAT(ng/ml)

血小板(×103/ul)

PCV(%)

初診時 1.0 253.6 110.4 0.231 257 39

手術日 21.8 189 43.8 5.39 89 25

術後 49.1 60.0 3.02 29

AT投与直後

45.8 112.4 3.04 96 31

術後1日 9.3 >450 78.6 4.38 76 34

AT投与直後

125 3.52

術後2日 112.4 2.99 69 32

AT

全血

AT

ATとTATの推移

110.4

43.8

60

112.4

78.6

125

112.4

0.231

5.39

3.02 3.044.38

3.52 2.992.44

0.8990.514 0.471 0.334

TATAT製剤 AT製剤輸血

AT

CASE

• 患者情報

➢シベリアン・ハスキー

➢不妊手術済み雌

➢10歳齢

• 主訴

➢本日散歩中に虚脱し,近医を受診

➢腹腔内出血を指摘され紹介受診

身体検査

• 体重 22.8kg

• 体温 38.7℃

• 聴診 異常なし

• 所見

➢可視粘膜蒼白

➢起立不能

Page 31: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

31

CBC (第1病日)

RBC (x106/ul) 2.44 WBC(/ul) 35 000

PCV (%) 17 Band-N 0

Hb (g/dl) 5.5 Seg-N 26 888

MCV (fl) 63.5 Lym 2 750

MCHC (%) 35.5 Mon 917

II <5 Eos 0

TP (g/dl) 6.0 Bas 0

Plat(x103/ul) 59 NRBC(%) 12.7

血液化学検査(第1病日)

TP 4.7 g/dl BUN 35.6 mg/dl

Alb 2.5 g/dl Cre 2.3 mg/dl

Glb 2.2 g/dl UN/Cr 15.5

ALT 122 U/l Ca 10.3 mg/dl

AST 49 U/l i-Ca 1.26 mg/dl

ALP 181 U/l Na 145 mmol/l

TBil 0.2 mg/dl K 3.92 mmol/l

TCho 161 mg/dl Cl 108 mmol/l

Glu 189 mg/dl

凝血学的検査(第1病日)PT(sec) 6.8 (6.0-16.1)

APTT(sec) 19.1 (8.8-24.0)

Fib(mg/dl) 107 (178-393)

AT活性(%) 66.6 (>95)

FDP(μg/ml) >60.0 (<5)

D-dimer(μg/ml) 9.63 (<1)

FDP/D-dimer >6.2 (<3)

TAT(ng/ml) 16.2 (< 0.4)

腹部X線検査

暫定診断

• 肝臓腫瘤からの出血

• 重度の再生性貧血

• 線溶亢進型DIC

Page 32: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

32

治 療

• 全血輸血

• フサン

• 輸液

治療と経過• 第2病日

➢PCV 34%(前日17%)

➢血小板 3.5万(前日5.9万)

➢Fib 167.7 mg/dl(前日107)

➢AT 74%(前日66.6)

➢TAT 18.3 ng/ml(前日16.2)

• 追加治療

➢AT濃縮製剤 → 投与直後 AT 125%

➢リバーロキサバン

治療と経過• 第3病日:起立可能,食欲回復

➢血小板 6.6万

➢Fib 147.6 mg/dl

➢AT 99.4%

➢FDP 23.9μg/ml

➢D-dimer 7.8μg/ml

➢TAT 11.3 ng/ml(前日18.3)

MRI検査:脳梗塞

T2強調画像

追加治療

• ミタゾラム CRI

• ケプラ

• フェノバール

• 低分子ヘパリン

安楽死を提案

FDP (μg/ml)

D-dimer(μg/ml)

Fib(mg/dl)

AT活性(%)

TAT(ng/ml)

血小板(×103/ul)

PCV(%)

初診時 >60 9.63 107 66.6 16.2 68 17

第2病日 167 74.0 18.3 35 34

3 23.9 7.8 147 99.4 11.3 47 34

4脳梗塞

22.5 6.48 112 78.2 5.57 84 44

5 18.6 3.1 84.9 66.9 1.54 97 42

6 1.9 1.86 114.2 87.7 0.9 82 47

7手術

5.5 1.59 222.7 91.8 0.4 95 42

血漿

血漿

血漿

AT

全血

血漿

Page 33: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

33

ATとTAT の推移

66.6

74

99.4

78.2

66.9

87.791.8

16.218.3

11.3

5.57 1.54 0.9 0.4

初診 2 3 4 5 6 7

AT

TAT

脳梗塞

CT,手術AT製剤 血漿血漿 血漿 血漿

CT

手術(意識なし)第7病日

2017/03/07

病理組織診断:血管肉腫

本症例の教訓• 原因の除去とDICの徹底した治療を行

えばここまでのDICでも救命可能なこともある!

• ご家族が諦めていないのに獣医師が諦めてはダメ!

治療戦略のまとめ(林宝案)1. DICが疑われる状況なら治療を開始

➢ 基礎疾患

➢ 血小板数の推移

➢下限,正常域でも変動に注意

2. 院内で可能な項目を計測し,治療開始

➢あとは外注

➢ FDP,AT,TATは必須

➢ 結果を評価し,DICの可能性を再検討

治療戦略のまとめ(林宝案)

➢ 診断に自信がない場合

➢ 出血傾向がある場合

3. ATが測れない時➢ リバーロキサバン+フサン

±ヘパリン(出血傾向がなければ)

フサンから開始

±輸血

Page 34: 臨床家が知っておくべき 本日の講演内容 DICの密接 …2018/10/26 1 臨床家が知っておくべき 腫瘍とDICの密接な関係 〜DICを徹底的に理解する〜

2018/10/26

34

治療戦略のまとめ(林宝案)4. ATが85%未満

➢ リバーロキサバン+フサン+ヘパリン+血漿±AT製剤

➢血漿やAT製剤が使えなければ

リバーロキサバンとフサンで戦う

5. ATが85%以上➢ ヘパリン

➢ フサン

➢ リバーロキサバン

➢ 必要に応じて輸血

※治療効果の判定はTATがベスト!

内服でできるDICの管理

• リバーロキサバン

• メシル酸カモスタット

メシル酸カモスタット• 経口の合成プロテアーゼインヒビター

• 血液中でフェニル酢酸に変化

• メシル酸ガベキサートと比較して

➢抗トロンビン作用:30倍

➢抗プラスミン作用:60倍

➢抗トリプシン作用:20倍

• 線溶亢進型DICにも有効!

メシル酸カモスタット

➢膵炎,術後の逆流性食道炎

➢線溶亢進型DIC(動脈瘤)

➢IBDで研究されている(東大:前田先生)

➢セリンプロテアーゼがIBD発症に関与?

➢10mg/kg BID

➢犬のDICでも効くはず!

スライドのダウンロード方法

• 埼玉動物医療センター

• HP URL : http://samec.jp/

• 獣医師向け情報 → 学術情報

→ 動物病院関係者向けセミナー ・ 症例検討会

→ 特別配布資料

• パスワード:LS-DIC2018

(11月末日まで掲載 )

• e-mail:[email protected]