超小型ファインバブル発生機で バクテリア制御の新手法 ·...

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1 超小型ファインバブル発生機で バクテリア制御の新手法 群馬大学 大学院理工学府 環境創生部門 准教授 伊藤 司 微細気泡発生機 微生物制御 振動多孔板 超小型

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超小型ファインバブル発生機でバクテリア制御の新手法

群馬大学 大学院理工学府 環境創生部門

准教授 伊藤 司

微細気泡発生機 微生物制御振動多孔板 超小型

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装置構成 使用イメージ

新技術の特徴(概要)

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微細気泡を発生させる超小型の装置。

空気の他にも様々な気体を微細気泡化できる。

液体に負荷を与えずに微細気泡を発生できる。

微生物を培養すると、ストレス(低酸素や水流等による)が少ないため、高い活性を示す。

ストレスがないことは、細胞外多糖類の生成が抑制されていることから示される。

新技術の特徴(概要)

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従来技術とその問題点 その1-1水中に微細気泡を連続発生させる従来の技術(マイクロバブル発生装置):

• 気体と液体を機械的に高速混合する方法

• 液体に圧力や超音波を与える方法

液体と

気体

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従来技術とその問題点 その1-2問題点:

1. 装置全体が大きい。(大きな水槽用。実験室レベルで複数機使える大きさではない。)

2. ポンプのための動力が大きい。

3. 液体が微生物培養液の場合には、液体を微細気泡発生部に巻き込むため、微生物細胞に損傷を与えてしまう。

4. 微生物に対して微細気泡が与える影響や効果を正しく評価できない。

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従来技術とその問題点 その2-1

空中に液体を噴霧する従来の技術

(超音波式霧化技術)

• ミクロンサイズの孔を有する金属多孔板が圧電振動子に接着された状態で、圧電振動子に発振機から共振周波数で高周波電圧を印加させると、多孔板の孔から液滴が噴出される。

• 霧化用途では、ネブライザーや超音波式加湿器として利用され普及している。

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従来技術とその問題点 その2-2超音波式霧化技術を微細気泡発生用途に応用する場合の問題点:

1. 噴霧用の振動多孔板が微細気泡発生用に適するとは限らない。

2. 微細気泡発生部を水没させて使用するため、高い絶縁性と耐久性が要求される。

3. 噴霧より難しい課題が様々あり、従来の噴霧用技術を単純に転用できない。

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従来技術とその問題点 その3-1バクテリア制御の困難さ:

• バクテリアの細胞同士が接着して集塊を形成した状態をバイオフィルムとよぶ。バイオフィルムでは細胞は多糖類に覆われているため、薬剤抵抗性が高い。細胞が密集した状態のため、内部の細胞まで薬剤が到達しない。

• そのため、バイオフィルム状態と浮遊状態の細胞を比較して、バイオフィルムを制御するための研究が世界中で行われてきた。

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従来技術とその問題点 その3-2問題点:

1. しかし、浮遊状態の単一細胞も細胞外多糖類に覆われているため、バイオフィルム状態の細胞と類似する点も多い。

2. バイオフィルム状態の細胞の対極は、浮遊して単一細胞で存在し、さらに細胞表面の多糖類が少ない状態の細胞である。

3. しかし、細胞表面の多糖類が少ない細胞を作り出す方法はこれまでになかった。

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新技術の特徴・従来技術との比較 その1 超小型、手のひらサイズの微細気泡発生装置の開発に成功。消費エネルギーも小さく、1リットル容器にでも気泡発生できる。

液体に圧力や高速流や超音波などの負荷を一切与えずに微細気泡を発生させることができる。

従来のように動力の大きいポンプで送気することがないため、様々な加圧容器で、空気以外の気体でも微細気泡化して穏やかに液体中に供給することが可能。

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新技術の特徴・従来技術との比較 その2

液体に負荷を与えないため、液体を微生物培養液にできる。

微生物の培養に用いると、細胞を高活性化する。細胞外多糖類の生成は抑えられ、細胞の分散状態が維持され、細胞は集塊化・バイオフィルム化しない。

細菌の細胞外多糖類の生成の抑制を、遺伝子組換えを用いずにできる。

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想定される用途 1

消毒殺菌洗浄装置(消毒用ガスを供給するなど)

一般観賞魚水槽用のNew type散気装置

(手動で蓄圧できるタンクを用いれば無音で運転可能)

高級魚の仔魚の飼育における沈降死対策

空気清浄器

微細気泡観賞用オブジェ

水中の濁り成分の浮上分離

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想定される用途 2

微生物の働きにより生成する薬などの有用物質の生産性の向上。

微生物の働きによる超コンパクトな水処理装置

水処理用途での高分子膜の目詰まり抑制

バイオフィルム制御の新たな標的の探索

細菌感染症の新たな治療方法の開発

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実用化に向けた課題

• コアの部分を自作し、それを既存のパーツと組み合わせるため、現在は製造が非効率的。

• 使用可能な液体および濃度、耐用期間が未解明。用途に応じたテストが必要。

• 現在、多孔板の振動を抑えずに、しかし耐久性が高い材料を検討中。

• 制御できる微生物種や制御環境条件を用途に応じて適切なものをテストする必要がある。

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企業の方に期待すること

実用研究。具体的な用途への適用。

複数のパーツから構成される本技術の

パッケージ化。

一般向け超小型微細気泡発生機の販売。

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本技術に関する知的財産権

発明の名称 :微生物培養装置ならびにそれを利用した微生物分散培養方法および細胞外多糖類抑制方法

出願番号 :特願2013-025720出願人 :群馬大学

発明者 :伊藤 司

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お問い合わせ先

群馬大学TLO

TEL 0277-30- 1171~1175

FAX 0277-30- 1178

e-mail tlo@ml.gunma-u.ac.jp

伊藤 司

e-mail t.ito@gunma-u.ac.jp